JP2783437B2 - チューブ容器 - Google Patents

チューブ容器

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JP2783437B2
JP2783437B2 JP1312420A JP31242089A JP2783437B2 JP 2783437 B2 JP2783437 B2 JP 2783437B2 JP 1312420 A JP1312420 A JP 1312420A JP 31242089 A JP31242089 A JP 31242089A JP 2783437 B2 JP2783437 B2 JP 2783437B2
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靖夫 栗原
正隆 小瀬川
秀樹 田口
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はチューブ容器に関する。さらに詳しくはその
外表面に抗菌性を有するチューブ容器に関する。
[従来の技術] 従来よりチューブ容器は、たとえば化粧品用、医薬品
用、食品用などの種々の用途に用いられているが、たと
えばこのようなチューブ容器内に食物などを保存するば
あい、チューブ容器内には細菌やカビなどが繁殖しない
ことが望ましい。
しかしながら、食物などを長時間チューブ容器内に保
存したときでも、細菌やカビなどの繁殖を防ぐことがで
きるチューブ容器は未だえられていないのが現状であ
る。
[発明が解決しようとする課題] そこで本発明者らは、前記従来技術に鑑みて鋭意研究
を重ねた結果、その外表面に抗菌性ゼオライトを含有し
た被膜層を設けたばあいには、意外なことに食物などを
長時間容器内に保存したときでも細菌やカビなどの繁殖
を防ぐことができることを初めて見出し、本発明を完成
するに至った。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は抗菌剤として抗菌性ゼオライトを
含有した被膜層(1)をその外表面(3)に設けてお
り、かつ、前記被膜層(1)が抗菌性ゼオライト粒子を
10000μm2あたり1〜11,000個含有してなるチューブ容
器に関する。
[作用および実施例] 前記被膜層(1)が設けられるチューブ容器として
は、本発明においてはその種類および大きさにはとくに
限定はなく、たとえば単層のチューブ容器、多層のチュ
ーブ容器など通常用いられているチューブ容器に設ける
ことができる。
前記抗菌性ゼオライトは、人体に対する安全性がきわ
めて高く、長時間にわたり種々の細菌やカビに対してす
ぐれた抗菌効果を呈し、しかも約550℃まで安全である
という耐熱性をも有するものである。前記抗菌性ゼオラ
イトは、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部
または全部を抗菌性金属イオンでイオン交換したもので
ある。
前記ゼオライト中のイオン交換可能なイオンとして
は、たとえばナトリウムイオン、カルシウムイオン、カ
リウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオンなどがあ
げられる。
前記抗菌性金属イオンの具体例としては、たとえば
銀、銅や亜鉛などの金属のイオンがあげられる。また、
本発明に用いられる抗菌性ゼオライト中のイオン交換可
能なイオンの一部は、アンモニウムイオンでイオン交換
されているものであってもよい。アンモニウムイオンを
含む抗菌性ゼオライト含有する被膜層(1)は、経時的
に変色することが少ないのでとくに好ましいものであ
る。
抗菌性金属イオンとして銀イオンを用いたばあい、抗
菌性ゼオライト中の銀イオンの含有率は0.1〜15%(重
量%、以下同様)、なかんづく0.1〜5%とすることが
好ましい。また、抗菌性金属イオンとして銅イオンまた
は亜鉛イオンを用いたばあい、抗菌性ゼオライト中の銅
イオンまたは亜鉛イオンの含有率は0.1〜8%とするこ
とが好ましい。前記抗菌性金属イオンの含有率が前記範
囲よりも小さいばあいには、抗菌力が小さくなりすぎる
傾向があり、また前記範囲を越えるばあいは、抗菌効果
は変わらないが経済的に不利になる傾向がある。
また、抗菌性ゼオライト中にアンモニウムイオンを含
有させるばあいには、抗菌性ゼオライト中のアンモニウ
ムイオンの含有率は0.5〜5%、好ましくは0.5〜2%と
することが、抗菌性ゼオライトが変色するのを有効に防
止するという点から適切である。
本発明において抗菌性ゼオライトに用いられるゼオラ
イトとしては、天然ゼオライトおよび合成ゼオライトの
いずれも用いることができる。
前記ゼオライトは、一般に三次元骨格構造を有するア
ルミノシリケートであり、一般式: XM2/nO・Al2O3・YSiO2・ZH2O (式中、Mはイオン交換可能なイオンを示し、通常は1
価または2価の金属イオン、nは金属イオンの原子価、
XおよびYはそれぞれ金属酸化物、シリカのモル比率を
示し、Zは結晶水の数を示す)で表される化合物であ
る。かかるゼオライトの具体例としては、たとえばA型
ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどの合
成ゼオライト;モルデナイト、クリノプチロライト、チ
ャバサイト、エリオナイトなどの天然ゼオライトがあげ
られる。
これらの例示したゼオライトのSiO2/Al2O3モル比およ
びイオン交換容量は、A型ゼオライトがモル比2.0、7
ミリ当量/g、X型ゼオライトがモル比2.5、6.4ミリ当量
/g、Y型ゼオライトがモル比4.0、5ミリ当量/g、モル
デナイトがモル比10.0、2.6ミリ当量/g、クリノプチロ
ライトがモル比10.0、2.6ミリ当量/g、チャバサイトが
モル比4.0、5ミリ当量/g、エリオナイトがモル比6.0、
3.8ミリ当量/gであり、抗菌性金属イオンでイオン交換
するのに充分な容量を有している。このうち被膜層を形
成する樹脂との分散性が良く、イオン交換反応のしやす
いSiO2/Al2O3モル比が4.5以下のA型ゼオライト、X型
ゼオライト、Y型ゼオライト、チャバサイトが好ましい
が、これらに限定されるものでない。
ゼオライトとしては、平均粒径が0.5〜10μm、好ま
しくは2〜3μmであり、最大粒径が25μm以下、好ま
しくは10μm以下のものであることが、たとえばスプレ
ーなどに含有させたときの噴霧状態が良好であることか
ら望ましい。
つぎに、本発明に用いられる抗菌性ゼオライトの製法
の一例を説明する。
抗菌性金属イオンを含む塩類の水溶液などを予め調整
し、これを用いて抗菌性金属イオン(銀イオン、銅イオ
ン、亜鉛イオン)および必要によりアンモニウムイオン
を含有させた混合水溶液にゼオライトを接触させてゼオ
ライト中のイオン交換可能なイオンと前記抗菌性金属イ
オンとを置換させる。接触の際の条件は、温度は10〜70
℃、好ましくは40〜60℃、時間は3〜24時間、好ましく
は10〜24時間、方法はバッチ式または連続式(たとえば
カラム法など)である。なお、前記混合水溶液のpHは、
銀酸化物などがゼオライト表面または細孔内へ析出する
のを防止するために3〜10、好ましくは5〜7に調整さ
れる。また、前記混合水溶液中の各イオンは、通常いず
れも塩のかたちで供給される。銀イオンはたとえば硝酸
銀、硫酸銀など、銅イオンはたとえば硝酸銅(II)、硫
酸銅など、亜鉛イオンはたとえば硝酸亜鉛(II)、硫酸
亜鉛など、アンモニウムイオンはたとえば硝酸アンモニ
ウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの塩の
かたちでそれぞれ供給される。
前記ゼオライト中の抗菌性金属イオンやアンモニウム
イオンの含有率は、前記混合水容液中の各イオン(塩)
濃度を調節することによって適宜制御することができ
る。たとえばゼオライトに銀イオンおよびアンモニウム
イオンを含有させるばあいには、前記混合水溶液中のア
ンモニウムイオン濃度を0.85〜3.1mol/、銀イオン濃
度を0.002〜0.15mol/とすることによって目的とする
アンモニウムイオンの含有率が0.5〜5%、銀イオンの
含有率が0.1〜5%であるゼオライトをうることができ
る。また、ゼオライトに銅イオンおよび亜鉛イオンを含
有させるばあいには、前記混合水溶液中の銅イオン濃度
は0.1〜0.85mol/、亜鉛イオン濃度は0.15〜1.2mol/
とすることによって、銅イオン含有率が0.1〜8%、亜
鉛イオン含有率が0.1〜8%であるゼオライトをうるこ
とができる。
本発明においては、前記のごとき混合水溶液以外にも
各抗菌性金属イオンを単独で含有する水溶液を用い、各
水溶液とゼオライトを逐次接触させることによってイオ
ン交換することもできる。各水溶液中の各イオンの濃度
は、前記混合水溶液中の各イオン濃度に準じて定めるこ
とができる。イオン交換が終了したゼオライトを、水ま
たは温水で充分に洗浄したのち、乾燥することによって
抗菌性ゼオライトがえられる。かかる乾燥は、常圧にて
105〜115℃、または減圧(1〜30torr)下で70〜90℃で
行うことが好ましい。
本発明のチューブ容器に用いる被膜層は種々の有機高
分子化合物に抗菌性ゼオライトを均一に分散したもので
あれば制限なく使用できる。使用できる有機高分子化合
物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、
ポリアクリルレート、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン
樹脂などをあげることができる。
抗菌性ゼオライトが含有された被膜層(1)をチュー
ブ容器の内表面(2)および外表面(3)に設ける方法
としては、とくに限定はなく、共押し出し多層ブロー成
形法などの一般に用いられている成形法で行われる。
本発明のチューブ容器の内表面(2)および外表面
(3)に設けられる被膜層(1)中の抗菌性ゼオライト
の含有率は、チューブ容器の用途やチューブ容器の表面
にもともと存在している細菌の数などにより要求される
抗菌性が異なるため一概に決定することはできない。し
かし、試験結果によれば1〜5%の抗菌性ゼオライト50
%含有高分子化合物を、たとえばポリエチレン樹脂に混
合して、この被膜層(1)の厚さを5〜50μmとしたも
のを、たとえば300〜500μmのポリエチレン樹脂の単層
のチューブ容器またはポリエチレンとガスバリア性樹脂
とから構成される多層のチューブ容器の内表面(2)お
よび外表面(3)に設けたばあいに、目的とする抗菌効
果がえられた。すなわち、好ましくは、被膜層(1)の
厚さが5〜50μmであればチューブ容器の内表面(2)
および外表面(3)に形成される被膜層(1)の表面に
はゼオライト粒子が露出するため充分な抗菌効果がえら
れると考えられる。
このような被膜層(1)に含有される抗菌性ゼオライ
トは0.5〜50%であることが好ましく、被膜層(1)の1
00μm×100μmあたりに分散している抗菌性ゼオライ
ト粒子の個数(以下、分散個数という)は、1〜11,000
個、好ましくは12〜9,500個に調整されることが望まし
い。なお、被膜層に含有する抗菌性ゼオライト粒子の10
000μm2あたりの個数は走査式電子顕微鏡分析により計
数してえた。かかる分散個数が前記範囲未満のばあい、
抗菌性が付与されず、また前記範囲を越えるばあい抗菌
性は向上するが、経済的に不利になる傾向がある。
さらに、被膜層(1)の厚さが、1μm未満であるば
あい、成形上、均一な膜になり難い傾向があり、また20
0μmを越えるばあい、抗菌性ゼオライトが被膜層
(1)内に完全に埋もれてしまうことが多くなり、同様
に目的とする抗菌性がえられないことが判明した。
つぎに、本発明のチューブ容器を添付した図面に示さ
れる実施例に基づいて説明する。
第1図は単層の樹脂層(4)で構成されるチューブ容
器の内表面(2)および外表面(3)に、抗菌性ゼオラ
イトを含有した被膜層(1)を設けたチューブ容器の切
欠断面図であり、第2図は第1図の(a)部拡大断面図
である。また、第3図は内部にナイロン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物などのガスバリア性樹脂
(5)を有する多層の樹脂層(6)で構成されるチュー
ブ容器の内表面(2)および外表面(3)に、抗菌性ゼ
オライトを含有した被膜層(1)を設けたチューブ容器
胴部の拡大断面図である。なお、第1図〜第3図に示さ
れる実施例において、外表面(3)のみ抗菌性ゼオライ
トを含有した被膜層(1)を設けてもよく、チューブ容
器が使用される状況に応じて適宜変えることができる。
また、前記実施例に示される各チューブ容器の各層間
に、接着層、紙層などの層を介在させることも可能であ
る。
つぎに、本発明にかかわるチューブ容器の抗菌性試験
結果を以下に示す。
試 料 サンプルA;抗菌性ゼオライト加工をしないチューブ容器 B;抗菌性ゼオライト加工したチューブ容器 内表面:抗菌性ゼオライト(銀5%、亜鉛8
%、アンモニア3%含有A型ゼオライト;SiO2/Al2O3
ル比2.0)20%含有低密度ポリエチレン15部+低密度ポ
リエチレン85部…20μm 中間層:低密度ポリエチレン…320μm 外表面:内表面と同様…20μm 被膜層中の抗菌性 ゼオライト粒子数:7000個/10000μm2 試験条件 試料(50mm×50mm)に菌液(105個/ml)1mlを滴下
し、37℃で24時間培養後、滅菌済み生理食塩水で菌液を
流し出した。流し出した液について菌試験紙(一般菌用
・大腸菌用)にて菌数を測定した。
試験結果 以上のサンプルA、Bの比較結果から、内表面(2)
および外表面(3)に抗菌性ゼオライトを含有する被膜
層(1)が設けられた本発明のチューブ容器は、その内
表面(2)および外表面(3)に優れた抗菌性を呈する
ことが判明した。前記抗菌性試験では、被膜層(1)と
してポリエチレンを用いたがこれに限定されるものでは
ない。
また、実施例で作成したサンプルについて保存試験お
よび防臭試験を行なった。
[試験例1]保存試験 実施例で作成したサンプルA、B各チューブ容器に砂
糖、薄力粉および牛乳で調製したカスタードクリームを
充填した。これを20〜22℃の温度にて3週間放置した。
放置後容器より取り出し形態の変化を目視にて観察し
た。
結果:サンプルAに入れたクリームは一部油・水が分離
し、若干腐敗臭がした。一方サンプルBは充填前と何の
変化もなかった。
[試験2]防臭試験 実施例で作成したサンプルA、B各チューブ容器に下
記の配合の化粧水を充填した。これを20〜22℃の温度に
て3週間放置した。放置後容器より分取し、これを50〜
60℃に加温し、蒸発する成分についてガスクロマトグラ
フィーにて放置前のものと比較した。
結果:サンプルAに入れた化粧水は放置前のもの以外の
成分(グリコール分解物、微生物分泌物)が検出され
た。一方、サンプルBは放置前と何の変化もなかった。
(配合)エタノール 6.0部 dl −カンフル 0.2部 精製水 85.3部 ベントナイト 0.3部 1,3−ブチレングリコール 6.0部 タルク 2.0部 香 料 0.2部 [発明の効果] 以上説明したように、本発明のチューブ容器は、その
外表面に人体に安全である抗菌剤による抗菌性を有して
おり、その外表面に長期間細菌やカビなどが繁殖するの
を防ぐという効果を奏するものである。また化粧品、食
品などに対する保存性および防臭性にも優れている。し
たがって、本発明のチューブ容器は、抗菌性が要求され
るたとえば、医療用品、食品用などの単層、あるいは多
層のチューブ容器として好適に使用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は内表面および外表面に抗菌性ゼオライトを含有
した被膜層を設けた単層の樹脂チューブの切欠断面図、
第2図は第1図の(a)部拡大断面図、第3図は内表面
および外表面に抗菌性ゼオライトを含有した被膜層を設
けた多層の樹脂チューブの胴部拡大断面図である。 (図面の主要符号) (1):被膜層 (2):内表面 (3):外表面 (4):単層の樹脂層 (6):多層の樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小瀬川 正隆 大阪府大阪市淀川区加島1丁目52番49号 武内プレス工業株式会社大阪工場内 (72)発明者 田口 秀樹 大阪府大阪市淀川区加島1丁目52番49号 武内プレス工業株式会社大阪工場内 (56)参考文献 実開 平1−116177(JP,U) 実開 平2−129051(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 81/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗菌剤として抗菌性ゼオライトを含有した
    被膜層をその外表面に設けており、かつ、前記被膜層が
    抗菌性ゼオライト粒子を10000μm2あたりに1〜11,000
    個含有してなるチューブ容器。
  2. 【請求項2】抗菌性ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が4.
    5以下である請求項1記載のチューブ容器。
  3. 【請求項3】被膜層が抗菌性ゼオライトを0.5〜50重量
    %含有したものである請求項1記載のチューブ容器。
  4. 【請求項4】抗菌性ゼオライトが平均粒径0.5〜10μm
    の合成ゼオライトである請求項1記載のチューブ容器。
  5. 【請求項5】被膜層の膜厚が1〜200μmである請求項
    1記載のチューブ容器。
  6. 【請求項6】チューブ容器が単層の樹脂層で構成されて
    なる請求項1記載のチューブ容器。
  7. 【請求項7】チューブ容器が多層の樹脂層で構成されて
    なる請求項1記載のチューブ容器。
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