JPH0135663B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はプラスチツク容器で容器内の内容物に
対し防菌或いは殺菌作用を有する容器に関するも
のである。詳しくは容器の最内層が銅粉或いは銀
粉を練り込んだ樹脂より成り、外層は合成樹脂層
で、しかも内層が外層よりも肉厚が薄い共押出し
ブロー成形法によつて得られた防菌性、殺菌性を
有する多層容器に関するものである。 一般に銅、銀などは微量作用または極微作用と
いつて化学的に証明できないような極く僅かの量
で驚くべき殺菌作用を現わすという働きがある。
理由は薬理学的に十分説明されないが細胞表面の
選択吸収により、細胞周囲の濃度がかなり高くな
るためであるといわれる。 この様な特定の金属イオン特有な防菌作用によ
りその効果が認められ銅粉を使用した靴敷、漁
網、マツトなどが商品化されている。これらはい
ずれも樹脂中に適当量の銅粉を練り込み射出成形
或いは押出成形され製品が得られる。これに対し
中空容器では通常ブロー成形機によつて成形され
るが、この場合成形時に吹込みエアーにより横方
向に延伸されるため成形材料は適度な伸び適性を
もつていなければならない。通常金属粉を含んだ
樹脂はその含有量が増大するにつれこの伸びが著
るしく低下してくる。また銅粉を少量（重量で10
％以下）混入した成形品では、その表面はほとん
ど樹脂で被覆されているため銅の溶出はほとんど
なくその銅イオンによる微量作用もないため目的
とする殺菌・防菌効果も得られない。 従つて従来法の様に樹脂に10〜90重量％の効果
的な量の銅及び銀の金属粉を練り込んだ複合材料
はブロー成形加工性が著るしく低下しまた容器と
しての各種の特性の低下もさけられない。 本発明ではこれらの問題に対処すべく容器の材
質構成と加工法に研究を行ない、本発明の特徴で
ある防菌性と容易な加工性と優れた容器物性の他
に、より経済的に得られることを可能にした。 以下本発明の内容を詳細に説明する。容器の最
内層樹脂には銅或いは銀粉より成る防菌作用を示
す金属粉を10〜90重量％の範囲内で練り込んだ樹
脂層よりなる。この樹脂層は容器総重量の３〜30
重量％の範囲に有り好ましくは５〜15重量％の範
囲内にある。従がつて最内層は単に内容液と接触
し微量の銅イオンが溶出する様に適度な量（30〜
80重量％）の銅、銀粉を混入できる。この場合量
内層の成形加工性が低下しても総重量の30％以下
で残り70％には加工性の優れるブローグレードの
樹脂を用いるため容器の加工性及び物性には影響
しない。ここで使用可能な樹脂としては、ポリエ
チレン（PE）、ポリプロピレン（PP）、ポリスチ
レン（PS）、ポリアミド（PA）、ポリエステル
（PET）など多くの熱可塑性樹脂が使用可能であ
るが、加工性、コストからPE、PPが好ましい。 容器の中間層にはこのブロー成形時に生じたス
クラツプ（別名、バリ）を添加する。このバリ中
の５〜15重量％には30〜80重量％の銅粉、銀粉が
含まれる。従つて中間層中には1.5〜12重量％の
金属粉が含有される。通常押出しブロー成形では
５〜30重量％のスクラツプが生じるのでこれをす
べて中間層に回収するので総体的に中間層厚みは
５〜30重量％になる。外層は通常のブローグレー
ドの樹脂を使用する。この場合外層は容器重量の
40〜92重量の範囲にありその大半を加工性の優れ
た樹脂を用いるため本発明による容器の成形は従
来の共押出しブロー成形法の加工性と同一であ
る。また高価な金属含有複合樹脂を単一で使用す
ることなく効果的な内面のみ用い外層はまつたく
含まれないので外部環境による影響も無い。この
様にして本発明によつて得られた容器は、実施例
１に示したごとく大腸菌などの指標菌の殺菌効果
テストにても内層樹脂中に60及び80重量％の銅粉
を含有した樹脂を用いることによりその銅の極微
作用により数日の内に死滅することが確認され
た。またこの水溶液（本発明の容器中に充填され
た水）を分折した結果、この水中には2ppm以下
の銅イオンが検出された。この程度の銅イオンの
衛生学的判断では生体には無害で人間が日常食料
として取り入れる動食物中にも含まれるものであ
る。 本発明によつて得られた容器は長期保存などの
非常用飲料水、医薬品容器、培養容器などに実用
が可能である。 以下本発明による実施例について示す。 実施例 １ 多層共押出しブロー成形装置を用い、その外層
を形成する押出機に銅粉が60wt％（表中のNo.２）
及び80％（表中のNo.３）含有した複合PPを添加
し中間層には成形時に生じたスクラツプ（バリ）
を投入し、外層には通常のPPを添加した。この
様にして成形した容器の各層の重点比は外層／中
間層／内層が10／15／75（wt％）にあり、容量
100c.c.、重量20ｇの容器を得た。成形加工性はい
ずれも良好であつた。成形した容器についてその
殺菌効果を確認するため次の実験を行なつた。 〈実験条件〉 培養菌 指標菌 検体（容器）及び測定条件

【表】 洗浄し１日以上乾燥させたもの使用。
保存条件 15℃ 菌数計算法 混釈法 テスト結果

【表】 上記表からも一般的な単体に比較し内層にCu
粉60％含有の容器（No.２）では約２日で、80％含
有の容器（No.３）では約１日で殺菌される。 〈比較例〉 銅粉60wt％含有PP単体容器及び80wt％含有
PP単体容器の成形を行なつた。いずれも成形機
にて押出可能であるがブロー成形時に伸びが著る
しく悪くパリソンが破裂し容器が形成されない。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 容器の総重量の３〜30重量％を占め、かつ10
   〜90重量％が銅粉から成る最内層と、容器の総重
   量の40〜92重量％を占めかつブローグレードの樹
   脂から成る最外層と、容器総重量の５〜30重量％
   を占め、かつ1.5〜24重量％の金属粉から成る中
   間層とを共押出し、次に圧縮空気を吹き込んで成
   形したことを特徴とする防菌効果を有する容器の
   製造方法。