JP2777196B2 - ケラチン加水分解物の製造方法 - Google Patents

ケラチン加水分解物の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はケラチン加水分解物の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
ケラチンに含まれるシスチンのジスルフィド結合(SS
結合)をメルカプタン類により還元して、ジスルフィド
結合を開裂し、メルカプト基(−S′H基)を生成させ
て、シスチンをシステインに変換し、ついでタンパク加
水分解酵素により、メルカプト基を保持しつつケラチン
を加水分解して、分子中にメルカプト基を有する水溶性
のケラチン加水分解物を製造する方法は、既に特公昭55
−38358号公報において明らかにされている。
しかしながら、ケラチンにメルカプタン類を加えて還
元しただけでは、かなりの不溶成分が残り、水に可溶な
ケラチン還元物の収量が少なく、また、ケラチンを還元
するには、ケラチンのジスルフィド結合に対して、通
常、化学当量で数10〜100倍の大過剰の還元剤を必要と
し、また尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク変性剤を
必要とする。
もっとも、還元剤としてジチオスレイトールやヒドロ
キシメチルフォスフィンなどの特に還元効率の高いと言
われている試薬を用いる場合には、還元剤量を低減する
ことができるが、それでもコストが非常に高くなる。
また、大量の悪臭を有するメルカプタン類や高COD、B
ODのタンパク変性剤を含む廃液の処理も、実用上大きな
問題となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のように、分子中にメルカプト基を有するケラチ
ン加水分解物を製造する場合には、その還元工程におけ
るケラチン還元物の収率が低く、その結果、分子中にメ
ルカプト基を有するケラチン加水分解物の収率が低くな
り、しかも大量の還元剤やタンパク変性剤を必要とし、
その廃液処理にも実用上大きな問題を有していた。
したがって、本発明は、上記の分子中にメルカプト基
を有するケラチン加水分解物の製造方法において、その
還元工程で生じる諸問題を解決し、高収率で分子中にメ
ルカプト基を有するケラチン加水分解物を得ることがで
き、しかも、還元に用いるメルカプタン類の使用量を低
減できる製造方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、分子中にメルカプト基を有するケラチン加
水分解物の製造方法において、ケラチンを水系溶媒中で
メルカプタン類により還元する際に、上記還元液に電解
還元を行い、ケラチンがメルカプタン類により還元され
ることによって生成したメルカプタン類の酸化物(ジチ
オ化合物)を、上記電解還元によってメルカプタン類に
還元することにより、上記目的を達成したものである。
上記のようにメルカプタン類によりケラチンの還元が
行われている液(本発明においては、これを還元液とい
う)を電解還元することによって、分子中にメルカプト
基を有するケラチン加水分解物を高収率で得ることがで
き、かつ還元に用いるメルカプタン類の使用量を低減で
きるのは、次の理由によるものである。
すなわち、ケラチンが還元される反応は、可逆的平衝
反応であるため、ケラチンを還元することによって生成
したメルカプタン類の酸化物(ジチオ化合物)を電解還
元によってメルカプタン類に還元し、ケラチンの還元が
行われている還元液中のメルカプタン類の酸化物(ジチ
オ化合物)の濃度が低減すると(実質的に常に0とな
る)、穏やかな条件下でもケラチンを従来より速い速度
で還元することができるようになる。また、還元剤のメ
ルカプタン類が作用し得るケラチン中のジスルフィド結
合部位を実質的に100%近く還元することができるよう
になる。
また、従来では、ケラチンの還元が行われている還元
液中の溶存酸素により、還元剤のメルカプタン類や一旦
還元されたケラチンが酸化されて、ジチオ化合物に逆戻
りする現象が見られたが、本発明では、電解還元によ
り、常時還元が行われるので、溶存酸素によるメルカプ
タン類の酸化や一旦還元されたケラチンの酸化が実質的
に防止される。
したがって、従来では、還元液中の溶存酸素を該還元
液中から追い出すためにチッ素ガスなどの不活性ガスを
還元液中に吹き込んだり、あるいは溶存酸素による酸化
を促進する微量の重金属イオンを封鎖するためにEDTAな
どのキレート剤を添加することなどが行われていたが、
本発明によれば、それらが不要になる。
また、系中に溶解したケラチンとメルカプタン類との
反応によって生成するジスルフィド化合物も、電解還元
により還元されるので、還元以後の処理によるメルカプ
タン類の除去が完全に行えるため、生成物にメルカプタ
ン臭が残らない。
さらに、本発明によれば、反応に用いた還元液は、反
応後もその液中に含まれているメルカプタン類が酸化さ
れていないために、必要に応じてメルカプタン類を追加
したり、あるいはpH調整などの処理によって繰り返し使
用することができる。
メルカプタン類を含む液は、通常メルカプタン類特有
の悪臭があり、また尿素などのタンパク変性剤が用いら
れる場合には、COD、BODが高く、その廃液処理に多大の
問題を生じることになったが、本発明によれば、還元剤
を繰り返し使用することができるので、廃液処理面での
問題も解消される。
電解還元においては、還元は陰極で生じ、酸化は陽極
で生じる。したがって、本発明のように還元を目的とす
るときには、陰極槽に前記の還元液(メルカプタン類に
よりケラチンの還元が行われている液)を入れ、陽極槽
には電解質〔たとえば硫酸(濃度3%)〕を入れ、両者
の間をイオン交換膜などで隔離することによって電解還
元が行われる。このような目的に使用する電解還元装置
としては、たとえば湯浅アイオニクス社製のMARK−IL2
室流動型電解装置がある。電解還元時の条件は、装置の
規模、特に陰極の実質表面積や流速、装置の規模と液量
の関係、さらには還元によって陰極から発生する水素ガ
スの泡による効率の低下などによっても異なるが、通
常、0.5〜30Aの電流値で、8〜100時間程度の条件下で
電解還元が行われる。
本発明を実施するに際し、ケラチンとしては、羊毛な
どの獣毛、毛髪、羽毛、爪、角、蹄などを構成するケラ
チンがいずれも使用可能であるが、入手が容易であると
いう観点から、羊毛が特に好ましい。
本発明において還元剤として使用するメルカプタン類
としては、たとえばチオグリコール酸またはその塩、メ
ルカプトエタノール、チオグリセリン、チオサルチル
酸、ピリチオン、システアミン、塩酸システアミンなど
のシステアミンまたはその塩、グリセリンモノグリセリ
ド、チオリンゴ酸、チオ乳酸、ジチオスレイトールなど
があげられる。これら以外にも、分子量200〜300程度ま
でのメルカプタン類であれば使用することができる。
また、本発明において還元後の加水分解に使用するタ
ンパク加水分解酵素としては、たとえばペプシン、プロ
クターゼA、プロクターゼBなどの酸性タンパク加水分
解酵素、パパイン、ブロメライン、サーモライシン、ト
リプシン、プロナーゼ、キモトリプシンなどの中性タン
パク加水分解酵素、スブチリシン、スタフィロコカスプ
ロテアーゼなどの菌産性の中性タンパク加水分解酵素な
どがあげられる。
ケラチンの還元は、ケラチンをアルカリ域に調整した
メルカプタン類(還元剤)の水溶液に入れ、撹拌下に、
0〜40℃の温度でケラチン中のシスチンのジスルフィド
結合を還元切断してメルカプト基を生成させることによ
って行われる。
この還元時の反応液(つまり、還元液)の液性はpH8
〜11に保つのが望ましく、そのため、還元時に水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどのアルカリ
剤を液中に添加して、液性を上記pHに調整するのが好ま
しい。
タンパク加水分解酵素による加水分解は、ペプシンな
どの酸性タンパク加水分解酵素を用いる場合はpH1〜4
の範囲に調整し、パパインなどの中性タンパク加水分解
酵素を用いる場合はpH4〜10の範囲に調整して、通常、3
0〜60℃の温度で3〜48時間の反応時間で行われる。
通常、タンパク加水分解酵素による加水分解では、電
解還元後の反応液を透析に付して、残存する還元剤を除
去してから、pH調整をし、タンパク加水分解酵素により
加水分解するが、スブチリシンなどのように、酵素が還
元剤の存在下でも活性を失わない場合には、メルカプタ
ン類を溶解した液にケラチンと酵素を同時に添加し、電
解還元を行うと同時に加水分解を行うこともできる。
得られるケラチン加水分解物は、通常、平均分子量20
0〜20,000の範囲にされる。これはその範囲のものが毛
髪への吸着性や皮膚への親和性が優れていることと、水
溶性であって取扱いが容易であるからである。
上記のようにして得られたケラチン加水分解物は、分
子中にメルカプト基を有するので、このケラチン加水分
解物を希薄水溶液の状態で毛髪上に塗布または吹きつ
け、該毛髪をロッドに巻きつけて水分を乾燥させると、
該加水分解物中のメルカプト基が空気中の酸素あるいは
酸化剤によって酸化され、層状に接しているケラチン加
水分解物の他の分子のメルカプト基と架橋してジスルフ
ィド結合を生成し、毛髪をカールしたままの状態でその
うえに被膜を形成する。そして、この被膜は、ケラチン
加水分解物の分子量が高い場合、水不溶性となる。
しかも上記のケラチン加水分解物は、その分子中にア
ミノ基およびカルボキシル基を有するので、それらがそ
れぞれ毛髪を構成するケラチン中のカルボキシル基およ
びアミノ基と結合して造塩するため、毛髪との結合が強
固になり、水洗しても水不溶性であることと相まって容
易には離脱しない。
このようにして、本発明によって得られるケラチン加
水分解物は、毛髪に損傷を与えることなく、好適なウェ
ーブ効果ないしはセット効果を付与し、しかもその効果
を長期間持続する。したがって、このケラチン加水分解
物を水その他の溶剤に溶解して、パーマネントウェーブ
用剤またはセット剤として使用することができるし、ま
た、このケラチン加水分解物を在来のパーマネントウェ
ーブ用剤やセット剤に配合してその効果を高めることが
できる。
また本発明のケラチン加水分解物は毛髪に類似した化
学構造を有するので、これを毛髪に使用した際に従来の
樹脂系セット剤のような異和感を感じさせないし、また
ペプチド結合を有するので、通気性を有し毛髪をむれさ
せることがない。
そして、本発明のケラチン加水分解物は、天然のタン
パク質であるケラチンから誘導されるものであるから毛
髪や皮膚に対する安全性が高く、また、メルカプト基に
基づく還元性により、たとえばチオグリコール酸などの
ように刺激性や悪臭を有する物質が配合されている化粧
品に配合すると、それらの刺激性や悪臭を低減する効果
がある。
もとより、通常のペプチド(タンパク質加水分解物)
と同様に毛髪のコンディショニング効果や毛髪を保護・
強化する作用を有していて、毛髪に吸着して、毛髪に
艶、柔軟性、潤いを付与し、毛髪の損傷を防止し、かつ
損傷した毛髪を回復させる作用を有している。
また、皮膚に対しても親和性を有していて、皮膚に潤
いと艶を付与し、かつ皮膚をなめらかにする。
本発明によって得られる分子中にメルカプト基を有す
るケラチン加水分解物は、上記のような特性を利用し
て、化粧品基剤として、コールドまたは加温式パーマネ
ントウェーブ用第1剤または第2剤、ストレートパーマ
液、セットローション、ヘアコンディショナー、セット
またはコンディショニングを目的とするムース剤、シェ
イビングフォーム、シェイビングローション、プレシェ
イビングローション、脱毛・除毛剤、脱毛、除毛を目的
とするムース剤、シャンプー、リンス、ヘアローショ
ン、ヘアクリーム、美白化粧品、スキンローション、ス
キンクリーム、洗顔剤、フェイスローション、フェイス
クリーム、角質除去剤などに応用される。
また、上記のように、ケラチンを水系溶媒中でメルカ
プタン類により還元する際に、その還元液を電解還元す
ることによって得られたメルカプト基を有するケラチン
加水分解物を酸化することにより、つまり、上記ケラチ
ン加水分解物のメルカプタト基を酸化して、ジスルフィ
ド結合を生成させることにより、高収率で高品質のジス
ルフィド結合を有するケラチン加水分解物を得ることが
できる。
上記酸化には、酸素または空気などの酸素を含んだガ
スをメルカプト基を有するケラチン加水分解物の水溶液
中に吹き込むか、あるいは、過酸化水素、臭素酸ナトリ
ウムなどの臭素酸塩、その他の酸化剤が使用される。た
だし、酸化反応による副生物が少なく、高収率でメルカ
プト基をジスルフィド結合に酸化し、反応後の系中に他
の反応生成物を生じさせないようにするためには、酸素
または酸素を含んだガスを吹き込む方法と過酸化水素を
用いて酸化する方法が適している。
酸素または酸素を含んだガスを吹き込む方法では、泡
ができるだけ細かくなるようにして吹き込み、かつ撹拌
するのが好ましい。酸化は室温で行うことができ、ま
た、その際の液性としては、pH2〜9、特にpH5〜8にす
るのが好ましい。また、その際に、鉄、銅、ニッケル、
コバルト、スズなどの重金属イオンを微量に存在させる
と、酸化を促進するので、酸化が速くなる。
過酸化水素を用いて酸化する場合、過酸化水素の量
は、1当量程度を必要最小限とし、過剰な酸化を防止す
るため、酸化時の温度は0〜40℃、好ましくは0〜30℃
で、必要に応じて冷却するのが好ましく、また、酸化反
応は、通常、2〜24時間撹拌下に行われる。
上記のようにメルカプト基を酸化してジスルフィド結
合を生成させたケラチン加水分解物は、メルカプト基を
有するケラチン加水分解物とほぼ同様の用途に使用でき
るが、メルカプト基を有しないので、還元性がないた
め、単独でセットローションや美白化粧品などには使用
できない。このようなジスルフィド結合を有するケラチ
ン加水分解物の用途としては、ヘアコンディショナー、
コンディショニングを目的とするムース剤、シェイビン
グローション、プレシェイビングローション、脱毛・除
毛剤、脱毛、除毛を目的とするムース剤、シャンプー、
リンス、ヘアローション、ヘアクリーム、スキンローシ
ョン、スキンクリーム、洗顔剤、フェイスローション、
フェイスクリーム、角質除去剤などに使用され、また、
還元剤と併用してパーマネントウェーブ用第1剤または
第2剤、セット剤などにも使用することができる。
〔実施例〕
つぎに実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明す
る。
実施例1 8N尿素2に50%チオグリコール酸アンモニウム50g
を加え、水酸化ナトリウムでpH9.0にした液に粉砕した
羊毛100gを加えて分散させた後、この還元液を電解還元
装置に通液し、電流1Aでこの処理を3日間行ったのち、
濾過して残査を除去した。
使用された電解還元装置は、下記のとおりである。
装置名 :湯浅アイオニクス(株)製、MARK−IL2室流
動型電解装置 電 極:陽極=Ti−Ptほか、 陰極=Pbほか 電極面積:各1.8dm2 つぎに得られた濾液を限外濾過器〔アミコン社製、40
2型セル、ダイアフローメンブランUM−10(分画分子量1
0,000)〕を使用して限外濾過することによって、反応
生成物の濃度を高くするとともに、尿素と還元剤を含む
溶媒を濾去した。400mlまで濃縮し、得られた濃縮液を
セロファン透析チューブに詰め、0.1Nギ(蟻)酸5で
8時間透析し、さらに0.1Nギ酸5で8時間透析を行っ
た。
つぎに水酸化ナトリウムでこの液のpHを8にして、ス
ブチリシン(菌産性の中性タンパク加水分解酵素)を10
mg加えて45℃で30分間加水分解を行った。塩酸でpH2に
し12時間静置してスブチリシンを失活させた後、再度pH
を6にし電気透析して脱塩した。
使用された電気透析装置は、下記のとおりである。
型式:DO−Cb〔帝人エンジニアリング(株)製〕 膜名称:セレミオンCMVおよびAMV〔旭硝子(株)製、商
品名〕 膜寸法:18cm×12cm 組込膜数:10対 電圧:30V 陽極液:硫酸ナトリウム水溶液(無水硫酸ナトリウムと
して約5%) 陰極液:硫酸ナトリウム水溶液(無水硫酸ナトリウムと
して約5%) 得られた溶液を減圧濃縮して、濃度20%のケラチン加
水分解物を得た。残査の乾燥重量より求めた収率は56%
であった。そして、このケラチン加水分解物の分子量を
ゲル濾過により測定したところ、平均分子量は2,500で
あった。また、得られたケラチン加水分解物をS−カル
ボキシメチル化したのち、アミノ酸分析により、S−カ
ルボキシメチルシステインを定量したところ、全アミノ
酸中、9.7モル%であり、得られたケラチン加水分解物
中のシステイン量(つまり、メルカプト基を有するアミ
ノ酸の量)が9.7モル%であることが明らかにされた。
比較例1 電解還元を行わなかったほかは実施例1と同様にして
濃度20%のケラチン加水分解物の水溶液を得た。収率は
37%であった。得られたケラチン加水分解物のゲル濾過
法による平均分子量は1,900であり、また、得られたケ
ラチン加水分解物をS−カルボキシメチル化したのち、
アミノ酸分析により、S−カルボキシメチルシステイン
を定量したところ、全アミノ酸中、8.6モル%であっ
た。
このように、この比較例1では、実施例1に比べて、
収率が低く、また、得られたケラチン加水分解物のシス
テイン量が少なかった。これは、比較例1の場合、実施
例1に比べて、還元・溶解が充分でないため、収率が低
くなり、また還元が充分でないため、システイン量が減
少したことによるものである。
比較例2 チオグリコール酸アンモニウムの使用量を増量し、50
%チオグリコール酸アンモニウムを100gにし、電解還元
を行わなかったほかは実施例1と同様にして濃度20%の
ケラチン加水分解物の水溶液を得た。収率は42%であっ
た。得られたケラチン加水分解物のゲル濾過法による平
均分子量は2,100であり、また、得られたケラチン加水
分解物をS−カルボキシメチル化したのち、アミノ酸分
析により、S−カルボキシメチルシステインを定量した
ところ、全アミノ酸中、8.6モル%であった。この比較
例2では、還元剤のチオグリコール酸アンモニウムを増
量したが、それでも収率は実施例1に及ばず、還元剤の
増量だけでは本質的な解決策とならないことを示してい
た。
実施例2 水2に塩酸システアミン25gを加え、水酸化ナトリ
ウムでpH9.0にした液に、粉砕した羊毛100gとスブチリ
シン50mgを加えて分散させた後、この還元液を実施例1
と同様の電解還元装置に通液し、電流1Aでこの処理を3
日間行ったのち、濾過して残査を除去した。
つぎに、塩酸でpH2にし12時間静置してスブチリシン
を失活させた後、再度pHを6にし、実施例1と同様に電
気透析して脱塩し、減圧濃縮して、濃度20%のケラチン
加水分解物の水溶液を得た。残査の乾燥重量より求めた
収率は58%であった。得られたケラチン加水分解物のゲ
ル濾過法による平均分子量は1,200であり、また、得ら
れたケラチン加水分解物をS−カルボキシメチル化した
のち、アミノ酸分析により、S−カルボキシメチルシス
テインを定量したところ、全アミノ酸中、9.8モル%で
あった。
比較例3 電解還元を行わなかったほかは実施例2と同様にして
濃度20%のケラチン加水分解物の水溶液を得た。収率は
35%であり、実施例2に比べて収率が低かった。得られ
たケラチン加水分解物のゲル濾過法による平均分子量は
950であり、また得られたケラチン加水分解物をS−カ
ルボキシメチル化したのち、アミノ酸分析により、S−
カルボキシメチルシステインを定量したところ、全アミ
ノ酸中、8.5モル%であり、平均分子量、システイン量
とも、実施例2に比べて低かった。
比較例4 塩酸システアミンの使用量を増量し、塩酸システアミ
ンを50gにし、電解還元を行わなかったほかは実施例2
と同様にして濃度20%のケラチン加水分解物の水溶液を
得た。収率は38%であり、実施例2に比べて収率が低か
った。得られたケラチン加水分解物のゲル濾過法による
平均分子量は1,000であり、また、得られたケラチン加
水分解物をS−カルボキシメチル化したのち、アミノ酸
分析により、S−カルボキシメチルシステインを定量し
たところ、全アミノ酸中、8.6モル%であり、平均分子
量、システイン量とも、実施例2に比べて低かった。
実施例3 実施例1で得られたメルカプト基を有するケラチン加
水分解物(平均分子量2,500で、S−カルボキシメチル
システイン量9.7モル%)の濃度20%水溶液をpH7.0に調
整して、この水溶液に酸素を200ml/分で12時間吹き込ん
だ。
得られたケラチン加水分解物の分子量をゲル濾過によ
り測定したところ、平均分子量は5,000であって、酸化
により分子量が増加していた。
また、得られたケラチン加水分解をS−カルボキシメ
チル化操作をしたのち、アミノ酸分析により、S−カル
ボキシメチルシステインを定量したところ、S−カルボ
キシメチルシステインは検出されず、アミノ酸分析によ
るシスチン量は、9.7モル%であって、メルカプト基が
酸化され、ジスルフィド結合が生成していることが確認
された。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、ケラチン加水
分解物の収率が向上する。また、得られるケラチン加水
分解物中のシステイン量、つまりメルカプト基を有する
アミノ酸量も増加する。
また、本発明によれば、還元液中の不活性ガスの吹き
込みやキレート剤の添加が不要になり、また、還元液の
再使用が可能なので、還元剤の使用量が減少すると共
に、廃液処理の問題も解消する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 21/06 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケラチンを水系溶媒中でメルカプタン類に
    より還元し、ついでタンパク加水分解酵素により加水分
    解する分子中にメルカプト基を有するケラチン加水分解
    物の製造方法において、 上記のケラチンを水系溶媒中でメルカプタン類により還
    元する際に、上記還元液に電解還元を行い、ケラチンが
    メルカプタン類により還元されることによって生成した
    メルカプタン類の酸化物を、上記電解還元によりメルカ
    プタン類に還元することを特徴とするケラチン加水分解
    物の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法によって得られたケ
    ラチン加水分解物のメルカプト基を酸化して、ジスルフ
    ィド結合を生成させることを特徴とするケラチン加水分
    解物の製造方法。
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