JP2771675B2 - ポリカーボネート系積層体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート系積層体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規なポリカーボネート系積層体及びその
製造方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本
発明は着色がなく、しかも耐溶剤性に優れた高分子量ポ
リカーボネートシートを可塑剤含有樹脂層に積層してな
る積層体及びその製造方法に関するものである。
従来の技術 芳香族ポリカーボネートは耐衝撃性、透明性、寸法安
定性などに優れるエンジニアリングプラスチックとし
て、種々の分野において多用されており、その用途の1
つとしてポリカーボネートシートがグレージング分野を
中心に用いられている。
しかしながら、一般にこの芳香族ポリカーボネートは
耐溶剤性に劣り、通常の分子量範囲のものではシートに
成形してもその用途が制限されるのを免れない。
一方、ポリカーボネートシートは、単独での使用以外
に、他のプラスチックシートと積層したものや、ガラ
ス、合板、金属板などに、接着用の中間フイルムを介し
て積層したものから成る積層シートなどとしての使用が
近年増加している。しかしながら、従来のポリカーボネ
ートシートは、耐溶剤性に劣るために、積層する相手の
樹脂に可塑剤が多量に含まれている場合には、この可塑
剤により、ポリカーボネートシートにクラックが生じた
り、白化したりするなど劣化を生じ、使用に供し得ない
という欠点を有している。
ところで、従来提供されているポリカーボネートシー
トは、通常分子量が30,000前後のものであるが(「プラ
スチックス」,第35巻,第3号,第14ページ)、重量平
均分子量を約70,000以上に増加させると耐溶剤性が向上
することが知られている。しかしながら、このように高
分子量のものは押出機による加工ができないという欠点
がある。
そして、このような欠点を改良するために、これまで
耐溶剤性に優れる高分子量ポリカーボネートを通常の分
子量のポリカーボネートと混合して押出機による成形を
可能にする方法(特公昭61−57860号公報)、分子内に
分枝鎖を導入して耐溶剤性を改良する方法(特公昭53−
28193号公報)などが提案されている。
しかしながら、前者の方法においては、高分子量ポリ
カーボネートの配合比率が多いと成形性が低下するし、
配合比率が少ないと耐溶剤性の改良効果が不十分とな
り、耐溶剤性の成形性のバランスに優れたものが得られ
にくい。一方、後者の分枝鎖を導入する方法では、耐溶
剤性は向上するものの、耐衝撃性が低下するという欠点
がある。
さらに、従来、重量平均分子量が40,000〜100,000の
範囲にある高分子量芳香族ポリカーボネートは、通常押
出用として使用する重量平均分子量が30,000前後の芳香
族ポリカーボネートと比較して溶融粘性が著しく高くな
るために、溶融押出しの際に通常より温度を高くする必
要があり、そのため溶融押出時にポリカーボネートの劣
化や分子量の大幅な低下を免れなかった。
また、ポリマー中に不純物として塩素原子が含まれて
いると、前記のような高温の溶融押出しの際に、ポリマ
ーが劣化したり、着色が生じたりする上、押出機の腐食
をひき起こすことがあるなど、好ましくない事態を招来
する。
このように、他の力学物性の低下及びポリマーの着色
や劣化のない、耐溶剤性に優れたポリカーボネートシー
トを可塑剤含有樹脂層に積層してなる積層体はこれまで
得られていないのが実状である。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような事情のもとで、着色がなく、か
つ耐溶剤性に優れたポリカーボネートシートを可塑剤含
有樹脂層に積層してなるポリカーボネート系積層体を提
供することを目的としてなされたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、前記の好ましい性質を有するポリカー
ボネート系積層体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、
実質上塩素原子を含有しない高分子量芳香族ポリカーボ
ネートが溶融押出時の着色が少なく、かつ優れた耐溶剤
性を示し、それをシート状に成形したものが可塑剤含有
樹脂シートに対する積層用として好適であることを見い
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、実質上塩素原子を含有しない、
重量平均分子量40,000〜100,000の芳香族ポリカーボネ
ートからなり、かつ厚さ3mmで測定したb値が5.0以下
で、厚さ0.01〜15mmのシートを可塑剤含有樹脂層に積層
してなるポリカーボネート系積層体及び重合により実質
上塩素原子を含まない重量平均分子量40,000〜100,000
の芳香族ポリカーボネートを生成させ、そのまま直接に
溶融押出しして、厚さ3mmで測定したb値が5.0以下
で、厚さが0.01〜15mmのシートを形成させたのち、これ
を可塑剤含有樹脂シートに積層することを特徴とするポ
リカーボネート系積層体の製造方法を提供するものであ
る。
この際、芳香族ポリカーボネートを溶融押出しするに
先立って、該高分子量芳香族ポリカーボネート100重量
部に対し、(A)亜リン酸ジエステル0.0005〜0.015重
量部と、(B)フェノール系抗酸化剤、亜リン酸トリエ
ステル及び有機ホスフォナイトの中から選ばれた少なく
とも1種0.005〜0.1重量部とを添加するのが有利であ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる積層用のポリカーボネートシートは、
重量平均分子量が40,000〜100,000の範囲にあり、かつ
実質上塩素原子を含有しない高分子量芳香族ポリカーボ
ネートからなっている。この高分子量芳香族ポリカーボ
ネートは、一般式 で表わされる構造を有している。一般式(I)における
Yは 又は−ArOH、Zは−OH又は Rは水素原子又はアルキル基、Arは芳香族残基、nはポ
リマーの重量平均分子量が40,000〜100,000になるよう
な整数である。
該Rがアルキル基の場合、このアルキル基としては、
例えば などを挙げることができる。またArとしては、例えば などが挙げられるが、これらの中で、 が好ましく、特に前記一般式(I)において、 で表わされる繰返し単位を85モル%以上含有するものが
好適である。
前記ポリカーボネートは重量平均分子量(▲▼)
が40,000〜100,000の範囲にあることが必要であり、こ
の▲▼が40,000未満では耐溶剤性に劣るし、100,00
0を超えると溶融押出しが困難となる。特に▲▼が5
0,000〜80,000の範囲にあるものが好適である。
さらに、該ポリカーボネートは実質上塩素原子を含有
していないことが必要である。ここで実質上塩素原子を
含有してないことは、塩素含有量が測定限界値以下のこ
とを意味する。すなわち、燃焼法による測定塩素原子含
有量が0.002重量%以下、硝酸銀滴定法による測定でのC
1-の含有量が0.00002重量%以下である。
このような高分子量ポリカーボネートは、公知の方
法、例えばホスゲン法や溶融法で製造することができる
が、ホスゲン法の場合、重合体が高分子量になると重合
反応液の溶液粘度が上昇し、重合体の重合溶液からの取
り出しや、精製が困難であるし、一方溶融法の場合、重
合体が高分子量になると溶融粘度が上昇するため、強力
なかくはんを必要とし、工業的には▲▼が30,000程
度のものしか得られず、適当でない。
好ましい方法としては、、例えば本発明者らが先に見
い出した固相重合法を挙げることができる。この方法に
よると実質上塩素原子を含有せず、かつ触媒残渣を含ま
ない高純度の高分子量ポリカーボネートを容易に製造す
ることができる。
本発明で用いる積層用のポリカーボネートシートは、
前記の高分子量芳香族ポリカーボネートを溶融押出して
シート状に成形することにより製造することができる
が、この際、該ポリカーボネートに亜リン酸ジエステル
を添加して溶融押出しすることが好ましい。該亜リン酸
ジエステルとしては、例えば一般式 (式中のR1及びR2は、それぞれアルキル基、アリール基
又はアルキルアリール基であり、それらは同一であって
もよいし、たがいに異なっていてもよい) で表わされる化合物を用いることができる。
前記一般式(III)におけるR1、R2において、アルキ
ル基としては、例えばエチル基、ブチル基、オクチル
基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル
基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリスリトール
基、ステアリル基などが挙げられ、アリール基として
は、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
また、アルキルアリール基としては、例えばトリル基、
p−第三ブチルフェニル基、2,4−ジ−第三ブチルフェ
ニル基、p−ノニルフェニル基、ジノニルフェニル基な
どが挙げられる。
前記一般式(III)で表わされる亜リン酸ジエステル
の具体例としては、ジフェニルハイドロゲンホスファイ
ト、ビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスファイ
ト、ビス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ハイドロゲ
ンホスファイトなどが挙げられる。
さらに、亜リン酸ジエステルとしては前記一般式(II
I)で表わされるもの以外に、例えば一般式 (式中のR3はアルキレン基、アリーレン基又はアリール
アルキレン基、R1及びR2は前記と同じ意味をもつ) で表わされる化合物も用いることができる。
これらの亜リン酸ジエステルは1種用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよく、その添加合量
は、前記高分子量ポリカーボネート100重量部当り、0.0
005〜0.015重量部、好ましくは0.0005〜0.009重量部の
範囲で選ばれる。この量が0.0005重量部未満では溶融加
工時の熱安定性が不十分であって、分子量が低下するお
それがあるし、0.015重量部を超えると得られたシート
の耐熱水性(耐スチーム性)が低下する傾向がみられ
る。
本発明においては、シートの長期耐熱老化性の改善の
ために、所望に応じ、前記亜リン酸ジエステルととも
に、フェノール系抗酸化剤、亜リン酸トリエステル及び
有機ホスファイトの中から選ばれた少なくとも1種を、
該高分子量ポリカーボネートに添加して溶融押出しして
もよい。
該フェノール系抗酸化剤としては、例えば一般式 (式中のR4、R5及びR6は、それぞれ水素原子、水酸基、
アルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭化水素残
基であり、それらは同一であってもよいし、たがいに異
なっていてもよいが、その少なくとも1つは置換基を有
していてもよい炭化水素残基である) で表わされる化合物を用いることができる。
前記一般式(V)で表わされる化合物としては、例え
ば2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−第
三ブチル−p−アニソール、2,6−ジ−第三ブチル−4
−エチルフェノール、2,2′−メチレンビス(6−第三
ブチル−p−クレゾール)、2,2′−メチレンビス(4
−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4′−メチ
レンビス(6−第三ブチル−o−クレゾール)、4,4′
−ブチリデンビス(6−第三ブチル−o−クレゾー
ル)、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−
第三ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−o−
クレゾール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−第三ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス
(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニ
ル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3
−第三ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕などが挙げられるが、好ましいフェノ
ール系抗酸化剤としては、一般式 (式中のR7はメチル基又は第三ブチル基、R8は第三ブチ
ル基、Aは炭素数1〜30のb価の炭化水素残基又は複素
環残基、aは1〜4の整数、bは1以上の整数である) で表わされる化合物を挙げることができる。
このような化合物の具体例としては、テトラキス−
〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−第三ブチル−4′−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ステア
リル−β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビ
ス〔3−(3−第三ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロポネート〕などが挙げられる。
また、亜リン酸トリエステルとしては、例えば一般式 (式中のR9、R10及びR11は、それぞれアルキル基、アリ
ール基起又はアルキルアリール基であり、それらは同一
であってもよいし、たがいに異なっていてもよい) で表わされる化合物を用いることができる。
前記一般式(VII)におけるR6、R10及びR11におい
て、アルキル基としては、例えばエチル基、ブチル基、
オクチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル
基、デシル基、トリデシル基、ラウリル基、ペンタエリ
スリトール基、ステアリル基などが挙げられ、アリール
基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げ
られる。また、アルキルアリール基としては、例えばト
リル基、p−第三ブチルフェニル基、2,4−ジ−第三ブ
チルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ジノニルフェ
ニル基などが挙げられる。
前記一般式(VII)で表わされる亜リン酸トリエステ
ルの好ましいものとしては、例えばトリス(2,4−ジ−
第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイ
ト、トリフェニルホスファイト、ビス(ノイルフェニ
ル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,
4−ジ−第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−
ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−第三ブチル−4−メ
チルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト
などが挙げられる。
さらに有機ホスフォナイトとしては、例えば4,4′−
ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−第
三ブチルフェニル)などが挙げられる。
これらのフェノール系抗酸化剤、亜リン酸トリエステ
ル及び有機ホスフォナイトは、それぞれ単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その添
加量は、前記高分子量ポリカーボネート100重量部当
り、0.005〜0.1重量部の範囲で選ばれる。この量が0.00
5重量部未満ではシートにしたとき長期耐熱老化性の改
善効果が十分に発揮されない。またフェノール系抗酸化
剤の場合、0.1重量部を超えるとシートにしたときの長
期耐熱老化性テストの際に着色を生じるようになるし、
亜リン酸トリエステルや有機ホスフォナイトの場合、0.
1重量部を超えるとシートにしたときの耐熱水性(耐ス
チーム性)が低下する傾向がみられる。
次に、本発明で用いる積層用のポリカーボネートシー
トの製造方法について説明すると、▲▼が40,000〜
100,000の高分子量芳香族ポリカーボネートとしては、
一度押出造粒したものを用いてもよいが、熱履歴を少な
くするために、重合で得られたものを直接溶融押出しし
てシートを成形するのに有利である。本発明者らが先に
見い出した固相重合法によると、ペレット状のポリカー
ボネートが直接得られ、このものはそのまま直接シート
押出しをする際に極めて取り扱いやすく、好ましい。
該高分子量芳香族ポリカーボネートと、亜リン酸ジエ
ステル及び場合により用いられるフェノール系抗酸化剤
や亜リン酸トリエステルや有機ホスフォナイトとは、均
質に混合することが重要であり、例えばヘンシェルキミ
サー、ナルターミキサー、タンブラーなどを用いて混合
するのが望ましい。なお、亜リン酸ジエステルの添加量
が少ないので、各添加剤をいったんアセトンなどの溶媒
に希釈し、ポリマーに添加したのち、アセトンを嵌装除
去してもよい。この混合物を押出機を用いて溶融押出成
形することにより、本発明積層体におけるポリカーボネ
ートシートが得られる。
このようにして得られた本発明で用いる積層用のポリ
カーボネートシートは、厚さが0.01〜15mmの範囲にあ
り、用途に応じてこの範囲内で厚みを適当に選ぶことが
できる。
本発明で用いる積層用のポリカーボネートシートは耐
溶剤性や耐衝撃性、特に耐溶剤性に優れることから、単
独での使用の場合に、従来溶剤によりクラックが生じて
使用できなかった用途にも使用が可能である上、可塑剤
に対する耐性が良好であるので、可塑剤を大量に含むポ
リ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマールなどの樹脂との積層におい
て、クラックや白化が生じないため、極めて有利であ
る。
また、本発明で用いる積層用のポリカーボネートシー
トは溶融押出時の分子量の低下が極めて少なく、したが
って、高分子量芳香族ポリカーボネートの分子量を制御
することにより、所望の分子量をもつシートが容易に得
られる。これは、使用する高分子量ポリカーボネートが
実質上塩素原子を含有しないことと、ポリカーボテート
シートに用いる安定剤によるものと思われる。
さらに、本発明積層体におけるポリカーボネートシー
トは、押出時における着色が少なく、3mm厚のシートをC
IELAB法で測定したb値が通常5以下であることが必
要である。なお、このb値は、彩色度を表わす尺度で
あって、その値が大きい程、黄色度が高く、その値が小
さい程、無色度が高いことを表わしている。
発明の効果 本発明で用いる積層用のポリカーボネートシートは、
着色が少なく、耐衝撃性が良好であるとともに、耐溶剤
性に優れ、可塑剤に対する耐性が良好であることから、
可塑剤を多く含む各種重合体との積層用として好適であ
る。
実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
なお、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)で測定を行い、b値は色彩色差計CR−200
−B(ミノルタ社製)を用いて測定した。また、押出機
としては、一軸30mmφ、L/D=24、Tダイ式(田辺プラ
スチック社製)を用いた。
実施例1 ビスフェノールAとジフェニルカーボネートより製造
した数平均分子量3,900、末端ヒドロキシル基48モル
%、末端フェニルカーボネート基52モル%の塩素化合物
を含まない非晶性ポリカーボネートプレポリマー10kgを
240℃で1mm径のダイスを通して、ナイフ刃羽根により50
0rpmで高速かくはんされている40℃のアセトン12kg中に
1時間かけて細いストランド状で押出し、結晶化と微粉
化を同時に行った。
得られた結晶性ポリカーボネートプレポリマーのスラ
リーをアセトン含量が35重量%となるまで乾燥し、この
湿潤パウダーを小型押出器[不二パウダル(株)製、EX
KF−1型ペレッター]で成形し、2mm径、平均長3mmのペ
レットを作製したのち、このペレットを120℃で2時間
乾燥した。
得られたペレットは、数平均分子量3,900、末端ヒド
ロキシル基48モル%、強度1.2kg/個であった。
次に、このペレットを、窒素ガスの分散板を底部に設
けた加熱ホッパーに入れ、220℃に加熱し、窒素ガスを3
0Nm3/hrの速度で流しながら、12時間を要して固相重合
を行った。
このようにして得られたポリカーボネートは、▲
▼が56,000のペレット状のものであり、塩素原子含量は
燃焼法による測定限界値以下の0.002重量%以下であ
り、またAgNO3滴定法によるCl-含量が測定限界値以下の
0.00002重量%以下であった。
次に、このポリカーボネート9kgに、ビス(ノニルフ
ェニル)ハイドロゲンホスファイト90mg及びトリス(2,
4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト1.98gをアセ
トンに溶かして加え、ヘンシェルミキサーでかくはん混
合を行った。なお、混合物はヘンシェルミキサーでかく
はん後もペレット形状をほとんど保っていた。この混合
物を押出機を用いてシリンダー温度320℃で溶融押出し
を行い、厚さ500μmのポリカーボネートシートを作成
した。このシートの▲▼は55,000であり、押出しで
の分子量低下は小さく、また、Tダイの腐食は全くみら
れず、かつ3mm厚のシートのb値は4.1であった。第1
表に耐溶剤性のテスト結果を示す。
次に、このシートをポリビニルブチラール又合は軟質
ポリ塩化ビニルシートに積層して積層体を製造した。第
1表にこのものの接着性のテスト結果を、第2表に着色
テストの結果を示す。
実施例2 実施例1において、固相重合時間を15時間に変えた以
外は、実施例1と同様に実施して、▲▼が78,000の
高分子量ポリカーボネートを得た。このものの塩素原子
含量は燃焼法による測定限界値以下の0.002重量%以
下、AgNO3滴定法によるCl-含量は、測定限界値以下の0.
00002重量%以下であった。
次に、このポリカーボネート9kgに、ジフェニルハイ
ドロゲンホスファイト60mg及びステアリル−β−(3,5
−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート(Irganox 1076、チバガイギー社製)1.8gをア
セトンに溶かして加え、ヘンシェルミキサーでかくはん
混合したのち、この混合物を実施例1と同様に押出機を
用いて溶融押出しを行い、厚さ300μmのポリカーボネ
ートシートを作成した。このシートの▲▼は76,500
であり、また、3mm厚のシートのb値は4.4であった。
耐溶剤性のテスト結果を第1表に示す。
次に、このシートをポリビニルブチラール又は軟質ポ
リ塩化ビニルシートに積層して積層体を製造した。第1
表にこのものの接着性のテスト結果を、第2表に着色テ
ストの結果を示す。
実施例3 実施例1において、固相重合時間を10時間に変えた以
外は、実施例1と同様にして▲▼45,000のポリカー
ボネートを得た。このものは、実質上塩素原子を含有し
ていなかった。
次に、このポリカーボネート9kgに、ビス(ノニルフ
ェニル)ハイドロゲンホスファイト135mgと4,4′−ビフ
ェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−第三ブ
チルフェニル)0.9gをアセトンに溶かして加え、ヘンシ
ェルミキサーでかくはん混合を行ったのち、この混合物
を実施例1と同様にして押出機を用いて溶融押出しを行
い、厚さ1mmのポリカーボネートシートを作成した。こ
のシートの▲▼は44,500であり、また3mm厚のシー
トのb値は4.3であった。耐溶剤性のテスト結果を第
1表に示す。
次に、このシートをポリビニルブチラール又は軟質ポ
リ塩化ビニルシートに積層して積層体を製造した。第1
表にこのものの接着性のテスト結果を、第2表に着色テ
ストの結果を示す。
比較例1 市販の▲▼が34,000で厚みが300μmのポリカー
ボネートシートは、燃焼法による塩素原子含有量が0.00
5重量%であった。耐溶剤性テスト結果を第1表に示
す。
また、このものを用いた積層体の接着性のテスト結果
を第1表に、着色テストの結果を第2表に示す。
比較例2 市販の▲▼が30,500で厚みが400μmのポリカー
ボネートシートは、燃焼法による塩素原子含量が0.004
重量%であった。耐溶剤性テスト結果を第1表に示す。
また、このものを用いた積層体の接着性のテスト結果
を第1表に、着色テストの結果を第2表に示す。
比較例3 特開昭61−238823号公報に従い、▲▼が47,000で
燃焼法による塩素原子含量が0.035重量%、AgNO3滴定法
によるCl-含量が0.015重量%のポリカーボネートを得
た。
次に、このポリカーボネート9kgにトリス(ノニルフ
ェニル)ホスファイト1.8gを加えて、320℃で溶融押出
し行い、厚さ3mmのポリカーボネートシートを作成し
た。このシートの▲▼は39,000であり、分子量の低
下が大きく、またb値は5.1であった。
また、このものをポリ塩化ビニルと積層したときの着
色テストの結果を第2表に示す。
比較例4 ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAをモノ
マーとして、ビスフェノールAのジナトリウム塩を用い
て、エステル交換反応により、▲▼が29,800で、燃
焼法による塩素原子含量が0.002重量%以下、AgNO3滴定
法によるCl-含量が0.00002重量%以下のポリカーボネー
トを得た。
次に、このポリカーボネート9kgを比較例3と同様に
溶融押出しを行い、厚み3mmのポリカーボネートシート
を得た。このシートの▲▼は27,300であり、またb
値は5.5であった。
また、このものをポリ塩化ビニルと積層したときの着
色テストの結果を第2表に示す。
以上、実施例及び比較例の結果をとめて第2表に示
す。
第2表から分かるように、本発明により、始めて耐溶
剤性に優れ、かつ着色が少ない上、押出時の劣化や分子
量低下の少ないポリカーボネートシートが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−88634(JP,A) 特開 平1−158033(JP,A) 特開 平1−254769(JP,A) 特開 昭63−304050(JP,A) 特開 昭63−15842(JP,A) 特公 昭37−13775(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 64/04 C08L 69/00 C08K 5/00 B32B 27/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質上塩素原子を含有しない、重量平均分
    子量40,000〜100,000の芳香族ポリカーボネートからな
    り、かつ厚さ3mmで測定したb値が5.0以下で、厚さが
    0.01〜15mmのシートを可塑剤含有樹脂層に積層してなる
    ポリカーボネート系積層体。
  2. 【請求項2】芳香族ポリカーボネートがビスフェノール
    Aから誘導されたものである請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】重合により実質上塩素原子を含まない重量
    平均分子量40,000〜100,000の芳香族ポリカーボネート
    を生成させ、そのまま直接に溶融押出しして、厚さ3mm
    で測定したb値が5.0以下で、厚さが0.01〜15mmのシ
    ートを形成させたのち、これを可塑剤含有樹脂シートに
    積層することを特徴とするポリカーボネート系積層体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】芳香族ポリカーボネートがビスフェノール
    Aから誘導される請求項3記載のポリカーボネート系積
    層体の製造方法。
  5. 【請求項5】重合が固相重合である請求項3のポリカー
    ボネート系積層体の製造方法。
  6. 【請求項6】溶融押出に先立って、芳香族ポリカーボネ
    ート100重量部に対し、(A)亜リン酸ジエステル0.000
    5〜0.015重量部と、(B)フェノール系抗酸化剤、亜リ
    ン酸トリエステル及び有機ホスフォナイトの中から選ば
    れた少なくとも1種0.005〜0.1重量部とを添加する請求
    項3,4又は5記載のポリカーボネート系積層体の製造方
    法。
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