JP2002309072A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2002309072A
JP2002309072A JP2001111403A JP2001111403A JP2002309072A JP 2002309072 A JP2002309072 A JP 2002309072A JP 2001111403 A JP2001111403 A JP 2001111403A JP 2001111403 A JP2001111403 A JP 2001111403A JP 2002309072 A JP2002309072 A JP 2002309072A
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flame
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resin composition
mass
retardant resin
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Minoru Nabeshima
穣 鍋島
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性に優れ、かつ透明性および耐熱性に優
れ、しかも高温度環境下でも長期にわたり色調安定性の
優れている難燃性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリアリレート(A)、ポリカーボネー
ト(B)、式(1)で表される臭素含有率が50質量%
以上で、平均の繰り返し単位数mが1〜10、nが0〜
4である臭素化ビスフェノールカーボネート系難燃剤
(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ペ
ンタエリスリトールホスファイト化合物(E)、及び脂
肪酸金属塩(F)とからなり、(A)〜(F)成分の質
量比が関係式〜をみたすことを特徴とする難燃性樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、初期色調
に優れ、かつ耐熱変形性、難燃性に優れ、高温度環境下
でも長期にわたり色調安定性の優れた難燃性樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、透明性や耐熱性に優れた樹脂
組成物として、ポリアリレートとポリカーボネートとの
混合物が公知となっている(特開昭58−83050号
公報)。このような樹脂組成物は、製造時の混練性が良
く、耐熱変形性、耐衝撃性、透明性に優れており、ディ
スプレー等のハウジング材料や、照明機器や、医薬品等
の容器などとして広く用いられている。
【0003】また、ポリアリレートとポリカーボネート
との混合物の難燃性を向上させるために、特開平10−
158491号公報では、臭素含有率が50質量%以上
で、分子量が1,000〜7,000である臭素化ビス
フェノールカーボネート系難燃剤を配合した組成物が開
示されている。
【0004】しかしながら上記した化合物を用いる方法
では、透明性を保ちつつ、難燃性、生産性は向上するも
のの、成形品の初期色調や耐熱変色性が十分ではなかっ
た。
【0005】特に、最近のランプカバーやランプキャッ
プは、省スペース、省コスト化、またデザインの多様性
を持つために、薄肉化と同時に、様々な調色が行われて
いる。そのため、強度、耐熱性、透明性のほかに、成形
時の高流動性、調色容易性が重要であるが、前述した従
来の組成物では、初期の色調が悪いこと、またランプ用
の部品として長期に使用する場合には、熱劣化により、
経時的に色調が悪化するという問題点が有り、このよう
な用途への展開を阻んでいた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題を解
決し、透明性および耐熱性、難燃性に優れ、しかも高温
度環境下でも長期にわたり色調安定性の優れた難燃性樹
脂組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至っ
た。すなわち本発明は、以下の樹脂組成物をその要旨と
するものである。ポリアリレート(A)、ポリカーボネ
ート(B)、下記式(1)で表される臭素含有率が50
質量%以上で、平均の繰り返し単位数mが1〜10、n
が0〜4である臭素化ビスフェノールカーボネート系難
燃剤(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
(D)、ペンタエリスリトールホスファイト化合物
(E)、及び脂肪酸金属塩(F)とからなり、(A)〜
(F)成分の質量比が下記関係式〜をみたすことを
特徴とする難燃性樹脂組成物。 (A)/(B)=80/20〜5/95(質量比) (C)/{(A)+(B)}=35/65〜15/85(質量比) (D)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比) (E)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比) (F)/{(A)+(B)+(C)}=0.005/100〜0.1/100(質量比)
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の樹脂組成物の構成成分(A)〜(F)に
ついて説明する。
【0009】(A)ポリアリレート 本発明に使用するポリアリレートは、芳香族ジカルボン
酸またはその誘導体と、二価フェノールまたはその誘導
体とよりなるポリエステルであり、溶液重合、溶融重
合、界面重合などの方法により製造される。
【0010】本発明に用いられるポリアリレートを構成
する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸があげられるが、溶融加工性および総合的性能
の点から、両者の混合物が好ましい。この混合物の配合
比は限定されないが、質量比でテレフタル酸/イソフタ
ル酸=9/1〜1/9の割合とするのがよい。溶融加工
性や性能のバランスの点を考慮すれば、その配合比を7
/3〜3/7とするのが好ましく、1/1の配合比が特
に好ましい。
【0011】本発明に用いられるポリアリレートを構成
する二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノール
A〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロ
モフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロジ
フェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケト
ン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ハイド
ロキノンなどがあげられる。これらの中でも、特に、ビ
スフェノールAが材料の入手のしやすさ、反応性、経済
性などの観点から好ましい。
【0012】これらは単独でも、また混合物であっても
よい。また、これらの二価フェノールはパラ置換体であ
るが、他の異性体を使用してもよく、さらにこれらの二
価フェノールにエチレングリコール、プロピレングリコ
ールなどを少量併用してもよい。
【0013】(B)ポリカーボネート 本発明で使用するポリカーボネートは4,4’−ジオキ
シジアリ−ルアルカン系ポリカーボネートであり、たと
えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロ
フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フェニルメタン等の4,4’−ジオキシフェニルアルカ
ンとホスゲンあるいはジフェニルカーボネートより得ら
れるものである。このようなポリカーボネートはすでに
公知の溶融重合、溶液重合、界面重合など各種方法によ
り製造される。これらの中でも、特に、ビスフェノール
Aを用いたポリカーボネートが材料の入手のしやすさ、
反応性、経済性などの観点から好ましい。
【0014】特に上記のポリアリレート又はポリカーボ
ネートは、いずれも、テトラクロロエタン100mlに
試料1.0gを溶解し、温度25℃の条件で測定した対
数粘度が0.60以下のものがよく、このようなポリア
リレート又はポリカーボネートは、例えば分子量調節剤
を適宜使用することにより得られる。
【0015】さらに、ポリアリレート又はポリカーボネ
ートの対数粘度は低ければ低い程、両者を含む樹脂組成
物の溶融加工温度を低下させる点で望ましいが、極端に
低くなると熱変形温度を低下させたり、衝撃強度等の機
械的性質を損なうことになり好ましくない。このような
点から、本発明に使用するポリアリレート又はポリカー
ボネートの対数粘度は0.40以上であることが好まし
い。
【0016】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物の対数
粘度は、0.40以上で0.50以下であることが好ま
しい。対数粘度が0.40未満であると、成形時にフラ
ッシュやクラックが発生しやすくなるとともに、物性が
低すぎる。また、対数粘度が0.50を超えると、押出
時の剪断が大きくなり剪断熱等により成形物の着色や焼
け筋が発生したり、薄肉成形品成形時の流動性が大きく
低下する。
【0017】(C)臭素化ビスフェノールカーボネート
系難燃剤 本発明において難燃剤として用いる臭素化ビスフェノー
ルカーボネート系難燃剤は、式(1)で表され平均の繰
り返し単位数mが1〜10、nが0〜4である臭素化ビ
スフェノールカーボネート系難燃剤である。
【0018】平均の繰り返し単位数mが1未満では、本
発明の臭素化ビスフェノールカーボネート系難燃剤とな
らない。繰り返し単位数がmが10を超える場合は、臭
素化ビスフェノールカーボネート系難燃剤の溶融粘度が
高くなりすぎ、混練性が悪くなるため、成形性、透明性
に劣るものとなる。
【0019】平均の繰り返し単位数nが4を超える場
合、分解開始温度が低下するため、本発明の樹脂組成物
の成形温度では、難燃剤の分解が起こり、難燃性の低下
とともに、機械的物性の低下、初期色調の悪化、成形加
工時の外観不良、など様々な不良が発生する。
【0020】また、本発明における臭素化ビスフェノー
ルカーボネート系難燃剤は、式(1)にあるように、そ
の末端が2,4,6−トリブロモフェニル基で封鎖され
たものである必要があり、これ以外の末端基では、本発
明の課題である透明性に優れ初期色調の良い難燃性樹脂
組成物とはならない。
【0021】したがって、前記条件を満たす難燃剤とし
て、(1)式で表される臭素化ビスフェノールカーボネ
ート系難燃剤を用いる。この臭素化ビスフェノールカー
ボネート系難燃剤には、例えば帝人化成(株)製のファ
イヤガードFG−8500やFG−8100という品名
のものがある。特に、nが0であるFG−8500が好
ましい。
【0022】(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤 本発明の組成物に添加される成分(D)であるヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤は、一般的にエンジニアリン
グプラスチックに配合されて、その熱安定性を改良しう
るものであれば特に限定されないが、具体的には、ペン
タエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品
名IRGANOX 1010)や、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート)(チバ・スペシャリティ・ケミ
カルズ社製、商品名IRGANOX 1076)を例示
することが出来る。
【0023】(E)ペンタエリスリトールホスファイト
化合物 本発明の組成物に添加される成分(E)であるペンタエ
リスリトールホスファイト化合物は、リン系酸化防止剤
であると同時に、後述する成分(F)の脂肪酸金属塩中
に含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金
属を包接して、これらの触媒作用を適度に調整し、ポリ
アリレート、ポリカーボネート、難燃剤の3成分の混練
を最適化する機能を有するものと考えられる。
【0024】本発明において用いられるペンタエリスリ
トールホスファイト化合物は、一般式(2)
【化3】 で表される化合物である。(式中、R1およびR2はそれ
ぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル
基、アルキル基置換シクロアルキル基、アリール基、ま
たは、アルキル基置換アリールを示す)。具体的には、
ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト
(旭電化社製、商品名PEP−4C)、や、ビス(2,
6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト(旭電化社製、商品名PE
P−36)、や、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト(旭電化社製、商品
名PEP−45)を例示することが出来る。これらのう
ち、PEP−4Cが特に好ましい。なお、本発明におけ
るペンタエリスリトールホスファイト化合物は、1種の
みで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。
【0025】(F)脂肪酸金属塩 本発明の組成物に添加される成分(F)である脂肪酸金
属塩は、押出加工時の滑剤であると同時に、本脂肪酸金
属塩中に含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ
土類金属が、ポリアリレート、ポリカーボネート間のエ
ステル交換触媒として作用し、樹脂組成物の透明性を向
上させる機能を有するものと考えられる。
【0026】本発明において用いられる脂肪酸金属塩を
構成する脂肪酸は、側鎖や二重結合があってもよいが、
ステアリン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ベ
ヘン酸(C22)、モンタン酸(C28)、トリアコン
タン酸(C30)などの直鎖飽和脂肪酸が好ましい。ま
た、脂肪酸金属塩を構成する金属としては、本発明の組
成物の劣化を促進するような金属以外は特に制限ない
が、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカ
リ土類金属が好ましい。
【0027】好ましい脂肪酸金属塩としては、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げら
れ、ステアリン酸カルシウムが最も好ましい。
【0028】次に、本発明の樹脂組成物を構成する各成
分の構成割合について説明する。本発明の難燃性樹脂組
成物の構成成分(A)と(B)の質量比は80/20〜
5/95である必要がある。(A)が80%を超えると
樹脂組成物の加工温度が高くなるため、熱により着色し
やすくなる。(B)が95%を超えると十分な耐熱性が
維持できない。
【0029】成分(C)である臭素化ビスフェノールカ
ーボネート系難燃剤は、ポリアリレート(A)とポリカ
ーボネート(B)の質量に対して、(C)/[(A)+
(B)]=35/65〜15/85(質量比)の範囲
で、好ましくはこの比が30/70〜20/80の範囲
で配合される。配合割合が15質量部未満であると、
0.8mm厚でのUL−94規格のグレードV−0は得
られない。35質量部を超えると、0.8mm厚でのU
L−94テスト法における難燃化効果が飽和するだけ
で、それ以上の効果がないばかりか、衝撃強度などの機
械的性質が損なわれる。
【0030】成分(D)であるヒンダードフェノール系
酸化防止剤は、成分(A)(B)(C)からなるポリマ
ー樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜0.5質
量部、好ましくは0.03〜0.07質量部で配合され
る。配合割合が0.01質量部未満であると熱安定性効
果が無く、0.5質量部を超えると逆に熱安定性が低下
する傾向がある。
【0031】成分(E)であるペンタエリスリトールホ
スファイト化合物は、成分(A)(B)(C)からなる
ポリマー樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜
0.5質量部、好ましくは0.03〜0.07質量部で
配合される。配合割合が0.01質量部未満であると熱
安定性効果が無く、0.5質量部を超えるとかえって熱
安定性が低下するので好ましくない。
【0032】成分(F)である脂肪酸金属塩は、成分
(A)(B)(C)からなるポリマー樹脂組成物100
質量部に対し、0.005〜0.1質量部、好ましくは
0.01〜0.02質量部で配合される。配合割合が
0.005質量部未満であると、得られる樹脂組成物の
透明性が不十分であり、また0.1質量部を超えるとそ
のエステル交換触媒作用が強くなりすぎ、樹脂組成物の
分解・発泡などを引き起こす。
【0033】本発明で使用する難燃性樹脂組成物には、
その物性が維持される範囲において必要に応じて、添加
剤、例えば顔料もしくは着色剤、離型剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、滑剤、等の添加剤を加えることができ
る。
【0034】本発明の難燃性樹脂組成物を製造するに
は、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型
ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バ
ンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方
法が適宜用いられる。こうして得られる難燃性樹脂組成
物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にして
から、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知
られている方法で成形品にすることができる。なお、難
燃性樹脂組成物への各配合成分の分散を高めて安定した
難燃性や機械的強度を得るためには、溶融押出において
二軸押出機を使用することが好ましい。また、溶融押出
や成形における樹脂温度を臭素化ビスフェノールカーボ
ネート系難燃剤の分解開始温度以上に高く設定すると、
得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下するととも
に、良好な色調のペレットや成形品が得られないため、
樹脂温度が難燃剤の分解開始温度以下、好ましくは25
0〜350℃になるように温度設定を行なうのが良い。
【0035】本発明の難燃性樹脂組成物は、十分な透明
性と難燃性を備え、その初期色調及び長期の耐熱変色性
にすぐれ、同時に、成形時の流動性にも優れ薄肉の成形
品が得やすいため、照明等におけるランプを覆うカバー
やキャップ等の部品に適している。ランプの一部若しく
は全体を覆うものであればその形状は特に限定されな
い。難燃性を活かして、建造物内に表示用として設置す
る照明(たとえば非常口の表示灯など)に適している。
【0036】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
【0037】なお、実施例と比較例に使用した原材料
は、次の通りである。 (A)ポリアリレート樹脂:数平均分子量21,000
のポリアリレート樹脂(ユニチカ社製、商品名 Uパウ
ダー Lタイプ)を使用した。 (B)ポリカーボネート樹脂:粘度平均分子量21,9
00のポリカーボネート樹脂(住友ダウ製、商品名カリ
バー200−13)を使用した。 (C)臭素化ビスフェノールカーボネート系難燃剤:
(1)式においてm=4、n=0とした、臭素化カーボ
ネートオリゴマー(帝人化成社製、商品名ファイヤガー
ドFG−8500)と、(1)式においてm=3〜4、
n=0〜1とした、臭素化カーボネートオリゴマー(帝
人化成社製、商品名ファイヤガードFG−8100)を
使用した。また、比較のため、式(3)
【化4】 においてn=22とした、臭素化カーボネートオリゴマ
ー(帝人化成社製、商品名ファイヤガードFG−720
0)を使用した。 (D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリ
スリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名IR
GANOX 1010)を使用した。 (E)ペンタエリスリトールホスファイト化合物:ジノ
ニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト(旭
電化社製、商品名PEP−4C)、または、ビス(2,
4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト(旭電化社製、商品名PEP−45)を使用し
た。なお、比較のため、ペンタエリスリトールホスファ
イト以外のホスファイト系熱安定剤として、トリス(ト
リデシル)ホスファイト(城北化学社製、商品名JP−
333E)を使用した。 (F)脂肪酸金属塩:ステアリン酸カルシウム(堺化学
工業社製、商品名SC−100)を使用した。
【0038】また、実施例と比較例における試験方法
は、次の通りである。 (1)難燃性 アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト9
4(UL−94)に定めた垂直燃焼性試験に従って、厚
さ0.8mmの試験片を用いて測定した。 (2)アイゾット衝撃試験 ASTM D−256に基づき、3.2mm厚ノッチ付
きアイゾット衝撃強度( J/m)を測定した。 (3)光学特性 日本電色工業(株)製の色差計 SZ−Σ90を用い、
後述する厚さ2.0mmの試験片のイエローインデック
ス(YI)及びヘイズ値(Hz)を測定した。なお、イ
エローインデックスは、黄色味の程度を示す指標であ
り、値が小さいほど色調が良好である。また、ヘイズ値
は透明性の尺度を表すもので、空気のヘイズ値は0%で
あり、ヘイズ値が小さいほど透明性が良好である。さら
に、熱風循環式恒温槽にて、145℃で1,000時間
処理したときの、未処理品との色差(ΔE*ab)を測
定した。 (4)熱変形温度(℃) ASTM−D648に記載の方法に基づき、荷重1.8
6MPaで測定した。 (5)対数粘度 ポリアリレート、ポリカーボネートおよび難燃性樹脂組
成物の対数粘度を次の方法によって測定した。すなわ
ち、テトラクロロエタン100mlに試料1.0gを溶
解し、温度25℃の条件で常法により測定した。
【0039】[実施例1〜5及び比較例1〜14]ポリ
アリレート樹脂とポリカーボネート樹脂は、溶融混練前
に熱風循環式乾燥機を用いて125℃で8時間以上乾燥
を行った。下記表1記載の各成分を、該当表記載の配合
割合で混合後、30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製
商品名PCM−30)を使用し、バレル温度300℃
(比較例9は320℃)にて溶融混練し、ダイスから取
り出されるストランドを冷却切断して長さ3〜6mm、
直径2〜4mmのペレット状の難燃性樹脂組成物を得
た。(但し、比較例8はペレットが得られなかった)。
【0040】ついでこれらのペレット状難燃性樹脂組成
物を、130℃で8時間以上熱風乾燥した後、36mmφ
射出成形機(東芝機械社製 商品名IS−100E)に
試験片金型を取り付けて、シリンダー温度320℃(比
較例9は360℃)、金型温度110℃に設定し、厚さ
2.0mm、50.0mm×90.0mmの平板試験片
(光学特性評価用)を成形した。同様の条件で、長さ1
27mm、幅12.7mm、厚さ0.8mmの試験片
(UL-94垂直燃焼性試験用)、長さ127mm、幅
12.7mm、厚さ3.2mmの試験片(アイゾット衝
撃強度、および熱変形温度測定用)を成形した。これら
の試験片について特性を評価した。結果を表1〜2に組
成と共に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】比較例1は、難燃剤以外の添加剤を添加し
ていないため、初期色調、耐熱変色性が劣っていた。比
較例2は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び脂肪
酸金属塩を添加していないため、初期色調、耐熱変色性
が劣っていた。比較例3は、ペンタエリスリトールホス
ファイト化合物及び脂肪酸金属塩を添加していないた
め、初期色調、耐熱変色性が劣っていた。比較例4は、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が高かった
ため、初期色調、耐熱変色性に劣っていた。比較例5
は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びペンタエリ
スリトールホスファイト化合物の添加量が低かったた
め、初期色調及び耐熱変色性の改良効果が不十分であっ
た。比較例6は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及
びペンタエリスリトールホスファイト化合物の添加量が
高かったため、かえって初期色調、耐熱変色性へ悪影響
を及ぼした。比較例7は、脂肪酸金属塩の添加量が低か
ったため、初期色調が十分に改良されなかった。比較例
8は、脂肪酸金属塩の添加量が高かったため、押出し加
工時に発泡現象が発生し、ペレット化ができず、物性評
価を実施できなかった。比較例9は、ポリアリレートの
比率が高かったため、加工温度を上げた結果、高温によ
る熱劣化のためか、初期色調が劣っていた。比較例10
は、ポリアリレートの比率が低かったため、熱変形温度
が低くなった。比較例11は、ペンタエリスリトールホ
スファイト以外の熱安定剤を使用したため、初期色調、
耐熱変色性への効果が低かった。比較例12は、難燃剤
である臭素化ビスフェノールカーボネート系難燃剤の添
加量が低かったため、難燃性が低かった。比較例13
は、難燃剤である臭素化ビスフェノールカーボネート系
難燃剤の添加量が高かったため、難燃性以外の諸性質が
低下した。比較例14は、臭素化ビスフェノールカーボ
ネート系難燃剤の構造が本発明のものと異なっていたた
め、初期色調が著しく悪化した。
【0044】このように、表1の結果から、本発明の難
燃性樹脂組成物は、難燃性のみでなく、透明性および耐
熱性に優れ、しかも高温度環境下でも長期にわたり色調
安定性の優れていることがわかる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、(A)ポリアリレー
ト、(B)ポリカーボネート、(C)臭素化ビスフェノ
ールカーボネート系難燃剤、(D)ヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤、(E)ペンタエリスリトールホスファ
イト化合物、(F)脂肪酸金属塩を特定の割合で配合す
ることにより、難燃性に優れ、かつ透明性および耐熱性
に優れ、しかも高温度環境下でも長期にわたり色調安定
性の優れている難燃性樹脂組成物が提供される。従っ
て、本発明の樹脂組成物は、ランプを被覆するカバーや
キャップ等の部品に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/524 C08K 5/524 C08L 69/00 C08L 69/00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリレート(A)、ポリカーボネー
    ト(B)、下記式(1)で表される臭素含有率が50質
    量%以上で、平均の繰り返し単位数mが1〜10、nが
    0〜4である臭素化ビスフェノールカーボネート系難燃
    剤(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、
    ペンタエリスリトールホスファイト化合物(E)、及び
    脂肪酸金属塩(F)とからなり、(A)〜(F)成分の
    質量比が下記関係式〜をみたすことを特徴とする難
    燃性樹脂組成物。 (A)/(B)=80/20〜5/95(質量比) (C)/{(A)+(B)}=35/65〜15/85(質量比) (D)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比) (E)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比) (F)/{(A)+(B)+(C)}=0.005/100〜0.1/100(質量比) 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の難燃性樹脂組成物からな
    るランプカバー又はランプキャップ。
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