JP3857432B2 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。詳しくは、機械的強度、耐光性、耐熱性に優れると共に、表面外観、難燃性、不滴下性、溶融時の熱安定性、遮光性、光線反射率などの諸特性が優れていることから、照明装置、液晶バックライト、電気部品などの幅広い用途に好適に使用できる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリカーボネート樹脂に酸化チタンを配合して着色したり、遮光性を付与することは広く行われている。しかし、酸化チタンの表面には、化学的活性点が存在し、これが溶融混練および溶融成形時に、ポリカーボネート樹脂の劣化を促進するため、ポリカーボネート樹脂本来の優れた機械的性質が損なわれたり、成形品が変色するという問題があった。
【0003】
酸化チタンによるポリカーボネート樹脂の変色を抑制する方法としては、ポリオルガノ水素シロキサンを混合する方法(特公昭63−26140号公報参照)、ポリ炭化水素オキシシロキサンを混合する方法(特公昭63−31513号公報参照)、アミノ基またはエポキシ基を有するシラン素カップリング剤を混合する方法(特公平3−2189号公報参照)、などが提案されている。
【0004】
また、近年、火災に対する安全性の面から、電気部品などに使用される合成樹脂の難燃化が強く要請されており、特に、電気部品に使用する場合には、UL規格で規定されているような高度の難燃性を発揮し、また燃焼物の滴下を生じないことなどが要求されている。ポリカーボネート樹脂は、電気部品などに幅広く利用されており、難燃化技術も種々提案されている。これまでポリカーボネート樹脂を難燃化するには、主にハロゲン化合物を添加する方法が採用されてきた。しかし、近年、ハロゲン化合物による環境汚染などの問題、および、ハロゲン化合物を添加した樹脂組成物の熱安定性を向上させるため、非ハロゲン化合物を添加して難燃化する技術が研究されている。
【0005】
ポリカーボネート樹脂を難燃化する際に、ハロゲン化合物の代りにリン酸エステル系化合物を添加する技術が提案されている(特開平10−1600号公報参照)。ここで提案されている技術は、基体樹脂の着色や、得られる成形品の遮光性付与を目的として酸化チタンを配合し、リン酸エステル系難燃剤を配合し難燃化するものであるが、ポリカーボネート樹脂の優れた特性である機械的強度を低下させてしまうという欠点があった。また、液晶バックライトなどの反射板は、蛍光灯など各種光源から、長時間に亘る光や熱の放射を受けるので、長期間の使用によって変退色してしまい、徐々に反射率などの光学特性が低下してしまうという欠点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ポリカーボネート樹脂の優れた機械的強度、耐光性、耐熱性を犠牲にすることなしに、難燃性、不滴下性、溶融時の熱安定性などに優れ、表面外観、遮光性、光線反射率に優れた成形品が得られるポリカーボネート樹脂組成物は、未だ得られていないのが実情である。本発明の目的は、次のとおりである。
1.機械的強度、耐光性、耐熱性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
2.表面外観、遮光性、光線反射率に優れた成形品が得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)0.1〜50重量部、リン系難燃剤(C)0.5〜40重量部、ガラス転移点(Tg)が0℃以下である架橋されたアルキル(メタ)アクリレートからなるゴム状重合体の内核と、アルキル(メタ)アクリレートの最外殻層とをもつ多層構造弾性体(D)0.1〜10重量部、および、フィブリル形成性ポリテトラフルオロエチレン(E)0.01〜1重量部、それぞれ配合されてなることを特徴とする、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂(A){以下(A)成分と言うことがある}は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の基体樹脂となるものであり、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて製造されたものである。2価フェノールの代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。
【0009】
好ましい2価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料とするものである。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステルまたはハロホルメートなどが挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、2価のフェノールのジハロホルメートおよびそれらの混合物である。ポリカーボネート樹脂を製造する際の2価フェノールは、単独でも、2種以上の混合物であってもよい。
【0010】
成形用のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、一般的には1万〜10万の範囲であるが、成形性および成形品の物性の観点からは、1.5万〜6万の範囲のものが好ましい。上記範囲の粘度平均分子量を持つポリカーボネートを製造する際に、分子量調整剤、加工性改善のための分岐剤、反応を促進するための触媒などを適宜選択・組合せて使用するのが好ましい。
【0011】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物における酸化チタン(B){以下(B)成分と言うことがある}は、成形品の白色度、遮光性、光線反射率などを向上させるものである。酸化チタンは、硫酸法または塩素法によって製造されるが、硫酸法で製造された酸化チタンは、白色度の点で塩素法で製造された酸化チタンに劣るので、塩素法で製造されたものが好適である。酸化チタンの結晶形態にはルチル形とアナターゼ形があり、白色度、光線反射率および耐光性の観点からはルチル形が優れているので、結晶形態はルチル形のものが好適である。
【0012】
(B)成分としての酸化チタンは、表面処理されていない場合には、樹脂組成物を高温で溶融混練する際に、基体のポリカーボネート樹脂の分子量低下や変色を引き起こすので、表面処理されているものが好ましい。酸化チタンの表面処理は、アルミナ水和物、ケイ酸水和物から選ばれた1種以上の無機系表面処理剤によって行なわれる。
【0013】
これら酸化チタンは、さらに、有機系表面処理剤、特に、シリコン系化合物で処理されているものが好ましい。ここで言うシリコン系化合物としては、ポリオルガノ水素シロキサン(特公昭63−26140号公報参照)、ポリ炭化水素シロキサン(特公平63−31513号公報参照)、シランカップリング剤(特公平3−2189号公報参照)などが挙げられる。
【0014】
(B)成分としての酸化チタンは、その平均粒子径が0.05〜0.50μmの範囲で選ばれる。平均粒子径が0.05未満でも、0.50μmを超えても、樹脂組成物から得られる成形品の遮光性および光線反射率に劣り、0.50μmを超えると更に成形品表面に肌荒れを起こしたり、衝撃強度の低下を招くので好ましくない。上記範囲では、0.10〜0.40μmが好ましく、中でも0.15〜0.35μmが特に好ましい。
【0015】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物における酸化チタンの配合割合は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化チタンが0.1〜50重量部の範囲で選ばれる。酸化チタンの配合割合が0.1重量部より少ないと、得られる成形品の遮光性に劣り、50重量部を越えると衝撃強度の低下が大きなり、いずれも好ましくない。
【0016】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物におけるリン系難燃剤(C){以下(C)成分と言うことがある}は、分子中にリン原子を有する化合物であり、好ましくは、下記の一般式[I]または[II]で表されるリン系化合物が挙げられる。
【0017】
【化4】
Figure 0003857432
【0018】
【化5】
Figure 0003857432
【0019】
一般式[I]で表されるリン系難燃剤の具体例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニル−2−エチルクリジル、燐酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、燐酸ジフェニルクレジル、燐酸トリブチルなどが挙げられる。一般式[I]で表されるリン系化合物は、公知の方法で、オキシ塩化燐などから製造することができる。
【0020】
一般式[II]におけるアリーレン基のXは、例えば、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジヒドロキシ化合物から誘導される基である。一般式[II]で表されるリン系難燃剤としては、mが1〜5の縮合燐酸エステルであり、mが単一の縮合燐酸エステルであってもよく、または、mが異なる縮合燐酸エステルの混合物であってもよい。混合物の場合には、混合物のmの平均値が1〜5であればよい。
【0021】
一般式[II]で表されるリン系難燃剤の具体例としては、ジヒドロキシ化合物がレゾルシノールである場合は、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル-P-t- ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェートフェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェートなどが挙げられる。
【0022】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物における(C)成分としてのリン系難燃剤の配合量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.5〜40重量部である。リン系難燃剤の配合量が0.5重量部未満であると樹脂組成物の難燃性が不十分であり、40重量部を越えると樹脂組成物から得られる成形品の機械的物性が低下し易く、いずれも好ましくない。リン系難燃剤の配合量は、上記の範囲では0.8〜30重量部が好ましく、中でも1〜25重量部が特に好ましい。
【0023】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物における多層構造弾性体(D){以下(D)成分ということがある}は、衝撃向上剤として機能するものであり、ガラス転移点(Tg)が0℃以下である架橋されたアルキル(メタ)アクリレートからなるゴム状重合体の内核と、アルキル(メタ)アクリレートの最外殻層とをもつ多層構造弾性体である。衝撃向上剤としては、内核にブタジエンを成分として含有するものも知られているが、これは光や熱に対して変退色してしまうので好ましくない。外殻層がアルキル(メタ)アクリレートより構成されていると、成形品は耐光性に優れたものとなり、好ましい。
【0024】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物における(D)成分の配合割合は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で選ばれる。(D)成分が0.1重量部より少ないと、樹脂組成物から得られる成形品の物性、特に衝撃強度の向上がみられず、他方10重量部より多いと強度および耐熱性が低下し、いずれも好ましくない。(D)成分の特に好ましい配合割合は、1〜10重量部である。
【0025】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物におけるフィブリル形成性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(E){以下(E)成分と言うことがある}は、成形品燃焼時の不滴下性を向上させるように機能する。(E)成分のポリテトラフルオロエチレンは、フィブリル形成能を有するもので、具体的にはASTM規格でタイプ3に分類されるものである。フィブリル形成能を有するPTFEは、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中でナトリウム、カリウムまたはアンモニウム−オキシスルフィドの存在下に、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。フィブリル形成能を有しないPTFEは、本発明の目的は達成されない。このようなフィブリル形成性PTFEとしては、分子量100万以上、好ましくは200万以上のものが挙げられる。
【0026】
(E)成分としてのフィブリル形成性PTFEの配合割合は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲で選ばれる。(E)成分の配合割合が0.01重量部より少ないと、成形品燃焼時の不滴下性を付与するのには不充分であり、また、1重量部を超えるとポリカーボネーと樹脂組成物の機械的性質を損なうばかりではなく、成形品表面の肌荒れ現象が見られ、いずれも好ましくない。(E)成分の特に好ましい配合割合は、0.03〜0.5重量部である。
【0027】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、安定剤として、下記一般式[III]で表わされるオルガノフォスファイト化合物(F){以下(F)成分と言うことがある}を配合するのが好ましい。
【0028】
【化6】
Figure 0003857432
【0029】
(F)成分としてのオルガノフォスファイト化合物の配合割合は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.005〜1.0重量部の範囲で選ぶのが好ましく、中でも特に好ましいのは0.01〜0.5重量部である。
【0030】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、基体樹脂の(A)成分に、(B)成分ないし(E)成分を、好ましくはさらに(F)成分も加えて、各所定量配合されたものであるが、本発明の目的を損なわない種類および量の各種樹脂添加剤を配合することができる。配合できる樹脂添加剤としては、離型剤、蛍光増白剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などの着色剤、無機充填剤などが挙げられる。特に、紫外線吸収剤および蛍光増白剤などは、本発明に係る難燃性ポリカーボネート組成物の特性である反射特性の長期間安定に維持する目的を達成するためには極めて有用である。さらに、リン酸エステル、酸化チタン、多層構造体が含まれているので、熱安定性の目的から亜リン酸エステル類、および、フェノール系酸化防止剤などが有用である。
【0031】
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、必須成分のほか、必要に応じて上記樹脂添加剤を秤量し、タンブラー、V型ブレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機などのような従来から知られている混合機、混練機などにより混合して製造することができる。難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を製造する際、各成分の混合方法、混合の順序は特に限定されるものではないが、最も好ましい方法は、全成分をあらかじめ夕ンブラー、V型ブレンダーなどで混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法である。しかし、成分の形態に応じて、これらの成分の中の2種または3種をあらかじめ混合した混合物とし、この混合物に残りの成分を混合する方法によることもできる。
【0032】
このようにして得られた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法などの従来から知られている成形法によって、容易に目的の製品、部品などの成形品とすることができる。押出成形法によって製造したシートについては、さらに真空成形法によって目的の成形品とすることができる。得られた成形品は、機械的強度、耐光性、耐熱性に優れると共に、表面外観、難燃性、不滴下性、溶融時の熱安定性、遮光性、光線反射率などの諸特性が優れていることから、照明装置、液晶バックライト、電気部品などの幅広い用途に好適に使用できる。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に制限されるものではない。
【0034】
なお、以下の実施例と比較例において使用した各成分は、次のとおりである。
(A)成分のポリカーボネート樹脂:ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート(以下「PC」と略記する)であって、粘度平均分子量22,000のもの(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロン)である。
(B)成分の酸化チタン:塩素法で製造され、平均粒子径0.28μmで、無機系表面処理剤のアルミナ水和物とケイ酸水和物で表面処理された後、有機系表面処理剤のオルガノ水素シロキサンで表面処理されたルチル形酸化チタン{石原産業社製、商品名:タイペークPC3(以下PC3と略記する)}を使用した。
【0035】
(C)成分のリン系難燃剤:縮合リン酸エステル{旭電化工業社製、商品名:アデカスタブFP−500(以下「FP500」と略記する)}、リン酸エステル{大八化学社製、商品名:TPP(以下「TPP」と略記する)}を使用した。なお、比較例で使用したものは、ハロゲン系難燃剤に、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネートオリゴマー(ハロゲン含量59重量%){三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンFR−53(以下「FR53」と略記する)を使用した。
【0036】
(D)成分の多層構造弾性体:ポリアルキルアルキレートコア/ポリメチルメタクリレートシェル系共重合体{呉羽化学社製、商品名:EXL2315(以下「T1」と略記)}である。比較例で使用したものは、コアがブタジエン重合体であり、シェルがメチルメタクリレートからなる多層構造弾性体{呉羽化学社製、商品名:EXL2603(以下「T2」と略記する)}である。
(E)成分のフィブリル形成性ポリテトラフルオロエチレン:ポリテトラフルオロエチレン{ダイキン化学工業社製、商品名:ポリフロンF−201(以下「PTFE」と略記する)}である。
(F)成分のオルガノフォスファイト化合物:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト{旭電化社製、商品名:アデガスタブPEP−36(以下PEPと略記する)を使用した。
【0037】
以下の実施例と比較例において得られた成形品は、次に記載の方法によってアイゾット衝撃強度、難燃性、光学特性(色相、光線反射率、全光線透過率)、耐熱性、シルバー発生状況などの評価試験を行った。
(a)アイゾット衝撃試験:厚さが3.2mmのノッチ付き試験片について、ASTM D−256に準拠して測定した。単位はKg・cm/cmである。
(b)燃焼試験:厚さが0.8mmの試験片について、UL94規格の垂直燃焼試験を実施した。
(c)色相:射出成形法によって製造した90mm×60mm×2mmの角型平板について、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−2000)によって、L値、a値およびb値を測定した。
【0038】
(d)光線反射率:上記の角型平板について、日立製作所製の分光光度計(積分球付属、型式:U−3400)により、波長550nmにおける光線反射率を測定した。単位は%である。
(e)全光線透過率:上記の角型平板について、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−2000)により、全光線透過率を測定した。単位は%である。
(f)耐熱性:100℃のオーブンで500時間熱処理し、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−2000)により、熱処理による△Eを測定した。
(g)シルバー発生観察:上記の角型平板について、表面を目視観察してシルバーの発生の有無を判定した。
【0039】
[実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4]
上記(A)成分ないし(F)成分を、表−1に記載の割合(重量部)で秤量して混合機で混合し、得られた混合物を、30mmφの二軸押出機(日本製鋼所社製、型式:TEX30)を使用し、バレル温度270℃として混練押出してペレット化した。得られたペレットを120℃の温度で5時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製、型式:J−50ED)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度70℃として、ASTM−D256規定の厚さが3.2mmのアイゾット衝撃試験片、UL94規格の127×12.7×0.8mmの燃焼試験片、および、90mm×60mm×2mmの角型平板を成形した。
【0040】
各例で得られた試験片につき、上記の評価方法によってアイゾット衝撃強度、難燃性、光学特性(色相、光線反射率、全光線透過率)、耐熱性、シルバー発生状況など評価試験を行った。評価試験の結果を、表−1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003857432
【0042】
表−1より、次のことが明らかとなる。
(1)本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、溶融時の熱安定性に優れ、難燃性、不滴下性に優れている。
(2)本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品は、耐衝撃性に優れた成形品が得られる。
(3)本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品は、遮光性、光線反射率などの光学特性に優れている。
(4)これに対し、(C)成分の代りにハロゲン系難燃剤を配合した比較例1は、シルバーが発生し表面外観が劣る。
(5)また(D)成分を含まない比較例3は、耐衝撃性が大幅に劣り、(D)成分とは異なる多層構造弾性体を配合した比較例2は耐熱性が劣る。
(6)さらに(E)成分を含まない比較例4は、難燃性、不滴下性に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、溶融時の熱安定性に優れ、難燃性、不滴下性に優れている。
2.本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品は、機械的強度、耐光性、耐熱性に優れると共に、表面外観にも優れている。
3.本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品は、遮光性、光線反射率などの光学特性に優れていることから、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は照明装置、液晶バックライト、電気部品などの製造用材料として好適に使用できる。

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)0.1〜50重量部、リン系難燃剤(C)0.5〜40重量部、ガラス転移点(Tg)が0℃以下である架橋されたアルキル(メタ)アクリレートからなるゴム状重合体の内核と、アルキル(メタ)アクリレートの最外殻層とをもつ多層構造弾性体(D)0.1〜10重量部、および、フィブリル形成性ポリテトラフルオロエチレン(E)0.01〜1重量部、それぞれ配合されてなることを特徴とする、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
  2. リン系難燃剤(D)が、下記一般式[I]または一般式[II]で表わされるものである、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0003857432
    Figure 0003857432
  3. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、下記一般式[III]で表わされるオルガノフォスファイト化合物を0.005〜1.0重量部が配合されてなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0003857432
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