JP2002194193A - 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2002194193A JP2000391804A JP2000391804A JP2002194193A JP 2002194193 A JP2002194193 A JP 2002194193A JP 2000391804 A JP2000391804 A JP 2000391804A JP 2000391804 A JP2000391804 A JP 2000391804A JP 2002194193 A JP2002194193 A JP 2002194193A
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retardant resin
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JP2000391804A
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Yukio Tomari
幸男 泊
Satoru Umeyama
哲 梅山
Tomoyuki Kani
智之 可児
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Sumika Polycarbonate Ltd
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Sumitomo Dow Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】次の組成比からなる樹脂成分(A):97〜6
0重量% ・ポリカーボネート樹脂(A−1)95〜0重量%およ
び ・ポリアリレート樹脂(A−2)5〜100重量および
臭素化ポリカーボネートオリゴマー(B):3〜40重
量%からなる組成物100重量部に対して、パーフルオ
ロアルカンスルホン酸の金属塩(C)0.01〜1重量
部、およびリン系、フェノール系およびラクトン系酸化
防止剤から選択される1種もしくは2種以上の酸化防止
剤(D)0.01〜0.5重量部を配合してなることを
特徴とする難燃性樹脂組成物、およびそれからなる成形
品。 【効果】本発明の難燃性樹脂組成物およびこれからなる
成形品は、耐熱性、耐衝撃性や透明性、成形性を損なう
ことなく高度な難燃性を有し、高温成形加工時において
も黄変が少ないという優れた効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃性樹脂組成物に関
するものである。更に、詳しくは優れた耐熱性や耐衝撃
性等の機械的性質、流動性ならびに成型品の透明性等の
性能を損なうことなく難燃性を向上させた樹脂組成物に
関する。また、本発明の別の態様は当該難燃性樹脂組成
物からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、透明性、耐熱性に優れた樹脂
組成物として、ポリカーボネート樹脂とポリアリレート
樹脂との混合物が知られている(特開昭58−8305
0号公報参照)。このような組成物は透明性、耐熱性、
耐衝撃性および電気的特性に優れたエンジニアリングプ
ラスチックとして電気・電子・OA分野を始め、広範な
分野にて使用されている。
【0003】これら電気・電子・OAの分野では、電気
絶縁材料やパーソナルコンピュータ外装部品のように高
度な難燃性(UL94規格のVTMフィルム試験あるい
はV試験)や耐衝撃性を要求される部品が少なくない。
このようなポリカーボネート樹脂とポリアリレート樹脂
との組成物は、自己消火性を備えた難燃性の高いプラス
チック材料ではあるが、電気・電子・OA分野では安全
上の要求を満たすため、電気絶縁材料等のフィルム用途
ではUL94VTM−0や樹脂成形品の用途ではUL9
4V−0を満足するような一層高い難燃性が求められて
いる。
【0004】そこで、ポリカーボネート樹脂とポリアリ
レート樹脂との組成物の難燃性をさらに向上するため
に、従来より臭素化ビスフェノールAのカーボネート誘
導体のオリゴマーあるいはポリマーを多量に配合する方
法が採用されている。(特開平10−158491号公
報参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、臭素化
ビスフェノールAのカーボネート誘導体のオリゴマーあ
るいはポリマーを難燃剤として多量に配合した場合に
は、確かにポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂
またはそれらの混合物の難燃性は向上するが、フィルム
の押出成形や射出成形による樹脂成形の際、熱安定性が
悪化することから外観が黄変するという問題が有り、ま
た、UL−94の燃焼試験においては燃焼物が滴下し下
方に位置する綿が燃えてしまうという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点に鑑み鋭意研究した結果、ポリカーボネート樹脂と
ポリアリレート樹脂との混合物に、難燃剤として臭素化
ポリカーボネートオリゴマーおよびパーフルオロアルカ
ンスルホン酸の金属塩を配合し、さらに熱安定剤として
特定の酸化防止剤を配合することにより、優れた耐熱
性、耐衝撃性、透明性ならびに成形性を具備し、かつ高
度な難燃性を有する難燃性樹脂組成物を得ることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、次の組成比からなる
樹脂成分(A):97〜60重量% ・ポリカーボネート樹脂(A−1)95〜0重量%およ
び ・ポリアリレート樹脂(A−2)5〜100重量および
臭素化ポリカーボネートオリゴマー(B):3〜40重
量%からなる組成物100重量部に対して、パーフルオ
ロアルカンスルホン酸の金属塩(C)0.01〜1重量
部、およびリン系、フェノール系およびラクトン系酸化
防止剤から選択される1種もしくは2種以上の酸化防止
剤(D)0.01〜0.5重量部を配合してなることを
特徴とする難燃性樹脂組成物を提供するものである。ま
た、本発明の別の態様では当該難燃性樹脂組成物からな
る押出成形品または射出成形品を提供する。
【0008】
【本発明の実施の態様】以下に、本発明の難燃性樹脂組
成物につき詳細に説明する。本発明に使用されるポリカ
ーボネート樹脂(A−1)とは、種々のジヒドロキシジ
アリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、
またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカー
ボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交
換法によって得られる重合体であり、代表的なものとし
ては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネー
ト樹脂が挙げられる。
【0009】上記ジヒドロキシジアリール化合物として
は、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オク
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチ
ルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロ
キシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒド
ロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒド
ロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリール
スルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスル
ホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチ
ルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリ
ールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメ
チルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリー
ルスルホン類等が挙げられる。
【0010】これらは、単独または2種類以上混合して
使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジ
ルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキ
シジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0011】さらに、上記のジヒドロキシアリール化合
物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混
合使用してもよい。
【0012】3価以上のフェノールとしてはフロログル
シン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル
−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘ
プタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキ
シフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−
(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシ
ル]−プロパンなどが挙げられる。
【0013】ポリカーボネート樹脂(A−1)の粘度平
均分子量は通常10000〜100000、好ましくは
15000〜35000である。かかるポリカーボネー
ト樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要
に応じて使用することができる。
【0014】本発明にて使用されるポリアリレート樹脂
(A−2)とは、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体
と、二価フェノールまたはその誘導体とからなる重合体
である。
【0015】芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル
酸、イソフタル酸などがあげられるが、溶融加工性およ
び総合的性能の点から、両者の混合物が好ましい。
【0016】二価フェノールとしては、例えば2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロ
ロフェニル)プロパン、4,4' −ジヒドロキシジフェ
ニルスルホン、4,4' −ジヒドロジフェニルエーテ
ル、4,4' −ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4' −ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4' −
ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,
4' −ジヒドロキシジフェニル、ハイドロキノンなどが
あげられる。
【0017】これらは、単独もしくは混合して使用して
もよい。また、これらの二価フェノールはパラ置換体で
あるが、他の異性体を使用してもよく、さらにこれらの
二価フェノールにエチレングリコール、プロピレングリ
コールなどを少量併用してもよい。
【0018】二価フェノールの中で最も代表的なもの
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、通常ビスフェノールAと呼ばれているものである。
このようなポリアリレートは、溶液重合、溶融重合、界
面重合など各方法により製造される。
【0019】ポリカーボネート樹脂(A−1)に配合さ
れるポリアリレート樹脂(A−2)の配合量は5〜10
0重量%である。5重量%未満では耐熱性、燃焼性が劣
るので好ましくない。より好ましくは10〜80重量
%、更に好ましくは20〜50重量%である。この範囲
では耐熱性、燃焼性、加工性に優れ、性能のバランスが
より一層良好となる。
【0020】本発明にて使用される臭素化ポリカーボネ
ートオリゴマー(B)とは、下記一般式(1)で示され
る化合物である。
【化6】一般式(1) 一般式(1)において、Brは臭素、AはBr、水素も
しくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、nは2
〜8の整数を表す。
【0021】臭素化ポリカーボネートオリゴマー(B)
の配合量は、ポリカーボネート樹脂とポリアリレート樹
脂とからなる樹脂成分(A)および(B)の合計量を基
準として、3〜40重量%である。3重量%未満では難
燃性に劣り、40重量%を超えると衝撃強度、熱安定性
が劣るので好ましくない。より好ましくは、5〜40重
量%、更に好ましくは10〜30重量%の範囲である。
この範囲では難燃性、衝撃強度、熱安定性のバランスが
より一層良好になる。
【0022】本発明にて使用されるパーフルオロアルカ
ンスルホン酸の金属塩(C)とは、下記一般式(2)示
される化合物である。
【0023】一般式(2)
【化7】 一般式(2)において、Mは金属陽イオン、nは1〜8
の整数を表す。好適な金属としては、ナトリウム、カリ
ウム等のI族の金属(アルカリ金属)、またはII族の
金属ならびに銅、アルミニウム等が挙げられ、特にアル
カリ金属が好ましい。
【0024】パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩
(C)の配合量は、本発明の特定の樹脂成分(A)95
〜60重量%および臭素化ポリカーボネートオリゴマー
(B)5〜40重量%からなる組成物100重量部に対
して、0.01〜1重量部である。0.01重量%未満
では難燃性に劣り、1重量部を超えると透明性に劣るの
で好ましくない。より好ましくは、0.02〜0.1重
量%の範囲である。この範囲では難燃性および透明性の
バランスがより一層良好になる。
【0025】本発明にて使用される酸化防止剤(D)と
は、下記一般式(3)〜(5)で示されるリン系、フェ
ノール系またはラクトン系の酸化防止剤である。これら
は、単独で、もしくは2種以上を併用して使用してもよ
い。
【0026】一般式(3):リン系酸化防止剤
【化8】 一般式(3)において、Rはメチル基を表す。
【0027】一般式(4):フェノール系酸化防止剤
【化9】 一般式(4)において、Rはメチル基を表す。
【0028】一般式(5):ラクトン系酸化防止剤
【化10】 一般式(5)において、Rはメチル基を表す。
【0029】酸化防止剤(C)の配合量は、本発明の特
定の樹脂成分(A)95〜60重量%および臭素化ポリ
カーボネートオリゴマー(B)5〜40重量%からなる
組成物100重量部に対して、0.01〜0.5重量部
である。配合量が0.01重量部未満では熱安定性に劣
り、0.5重量部を超えるとそれ以上増量しても熱安定
性の向上は無く、また耐スチーム性に劣るので好ましく
ない。より好ましくは、0.02〜0.2重量部の範囲
である。この範囲では、難燃性樹脂組成物の耐スチーム
性を阻害しないで熱安定性がより一層良好になる。
【0030】本発明の難燃性樹脂組成物における各成分
の混合方法には、特に制限はなく、任意の混合機、例え
ばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等で混
合し、押出機等で溶融混練する方法が挙げられる。
【0031】本発明の難燃性樹脂組成物を成形する方法
としては、特に制限はなく、公知の押出成形法、射出成
形法、射出・圧縮成形法等を用いることができる。
【0032】更に、本発明の効果を損なわない範囲で、
難燃性樹脂組成物に各種の紫外線吸収剤、着色剤、蛍光
増白剤、充填材、離型剤、軟化材、帯電防止剤等の添加
剤、衝撃性改良材、他のポリマーを配合しても良い。
【0033】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はそれら実施例に制限されるものではな
い。尚、「部」、「%」は重量基準に基づく。
【0034】(実施例1〜16および比較例1〜10)
ビスフェノールAとホスゲンとから合成されたポリカー
ボネート樹脂(住友ダウ株式会社製カリバー200−
3、粘度平均分子量28000)と各種配合成分を表1
〜3に示す配合量に基づき37mm径の二軸押出機(神
戸製鋼所製KTX−37)を用いて、シリンダー温度2
80℃にて溶融混練し、各種ペレットを得た。
【0035】使用された各成分の詳細は、それぞれ次の
とおりである。 1.ポリカーボネート樹脂:以下、PCと略記 住友ダウ社製カリバー 200−3(粘度平均分子量2
8000)
【0036】2.ポリアリレート樹脂:以下、PARと
略記 ユニチカ社製U−ポリマー U−100
【0037】3.臭素化ポリカーボネートオリゴマー:
以下、BROと略記 グレート・レイク・ケミカルズ社製BC−52
【0038】4.パーフルオロアルカンスルホン酸の金
属塩:以下、PFSと略記 バイエル社製BayowetC−4
【0039】5.酸化防止剤 リン系酸化防止剤:以下、AO−1と略記 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製Irgafos
−168 フェノール系酸化防止剤:以下、AO−2と略記 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製Irganox
−1076 ラクトン系酸化防止剤:以下、AO−3と略記 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製HP−136
【0040】得られた各種ペレットを125℃で4時
間、乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼社製J100
−E−C5)を用いて300℃、射出圧力1600Kg
/cm 2にて難燃性評価用の試験片(長さ125mm×
幅13mm×厚さ0.5mm)を成形した。
【0041】該試験片を温度23℃、湿度50%の恒温
室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラ
トリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラ
スチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を
行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさ
の試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時
間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下
のクラスに分けられる。 V−0 V−1 V−2 各試料の残炎時間 10秒以下 30秒以下 30秒以下 5試料の全残炎時間 50秒以下 250秒以下 250秒以下 ドリップによる綿の着火 なし なし あり 上に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片
が有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる
綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある
標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によっ
て着火されるかどうかによって決定される。
【0042】得られた各種ペレットを125℃で4時
間、乾燥した後に、押出成形機(田辺プラスチック社製
VC−40型)を用いて280℃にて0.1mm厚みフ
ィルムを作製し難燃性評価用の試験片(長さ200mm
×幅50mm×厚さ0.1mm)を作製した。
【0043】該試験片を温度23℃、湿度50%の恒温
室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラ
トリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラ
スチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を
行った。UL94VTMとは、鉛直に保持した所定の大
きさの試験片にバーナーの炎を3秒間接炎した後の残炎
時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以
下のクラスに分けられる。 VTM−0 VTM−1 VTM−2 各試料の残炎時間 10秒以下 30秒以下 30秒以下 5試料の全残炎時間 50秒以下 250秒以下 250秒以下 ドリップによる綿の着火 なし なし あり 上に示す残炎時間とは着火源を遠ざけた後の、試験片が
有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿
の着火とは試験片の下端から約300mm下にある標識
用の綿が試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火
されるかどうかによって決定される。
【0044】得られた各種ペレットを用いて、同様に射
出成形を行い、耐熱温度評価用試験片(6.4×12.
7×127mm)および、色相用試験片(3.2×50
×60mm)を作成した。この試験片を用いて、AST
M D−648に準じて熱変形温度を測定した。また、
成形品の色相については分光光度計(村上色彩研究所社
製CMS−35SP)にてD65光源(相関色温度約65
04K)下、赤、緑、青に対するそれぞれの刺激値X、
Y、Zを求め、次式に従い黄色味(イエローネス・イン
デックス(YI))を求めた。この値が低いほど良好で
ある。初期YI値が3以下を合格とした。 YI=100(1.28X−1.06Z)/Y
【0045】それぞれの試験の評価結果を表1〜3にま
とめて示した。
【表1】表1−樹脂組成物の組成比と評価結果
【0046】
【表2】表2−樹脂組成物の組成比と評価結果
【0047】
【表3】表3−樹脂組成物の組成比と評価結果
【0048】
【表4】表4−樹脂組成物の組成比と評価結果
【0049】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物およびこれか
らなる成形品は、耐熱性、耐衝撃性や透明性、成形性を
損なうことなく高度な難燃性を有し、高温成形加工時に
おいても黄変が少ないという優れた効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/42 C08K 5/42 5/524 5/524 C08L 69/00 C08L 69/00 H01B 17/56 H01B 17/56 A // B29K 69:00 B29K 69:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA48 AA50 AC11 AC14 AC15 AC19 AE05 AH12 BB05 BB06 BC01 4F207 AA28 AB05 AG01 KA01 KA17 KF01 KF02 4J002 CF16X CG00W CG03Y EJ067 EL077 EV256 EW067 FD077 GQ01 5G333 AA03 AA13 CB13 DA03 DA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の組成比からなる樹脂成分(A):97
    〜60重量% ・ポリカーボネート樹脂(A−1)95〜0重量%およ
    び ・ポリアリレート樹脂(A−2)5〜100重量および 臭素化ポリカーボネートオリゴマー(B):3〜40重
    量%からなる組成物100重量部に対して、パーフルオ
    ロアルカンスルホン酸の金属塩(C)0.01〜1重量
    部、およびリン系、フェノール系およびラクトン系酸化
    防止剤から選択される1種もしくは2種以上の酸化防止
    剤(D)0.01〜0.5重量部を配合してなることを
    特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】樹脂成分(A)と臭素化ポリカーボネート
    オリゴマー(B)の組成比が、樹脂成分(A)95〜6
    0重量%および臭素化ポリカーボネートオリゴマー
    (B)5〜40重量%であることを特徴とする請求項1
    記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】臭素化ポリカーボネートオリゴマー(B)
    が、下記一般式(1)で示される化合物であることを特
    徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。 一般式(1) 【化1】 一般式(1)において、Brは臭素、AはBr、水素ま
    たは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、nは2〜
    8の整数を表す。
  4. 【請求項4】パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩
    (C)が、下記一般式(2)で示される化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。 一般式(2) 【化2】 一般式(2)において、Mは金属陽イオン、nは1〜8
    の整数を表す。
  5. 【請求項5】酸化防止剤(D)が、下記一般式(3)〜
    (5)で示される化合物であることを特徴とする請求項
    1記載の難燃性樹脂組成物。 一般式(3) 【化3】 一般式(3)において、Rはメチル基を表す。 一般式(4) 【化4】 一般式(4)において、Rはメチル基を表す。 一般式(5) 【化5】 一般式(5)において、Rはメチル基を表す。
  6. 【請求項6】請求項1記載の難燃性樹脂組成物からなる
    押出成形品。
  7. 【請求項7】押出成形品が、電気絶縁材料用フィルムで
    ある請求項6記載の押出成形品。
  8. 【請求項8】請求項1記載の難燃性樹脂組成物からなる
    射出成形品。
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