JP2769967B2 - 法枠用コンクリートブロック - Google Patents

法枠用コンクリートブロック

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JP2769967B2 JP24483393A JP24483393A JP2769967B2 JP 2769967 B2 JP2769967 B2 JP 2769967B2 JP 24483393 A JP24483393 A JP 24483393A JP 24483393 A JP24483393 A JP 24483393A JP 2769967 B2 JP2769967 B2 JP 2769967B2
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省三 大鐘
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、法面の安定を図るため
に法面上にアンカーをもって設置される法枠用コンクリ
ートブロックに係り、特に軽量化を図った法枠用コンク
リートブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の法面の安定化工法として、植生
工法、現地でコンクリート打設により法枠を構築する法
枠構築工法、工場等で製作されたコンクリートブロック
を現地に設置するコンクリートブロック工法などが採用
されている。ここで、植生工法は、景観性に優れる、法
枠構築工法は法面の安定化の信頼性が高い等の利点を有
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記植
生工法の場合には、地滑りの発生し易い場所では、法面
安定化の信頼性が乏しい。また前記法枠構築工法の場合
には、現地での型枠、鉄筋組立て、コンクリート打設作
業が煩雑であり作業効率が悪いとともに、特に急斜面の
場合には施工が困難または多大な費用を要する等の問題
がある。
【0004】一方、コンクリートブロック工法の場合に
は、前記法枠構築工法に比べると、現地での型枠、鉄筋
組立て、打設作業が不要となり、法面上に設置してアン
カー固定するだけでよいため、施工性に優れるが、重量
が大であるため、工場からの運送や現地での取扱い性が
極めて悪いという問題がある。
【0005】そこで本発明の主たる課題は、法面の安定
を図るために法面上にアンカーをもって設置される法枠
用コンクリートブロックに係り、軽量化を図り運搬性、
取扱い性を容易にするとともに、コンクリート量の減少
によりコストの低下を図った法枠用コンクリートブロッ
クを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題は、平面的に視
てほぼ十字形状の法枠用コンクリートブロックにおい
て、この法枠用コンクリートブロックの十字辺の内部を
中空とし、または前記十字辺の内部に軽量発泡体を内包
したことで解決できる。
【0007】また、この場合、法枠用コンクリートブロ
ック交点の各隅角部分に各十字辺幅の少なくとも70%
寸法以上のハンチをそれぞれ設け、前記ハンチ部を含む
交点部受圧面積AC と法枠用コンクリートブロック全体
の受圧面積A との比率AC /Aを0.25≦AC /A≦
0.55とすることが望ましい。
【0008】
【作用】本発明においては、十字形コンクリートブロッ
クの十字辺の内部を中空、または軽量発泡体を内包した
ため、ブロック重量を20〜40%程度軽量化すること
ができる。また、この場合、十字辺部の断面二次モーメ
ントIが低下することによる部材強度の低下が懸念され
るが、前述のように、AC /Aを0.25≦AC/A≦
0.55とし、ハンチを従来に例がない程に交点部受圧
面積を大きくすることにより、設計導入張力を同じにす
る場合には、その分十字辺の張出長さを小さくでき断面
力が減少するため、本発明に従って十字辺の内部を中空
としまたは発泡体を内包して曲げ剛性(EI)が低下し
たとして、無理なく部材断面の設計を行うことができ
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。
図1において、本発明に係るコンクリートブロック1
は、平面的に視てほぼ十字形状をなしており、このブロ
ック1、1…の多数が、少なくとも法面の長さ方向(L
方向)に沿って十字の一辺が一列をなすように隣接して
配置される。実施例では、法面2と法尻3とを結ぶ高さ
方向にも、他の一辺を列を成して隣接配置されている。
【0010】前記コンクリートブロック1は、たとえば
全体寸法が2〜3mとされ、厚みが中央で400〜60
0mm、端部で250〜350mmとされ、端部に向かって
下り勾配が形成され、十字の交点部には、図2および図
3に示されるように、凹陥する凹部5が形成され、かつ
その凹部5の底面6の中央から下面に貫通する挿通孔7
が形成されている。前記挿通孔7には、定着用アンカー
が挿通され、前記凹部5はアンカー定着部となる。な
お、実施例の挿通孔7は法面と直交する方向に形成され
ているが、傾斜させて前記挿通孔7を形成し、法肩2方
向にやや上向きとなるようにアンカーを設けることもで
きる。また、凹部5の底面6は、支圧面となるため挿通
孔7と直交する方向に形成されている。
【0011】前記コンクリートブロック1の各十字辺1
a、1a…の内部には、ポリスチレン、ポリウレタン、
塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂等による発泡体4、4…が内
包され、軽量化が図られている。また、前記発泡体4に
代えて、該部分を中空とすることでもよい。
【0012】製作に当たっては、図4に示されるよう
に、上側主鉄筋9、9…および下側主鉄筋8、8…を組
み、これらの鉄筋8、9…を囲むように所定のピッチで
スターラップ10を配置し、その内部に予めまたは鉄筋
組立て後に、前記発泡体4を内設し、スターラップ10
に固定された発泡体保持具11、11…によって発泡体
4を保持する。次いで、コンクリートを型枠内に流し込
んで充分にバイブロ等により振動を与えコンクリートを
間隙部分に回り込ませ、本発明に係るコンクリートブロ
ック1を得る。前記発泡体保持具11の配置位置は、発
泡体4の比重が小さいため、打設したコンクリートによ
って上方に押し上げられるため、図示のように、上面側
および側面側に配置するのみで、下面側の配置を省略す
ることができる。また好適には、図5、または図6に示
す発泡体保持具が用いられる。図5に示す発泡体保持具
は、スターラップ10に対してナット部材15を溶接等
により固定し、一方発泡体4にはネジ孔17aが形成さ
れたソケット17を接着固定し、両者を連結ボルト16
で連結して発泡体4を吊り下げるようにして固定したも
のであり、鉄筋9との離間距離Sの調整は前記連結ボル
ト16の回転によって成される。また、図6に示す発泡
体保持具は、スターラップ10に対して直接連結ボルト
18を溶接等により固定し、発泡体4には回転継手の一
方側金具19Bを接着固定し、他方のネジ孔付の連結金
具19Aに対し前記連結ボルト18の他端を合わせ、連
結金具19Aを回転させることにより連結ボルト18を
螺入させて発泡体4を吊り下げるようにして固定する。
また、内部を中空とする場合は、箱抜きのための角筒状
の型枠を組み、これを埋殺して十字辺の内部に中空部を
形成する。なお、前記発泡体4または中空部の形状とし
ては、断面方形に限らず円形状とすることもできる。
【0013】次に、本発明に係る第2のコンクリートブ
ロック10について説明する。コンクリートブロック1
0は、図7に示されるように、ブロック交点の各隅角部
分に各十字辺幅B1 の少なくとも70%寸法以上のハン
チ(ハンチ寸法;B2)を設けるとともに、地盤反力を
受ける前記ハンチ部を含む交点部受圧面積ACと法枠用
コンクリートブロック全体の受圧面積Aとの比AC /A
を0.25≦AC /A≦0.55としたものである。
【0014】ハンチ寸法B2 を十字辺幅B1 の少なくと
も70%以上の寸法とするのは、十字辺部材に対し前記
ハンチ部を含む交点部を剛体として取扱うためであり、
設計上の応力計算断面がハンチ始点部(ラインM位置)
となり、十字辺の張出長さが短くなって、断面力を小さ
くすることができるため、本発明に従って十字辺部に発
泡体4を内包して断面剛性が低下したとしても、充分に
無理なく断面の設計を行うことができる。また、設計上
は均一に地盤反力が作用するとして十字辺部1aの応力
計算を行うことで十分であるが、実際には交点部分を剛
体とし、これに比べて十字辺部は易撓性があるため、地
盤反力分布が均一とはならず交点部分に反力が偏って集
中するようになる。したがって、前記十字辺部1aの設
計を安全側で行うこととなり、該十字辺部1aにおける
クラックまたは破損等も極力抑えることができる。
【0015】また、前記AC /Aを0.25未満の場合
には、十字辺部の寸法が大きくなり応力的な観点から十
字辺の設計が厳しいものになる場合があるとともに、施
工に際しての取扱いも不便となる。また、AC /Aが
0.55を超える場合には、十字辺部の寸法が小さくな
るため1つのブロックが負担する領域が狭くなる。その
結果全体のブロック数が増えることになるため、アンカ
ー数が増え施工効率が落ちるとともに不経済なものとな
って好ましくない。
【0016】これらのコンリートブロック1、1’の施
工に際しては、前記コンクリートブロック1の各十字辺
1aの上面側に植設されたボルト12に吊りワイヤーを
掛けて、クレーンなどにより吊り上げて、法面上の所定
位置に配置し、次いで、あるいは同時併行的に、図9に
示されるように、挿通孔11に棒鋼などの引張材20を
挿通し、その先端部にはモルタル注入などによりアンカ
ー体21を造成するとともに、引張材20のナットなど
のアンカーヘッド20Aを、凹部10内に収めた支圧板
22を凹部底面6を座として、前記アンカー体21との
間に引張力を与えた状態で定着する。これらのアンカー
を各ブロック1、1…ごとに行う。前記凹部5は後に、
モルタル23などを充填し、その表面をブロック1の表
面と面一とするのが美観の点および防錆の点などで望ま
しい。また、実施例における挿通孔7は、裏面ほど拡大
して形成してあるのは、一つのコンクリートブロック1
で異なる勾配の法面に対して供用化させるためである。
【0017】
【発明の効果】以上詳説のとおり本発明によれば、法枠
用コンクリートブロックを軽量化し運搬性、取扱い性に
優れるとともに、コンクリート量を低減しコスト低減を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明コンクリートブロックの法面への配置状
態斜視図である。
【図2】本発明に係る第1のコンクリートブロックの平
面図である。
【図3】本発明に係る第1のコンクリートブロックの側
面図である。
【図4】コンクリートブロックの十字辺部の拡大縦縦断
面図である。
【図5】発泡体保持具を示す図である。
【図6】発泡体保持具の他の例を示す図である。
【図7】本発明に係る第2のコンクリートブロックの平
面図である。
【図8】本発明に係る第2のコンクリートブロックの側
面図である。
【図9】コンクリートブロックの地盤への定着状態断面
図である。
【符号の説明】
1・1’…コンクリートブロック、2…法肩、3…法
尻、4…発泡体、5…凹部、7…挿通孔、11・13…
発泡体保持具、12…吊りボルト、20…引張材、20
A…アンカーヘッド、21…アンカー体、22…支圧板

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平面的に視てほぼ十字形状の法枠用コンク
    リートブロックにおいて、この法枠用コンクリートブロ
    ックの十字辺の内部を中空とし、または前記十字辺の内
    部に軽量発泡体を内包したことを特徴とする法枠用コン
    クリートブロック。
  2. 【請求項2】法枠用コンクリートブロック交点の各隅角
    部分に各十字辺幅の少なくとも70%寸法以上のハンチ
    をそれぞれ設け、前記ハンチ部を含む交点部受圧面積A
    C と法枠用コンクリートブロック全体の受圧面積A との
    比率AC /Aを0.25≦AC /A≦0.55とした請
    求項1記載の法枠用コンクリートブロック。
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