JP2769810B2 - 符号錠装置 - Google Patents

符号錠装置

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JP2769810B2
JP2769810B2 JP16390196A JP16390196A JP2769810B2 JP 2769810 B2 JP2769810 B2 JP 2769810B2 JP 16390196 A JP16390196 A JP 16390196A JP 16390196 A JP16390196 A JP 16390196A JP 2769810 B2 JP2769810 B2 JP 2769810B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、貸金庫や貸ロッカー
などに用いられる符号錠装置に関連し、殊にこの発明
は、複数個のダイヤルにより解錠符号列を任意に設定す
ることが可能な符号錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に符号錠装置は、例えば貸ロッカー
の扉に取り付けられており、解錠操作および施錠操作で
アクチュエータが応動し、このアクチュエータと一体の
掛止片が正逆回動して、ロッカー本体側の受け金具に係
脱する構造のものである。従来の符号錠装置として、符
号錠の機構のみが組み込まれたもの(以下「第1のタイ
プ」という。)と、符号錠の機構に加えて、前記アクチ
ュエータにシリンダ錠の機構が組み込まれたもの(以下
「第2のタイプ」という。)とが存在するが、いずれの
タイプも、解錠符号列が任意に設定できかつ随時変更で
きるので、使用者が常に変わるような用途に好適であ
る。
【0003】施錠に際しては、ダイヤル操作により所望
の解錠符号列を設定した後、第1のタイプでは撮みを掴
んで回動操作し、また第2のタイプでは適正な鍵を鍵孔
へ挿入して回動操作する。これによりアクチュエータが
応動して掛止片が受け金具に係合する。その後、ダイヤ
ル操作により解錠符号列を適当に崩せば、符号錠は施錠
状態となる。
【0004】また解錠に際しては、ダイヤル操作により
解錠符号列を整列させた後、第1のタイプでは撮みを掴
んで前記と反対方向へ回動操作し、また第2のタイプで
は適正な鍵を鍵孔へ挿入して前記と反対方向へ回動操作
する。これによりアクチュエータが応動して掛止片が受
け金具より外れ、貸ロッカーなどの扉を開くことができ
る。その後は、施錠操作を行った上で解錠符号列を崩し
て施錠状態に戻しておくか、または施錠操作を行わずに
解錠符号列を崩しておく。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが施錠に際し
て、解錠符号列を崩すのを忘れると、第1のタイプで
は、符号錠は施錠状態にならず、錠として機能しない。
また第2のタイプでは、鍵を抜けばシリンダ錠は施錠状
態となるから、錠として機能するが、鍵が盗まれると、
その鍵を用いて解錠されるから、防犯効果は半減する。
【0006】そこで発明者は、先般、施錠操作に連動さ
せて各ダイヤルを強制的に回動させることにより、解錠
符号列を自動的に崩して、所定の初期符号列に復帰動作
させる構造の符号錠装置を提案した(特願平5−273
61号)。この符号錠装置では、複数個のダイヤルを支
持する作動軸上にダイヤル強制復帰機構を形成し、前記
作動軸の往復動および回動にダイヤル強制復帰機構を応
動させて、解錠符号列を崩すようにしている。この符号
錠装置によれば、施錠操作により解錠符号列が自動的に
崩されるから、符号錠装置の信頼性が高められ、しかも
1本の作動軸上にダイヤル強制復帰機構を構成するの
で、符号錠装置が小型化できるという利点があるが、そ
の反面、作動軸に掛かる負荷が大きくなるという問題が
ある。
【0007】この発明は、従来のものとは異なった方式
で施錠操作に各ダイヤルを連動させて解錠符号列を崩
し、所定の初期符号列に自動復帰させる符号錠装置を提
供し、もって符号錠装置の信頼性を高めることを目的と
する。
【0008】またこの発明が他に目的とするところは、
作動軸と平行に駆動軸を設け、この駆動軸上にダイヤル
強制復帰機構を構成することにより、作動軸に掛かる負
荷を軽減した符号錠装置を提供する点にある。
【0009】さらにこの発明が他に目的とするところ
は、ダイヤル強制復帰機構の構成を工夫することによ
り、確実に所定の初期符号列に復帰する符号錠装置を提
供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の符号錠装置
は、複数の符号が表された複数個のダイヤルと、各ダイ
ヤルを決められた位置で回動可能に支持する作動軸と、
解錠操作および施錠操作に応動するアクチュエータと、
各ダイヤルによる解錠符号列の設定が可能な解錠符号列
設定機構と、解錠符号列の整列時はアクチュエータの作
動を許容し不整列時はアクチュエータの作動を規制する
ロック機構と、施錠操作により各ダイヤルを前記作動軸
上で回動させて所定の初期符号列に復帰動作させるダイ
ヤル強制復帰機構とを備えて成る。前記ダイヤル強制復
帰機構は、各ダイヤルに一体に設けられた従動ギヤと、
前記作動軸と平行に往復動および回動が可能に設けられ
た駆動軸と、前記アクチュエータと駆動軸との間に設け
られ、アクチュエータの作動に応動して駆動軸を往復動
させる往復動機構と、前記アクチュエータと駆動軸との
間に設けられ、アクチュエータの作動に応動して駆動軸
を回動させる回動機構と、各ダイヤルの従動ギヤと噛み
合うようにして前記駆動軸上の各ダイヤルに対応する位
置に回動自由に配備された駆動ギヤと、前記駆動軸と各
駆動ギヤとの間に設けられ、前記駆動軸の往復動により
駆動軸と各駆動ギヤとを係脱させるクラッチ機構とを備
えており、前記の各従動ギヤの歯面には、各ダイヤルが
前記初期符号列を生成する角度位置になったとき、駆動
ギヤとの噛み合いが外れるよう切欠部が形成されてい
る。
【0011】
【作用】施錠操作によりアクチュエータが応動すると、
駆動軸が作動して、クラッチ機構が駆動軸に各駆動ギヤ
を係合させるので、駆動軸の回動が各駆動ギヤへ伝わ
り、さらに各駆動ギヤから従動ギヤへ伝わる。これによ
り各ダイヤルが回動して解錠符号列の整列が自動的に崩
される。各ダイヤルが初期符号列を生成する角度位置に
なったとき、従動ギヤに設けられた切欠部の存在によ
り、駆動ギヤと従動ギヤとの噛み合いが外れ、ダイヤル
は回転し続けることなく確実に停止する。
【0012】
【実施例】図1は、この発明の一実施例である符号錠装
置の外観を、また図2および図3は、この符号錠装置の
内部構造を、それぞれ示す。この符号錠装置は、例えば
貸ロッカーの扉に取り付けられ、掛止片1が一定の角度
だけ正逆回動して、貸ロッカー本体の受け金具2に係脱
する。
【0013】なお、以下の説明では、掛止片1が受け金
具2に係合した状態を「閉状態」、この閉状態がロック
保持されている状態を「施錠状態」、ロック解除された
状態を「解錠状態」、掛止片1が受け金具2より外れた
状態を「開状態」といい、また「開状態」から「施錠状
態」へ至る操作を「施錠操作」、「閉状態」から「解錠
状態」を経て「開状態」へ至る操作を「解錠操作」とい
う。図1〜図3には、「開状態」にある符号錠装置の外
観および内部構造が示してある。
【0014】図示例の符号錠装置は、符号錠の機構のみ
が組み込まれた前記の第1のタイプの符号錠装置である
が、後記するアクチュエータ10にシリンダ錠の機構を
組み込めば、第2のタイプの符号錠装置を構成できる。
【0015】この符号錠装置では、箱状ケース6の上面
開口が前面プレート3で塞がれており、前記前面プレー
ト3の一端部寄りに円形の開口部4が、また中央部から
他端部にかけて4個の窓孔5が、それぞれ設けられてい
る。前記箱状ケース6の内部には、前記開口部4の位置
にアクチュエータ10が、また前記4個の窓孔5の位置
に符号錠の機構が、それぞれ組み込まれている。前記開
口部4からは、後述する内筒12の端板11が前面プレ
ート3上へ突出し、この端板11に施錠および解錠操作
のための撮みが110が取り付けてある。なお図2およ
び後記する図4〜図7は、撮み110を取り除いた状態
で示してある。
【0016】この撮み110には、マスター鍵を挿入す
るための鍵孔111が設けてある。前記マスター鍵は、
解錠符号列を設定した者が解錠符号列を忘れてしまった
ときなどに応急処理的に使用される。なお、アクチュエ
ータ10にシリンダ錠の機構を組み込めば、前記鍵孔1
11には、マスター鍵のみならず、シリンダ錠を解錠す
るための鍵が挿入されることになる。
【0017】前記の各窓孔5の位置には、解錠符号列の
設定に用いられる4個のダイヤル50が配置されてお
り、各窓孔5からは、各ダイヤル50のダイヤル操作板
51が前面プレート3上へ突出している。各窓孔5は、
前記ダイヤル操作板51を突出させる長孔部7と、この
長孔部7に連続する矩形孔部8とを有し、各矩形孔部8
からはそれぞれのダイヤル50に表された符号が見える
ようになっている。
【0018】図示例の符号錠装置は、施錠のための構成
や解錠符号列の設定のための構成に加えて、施錠操作お
よび解錠操作に伴い解錠符号列を崩して所定の初期符号
列(図示例では、ゼロが4個並んだ符号列)に復帰させ
るための構成を含むもので、以下、アクチュエータ1
0,作動軸20,回動機構30,往復動機構40,4個
のダイヤル50,解錠符号列設定機構60,ロック機構
80,ダイヤル強制復帰機構90などの各構成を順次説
明する。
【0019】(1)アクチュエータ10の構成 アクチュエータ10は、前記撮み110による解錠操作
および施錠操作に応動するもので、軸受筒14内に内筒
12が回動自由に支持され、内筒12および軸受筒14
の外周に外筒13が回動自由に嵌められて成る。外筒1
3の外周の上部位置には、スリーブ15が回動自由に嵌
められ、また高さ中央よりやや下方に、回動機構30を
構成するかさ歯車31が嵌着されている。
【0020】前記内筒12の内部には、上部位置にマス
ター鍵の挿入により作動する第1の錠機構部16が、下
部位置に公知のシリンダ錠の機構を組み込むことが可能
な第2の錠機構部17が、中間位置に後記するロック機
構80を構成する第3の錠機構部18が、それぞれ設け
られている。
【0021】第1の錠機構部16には、複数のディスク
タンブラーが装填され、マスター鍵が挿入されていない
状態では、一部のディスクタンブラーが外筒13の内周
面に設けられた溝に係合して内筒12と外筒13とを一
体化している。マスター鍵が挿入されると、前記の一部
のディスクタンブラーが作動して外筒13の溝との係合
が外れ、内筒12だけが単独で回動可能となる。なお、
第2の錠機構部17にも同様のディスクタンブラーを装
填してディスク錠を構成することも可能であるが、この
実施例の第2の錠機構部17には、ディスクタンブラー
は装填されておらず、従って錠として機能しない。
【0022】第3の錠機構部18には、複数のディスク
タンブラー81が装填され、これらディスクタンブラー
81は、解錠状態では内筒12内に退避し、一方施錠状
態では、ばね力により軸受筒14に設けられた錠孔19
へ突き出して係合し、内筒12の回動を規制する。な
お、このディスクタンブラー81については、ロック機
構80の項で詳述する。
【0023】(2)作動軸20の構成 作動軸20は、図8に示すように、基端面に開口する中
空孔21を備えたものであり、前記中空孔21へ挿入さ
れる支え軸22により基端部が、また支持板23の軸受
孔24により先端部が、それぞれアクチュエータ10と
直交する方向に往復動可能に支持される。前記中空孔2
1には圧縮ばね25が組み込まれ、そのばね力で作動軸
20は常時アクチュエータ10の方向へ付勢される。前
記支持板23と支え軸22との間には4枚の仕切板26
が等間隔に設けてあり、作動軸20は各仕切板26に開
設された円形孔27を貫通している。
【0024】作動軸20の先端面にはガイドローラ28
が取り付けてあり、また作動軸20の先端部上には、回
動機構30を構成するかさ歯車32が作動軸20上を摺
動可能かつ回動自由に配備してある。また作動軸20の
軸周面には、一定間隔でロック機構80を構成する4個
の凸子82がそれぞれ同じ角度位置に一体突設してあ
る。
【0025】(3)回動機構30の構成 回動機構30は、施錠操作および解錠操作の際に、後述
するダイヤル強制復帰機構90の駆動軸91を回動させ
るためのもので、前記外筒13に装着されたかさ歯車3
1と、前記作動軸20上に配備されたかさ歯車32と、
駆動軸91の先端部に装着された平歯車33とで構成さ
れる。前記かさ歯車31,32は互いに噛み合い、さら
にかさ歯車32は平歯車33に噛み合っており、これに
よりアクチュエータ10の回動がこれら歯車群により駆
動軸91に伝達されて、駆動軸91が回動する。駆動軸
91は、前記した「開状態」から「閉状態」へ、また
「閉状態」から「開状態」へ、それぞれ移行する間に1
回転するよう、回動機構30の構成、具体的には各歯車
31〜33の歯のピッチなどが決めてある。
【0026】前記かさ歯車31は、図14に示すよう
に、内孔34に一定の角度範囲θにわたる係合溝35が
形成してあり、この係合溝35に外筒13の外周面に突
設された駆動突起36が係合している。この係合溝35
と駆動突起36とでかさ歯車31の動作開始タイミング
を遅らせる作動遅延機構が構成されており、施錠操作お
よび解錠操作に際して、外筒13が回動するとき、当初
は駆動突起36が係合溝35内を摺動する結果、かさ歯
車31はすぐには一体回動せず、駆動突起36が係合溝
35の端に達した時点で一体回動することになる。この
作動遅延機構は、ダイヤル強制復帰機構90の駆動軸9
1をまず先に移動させた後、引き続き回動させるための
ものであり、その詳細については後述する。
【0027】(4)往復動機構40の構成 往復動機構40は、前記アクチュエータ10の作動に応
動して駆動軸90を所定のタイミングで所定の変位量だ
け往復動させるもので、外筒13の下部外周面の所定角
度位置に設けられた押圧ローラ41と、外筒13の回動
時に前記押圧ローラ41により押されて駆動軸91に沿
う方向へ往復動する可動体42とで構成される。
【0028】前記可動体42は、前記アクチュエータ1
0との対向面に、押圧ローラ41が転動する凹曲面43
が形成されており、また可動体42の端部上面には、前
記駆動軸91の先端部を回動自由に保持する軸支部44
が上向きに一体形成されている。この可動体42は、作
動軸20と平行に架設された2本の支持棒45,45の
先端に支持されており、各支持棒45の基端部に取り付
けられたストッパー47と箱型ケース6の端壁との間に
は、各支持棒45をアクチュエータ10の方向へ付勢す
る圧縮ばね46,46が設けられている。なお、前記ス
トッパー47は、後述するロックギヤ52の列の変位を
規制するためのものである。
【0029】前記可動体42の凹曲面43は、撮み11
0の回動可能角度(この実施例では120度)よりわず
かに小さな角度範囲に形成されている。前記押圧ローラ
41は、図2の「開状態」および図5の「閉状態」のと
き、可動体42の凹曲面43から離脱するが、図4の
「開状態」から「閉状態」への移行時や、図6および図
7の「閉状態」から「開状態」への移行時には、可動体
42の凹曲面43へ乗り上がって可動体42を押し、可
動体42を一定量だけ変位させた状態で凹曲面43上を
摺動する。このとき可動体42と一体の前記軸支部44
も軸方向へ変位し、この軸支部44により保持された駆
動軸91も同様に変位する。
【0030】(5)ダイヤル50の構成 4個の各ダイヤル50は、前記作動軸20上の各仕切板
26の内側位置にそれぞれロックギヤ52を介して回動
可能に配備されている。各ダイヤル50は、筒状壁54
の一端部寄りにダイヤル操作板51が、さらにその外側
に従動ギヤ53が、それぞれ一体に設けられた構造のも
のであり、前記筒状壁53の外周面には等角度位置毎に
「0」〜「9」の符号が表されている。前記従動ギヤ5
3は、駆動軸91や、この駆動軸91上に回動自由に設
けられる4個の駆動ギヤ92などと共にダイヤル強制復
帰機構90を構成するが、ダイヤル強制復帰機構90の
詳細については、項を新たにして説明する。
【0031】(6)解錠符号列設定機構60の構成 解錠符号列設定機構60は、解錠符号列を自在に設定し
かつ記憶させるための機構であり、前記作動軸20を往
復変位させるための変位機構と、各ダイヤル50と各ロ
ックギヤ52との係わり状態を設定するための噛合機構
とを含んでいる。ここで解錠符号列とは、前記の各窓孔
5に出現した各ダイヤル50の符号の並びの中で、整列
により符号錠を「解錠状態」に設定する符号の並びをい
う。なお、以下の説明中、解錠符号列を構成する各ダイ
ヤル50の符号を、単に、「解錠符号」という場合があ
る。
【0032】前記変位機構は、前記アクチュエータ10
の作動に応動して作動軸20を往復変位させるもので、
外筒13の外周面に所定の角度(この実施例では120
度より小さい角度)をもたせて形成された第1,第2の
凹部70A,70Bと、前記スリーブ15に120度毎
に設けられた3個の開口部71と、外筒13の上端面に
設けられ、スリーブ15の上端面に120度毎に形成さ
れた切溝72と係脱可能な爪板73と、作動軸20の中
空孔21に設けられた前記圧縮ばね25とで構成され
る。
【0033】図2および図3に示す「開状態」のとき
は、外筒13の第1凹部70Aとスリーブ15のいずれ
かの開口部71とが重なり、作動軸20の先端のガイド
ローラ28に対向位置する。作動軸20は前記圧縮ばね
25のばね力により押され、前記ガイドローラ28はス
リーブ15の開口部71より外筒13の第1凹部70A
へ嵌入する。この嵌入状態のとき、作動軸20はアクチ
ュエータ10の側へ最も変位しており、以下、この位置
を「第1変位位置」という。
【0034】図4には、「開状態」から「閉状態」への
移行時の状態が示してある。この状態では、外筒13と
スリーブ15とは爪板73により係合して一体回動する
結果、作動軸20の先端のガイドローラ28はスリーブ
15の外周面に乗り上がる。この乗り上がった状態のと
き、作動軸20はアクチュエータ10に対して反対方向
へ最も変位しており、以下、この位置を「第2変位位
置」という。
【0035】図5に示す「閉状態」のときは、スリーブ
15の開口部71は作動軸20の先端のガイドローラ2
8と対向位置するが、外筒13の第2凹部70Bは前記
開口部71とわずかな角度だけ位置ずれしている。作動
軸20は圧縮ばね26のばね力により押され、前記ガイ
ドローラ28がスリーブ15の開口部71へ嵌入して、
外筒13の外周面に付き当たる。この状態のとき、作動
軸20は「第1変位位置」と「第2変位位置」との中間
に定位する。以下、この位置を「第3変位位置」とい
う。
【0036】図6には、「開状態」から「閉状態」に向
けてわずかに移行させたときの状態が、また図7には、
さらに移行させたときの状態が、それぞれ示してある。
「開状態」から「閉状態」へ移行する際は、外筒13と
スリーブ15とは爪板73による係合が外れて、外筒1
3のみが回動する結果、図6に示す移行開始直後に、外
筒13の第2凹部70Bとスリーブ15の開口部71と
が重なり、作動軸20の先端のガイドローラ28に対向
位置する。このとき作動軸20は前記圧縮ばね25のば
ね力により押され、前記ガイドローラ28はスリーブ1
5の開口部71より外筒13の第1凹部70Aへ嵌入し
て、作動軸20は前記の「第1変位位置」へ移行する。
【0037】図7に示す「開状態」から「閉状態」への
移行途中では、外筒13のみがさらに回動し、作動軸2
0の先端のガイドローラ28はスリーブ15の開口部7
1に嵌まった状態で外筒13の外周面に乗り上がる。こ
の乗り上がった状態のとき、作動軸20は、「第1変位
位置」と「第2変位位置」の中間、すなわち前記の「第
3変位位置」に定位する。
【0038】つぎに噛合機構は、図15に示すように、
各ダイヤル50の内周面に周設された1列の突子列61
と、図16および図17に示すように、各ロックギヤ5
2の外周面に周設された2列の突子列64a,64bと
で構成される。各ロックギヤ52の突子列64a,64
b間にはダイヤル50の突子列61の幅よりやや広い幅
の摺動凹溝68が形成される。
【0039】各ダイヤル50の突子列61には、隣合う
突子62,62間に符号数に相当する数(10個)の嵌
合溝63が形成されている。各ロックギヤ52の各突子
列64a,64bは、いずれの嵌合溝63とも嵌合可能
な嵌合突子65が所定数(この例では5個)配置されて
成るもので、各ダイヤル50の突子列61と、対応する
ロックギヤ52の突子列64a,64bとの噛み合い角
度位置、すなわちロックギヤ52に対するダイヤル50
の嵌合角度位置は符号数に相当する数だけ存在する。従
って解錠符号は、両者の嵌合角度位置に応じて、10と
おり設定可能である。
【0040】上記の噛合機構の動作は、前記した変位機
構に加えて、アクチュエータ10に最も近いロックギヤ
52と作動軸20との間に設けられた圧縮ばね66と、
作動軸20上に各ロックギヤ52に対応して設けられた
ストッパーリング67と、アクチュエータ10に最も遠
いロックギヤ52に対向して設けられたストッパー47
とにより制御される。前記圧縮ばね66は、ロックギヤ
52の列をアクチュエータ10と反対方向へ付勢する。
各ストッパーリング67は、作動軸20上における各ロ
ックギヤ52の移行規制位置を設定する。ストッパー4
7は、ロックギヤ52の列および作動軸20の移行規制
位置を設定する。
【0041】図8〜図11には、各ダイヤル50と各ロ
ックギヤ52との係わり状態が示されており、図8は解
錠時、図9が施錠操作時、図10は施錠時、図11は解
錠操作時の各状態である。図8の解錠時では、作動軸2
0は「第1変位位置」にあり、各ロックギヤ52はスト
ッパーリング67に当接した状態にある。この状態で
は、各ダイヤル50の突子列61は各ロックギヤ52の
いずれの突子列64a,64bとも噛み合っておらず、
各ダイヤル50とロックギヤ52との係わりは切れてい
る。従って各ダイヤル50は単独で回動が可能であり、
任意の解錠符号を設定することができる。
【0042】図9の施錠操作時では、作動軸20は「第
2変位位置」にあり、ロックギヤ52の列はストッパー
47に当接した状態にある。この状態では、各ダイヤル
50の突子列61は各ロックギヤ52の一方の突子列6
4aと噛み合って解錠符号列が記憶されている。このと
き各ダイヤル50と各ロックギヤ52とは後述するダイ
ヤル強制復帰機構90の作用により一体回動する。
【0043】図10の施錠時では、作動軸20は「第3
変位位置」にあり、ロックギヤ52の列はストッパー4
7に当接した状態にある。この状態では、各ダイヤル5
0の突子列61は各ロックギヤ52の他方の突子列64
bと噛み合って解錠符号列が記憶されている。従って各
ダイヤル50と各ロックギヤ52とは一体回動が可能な
状態にあり、解錠のためのダイヤル操作により解錠符号
を整列させることができる。
【0044】図11の解錠操作時では、作動軸20は
「第3変位位置」にあり、ロックギヤ52の列はストッ
パー47から離れた状態、すなわち圧縮ばね66のばね
力によりロックギヤ52の列が付勢された状態にある。
この状態では、各ダイヤル50の突子列61は各ロック
ギヤ52の摺動凹溝68に位置し、いずれの突子列64
a,64bとも噛み合っておらず、各ダイヤル50と各
ロックギヤ52とは係わりが切れている。従って各ダイ
ヤル50は単独で回動が可能な状態にあり、各ダイヤル
50は後述するダイヤル強制復帰機構90の作用により
回動する。
【0045】(7)ロック機構80の構成 ロック機構80は、各窓孔5に現れた各ダイヤル50の
符号がすべて解錠符号であるとき(解錠符号列が生成さ
れたとき)、アクチュエータ10の作動を許容し、各窓
孔5に現れたいずれかダイヤル50の符号が解錠符号で
ないとき(解錠符号列が崩れているとき)、アクチュエ
ータ10の作動を規制する。
【0046】この実施例のロック機構80は、アクチュ
エータ10の内筒12に第3の錠機構部18として装填
された複数のディスクタンブラー81(図2〜図7参
照)と、アクチュエータ10の軸受筒14に作動軸20
の方向へ開設された錠孔19(図2〜図7参照)と、こ
の錠孔19の内部に配備された作動片83(図2〜図7
参照)と、前記作動軸20の軸周面に突設された4個の
凸子82(図8〜図11参照)と、各ロックギヤ52の
内周面の長さ方向に設けられた各凸子82と係脱する凸
子係合溝84(図8〜図11,図16,図17参照)
と、各ロックギヤ52の外周面の所定角度位置に突設さ
れた係合突起85(図8〜図11,図16参照)と、各
仕切板26の円形孔27の所定角度位置に設けられた前
記係合突起85と係脱する矩形状の切欠86(図8〜図
11参照)とで構成される。
【0047】前記ディスクタンブラー81は、図5の
「閉状態」のとき、ばね力により前記錠孔19へ突出し
て軸受筒14と係合し、これにより内筒12および外筒
13の一体回動を規制すると共に、前記作動片83を作
動軸20の方向へ押し出して、その先端部を外筒13の
第2凹部70B内へ突出させる。前記錠孔19の前記デ
ィクスタンブラー81が係合する部分には、拡大部19
aが形成してあり、図5の「閉状態」のときに、内筒1
2および外筒13をわずかな角度だけ一体回動させる
と、外筒13の第2凹部70Bがスリーブ15の開口部
71に合致する(図6参照)。この状態のときに、解錠
符号列が整列していれば、作動軸20がアクチュエータ
10の方向へ変位し、先端のガイドローラ28が作動片
83を錠孔19内へ退避させると共に、ディスクタンブ
ラー81を錠孔19より押し出して施錠状態を解除す
る。
【0048】前記作動軸20の各凸子82は、図8の
「開状態」のときには、各ロックギヤ52の凸子係合溝
84内に係入し、各ロックギヤ52の回動を規制する。
このとき各ダイヤル50はロックギヤ52との係わりが
切れているから、各ダイヤル50を回動操作して解錠符
号を設定できる。
【0049】図9の「開状態」から「閉状態」への移行
時には、作動軸20の各凸子82は各ロックギヤ52の
凸子係合溝84より脱出し、各ロックギヤ52は作動軸
20に対し回動可能な状態にある。このとき各ダイヤル
50はロックギヤ52と係わった状態にあって、ダイヤ
ル強制復帰機構90の作用により各ダイヤル50と各ロ
ックギヤ52とは一体回動する。
【0050】図10の「閉状態」のときも、作動軸20
の各凸子82は各ロックギヤ52の凸子係合溝84より
脱出し、各ロックギヤ52は作動軸20に対し回動可能
な状態にある。このとき各ダイヤル50はロックギヤ5
2と係わった状態にある。この状態では、解錠符号が崩
されたダイヤル50については、凸子82と凸子係合溝
84とが位置ずれしており、作動軸20のアクチュエー
タ10の方向への移行が阻止される。そのダイヤル50
の解錠符号を合わせれば、凸子82と凸子係合溝84と
の位置が一致し、作動軸20のアクチュエータ10の方
向への移動が許容される。
【0051】図11の「閉状態」から「開状態」への移
行時には、作動軸20の各凸子82は各ロックギヤ52
の凸子係合溝84内に係入し、各ロックギヤ52の回動
が規制される。このとき各ダイヤル50は各ロックギヤ
52との係わりが切れた状態にあり、ダイヤル強制復帰
機構90の作用により各ダイヤル50が単独で回動す
る。
【0052】つぎに各ロックギヤ52の係合突起85に
ついて説明すると、図8の「開状態」のとき、全ての係
合突起85は各仕切板26の位置で切欠86に係入した
状態にあるが、それ以外の状態のとき、切欠86より脱
出して仕切板26の外側に位置する。そして図10の
「閉状態」のとき、解錠符号が崩されたダイヤル50に
ついては、係合突起85と切欠86とが位置ずれして、
各ロックギヤ52のアクチュエータ10の方向への移動
を阻止する。解錠符号が窓孔5に出現している角度位置
のダイヤル50については、係合突起85と切欠86と
の位置が一致し、ロックギヤ52のアクチュエータ10
への方向の移動が許容される。
【0053】(8)ダイヤル強制復帰機構90の構成 この実施例のダイヤル強制復帰機構90は、解錠符号列
を設定した後、「開状態」から「閉状態」へ移行させる
とき、整列状態の解錠符号列を崩し、各ダイヤル50を
決められた角度位置まで回動させて、4個の窓孔5にゼ
ロが並ぶ初期符号列に復帰動作させ、さらに、解錠符号
列を整列させた後、「閉状態」から「開状態」へ移行さ
せるとき、同様に、整列状態の解錠符号列を崩し、各ダ
イヤル50を決められた角度位置まで回動させて、4個
の窓孔5にゼロが並ぶ初期符号列に復帰動作させる。こ
の実施例では、いずれの場合も、各ダイヤル50の窓孔
5にゼロが出現するような角度位置に各ダイヤル50を
強制回動させる構成となっているが、これに限らず、他
の決められた符号を各窓孔5に出現させる構成であって
もよい。
【0054】上記したダイヤル強制復帰動作を実現する
ために、この実施例では、前記作動軸20と平行に駆動
軸91を往復動可能かつ回動可能に設け、一方、各ダイ
ヤル50には従動ギヤ53をそれぞれ一体形成し、前記
駆動軸91上には、各ダイヤル50に対応する位置に、
各ダイヤル50の従動ギヤ53と噛み合うようにして駆
動ギヤ92がそれぞれ回動自由かつ駆動軸91上を摺動
自由に配備してある。さらに前記駆動軸91と各駆動ギ
ヤ92との間にはクラッチ機構93が介在させてあり、
前記駆動軸91,駆動ギヤ92,従動ギヤ53,および
クラッチ機構93と、前記した回動機構30および往復
動機構40とでダイヤル強制復帰機構90を構成してい
る。
【0055】前記駆動軸91は、先端部が前記往復動機
構40の軸支部44により回動自由に保持され、基端部
は箱状ケース6の端壁に設けられた軸受94により回動
自由かつ往復動自由に支持されている。前記の各駆動ギ
ヤ92は、アクチュエータ10の側にボス部95を一体
に備えており、前記ボス部95の端面には、前記クラッ
チ機構93を構成する複数個(この実施例では10個)
の切込溝96が一定角度毎に開設されている。
【0056】前記の各従動ギヤ53の外周の歯面には、
図12および図13に示すように、ダイヤル50が初期
符号列を生成する角度位置になったとき、対応する駆動
ギヤ92との噛み合いが外れるよう切欠部97が形成さ
れている。図12は、駆動ギヤ92と従動ギヤ53とが
噛み合った状態であり、駆動ギヤ92の回転力は従動ギ
ヤ53へ伝達されてダイヤル50は一体回動する。この
噛み合い状態のとき、従動ギヤ53の切欠部97は駆動
ギヤ92との噛み合い位置から外れており、窓孔5には
ゼロ以外の符号が出現している。図13は、駆動ギヤ9
2と従動ギヤ53との噛み合いが外れた状態であり、駆
動ギヤ92の回転力は従動ギヤ53へは伝達されず、ダ
イヤル50は一体回動しない。この状態のとき、従動ギ
ヤ53の切欠部97は駆動ギヤ92との対向位置にあ
り、窓孔5にはゼロの符号が出現している。このように
各従動ギヤ53の外周の歯面は、窓孔5にゼロが出現し
たときに駆動ギヤ92と噛み合うはずの部分のみが部分
的に切り欠かれている。従って窓孔5にゼロ以外の符号
が出現しているときは、駆動ギヤ92と従動ギヤ53と
は噛み合い、駆動ギヤ92から従動ギヤ53へ回転力が
伝達される。
【0057】前記クラッチ機構93は、駆動軸91の往
復動により駆動軸91と各駆動ギヤ92とを係脱させる
ことにより、各ダイヤル50への駆動軸91の回転力の
伝達をオン、オフするためのものである。この実施例で
は、駆動軸91の各駆動ギヤ92に対応する位置に、所
定長さの取付溝98をそれぞれ貫通させて開設すると共
に、各取付溝98に各駆動ギヤ92に複数設けられた切
込溝96に係脱する係合片99を取り付けて成る。
【0058】前記係合片99は、可撓性を有する合成樹
脂成形体であり、両側の固定端部100と自由端部10
1とを連結部102によりN型形状の連結した構造のも
のである。前記固定端部100は取付溝98のアクチュ
エータ10の側の溝端に固定され、自由端部101は取
付溝98の反対側の溝端に解放状態で係止してあり、前
記連結部102の撓み動作と復元動作とにより、自由端
部101が取付溝98の内部で軸方向へ往復摺動する。
この自由端部101は、両端が駆動軸91の周面より突
出しており、この両端の突出部が前記駆動ギヤ92のい
ずれか対角位置にある2個の切込溝96に係脱する。
【0059】図2の「開状態」および図5の「閉状態」
では、係合片99の自由端部101は駆動ギヤ92の切
込溝96とは係合していないが、図4の「開状態」から
「閉状態」への移行時や、図6および図7の「閉状態」
から「開状態」への移行時では、係合片99の自由端部
101は駆動ギヤ92のいずれかの切込溝96と係合す
る。「開状態」および「閉状態」において、係合片99
の自由端部101が駆動ギヤ92の切込溝96に対向位
置するとき、駆動軸91の移動に伴って係合片99の自
由端部101は駆動ギヤ92の切込溝96に係入する。
係合片99の自由端部101が駆動ギヤ92の切込溝9
6に対向位置していないとき、係合片99の自由端部1
01は駆動ギヤ92のボス部95の端面に一旦当接し、
駆動軸91がわずかに回動した時点で、撓み状態にある
連結部102の復元力により係合片99の自由端部10
1は駆動ギヤ92の切込溝96へ係入することになる。
【0060】なお、この発明の符号錠装置の実施に際し
ては、上記の機構の他に、各ダイヤル50を間欠動作さ
せて窓孔5に各符号を順次出現させかつ定位させる機
構、解錠符号列の設定または整列操作の後に回動操作を
行うことを順序付けるために初期符号列の整列状態では
アクチュエータ10を回動できないようにする機構、解
錠または施錠操作の操作途中で逆方向の戻し操作を禁止
して機構各部の誤作動や損傷を防止する機構などが組み
込まれるが、これら機構は、この発明の要旨と関係しな
いので、ここでは説明を省略する。また、この発明の特
徴をなすダイヤル強制復帰機構90は、上記した実施例
の構成に限らないことはいうまでもなく、特にクラッチ
機構93は、種々の構成態様のものを採択することが可
能である。
【0061】つぎに上記した構成の符号錠装置につい
て、この発明の特徴をなすダイヤル強制復帰機構90を
中心として施錠操作時および解錠操作時の一連の動作を
詳細に説明する。まず施錠操作時の動作について説明す
ると、符号錠装置が図1〜図3および図8に示された
「開状態」にあるとき、作動軸20は、先端のガイドロ
ーラ28がスリーブ15の開口部71および外筒13の
第1凹部70Aに嵌まり、アクチュエータ10の側へ最
も変位した「第1変位位置」にある。この状態では、各
ダイヤル50は各ロックギヤ52と係わりが切れた回動
自由な状態、すなわち各ダイヤル50の突子列61と各
ロックギヤ52の突子列64a,64bとの係合が外れ
た状態にあり、解錠符号を自在に設定することが可能で
ある。
【0062】いま各ダイヤル50のダイヤル操作板51
を回動操作して任意の解錠符号列に設定した後、撮み1
10を回動操作すると、作動軸20は、図4に示すよう
に、その先端のガイドローラ28がスリーブ15の外周
面に乗り上がる結果、アクチュエータ10と反対方向へ
変位し、図9に示す「第2変位位置」へ移行する。これ
により各ダイヤル50の突子列61と各ロックギヤ52
の一方の突子列64aとが係合した状態となり、設定さ
れた解錠符号が記憶保持される。またこの状態のとき作
動軸20と各ロックギヤ52とは、凸子82が凸子係合
溝84より脱出して係わりが切れており、さらにロック
ギヤ52の係合突起85は仕切板26の切欠86より脱
出している。
【0063】一方において、撮み110の回動操作によ
りアクチュエータ10が回動したとき、往復動機構40
の押圧ローラ41が可動体42を押圧して軸支部44が
ダイヤル強制復帰機構90の駆動軸91を移行させる。
この駆動軸91の移行によりクラッチ機構93が作動
し、駆動軸91と各駆動ギヤ92とを係合させる。
【0064】この往復動機構40の動作開始より少し遅
れて回動機構30のかさ歯車31がアクチュエータ10
と一体に回動を開始し、このかさ歯車31の回動がかさ
歯車32へ、かさ歯車32の回動が平歯車33へ、それ
ぞれ伝達される。その結果、駆動軸91と各駆動ギヤ9
2とが一体回動し、さらに各駆動ギヤ92の回動が各ダ
イヤル50の従動ギヤ53に伝達され、これにより各ダ
イヤル50が回動して解錠符号列が崩されることにな
る。各窓孔5にゼロが出現する位置まで各ダイヤル50
が回動したとき、従動ギヤ53の切欠部97が駆動ギヤ
92との対向位置へ到達し、駆動ギヤ92と従動ギヤ5
3との噛み合いが外れる。その結果、駆動ギヤ92の回
動は従動ギヤ53へ伝達されなくなり、ダイヤル50は
回動を直ちに停止する。
【0065】図5の「閉状態」に達すると、ロック機構
80のディスクタンブラー81が軸受筒14の錠孔19
へ係入し、作動片83を外筒13の側へ押し出す。一
方、作動軸20は、先端のガイドローラ26がスリーブ
15の開口部71へ嵌まって図10に示す「第3変位位
置」へ移行する。その結果、いずれかのロックギヤ52
の係合突起85が仕切板26の円形孔27の孔周縁に係
合して、ロック状態が生成される。このとき各ダイヤル
50の突子列61と各ロックギヤ52の突子列64bと
が係合して互いに係わり合った状態にある。
【0066】つぎに解錠操作時の動作について説明する
と、符号錠装置が図5および図10の「閉状態」にある
とき、各ダイヤル50は各ロックギヤ52と係わり合っ
た状態にありかつ各ロックギヤ52は作動軸20と係わ
りが切れた状態にあって、設定した解錠符号列を整列さ
せることが可能である。
【0067】いま各ダイヤル50のダイヤル操作板51
を回動操作して解錠符号列を整列させると、各ロックギ
ヤ52の凸子係合溝84の位置と、作動軸20上の対応
する凸子82の位置とが一致し、また各ロックギヤ52
の係合突起85の位置と各仕切板26の切欠86の位置
とが一致する。
【0068】つぎに撮み110をわずかに回動操作する
と、図6に示すように、外筒13が回動して、外筒13
の第2凹部70Bとスリーブ15の開口部71とが重な
り、作動軸20の先端のガイドローラ28はスリーブ1
5の開口部71より外筒13の第1凹部70Aへ嵌入し
て、作動軸20は「第1変位位置」に移行する。これに
よりガイドローラ28は作動片83を錠孔19内へ退避
させると共に、ディスクタンブラー81を錠孔19より
押し出して施錠状態を解除する。
【0069】さらに撮み110を回動操作すると、図7
に示すように、作動軸20の先端のガイドローラ28が
外筒13の外周面に乗り上がり、その結果、作動軸20
は図11に示す「第3変位位置」へ移行し、各ロックギ
ヤ52と各ダイヤル50とは係わりが切れた状態、すな
わち突子列61が摺動凹溝64に位置する状態となる。
またこの状態のとき作動軸20と各ロックギヤ52と
は、凸子82が凸子係合溝84と係合して係わり合った
状態となっており、さらにロックギヤ52の係合突起8
5は仕切板26の円形孔27の孔周縁との係合が外れた
状態にある。
【0070】一方において、撮み110の回動操作によ
りアクチュエータ10が回動したとき、前記と同様、往
復動機構40の押圧ローラ41が可動体42を押圧して
軸支部44がダイヤル強制復帰機構90の駆動軸91を
移行させる。この駆動軸91の移行によりクラッチ機構
93が作動し、駆動軸91と各駆動ギヤ92とを係合さ
せる。
【0071】この往復動機構40の動作開始より少し遅
れて回動機構30のかさ歯車31がアクチュエータ10
と一体に回動を開始し、このかさ歯車31の回動がかさ
歯車32へ、かさ歯車32の回動が平歯車33へ、それ
ぞれ伝達される。その結果、駆動軸91と各駆動ギヤ9
2とが一体回動し、さらに各駆動ギヤ92の回動が各ダ
イヤル50の従動ギヤ53に伝達され、これにより各ダ
イヤル50が回動して解錠符号列が崩されることにな
る。各窓孔5にゼロが出現する位置まで各ダイヤル50
が回動したとき、従動ギヤ53の切欠部97が駆動ギヤ
92との対向位置へ到達し、駆動ギヤ92と従動ギヤ5
3との噛み合いが外れる。その結果、駆動ギヤ92の回
動は従動ギヤ53へ伝達されなくなり、ダイヤル50は
回動を直ちに停止する。
【0072】
【発明の効果】この発明は上記の如く、解錠符号列の設
定後の施錠操作により各ダイヤルを強制的に回動させる
ことにより、解錠符号列を崩し、所定の初期符号列に復
帰動作させるようにしたから、符号錠装置の信頼性を大
幅に高めることができる。また作動軸と平行に駆動軸を
設け、この駆動軸上にダイヤル強制復帰機構を構成した
から、作動軸に掛かる負荷を軽減でき、円滑な施錠操作
および解錠操作を実現できる。さらにダイヤル強制復帰
機構を構成する従動ギヤの歯面に切欠部を形成し、ダイ
ヤルが初期符号列を生成する角度位置になったとき、従
動ギヤと駆動ギヤとの噛み合いが外れるように構成した
から、各ダイヤルは確実に所定の初期符号列に復帰させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる符号錠装置の外観を示す平面
図である。
【図2】符号錠装置の内部構造を示す一部を破断した平
面図である。
【図3】符号錠装置の内部構造を示す一部を破断した正
面図である。
【図4】符号錠装置の動作を示す一部を破断した平面図
である。
【図5】符号錠装置の動作を示す一部を破断した平面図
である。
【図6】符号錠装置の動作を示す一部を破断した平面図
である。
【図7】符号錠装置の動作を示す一部を破断した平面図
である。
【図8】符号錠装置の内部構造を示す主要部の断面図で
ある。
【図9】符号錠装置の動作を示す主要部の断面図であ
る。
【図10】符号錠装置の動作を示す主要部の断面図であ
る。
【図11】符号錠装置の動作を示す主要部の断面図であ
る。
【図12】駆動ギヤと従動ギヤとの噛み合い状態を示す
側面図である。
【図13】駆動ギヤと従動ギヤとの噛み合い状態を示す
側面図である。
【図14】回動機構のかさ歯車を示す平面図である。
【図15】ダイヤルの側面図である。
【図16】ロックギヤの断面図である。
【図17】ロックギヤの側面図である。
【符号の説明】
10 アクチュエータ 20 作動軸 30 回動機構 40 往復動機構 50 ダイヤル 53 従動ギヤ 60 解錠符号列設定機構 80 ロック機構 90 ダイヤル強制復帰機構 91 駆動軸 92 駆動ギヤ 93 クラッチ機構 97 切欠部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の符号が表された複数個のダイヤル
    と、各ダイヤルを決められた位置で回動可能に支持する
    作動軸と、解錠操作および施錠操作に応動するアクチュ
    エータと、各ダイヤルによる解錠符号列の設定が可能な
    解錠符号列設定機構と、解錠符号列の整列時はアクチュ
    エータの作動を許容し不整列時はアクチュエータの作動
    を規制するロック機構と、施錠操作により各ダイヤルを
    前記作動軸上で回動させて所定の初期符号列に復帰動作
    させるダイヤル強制復帰機構とを備えて成り、 前記ダイヤル強制復帰機構は、 各ダイヤルに一体に設けられた従動ギヤと、 前記作動軸と平行に往復動および回動が可能に設けられ
    た駆動軸と、 前記アクチュエータと駆動軸との間に設けられ、アクチ
    ュエータの作動に応動して駆動軸を往復動させる往復動
    機構と、 前記アクチュエータと駆動軸との間に設けられ、アクチ
    ュエータの作動に応動して駆動軸を回動させる回動機構
    と、 各ダイヤルの従動ギヤと噛み合うようにして前記駆動軸
    上の各ダイヤルに対応する位置に回動自由に配備された
    駆動ギヤと、 前記駆動軸と各駆動ギヤとの間に設けられ、前記駆動軸
    の往復動により駆動軸と各駆動ギヤとを係脱させるクラ
    ッチ機構とを備えており、 前記の各従動ギヤの歯面には、各ダイヤルが前記初期符
    号列を生成する角度位置になったとき、駆動ギヤとの噛
    み合いが外れるよう切欠部が形成されて成る符号錠装
    置。
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