JP3355167B2 - 扉用錠装置 - Google Patents

扉用錠装置

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JP3355167B2
JP3355167B2 JP2000008650A JP2000008650A JP3355167B2 JP 3355167 B2 JP3355167 B2 JP 3355167B2 JP 2000008650 A JP2000008650 A JP 2000008650A JP 2000008650 A JP2000008650 A JP 2000008650A JP 3355167 B2 JP3355167 B2 JP 3355167B2
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初夫 中井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動販売機や券売機
の扉などに用いられる扉用錠装置に関し、特にこの発明
は、扉錠の操作部分を塞ぐ防護カバーを備えた扉用錠装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動販売機の扉用錠装置として、
扉にシリンダ錠を単に組み込んだだけのものや、シリン
ダ錠と扉開閉操作用のハンドルとを組み合わせたものを
扉に組み込んだものなどが提案されている。この種の扉
用錠装置では、シリンダ錠の鍵孔に適正な鍵を挿入して
解錠または施錠の操作すると、掛け金具が正逆回動する
ことにより、自動販売機の本体部に設けられた受け金具
と係脱し、扉の開閉が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した扉用錠装置で
は、シリンダ錠の鍵孔が露出しているため、鍵孔に電気
ドリルのような工具の先端を突っ込んでシリンダ錠を破
壊するという悪質な事件が多発している。また、自動販
売機の販売物品の補充や売上金額の回収は特定の業者に
よって行われるが、その関係者が自動販売機の合い鍵を
製作した上で退職し、退職後に前記合い鍵を用いて自動
販売機より販売物品や貨幣を詐取するというような犯罪
行為も発生している。
【0004】この発明は、上記問題に着目してなされた
もので、扉錠の操作部分を防護カバーで塞ぐとともに、
合い鍵を所持しているだけでは扉を開放できない構成と
することにより、防犯効果に優れた扉用錠装置を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる扉用錠
装置は、扉を施錠するための扉錠と、扉錠の操作部分を
塞ぐための開閉可能な防護カバーと、防護カバーを閉じ
た状態に保持するために防護カバーと係脱が可能なロッ
ク部材と、防護カバーと係合状態にあるロック部材の動
作を規制するためのダイヤル錠と、扉の前面への出没が
可能な扉開閉操作用のハンドルと、ハンドルが扉の前面
に突き出ない状態に保持する保持部材とから成る。前記
ダイヤル錠は、複数個のダイヤルと、解錠のための各ダ
イヤルの符号を記憶する記憶機構と、解錠により往復動
が可能となり施錠により往復動が不能となる作動軸とを
備える。前記作動軸の一端は、作動軸の往復動が可能な
状態でロック部材の動作を可能とし、作動軸の往復動が
不能な状態でロック部材の動作を不能とするストッパを
構成する。作動軸の他端は、作動軸の動作により保持部
材の保持状態を解除動作させる操作部を構成する。
【0006】
【作用】この扉用錠装置では、ダイヤル錠が施錠状態に
あるときは、扉錠の操作部分が防護カバーで塞がれた状
態に保持されるので、扉錠を解錠操作することができな
い。また、扉開閉操作用のハンドルは、保持部材により
扉の前面に突き出ない状態に保持されるので、ハンドル
を操作できない。ダイヤル錠の各ダイヤルを操作し、
錠のための各ダイヤルの符号(以下、「解錠符号」とい
う。)を揃えると、ダイヤル錠が解錠して作動軸の往復
動が可能となる。その結果、防護カバーと係合状態にあ
るロック部材の動作が可能となるので、ロック部材を動
作させて防護カバーを開くことにより、扉錠の操作部分
が現れて解錠操作できる状態となる。また、作動軸の動
作により保持部材の保持状態が解除されるので、扉開閉
操作用のハンドルが扉の前面より突出し、ハンドルを持
って扉を開くことができる。
【0007】
【実施例】図1および図2は、この発明の一実施例であ
る扉用錠装置100の外観を示す。また、図3および図
4は、この扉用錠装置100の内部構造を示す。この扉
用錠装置100は自動販売機の扉に取り付けられるもの
で、90度の範囲で正逆回動する掛け金具101を有す
る。この掛け金具101は、施錠および解錠操作により
自動販売機の本体部に取り付けられた受け金具102に
係脱する。
【0008】図示例の扉用錠装置100は、ケース体9
の前面開口が前面プレート1で塞がれるとともに、前面
プレート1の前面に平板状の防護カバー41が配備され
て成る。防護カバー41の両端縁は、前面プレート1の
両側縁に形成されたレール部6,6に摺動自由に係合さ
せてある。
【0009】ケース体9の内部には、扉錠を構成するシ
リンダ錠10と、前記防護カバー41の開放を規制する
ロック部材30と、ダイヤル錠70を構成する各機構
と、扉開閉操作用のハンドル110とが組み込まれる。
前記シリンダ錠10の鍵孔10aは前面プレート1に形
成された円形の開口部2に臨ませてあり、この鍵孔10
aを前記防護カバー41が上方より塞いでいる。ダイヤ
ル錠70を構成する4個のダイヤル50は、前面プレー
ト1に形成された4個の窓孔4より外周面が突出させて
ある。各ダイヤル50の外周面には「0」から「9」の
符号が表されている。
【0010】この実施例では、扉錠として、鍵操作で施
錠および解錠されるシリンダ錠10が用いてあるが、こ
のシリンダ錠10に代えて、キー操作で施錠および解錠
される電子錠を用いることも可能である。電子錠を用い
た場合は、キー操作部が防護カバー41で塞がれる。
【0011】以下、上記したシリンダ錠10、ダイヤル
錠70、防護カバー41、ロック部材30、および扉開
閉操作用のハンドル110に加えて、ハンドル110が
扉の前面に突き出ない状態に保持する保持部材91につ
いて、項目を分けて詳細に説明する。
【0012】なお、以下の説明では、掛け金具101が
受け金具102に係合した状態を「扉閉状態」、掛け金
具101が受け金具102より外れた状態を「扉開状
態」という。また、防護カバー41がシリンダ錠10の
鍵孔10aを塞いだ状態を「カバー閉状態」といい、こ
の「カバー閉状態」がダイヤル錠70によりロック保持
されている状態を「カバーロック状態」、ダイヤル錠7
0がロック解除された状態を「カバーロック解除状態」
という。一方、防護カバー41が開いてシリンダ錠10
の鍵孔10aが出現した状態を「カバー開状態」とい
う。さらに、「カバー開状態」から「カバーロック状
態」へ至る操作を「カバー閉操作」、「カバーロック状
態」から「カバー開状態」へ至る操作を「カバー開操
作」という。
【0013】図1〜図10は「扉閉状態」を、図11お
よび図12は「扉開状態」を、それぞれ示す。図1〜図
10のうち、図1〜図4は「カバーロック状態」を、図
5および図6は「カバーロック解錠状態」を、図7およ
び図8は「カバー開操作」の状態を、図9および図10
は「カバー開状態」を、それぞれ示す。なお、図13〜
図16は、解錠符号の設定または変更時の状態を示す。
【0014】(1)シリンダ錠10についてシリンダ錠
10は、鍵103による解錠または施錠操作で一体に回
動する内筒11と、内筒11の外周に嵌められた回動可
能な前部外筒12と、内筒11の外周に嵌められた回動
不能な後部外筒13とで構成される。
【0015】内筒11の内部には、図示していないが、
鍵孔10aへの鍵103の挿入により作動する複数のデ
ィスクタンブラーより成る錠機構が組み込んである。鍵
103が挿入されていない状態では、一部のディスクタ
ンブラーが後部外筒13の内周面に設けられた溝に係合
し、内筒11が後部外筒13に一体化されて回動が規制
される。鍵103が挿入されると、前記の一部のディス
クタンブラーが作動して後部外筒13の溝との係合が外
れるため、内筒12の回動が可能となる。
【0016】前部外筒12は、鍵103が挿入されてい
ない状態では、ディスクタンブラーが揃って内筒11と
の係合が外れている。鍵103が挿入されると、ディス
クタンブラーが作動し、前部外筒12の溝に係合して内
筒11と前部外筒12とが一体化し、一体回動が可能と
なる。鍵103を紛失したときにマスター鍵を用いる
と、ディスクタンブラーの前部外筒12との係合が外
れ、内筒11のみが回動可能となる。
【0017】(2)ダイヤル錠70についてダイヤル錠
70は、作動軸20上にそれぞれロックギヤ55を介し
て4個のダイヤル50が回動可能に配備されて成るもの
で、ロック機構80と記憶機構60とを備える。
【0018】前記作動軸20は、前記前部外筒12の外
周面に突き当たる半球状の先端面21を有する。前部外
筒12の外周面には、作動軸20の先端面21と対向す
る位置に、凹部16が形成されている。作動軸20の基
端面には支え軸22が突設され、この支え軸22は後部
ブッシュ62に支持される。作動軸20の先端部分は前
部ブッシュ61に支持される。作動軸20は、後述する
「ロック解除状態」で、シリンダ錠10と直交する方向
に往復動可能である。前記支え軸22上には復帰ばね2
6が装着され、そのばね力で作動軸20は常時、シリン
ダ錠10の方向へ付勢される。作動軸20の軸周面に
は、一定間隔毎にロック機構80を構成する4個の凸子
82がそれぞれ同じ角度位置に突設してある。
【0019】各ダイヤル50は、図17および図18に
示すように、一端部の外周面に「0」〜「9」の符号が
表されたダイヤル操作部51と、他端部の外周面にギヤ
面が形成されたボス部52とがそれぞれ一体形成されて
成る。
【0020】前記ロック機構80は、ロック部材30の
動作とシリンダ錠10の前部外筒12の回動とを制御す
るために、各窓孔4に現れた各ダイヤル50の符号がす
べて解錠符号であるとき、作動軸20の往復動を可能と
し、各窓孔4に現れたいずれかのダイヤル50の符号が
解錠符号でないとき、作動軸20の往復動を不能とする
ものである。この実施例のロック機構80は、作動軸2
0の軸周面に突設された4個の凸子82と、図19およ
び図20に示すように、各ロックギヤ55の一端の内周
面に設けられた周溝83と、各ロックギヤ55の内周面
および前部ブッシュ61の内周面に軸方向に設けられた
凸子係合溝81とで構成される。
【0021】作動軸20は、復帰ばね26のばね力を受
けて、先端面21が前部外筒12の凹部16に入り込む
ようになっている。作動軸20の各凸子82は、解錠符
号が揃っていない図3および図4に示す「カバーロック
状態」のとき、各ロックギヤ55の周溝83内であっ
て、隣のロックギヤの前端面との間に係入されるため、
作動軸20の往復動を不能にしている。以下、作動軸2
0の往復動が規制されている状態を、「ロック規制状
態」という。
【0022】この「ロック規制状態」のとき、各ダイヤ
ル50は各ロックギヤ55と一体化されており、各ダイ
ヤル50を回動操作して解錠符号を揃えると、図5およ
び図6に示すように、各ロックギヤ55の凸子係合溝8
1が作動軸20の各凸子82上に揃うので、作動軸20
の往復動が可能となる。以下、作動軸20の往復動が可
能な状態を「ロック解除状態」という。
【0023】先端面21を有する作動軸20の一端は、
作動軸20の往復動が可能な「ロック解除状態」でロッ
ク部材30の動作およびシリンダ錠10の前部外筒12
の回動を可能とし、作動軸20の往復動が不能な「ロッ
ク規制状態」でロック部材30の動作およびシリンダ錠
10の前部外筒12の回動を不能とするストッパを構成
している。また、支え軸22を有する作動軸20の他端
は、作動軸20の動作により扉開閉操作用のハンドル1
10の保持部材91の保持状態を解除動作させる操作部
を構成する。
【0024】前記記憶機構60は、各ダイヤル50の解
錠符号を自在に設定しかつ記憶させるための機構であ
り、操作具57の操作により各ロックギヤ55を往復変
位させるための変位機構と、各ダイヤル50と各ロック
ギヤ55との係わり状態を設定するための噛合機構とか
ら成る。
【0025】前記変位機構は、ケース体9の背部へ突出
する操作具57と、作動軸20の先端部分に摺動自由に
嵌められた前部ブッシュ61と、各ロックギヤ55を前
部ブッシュ61を介して後部ブッシュ62の方向へ付勢
する圧縮ばね68とを含む。
【0026】前記操作具57は、下端面がテーパ状の押
圧面58に形成された軸状体であり、一定のストローク
だけ移動可能なようにケース体9に支持されている。操
作具57の前記押圧面58は、後部ブッシュ62の外周
面に突設された凸部63に当接する。前部ブッシュ61
は、圧縮ばね68のばね力により、後端縁が先頭のロッ
クギヤ55に突き当たり、開口した先端縁が前部外筒1
2の凹部16上に臨むように配備される。前部ブッシュ
61の先端開口からは作動軸20の先端面21が突出す
る。
【0027】操作具57が押操作されると、図13およ
び図14に示すように、操作具57の押圧面58が後部
ブッシュ62の凸部63を加圧し、後部ブッシュ62を
圧縮ばね68のばね力に抗してシリンダ錠10の方向へ
付勢する。各ロックギヤ55および前部ブッシュ61は
後部ブッシュ62に押され、作動軸20の先端側へ変位
し、前部ブッシュ61の先端縁が前部外筒13の凹部1
6へ入り込む。この状態のとき、各ロックギヤ55はシ
リンダ錠10の側へ最も変位している。
【0028】操作具57の押操作を解除すると、図15
および図16に示すように、前部ブッシュ61の先端縁
は、圧縮ばね68のばね力により前部外筒12の凹部1
6から脱出するので、各ロックギヤ55および後部ブッ
シュ62が操作具57の押操作前の位置に復帰する。こ
のとき、後部ブッシュ62の凸部63は、操作具57の
押圧面58を押し上げ、操作具57は待機位置まで復帰
動作する。
【0029】つぎに、噛合機構は、図18に示すよう
に、各ダイヤル50の内周面に形成された10個の凹欠
64と、図19および図20に示すように、各ロックギ
ヤ55の外周面に突設された10個の突子65とで構成
される。各ダイヤル50の凹欠64と、対応するロック
ギヤ55の突子65との噛み合い角度位置、すなわちロ
ックギヤ55に対するダイヤル50の嵌合角度位置は符
号数に相当する数だけ存在するので、解錠符号は、両者
の嵌合角度位置に応じて、10とおり設定可能である。
【0030】前記操作具57の押操作時に、作動軸20
に対して前部ブッシュ61および各ロックギヤ55は変
位した状態にあるので、各ダイヤル50の凹欠64は各
ロックギヤ55の突子65と噛み合っておらず、各ダイ
ヤル50とロックギヤ55との係わりは切れている。従
って、各ダイヤル50は、単独で回動が可能であり、任
意の解錠符号を設定できる。
【0031】操作具57の押操作を解除すると、図15
および図16に示すように、圧縮ばね68のばね力によ
り前部ブッシュ61が各ロックギヤ55を押し戻して元
の位置へ戻す。この状態では、各ダイヤル50は各ロッ
クギヤ55と係わり合った状態、すなわち各ダイヤル5
0の凹欠64と各ロックギヤ55の突子65とが噛み合
った状態となり、各ダイヤル50の設定された解錠符号
が記憶保持される。
【0032】(3)防護カバー41について防護カバー
41は、シリンダ錠10の鍵孔10aを塞ぐためのもの
で、ロック部材30の後述する係合部31が内側より係
脱する係合孔42が板面を貫通して開設されている。こ
の係合孔42は、孔周縁が防護カバー41の外面より内
面に向かって下拡がりの傾斜面44a,44bに形成さ
れている。
【0033】この防護カバー41は、ダイヤル錠70の
ロック機構80が「ロック解除状態」のときは、開放の
ためのスライド操作が可能である。一方、ロック機構8
0が「ロック規制状態」のときは、開放のためのスライ
ド操作が不能である。なお、この実施例の防護カバー4
1は、スライド動作により鍵孔10aを開閉する方式の
ものであるが、これに限らず、起伏動作により鍵孔10
aを開閉する方式のものであってもよい。
【0034】(4)ロック部材30についてロック部材
30は、防護カバー41を閉じた状態に保持するために
防護カバー41と係脱が可能に構成されるもので、図2
1に示すように、往復動板33の一端に、抜止部36を
介して係合部31が形成されている。この係合部31
は、防護カバー41の係合孔42に係脱するもので、係
合孔42の傾斜面44a、44bに沿う傾斜面31a,
31bを備える。往復動板33は、図22に示すよう
に、シリンダ錠10の前部外筒12に形成された支持溝
18に沿って往復動するもので、係合部31と反対側の
端部にはダイヤル錠70の作動軸20の先端面21に突
き当たるテーパ状の押圧面34が形成されている。
【0035】(5)扉開閉操作用のハンドル110およ
び保持部材91についてハンドル110は、図4および
図23に示すように、筒軸体の前端部に外周方向へ張り
出した操作用の撮み111が、後端部に保持部材91と
係脱する段部112が、それぞれ一体形成されて成る。
ハンドル110は、ケース体9の内部に、前面プレート
1に形成された円形の開口部5より撮み111が出没す
るように収納配備されるもので、前記段部112とケー
ス体9の底部との間に圧縮ばね113を介在させること
により、ハンドル110を前面プレート1の側へ付勢し
ている。
【0036】保持部材91は、ハンドル110の撮み1
11が前面プレート1より突き出ない状態に保持するた
めのもので、作動軸20の支え軸22の後方位置に配備
される。この保持部材91のほぼ長さ中央には支軸93
が突設され、この支軸93がケース体9に回動自由に支
持されている。保持部材91にはばね92が装着され、
一方の端部95をハンドル110の段部112に引っ掛
けることにより、撮み111が前面プレート1より突き
出ないようにハンドル110を保持する。保持部材91
の他方の端部94は作動軸20の支え軸22に対向位置
し、作動軸20が動作して支え軸22が保持部材91の
端部94を押圧したとき、保持部材91が回動して端部
95とハンドル110の段部112との係合が外れ、ハ
ンドル110は拘束状態が解除される。
【0037】つぎに、上記した構成の扉用錠装置100
について、解錠操作時および施錠操作時の一連の動作を
説明する。まず、解錠操作時の動作について説明する
と、扉用錠装置100が図1〜図4に示された「カバー
ロック状態」にあるとき、ダイヤル錠70は各ダイヤル
50の解錠符号が揃っておらず、作動軸20の往復動が
不能な「ロック規制状態」にある。この状態では、ロッ
ク部材30により防護カバー41は閉じた状態に保持さ
れるので、防護カバー41をスライド操作できず、シリ
ンダ錠10の鍵孔10aは防護カバー41により塞がれ
た状態にある。各ダイヤル50を回動操作し、図5およ
び図6に示すように、所定の解錠符号に揃えると、ダイ
ヤル錠70は作動軸20の往復動が可能な「ロック解除
状態」となり、防護カバー41をスライド操作すること
が可能となる。
【0038】防護カバー41をスライド操作すると、ス
ライド当初、防護カバー41の係合孔42に係合したロ
ック部材30の係合部31は、その傾斜面31aが前記
係合孔42の傾斜面44aにより押される結果、ロック
部材30は前部外筒12の支持溝18に沿って移動し、
ロック部材30の押圧面34が作動軸20の先端面21
を押す。
【0039】防護カバー41をさらにスライドさせる
と、図7および図8に示すように、ロック部材30の係
合部31は防護カバー41の内側へ引っ込み、作動軸2
0の先端面21はロック部材30の押圧面34により完
全に押し込まれる結果、支え軸22の後端部がハンドル
110の保持部材91の端部94に突き当たる。これに
より保持部材91は、ばね92のばね力に抗して支軸9
3を中心として回動し、端部95とハンドル110の段
部112との係合が外れる。その結果、ハンドル110
は圧縮ばね113のばね力により前面パネル1の開口部
5より前面へ突出する。
【0040】防護カバー41を最終位置までスライドさ
せて、図9および図10に示す「カバー開状態」に至る
と、ロック部材30の係合部31は防護カバー41によ
り押し付けられた状態から解放される結果、作動軸20
は復帰ばね26のばね力でシリンダ錠10の側へ付勢さ
れ、作動軸20の先端面21はロック部材30を押し上
げるとともに、シリンダ錠10の前部外筒12の凹部1
6に嵌り込み、ロック部材30はもとの位置に戻る。
【0041】防護カバー41を開放することにより、シ
リンダ錠10の鍵孔10aが外部に現れるので、鍵孔1
0aに鍵103を挿入して鍵操作することが可能とな
る。鍵挿入時、作動軸20の先端面21は、図22
(1)に示すように、前部外筒12の凹部16に入り込
んでいるが、鍵103を解錠方向へ回動操作すると、図
22(2)に示すように、内筒11および前部外筒12
が一体回動し、復帰ばね26のばね力に抗して作動軸2
0の先端面21が前記凹部16に連続する傾斜面17に
より押圧される。鍵103を90度回し切ると、作動軸
20の先端面21は、図22(3)に示すように前部外
筒12の外周面に乗り上がり、作動軸20はさらに押し
込まれることになる。
【0042】なお、防護カバー41を破壊したり、不正
に取り外したりした上で、シリンダ錠10を解錠操作し
ようとしても、ダイヤル錠70が施錠状態にある限り、
作動軸20の往復動が不能であるから、シリンダ錠10
の解錠操作は阻止される。
【0043】つぎに、施錠操作時の動作について説明す
ると、鍵103を施錠方向へ回動操作すると、内筒11
および前部外筒12が一体回動し、作動軸20の先端面
21は、復帰ばね26のばね力により前部外筒12の外
周面から傾斜面17に沿って移動し、凹部16内へ入り
込む。
【0044】つぎに防護カバー41を前記と逆方向へス
ライドさせると、防護カバー41がロック部材30を作
動軸20の方向へ押し付けた後、ロック部材30の係合
部31が防護カバー41の係合孔42に係入する。その
後、ハンドル110を押し込むと、保持部材91の端部
94がハンドル110の段部112と係合し、ハンドル
110は押し込まれた状態に保持される。ダイヤル錠7
0の各ダイヤル50は各ロックギヤ55と係わり合った
状態にあり、かつ各ロックギヤ55は作動軸20と係わ
りが切れた状態にあるので、各ダイヤル50を操作し
て、揃っている解錠符号を狂わせることによりダイヤル
錠70を施錠状態にする。
【0045】上記した実施例は、ダイヤル錠70の作動
軸20の先端部をシリンダ錠10の外筒部に形成した凹
部16に係合させることによりシリンダ錠10とダイヤ
ル錠70との間に関わりを持たせ、これにより防護カバ
ー41が破壊された上でシリンダ錠10が解錠操作され
ることがあっても、シリンダ錠10を解錠できないよう
にしているが、構造の簡易化、組立や調整作業の容易化
をはかるために、図24に示す実施例のように、シリン
ダ錠10とダイヤル錠70との間に関わりを持たせない
ように構成することもできる。
【0046】図24の実施例におけるロック部材135
は、軸状体であり、その一端部に係合部136が、他端
部の軸周面に凹溝137とが、それぞれ形成される。ロ
ック部材135の係合部136は防護カバー141に形
成された係合溝142に係入され、凹溝137内には作
動軸20の先端部が係入している。
【0047】作動軸20の往復動が可能となった「ロッ
ク解除状態」のとき、防護カバー141をスライドさせ
ると、ロック部材135の係合部136と防護カバー1
41の係合溝142との係合が外れ、ロック部材135
は作動軸20の方向へ押される。これにより、凹溝13
7内から作動軸20の先端部が押し出されるので、作動
軸20は復帰ばね26のばね力に抗してハンドル110
の方向へ付勢される。
【0048】
【発明の効果】この発明によれば、扉錠の操作部分を防
護カバーで塞ぐとともに、この防護カバーはダイヤル錠
の解錠によって開放可能としたから、ダイヤル錠が解錠
状態にならなければ防護カバーを開放できず、扉錠の操
作部分に対する破壊行為を防止できる。また、ダイヤル
錠が解錠したときに扉開閉操作用のハンドルが使用可能
となるから、ダイヤル錠を解錠できない限り、ハンドル
操作が不能であり、防犯効果が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である扉用錠装置の外観を
示す平面図である。
【図2】この発明の一実施例である扉用錠装置の外観を
示す側面図である。
【図3】「カバーロック状態」のときの扉用錠装置の水
平断面図である。
【図4】「カバーロック状態」のときの扉用錠装置の垂
直断面図である。
【図5】「カバーロック解除状態」のときの扉用錠装置
の水平断面図である。
【図6】「カバーロック解除状態」のときの扉用錠装置
の垂直断面図である。
【図7】「カバー開操作」のときの扉用錠装置の水平断
面図である。
【図8】「カバー開操作」のときの扉用錠装置の垂直断
面図である。
【図9】「カバー開状態」のときの扉用錠装置の水平断
面図である。
【図10】「カバー開状態」のときの扉用錠装置の垂直
断面図である。
【図11】「扉開状態」のときの扉用錠装置の水平断面
図である。
【図12】「扉開状態」のときの扉用錠装置の垂直断面
図である。
【図13】ダイヤル錠の記憶動作を説明するための扉用
錠装置の水平断面図である。
【図14】ダイヤル錠の記憶動作を説明するための扉用
錠装置の垂直断面図である。
【図15】ダイヤル錠の記憶動作を説明するための扉用
錠装置の水平断面図である。
【図16】ダイヤル錠の記憶動作を説明するための扉用
錠装置の垂直断面図である。
【図17】ダイヤルの側面図である。
【図18】ダイヤルの平面図である。
【図19】ロックギヤの側面図である。
【図20】ロックギヤの断面図である。
【図21】ロック部材の斜視図である。
【図22】シリンダ錠の動作を示す平面図である。
【図23】扉用錠装置の一部を破断した正面図である。
【図24】扉用錠装置の他の実施例の一部を破断した平
面図である。
【符号の説明】
10 シリンダ錠 11 内筒 12 前部外筒 13 後部外筒 20 作動軸 30 ロック部材 41 防護カバー 70 ダイヤル錠 60 記憶機構 91 保持部材 110 ハンドル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E05B 65/02 E05B 65/06 E05B 37/02 E05B 17/18 E05B 35/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 扉に取り付けられる扉用錠装置であっ
    て、 扉を施錠するための扉錠と、扉錠の操作部分を塞ぐため
    の開閉可能な防護カバーと、防護カバーを閉じた状態に
    保持するために防護カバーと係脱が可能なロック部材
    と、防護カバーと係合状態にあるロック部材の動作を規
    制するためのダイヤル錠と、扉の前面への出没が可能な
    扉開閉操作用のハンドルと、ハンドルが扉の前面に突き
    出ない状態に保持する保持部材とから成り、 前記ダイヤル錠は、複数個のダイヤルと、解錠のための
    各ダイヤルの符号を記憶する記憶機構と、解錠により往
    復動が可能となり施錠により往復動が不能となる作動軸
    とを備えており、 前記作動軸の一端は、作動軸の往復動が可能な状態でロ
    ック部材の動作を可能とし、作動軸の往復動が不能な状
    態でロック部材の動作を不能とするストッパを構成する
    ようにし、 作動軸の他端は、作動軸の動作により保持部材の保持状
    態を解除動作させる操作部を構成するようにした扉用錠
    装置。
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