JP2768895B2 - 舶用球形タンクの建造方法 - Google Patents
舶用球形タンクの建造方法Info
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- JP2768895B2 JP2768895B2 JP5333315A JP33331593A JP2768895B2 JP 2768895 B2 JP2768895 B2 JP 2768895B2 JP 5333315 A JP5333315 A JP 5333315A JP 33331593 A JP33331593 A JP 33331593A JP 2768895 B2 JP2768895 B2 JP 2768895B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この出願に係る発明は、船舶の船
体内部に球形タンクを内蔵する、いわゆるＬＮＧ船用の
球形タンクの建造方法に関する。
体内部に球形タンクを内蔵する、いわゆるＬＮＧ船用の
球形タンクの建造方法に関する。
【０００２】
【従来技術およびその課題】ＬＮＧ船に搭載される球形
タンクの建造は、タンク本体の材質がアルミ合金等の特
殊金属であるため、溶接工事等は、風、湿度、ほこり、
金属粉等が品質に悪影響を及ぼさないように、独立した
室内で施工しなければならない。また船内に搭載される
タンクブロック（通常、南半球、赤道リングおよび北半
球に分割されている）も船内工事を少なくするためには
極力大きい方が効率が良いが、それらは建屋の大きさ、
クレーンの能力から制限されるのが現状である。
タンクの建造は、タンク本体の材質がアルミ合金等の特
殊金属であるため、溶接工事等は、風、湿度、ほこり、
金属粉等が品質に悪影響を及ぼさないように、独立した
室内で施工しなければならない。また船内に搭載される
タンクブロック（通常、南半球、赤道リングおよび北半
球に分割されている）も船内工事を少なくするためには
極力大きい方が効率が良いが、それらは建屋の大きさ、
クレーンの能力から制限されるのが現状である。
【０００３】そこで、従来の舶用球形タンクの建造方法
としては大きく分けて次の2 通りが採用されている。
としては大きく分けて次の2 通りが採用されている。
【０００４】 一つは、球形タンクを製作するための
専用工場のような巨大な建屋の中で、南半球、赤道リン
グおよび北半球をそれぞれ接合して球形タンクを構築完
成させ、同時にスカート部も装着して完成させた後、大
型クレーンにより船内に一括搭載する方法である。
専用工場のような巨大な建屋の中で、南半球、赤道リン
グおよび北半球をそれぞれ接合して球形タンクを構築完
成させ、同時にスカート部も装着して完成させた後、大
型クレーンにより船内に一括搭載する方法である。
【０００５】この方法は、船内工事が最小となり、最も
効率的な工事方法であるが、巨大な建屋、大能力のクレ
ーン等が必要となり、その設備に多額の設備投資が必要
となる。
効率的な工事方法であるが、巨大な建屋、大能力のクレ
ーン等が必要となり、その設備に多額の設備投資が必要
となる。
【０００６】 二つには、特公昭６１−４５５９４号
および特公昭６１−４５７４３号公報に記載されている
建造方法である。
および特公昭６１−４５７４３号公報に記載されている
建造方法である。
【０００７】図7 (a) 〜(e) は、上記２つの公報の記載
内容から従来の球形タンクの建造工程を経時的に示した
ものである。すなわち、球形タンクの各タンクブロック
を工場建屋内で製作してから船内に個々に搭載して船内
で順次接合する方法であって、まず船底部に円形状のタ
ンク支持材３０を仮セットし( 図(a))、その上に南半球
Ｓ( 図(b))を搭載し、その後図示していないが赤道、パ
イブタワー、北半球、ドームといったタンクの各ブロッ
クを搭載し、そしてスカートを仮搭載する。
内容から従来の球形タンクの建造工程を経時的に示した
ものである。すなわち、球形タンクの各タンクブロック
を工場建屋内で製作してから船内に個々に搭載して船内
で順次接合する方法であって、まず船底部に円形状のタ
ンク支持材３０を仮セットし( 図(a))、その上に南半球
Ｓ( 図(b))を搭載し、その後図示していないが赤道、パ
イブタワー、北半球、ドームといったタンクの各ブロッ
クを搭載し、そしてスカートを仮搭載する。
【０００８】この場合、特公昭６１−４５５９４号公報
に記載の如く、各ブロック間の継手部の溶接工事はその
都度タンクカバーを仮に搭載して船体上に建屋を形成
し、その中で行っている。例えば、図(c) は南半球Ｓと
赤道リングＥとを接合する時の様子で、タンクカバー３
１で船内を覆って溶接を施工する。この後、タンクカバ
ー３１を一旦取り外して北半球Ｎを搭載した後、スカー
トＫの仮搭載およびタンクカバー３１の再搭載を行って
( 図(d))、赤道リングＥと北半球Ｎとを接合して球形タ
ンクを完成させる。球形タンクを完成した後、図示して
いないがスカート部をジャッキで持ち上げタンク全体を
浮かし、船底にセットしたタンク支持材３０（図(a))を
分解して狭隘な隙間から取り除いた後、ジャッキダウン
して、タンクを正規の位置にしてから、スカートＫと船
体Ｈを固定する( 図(e))。
に記載の如く、各ブロック間の継手部の溶接工事はその
都度タンクカバーを仮に搭載して船体上に建屋を形成
し、その中で行っている。例えば、図(c) は南半球Ｓと
赤道リングＥとを接合する時の様子で、タンクカバー３
１で船内を覆って溶接を施工する。この後、タンクカバ
ー３１を一旦取り外して北半球Ｎを搭載した後、スカー
トＫの仮搭載およびタンクカバー３１の再搭載を行って
( 図(d))、赤道リングＥと北半球Ｎとを接合して球形タ
ンクを完成させる。球形タンクを完成した後、図示して
いないがスカート部をジャッキで持ち上げタンク全体を
浮かし、船底にセットしたタンク支持材３０（図(a))を
分解して狭隘な隙間から取り除いた後、ジャッキダウン
して、タンクを正規の位置にしてから、スカートＫと船
体Ｈを固定する( 図(e))。
【０００９】この方法は船内にてタンクの組み立てを行
うため、多額の設備投資も必要なく、現有設備で対応で
きるが、次のような欠点がある。
うため、多額の設備投資も必要なく、現有設備で対応で
きるが、次のような欠点がある。
【００１０】球形タンクの支持は赤道部で行うため、船
底上には赤道部を支持するタンクスカートが搭載される
までタンク重量を支える仮置きのタンク支持材が必要と
なるうえ、タンク完成後にはスカート部にジャッキを入
れてタンク全体を浮かし、タンク支持材を狭隘な船底内
から撤去するため細かくばらばらに分解して撤去しなけ
ればならない。またそのためスカートのジャッキアップ
部の補強部材の追加やスカートと船体の固定（溶接）に
よる塗装の補修工事等が後工程にずれ込み作業効率が悪
かった。
底上には赤道部を支持するタンクスカートが搭載される
までタンク重量を支える仮置きのタンク支持材が必要と
なるうえ、タンク完成後にはスカート部にジャッキを入
れてタンク全体を浮かし、タンク支持材を狭隘な船底内
から撤去するため細かくばらばらに分解して撤去しなけ
ればならない。またそのためスカートのジャッキアップ
部の補強部材の追加やスカートと船体の固定（溶接）に
よる塗装の補修工事等が後工程にずれ込み作業効率が悪
かった。
【００１１】この出願に係る発明の主な目的は、定盤上
に最終的に船体に取り付けられるタンクカバーを用いて
即席の建屋を構築してこの中でタンクブロック等を完成
することにより、設備投資が少なく、かつ、船内工事が
少なくて工期短縮化に寄与しうる舶用球形タンクの建造
方法を提供することにある。
に最終的に船体に取り付けられるタンクカバーを用いて
即席の建屋を構築してこの中でタンクブロック等を完成
することにより、設備投資が少なく、かつ、船内工事が
少なくて工期短縮化に寄与しうる舶用球形タンクの建造
方法を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、こ
の出願に係る発明の舶用球形タンクの建造方法の一つ
は、完成した船体内部に球形タンクを支持・固定するタ
ンクスカートを搭載して船体の所定位置に溶接固定する
第一工程と、陸上に設けた定盤上にタンク支持材をセッ
トし、これを同心状に取り囲むように一定間隔で配置し
たやぐらを後でセットされる南半球の上端より下方位置
に構築し、各やぐらの上部間に水平方向に架台を該南半
球の上端より下方に位置させてリング状に架設し、この
架台上に周状に囲いを形成するためのリング支台を設
け、次いで前記タンク支持材上に南半球、赤道リングの
２つのブロックを順次載せ、最終的に船体に取り付けら
れるタンクカバーを前記リング支台上に載せて前記タン
クブロックを上方から覆う即席の建屋を形成する、第一
工程とほぼ並行して又は相前後してなされる第二工程
と、前記定盤上に構築した建屋の中でタンクブロック継
手の溶接を施工し、南半球と赤道リングから成るタンク
ブロックを完成させる第三工程と、前記タンクカバーを
取り外して前記陸上で完成したタンクブロックを船内に
搭載し、前記第一工程で設けたタンクスカートを介して
これを船体側に据え付ける第四工程と、北半球をタンク
ブロック上に搭載し、次いで前記建屋構築の際に用いた
タンクカバーを船体に搭載した後、北半球とタンクブロ
ックとの継手を接合して球形タンクを建造する第五工程
とからなる。
の出願に係る発明の舶用球形タンクの建造方法の一つ
は、完成した船体内部に球形タンクを支持・固定するタ
ンクスカートを搭載して船体の所定位置に溶接固定する
第一工程と、陸上に設けた定盤上にタンク支持材をセッ
トし、これを同心状に取り囲むように一定間隔で配置し
たやぐらを後でセットされる南半球の上端より下方位置
に構築し、各やぐらの上部間に水平方向に架台を該南半
球の上端より下方に位置させてリング状に架設し、この
架台上に周状に囲いを形成するためのリング支台を設
け、次いで前記タンク支持材上に南半球、赤道リングの
２つのブロックを順次載せ、最終的に船体に取り付けら
れるタンクカバーを前記リング支台上に載せて前記タン
クブロックを上方から覆う即席の建屋を形成する、第一
工程とほぼ並行して又は相前後してなされる第二工程
と、前記定盤上に構築した建屋の中でタンクブロック継
手の溶接を施工し、南半球と赤道リングから成るタンク
ブロックを完成させる第三工程と、前記タンクカバーを
取り外して前記陸上で完成したタンクブロックを船内に
搭載し、前記第一工程で設けたタンクスカートを介して
これを船体側に据え付ける第四工程と、北半球をタンク
ブロック上に搭載し、次いで前記建屋構築の際に用いた
タンクカバーを船体に搭載した後、北半球とタンクブロ
ックとの継手を接合して球形タンクを建造する第五工程
とからなる。
【００１３】また、第二の建造方法は、陸上に設けた定
盤上にタンク支持材をセットし、このタンク支持材上に
後工程で載せられるタンクブロックを取り囲むような形
でタンクカバー受台を所定高さ位置に設置しておき、次
いで前記タンク支持材上に南半球、赤道リングの２つの
ブロックを順次載せ、最終的に船体に取り付けられるタ
ンクカバーを該受台上に載せて前記タンクブロックを上
方から覆う即席の建屋を形成する第一工程と、前記定盤
上に構築した建屋の中でタンクブロック継手の溶接を施
工し、南半球と赤道リングとから成るタンクブロックを
完成させる第二工程と、前記タンクカバーを一旦取り除
いた後、タンクブロック上に北半球を載せ、タンクカバ
ー受台を更に所定高さに設置し直して、該受台上に再び
前記タンクカバーを載せて球形タンクを上方から覆う即
席の建屋を構築する第三工程と、北半球とタンクブロッ
クとの継手を接合して球形タンクを建造する第四工程
と、前工程により完成させた球形タンクを船内に搭載
し、予め球形タンクに取り付けた又は船内に取り付けて
あるタンクスカートを介して船体に据え付けた後、前記
建屋構築に用いたタンクカバーを船体に取り付ける第五
工程からなる。
盤上にタンク支持材をセットし、このタンク支持材上に
後工程で載せられるタンクブロックを取り囲むような形
でタンクカバー受台を所定高さ位置に設置しておき、次
いで前記タンク支持材上に南半球、赤道リングの２つの
ブロックを順次載せ、最終的に船体に取り付けられるタ
ンクカバーを該受台上に載せて前記タンクブロックを上
方から覆う即席の建屋を形成する第一工程と、前記定盤
上に構築した建屋の中でタンクブロック継手の溶接を施
工し、南半球と赤道リングとから成るタンクブロックを
完成させる第二工程と、前記タンクカバーを一旦取り除
いた後、タンクブロック上に北半球を載せ、タンクカバ
ー受台を更に所定高さに設置し直して、該受台上に再び
前記タンクカバーを載せて球形タンクを上方から覆う即
席の建屋を構築する第三工程と、北半球とタンクブロッ
クとの継手を接合して球形タンクを建造する第四工程
と、前工程により完成させた球形タンクを船内に搭載
し、予め球形タンクに取り付けた又は船内に取り付けて
あるタンクスカートを介して船体に据え付けた後、前記
建屋構築に用いたタンクカバーを船体に取り付ける第五
工程からなる。
【００１４】
【作用】定盤上に最終的に船体に取付られるべきタンク
カバー等を用いて即席の建屋を構築しうることで、少な
い設備投資でもってかかる球形タンクに要求される所望
の作業環境を作り出すことができる。これにより南半球
と赤道リングとの継手部の溶接が効率良く行われるよう
になる。
カバー等を用いて即席の建屋を構築しうることで、少な
い設備投資でもってかかる球形タンクに要求される所望
の作業環境を作り出すことができる。これにより南半球
と赤道リングとの継手部の溶接が効率良く行われるよう
になる。
【００１５】そして、第一の建造方法のように、少なく
ともタンク側のスカート部材もこの段階で予めタンクブ
ロックに取り付けておくので、このタンクブロックを船
内に搭載した時の船内工事が大幅に削減される。
ともタンク側のスカート部材もこの段階で予めタンクブ
ロックに取り付けておくので、このタンクブロックを船
内に搭載した時の船内工事が大幅に削減される。
【００１６】さらに、クレーン能力が十分な場合或いは
球形タンクが小型でそのタンク全体の重量が小さい場合
には、第二の建造方法の如く、球形タンクそのものを前
記建屋の中で完成させ、しかも船体側のスカート部も予
め取り付けることができれば、船内工事のより一層の減
少化が期待できる。
球形タンクが小型でそのタンク全体の重量が小さい場合
には、第二の建造方法の如く、球形タンクそのものを前
記建屋の中で完成させ、しかも船体側のスカート部も予
め取り付けることができれば、船内工事のより一層の減
少化が期待できる。
【００１７】
【実施例】この出願に係る発明の舶用球形タンク建造方
法の基本思想は、次の通りである。すなわち、球形タン
クの各ブロックを工場建屋内で製作してから船内に搭載
する前に、屋外の定盤上にタンク支持材をセットし、こ
のタンク支持材の周囲にタンクカバー受台を設けて囲い
を形成し、前記タンク支持材の上に南半球を置いてから
赤道部をその上に置き、最終的に船体の一部となるべき
タンクカバーを前記受台上に載せてタンクブロックを上
方から覆って即席の建屋を形成し、その建屋の中でタン
クブロック継手部の溶接を施工する。一方、完成された
船体内部において、タンクスカートを搭載し船体部（フ
ァンデーションデッキ）と溶接し固定しておく。接合が
完了した南半球と赤道部を一つのブロックとして船内に
搭載してタンクスカート部と赤道部とを接続する。そし
てその後パイプタワー、北半球、ドーム部を搭載して球
形タンクを完成させる。
法の基本思想は、次の通りである。すなわち、球形タン
クの各ブロックを工場建屋内で製作してから船内に搭載
する前に、屋外の定盤上にタンク支持材をセットし、こ
のタンク支持材の周囲にタンクカバー受台を設けて囲い
を形成し、前記タンク支持材の上に南半球を置いてから
赤道部をその上に置き、最終的に船体の一部となるべき
タンクカバーを前記受台上に載せてタンクブロックを上
方から覆って即席の建屋を形成し、その建屋の中でタン
クブロック継手部の溶接を施工する。一方、完成された
船体内部において、タンクスカートを搭載し船体部（フ
ァンデーションデッキ）と溶接し固定しておく。接合が
完了した南半球と赤道部を一つのブロックとして船内に
搭載してタンクスカート部と赤道部とを接続する。そし
てその後パイプタワー、北半球、ドーム部を搭載して球
形タンクを完成させる。
【００１８】以下、図面を参照しながらこの出願にかか
る発明の実施例を具体的に説明する。図１は、陸上で製
作する球形タンクおよびスカートの構成部品を分解して
示した概略図である。球形タンクは、3 つのブロック、
つまり、南半球Ｓ、赤道リングＥ、北半球Ｎに分けてそ
れぞれ製作される。赤道リングＥの赤道位置にはスカー
トを接合するための取合部材１が突設されている。この
スカート全体は、アルミ材、ステンレス材およびスチー
ル材の部分から成っており、図４にも示すように通常ア
ルミ材のスカート部２とステンレス材のスカート部３と
の間にフランジ状のトランジッションジョイント４が設
けられ、この継手部分の接合は特殊ゆえ工場内で予め接
合がなされる。また、ステンレス材のスカート部３と接
合される、スチール材のスカート部５は船体Ｈ上に溶接
固定されるものであって、上端が棚板状５ａに形成さ
れ、補強のためにスチフナ５ｂが取付けられている。一
方、最終的に船体に取り付けられるドーム状のタンクカ
バー６も別途工場で製作される。
る発明の実施例を具体的に説明する。図１は、陸上で製
作する球形タンクおよびスカートの構成部品を分解して
示した概略図である。球形タンクは、3 つのブロック、
つまり、南半球Ｓ、赤道リングＥ、北半球Ｎに分けてそ
れぞれ製作される。赤道リングＥの赤道位置にはスカー
トを接合するための取合部材１が突設されている。この
スカート全体は、アルミ材、ステンレス材およびスチー
ル材の部分から成っており、図４にも示すように通常ア
ルミ材のスカート部２とステンレス材のスカート部３と
の間にフランジ状のトランジッションジョイント４が設
けられ、この継手部分の接合は特殊ゆえ工場内で予め接
合がなされる。また、ステンレス材のスカート部３と接
合される、スチール材のスカート部５は船体Ｈ上に溶接
固定されるものであって、上端が棚板状５ａに形成さ
れ、補強のためにスチフナ５ｂが取付けられている。一
方、最終的に船体に取り付けられるドーム状のタンクカ
バー６も別途工場で製作される。
【００１９】次に、図２〜図６に基づいてこの出願に係
る発明のタンク建造方法を経時的に説明する。
る発明のタンク建造方法を経時的に説明する。
【００２０】図２に示すように、陸上に設けた定盤７上
に円形のタンク支持材８をセットし、これを同心状に取
り囲むようにやぐら９を南半球Ｓの上端よりやや下方の
高さまで構築する。やぐら９は円周上一定間隔で配置す
る。この周状に設けたやぐら９の上部間に水平方向にボ
ックスリング架台１０が架設される。またそのボックス
リング架台１０上にタンクカバー６を支持するためのリ
ング支台１１が周状に囲いを形成するように設置されて
タンクカバー受台１２が所定高さ位置に形成され、該タ
ンクカバー受台１２の上端にタンクカバー６が搭載でき
るようになっている。
に円形のタンク支持材８をセットし、これを同心状に取
り囲むようにやぐら９を南半球Ｓの上端よりやや下方の
高さまで構築する。やぐら９は円周上一定間隔で配置す
る。この周状に設けたやぐら９の上部間に水平方向にボ
ックスリング架台１０が架設される。またそのボックス
リング架台１０上にタンクカバー６を支持するためのリ
ング支台１１が周状に囲いを形成するように設置されて
タンクカバー受台１２が所定高さ位置に形成され、該タ
ンクカバー受台１２の上端にタンクカバー６が搭載でき
るようになっている。
【００２１】まず、南半球Ｓに相当するブロックをクレ
ーンでタンク支持材８上に搭載し、この上に赤道リング
Ｅのブロックを載せる。南半球Ｓと赤道リングＥを合わ
せたブロックを以下タンクブロックＳＥという。図２は
この状態を示している。そして、タンクカバー６をタン
クカバー受台１２上に載せて、定盤７上に即席の建屋Ａ
を構築する。この段階で南半球Ｓと赤道リングＥとのブ
ロック継手１３部分の溶接接合を行う。この場合、タン
クカバー６とリング支台１１とボックスリング架台１０
とによってタンクブロックＳＥないしブロック継手１３
部分を上方および側面から囲むほぼ閉囲空間が形成され
ることから、定盤上に即席の建屋Ａが形成されたことと
なり、従来の恒久的に設けた巨大建屋内で行うと同様の
環境を作り出すことができ、特殊な溶接工事が外部の要
因（風、湿気、埃、ごみ等）によってその溶接品質に悪
影響を受けることがない。
ーンでタンク支持材８上に搭載し、この上に赤道リング
Ｅのブロックを載せる。南半球Ｓと赤道リングＥを合わ
せたブロックを以下タンクブロックＳＥという。図２は
この状態を示している。そして、タンクカバー６をタン
クカバー受台１２上に載せて、定盤７上に即席の建屋Ａ
を構築する。この段階で南半球Ｓと赤道リングＥとのブ
ロック継手１３部分の溶接接合を行う。この場合、タン
クカバー６とリング支台１１とボックスリング架台１０
とによってタンクブロックＳＥないしブロック継手１３
部分を上方および側面から囲むほぼ閉囲空間が形成され
ることから、定盤上に即席の建屋Ａが形成されたことと
なり、従来の恒久的に設けた巨大建屋内で行うと同様の
環境を作り出すことができ、特殊な溶接工事が外部の要
因（風、湿気、埃、ごみ等）によってその溶接品質に悪
影響を受けることがない。
【００２２】一方、図３に示すように、球形タンクが搭
載される船体は予め完成させてある。その船体Ｈ内のフ
ァンデーションデッキ１４上にはスティール材からなる
棚板形状のスカート部（以下「船体側スカート部とい
う）５が立設されている。
載される船体は予め完成させてある。その船体Ｈ内のフ
ァンデーションデッキ１４上にはスティール材からなる
棚板形状のスカート部（以下「船体側スカート部とい
う）５が立設されている。
【００２３】定盤上で構築された南半球と赤道リングか
ら成るタンクブロックＳＥがクレーンで吊られて、船体
内搭載位置までもってこられ、二点鎖線で示す位置まで
下降させてタンク側スカート部が船体側スカート部５上
に搭載される。図４の如く船体側スカート部５の頂部は
棚板状５ａになっているため、位置決めが容易となる。
スカート部同士が接合されるとタンクブロックＳＥの全
重量がスカートＫを介して船体Ｈ側に支持されるように
なる。
ら成るタンクブロックＳＥがクレーンで吊られて、船体
内搭載位置までもってこられ、二点鎖線で示す位置まで
下降させてタンク側スカート部が船体側スカート部５上
に搭載される。図４の如く船体側スカート部５の頂部は
棚板状５ａになっているため、位置決めが容易となる。
スカート部同士が接合されるとタンクブロックＳＥの全
重量がスカートＫを介して船体Ｈ側に支持されるように
なる。
【００２４】次いで、図５に示す如く、先に搭載されて
船内に収まっている南半球Ｓと赤道リングＥから成るタ
ンクブロックＳＥ上に北半球Ｎのブロックが載せられた
後、上述した定盤上の建屋として用いたタンクカバー６
を船体の所定位置に搭載して建屋を構築する。そして図
６の状態にて赤道リングＥと北半球Ｎとの境界部（ブロ
ック継手）１５を溶接し接合する。この場合も建屋内で
の溶接工事となるので品質への悪影響はない。
船内に収まっている南半球Ｓと赤道リングＥから成るタ
ンクブロックＳＥ上に北半球Ｎのブロックが載せられた
後、上述した定盤上の建屋として用いたタンクカバー６
を船体の所定位置に搭載して建屋を構築する。そして図
６の状態にて赤道リングＥと北半球Ｎとの境界部（ブロ
ック継手）１５を溶接し接合する。この場合も建屋内で
の溶接工事となるので品質への悪影響はない。
【００２５】上記のようにして船体内部に球形タンクが
建造される。
建造される。
【００２６】なお、上記実施例では、球形タンクが大型
の場合を想定しクレーン能力の関係から、南半球と赤道
リングのタンクブロックを先ず完成したものであるが、
クレーン能力が十分あれば、或いは球形タンクが小型で
その全体重量が小さい場合には、図２の状態から更にや
ぐら９を高くしてタンクカバー６のない状態で北半球も
搭載して定盤上で球形タンクそのものを完成させるよう
にしてもよい。また、船体側スカート部も定盤上での工
事の際に同時に取り付け完了しておくこともできる。要
は、船に搭載するタンクカバーを利用して、定盤上に建
屋を構築することにより特別な設備投資をせずともタン
クブロックの溶接工事のための建屋を構築することがで
きようにすればよい。スカート全体（又は上記実施例の
ように一部のスカート部）を取り付けた状態で船内に搭
載すれば、狭隘な作業環境の悪い船内での溶接作業が減
少して工期短縮に寄与することができる。
の場合を想定しクレーン能力の関係から、南半球と赤道
リングのタンクブロックを先ず完成したものであるが、
クレーン能力が十分あれば、或いは球形タンクが小型で
その全体重量が小さい場合には、図２の状態から更にや
ぐら９を高くしてタンクカバー６のない状態で北半球も
搭載して定盤上で球形タンクそのものを完成させるよう
にしてもよい。また、船体側スカート部も定盤上での工
事の際に同時に取り付け完了しておくこともできる。要
は、船に搭載するタンクカバーを利用して、定盤上に建
屋を構築することにより特別な設備投資をせずともタン
クブロックの溶接工事のための建屋を構築することがで
きようにすればよい。スカート全体（又は上記実施例の
ように一部のスカート部）を取り付けた状態で船内に搭
載すれば、狭隘な作業環境の悪い船内での溶接作業が減
少して工期短縮に寄与することができる。
【００２７】
【発明の効果】 定盤上に最終的に船体に取り付けら
れるタンクカバー等を用いて即席の建屋を形成でき、そ
の中で南半球と赤道ブロックの接合を行うため、タンク
ブロック継手の特殊な溶接の品質確保が可能となるとと
もに、巨大な建屋等を恒久的に建設する場合に比べ設備
投資が遙かに少なくて済む。また船内と違って陸上にお
ける定盤上工事となるので作業環境もよく効率がよい。
れるタンクカバー等を用いて即席の建屋を形成でき、そ
の中で南半球と赤道ブロックの接合を行うため、タンク
ブロック継手の特殊な溶接の品質確保が可能となるとと
もに、巨大な建屋等を恒久的に建設する場合に比べ設備
投資が遙かに少なくて済む。また船内と違って陸上にお
ける定盤上工事となるので作業環境もよく効率がよい。
【００２８】 船内に搭載するブロック数も従来より
減少するので、それだけ現場工数が削減できる。
減少するので、それだけ現場工数が削減できる。
【００２９】 定盤上で南半球と赤道部を組み立てた
後、船内のスカートと接合するため、船底上にタンク支
持材が不要となり、その分解撤去のためのジャッキアッ
プ・ダウン作業が省略できるとともに、そのためのタン
クスカート部の補強も不要となる。またスカートと船体
との溶接もタンク搭載前の初期工程で行うため塗装補修
作業も容易となる。
後、船内のスカートと接合するため、船底上にタンク支
持材が不要となり、その分解撤去のためのジャッキアッ
プ・ダウン作業が省略できるとともに、そのためのタン
クスカート部の補強も不要となる。またスカートと船体
との溶接もタンク搭載前の初期工程で行うため塗装補修
作業も容易となる。
【００３０】以上の効果からタンク建造工期を大幅に短
縮することが可能となる。
縮することが可能となる。
【図１】この出願に係る発明の舶用球形タンクの建造方
法における構成品を分解して示した概略図である。
法における構成品を分解して示した概略図である。
【図２】定盤上に建屋を構築した状態およびこの中でタ
ンクブロックを完成させる状態を示した図である。
ンクブロックを完成させる状態を示した図である。
【図３】タンクブロックを船内に搭載する状態を示した
図である。
図である。
【図４】タンクブロックを搭載した時のスカート部分の
拡大図である。
拡大図である。
【図５】タンクブロックを船内に搭載した後、北半球お
よびタンクカバーを搭載する時の状態を示す図である。
よびタンクカバーを搭載する時の状態を示す図である。
【図６】船内のタンクブロック上に北半球を搭載し、タ
ンクカバーを船体所定位置に載せて、タンクブロック
（赤道リング）と北半球とを接合する時の状態を示す図
である。
ンクカバーを船体所定位置に載せて、タンクブロック
（赤道リング）と北半球とを接合する時の状態を示す図
である。
【図７】(a) 〜(e) は 従来の舶用球形タンクの建造方
法を経時的に示す図である。
法を経時的に示す図である。
【符号の説明】 Ｓ…南半球 Ｅ…赤道リング Ｎ…北半球 ＳＥ…タンクブロック Ｋ…スカート １…スカート取付部 ２…（アルミ材の）スカート部 ３…（ステンレス材の）スカート部 ４…トランジッションジョイント ５…船体側スカート部（スチール材のスカート部） ６…タンクカバー ７…定盤 ８…タンク支持材 ９…やぐら １０…ボックスリング架台 １１…リング支台 １２…タンクカバー受台
Claims (2)
- 【請求項１】 次の(a)〜(e) 工程からなる舶用球形タン
クの建造方法。 (a) 完成した船体内部に球形タンクを支持・固定するタ
ンクスカートを搭載して船体の所定位置に溶接固定する
第一工程と、 (b) 陸上に設けた定盤上にタンク支持材をセットし、こ
れを同心状に取り囲むように一定間隔で配置したやぐら
を後でセットされる南半球の上端より下方位置に構築
し、各やぐらの上部間に水平方向に架台を該南半球の上
端より下方に位置させてリング状に架設し、この架台上
に周状に囲いを形成するためのリング支台を設け、次い
で前記タンク支持材上に南半球、赤道リングの２つのブ
ロックを順次載せ、最終的に船体に取り付けられるタン
クカバーを前記リング支台上に載せて前記タンクブロッ
クを上方から覆う即席の建屋を形成する、第一工程とほ
ぼ並行して又は相前後してなされる第二工程と、 (c) 前記定盤上に構築した建屋の中でタンクブロック継
手の溶接を施工し、南半球と赤道リングから成るタンク
ブロックを完成させる第三工程と、 (d) 前記タンクカバーを取り外して前記陸上で完成した
タンクブロックを船内に搭載し、前記第一工程で設けた
タンクスカートを介してこれを船体側に据え付ける第四
工程と、 (e) 北半球をタンクブロック上に搭載し、次いで前記建
屋構築の際に用いたタンクカバーを船体に搭載した後、
北半球とタンクブロックとの継手を接合して球形タンク
を建造する第五工程。 - 【請求項２】 次の(a) 〜(e) 工程からなる舶用球形タ
ンクの建造方法。 (a) 陸上に設けた定盤上にタンク支持材をセットし、こ
のタンク支持材上に後工程で載せられるタンクブロック
を取り囲むような形でタンクカバー受台を所定高さ位置
に設置しておき、次いで前記タンク支持材上に南半球、
赤道リングの２つのブロックを順次載せ、最終的に船体
に取り付けられるタンクカバーを該受台上に載せて前記
タンクブロックを上方から覆う即席の建屋を形成する第
一工程と、 (b) 前記定盤上に構築した建屋の中でタンクブロック継
手の溶接を施工し、南半球と赤道リングとから成るタン
クブロックを完成させる第二工程と、 (c) 前記タンクカバーを一旦取り除いた後、タンクブロ
ック上に北半球を載せ、タンクカバー受台を更に所定高
さに設置し直して、該受台上に再び前記タンクカバーを
載せて球形タンクを上方から覆う即席の建屋を構築する
第三工程と、 (d) 北半球とタンクブロックとの継手を接合して球形タ
ンクを建造する第四工程と、 (e) 前工程により完成させた球形タンクを船内に搭載
し、予め球形タンクに取り付けた又は船内に取り付けて
あるタンクスカートを介して船体に据え付けた後、前記
建屋構築に用いたタンクカバーを船体に取り付ける第五
工程。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5333315A JP2768895B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 舶用球形タンクの建造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5333315A JP2768895B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 舶用球形タンクの建造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07187056A JPH07187056A (ja) | 1995-07-25 |
| JP2768895B2 true JP2768895B2 (ja) | 1998-06-25 |
Family
ID=18264740
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5333315A Expired - Lifetime JP2768895B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 舶用球形タンクの建造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2768895B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012171659A (ja) * | 2011-02-22 | 2012-09-10 | Nippon Steel Engineering Co Ltd | 縦型低温液体貯槽の製造方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP6004955B2 (ja) * | 2013-01-25 | 2016-10-12 | 三菱重工業株式会社 | 球形タンクを備えた船舶およびその建造方法 |
| CN104110576B (zh) * | 2014-06-27 | 2016-04-06 | 合肥通用机械研究院 | 球罐支撑结构 |
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| CN104627319B (zh) * | 2015-03-02 | 2018-05-01 | 启东丰顺船舶重工有限公司 | 一种27000dwt化学品/成品油船不锈钢液货舱建造工艺 |
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| CN105397366A (zh) * | 2015-12-15 | 2016-03-16 | 张家港市华机环保新能源科技有限公司 | 一种lng气瓶预留内胆焊接工装 |
| JP6535928B2 (ja) * | 2016-05-16 | 2019-07-03 | 三菱造船株式会社 | 液化ガスによる急冷可否判定装置、液化ガス貯留タンク、液化ガス運搬船及び液化ガスによる急冷可否判定方法 |
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| CN107717253B (zh) * | 2017-11-09 | 2020-01-14 | 武汉一冶钢结构有限责任公司 | 非对称赤道板与上支柱的定位及组焊方法 |
| WO2020075260A1 (ja) * | 2018-10-11 | 2020-04-16 | 日揮グローバル株式会社 | 液化天然ガスタンクの移載方法 |
| CN111547202B (zh) * | 2020-04-02 | 2022-01-04 | 中交四航局江门航通船业有限公司 | 一种罐体在船体中的安装方法 |
| CN113305494B (zh) * | 2021-06-11 | 2023-03-14 | 贵州永红航空机械有限责任公司 | 一种用于筒子组件的专用定位旋转焊接工装及焊接方法 |
| CN115289384B (zh) * | 2022-07-13 | 2024-04-16 | 上海江南长兴造船有限责任公司 | 一种用于超大型lng薄膜罐围护系统安装的轨道式装置及方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5247235B2 (ja) * | 1973-04-26 | 1977-12-01 | ||
| JPS56146485A (en) * | 1980-04-16 | 1981-11-13 | Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd | Building for ship incorporating spherical tank |
| JPH0665556B2 (ja) * | 1986-01-08 | 1994-08-24 | 三菱重工業株式会社 | 船舶における円筒形タンクの建造法 |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP5333315A patent/JP2768895B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012171659A (ja) * | 2011-02-22 | 2012-09-10 | Nippon Steel Engineering Co Ltd | 縦型低温液体貯槽の製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07187056A (ja) | 1995-07-25 |
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