JP2766785B2 - 粉末状油脂 - Google Patents

粉末状油脂

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義一 辻脇
浩志 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は食用または餌料などに
利用される粉末状油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、動植物から採取される油脂は、
脂肪酸とグリセリンのエステルを主要成分として含有し
ており、このものは常温で液体、半流動体または固体の
各成分の混合物であることが知られている。
【0003】また、高度不飽和脂肪酸であるEPA、D
HA、α−リノレン酸などは近年これらの持つ生理活性
が、人体に有用であることが知られるようになり、これ
を積極的に食用に供する要求が高まってきた。
【0004】しかし、これらの高度不飽和脂肪酸は、空
気中で非常に不安定であり、すなわち空気中で容易に酸
化されて過酸化物を生じるため、食用に供する場合の簡
便性に欠けるものであった。
【0005】一方、油脂は一般的に食品材料として不可
欠の成分であって、これを粉末化して食品に添加する際
に利用し易くすることも行われていた。油脂は液体また
は半流動体の成分を含有するため、そのような粉末化は
容易でないが、例えば、従来の油脂粉末化の手法は、下
記の(1)〜(3)に示した通りである。
【0006】(1)常温で液状または半流動状の油脂の
粉末化法:油脂と、カゼインナトリウム、ゼラチン、乳
類、卵白などの蛋白質と、庶糖、乳糖などの少糖類と、
デンプン、その分解物もしくはセルロースなどの水溶液
と、脂肪酸グリセリンエステル、レシチン、ソルビタン
脂肪酸エステル、庶糖脂肪酸エステルなどの乳化剤とを
原材料として、エマルジョンを調製し、これを噴霧乾燥
する方法(いわゆるスプレードライ法、特公昭41−1
415号)。
【0007】(2)油脂類をデンプン加工品などに吸着
させる方法。
【0008】(3)常温で固形の油脂の粉末化法:油脂
を溶融状態で低温雰囲気中に噴霧して、凝結して粉末化
する(スプレークール法)。
【0009】このうち(1)のスプレードライ法で得ら
れた粉末状油脂は、賦型剤の被膜が油脂表面に被膜形成
されたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した
(1)の方法で製造した粉末状油脂では、製造時の噴霧
乾燥時に過酸化物が生じており、特に不飽和脂肪酸を多
量に含む原料を用いた場合には香りも悪くなるため、食
品材料として適当なものとはいえない。
【0011】上記した油脂の噴霧乾燥時の酸化を抑制す
るには、通常、油脂に使用される抗酸化剤を添加すれば
よいとも考えられるが、不飽和脂肪酸を多量に含む油脂
類に対して優れた酸化防止作用を発揮できる抗酸化剤は
未だ得られていない。
【0012】さらに、異臭を感じさせないマスキング
剤、すなわち香料を用いることも考えられるが、通常、
用いられている香料は、噴霧乾燥時にかなりの量が揮散
するため、その作用は非効率的であり、酸化防止という
根本的な目的については達せられなかった。
【0013】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、粉末状油脂を、噴霧乾燥時における酸化
する度合いの低いものとして製造段階の初期に異臭の発
生がなく、また高度不飽和脂肪酸の酸化を効果的に防止
して、製造後に発生した若干の有臭成分を効率よくマス
キングし得て、酸化安定性および風味の維持に優れたも
のとすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、炭素数18以上で二重結合数
3以上の高度不飽和脂肪酸を5重量%以上含有する油
脂、脂肪酸または脂肪酸エステル100重量部に対し
て、味醂を固形分で3〜100重量部含有する組成物
らなり、噴霧乾燥により粉末化された粉末状油脂した
のである。また、炭素数18以上で二重結合数3以上の
高度不飽和脂肪酸を5重量%以上含有する魚油100重
量部に対して、味醂を固形分で3〜100重量部含有す
る組成物からなり、噴霧乾燥により粉末化された粉末状
油脂としたのである。
【0015】前記味醂は全窒素量0.01重量%以上、
非還元糖量20〜50重量%、アルコール量5〜30容
量%を含有する組成のものを採用することができる。
【0016】
【作用】この発明に係る粉末状油脂は、所定量の味醂を
添加したので、その抗酸化力により製造段階における過
酸化物の発生が抑制されており、しかも保存状態におい
ては共存する味醂のマスキング効果によって異臭がな
く、さらには味醂の有効成分による高度不飽和脂肪酸に
対する酸化防止機能が働いて、風味の維持性に極めて優
れたものとなる。
【0017】
【実施例】この発明に用いる油脂は、その原料を特に限
定するものではなく、動物性油脂、植物性油脂または脂
肪酸、脂肪酸エステルなどを主成分とするもの(以下、
油脂類という。)であってもよいが、そのような油脂
は、前記油脂類のうちのいずれの種類であっても炭素数
18以上で二重結合数3以上の高度不飽和脂肪酸を5重
量%以上含有するものである。
【0018】このような油脂の粉末状油脂中の配合割合
は、15〜80重量%が好ましい。なぜなら、配合量が
15重量%未満の少量では高度不飽和脂肪酸含有の食品
材料としての効果があまり期待できず、80重量%を越
える多量では粉末表面に油脂の滲み出しが多くみられ、
賦型剤の適当な被覆加工が技術的に困難だからである。
【0019】本願発明者が種々実験した結果では、一般
に米麹加工品、例えば日本酒、甘酒、酒粕、味噌などに
も生ぐさ臭の矯臭作用等が認められるが、なかでも味醂
が持つ抗酸化作用と矯臭作用が最も優れていた。
【0020】この発明における味醂は、アルコールの存
在の下に餅米またはうるち米と米麹を混合し、米麹のも
つ酵素作用によって原料を分解熟成して得られたもので
ある。米麹に存在する微生物としては、アスペルギルス
属に属する微生物(糸状菌)であり、一般に黄コウジと
呼ばれるアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oriz
ae) 、黒コウジと呼ばれるアスペルギルス・ニガー(Asp
ergillus niger) などを例示できる。
【0021】味醂の組成としては、一般に全窒素量0.
01重量%以上であり、非還元糖量20〜50重量%、
アルコール量5〜30容量%を含有する。
【0022】そのような味醂の製造例としては、精白し
たうるち米に麹菌を植えて米麹を作り、これに餅米また
はうるち米を混ぜ合わせて約20%程度のアルコール濃
度で60〜90日間、25〜30℃で分解熟成させ、固
形分を濾別して液体を得る、いわゆる本味醂の製造方法
が挙げられる。
【0023】このような味醂の粉末状油脂中の配合割合
は、油脂100重量部に対して固形分で3〜100重量
部である。なぜなら、3重量部未満の少量では、酸化安
定性の効果が低く、製造段階で乾燥時にマスキング効果
を発揮できない。また、100重量部を越える多量で
は、品質のよい粉末状油脂が得られず、また相対的に油
脂含量が低下して好ましくないからである。
【0024】上記味醂は、粉末化した油脂の賦型剤とし
ても作用するが、これ以外の賦型剤としては、カゼイン
ソーダ、ゼラチン、乳類、卵白などの蛋白質、庶糖、乳
糖などの少糖類、デンプンまたはその分解物などを用い
ることが良好な物性の粉末状油脂を得るために好まし
い。
【0025】このような賦型剤の配合量は、油脂100
重量部に対して20〜200重量部である。なぜなら、
20重量部未満では、油の滲み出しが起こって良好な粉
末状油脂が得られず、200重量部を越える多量では、
相対的に油脂の濃度が低くなるので、油脂供給原料とし
ての粉末油脂として、好ましいものが得られないからで
ある。
【0026】なお、粉末状油脂には、噴霧乾燥前のエマ
ルジョンの乳化安定性、さらには得られる粉末状油脂の
溶解後の乳化安定性を良好に保つために、必要ならば乳
化剤を適宜配合してもよい。このような乳化剤として
は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどが挙げら
れる。
【0027】また、この発明の効果を阻害しない限りに
おいて、一般の食品製造に用いられる周知の酸化防止剤
を併用してもよく、また香料、着色料などを適宜配合し
てよいのは勿論である。
【0028】〔実施例〕EPAを6重量%、DHAを2
0重量%含有する魚油600gに、抗酸化剤としてトコ
フェロール(ホーネンコーポレーション社製)1g、乳
化剤としてグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学社製:
621−B)20gを添加混合して油相部を調製した。
【0029】一方、水相部としては、乳化剤としてショ
糖脂肪酸エステル(三菱化成食品社製:S1670)5
g、賦型剤としてデキストリン(三和澱粉工業社製)1
00g、カゼインソーダ(太陽化学社製)100gおよ
び本味醂(ヒガシマル醤油社製)500gを50℃の温
水2リットルに溶解して水相部を調製した。
【0030】次に、前記調製された水相部および油相部
を混合乳化し、さらにホモゲナイザーで均質化した後、
150℃の温度条件で噴霧乾燥し、表面に賦型剤の被膜
を形成した粉末状油脂を得た。
【0031】得られた粉末状油脂の保存性を調べるた
め、30℃の室内に30日間インキュベートした場合の
過酸化物価(POV:meq/kg)を常法にしたがっ
て10日毎に調べ、結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】〔比較例〕実施例において、本味醂を添加
しなかったこと以外は、全く同様にして粉末状油脂を製
造し、前記試験方法と全く同じ条件でPOVを調べ、こ
の結果を表1中に併記した。
【0034】表1の結果からも明らかなように、比較例
の過酸化物価は、20日経過時までに試験開始日のPO
Vの51倍にまで増大した。また比較例の10日、20
日経過時のPOVは、実験例の同日経過日のP0Vに比
較して15.8〜40.8倍の高い値であり、酸化が著
しく進んでいることが確かめられた。
【0035】これに対し実施例のPOVは、30日経過
時まで比較的低い値で推移し、最終日の測定値でも試験
開始日の1.9倍のPOVであり、酸化変敗の速度が極
めて遅く、風味の維持にも優れたものであることが判明
した。
【0036】
【効果】この発明は、以上説明したように、高度不飽和
脂肪酸を含む所定の油脂と、味醂とをそれぞれ所定量配
合した粉末状油脂としたので、このものが噴霧乾燥を受
けた際に、酸化する度合いが低いものとなり、すなわち
製造段階の初期に異臭の発生がなく、その後の保存状態
においても、高度不飽和脂肪酸の酸化を非常に良く防止
し、しかも、発生した若干の有臭成分が効率よくマスキ
ングされているものとなって、酸化安定性および風味の
維持に極めて優れた粉末状油脂となる利点がある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−117361(JP,A) 特開 昭63−22898(JP,A) 特開 平8−154620(JP,A) 特開 昭54−15520(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C11B 5/00 C11B 15/00 C09K 15/04 - 5/34 A23L 1/22 A23D 7/06 A23D 9/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エイコサペンタエン酸およびドコサヘキ
    サエン酸からなる高度不飽和脂肪酸を5重量%以上含有
    する油脂、脂肪酸または脂肪酸エステル100重量部に
    対して、味醂を固形分で3〜100重量部含有する組成
    物からなり、噴霧乾燥により粉末化された粉末状油脂。
  2. 【請求項2】 エイコサペンタエン酸およびドコサヘキ
    サエン酸からなる高度不飽和脂肪酸を5重量%以上含有
    する魚油100重量部に対して、味醂を固形分で3〜1
    00重量部含有する組成物からなり、噴霧乾燥により粉
    末化された粉末状油脂。
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JPH02117361A (ja) * 1988-10-25 1990-05-01 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 含脂粉末スパイスシーズニング組成物及びその製造法
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