JP2762541B2 - 薄膜の形成方法 - Google Patents

薄膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電気化学的方法により水に難溶性あるいは不
溶性の材料の薄膜を形成するものであり、エレクトロニ
クスデバイス、バイオデバイス、あるいは装飾等幅広い
利用分野がある。
〔従来の技術〕
湿式法で水に不溶性の物質の薄膜を形成する方法とし
て佐治等(J.Am.Chem.Soc.、109、5881(1987)など)
によりミセル電解法が紹介されて以来、我々によっても
この方法を応用して様々な水に難溶、不溶の物質の成膜
が可能であることが見い出されている。
しかしながら、本法による薄膜形成は、極めて低エネ
ルギーの成膜方法であるため、膜の基材に対する密着
性、あるいは膜を構成する微粒子同志の密着性が弱いと
いう問題があった。我々はその問題を解決するため、成
膜材料の1次粒子径を0.005〜0.05μmにすることが好
ましいことを見い出した(特願昭63−252524)。
しかしながら、材料によっては、1次粒子径を0.05μ
mに調製することができないものもあり、また、1次粒
子径を0.05μm以下に出来てもその凝集力が強く、2次
粒子としての大きさが大きすぎるため、コロイドとして
液中に分散できず、結果として成膜できないなどの問題
があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述のように従来の技術では、微粒子化あるいはコロ
イド化が困難である材料については成膜ができないとい
う問題を有していた。
そこで本発明はこのような問題点を解決するためのも
ので、その目的とするところは、1次粒子径が0.05μm
より大きい材料であっても、安定して成膜できる薄膜の
形成方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の薄膜の形成方法は,水に難溶あるいは不溶性
の第1の微粒子材料と,界面活性剤とを少なくとも有す
るミセル水溶液中で電解して,電極上に前記第1の微粒
子材料からなる第1の薄膜を形成する工程と,水に難溶
あるいは不溶性であって且つ前記第1の微粒子材料の1
次粒子径よりも大きい1次粒子径を有する第2の微粒子
材料と,界面活性剤とを少なくとも有するミセル水溶液
中で電解して,前記第1の薄膜上に前記第2の微粒子材
料からなる第2の薄膜を形成する工程と,を具備するこ
とを特徴とする。
以下具体例および作用効果について詳述する。
電解により少なくとも荷電する特性をもつ界面活性剤
のミセル水溶液中に難溶あるいは不溶の材料微粒子を可
溶化しコロイド化する。
この時、2種類の液を調製する。一つは、材料の一次
粒子径が0.05μm以下とし(仮にA液とする)、もう一
つは、本来成膜したい材料からなる液である(仮にB液
とする)。B液でコロイド化されている材料は、1次粒
子径が0.05μmより大きく調製されている。また、0.05
μmより大きくすることで、2次粒子径としては小さく
分散することが可能であり、コロイド化できるものであ
る。
まず最初に、A液中に成膜基板を一方の電極として、
浸漬し、電解を行ない、成膜材料粒子を包み込んでいた
界面活性剤のミセルを破壊し、成膜材料粒子を析出させ
第一層を成膜する。膜厚は特に制約はないが0.05〜0.1
μm程度が好ましい。
次にB液により第2層目に本来成膜したい材料の成膜
を行なう。
すなわち、1次粒子径の小さい第1層目をわずかな膜
厚で成膜することで、基板の表面積を飛躍的に増大させ
ることにより、第2層目に形成される材料の1次粒子が
大きくても、第一層表面に対する接触面積が大きく確保
されることで密着性が向上し、1次粒子が大きい材料で
も密着性よく成膜できるものである。
〔実施例〕 1次粒子径が平均0.2μmのβ型銅フタロシアニンの
薄膜を得る目的で次の組成のβ型銅フタロシアニンの微
粒子を分散コロイド化した電解液を1作製した。
1.電界で酸化できる界面活性剤 1mM (フェロセニルPEG 同仁化学製) 2.1次粒子径0.2μmのβ型銅 フタロシアニン 10mM 3.支持電解質 LiBr 0.1mM 電解液の作成手順としては、1.3の成分を水に溶解し
たのち、この成分を超音波ホモジナイザーを用いて界面
活性剤が取り囲んだ状態でコロイド分散した。
次に上記材料の成膜に先立ち、第一層として形成する
1次粒子の小さな材料として、アントラキノン系顔料で
あるジアンスラキノニルレッドを選択し上記と同じ組成
の方法でコロイド分散した。なお、本材料の1次粒子径
は0.04μmである。
成膜基板としては、ITOを0.1μm形成したガラス基板
を用いた。
このガラス基板をアノードとし、カソードとして白金
板を用いて、+0.4V(vs.S.C.E)で3分間電解した。こ
の操作によりジアンスラキノニルレッドの薄膜(0.08μ
m)が得られた。次にこの基板を軽く水洗いした後、β
型銅フタロシアニンの電解液に浸漬し、+0.4V(vs.S.
C.E)で30分間電解した。この操作によりジンアンスラ
キノニルレッドの薄膜を介してITO上にβ型銅フタロシ
アニンの膜が0.6μmの膜厚で、全く剥離することなく
形成できた。なお、この基板は180℃で30分加熱焼成す
ることにより、β型銅フタロシアニンの密着性を一層向
上させた。
〔比較例1〕 ITOを0.1μmの膜厚で形成したガラス基板上に直接、
β型銅フタロシアニンの成膜を試みた。しかし+0.4V
(vs.S.C.E)で30分電解後、電解液から引き上げる過程
で、面積で約50%の膜が剥離してしまった。
〔実施例2〕 実施例1と同様の方法により、1次粒子径0.05μmの
フタロシアニングリーン(BASF社製)による下地膜(第
一層)を0.1μmの膜厚で設けた。
次に本来成膜したい材料であるα型銅フタロシアニン
(1次粒子径0.2μm)の成膜を行なった。その結果下
地層の上にα型銅フタロシアニンの膜が0.8μmの膜厚
で密着性よく得られた。
〔比較例2〕 比較例1と同様にITO上に直接α型銅フタロシアニン
の成膜を試みた。しかし、成膜基板を電解液から引き上
げる過程で、面積で約70%の膜が剥離した。
〔発明の効果〕
以上のように本発明により、密着性の悪い成膜材料も
良い成膜性が得られるようになった。
また、付帯的効果として有機顔料などの成膜の場合多
層構造とすることにより微妙な色調整を行なうことが可
能となり、表示デバイス用のカラーフィルターなどの製
法として極めて有効な手法を得ることができた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に難溶あるいは不溶性の第1の微粒子材
    料と,界面活性剤とを少なくとも有するミセル水溶液中
    で電解して,電極上に前記第1の微粒子材料からなる第
    1の薄膜を形成する工程と, 水に難溶あるいは不溶性であって且つ前記第1の微粒子
    材料の1次粒子径よりも大きい1次粒子径を有する第2
    の微粒子材料と,界面活性剤とを少なくとも有するミセ
    ル水溶液中で電解して,前記第1の薄膜上に前記第2の
    微粒子材料からなる第2の薄膜を形成する工程と, を具備することを特徴とする薄膜の形成方法。
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JPS63243298A (ja) * 1987-03-31 1988-10-11 Idemitsu Kosan Co Ltd 有機薄膜の製造方法

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