JP2757381B2 - 溶融めっきのエッジオーバーコート防止方法 - Google Patents

溶融めっきのエッジオーバーコート防止方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、連続溶融亜鉛めっき、あるいは連続溶融ア
ルミめっき等の溶融金属めっき方法において、鋼板のエ
ッジ部のめっき厚さが鋼板中央部より厚くなる、いわゆ
る、エッジオーバーコートを防止する方法に関するもの
である。
(従来の技術) 連続溶融亜鉛めっきは、一般に、フラックス法あるい
は水素還元法等で表面活性化処理を行った鋼板を溶融亜
鉛浴中に浸漬した後、ガスワイピングノズルにより鋼板
表裏面に過剰に付着した溶融亜鉛を絞り取ることによっ
て鋼板表裏面に鉄との合金層を介して所定厚さの亜鉛皮
膜を形成するものである。
ところで、近年防錆鋼板としての溶融亜鉛めっき鋼板
の需要が増加し、連続溶融亜鉛めっき設備では生産性向
上およびコスト低減を目的として高速化、自動化および
薄目付化が要求されるとともに亜鉛めっき厚さの均一
化、美麗化が要求されている。一般に、ガスワイピング
においては、ストリップエッジ部の目付厚さがストリッ
プ中央部に比べて厚くなるエッジオーバーコートが発生
する。このエッジオーバーコートは、特にめっき直後に
加熱合金化処理が行われるガルバニール(合金化処理溶
融亜鉛めっき)において、めっき厚さが厚いエッジ部の
合金化が遅れるエッジ未処理の原因となる。また、通常
の溶融めっき製品の場合でも、エッジオーバーコートは
コイル巻取り時における荷崩れの原因になる。
このようなエッジオーバーコートの問題に対しては、
従来次のような種々の防止対策がとられてきた。
第1の例は、第4図に示すようにワイピングノズル1
のスリットギャップ2において、ストリップ3の幅より
若干狭い位置よりノズルの両側に向かって勾配を付けて
スリットギャップ2を両側にいくほど大きくし、ストリ
ップエッジ部に衝突するワイピングジェットの動圧を増
加させることによりエッジ部の溶融亜鉛絞り力を大きく
する方法である。
第2の例は、特公昭55-41295号あるいは、特開昭57-1
58363号に代表される補助ノズル方式である。すなわ
ち、第5図に示すごとくワイピングノズル1の上部にあ
ってストリップ3のエッジ部にあたる両側にノズル幅方
向に移動可能な補助ノズル4を設けることによりストリ
ップエッジ部の絞り力を強化する方法である。
第3の例は、エッジプレート方式である。本方式は、
第6図に示すごとくストリップエッジ部において、ワイ
ピングジェットが衝突する部分にダミーのエッジプレー
ト5を設けることによりエッジオーバーコートを防止す
る方法である。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら前述の従来例では以下に示す問題点があ
る。
まず、第1の例では、ストリップの幅が変わると、ス
トリップエッジ部にあたるワイピングノズルのスリット
ギャップの位置が異なるためエッジオーバーコートの度
合が異なる。従って、エッジオーバーコートを十分に防
止するには、ワイピングノズルを交換する必要があり、
生産性が低下する欠点がある。また、エッジ部のスリッ
トギャップが広くガス噴出量も多いため、スプラッシュ
や騒音の発生が著しい。特に、スプラッシュの多発はワ
イピングノズルやストリップを汚染し、ノズル清掃によ
る生産性低下および品質低下を招くという問題点があ
る。
第2の例においては、ストリップの幅が変わるごとに
補助ノズルのみを移動すればよいため、第1の例のよう
なノズル交換による生産性低下の問題は回避できるもの
の、スプラッシュや騒音の発生に対しては上記第1の例
と同様にワイピングノズルの頻煩な清掃は免れない。
第3の例では、エッジプレートとストリップとの隙間
があまり広くなるとエッジオーバーコート防止効果が低
減するため、通板によるストリップの振動にあわせてエ
ッジプレートを一定の間隔に保ちながら追従させなけれ
ばならない。この追従機構は、高速通板では、高応答性
が要求され設備費の高騰を招く欠点がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解消すべくエ
ッジオーバーコートの発生要因であるストリップエッジ
部での溶融金属の表面張力の作用に着目しエッジオーバ
ーコートを防止する方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、ストリップ面上の液膜流れに関し種々の
実験、研究を行った結果、エッジオーバーコートの発生
に関し以下の知見を得た。
すなわち、第3図に示すごとく、 ガスワイピングスされ所定の膜厚に絞られたがまだ
未凝固の付着液体膜に表面張力が働く。
この表面張力によりストリップの端面に付着してい
る液体がストリップ表裏面に回り込む。
ストリップ表裏面側に回り込んだ液体によりエッジ
部の付着膜厚がストリップ中央部より厚くなり、液膜内
の速度分布も異なる。すなわち、ストリップに随伴し上
昇する液膜表面の流速は、液膜厚さが薄いストリッップ
中央部に比べ液膜厚さが厚いエッジ部で遅くなる。
液膜表面流速が異なるために表裏面の液膜流とスト
リップへの衝突ワイピングジェットとの速度差に金する
摩擦応力がストリップ中央部とエッジ部で異なる。すな
わち、液膜表裏面において上方向に働く摩擦応力は、ス
トリップ中央部に比べエッジ部で大きくなる。
ストリップ中央部とエッジ部での摩擦応力の差によ
りストリップの幅方向に摩擦応力の分力が生じる。そし
て、この摩擦応力の分力と表面張力が釣り合い、エッジ
オーバーコートはストリップエッジより一定の位置に発
生する。
以上述べたように、エッジオーバーコートは、ストリ
ップの端面に付着する液体の表面張力に起因して発生す
る。
本発明は上記した知見に基づいて成されたものであ
り、溶融めっき金属浴中に浸漬され、表裏面にめっき金
属を付着された鋼板の前記表裏面をガスワイピングして
めっき厚さを所定の厚さに制御し、溶融めっき鋼板を製
造する際におけるエッジオーバーコートの防止方法であ
って、ワイピングノズルの下流側で、かつ鋼板に付着し
ためっき金属が凝固する迄の間において、鋼板の両端面
にのみ付着しためっき金属を除去するものである。
(作用) したがって、ストリップの端面部の付着液体Aを除去
すれば、ストリップエッジ部での液体付着状況は第2図
に示すごとくなりエッジオーバーコートは発生しない。
ストリップの端面部の付着液体を除去する方法として
は、溶融金属めっき浴から連続的に引き上げられガスワ
イピング等の絞り装置によりめっき厚さを制御された
後、めっき金属が凝固するまでの間においてストリップ
の端面の付着めっき金属を掻き取る方法あるいは吸引す
る方法が考えられる。
(実施例) 以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明
する。
第1図において、3はストリップであり、溶融金属め
っき浴中を通過し一定の速度で連続的に引き上げられた
後、一対のワイピングノズル1、1′からのガスジェッ
トにより過剰に付着しためっき金属を絞り取られ、一定
のめっき厚さに制御される。
6は前記ワイピングノズル1、1′の上方で、かつス
トリップ3に付着しためっき金属が凝固する迄の位置に
配置され、ストリップ3の端面に付着しためっき金属を
掻き取るナイフであり、押し付け装置7によって前記端
面に押し当てられる。
この押し付け装置7は、一定の力でストリップ3の端
面に押し当てるためにタッチロール8を備え、ストリッ
プ3の走行に伴う板振れに追従するようストリップ3の
端面を検知し、押し付け力を制御するように成されてい
る。
下記表は、上記本発明方法により製造された溶融亜鉛
めっき鋼板のエッジオーバーコート発生状況を、従来法
すなわち第4図に示す方法で製造されたものと比較して
示したものである。
なお、従来法におけるワイピングノズルのスリットギ
ャップは中央で1mm、両サオドで1.2mmである。
上記表からも判かるように本発明法では、エッジオー
バーコートは完全に防止され、エッジ部の目付量はスト
リップ中央部とほぼ等しくなっている。
また、亜鉛めっき鋼板の表面品質およびめっき密着性
については、それぞれ外観目視観察および180°曲げ後
のテープ剥離を行った結果、本実施例による製品と従来
法による製品とに差異は認められなかった。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明方法は、ワイピングノズ
ルの下流側で、かつ鋼板に付着しためっき金属が凝固す
る迄の間において、鋼板の両端面にのみ付着しためっき
金属を除去するものである為、溶融めっき鋼板において
表面品質およびめっき密着性になんら影響を与えること
なくエッジオーバーコートを完全に防止することが可能
であり、連続溶融めっき鋼板製造設備に用いて非常に有
効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法の一実施例を示す斜視図、第2図は
本発明方法によって製造された溶融金属めっき鋼板の目
付状況を示す断面図、第3図はエッジオーバーコートの
発生状況を説明するための模式図、第4図、第5図およ
び第6図はそれぞれ従来のエッジオーバーコート防止法
を示す斜視図である。 1、1′はワイピングノズル、3はストリップ、6はナ
イフ、7は押し付け装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融めっき金属浴中に浸漬され、表裏面に
    めっき金属を付着された鋼板の前記表裏面をガスワイピ
    ングしてめっき厚さを所定の厚さに制御し、溶融めっき
    鋼板を製造する際におけるエッジオーバーコートの防止
    方法であって、ワイピングノズルの下流側で、かつ鋼板
    に付着しためっき金属が凝固する迄の間において、鋼板
    の両端面にのみ付着しためっき金属を除去することを特
    徴とする溶融めっきのエッジオーバーコート防止方法。
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