JP2712335B2 - 溶融めっきのオーバーコート防止方法及び装置 - Google Patents

溶融めっきのオーバーコート防止方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、連続溶融亜鉛めっき、あるいは連続溶融ア
ルミめっき等の溶融金属めっき方法において、鋼板のエ
ッジ部のめっき厚さが鋼板中央部より厚くなる、いわゆ
る、エッジ部のオーバーコートを防止する方法及びその
方法に使用する装置に関するものである。
(従来の技術) 連続溶融亜鉛めっきは、一般に、フラックス法あるい
は水素還元法等で表面活性化処理を行った鋼板を溶融亜
鉛浴中に浸漬した後、ガスワイピングノズルにより鋼板
表裏面に過剰に付着した溶融亜鉛を絞り取ることによっ
て鋼板表裏面に合金層を介して所定厚さの亜鉛皮膜を形
成するものである。
ところで、近年防錆鋼板としての溶融亜鉛めっき鋼板
の需要増に伴って生産性向上およびコスト低減を目的と
して連続溶融亜鉛めっき設備では高速化、自動化および
薄目付化が要求されるとともに亜鉛めっき厚さの均一
化、美麗化が要求されている。一般に、ガスワイピング
においては、ストリップエッジ部の目付厚さがストリッ
プ中央部に比べて厚くなるエッジ部のオーバーコートが
発生する。これは、特にめっき直後に加熱合金化処理が
行われるガルバニール(合金化処理溶融亜鉛めっき)に
おいて、めっき厚さが厚いエッジ部の合金化が遅れるエ
ッジ未処理の原因となる。また、通常の溶融めっき製品
の場合でも、エッジ部のオーバーコートはコイル巻取り
時における荷崩れの原因になる。
このようなエッジ部のオーバーコートの問題に対して
は、従来次のような種々の防止対策がとられてきた。
第1の例は、第5図に示すようにワイピングノズル1
のスリットギャップ2において、ストリップ3の幅より
若干狭い位置よりノズルの両側に向かって勾配を付けて
スリットギャップ2をノズルの両側にゆくほど大きく
し、ストリップエッジ部に衝突するワイピングジェット
の動圧を増加させることによりエッジ部の溶融亜鉛絞り
力を大きくする方法である。
第2の例は、特公昭55-41295号あるいは特開昭57-158
363号に代表される補助ノズル方式である。すなわち、
第6図に示すごとくワイピングノズル1の上部にあって
ストリップ3のエッジ部にあたる両側にノズル幅方向に
移動可能な補助ノズル4を設けることによりストリップ
エッジ部の絞り力を強化する方法である。
第3の例は、エッジプレート方式である。本方式は、
第7図に示すごとくストリップエッジ部において、ワイ
ピングジェットが衝突する部分にダミーのエッジプレー
ト5を設けることによりエッジオーバーコートを防止す
る方法である。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら前述の従来例では以下に示す問題点があ
る。
まず、第1の例では、ストリップの幅が変わると、ス
トリップエッジ部にあたるワイピングノズルのスリット
ギャップの位置が異なるためエッジ部のオーバーコート
の度合が異なる。従って、これを十分に防止するには、
ワイピングノズルを交換する必要があり、生産性が低下
する欠点がある。また、エッジ部のスリットギャップが
広くガス噴出量も多いため、スプラッシュや騒音の発生
が著しい。特に、スプラッシュの多発はワイピングノズ
ルやストリップを汚染し、ノズル清掃による生産性低下
および品質低下を招くという問題点がある。
第2の例においては、ストリップの幅が変わるごとに
補助ノズルのみを移動すればよく、第1の例のようなノ
ズル交換による生産性低下の問題は回避できるものの、
スプラッシュや騒音の発生に対しては上記第1の例と同
様にワイピングノズルの頻煩な清掃は免れない。
第3の例では、エッジプレートとストリップとの平行
度すなわち板厚方向のずれが大きくなるとエッジオーバ
ーコート防止効果が低減するため、通板によるストリッ
プの振動にあわせエッジプレートをストリップに平行に
追従させなければならない。この追従機構は、高速通板
では、高応答性、高精度が要求され設備費の高騰を招く
欠点がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解消すべくエ
ッジオーバーコートの発生要因であるストリップへの衝
突噴流のエッジ部での偏流を抑制することによってエッ
ジ部のオーバーコートを防止する方法及びその方法に使
用する装置を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、エッジ部のオーバーコートの発生機構を
究明するためにワイピングノズル幅方向の噴流の動圧分
布、ストリップ面上のワイピングガス流れおよび溶融亜
鉛流れに関し種々の実験、研究を行った結果、以下の知
見を得た。以下、第4図に示すワイピング模式図に従っ
て説明する。
すなわち、ワイピングノズルからのガス噴流は、スト
リップ3に衝突した後、ストリップ3に沿って上下に分
流するが、ストリップ3に沿って流れるガス流について
みると、第4図中矢印で示すようにストリップ3の中央
部ではストリップ3に平行であるのに対して、ストリッ
プ3のエッジ付近では外向きに流れる。この外向き偏流
によって、ストリップ面上に付着した溶融メッキ金属A
のうちエッジより中央寄りの部分のものがエッジ方向に
流動し、さらに溶融メッキ金属Aの表面張力によりスト
リップエッジへ付着する。この状態でメッキ金属が凝固
するため、エッジ部のメッキ厚さが中央部より厚くなる
エッジ部のオーバーコートが発生することが判明した。
したがって、ストリップ面上の衝突ワイピングガスの外
向き偏流を抑制すれば低減が望める。
本発明は上記した知見に基づいて成されたものであ
り、その第1は、溶融めっき金属浴中に浸漬後連続的に
引き上げられるストリップのエッジ部のみの三方向を、
ガスワイピング後めっき金属が凝固するまでの間の少な
くとも一部において囲繞するものである。また第2は、
ワイピングノズルの略スリット位置より搬送方向パスラ
インに沿って所要長さを有し、かつストリップのエッジ
部のみの三方向を囲繞するエッジ覆い材と、該エッジ覆
い材のストリップ幅方向への追従機構を具備してなるエ
ッジ部のオーバーコート防止装置である。
(作用) 本発明は、溶融めっき金属が付着したストリップのエ
ッジ部の三方向を、ガスワイピング後めっき金属が凝固
するまでの間の少なくとも一部、好ましくはワイピング
ノズルのスリット位置から搬送方向パスラインに沿って
例えば約2mの長さエッジ覆い材で囲繞するため、該エッ
ジ覆い材がストリップエッジ部のガスの外向き偏流の抵
抗となって、ストリップ面上のワイピングガス流れは第
3図に示すようにストリップエッジ部においてもストリ
ップ3と平行になり、エッジ部のオーバーコートが防止
できる。
(実施例) 以下本発明を第1図及び第2図に示す実施例に基づい
て説明する。
第1図及び第2図において、3はストリップであり、
このストリップ3は溶融メッキ金属浴中を通過して一定
の速度で引き上げられ、一対のワイピングノズル1、
1′からのガスジェットにより過剰に付着した溶融メッ
キ金属を絞り取られて一定のメッキ厚さに制御される。
5′はワイピングノズル1、1′のスリット位置よ
り、搬送方向すなわち上方に例えば2mの長さを有し、し
かもストリップ3のエッジ部のみの三方向を囲繞する断
面コ字状のエッジ覆い材であり、該エッジ覆い材5′は
ワイピングノズル1、1′の上方にこれと平行に設置さ
れたガイドレール6上を転動する車輪7をその両端に枢
着した支持部材8に吊持され、前記支持部材8に連結さ
れた移動機構9、例えばシリンダ装置のロッドの出退動
によってエッジ覆い材5′が前記ガイドレール6に沿っ
てストリップ3の幅方向に移動するように成されてい
る。
10は前記エッジ覆い材5′の上方に設置されたストリ
ップ3のエッジ位置の検出器であり、この検出器10で検
出したストリップエッジ位置は変換器11を介して前記移
動機構9の制御器12に入力される。この制御器12は検出
器10によって検出した前記エッジ位置に対してエッジ覆
い材5′をストリップ3のエッジから一定の距離をおい
て支持するように移動機構9に信号を発するものであ
る。したがって、通板によるストリップ3の幅方向の変
動に対してエッジ覆い材5′は一定間隔をおいて追従す
るため安定したエッジ部のオーバーコートの防止ができ
る。
第1図に示す第1実施例では、エッジ覆い材5′のス
トリップ3への追従方法としてストリップエッジ検出に
よる方法を示したが、この他に第2図に示す如くエッジ
覆い材5′にストリップエッジへのタッチロール13を取
り付けるとともにストリップ3の中央方向にスプリング
14等で張力を与えることによってストリップ3の幅方向
の変動に追従する方法を用いることもできる。
つぎに、連続溶融亜鉛メッキ設備において、第1図に
示すエッジ部のオーバーコート防止装置を組み込み、亜
鉛メッキ鋼板を製造した。本実施例では、エッジ覆い材
5′は幅30mm、辺長50mm、長さ500mmでありワイピング
ノズル1の直上のワイピングジェットの邪魔にならない
位置に設置した。また、エッジ覆い材5′とストリップ
エッジとの間隔は3mmになるよう制御器12を設定した。
下記表は、上記条件で製造した亜鉛メッキ鋼板のエッ
ジ部のオーバーコートの状況を溶解法で測定した結果
と、従来法すなわち第5図に示すエッジテーパースリッ
トギャップノズルにより製造した亜鉛メッキ鋼板エッジ
部のオーバーコート状況とを比較したものである。ただ
し、スリットギャップはノズル中央部で1mm、両サイド
で1.2mmである。下記表に示すごとく、本発明による実
施例は、従来法に比べエッジ部のオーバーコートが、非
常に低減していることが判かる。また、亜鉛メッキ鋼板
の表面品質およびメッキ密着性については、それぞれ外
観目視観察、および180°曲げ後のテープ剥離を行った
結果、本実施例による製品と従来法による製品とに差異
は認められなかった。
なお、本実施例では、エッジ覆い材5′の形状として
コ字状のものを示したが、これに限るものではなく、U
字状等でもよいことは勿論である。
(発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、溶融メッキ鋼板
において表面品質およびメッキ密着性になんら影響を与
えることなくエッジ部のオーバーコートを防止できるも
のであり、連続溶融メッキ鋼板の製造ラインへ用いてき
わめて有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す斜視図、第2図は本
発明の第2実施例を示す斜視図、第3図は本発明の装置
を用いた時のワイピング模式図で、(イ)は平面図、
(ロ)は正面図、第4図はエッジオーバーコートが発生
する時のワイピング模式図で、(イ)は平面図、(ロ)
は正面図、第5図、第6図および第7図は従来のエッジ
部のオーバーコート防止法を示す斜視図である。 1、1′はワイピングノズル、3はストリップ、5′は
エッジ覆い材、9は移動機構、10は検出器、12は制御
器、13はタッチロール、14はスプリング。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融めっき鋼板を製造する際におけるエッ
    ジ部のオーバーコート防止方法であって、溶融めっき金
    属浴中に浸漬後連続的に引き上げられるストリップのエ
    ッジ部のみの三方向を、ガスワイピング後めっき金属が
    凝固するまでの間の少なくとも一部において囲繞するこ
    とを特徴とする溶融めっきのオーバーコート防止方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法の実施に使用する装置
    であって、ワイピングノズルの略スリット位置より搬送
    方向パスラインに沿って所要長さを有し、かつストリッ
    プのエッジ部のみの三方向を囲繞するエッジ覆い材と、
    該エッジ覆い材のストリップ幅方向への追従機構を具備
    して成ることを特徴とする溶融めっきのオーバーコート
    防止装置。
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