JP2754719B2 - 車両のエンジン出力制御装置 - Google Patents

車両のエンジン出力制御装置

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JP2754719B2
JP2754719B2 JP11120989A JP11120989A JP2754719B2 JP 2754719 B2 JP2754719 B2 JP 2754719B2 JP 11120989 A JP11120989 A JP 11120989A JP 11120989 A JP11120989 A JP 11120989A JP 2754719 B2 JP2754719 B2 JP 2754719B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は車両のエンジン出力を目標とするエンジン出
力にする車両のエンジン出力制御装置に関する。
(従来の技術) 従来、エンジン出力を所定の目標エンジントルクとす
るようにエンジンを制御するものの1つとして自動車が
急加速された場合に生じる駆動輪のスリップを防止する
加速スリップ防止装置(トラクションコントロール装
置)が知られている。このようなトラクションコントロ
ール装置においては、駆動輪の加速スリップを検出する
とタイヤと路面との摩擦係数μが最大範囲(第18図の斜
線範囲)にくるように、スリップ率Sを制御していた。
ここで、スリップ率Sは[(VF−VB)/VF]×100(パ
ーセント)であり、VFは駆動輪の車輪速度、VBは車体
速度である。つまり、駆動輪のスリップを検出した場合
には、スリップ率Sが斜線範囲に来るようにエンジン出
力を制御することにより、タイヤと路面との摩擦係数μ
が最大範囲に来るように制御して、加速時に駆動輪のス
リップを防止して自動車の加速性能を向上させるように
している。
(発明が解決しようとする課題) このようなトラクションコントロール装置において
は、駆動輪のスリップを検出した場合には、エンジン出
力をスリップが発生しない目標エンジン出力になるよう
に制御することが要求される。ところで、エンジン出力
はトランスミッションの暖機状態によって出力が変化す
る。例えば、トランスミッションが冷態時にはトランス
ミッション油が冷えているため、トランスミッション油
の潤滑能力が低下し、トランスミッションのフリクショ
ンが大きくなるため、エンジン出力が低下する。このた
め、目標エンジン出力に応じてエンジン出力を制御する
場合にトランスミッションのフリクションを考慮する必
要がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的
は、車両用エンジンへの吸気通路にスロットル弁を設
け、スロットル弁の開度を制御することにより上記エン
ジンの出力を制御しているエンジン出力制御装置におい
て、トランスミッションの暖機状態に応じて目標エンジ
ントルク目標空気量あるいはスロットル弁の目標開度を
変化させることにより精度よくエンジン出力を目標エン
ジントルクに制御することができる車両のエンジン出力
制御装置を提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段及び作用) 車両用エンジンへの吸気通路にスロットル弁を設け、
スロットル弁の開度を制御することにより上記エンジン
の出力を制御しているエンジン出力制御装置において、
エンジンが出力すべき目標エンジントルクを算出する目
標エンジントルク算出手段と、トランスミッションの暖
機状態をエンジン水温と始動後の吸入空気量の積算値と
に基づき推定するとともに推定した同暖機状態に応じた
補正を伴い上記目標エンジントルクから上記スロットル
弁の目標開度を算出するスロットル弁開度算出手段とを
備えた車両のエンジン出力制御装置である。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明の一実施例に係わる車両
のエンジン出力制御装置が採用される車両の加速スリッ
プ防止装置について説明する。第1図は車両の加速スリ
ップ防止装置を示す構成図である。同図は前輪駆動車を
示しているもので、WFRは前輪右側車輪、WFLは前輪左
側車輪、WRRは後輪右側車輪、WRLは後輪左側車輪を示
している。また、11は前輪右側車輪(駆動輪)WFRの車
輪速度VFRを検出する車輪速度センサ、12は前輪左側車
輪(駆動輪)WFLの車輪速度VFLを検出する車輪速度セ
ンサ、13は後輪右側車輪(従動輪)WRRの車輪速度VRR
を検出する車輪速度センサ、14は後輪左側車輪(従動
輪)WRLの車輪速度VRLを検出する車輪速度センサであ
る。上記車輪速度センサ11〜14で検出された車輪速度V
FR,VFL,VRR,VRLはトラクションコントローラ15に入力さ
れる。このトラクションコントローラ15には図示しない
吸気温度センサで検出される吸気温度AT、図示しない大
気圧センサで検出される大気圧AP、図示しない回転セン
サで検出されるエンジン回転速度Ne、図示しないエアフ
ローセンサで検出されるエンジン回転1サイクル当りの
吸入空気量A/N、図示しない油温センサで検出されるト
ランスミッションの油温OT、図示しない水温センサで検
出されるエンジンの冷却水温WT、図示しないエアコンス
イッチの操作状態、図示しないパワステスイッチSWの操
作状態、図示しないアイドルスイッチの操作状態、図示
しないパワステポンプ油温OP、図示しない筒内圧センサ
により検出されるエンジンの気筒の筒内圧CP、図示しな
い燃焼室壁温センサで検出されるエンジンの燃焼室壁温
度CT、オルタネータの励磁電流iΦ、エンジン始動後の
時間を計数する図示しないタイマから出力される始動後
経過時間τが入力される。このトラクションコントロー
ラ15はエンジン16に制御信号を送って加速時の駆動輪の
スリップを防止する制御を行なっている。このエンジン
16は第1図(A)に示すようにアクセルペダルによりそ
の開度Θ1が操作される主スロットル弁THmの他に、上
記トラクションコントローラ15からの後述する開度信号
Θsによりその開度Θ2が制御される副スロットル弁TH
sを有している。この副スロットル弁THsの開度Θ2はト
ラクションコントローラ15からの開度信号Θsによりモ
ータ駆動回路52がモータ52mの回転を制御することによ
り行われる。そして、このように副スロットル弁THmの
開度Θ2を制御することによりエンジン16の駆動力を制
御している。なお、上記主スロットル弁THm、副スロッ
トル弁THsの開度Θ1,Θ2はそれぞれスロットルポジシ
ョンセンサTPS1、TPS2により検出されて上記モータ駆動
回路52に出力される。さらに、上記主及び副スロットル
弁THm,THsの上下流間にはアイドリング時の吸入空気量
を確保するためのバイパス通路52bが設けられており、
このバイパス通路52bの開度量はステッパモータ52sによ
り制御される。また、上記主及び副スロットル弁THm,TH
sの上下流間にはバイパス通路52cが設けられており、こ
のバイパス通路52cにはエンジン16の冷却水温WTに応じ
てその開度が調整されるワックス弁52Wが設けられる。
また、17は前輪右側車輪WFRの制動を行なうホイール
シリンダ、18は前輪左側車輪WFLの制動を行なうホイー
ルシリンダである。通常これらのホイールシリンダには
ブレーキペダル(図示せず)を操作すると、圧油が供給
される。トラクションコントロール作動時には次に述べ
る別の経路からの圧油の供給を可能としている。上記ホ
イールシリンダ17への油圧源19からの圧油の供給はイン
レットバルブ17iを介して行われ、上記ホイールシリン
ダ17からリザーバ20への圧油の排出はアウトレットバル
ブ17oを介して行われる。また、上記ホイールシリンダ1
8への油圧源19からの圧油の供給はインレットバルブ18i
を介して行われ、上記ホイールシンリンダ18からリザー
バ20への圧油の排出はアウトレットバルブ18oを介して
行われる。そして、上記インレットバルブ17i及び18i、
上記アウトレットバルブ17o及び18oの開閉制御は上記ト
ラクションコントローラ15により行われる。
次に、第2図を参照して上記トラクションコントロー
ラ15の詳細な構成について説明する。
同図において、11,12は駆動輪WFR,WFLの車輪速度VF
R,VFLを検出する車輪速度センサであり、この車輪速度
センサ11,12により検出された駆動輪速度VFR,VFLは、
何れも高車速選択部31及び平均部32に送られる。高車速
選択部31は、上記駆動輪速度VFR,VFLのうちの高車輪速
度側を選択するもので、この高車速選択部31により選択
された駆動輪速度は、重み付け部33に出力される。ま
た、上記平均部32は、上記車輪速度センサ11,12から得
られた駆動輪速度VFR,VFLから、平均駆動輪速度(VFR
+VFL)/2を算出するもので、この平均部32により算出
された平均駆動輪速度は、重み付け部34に出力される。
重み付け部33は、上記高車速選択部31により選択出力さ
れた駆動輪WFR,WFLの何れか高い方の車輪速度をKG倍
(変数)し、また、重み付け部34は、平均部32により平
均出力された平均駆動輪速度を(1−KG)倍(変数)
するもので、上記各重み付け部33及び34により重み付け
された駆動輪速度及び平均駆動輪速度は、加算部35に与
えられて加算され、駆動輪速度VFが算出される。
ここで、上記変数KGは、第3図で示すように、求心
加速度GYに応じて変化する変数であり、求心加速度GYが
所定値(例えば0.1)まではその値の大小に比例し、そ
れ以上で「1」になるよう設定される。
一方、車輪速度センサ13,14により検出される従動輪
速度VRR,VRLは、何れも低車速選択部36及び高車速選択
部37に送られる。低車速選択部36は、上記従動輪速度V
RR,VRLのうちの低車輪速度側を選択し、また、高車速選
択部37は、上記従動輪速度VRR,VRLのうちの高車輪速度
側を選択するもので、この低車速選択部36により選択さ
れた低従動輪速度は重み付け部38に、また、高車速選択
部37により選択された高従動輪速度は重み付け部39に出
力される。重み付け部38は、上記低車速選択部36により
選択出力された従動輪WRR,WRLの何れか低い方の車輪速
度をKr倍(変数)し、また、重み付け部39は、上記高車
速選択部37により選択出力された従動輪WRR,WRLの何れ
か高い方の車輪速度を(1−Kr)倍(変数)するもの
で、上記各重み付け部38及び39により重み付けされた従
動輪速度は、加算部40に与えられて加算され、従動輪速
度VRが算出される。この加算部40で算出された従動輪
速度VRは、乗算部40′に出力される。この乗算部40′
は、上記加算算出された従動輪速度VRを(1+α)倍
するもので、この乗算部40′を経て従動輪速度VRR,VRL
に基づく目標駆動輪速度Vφが算出される。
ここで、上記変数Krは、第4図で示すように、求心加
速度GYに応じて「1」〜「0」の間を変化する変数であ
る。
そして、上記加算部35により算出された駆動輪速度V
F、及び乗算部40′により算出された目標駆動輪速度V
φは、減算部41に与えられる。この減算部41は、上記駆
動輪速度VFから目標駆動輪速度Vφを減算し、駆動輪
WFR,WFLのスリップ量DVi′(VF−Vφ)を算出するも
ので、この減算部41により算出されたスリップ量DVi′
は加算部42に与えられる。この加算部42は、上記スリッ
プ量DVi′を、求心加速度GY及びその変化率ΔGYに応じ
て補正するもので、求心加速度GYに応じて変化するスリ
ップ補正量Vg(第5図参照)はスリップ量補正部43から
与えられ、求心加速度GYの変化率ΔGYに応じて変化する
スリップ補正量Vd(第6図参照)はスリップ量補正部44
から与えられる。つまり、加算部42では、上記減算部か
ら得られたスリップ量DVi′に各スリップ補正量Vg,Vdを
加算するもので、この加算部42を経て、上記求心加速度
GY及びその変化率ΔGYに応じて補正されたスリップ量DV
iは、例えば15msのサンプリング時間T毎にTSn演算部45
及びTPn演算部46に送られる。
TSn演算部45における演算部45aは、上記スリップ量DV
iに係数KIを乗算し積分した積分型補正トルクTSn′(=
ΣKI・DVi)を求めるもので、この積分型補正トルクTS
n′は係数乗算部45bに送られる。つまり、上記積分型補
正トルクTSn′は、駆動輪WFR,WFLの駆動トルクに対す
る補正値であり、該駆動輪WFR,WFLとエンジン16との間
に存在する動力伝達機構の変速特性が変化するのに応じ
てその制御ゲインを調整する必要があり、係数乗算部45
bでは、上記演算部45aから得られた積分型補正トルクTS
n′に変速段により異なる係数GKiを乗算し、該変速段に
応じた積分型補正トルクTSnを算出する。ここで、上記
変数KIは、スリップ量DViに応じて変化する係数であ
る。
一方、TPn演算部46における演算部46aは、上記スリッ
プ量DViに係数Kpを乗算した比例型補正トルクTPn′(=
DVi・Kp)を求めるもので、この比例型補正トルクTPn′
は係数乗算部46bに送られる。つまり、この比例型補正
トルクTPn′も、上記積分型補正トルクTSn′同様、駆動
輪WFR,WFLの駆動トルクに対する補正値であり、該駆動
輪WFR,WFLとエンジン16との間に存在する動力伝達機構
の変速特性が変化するのに応じてその制御ゲインを調整
する必要のあるもので、係数乗算部46bでは、上記演算
部46aから得られた比例型補正トルクTSn′に変速段によ
り異なる係数GKpを乗算し、該変速段に応じた比例型補
正トルクTPnを算出する。
一方、上記加算部40により得られる従動輪速度VR
は、車体速度VBとして基準トルク演算部47に送られ
る。この基準トルク演算部47は、まず車体加速度演算部
47aにおいて上記車体速度VBの加速度GBを算出するも
ので、この車体加速度演算部47aにより得られた車体加
速度GBはフィルタ47bを介し車体加速度GBFとして基準
トルク算出部47cに送られる。この基準トルク算出部47c
は、上記車体加速度GBF及び車重W及び車輪半径Reに基
づき基準トルクTG(=GBF×W×Re)を算出するもの
で、この基準トルクTGが本来エンジン16が出力すべき
車軸トルク値となる。
上記フィルタ47bは、基準トルク演算部47cで算出され
る基準トルクTGを、時間的にどの程度手前の車体加速
度GBに基づき算出させるかを例えば3段階に定めるも
ので、つまりこのフィルタ47bを通して得られる車体加
速度GBFは、今回検出した車体加速度GBnと前回までの
フィルタ47bの出力である車体加速度GBFn−1とによ
り、現在のスリップ率S及び加速状態に応じて算出され
る。
例えば、現在車両の加速度が増加している際にそのス
リップ率Sが第15図の範囲「1」で示す状態にある場合
には、素早く「2」の状態へと移行させるため、車体加
速度GBFは、前回のフィルタ47bの出力であるGBFn−1
と今回検出のGBnとを同じ重み付けで平均して最新の車
体加速度GBFとして下式(1)により算出される。
GB Fn=(GBn+GBFn−1/2 …(1) また、例えば現在車両の加速度が減少している際にそ
のスリップ率SがS>S1で第15図で示す範囲「2」→
「3」に移行するような場合には、可能な限り「2」の
状態を維持させるため、車体加速度GBFは、前回のフィ
ルタ47bの出力GBFn−1に近い値を有する車体加速度G
BFnとして下式(2)により算出される。
GBFn=(GBFn+7GBFn−1)/8 …(2) さらに、例えば現在車両の加速度が減少している際に
そのスリップ率SがS≦S1で第15図で示す「2」→
「1」に移行したような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態に戻すため、車体加速度GBFは、前回のフ
ィルタ47bの出力GBFn−1に更に重みが置かれて、上記
式(2)で算出するときに比べ、前回算出の車体加速度
GBFn−1に近い値を有する車体加速度GBFnとして下式
(3)により算出される。
GBFn=(GBFn+15GBFn−1)/16 …(3) 次に、上記基準トルク演算部47により算出された基準
トルクTGは、減算部48に出力される。この減算部48
は、上記基準トルク演算部47より得られる基準トルクT
Gから前記TSn演算部45にて算出された積分型補正トルク
TSnを減算するもので、その減算データはさらに減算部4
9に送られる。この減算部49は、上記減算部48から得ら
れた減算データからさらに前記TPn演算部46にて算出さ
れた比例型補正トルクTPnを減算するもので、その減算
データは駆動輪WFR,WFLを駆動する車軸トルクの目標ト
ルクTφとしてスイッチS1を介しエンジントルク変換部
500に送られる。つまり、 Tφ=TG−TSn−TPn とされる。
このエンジントルク変換部500は、上記減算部49から
スイッチS1を介して与えられた駆動輪WFR,WFLに対する
目標トルクTφを、エンジン16と上記駆動輪車軸との間
の総ギア比で除算して目標エンジントルクT1に換算して
いる。この目標エンジントルクT1はトルコン応答遅れ補
正部501に出力される。このトルコン応答遅れ補正部501
はトルクコンバータ(図示しない)の応答遅れに応じて
上記エンジントルクT1を補正して目標エンジントルクT2
を出力する。この目標エンジントルクT2はT/M(トラン
スミッション)フリクション補正部502に出力される。
このT/Mフリクション補正部502には第20図に示すトラン
スミッション油温OT−トルク補正量Tf特性を示すマップ
m1、第21図に示す推定油温XT−トルク補正量Tf特性を示
すマップm2、第22図に示す始動後時間τ−エンジン冷却
水温WT,トランスミッション油温OT特性を示す特性図m
3、第23図に示すエンジン回転速度(あるいはトランス
ミッション回転速度)N−トルク補正量Tfを示すマップ
m4、第24図に示すエンジンの冷却水温WT−吸入空気量積
算値ΣQに対するトルク補正量Tfを示す3次元マップm5
が接続される。また、このT/Mフリクション補正部502に
はT/Mの油温OT,エンジンの冷却水温WT,エンジン16の始
動直後の冷却水温WTO,エンジン16の始動後経過時間τ,
車速Vc,エンジン始動後の吸入空気量Q,エンジンまたはT
/Mの回転速度N,エンジン始動後の走行距離ΣVsが入力さ
れる。T/Mフリクション補正部502は上記マップm1,m2,m
4,m5及び該入力信号に基づいて、トランスミッションの
暖機状態を推定している。T/Mフリクション補正部502に
おいて、トランスミッションが暖機状態に到達していな
いほど、トランスミッションでのフリクション損失が大
きいので、フリクション損失に相当するトルク補正量Tf
だけ上記目標エンジントルクT2に加算されて、目標エン
ジントルクT3が求められる。
上記目標エンジントルクT3は外部負荷補正部503に出
力される。この外部負荷補正部503は第25図に示すエン
ジン回転速度Neと損失トルクTLとの関係を示すマップm
11,第26図に示すポンプ油圧OPと損失トルクTLの関係を
示すマップm12,第27図に示すバッテリ電圧Vbと損失トル
クTLとの関係を示すマップm13,第28図に示すエンジン
回転速度Neとオルタネータの励磁電流iΦに対する損失
トルクTLを示す3次元マップm14,第29図に示す励磁電
流iΦに対するオルタネータ効率Kを示すマップm15,エ
アコンがオンされているときのトルク補正量TLを記憶
する定数記憶部m16が記憶される。さらに、この外部負
荷補正部503にはエアコンスイッチSW,エンジン回転速度
Ne,パワステスイッチ,パワステポンプ油圧OP,バッテリ
電圧Vb,オルタネータ励磁電流iΦが入力される。この
外部負荷補正部503は上記マップm11〜m14及び入力信号
に基づいて、エアコン,パワステ,ヘッドライト等の外
部負荷が変動した場合に、その外部負荷によるトルク損
失TLだけ上記目標エンジントルクT3に加算して、目標
エンジントルクT4としている。
この目標エンジントルクT4は大気条件補正部504に出
力される。この大気条件補正部504には第30図に示す大
気圧AP−トルク補正量Tpのマップm21が接続されると共
に、大気圧APが入力される。この大気条件補正部504は
上記マップm21及び大気圧APを参照して大気圧APに応じ
たトルク補正量Tpを算出して上記目標エンジントルクT4
に加算して、目標エンジントルクT5を算出している。
さらに、上記目標エンジントルクT5は運転条件補正部
505に出力される。この運転条件補正部505には第31図に
示すエンジン冷却水温WT−トルク補正量TW特性を示す
マップm31,第32図に示すエンジン始動後経過時間τ−ト
ルク補正量Tas特性を示すマップm32,第33図に示すエン
ジン油温−トルク補正量Tj特性を示すマップm33が接続
れると共に、エンジン冷却水温WT,エンジン回転速度Ne,
エンジン始動後の経過時間τ,エンジンの油温OT,燃焼
室壁温CT,単位時間当りの吸入空気量Q,筒内圧CPが入力
される。この運転条件補正部505は上記マップm31〜m33
及び入力信号を参照して、エンジンの暖機状態を推定し
て、エンジンが暖機状態に到達していないほど、エンジ
ン出力は出にくいので、その分だけ上記目標エンジント
ルクT5に加算して、目標エンジントルクT6とされる。
そして、この目標エンジントルクT6は下限値設定部50
6に出力される。この下限値設定部506には第16図あるい
は第17図に示すトラクションコントロール開始からの経
過時間tあるいは車体速度VB応じて変化する下限値Tli
mが入力される。この下限値設定部506は上記目標エンジ
ントルクT6の下限値を、上記下限値Tlimにより制限し
て、目標エンジントルクT7として目標空気量算出部507
に出力する。そして、この目標エンジントルクT7は目標
空気量算出部507に出力される。
目標空気量算出部507には第34図に示すように目標エ
ンジントルクT7−エンジン回転速度Neに対する目標空気
量(質量)の3次元マップが接続される。さらに、目標
空気量算出部507には第36図に示す係数Kt及び第37図に
示す係数Kpが入力されると共にエンジン回転速度Ne,吸
気温度AT,大気圧APが入力される。
以下、目標空気量算出部507において、上記目標エン
ジントルクT7を出力するために必要な目標空気量(質
量)が算出される。ここで、目標空気量(質量)とし
て、「質量」をカッコ書きにした意味は、ある量の燃料
を燃焼させるために必要な吸入空気量は質量を基準とし
て考えているからである。また、目標空気量(体積)と
いう表現を明細書中で使用しているが、スロットル弁で
制御されるのは吸入空気量の質量ではなく、体積である
からである。つまり、この目標空気量算出部507は上記
エンジン16において上記目標エンジントルクT7を出力す
るためのエンジン1回転当りの目標空気量(質量)A/Nm
を算出しているもので、エンジン回転速度Neと目標エン
ジントルクT7に基づき第34図の3次元マップが参照され
て目標空気量(質量)A/Nmが求められる。
A/Nm=f[Ne,T7] ここで、A/Nmはエンジン1回転当りの吸入空気量(質
量)であり、 f[Ne,T7]はエンジン回転数Ne,目標エンジントルク
T7をパラメータとした3次元マップである。
さらに、上記目標空気量算出部507において、下式に
より上記目標空気量(質量)A/Nmが吸気温度AT及び大気
圧APにより補正されて標準大気状態での目標空気量(体
積)A/Nvに換算される。
A/Nv=(A/Nm)/{Kt(AT)*Kp(AP)} ここで、A/Nvはエンジン1回転当りの吸入空気量(体
積)、Ktは吸気温度(AT)をパラメータとした密度補正
係数(第37図参照)、Kpは大気圧(AP)をパラメータと
した密度補正係数(第38図参照)である。
上記目標空気量A/Nv(体積)は目標空気量補正部508
に送られる。この目標空気量補正部508には第38図に示
す吸気温度ATに対する補正係数Ka′が入力される。この
目標空気量補正部508には吸気温度ATにより吸入効率が
変化することに対する補正が行われて、目標空気量A/N
Oが下式により算出される。
A/N O=A/Nv*Ka′(AT) ここで、A/N Oは補正後の目標空気量、A/Nvは補正前
の目標空気量、Ka′は吸気温度(AT)による補正係数
(第38図参照)である。
上記補正はつぎのような理由により行われる。即ち、
吸気温度によりエンジンへの空気の吸入効率が変化する
が、吸気温度ATがエンジンの燃焼室壁温度CTより低い場
合には、吸入された空気はエンジンの燃焼室に送り込ま
れると膨脹するので、吸入効率が低下する。一方、吸気
温度ATがエンジンの燃焼室壁温度CTより高い場合には、
吸入された空気はエンジンの燃焼室に送り込まれると収
縮するので、吸入効率は上昇する。このため、吸気温度
ATが低い場合には、燃焼室において吸入空気が膨脹する
ことを考慮して、目標空気量(体積)に補正係数Ka′を
乗算することにより大きめに補正しておいて、吸入効率
の低下による制御の精度低下を補い、吸気温度ATが高い
場合には、燃焼室において吸入空気が収縮することを考
慮して、目標空気量(体積)に補正係数Ka′を乗算して
少なめに補正して、吸入効率の上昇による制御の精度低
下を防いでいる。つまり、第38図に示すように、標準吸
気温度ATOを境に、吸気温度ATが高い場合には補正係数K
a′は吸気温度ATに応じて減少し、標準吸気温度ATOを境
に吸気温度ATが低い場合には補正係数Ka′は吸気温度AT
に応じて増大するように設定されている。
上記目標空気量A/N Oは目標スロットル開度算出部509
に送られる。この目標スロットル開度算出部509には第3
9図に示すマップが接続されると共に、スロットルポジ
ションセンサTPS1で検出される主スロットル弁THmの開
度Θ1が入力される。つまり、第39図の3次元マップが
参照されて目標空気量A/N Oと主スロットル弁THmの開度
Θ1に対する目標スロットル開度Θ2′が求められる。
この第39図の3次元マップは次のようにして求められ
る。つまり、主スロットル弁THm開度Θ1あるいは副ス
ロットル弁THsの開度Θ2を変化させた時に、エンジン
1回転当りの吸入空気量をデータとして把握しておき、
主スロットル弁THm及びエンジン1回転当りの吸入空気
量に対応する副スロットル弁THsの開度Θ2の関係を求
めてそれをマップにしたものである。
上記目標スロットル開度Θ2′はバイパス空気量に対
する開度補正部510に送られる。この開度補正部510には
第44図に示す目標開度Θをパラメータとしたステッパモ
ータ52sの1ステップ当りの開度補正係数Ksが入力され
る。さらに、この開度補正部510にはエンジン冷却水温W
T,ステッパモータ52sの駆動ステップ数Sm,エンジン冷却
水温WTをパラメータとしたワックス開度をステッパモー
タ52sの駆動ステップ数に換算する換算値Sw(第45図)
が入力される。この開度補正部510はバイパス通路52b,5
2cを介する空気量をステッパモータ52sの駆動ステップ
数及び冷却水温WTから算出している。そして、この空気
量に相当する開度補正量ΔΘを換算している。そして、
この開度補正部510において、上記目標スロットル開度
算出部509で算出された目標スロットル開度Θ2′から
上記開度補正量ΔΘが減算される。このようにして、副
スロットル弁THsの目標スロットル開度Θ2が算出され
る。
一方、上記目標空気量補正部508から出力される補正
された目標空気量A/N Oは減算部513にも送られる。この
減算部513は上記目標空気量A/N Oとエアフローセンサに
より所定のサンプリング時間毎に検出される実際の吸入
空気量A/Nとの偏差ΔA/Nを算出するもので、この目標空
気量A/N Oと実空気量A/Nとの偏差ΔA/NはPID制御部514
に送られる。このPID制御部507は、上記偏差ΔA/Nに相
当する副スロットル弁THsの開度補正量ΔΘ2を算出す
るもので、この副スロットル弁開度補正量ΔΘ2は加算
部515に送られる。
ここで、上記PID制御部514により得られる副スロット
ル弁開度補正量ΔΘ2は、比例制御による開度補正量Δ
Θp、積分制御による開度補正量ΔΘi、微分制御によ
る開度補正量ΔΘdを加算したものである。
ΔΘ2=ΔΘp+ΔΘi+ΔΘd ΔΘp=Kp(Ne)*Kth(Ne)*ΔA/N ΔΘi=Ki(Ne)*Kth(Ne)*Σ(ΔA/N) ΔΘd=Kd(Ne)*Kth(Ne)*{ΔA/N−ΔA/Nold} ここで、各係数Kp,Ki,Kdは、それぞれエンジン回転速
度Neをパラメータとした比例ゲイン(第40図参照)、積
分ゲイン(第41図参照)、微分ゲイン(第42図参照)で
あり、Kthはエンジン回転速度NeをパラメータとしたΔA
/N→ΔΘ変換ゲイン(第43図参照)、ΔA/Nは目標空気
量A/N Oと実際の空気量A/Nとの偏差、ΔA/N Oldは1回
前のサンプリングタイミングでのΔA/Nである。
上記加算部515は、上記開度補正部510で補正された目
標スロットル開度Θ2と上記PID制御部514で算出された
副スロットル弁開度補正量ΔΘ2とを加算し、フィード
バック補正された目標開度Θfが算出される。この目標
開度Θfは副スロットル弁開度信号Θsとしてモータ駆
動回路52に送られる。そして、このモータ駆動回路52は
上記スロットルポジションセンサTPS2により検出される
副スロットル弁THsの開度Θ2が副スロットル弁開度信
号Θsに相当する開度と等しくなるようにモータ52mの
回転を制御している。
ところで、従動輪の車輪速度VRR,VRLは求心加速度演
算部53に送られて、旋回度を判断するために、求心加速
度GY′が求められる。この求心加速度GY′は求心加速度
補正部54に送られて、求心加速度GY′が車速に応じて補
正される。つまり、GY=Kv・GY′とされる。ここで、Kv
は第7図乃至第12図に示すように車体速度VBに応じて
変化する係数である。
上記高車速選択部37から出力される大きい方の従動車
輪速度が減算部55において駆動輪の車輪速度VFRから減
算される。さらに、上記高車速選択部37から出力される
大きい方の従動輪車輪速度が減算部56において駆動輪の
車輪速度VFLから減算される。
上記減算部55の出力は乗算部57においてKB倍(0<
KB<1)され、上記減算部56の出力は乗算部58におい
て(1−KB)倍された後、加算部59において加算され
て右側駆動輪のスリップ量DV FRとされる。また同時
に、上記減算部56の出力は乗算部60においてKB倍さ
れ、上記減算部55の出力は乗算部61において(1−K
B)倍された後加算部62において加算されて左側の駆動
輪のスリップ量DV FLとされる。上記変数KBは第13図に
示すようにトラクションコントロールの制御開始からの
経過時間に応じて変化するもので、トラクションコント
ロールの制御開始時には「0.5」とされ、トラクション
コントロールの制御が進むに従って、「0.8」に近付く
ように設定されている。
上記右側駆動輪のスリップ量DV FRは微分部63におい
て微分されてその時間的変化量、つまりスリップ加速度
GFRが算出されると共に、上記左側駆動輪のスリップ量
DV FLは微分部64において微分されてその時間的変化
量、つまりスリップ加速度GFLが算出される。そして、
上記スリップ加速度GFRはブレーキ液圧変化量(ΔP)
算出部65に送られて、第14図に示すGFR(GFL−ΔP変
換マップが参照されてスリップ加速度GFRを抑制するた
めのブレーキ液圧の変化量ΔPが求められる。このブレ
ーキ液圧の変化量ΔPは、上記開始/終了判定部50によ
り開閉制御されるスイッチS2を介してΔP−T変換部67
に送られて第1図(A)におけるインレットバルブ17i
及びアウトレットバルブ17oの開時間Tが算出される。
また、同様に、スリップ加速度GFLはブレーキ液圧変化
量(ΔP)算出部66に送られて、第14図に示すGFR(G
FL)−ΔP変換マップが参照されて、スリップ加速度G
FLを制するのためのブレーキ液圧の変化量ΔPが求めら
れる。このブレーキ液圧の変化量ΔPは上記開始/終了
判定部50により開閉制御されるスイッチS3を介してΔP
−T変換部68に送られて第1図(A)におけるインレッ
トバルブ18i及びアウトレットバルブ18oの開時間Tが算
出される。そして、上記のようにして算出されたインレ
ットバルブ17i,18i及びアウトレットバルブ17o,18oの開
時間Tだけバルブが開制御されて、右駆動輪WFR及び左
駆動輪WFLにブレーキがかけられる。
なお、上記スイッチS1〜S2は連動して開始/終了判定
部50により開閉されるものである。
ところで、上記減算部41で算出されたスリップ量DV
i′は微分部41aに送られて、スリップ量DVi′の時間的
変化率ΔDVi′が算出される。上記スリップ量DVi′、そ
の時間的変化率ΔDVi′、上記副スロットル弁THsの開度
Θ2、図示しないトルクセンサにより検出されるエンジ
ン16の出力トルクTeは開始/終了判定部50に出力され
る。この開始/終了判定部50は上記スリップ量DVi′、
その時間的変化率ΔDVi′、エンジントルクTeが、いず
れもそれぞれの基準値以上になった場合には、上記スイ
ッチS1〜S3を閉成して制御を開始し、副スロットル弁TH
sの開度Θ2が所定の基準値より大きくなるか、またはD
Vi′が所定の基準値(上記基準値とは異なる)より小さ
くなったときに、上記スイッチS1〜S3を開成して制御を
終了している。
なお、第14図において、旋回時にブレーキを掛ける場
合には、内輪側の駆動輪のブレーキを強化するために、
旋回時の内輪側の変換値は破線aで示すようになってい
る。
次に、上記のように構成された本発明の一実施例に係
わる車両のエンジン出力制御方法の動作について説明す
る。第1図及び第2図において、車輪速度センサ13,14
から出力される従動輪(後輪)の車輪速度は高車速選択
部36,低車速選択部37,求心加速度演算部53に入力され
る。上記低車速選択部36においては従動輪の左右輪のう
ち小さい方の車輪速度が選択され、上記高車速選択部37
においては従動輪の左右輪のうち大きい方の車輪速度が
選択される。通常の直線走行時において、左右の従動輪
の車輪速度が同一速度である場合には、低車速選択部36
及び高車速選択部37からは同じ車輪速度が選択される。
また、求心加速度演算部53においては左右の従動輪の車
輪速度が入力されており、その左右の従動輪の車輪速度
から車両が旋回している場合の旋回度、つまりどの程度
急な旋回を行なっているかの度合いが算出される。
以下、求心加速度演算部53においてどのように求心加
速度が算出されるかについて説明する。前輪駆動車では
後輪が従動輪であるため、駆動によるスリップに関係な
くその位置での車体速度を車輪速度センサにより検出で
きるので、アッカーマンジオメトリを利用することがで
きる。つまり、定常旋回においては求心加速度GY′は GY′=v/r …(4) (v=車速,r=旋回半径)として算出される。
例えば、第19図に示すように車両が右に旋回している
場合において、旋回の中心をMoとし、旋回の中心Moから
内輪側(WRR)までの距離をr1とし、トレッドをΔrと
し、内輪側(WRR)の車輪速度をv1とし、外輪側(WR
L)の車輪速度をv2とした場合に、 v2/v1=(Δr+r1)/r1 …(5) とされる。
そして、上記(5)式を変形して 1/r1=(v2−v1)/Δr・v1 …(6) とされる。そして、内輪側を基準とすると求心加速度G
Y′は GY′=v1/r1 =v1・(v2−v1)/Δr・v1 =v1・(v2−v1)/Δr …(7) として算出される。
つまり、上記(7)式により求心加速度GY′が算出さ
れる。ところで、旋回時には内輪側の車輪速度v1は外輪
側の車輪速度v2より小さいため、内輪側の車輪速度v1を
用いて求心加速度GY′を算出しているので、求心加速度
GY′は実際より小さく算出される。従って、重み付け部
33で乗算される係数KGは求心加速度GY′が小さく見積
もられるために、小さく見積もられる。従って、駆動輪
速度VFが小さく見積もられるために、スリップ量DV′
(VF−VΦ)も小さく見積もられる。これにより、目
標トルクTΦが大きく見積もられるために、目標エンジ
ントルクが大きく見積もられることにより、旋回時にも
充分な駆動力を与えるようにしている。
ところで、極低速時の場合には、第19図に示すよう
に、内輪側から旋回の中心MOまでの距離はr1である
が、速度が上がるに従ってアンダーステアする車両にお
いては、旋回の中心はMに移行し、その距離はr(r>
r1)となっている。このように速度が上がった場合で
も、旋回半径をr1として計算しているために、上記第
(7)式に基づいて算出された求心加速度GY′は実際よ
りも大きい値として算出される。このため、求心加速度
演算部53において算出された求心加速度GY′は求心加速
度補正部54に送られて、高速では求心加速度GYが小さく
なるように、求心加速度GY′に第7図の係数Kvが乗算さ
れる。この変数Kvは車速に応じて小さくなるように設定
されており、第8図あるいは第9図に示すように説明し
ても良い。このようにして、求心加速度補正部54より補
正された求心加速度GYが出力される。
一方、速度が上がるに従って、オーバステアする(r
<r1)車両においては、上記したアンダーステアする車
両とは全く逆の補正が求心加速度補正部54において行わ
れる。つまり、第10図ないし第12図のいずれかの変数Kv
が用いられて、車速が上がるに従って、上記求心加速度
演算部53で算出された求心加速度GY′を大きくなるよう
に補正している。
ところで、上記低車速選択部36において選択された小
さい方の車輪速度は重み付部38において第4図に示すよ
うに変数Kr倍され、高車速選択部37において選択された
高車速は重み付け部39において変数(1−Kr)倍され
る。変数Krは求心加速度GYが例えば0.9gより大きくなる
ような旋回時に「1」となるようにされ、求心加速度GY
が0.4gより小さくなると「0」に設定される。
従って、求心加速度GYが0.9gより大きくなるような旋
回に対しては、低車速選択部36から出力される従動輪の
うち低車速の車輪速度、つまり選択時における内輪側の
車輪速度が選択される。そして、上記重み付け部38及び
39から出力される車輪速度は加算部40において加算され
て従動輪速度VRとされ、さらに上記従動速度VRは乗算
部40′において(1+α)倍されて目標駆動輪速度VΦ
とされる。
また、駆動輪の車輪速度のうち大きい方の車輪速度が
高車速選択部31において選択された後、重み付け部33に
おいて第3図に示すように変数KG倍される。さらに、
平均部32において算出された駆動輪の平均速度(VFR+
VFL/2は重み付け部34において、(1−KG)倍され、
上記重み付け部33の出力と加算部35において加算されて
駆動輪速度VFとされる。従って、求心加速度GYが例え
ば0.1g以上となると、KG=1とされるため、高車速選
択部31から出力される2つの駆動輪のうち大きい方の駆
動輪の車輪速度が出力されることになる。つまり、車両
の旋回度が大きくなって求心加速度GYが例えば、0.9g以
上になると、「KG=Kr=1」となるために、駆動輪側
は車輪速度の大きい外輪側の車輪速度を駆動輪速度VF
とし、従動輪側は車輪速度の小さい内輪側の車輪速度を
従動輪速度VRとしているために、減算部41で算出され
るスリップ量DVi′(=VF−VΦ)を大きく見積もって
いる。従って、目標トルクTΦは小さく見積もるため
に、エンジンの出力が低減されて、スリップ率Sを低減
させて第18図に示すように横力Aを上昇させることがで
き、旋回時のタイヤのグリップ力を上昇させて、安全な
旋回を行なうことができる。
上記スリップ量DVi′はスリップ量補正部43におい
て、求心加速度GYが発生する旋回時のみ第5図に示すよ
うなスリップ補正量Vgが加算されると共に、スリップ量
補正部44において第6図に示すようなスリップ量Vdが加
算される。例えば、直角に曲がるカーブの旋回を想定し
た場合に、旋回の前半においては求心加速度GY及びその
時間的変化率ΔGYは正の値となるが、カーブの後半にお
いては求心加速度GYの時間的変化率ΔGYは負の値とな
る。従って、カーブの前半においては加算部42におい
て、スリップ量DVi′に第5図に示すスリップ補正量Vg
(>0)及び第6図に示すスリップ補正量Vd(>0)が
加算されてスリップ量DViとされ、カーブの後半におい
てはスリップ補正量Vg(>0)及びスリップ補正量Vd
(<0)が加算されてスリップ量DViとされる。従っ
て、旋回の後半におけるスリップ量DViは旋回の前半に
おけるスリップ量DViよりも小さく見積もることによ
り、旋回の前半においてはエンジン出力を低下させて横
力を増大させ、旋回の後半においては、前半よりもエン
ジン出力を回復させて車両の加速性を向上させるように
している。
このようにして、補正されたスリップ量DViは例えば1
5msのサンプリング時間TでTSn演算部45に送られる。こ
のTSn演算部45内において、スリップ量DViが係数KIを乗
算されながら積分されて補正トルクTSnが求められる。
つまり、 TSn=GKiΣKI・DVi (KIはスリップ量DViに応じて変化する係数である) としてスリップ量DViの補正によって求められた補正ト
ルク、つまり積分型補正トルクTSnが求められる。
また、上記スリップ量DViはサンプリング時間T毎にT
Pn演算部46に送られて、補正トルクTPnが算出される。
つまり、 TPn=GKpDVi・Kp(Kpは係数) としてスリップ量DViにより補正された補正トルク、つ
まり比例型補正トルクTPnが求められる。
また、上記係数乗算部45b,46bにおける演算に使用す
る係数GKi,GKpの値は、シフトアップ時には変速開始か
ら設定時間後に変速後の変速段に応じた値に切替えられ
る。これは変速開始から実際に変速段が切替わって変速
を終了するまで時間がかかり、シフトアップ時に、変速
開始とともに変速後の高速段に対応した上記係数GKi,GK
pを用いると、上記補正トルクTSn,TPnの値は上記高速段
に対応した値となるため実際の変速が終了していないの
に変速開始前の値より小さくなり目標トルクTΦが大き
くなってしまって、スリップが誘発されて制御が不安と
なるためである。
また、上記加算部40から出力される従動輪速度VRは
車体速度VBとして基準トルク演算部47に入力される。
そして、車体加速度演算部47aにおいて、車体速度の加
速度VB(GB)が演算される。そして、上記車体加速度
演算部47aにおいて算出された車体速度の加速度GBはフ
ィルタ47bにより、上記(1)式乃至(3)式のいずれ
かのフィルタがかけられて、加速度GBの状態に応じて
GBFを最適な位置に止どめるようにしている。
例えば現在車両の加速度が増加している際にそのスリ
ップ率Sが第15図の範囲「1」で示す状態にある場合に
は、素早く範囲「2」の状態へ移行させるため、上記
(1)式に示すように車体加速度GBFは、前回のフィル
タ47bの出力であるGBFn−1と今回検出のGBnとを同じ
重み付けで平均して最新の車体加速度GBFnとして算出
される。
また、例えば現在車両の加速度が減少している際にそ
のスリップ率SがS>S1で第15図で示す範囲「2」→
「3」に移行するような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態を維持させるため、車体加速度GB Fは、上
記(2)式に示すように前回のフィルタ47bの出力に重
みが置かれて以前の車体加速度GB Fnとして算出され
る。
さらに、例えば現在車両の加速度が減少している際に
そのスリップ率SがS≦S1で第15図で示す範囲「2」→
「1」に移行したような場合には、可能な限り範囲
「2」の状態に戻すため、車体加速度GBFは、上記
(3)式に示すように前回のフィルタ47bの出力に非常
に重みが置かれてさらに以前の車体加速度GBFnとして
算出される。
そして、基準トルク算出部47cにおいて、基準トルク
TG(=GBF×W×Re)が算出される。
そして、上記基準トルクTGと上記積分型補正トルクT
Snとの減算は減算部48において行われ、さらに上記比例
型補正トルクTPnが減算部49において減算される。この
ようにして、目標駆動軸トルクTΦは TΦ=TG−TSn−TPn として算出される。
この目標駆動軸トルクTΦはスイッチS1を介してエン
ジントルク変換部500に入力され、エンジン16と駆動輪
車軸との間の総ギア比で除算して目標エンジントルクT1
が算出される。この目標エンジントルクT1はトルコン応
答遅れ補正部502において、トルクコンバータの応答遅
れに対する補正がなされて目標エンジントルクT2とされ
る。この目標エンジントルクT2はT/Mフリクション補正
部502に送られてエンジンと駆動輪との間に介在するト
ランスミッションでのフリクション(摩擦)に対する補
正がなされて、目標エンジントルクT3とされる。
T/Mフリクション補正部502においては以下に述べる第
1ないし第4の手法によりT/Mの暖機状態を推定して目
標エンジントルクT3を補正している。
<T/Mフリクション補正の第1の手法> この第1の手法はT/Mの油温OTを油温センサで検出
し、この油温OTが小さい場合にはフリクションが大きい
ため、第20図に示すマップが参照されてトルク補正量Tf
が目標エンジトルクT2に加算される。つまり、 T3=T2+Tf(OT) とされる。このように、T/Mの油温OTに応じてフリクシ
ョンによるトルク補正量Tfを決定しているので、T/Mの
フリクションに対して精度の高い目標エンジントルクの
補正を行なうことができる。
<T/Mフリクション補正の第2の手法> エンジン16の冷却水温WTをセンサで計測し、これより
T/Mの暖機状態(油温)を推定して、トルクを補正す
る。つまり、 T3=T2+Tf(WT) とされる。ここで、トルク補正量Tf(WT)は図示しない
マップが参照されて、エンジンの冷却水温WTが低いほど
T/Mの油温OTが低いと推定されてトルク補正量Tfが大き
くなるように設定される。このように、エンジンの冷却
水温WTからT/Mのフリクションを推定しているので、T/M
の油温OTを検出するセンサを用いないでも、T/Mのフリ
クションに対する補正を行なうことができる。
<T/Mフリクション補正の第3の手法> エンジン16の始動直後の冷却水温WTOとリアルタイム
の冷却水温WTに基づいて第21図のマップが参照されてト
ルク補正量Tfが目標エンジントルクT2に加算されて、目
標エンジントルクT3とされる。つまり、 T3=T2+Tf(XT) XT=WT+K0*(WT−WTO) とされる。ここで、XTはT/Mの推定油温、K0はエンジン
の冷却水温WTの温度上昇速度とT/Mオイルの温度上昇速
度との比である。この推定油温XT、エンジンの冷却水温
WT、T/Wの油温OTとエンジン始動後経過時間との関係は
第22図に示しておく。第22図に示すように、始動時間の
経過に伴う推定時間XTの変化は、同始動時間の経過に伴
う油温OTの変化にほぼ等しいものとなる。従って、油温
センサを用いないでも精度良く油温をモニタして、T/M
のフリクションを推定し、これにより目標エンジントル
クを補正している。
<T/Mフリクション補正の第4の手法> エンジン16の冷却水温WTとエンジン始動後経過時間
τ,車速Vcに基づいて T3=T2+Tf(WT)*{1−Kas(τ)*Kspeed(Vc)} として算出される。ここで、Kasは始動後時間(τ)に
よるテーリング係数(始動後時間の経過と共に徐々に0
に近付く係数)、Kspeedは、車速によるテーリング係数
(車速の上昇とともに徐々に0に近付く係数)を示して
いる。つまり、エンジンを始動してから充分に時間が経
過した場合あるいは車速が上がった場合には{…}項が
「0」に近付く。従って、エンジンを始動してから充分
に時間が経過した場合あるいは車速が上がった場合には
T/Mのフリクションによるトルク補正量Tfをなくすよう
にしている。
このように、トランスミッションの暖機状態をエンジ
ン冷却水温,始動後経過時間及び車速より推定するよう
にしたので、同暖機状態をトランスミッションから直接
検出しなくても、トランスミッションの暖機状態に応じ
てトランスミッションのフリクションが変化した場合
に、目標エンジントルクT2にそのフリクションに相当す
るトルクTfだけ増量補正するようにしたので、エンジン
トルクの制御を精度良く行なうことができる。
<T/Mフリクション補正の第5の手法> エンジンまたはT/Mの回転速度Nに基づいて出力を補
正するもので、回転速度Nに基づいて第23図のマップが
参照されて回転速度Nに基づいてトルク補正量Tfが算出
される。つまり、 T3=T2+Tf(N) とされる。これはエンジンまたはT/Mの回転速度Nが大
きくなれば、フリクション損失が大きくなるためであ
る。
また、エンジンまたはT/Mの回転速度Nに基づいたト
ルク補正量Tf(N)にT/Mの油温OTによる補正係数Kt(O
T)を乗算することにより、下式のように目標エンジン
トルクT3を算出するようにしても良い。つまり、 T3=T2+Tf(N)*Kt(OT) として、回転速度Nの他に油温OTによってもトルク補正
量Tfを変化させることにより、一層精度の良い目標エン
ジントルクT3を設定することができる。
このように、トランスミッションのフリクションをト
ランスミッションあるいはエンジンの回転速度に応じて
推定するようにしたので、トランスミッションあるいは
エンジンの回転速度が変化して、トランスミッションの
フリクションが変化した場合でも、目標エンジントルク
T2に上記フリクションに相当するトルクTf分だけ増量補
正して目標エンジントルクT3とすることにより、トラン
スミッションのフリクションがトランスミッションの回
転速度に応じて変化した場合でも、精度良くエンジン出
力を目標エンジントルクに制御することができる。
<T/Mフリクション補正の第6の手法> この手法はエンジン16の冷却水温WTとエンジン始動後
の単位時間当りの吸入空気量Qの積算値とからトランス
ミッションの暖機状態を推定して補正トルクを得る方法
である。
つまり、 T3=T2+Tf(WT)*{1−Σ(Kq*Q)} として目標エンジントルクT3が得られる。ここで、Kqは
吸入空気量を損失トルクに変換する係数であり、クラッ
チがオフしているときあるいはアイドルSWがオンしてい
るアイドリング状態ではKq=Kq1に設定され、それ以外
ではKq=Kq0(>Kq1)に設定される。
上記式において、エンジン始動後の単位時間当りの吸
入空気量Qに係数Kqを掛けながら積算してΣ(Kq*Q)
を得て、(1−Σ(Kq*Q)}とエンジンの冷却水温WT
に基づくトルク補正量TW(WT)とを乗算したものを目
標エンジントルクT2に加算している。このようにするこ
とにより、エンジン始動後車両が急加速されて単位時間
当りの吸入空気量Qが急激に増加する場合、つまりエン
ジン冷却水温WTが低くてもトランスミッションは充分暖
機状態にあってT/Mフリクション補正が必要ないような
場合には、{…}項がすぐに「0」になるようにして、
不必要なトルク補正をなくしている。また、アイドリン
グ状態ではKqが小さい値に設定されることにより、アイ
ドリング状態が続いた場合でもトランスミッションは充
分に暖機状態になっていないため、単位時間当りの吸入
吸気量Qの積算を実際よりも極力小さくすように見積も
って、エンジン冷却水温に基づくトルク補正量Tfを生か
すようにしている。このようにして、アイドリング状態
が継続された場合でも、上記Tf(WT)項を残すようにし
て、T/Mのフリクション補正を行なっている。なお、単
位時間当りの吸入空気量Qの積算はエンジン1サイクル
当り吸入空気量A/Nに基づいて算出される。
また、T/MのフリクショントルクTfは第24図に示す3
次元マップを用いて算出するようにしても良い。この場
合には目標エンジントルクT3は下式のように表わされ
る。つまり、 T3=T2+Tf(WT,ΣQa) ところで、第24図において、ΣQaがある一定値以上に
なるとTfは「0」になるように設定されている。これは
吸入空気量の総和が一定値以上になるとT/Mオイルが充
分に暖められてT/Mのフリクションが無視できるように
なっていると判定されるためである。
このように、T/Mの暖機状態をエンジンの冷却水温と
エンジン始動後の吸入空気量の積算値により推定するよ
うにし、この推定されたT/Mの暖機状態に応じてトルク
補正量Tfを変化させるようにしたので、同暖機状態をト
ランスミッションから直接検出しなくても、精度良くエ
ンジン出力を目標エンジントルクに制御することができ
る。さらに、アイドリング状態時には吸入空気量の積算
を少なく見積もるようにしたので、アイドリング状態が
継続した場合でも、T/Mが暖機状態に到達しない現象を
正確に把握することができる。つまり、アイドリング状
態に続いている場合には、トルク補正量Tfをアイドリン
グ状態でない状態より多めに見積もるようにしている。
<T/Mファクション補正の第7の手法> エンジン16の冷却水温WTあるいはエンジン16の油温と
エンジン始動後の走行距離ΣVsとによって、トルク補正
量Tfを求める。つまり、 T3=T2+Tf(WT)*{1−Σ(Kv*Vs)} ここで、Kvは走行距離(=ΣVs)を出力補正に変換す
る係数であり、アイドルSWがオンあるいはクラッチがオ
フされているようなアイドリング状態においてはKv=Kv
1に設定され、それ以外ではKv=Kv2(>Kv1)とされ
る。
上記式において、エンジン始動後の走行距離ΣVsに補
正係数Kvを掛けながら積算してΣ(Kv*Vs)を得て、
{1−Σ(Kv*Vs)}とエンジンの冷却水温WTに基づく
トルク補正量Tf(WT)とを乗算したものを目標エンジン
トルクT2に加算している。このようにすることにより、
エンジン始動後車両が走行してその走行距離が増加した
場合、{…}項が「0」に近付くようにして、不要なト
ルク補正をなくしている。
また、アイドリング状態ではトランスミッションの負
荷が小さいので、トランスミッションの油温の上昇は穏
やかである。このため、トランシミッションでのトルク
損失は徐々にしか低下しない。従って、アイドリング状
態ではKvを小さい値に設定しておくことにより、{…}
項をゆっくりと「0」に持っていくようにして、トルク
補正をできるだけ長く行なうようにしている。
このように、トランスミッションの油温センサ等を用
いてトランスミッションから直接暖機状態を検出しない
でもトランスミッションの暖機状態をエンジンの冷却水
温とエンジン始動後の走行距離により推定するように
し、この推定されたトランスミッションの暖機状態に応
じてトルク補正量Tfを変化させるようにしたので、精度
良くエンジン出力を目標エンジントルクに制御すること
ができる。さらに、アイドリング状態時には走行距離は
積算されないため、アイドリング状態が継続した場合で
も、トランスミッションが暖機状態に到達しない現象を
正確に把握することができる。
次に、T/Mフリクション補正部502から出力される目標
エンジントルクT3は外部負荷補正部503に送られて、エ
アコン等の外部負荷がある場合には、目標エンジントル
クT3が補正されて目標エンジントルクT4とされる。この
外部負荷補正部503での補正は下記する第1ないし第3
の手法のいずれかの手法により行われる。
<外部負荷補正の第1の手法> エアコン負荷に応じて目標エンジントルクT3を補正し
て目標エンジントルクT4とする。つまり、 T4=T3+TL とされる。ここで、TLはエアコンがオンされている時
に定数値に設定され、エアコンがオフされているときに
は「0」に設定される。このようにして、エアコン負荷
がある場合には、目標エンジントルクT3にエアコン負荷
に相当する損失トルクTLを加えて、目標エンジントル
クT4とすることにより、エアコン負荷によるエンジン出
力の低下を防止している。
また、エアコン負荷の大きさがエンジン回転速度Neに
応じて変化することに着目して、第25図に示すようにエ
ンジン回転速度Neに応じた損失トルクTLをマップに記
憶されておいて、目標エンジントルクT4を算出するよう
にしても良い。つまり、 T4=T3+TL(Ne) としても良い。
<外部負荷補正の第2の手法> パワーステアリング負荷に応じて目標エンジントルク
T3を補正して目標エンジントルクT4とする。つまり、 T4=T3+TL とされる。ここで、TLはパワーステアリングがオンさ
れている時に定数値に設定され、パワーステアリングが
オフされているときには「0」に設定される。このよう
にして、パワーステアリング負荷がある場合には、目標
エンジントルクT3にパワーステアリング負荷に相当する
損失トルクTLを加えて、目標エンジントルクT4とする
ことにより、パワーステアリング負荷によるエンジン出
力の低下を防止している。
また、パワーステアンリング負荷の大きさがパワステ
ポンプ油圧OPに応じて変化することに着目して、第26図
に示すようにパワステポンプ油圧OPに応じた損失トルク
TLをマップに記憶されておいて、目標エンジントルクT
4を算出するようにしても良い。つまり、 T4=T3+TL(OP) としても良い。
<外部負荷補正の第3の手法> オルタネータ発電によるエンジンに対する負荷に応じ
て目標エンジントルクT3を補正して、目標エンジントル
クT4を求めている。つまり、ヘッドライトや電動ファン
などのエンジンに対する負荷が変動し、オルタネータ発
電量が上下する。このため、バッテリ電圧やオルタネー
タの励磁電流を検出することにより、オルタネータ発電
量を推定して、エンジンに対する負荷を推測している。
バッテリ電圧をVbとした場合に目標エンジントルクT4
は下記のようになる。
T4=T3+TL(Vb) ここで、損失トルクTL(Vb)は第27図に示すように
バッテリ電圧Vbとの関係がある。つまり、バッテリ電圧
Vbが低いと電気負荷が大きいと推定されて損失トルクT
Lは大きくされ、目標エンジントルクT4を大きくしてい
る。
また、オルタネータ励磁電流(iΦ)をパラメータと
した損失トルクを加算することにより目標エンジントル
クT4を求めている。つまり、 T4=T3+TL(iΦ) として計算している。ここで、損失トルクTLは第28図
のマップを参照して求められる。
また、第29図に示す特性図からエンジン回転速度Neに
対するオルタネータ効率の補正量Kを得て、次式から目
標エンジントルクT4を算出するようにしても良い。
T4=T3+TL(iΦ)×K(Ne) なお、上記2つの式において、オルタネータ励磁電流
iΦを検出してトルク補正量を求めているが、オルタネ
ータ励磁電流iΦの代わりにオルタネータ発電電流(充
電電流)を用いるようにしても良い。
このようにして、ヘッドライトや電動ファンなどのエ
ンジンに対する負荷が変動してオルタネータ発電量が上
下してエンジン出力が変動するような場合でも精度良く
エンジン出力を目標エンジントルクに制御することがで
きる。
上記のようにして算出された目標エンジントルクT4は
大気条件補正部504に送られて、大気圧により上記目標
エンジントルクT4が補正されて目標エンジントルクT5と
される。つまり、 T5=T4+Tp(AP) ここで、Tpは第30図のマップに示すトルク補正量であ
る。つまり、高地などのように気圧の低い地域ではポン
ピング損失の低下や背圧低下による燃焼速度の向上によ
りエンジン出力が上昇するので、その分だけトルク補正
量Tpを減じるようにしている。
このように、いかなる大気条件においても精度良くエ
ンジン出力を目標エンジントルクに制御することができ
る。
このようにして、大気圧により補正された目標エンジ
ントルクT5は運転状態補正部505に送られて、エンジン
の運転状態、つまり暖機状態に応じて上記目標エンジン
トルクT5が補正されて目標エンジントルクT6とされる。
以下、エンジン16の暖機状態に応じて運転状態補正を決
定する第1ないし第3の手法について説明する。
<エンジンの運転条件補正の第1の手法> エンジン冷却水温WTによって、目標エンジントルクT6
を算出するもので、第31図のマップが参照されてエンジ
ンの冷却水温WTに応じてトルク補正量TWが上記目標エ
ンジントルクT5に加算されて目標エンジントルクT6とさ
れる。つまり、 T6=T5+TW(WT) とされる。第31図に示すように、冷却水温WTが低いほど
エンジン16が暖機状態になっていないのでトルク補正量
TWは大きくされる。
また、上記トルク補正量TWをエンジン冷却水温WTと
エンジン回転速度Neとでマップ(図示しない)するよう
にしても良い。つまり、 T6=T5+TW(WT,Ne) とされる。
このようにして、エンジンの冷却水温によりエンジン
の暖機状態を推定しているので、エンジンの暖機状態を
精度良く把握でき、エンジンの暖機状態に応じて目標エ
ンジントルクを補正するようにしたので、エンジンの暖
機状態がいかなる状態でもエンジン出力を目標エンジン
トルクに制御することができる。
<エンジンの運転条件補正の第2の手法> この第2の手法は、第32図に示すようなエンジン始動
後の時間τに応じたトルク補正量Tas(τ)を目標エン
ジントルクT5に加算することにより、目標エンジントル
クT6を得ている。つまり、 T6=T5+Tas(τ) としている。このようにして、エンジン始動後経過時間
τによりエンジンの暖機状態を推定している。
また、エンジン始動後時間τと冷却水温WTにより決定
される3次元マップ(図示しない)によりトルク補正量
Tasを求めるようにしても良い。つまり、 T6=T5+Tas(τ,WT) としても良い。このようなマップを用いることにより始
動時の冷却水温WTOを計測し、経過時間τに応じてトル
ク補正量Tasを決定したり、経過時間τ時の冷却水温WT
を計測することにより、トルク補正量Tasを決定するよ
うにしても良い。
また、エンジン冷却水温WTに応じたトルク補正良TW
(WT)とエンジン始動後経過時間τをパラメータ補正係
数Kas(τ)を乗算するようにしてトルク補正量を求
め、これを目標エンジントルクT5に加算して目標エンジ
ントルクT6を求めるようにしても良い。
つまり、 T6=T5+TW(WT)*Kas(τ) としても良い。
ここで、 TW(WT)はエンジン冷却水温WTに応じたトルク補正
量、 Kas(τ)はエンジン始動後経過時間τによる補正係
数 である。
このようにして、エンジンの冷却水温とエンジン始動
後の経過時間によりエンジンの暖機状態を推定すること
によりエンジン出力の変動を推定するようにし、目標エ
ンジントルクを補正するようにしたので、エンジンの暖
機状態がいかなる状態でもエンジン出力を目標エンジン
トルクに制御することができる。
<エンジンの運転条件補正の第3の手法> この第3の手法においては、エンジンの油温OTから第
33図のマップを参照してトルク補正量Tjを求めている。
つまり、 T6=T5+Tj(OT) として算出される。このように、エンジンの油温OTから
エンジンの冷却水温WTを推定して、エンジンの暖機状態
を検出するようにしている。
なお、図示しないエンジンの油温OTとエンジン回転速
度Neの3次元マップによりトルク補正量Tjを得るするよ
うにしても良い。つまり、 T6=T5+Tj(OT,Ne) としても良い。
このようにして、エンジンの回転により温度が上昇さ
れるエンジン油の温度を検出することによりエンジンの
暖機状態を検出し、目標エンジントルクを補正するよう
にしたので、エンジンの暖機状態がいかなる状態でもエ
ンジン出力を目標エンジントルクに制御することができ
る。
<エンジンの運転条件補正の第4の手法> この第4の手法は燃焼室壁温CT,単位時間当りの吸入
空気量Qの積分値ΣQ,筒内圧CPによって、目標エンジン
トルクT5を補正して目標エンジントルクT6を求めてい
る。つまり、 T6=T5+Tc(CT/CTO)* Kcp(cp/cp0)*{1−Kq*Σ(Q)} とされる。
ここで、 CTはエンジンの燃焼室壁温度、 CTOはエンジン始動時の燃焼室壁温度、 Tcはエンジンの燃焼室壁温度CTとエンジン始動時の燃
焼室温度CTOとの比(CT/CTO)によるトルク補正量、 CPはエンジンの筒内圧、 CPOはエンジン始動時の筒内圧、 Kcpは上記筒内圧CPとエンジン始動時の筒内圧CPOとの
比(CP/CPO)による補正係数、 Kqは始動後の吸入空気量の積算値をトルク補正係数に
変換する係数である。
このように、燃焼室壁温とエンジン始動後の吸入空気
量の積算値と筒内圧とにより、エンジンの暖機状態を検
出し、目標エンジントルクを補正するようにしたので、
エンジンの暖機状態がいかなる状態でもエンジン出力を
目標エンジントルクに制御することができる。
以上のようにして、エンジンの運転条件によって補正
された後の目標エンジントルクT6は下限値設定部506に
おいて、エンジントルクの下限値が制限される。このよ
うに、目標エンジントルクT6の下限値を第16図あるいは
第17図を参照して制御することにより、目標エンジント
ルクが低くすぎて、エンジンストールが発生することを
防止している。
そして、上記下限値設定部506から出力される目標エ
ンジントルクT7は目標空気量算出部507に送られて上記
目的エンジントルクT7を出力するための目標空気量(質
量)A/Nmが算出される。
この目標空気量算出部507においては、エンジン回転
速度Neと目標エンジントルクTe1とから第34図の3次元
マップが参照されて目標空気量(質量)A/Nmが求められ
る。つまり、 A/Nm=f[Ne,T7] として算出される。
ここで、A/Nmは吸気行程1回当りの吸入空気量(質
量)、 f[Ne,T7]はエンジン回転速度Ne,目標エンジントル
クT7をパラメータとした3次元マップである。
なお、A/Nmはエンジン回転速度Neに対して第35図に示
すような係数Kaと目標エンジントルクT7との乗算、つま
り、 A/Nm=Ka(Ne)*T7 としても良い。さらに、Ka(Ne)を係数としても良い。
さらに、上記目標空気量算出部507において、上記吸
入空気量(質量)A/Nmが吸気温度及び大気圧により補正
されて標準大気状態での吸入空気量(体積)A/Nvに換算
される。
つまり、 A/Nv=(A/Nm)/{Kt(AT)*Kp(AT)} とされる。ここで、 A/Nvはエンジン1回転当りの吸入空気量(体積)、 Ktは第37図に示すように吸気温(AT)をパラメータとし
た密度補正係数、 Kpは第38図に示すように大気圧(AT)をパラメータとし
た密度補正係数を示している。
このようにして算出された目標吸入空気量A/Nv(体
積)は目標空気量補正部508において吸気温による補正
が行われて、目標空気量A/N Oとされる。
つまり、 A/N O=A/Nv*Ka′(AT) とされる。
ここで、A/N Oは補正後の目標空気量、 A/Nvは補正前の目標空気量、 Ka′は吸気温(AT)による補正係数(第38図) である。
このように、目標空気量A/Nv(体積)を吸気温(AT)
により補正して目標空気量A/N Oとすることにより、吸
気温(AT)が変化してエンジンの燃焼室への吸入効率が
変化した場合でも上記燃焼室へ目標空気量A/N Oだけ精
度良く空気を送ることができ、目標エンジン出力を精度
良く達成することができる。
以下、目標空気量補正部508から出力される目標空気
量A/N Oは目標スロットル開度算出部509に送られ、第39
図の3次元マップが参照されて主スロットル弁THmの開
度Θ1と目標空気量A/N Oに対する副スロットル弁THsの
開度Θ2′が求められる。この副スロットル弁THsの開
度Θ2′は開度補正部510に送られて、第1図(B)に
示すバイパス通路52b,52cを介する空気量に相当する開
度ΔΘが減算されて、副スロットル弁THsの開度Θ2と
される。
ところで、上記ΔΘは下式により求められる。
つまり、 ΔΘ=Ks(Θ)*{Sm+Sw(WT)} ここで、係数Ks(第44図)は目標開度Θをパラメータ
とした図示しないISC(アイドル・スピード・コントロ
ーラ)により制御されるステップモータ52sの1ステッ
プ当りの開度補正量、 Smはステップモータ52sのステップ数、 SW(第45図)はエンジンの冷却水温WTをパラメータ
としたワックス弁52Wの開度 をステップモータ52sのステップ数に換算する換算値で
ある。
ところで、上記目標空気量補正部508から出力される
補正された目標空気量A/N Oは減算部513に送られて所定
のサンプリング時間毎にエアフローセンサで検出される
現在の空気量A/Nとの差ΔA/Nが算出される。このΔA/N
はPID制御部514に送られて、ΔA/Nに基づきPID制御が行
われて、ΔA/Nに相当する開度補正量ΔΘ2が換算され
る。この開度補正量ΔΘ2は加算部51において、上記目
標スロットル開度Θ2と加算されて所定のサンプリング
時間毎にフィードバック補正された目標開度Θfが算出
される。
Θf=Θ2+ΔΘ2 とされる。ここで、上記開度補正量ΔΘは比例制御によ
る開度補正量ΔΘp、積分制御による開度補正量ΔΘ
i、微分制御による開度補正量ΔΘdを加算したもので
ある。つまり、 ΔΘ=ΔΘp+ΔΘi+ΔΘd とされる。
ここで、 ΔΘp=Kp(Ne)*Kth(Ne)*ΔA/N ΔΘi=Ki(Ne)*Kth(Ne)*Σ(ΔA/N) ΔΘd=Kd(Ne)*Kth(Ne)*{ΔA/N−ΔA/Nold} として上記PID制御部514において算出される。ここでK
p,Ki,Kdはエンジン回転速度Neをパラメータとした比
例、積分、微分ゲインであり、第40図乃至第42図にその
特性図を示しておく。また、Kthはエンジン回転数Neを
パラメータとしたΔA/N→ΔΘ変換ゲイン(第43図)、
ΔA/Nは目標空気量A/N Oと計測した現在の空気量A/Nと
の偏差、ΔA/N Oldは1回前のサンプリングタイミング
でのΔA/Nである。
上記のようにして求められた目標開度Θfは副スロッ
トル弁開度信号Θsとしてモータ駆動回路52に送られ
る。このモータ駆動回路52は上記センサTPS2で検出され
る副スロットル弁THsの開度Θ2が上記開度信号Θsに
相当する開度になるようにモータ52mを回転制御してい
る。
ところで、上記高車速選択部37から出力される大きい
方の従動輪車輪速度が減算部55において駆動輪の車輪速
度VFRから減算される。さらに、上記高車速選択部37か
ら出力される大きい方の従動輪車輪速度が減算部56にお
いて駆動輪の車輪速度VFLから減算される。従って、減
算部55及び56の出力を小さく見積もるようにして、旋回
中においてもブレーキを使用する回数を低減させ、エン
ジントルクの低減により駆動輪のスリップを低減させる
ようにしている。
上記減算部55の出力は乗算部57においてKB倍(0<
KB<1)され、上記減算部56の出力は乗算部58におい
て(1−KB)倍された後、加算部59において加算され
て右側駆動輪のスリップ量DV FRとされる。また上記減
算部56の出力は乗算部60においてKB倍され、上記減算
部55の出力は乗算部61において(1−KB)倍された後
加算部62において加算されて左側の駆動輪のスリップ量
DV FLとされる。上記変数KBは第13図に示すようにトラ
クションコントロールの制御開始からの経過時間tに応
じて変化するもので、トラクションコントロールの制御
開始時には「0.5」とされ、トラクションコントロール
の制御が進むに従って、「0.8」に近付くように設定さ
れている。つまり、ブレーキにより駆動輪のスリップを
低減させる場合には、制動開始時においては、車両輪に
同時にブレーキを掛けて、例えばスプリット路でのブレ
ーキ制御開始時の不快なハンドルショックを低減させる
ことができる。一方、ブレーキ制御が継続されて行われ
て、上記KBが「0.8」となった場合の動作について説明
する。この場合、一方の駆動輪だけにスリップが発生し
たとき他方の駆動輪でも一方の駆動輪の20%分だけスリ
ップが発生したように認識してブレーキ制御を行なうよ
うにしている。これは、左右駆動輪のブレーキを全く独
立にすると、一方の駆動輪にのみブレーキがかかって回
転が減少するとデフの作用により今度は反対側の駆動輪
がスリップしてブレーキがかかり、この動作が繰返えさ
れて好ましくないためである。上記右側駆動輪のスリッ
プ量DV FRは微分部63において微分されてその時間的変
化量、つまりスリップ加速度GFRが算出されると共に、
上記左側駆動輪のスリップ量DV FLは微分部64において
微分されてその時間的変化量、つまりスリップ加速度G
FLが算出される。そして、上記スリップ加速度GFRはブ
レーキ液圧変化量(ΔP)算出部65に送られて、第14図
に示すGFR(GFL)−ΔP変換マップが参照されてスリ
ップ加速度GFRを抑制するためのブレーキ液圧の変化量
ΔPが求められる。
さらに、上記変化量ΔPは、スイッチS2の閉成時、つ
まり開始/終了判定部50による制御開始条件成立判定の
際にインレットバルブ17i及びアウトレットバルブ17oの
開時間Tを算出するΔP−T変換部67に与えられる。つ
まり、ΔP−T変換部67において算出されたバルブ開時
間Tが右側駆動輪WFRのブレーキ作動時間FRとされる。
同様に、スリップ加速度GFLはブレーキ液圧変化量(Δ
P)算出部66に送られて、第14図に示すGFR(GFL)−
ΔP変換マップが参照されて、スリップ加速度GFLを抑
制するためのブレーキ液圧の変化量ΔPが求められる。
この変化量ΔPは、スイッチS3閉成時、つまり開始/終
了判定部50による制御開始条件成立判定の際にインレッ
トバルブ18i及びアウトレットバルブ18oの開時間Tを算
出するΔP−T変換部68に与えられる。つまり、ΔP−
T変換部68において算出されたバルブ開時間Tが左側駆
動輪WFLのブレーキ作動時間FLとされる。これにより、
左右の駆動輪WFR,WFLにより以上のスリップが生じるこ
とが抑制される。
なお、第14図において、旋回時にブレーキを掛ける場
合には、内輪側の駆動輪のブレーキを強化するために、
旋回時の内輪側は破線aで示すようになっている。この
ようにして、旋回時において荷重移動が外輪側に移動し
て、内輪側がすべり易くなっているのを、ブレーキ液圧
の変化量ΔPを内輪側を外輪側よりも大きめとすること
により、旋回時に内輪側がすべるのを防止させることが
できる。
なお、上記実施例においてはΔA/Nに基づくPID制御に
よりフィードバック制御を行なって目標開度Θ2に副ス
ロットル弁開度補正量ΔΘ2を加算補正してフィードバ
ック補正された目標開度Θfをモータ駆動回路52に出力
するようにしたが、このようなΔA/Nによるフィードバ
ック制御を行なわなくても、上記目標開度Θ2をモータ
駆動回路52に出力して、スロットルポジションセンサTP
S2で検出される副スロットル弁THsの開度を目標開度Θ
2になるようにスロットルポジションセンサTPS2の出力
をフィードバック制御するようにしても良い。さらに、
スロットルポジションセンサTPS2で検出される副スロッ
トル弁THsの開度から副スロットル弁開度補正量ΔΘ2
を減算して補正した検出値が目標開度Θ2になるように
フィードバック制御を行なうようにしても良い。
また、本発明の実施例として加速スリップ防止装置を
示したが、本発明は同装置に限定されるものではなく、
スロットル弁を制御するものであれば、同様に適用が可
能である。
また、T/Mフリクション補正部502において<T/Mフリ
クション補正の第1の手法>により目標エンジントルク
T3を算出し、運転条件補正部505において<エンジンの
運転条件補正の第2の手法>により目標エンジントルク
T6を算出することにより、T/Mのリアルタイムの油温OT
に応じて目標エンジントルクを補正すると共に、エンジ
ン始動後経過時間τによっても目標エンジントルクを補
正することができる。
また、T/Mフリクション補正部502において<T/Mフリ
クション補正の第2の手法>により目標エンジントルク
T3を算出し、運転条件補正部505において<エンジンの
運転条件補正の第2の手法>により目標エンジントルク
T6を算出することにより、T/Mの暖機状態をエンジンの
冷却水温WTに応じて目標エンジントルクを補正すると共
に、エンジン始動後経過時間τによっても目標エンジン
トルクを補正することができる。
さらに、T/Mフリクション補正部502において<T/Mフ
リクション補正の第3の手法>により目標エンジントル
クT3を算出し、運転条件補正部505において<エンジン
の運転条件補正の第2の手法>により目標エンジントル
クT6を算出することにより、T/Mの暖機状態をエンジン
の始動直後の冷却水温WTOとリアルタイムの冷却水温WT
に基づいて目標エンジントルクを補正すると共に、エン
ジン始動後経過時間τによっても目標エンジントルクを
補正することができる。
以上述べた3つの場合のようにエンジンのフリクショ
ンとトランスミッションのフリクションを別々に推定し
て目標エンジントルクを補正することにより、同じエン
ジンで異なるトランスミッションの場合や、同じトラン
スミッションで異なるエンジンの組合わせた場合でも再
マッチングしなくてもすむという効果を有している。
さらに、上記実施例においては吸気温に対する目標空
気量の補正を目標空気量補正部508で行なうようにした
が、この目標空気量補正部508を設けないで、バイパス
空気量に対する開度補正部510において吸気温の変化に
対して目標スロットル開度Θ2′を補正するようにして
も良い。
このようにして、エンジン及びT/Mの暖機状態がいか
なる状態でも目標エンジントルクを精度良く補正して、
エンジン出力を所望のエンジントルクに到達するさせる
ことができる。
さらに、上記T/Mフリクション補正部502,外部負荷補
正部503,大気条件補正部504,運転条件補正部505におい
て目標エンジントルクを補正するようにしたが、目標エ
ンジントルクの補正を行なう代わりに上記T/Mフリクシ
ョン補正部502,外部負荷補正部503,大気条件補正部504,
運転条件補正部505で算出されたトルク補正量に相当す
る吸入空気量の補正を目標空気量算出部507あるいは目
標空気量補正部508で行なうようにしても良い。また、
同様に、上記T/Mフリクション補正部502,外部負荷補正
部503,大気条件補正部504,運転条件補正部505で算出さ
れたトルク補正量に相当するスロットル弁の開度補正を
等価スロットル開度算出部509あるいは目標スロットル
開度算出部512において行なうようにしても良い。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、車両用エンジン
への吸気通路にスロットル弁を設け、スロットル弁の開
度を制御することにより上記エンジンの出力を制御して
いるエンジン出力制御装置において、エンジン冷却水温
と始動後の吸入空気量の積算値、つまりエンジンの暖機
状態からトランスミッションの暖機状態を推定して目標
エンジントルク,目標空気量あるいはスロットル弁の目
標開度を変化させるようにしているので、精度良くエン
ジン出力を目標エンジントルクに制御することができる
車両のエンジン出力制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明に係わる制御装置が適用される加
速スリップ防止装置の全体的な構成図、第1図(B)は
主、副スロットル弁の配置を示す図、第2図(A)及び
(B)は第1図のトラクションコントローラの制御を機
能ブロック毎に分けて示したブロック図、第3図は求心
加速度GYと変数KGとの関係を示す図、第4図は求心加
速度GYと変数Krとの関係を示す図、第5図は求心加速度
GYとスリップ補正量Vgとの関係を示す図、第6図は求心
加速度の時間的変化量ΔGYとスリップ補正量Vdとの関係
を示す図、第7図乃至第12図はそれぞれ車体速度VBと
変数Kvとの関係を示す図、第13図はブレーキ制御開始時
から変数KBの経時変化を示す図、第14図はスリップ量
の時間的変化量GFR(GFL)とブレーキ液圧の変化量Δ
Pとの関係を示す図、第15図及び第18図はそれぞれスリ
ップ率Sと路面の摩擦係数μとの関係を示す図、第16図
はTlim−t特性を示す図、第17図はTlim−VB特性を示
す図、第19図は旋回時の車両の状態を示す図、第20図は
トランシスッション油温OT−トルク補正量Tf特性図、第
21図はXT−トルク補正量Tf特性図、第22図は始動後時間
τ−エンジン冷却水温WT,トランスミッション油温OT特
性図、第23図は回転速度N−トルク補正量Tf特性図、第
24図はエンジンの冷却水温WT−吸入空気量積算値ΣQに
対するトルク補正量Tfを示す3次元マップ、第25図は回
転速度Neと損失トルクTLとの関係を示す図、第26図は
ポンプ油温OPと損失トルクTLとの関係を示す図、第27
図はバッテリ電圧Vbと損失トルクTLとの関係を示す
図、第28図はエンジン回転速度Neとオルタネータの励磁
電流iΦに対する損失トルクTLを示す3次元マップ、
第29図は励磁電流iΦに対するオルタネータ効率Kを示
す図、第30図は大気圧−トルク補正量Tp特性図、第31図
はエンジンの冷却水温WT−トルク補正量TW特性図、第3
2図はエンジン始動後経過時間τ−トルク補正量Tas特性
図、第33図はエンジン油温−トルク補正量Tj特性図、第
34図は目標エンジントルクT7−エンジン回転速度Neに対
するエンジン1回転当りの吸入空気量A/Nm(質量)を示
す3次元マップ、第35図は係数Kaのエンジン回転速度Ne
特性図、第36図は係数Ktの吸気温度特性を示す図、第37
図は係数Kpの大気圧特性を示す図、第38図は係数Ka′の
吸気温度特性を示す図、第39図は目標空気量A/N O−主
スロットル弁開度Θ1に対する副スロットル弁THsの開
度Θ2′を示す3次元マップ、第40図は比例ゲインKpの
エンジン回転速度特性を示す図、第41図は積分ゲインKi
のエンジン回転速度特性を示す図、第42図は微分ゲイン
Kdのエンジン回転速度特性を示す図、第43図は変換ゲイ
ンのエンジン回転速度特性を示す図、第44図は目標開度
Θ−係数Ksとの関係を示す図、第45図はエンジンの冷却
水温WT−ステップ数換算値Swを示す図である。 11〜14……車輪速度センサ、15……トラクションコント
ローラ、45……TSn演算部、45b,46b……係数乗算部、46
……TPn演算部、47……基準トルク演算部、503……エン
ジントルク算出部、507……目標空気量算出部、512……
目標スロットル開度算出部、53……求心加速度演算部、
54……求心加速度補正部。
フロントページの続き (72)発明者 栂井 一英 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 吉田 正人 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−192929(JP,A) 特開 昭61−46725(JP,A) 特開 昭62−131831(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両用エンジンへの吸気通路にスロットル
    弁を設け、スロットル弁の開度を制御することにより上
    記エンジンの出力を制御しているエンジン出力制御装置
    において、 エンジンが出力すべき目標エンジントルクを算出する目
    標エンジントルク算出手段と、 トランスミッションの暖機状態をエンジン水温と始動後
    の吸入空気量の積算値とに基づき推定するとともに推定
    した同暖機状態に応じた補正を伴い上記目標エンジント
    ルクから上記スロットル弁の目標開度を算出するスロッ
    トル弁開度算出手段とを具備したことを特徴とする車両
    のエンジン出力制御装置。
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