JP2752668B2 - サスペンションシステム - Google Patents

サスペンションシステム

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JP2752668B2
JP2752668B2 JP63291708A JP29170888A JP2752668B2 JP 2752668 B2 JP2752668 B2 JP 2752668B2 JP 63291708 A JP63291708 A JP 63291708A JP 29170888 A JP29170888 A JP 29170888A JP 2752668 B2 JP2752668 B2 JP 2752668B2
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史之 山岡
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、自動車等車両のサスペンションシステム、
特に路面からの入力に対して減衰力特性を最適に制御す
る技術に関する。
(従来の技術) 従来、圧電素子により減衰力を可変とした液圧緩衝器
を備えた減衰力可変のサスペンションシステムとして
は、例えば、特開昭61−85210号公報に記載されたもの
が知られている。
この従来のシステムは、シリンダ内の液圧を検知する
と共に減衰力を変化可能な圧電素子を有した減衰力可変
液圧緩衝器と、前記圧電素子を駆動制御するコントロー
ラとを備え、前記コントローラは、通常、乗り心地を確
保するために低減衰力特性となるよう圧電素子を駆動制
御し、また、圧電素子のセンサ機能によって車両のスカ
ット・ダイブ・ロール等の所定の状態を示す信号が入力
されたら、これらの車両状態を抑制すべくタイマが作動
する所定時間(例えば約2秒)、高減衰力特性となって
操縦安定性が確保できるよう圧電素子を駆動制御するよ
うになっていた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上述した従来システムにあっては、単
に、スカット・ダイブ・ロール時のみに高減衰力特性に
するようにしていたため、乗り心地と操縦安定性の両立
を図るという点では十分でない。つまり、液圧緩衝器
は、上記スカット・ダイブ・ロールだけではなく、路面
の凹凸によってストロークするもので、この路面凹凸に
応じた減衰力制御も望まれるが、その要望を達成するこ
とができない。
さらに、上述の従来システムによれば、高減衰力特性
が必要であると検知された場合、単にタイマの作動によ
り所定時間高減衰力特性に制御するようにしていたた
め、実際の車両振動に対応して適切な減衰力特性制御が
成されていたとは言い難い。即ち、左ロールに対応した
制御を行っている所定時間内に、車両が逆に右ロールの
状態となったり、ダイブに対応した制御を行っている最
中に、逆にスカット状態になった場合、かえって、乗り
心地や操縦安定性が悪化する。
加えて、従来システムの減衰力可変液圧緩衝器は、1
個の圧電素子が併有するセンサ機能とアクチュエータ機
能のいずれか一方の機能を選択的に切り換えて働かせる
ようにしたものであって、アクチュエータ機能が働いて
減衰力可変機構を高減衰力特性に切り換えた場合にはセ
ンサ機能は働かないため、路面からの連続的な振動入力
があった場合に2つ目以降の入力に対しては、減衰力特
性制御が行なえず、上記と同様の問題が生じる。
このように、従来システムでは、車両の乗り心地及び
操縦安定性の両立を低いレベルでしか達成できないもの
であった。
本発明は、上述のような問題点に着目して成されたも
ので、車両の乗り心地と操縦安定性との両立を高いレベ
ルで実現することができるサスペンションシステムを提
供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明のサスペンション
システムでは、ピストンのストローク時に第1の液室か
ら第2の液室へ流れる流体の流通抵抗を生じながら開弁
して減衰力を発生する可変ディスクバルブと、この可変
ディスクバルブの曲げ剛性を変化させて発生減衰力を変
化可能に設けられた圧電素子とを有した液圧緩衝器と、
前記液圧緩衝器のストローク状態を検出し、状態に応じ
たストローク信号を出力するストロークセンサと、前記
ストローク信号に基づいた液圧緩衝器のストローク周波
数が、所定周波数未満の低周波数域内である時は、減衰
力特性を高減衰力特性とし、前記ストローク周波数が前
記所定周波数以上の高周波数域である時には、前記スト
ローク周波数の変化率が、0から極値の間は低減衰力特
性とする一方、極値から0までの間は高減衰力特性とす
べく前記圧電素子を駆動制御する減衰力制御手段とを設
けた。
(作用) 本発明のサスペンションシステムの作動について説明
する。
液圧緩衝器のストローク状態はストロークセンサによ
り検出されていて、減衰力制御手段では、ストロークセ
ンサからのストローク信号により液圧緩衝器のストロー
ク周波数が演算される。
このストローク周波数が所定周波数未満の低周波数域
内である場合、可変ディスクバルブにおける発生減衰力
が高減衰力特性となるように圧電素子の駆動を制御す
る。尚、このようにストローク周波数が低周波数となる
のは、例えば、凹凸の少ない路面を高速で走行するとい
うような路面からの振動入力が少ない場合や、車体がロ
ール・スカット・ダイブをするような、低速でストロー
クを生じさせる入力の場合などである。
上記のように液圧緩衝器が高減衰力に制御された際に
は、車体の振動が抑制されてシッカリ感が得られると共
に、高い操縦安定性が得られる。
逆に、ストローク周波数が前記所定周波数以上の高周
波数域である場合には、ストローク周波数の変化率を求
め、この変化率が0から極値の間は可変ディスクバルブ
における発生減衰力が低減衰力特性となるように圧電素
子の駆動を制御する一方、前記変化率が極値から0まで
の間は高減衰力特性となるように圧電素子の駆動を制御
する。
すなわち、このようにストローク周波数が高周波数と
なるので、凹凸の激しい悪路を走行するような路面入力
の大きな場合であり、この場合、ストローク周波数の変
化率が極値から0となるまで、つまり、圧側あるいは伸
側にストロークし切ってから中立位置に戻るまでの間
は、高減衰力特性として制振し、ストローク周波数の変
化率が0から極値となるまで、つまり、中立位置から遠
ざかる方向にストロークしている間は、低減衰力特性と
して入力を吸収する。この制御に基づいて、路面入力が
吸収されて車輪の振動が車体側へ伝達されないようにさ
れながらも、短時間に制振されて、乗り心地が向上され
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。
まず、実施例の構成を説明する。
第2図は、本発明一実施例のサスペンションユニット
に用いられた液圧緩衝器を示す全体構成図であり、同図
において、1は減衰力可変型の液圧緩衝器であって、車
体の4輪の位置にそれぞれ設けられている。この液圧緩
衝器1は、密封された外筒2と、外筒2に内蔵されたシ
リンダ3と、シリンダ3の一端から挿入されたピストン
ロッド4とピストンロッド4の先端に設けられてシリン
ダ3の内壁を軸方向に摺動するピストン5と、シリンダ
3の下端に設けられたボトムバルブ6と、外筒2の内壁
およびシリンダ3によって形成されるリザーバ室7と、
ピストンロッド4を支持するロッドガイド8と、ロッド
ガイド8の上部に設けられたオイルシール9と、外筒2
の上部を閉止するストッパプレート10と、を含んで構成
されている。
前記外筒2は有底筒状を成し、シリンダ3、ロッドガ
イド8およびオイルシール9を収容し、上端を加締めて
形成されている。また、外筒2の下端部には、車両の車
軸等に取り付けるためのアイブッシュ11およびアイ12が
固着されている。
前記ピストン5はシリンダ3の内部を、液圧緩衝器1
の伸行程時に内部容積が減少される伸側液室14と、その
圧行程時に内部容積が減少される圧側液室15とに画成す
る。
前記シリンダ3は、上端開口部がロッドガイド8で閉
塞され、下端に連通孔16を有するボトムボディ17を備え
ており、ボトムボディ17にはボトムバルブ6が取り付け
られている。ボトムバルブ6は伸行程で開くチェックバ
ルブ18と、チェックバルブ18が開くとき作動液を流入さ
せるポート19と、圧行程で開く圧側ディスクバルブ20
と、圧側ディスクバルブ20により開閉されるオリフィス
21と、チェックバルブ18の開度を規制するストッパプレ
ート22と、ボトムボディ17にチェックバルブ18等を固定
するカシメピン23と、を含んで構成されている。伸行程
において、リザーバ室7内の作動液は圧側液室15内との
差圧によりチェックバルブ18を開き、圧側液室15に流入
する。このとき、チェックバルブ18はストッパプレート
22によってその開度が規制される。また、圧行程では、
圧側液室15内の作動液は圧側ディスクバルブ20を開き、
この開度に対応した減衰力を生じながら連通孔16を通っ
てリザーバ室7に流入する。ピストン5の外周部にはテ
フロン等の低摩擦材料で形成されたシール部材24が設け
られ、シール部材24はシリンダ3の内壁に接して摺動す
る。また、ピストンロッド4にはリテーナ25が固定さ
れ、リテーナ25は上部に設けられた弾性体のリバウンド
ストッパ26とともに、ピストン5とロッドガイド8との
衝突を緩和させる。
前記オイルシール9の内周部には、ピストンロッド3
に弾接し、内部の液密を維持するメインリップ27と、外
部からの泥水等を阻止するダストリップ28とが形成され
ている。
前記ストッパプレート10は、外筒2の上端に下部が嵌
合されている。ピストンロッド4の上端から引き出され
た配線30はコントロールユニット100に接続されてい
る。
第1図はピストン5周辺の断面を示しており、図中上
方が車体側であり、図中下方が車輪側である。図面おい
て、ピストンロッド4の中央には、配線30を収容する配
線通路41が形成され、配線通路41は徐々に拡大した下端
のシール部41aで嵌合して密封し、その直上部のねじ部4
1bにてピストン5と螺合している。
前記ピストン5はピストンロッド4に螺合する本体42
と、本体42の下端部に螺合するスリーブ43とを有し、ス
リーブ43の下端部にはアジャストナット44が螺合固定さ
れている。本体42には中空部45と、この中空部45を伸側
液室14に連通させる連通孔46と、中空部45を圧側液室15
に連通させる連通孔47とが形成されている。
尚、スリーブ43には、前記中空部45を圧側液室15に連
通させる連通孔48が形成されている。また、ピストン5
における本体42およびスリーブ43の内部には円形断面の
収容孔49,50が形成されてり、収容孔49,50は中空部45と
連通している。
前記中空部45の内部には、本体42の内周に形成された
肩部42aとスリーブ43の上端との間に挟持されてバルブ
ボディ51が固定収容され、このバルブボディ51は、前記
中空部45を、連通孔46を介して伸側液室14に連通した上
部液室52と、連通孔48を介して圧側液室15に連通した下
部液室53とに区画している。
また、バルブボディ51には、上部液室52および下部液
室53を別個に連通させる請求の範囲の可変ディスクバル
ブとしての伸側可変ディスクバルブ56(以下、伸側ディ
スクバルブ56とする)により開閉される伸側流路54、お
よび請求の範囲の可変ディスクバルブとしての圧側可変
ディスクバルブ57(以下、圧側ディスクバルブ57とす
る)により開閉される圧側流路55が設けられている。す
なわち、伸側行程時には、伸側液室14の作動液が、連通
孔46〜上部液室52〜伸側流路54を通り伸側ディスクバル
ブ56を開弁した後、連通孔48を経て圧側液室15へ流出す
る。一方、圧側行程時には、圧側液室15の作動液が、連
通孔47〜圧側流路55〜圧側ディスクバルブ57を開弁した
後、上部液室52〜連通孔46を経て伸側液室14側へ流出す
るよう構成されている。
なお、前記伸側ディスクバルブ56および圧側ディスク
バルブ57は、複数枚の薄板で形成されて所定の曲げ剛性
を有しており、伸側流路54および圧側流路55の開口面積
を変化させ開口面積に応じた減衰力を発生させるもの
で、また、後述する構造に基づいて曲げ剛性が変化する
ことで液圧緩衝器1の減衰力特性が変化するよう構成さ
れている。すなわち、圧行程時には、ピストンロッド4
がシリンダ3内に進入し、かつ、伸側液室14の容積が拡
大される一方で圧側液室15の容積が縮小され、これに伴
って、ピストンロッド4の進入分の容積の作動液が圧側
ディスクバルブ20を開弁してリザーバ室7に流れ、この
とき減衰力が発生するのと同時に、伸側液室14の拡大分
の容積の作動液が圧側液室15から圧側(可変)ディスク
バルブ57を開弁して伸側液室14に流れる。このとき、圧
側ディスクバルブ57の曲げ剛性を変化させることで減衰
力特性を任意に変更できる。これとは逆に伸行程時に
は、ピストンロッド4の退出分の容積の作動液がリザー
バ室7からチェックバルブ18を開弁して圧側液室15へ流
入するとともに、伸側液室14の容積縮小分の作動液が伸
側液室14から伸側(可変)ディスクバルブ56を開弁して
圧側液室15へ流れるものであり、このとき、伸側(可
変)ディスクバルブ56の曲げ剛性を変化させることで減
衰力特性を任意に変更できる。
前記圧側ディスクバルブ57の内周上面には、収容孔49
内に上下にスライド可能に収容されたスライダ58の下端
が当接されている。そして、このスライダ58と、前記本
体42の上端部に螺合されたアジャストナット69に上端を
支持されているキャップ64との間に、第1の圧電素子80
が介装されている。ここで、この第1の圧電素子80は、
所定のセラミックス(以下、圧電材料という)の圧電効
果および逆電圧効果(電歪効果ともいう)を利用して、
一対の電極を有する薄い圧電材料を多数枚(例えば、10
0枚程度)積層して形成されたものであり、前記圧電効
果とは、圧電材料の電極に電圧を印加すると、印加電圧
の変化に応じて圧電材料が図中上下方向に伸縮する(以
下、変位という)現象をいい、一方、前記逆圧電効果と
は、圧電材料の上下方向に圧力若しくは変位力を加える
と、それにより圧電材料が変位したのに応じた起電力を
発生する現象であり、この起電力の大きさから圧電材料
に加わっている圧力若しくは変位力の大きさを検出する
ことできる。
従って、第1の圧電素子80に電圧を印加して伸長させ
ると、この第1の圧電素子80が上端をキャップ64を介し
てアジャストナット69に支持されていることから前記ス
ライダ58が下方に押し下げられて圧側ディスクバルブ57
を押圧し、該ディスクバルブ57を支持するバルブディ51
がスリーブ43に支持されていることから圧側ディスクバ
ルブ57の曲げ剛性が高まる。したがって、第1の圧電素
子80の駆動力はスリーブ43に支持されたバルブボディ51
に受け止められ、第2の圧電素子90へは伝達されない。
また、スライダ58から圧側ディスクバルブ57に付与する
初期荷重は、調整機構67によって調整可能に構成されて
いる。すなわち、前記アジャストナット69は本体42の上
端部にアジャストスクリュ68により螺合されているもの
で、アジャストナット69を回転させると軸方向に変位
し、これによって初期荷重が決定される。
また、スライダ58は、その下端外周の傾斜面が上部液
室52に面しており、この上部液室52の液圧を受けて上方
にスライドするもので、従って、第1の圧電素子80は、
電圧を印加されていない状態では、スライダ58の押圧
力、すなわち上部液室52(=伸側液室14)の液圧のみに
応じて変位し、起電力を発生するもので、これを伸側信
号Ssと称することにする。
一方、伸側ディスクバルブ56の内周下面には、収容孔
50内に上下にスライド可能に収容されたバルブコア59の
外周肩部が当接されている。そして、このバルブコア59
と、スリーブ43の下端部に螺合されたアジャストナット
44に下端を支持されているキャップ65との間に、前記第
1の圧電素子80と同様の第2の圧電素子90が介装されて
いる。
従って、第2の圧電素子90は電圧を印加して伸長させ
ると、この第2の圧電素子90の下端がキャップ65を介し
てアジャストナット44に支持されていることからバルブ
コア59が上方に押し上げられて伸側ディスクバルブ56を
押圧し、肩部42aによってピストン本体42に支持された
バルブボディ51との間に伸側ディスクバルブ56を強く挟
圧して伸側ディスクバルブ56の曲げ剛性が高まる。した
がって、第2の圧電素子90の駆動力は、前述したように
肩部42aに支持されたバルブボディ51に受け止められ第
1の圧電素子80へは伝達されない。また、バルブコア59
から伸側ディスクバルブ56に付与する初期荷重は、スリ
ーブ43に螺合されているアジャストナット44を回転させ
てキャップ65を上下させることにより調節可能に構成さ
れている。
前記アジャストナット44には孔66が形成され、前記キ
ャップ65は、この孔66を介して圧側液室15の液圧を受圧
して上方にスライドするもので、従って、第2の圧電素
子90は、電圧を印加されていない状態では、キャップ65
の押圧力、すなわち圧側液室15の液圧のみに応じて変位
し、起電力を発生するもので、これを圧側信号Spと称す
ることにする。
上述したように第1の圧電素子80は伸側液室14の液圧
に対応した伸側信号Ssを、第2の圧電素子90は圧側液室
15の液圧に対応した圧側信号Spを出力するものであり、
この液圧は液圧緩衝器1のストローク速度に対応するも
のである。したがって、両液室14,15の液圧を検出する
ことにより液圧緩衝器1のストローク状態を検出するこ
とができるもので、この両圧電素子80,90のセンサ機能
による請求の範囲のストロークセンサが構成されてい
る。
また、ピストン5の下端には伸側バルブ70および伸側
バルブ70を上方に付勢するスプリング71が設けられ、ス
プリング71の下端はアジャストナット72およびロックナ
ット73によってピストン5に固定されている。従って、
伸行程において所定ピストン速度以上では、前記伸側デ
ィスクバルブ56に引き続いてこの伸側ディスクバルブ56
の前後の下部液室53と圧側液室15との間で差圧が生じて
減衰力が発生する。
また、第1の圧電素子80のコード81,82は第2の圧電
素子90のコード91,92と一緒に配線30を形成し、配線30
はコントロールユニット100に接続され、第1および第
2の圧電素子80,90からの信号はコントロールユニット1
00に入力される。
このコントロールユニット100の内部を説明するため
第3図に移る。同図において、コントロールユニット10
0はI/Oインタフェース101と、入力回路110と、演算回路
120と、駆動回路130と、駆動用電源回路140と、を備え
ている。そして、I/Oインタフェース101には液圧緩衝器
1内の各圧電素子80,90が配線30を介して接続されてお
り、それぞれコントロールユニット100と信号の授受を
行なっている。
入力回路110は、第1または第2の圧電素子80,90から
の伸側信号Ssまた圧側信号Spを演算回路120で受けられ
る信号レベルに変換するための回路である。
演算回路120は、例えばマイクロコンピュータ等で構
成され、内部メモリに書き込まれたプログラムに従って
外部データを取り込み、これら取り込まれたデータおよ
び内部メモリに書き込まれているデータ等に基づいて、
減衰力の可変制御に必要な処理値を演算し、この演算結
果に基づいてI/Oインタフェース101から各圧電素子80,9
0に対して圧側制御信号SAまたは伸側制御信号SBを駆動
回路130に出力する。
駆動回路130は、演算回路120の演算結果に基づいて第
1または第2の圧電素子80,90に対して駆動電圧を印加
し、またはその印加電圧を放電させるための回路であ
る。
駆動用電源回路140は、例えばD/Aコンバータで形成さ
れ、第1および第2の圧電素子80,90を伸長可能な直流
の高電圧(以下、駆動電圧という)を出力する。
次に、実施例の作用を第1図に基づいて説明する。
圧行程では、ピストン5の圧側への移動に伴って圧側
液室15内の液圧が上昇し、この液圧によってキャップ65
が上方に押し上げられ、これにより第2の圧電素子90が
押圧され、第2の圧電素子90から圧側液室15の液圧に応
じた圧側信号Spが出力される。同時に、圧側ディスクバ
ルブ57が開き、その曲げ剛性に応じて圧側流路55の開口
面積が変化し、開口面積に応じた所定の減衰力が生じ
る。
前記演算回路120では、第2の圧電素子90のみが検出
する圧側信号Spに基づいて圧行程であると判定し、圧側
信号Spの大きさに応じて圧側減衰力を制御する制御値が
演算され、該制御値に応じた駆動電圧が第1の圧電素子
80に印加され、または印加電圧を放電させることによっ
て第1の圧電素子80の発生させる変位力に応じて圧側デ
ィスクバルブ57の曲げ剛性を変化させ、その曲げ剛性に
応じて減衰力がソフトあるいはハードに切り換えが行な
われる。
一方、伸行程では、ピストン5の伸側への移動に伴っ
て伸側液室14内の液圧が上昇し、それに伴って上部液室
52内の液圧が上昇してスライダ58が上方に押し上げら
れ、その押し上げ力(すなわち伸側液室14の液圧)に応
じて第1の圧電素子80から伸側信号Ssが出力される。同
時に、伸側ディスクバルブ56が開き、伸側流路54の開口
面積に応じた所定の減衰力が生じる。
前記演算回路120では、第1の圧電素子80のみが検出
する伸側信号Ssに基づいて伸行程であると判定し、伸側
信号Ssの周波数および変化率に応じて伸側減衰力を制御
する制御値が演算され、この制御値に応じた駆動電圧が
第2の圧電素子90に印加され、または印加電圧を放電さ
せることによって第2の圧電素子90の発生させる変位力
に応じて伸側ディスクバルブ56の曲げ剛性を変化させ、
その曲げ剛性に応じて減衰力がソフトあるいはハードに
切り換えが行なわれる。
次に、コントロールユニット100で行なわれる圧側信
号Sp及び伸側信号Ssの大きさに応じた減衰力制御につい
て、第4図のフローチャート及び第5図のタイムイチャ
ートに基づいて説明する。
まず、ステップ201では、各圧電素子80,90からの伸側
信号Ss,圧側信号Spである出力電圧を読み込む。この
時、いずれの信号Ss,Spが入力されるかで行程方向も判
定される。
ステップ202では、ステップ201で読み込んだ、液圧緩
衝器1のストローク周波数に対応した出力電圧(伸・圧
信号Ss,Sp)の周波数を演算してステップ203に進む。
次に、ステップ203では、出力電圧(伸・圧信号Ss,S
p)の周波数が所定の低周波数n0以上であるかどうかを
判断し、Yesの場合には、ステップ204に進み、Noの場合
にはステップ205に進む。
ステップ204では、出力電圧(伸・圧信号Ss,Sp)の変
化率K[第5図(c)参照]を演算して、ステップ206
に進む。
ステップ206では、変化率Kが0かどうかを判断し、Y
esであればステップ207に進み、Noであればステップ208
に進む。
ステップ207では、それまで駆動信号SA,SBを出力し
て駆動していた圧電素子80,90の電荷を放電した後ステ
ップ201にリターンする。この放電により液圧緩衝器1
の減衰力特性はソフトとなる(第5図S区間)。ちなみ
に、この放電は瞬間的になされる。
ステップ208では、変化率Kが極値かどうかを判断
し、Yesであればステップ205に進み、Noであれば、ステ
ップ201にリターンする。
ステップ205では、第1または第2の圧電素子80,90の
いずれか、すなわち、伸・圧信号Ss,Spを出力していな
い方の圧電素子80,90へ駆動電圧を印加して液圧緩衝器
1の減衰力をハードにする。ちなみに、行程が圧側から
伸側へ、伸側から圧側へ切り換わる瞬間には、その直前
まで液圧を検出していた圧電素子80あるいは90の出力電
圧(伸・圧信号Ss,Sp)が0となり、一方、その直前ま
で駆動していた圧電素子90あるいは80は、他方の圧電素
子80,90の伸・圧信号Ss,Spの変化率Kが極値となるのに
応答して、放電される(この動作については後述す
る)。
このような作動流れに基づいた制御における減衰力と
圧電素子80,90の発生電圧と変化率Kとの時間経過に伴
なう変化を示すのが第5図であって、第5図中(a)は
発生減衰力を示しており、中心線0から上方が伸側、下
方が圧側を示しているもので、この減衰力は、各圧電素
子80,90が検出する液圧にピストン受圧面積を掛けたも
のであるから、各圧電素子80,90がそれぞれ出力する伸
・圧信号Ss,Spの波形は、この減衰力の波形と同様に変
化する。また、第5図中(b)は、圧電素子80,90に発
生する伸・圧信号Ss,Spに相当する電圧(実線で示す)
と、圧電素子80,90に駆動電圧を印加されなかった場合
に想定されるソフト制御時の伸・圧信号Ss,Spに相当す
る電圧(点線で示す)と、駆動電圧(一点鎖線で示して
おり、一定値である)とを示している。また、第5図中
(c)は、圧電素子80,90の発生電圧(信号Ss,Sp)を時
間微分したもので、各信号Ss,Spが振動速度に相当する
ものであるから、これは振動加速度(変化率K)を表し
ている。
この第5図のタイムチャートを、圧側行程から伸側行
程に切り換わった瞬間の時点である左端の時点から動作
を説明すると、この切り換え直前の圧側行程時には第2
の圧電素子90に圧側信号Spが発生しており、切り換わり
の瞬間に圧側信号Spの変化率Kは極値となる。従って、
この第5図の例(この例の場合、周波数は所定の低周波
数n0以上となっている)では、この行程の切り換わりの
瞬間では、それまでの入力に基づきステップ201→202→
203→204→206→208→205の流れの処理に基づいて、第
2の圧電素子90に駆動電圧SBが印加されて伸側の減衰力
特性がハードに制御される。そして、この伸側行程がな
されている間は、第1の圧電素子80に伸側信号Ssが発生
しており、その変化率Kが0となった時点(左から1番
目の0の時点)で、ステップ206→207の流れとなって、
第2の圧電素子90がいったん放電されて、伸側の減衰力
特性がソフトに制御される。この例の場合、この伸側行
程では、複合入力がなされており、伸び行程を行ってい
る最中に再び変化率Kが極値となるため、第2の圧電素
子90に再び駆動電圧SBが印加されて、伸側の減衰力特性
がハードに制御され(左から2番目のIとOの間)、そ
の後、変化率がKとなった時点で放電を行い、さらに、
同様の変化率Kの変化に基づいて以上の動作をもう一度
繰り返す。すなわち、本実施例では、伸側行程の開始か
ら中立位置に向かう加振域では、減衰力をハードに制御
して制振を行う一方、中立を越えた制振域では、ソフト
に制御して入力を吸収するというものである。
その後、左から4番目のIの時点で伸側行程から圧側
行程に切り換わると、その直前の変化率Kが極値であっ
たのに基づいて、第1の圧電素子80に駆動電圧SAが印加
されて、圧側の減衰力特性がハードに制御される。この
例の圧側行程では、第2の圧電素子90が出力する圧側信
号Spの変化率Kが0となった時点(左から4番目の0の
時点)で、ステップ206→207の流れとなって、第1の圧
電素子80が放電されて圧側の減衰力特性がソフトに制御
される。そして、この圧側行程では、複合入力がなされ
ていないことから、その後、ハードに制御されることは
なく、変化率Kが極値となるとともに行程が圧側から伸
側に切り換わった時点(左から5番目のIの時点)で、
第2の圧電素子80に駆動電圧SBが印加される。
以上説明した、各信号Ss,Spの周波数、すなわち液圧
緩衝器1のストローク周波数が低周波数n0以上の場合と
いうのは、例えば、悪路を走行する場合のように、路面
(車輪側)からのショックの入力が大きく、乗り心地の
上でショックを吸収することが必要な場合であって、こ
のような場合には、中立に向かってストロークする加振
域では、減衰力特性をハードにして制振する一方、中立
から離れる方向にストロークする制振域では減衰力特性
がソフトにして、入力を吸収するもので、良好な乗り心
地を維持しながら効果的に制振できる。
一方、各信号Ss,Spの周波数、すなわち液圧緩衝器1
のストローク周波数が所定の低周波数n0以下の低周波数
域内に納まっている場合というのは、例えば、比較的き
れいな路面を高速で走行する場合や、ハンドルの切り返
し等によりロールした場合や、加減速時においてスカッ
トやダイブした場合等のように、主として路面(車輪
側)からばね上へのショックの入力が少ない場合であっ
て、このような場合には、路面のショックを吸収する機
能はあまり必要でなく、逆に、操縦安定性の上でシッカ
リ感を与えるために高減衰力特性とした方が望ましいと
いえる。このような場合には、ステップ203→205の流れ
となって各信号Ss,Spを出力していない方の圧電素子80,
90に駆動電圧が印加されて減衰力特性がハードに制御さ
れる。
以上のようにして、本実施例では、乗り心地と操縦安
定性の両立が図られる。
これに加えて本実施例のサスペンションシステムは、
以下に列挙する特徴を有している。
減衰力制御のための第1の圧電素子80及び第2の圧電
素子90を、液圧緩衝器1のストローク状態を検出するた
めの液圧サンサとして機能させたため、センサを別個に
設けたものに比べ部品点数が少なくなり、液圧緩衝器1
のコンパクト化と製作コストの低減化が可能となる。
上記液圧の検出は、常に駆動させる必要のない側の圧
電素子80,90により行われるために、第1および第2圧
電素子80,90が有するストローク状態検出用の液圧セン
サ機能と減衰力可変用のアクチュエータ機能の両機能を
同時に働かせることができ、路面からの連続的な振動入
力に対しても、この振動入力の変動に応じたきめ細かな
減衰力制御が行なえる。
以上、本発明はの実施例を図面に基づいて説明した
が、具体的な構成はこの実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等
があっても本発明の含まれる。
例えば、実施例では、第1および第2の圧電素子80,9
0で減衰力可変用アクチュエータ機能と液圧センサ機能
を働かせるようにした場合を示したが、これには限られ
ず、圧電素子とは別体に液圧センサ等のストロークセン
サを備えるようにしてもよい。
また、実施例では、ストロークセンサとして液圧を検
出する手段を示したが、液圧緩衝器の実際のストローク
量を検出する手段を用いるようにしてもよい。
また、ディスクバルブや圧電素子の構造や配置等も任
意であり、例えば、圧側ディスクバルブ57および第2の
圧電素子90をボトムボディ側に設けるようにしてもよ
い。
(発明の効果) 以上説明してきたように本発明のサスペンションシス
テムにあっては、液圧緩衝器のストローク周波数が、車
輪側からのショック入力が少なく乗り心地があまり悪く
なることのない低周波数振動域内であるときには、高減
衰力特性となって操縦安定性の向上が図られ、液圧緩衝
器のストローク周波数が、車輪側からのショック入力が
大きくなって低周波数域外となった場合には、伸側・圧
側のいずれかにストロークし切ってから中立位置に戻る
までの間は高減衰力特性として制振を行う一方、中立位
置から遠ざかる方向にストロークする間は低減衰力特性
として入力を吸収して、車体へショックが伝達されない
ようにして乗り心地の向上を図りながらも短時間に制振
することができるもので、操縦安定性と乗り心地の両立
を高いレベルで達成できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例のサスペンションシステムの要部
の構成を示す断面図、第2図は本発明実施例システムの
全体構成を示す断面図、第3図は実施例システムのコン
トロールユニットの構成を示す構成説明図、第4図はコ
ントロールユニットにおける作動流れを示すフローチャ
ート、第5図は実施例システムの作用説明図である。 1…液圧緩衝器 56…伸側可変ディスクバルブ 57…圧側可変ディスクバルブ 80…第1の圧電素子(ストロークセンサを兼ねる) 90…第2の圧電素子(ストロークセンサを兼ねる) 100…コントロールユニット(減衰力制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−85210(JP,A) 実開 昭63−54504(JP,U) 実開 昭62−153108(JP,U) 実開 昭63−24006(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピストンのストローク時に第1の液室から
    第2の液室へ流れる流体の流通抵抗を生じながら開弁し
    て減衰力を発生する可変ディスクバルブと、この可変デ
    ィスクバルブの曲げ剛性を変化させて発生減衰力を変化
    可能に設けられた圧電素子とを有した液圧緩衝器と、 前記液圧緩衝器のストローク状態を検出し、状態に応じ
    たストローク信号を出力するストロークセンサと、 前記ストローク信号に基づいた液圧緩衝器のストローク
    周波数が、所定周波数未満の低周波数域内である時は、
    減衰力特性を高減衰力特性とし、前記ストローク周波数
    が前記所定周波数以上の高周波数域である時には、前記
    ストローク周波数の変化率が、0から極値の間は低減衰
    力特性とする一方、極値から0までの間は高減衰力特性
    とすべく前記圧電素子を駆動制御する減衰力制御手段
    と、 を備えていることを特徴とするサスペンションシステ
    ム。
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