JP2750130B2 - 経口投与用組成物 - Google Patents

経口投与用組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は難溶性医薬品の経口投与用組成物に関する。
〔従来の技術〕
一般に、難溶性医薬品と称される医薬品は水に対する
溶解性が極めて悪く、従って生体に経口投与した場合の
吸収速度が遅く、絶対的な吸収量も少ない場合が多い。
従って水に溶け易くするために塩酸塩やナトリウム塩と
いった塩の形にしたり、水溶性のプロドラツグにする試
みがなされている。また製剤的見地から、界面活性剤の
ような可溶化剤を添加したり、サイクロデキストリン等
で包接化する試みが、また結晶レベルでは、原末を微粒
化したり、非晶質化したりする試みがなされている。
しかし、それらの従来技術は医薬品それぞれで有効な
方法が異るため、すべての医薬品に有効な方法とは言い
難く、特に難溶性医薬品の絶対的な吸収量を改善できて
も、吸収速度の改善に対してはほとんど検討されていな
いのが現状である。ところが難溶性医薬品の中にはその
薬理効果の面から速効性を期待される医薬品も多く含ま
れており、吸収量の面からのみではなく吸収速度の面か
らも良好な経口投与製剤が望まれている。
また、可溶性蛋白質を利用した難溶性薬物の吸収性改
善方法に関しては、特開昭57−26615号に、通常の医薬
品添加物として使用されている高分子量のゼラチン(蛋
白加水分解をしていないもの)等と共粉砕する方法が記
載されているが、高分子量のゼラチンは水に対する溶解
性においてそれほど良好とは言い難く、従って難溶性薬
物の吸収改善のために添加するゼラチン量が多く、また
製造法も共粉砕法に限られているという欠点がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
一般に、難溶性医薬品は水に対する溶解性が極めて乏
しいため、結晶で投与した場合、消化管内での溶解が律
速となり、吸収が遅延、減少する傾向がある。
難溶性医薬品の中でも塩基性薬物は酸性の胃内液では
イオン化して溶解性が向上する場合があるが、中性薬物
や酸性薬物はその効果も期待できない。また塩基性の難
溶性医薬品に関しても、いわゆる無胃酸症と呼ばれる患
者に投与した場合、その高い胃内pHのため溶解が極端に
悪く、薬理効果を現さない場合もある。
かかる観点より、胃内のpHにあまり影響されず、消化
管内で急速に溶解、吸収される製剤をつくることは、難
溶性医薬品の薬理効果の発揮や固体差の減少といった面
から解決されるべき課題と考えられる。
〔問題点を解決する手段〕
そこで本発明者らは、難溶性医薬品の溶解性改善のた
めに種々の水溶性高分子の添加効果を検討してきたが、
その結果、ゼラチンまたはカゼイン等の蛋白の加水分解
物およびポリペプタイドが、難溶性医薬品で酸性非ステ
ロイド系抗炎症薬(NSAID)の吸収を早めることを発見
し、既に特願昭63−27791号として出願した。本発明者
らは、NSAID以外の難溶性医薬品についても、蛋白加水
分解物またはポリペプタイドの添加効果について鋭意検
討を進めたところ、医薬品ならびに食品の添加物として
広く利用されているゼラチンあるいはカゼインのような
蛋白質を加水分解して得られる低分子量の蛋白加水分解
物またはポリペプタイドが難溶性医薬品の水に対するぬ
れ速度を増し、また医薬品結晶の一部あるいは全部を非
晶質化することにより水に対する溶解性ならびに生体に
投与した場合の吸収性を高めることを発見し、本発明を
完成するに至った。
すなわち、本発明は、難溶性医薬品と平均分子量2000
〜15000の蛋白加水分解物またはポリペプタイドとを含
有する経口投与用組成物に関するものである。
本発明に用いる蛋白加水分解物としては、コラーゲ
ン、変性コラーゲンであるゼラチン、フイブロイン、ア
ルブミン、カゼインなどの蛋白質を加水分解して得られ
るもの、例えばゼラチンの加水分解物、カゼイン等の蛋
白の加水分解物などをあげることができるが、例えば製
造上の利用性、一般的流通性等の面からゼラチンの加水
分解物(低分子量ゼラチン)が好ましい。ゼラチンの加
水分解物はゼラチンまたはゼラチン原料を蛋白分解酵素
を用いて酵素分解したものでその平均分子量が2000〜15
000、好ましくは3000〜10000、最も好ましくは5000〜80
00のものである。例えば、市販品として、「水溶性ゼラ
チンUタイプおよびHタイプ」(商品名、新田ゼラチン
株式会社)ならびに低分子ゼラチンNCG(商品名、宮城
化学工業株式会社)等を挙げることができる。また、同
様な構造のカゼイン等の蛋白の加水分解物は植物蛋白お
よび動物蛋白を蛋白分解酵素で加水分解したもので構造
中に遊離のカルボキシル基とアミノ基を有するものであ
る。ポリペプタイドには、例えばポリペプトン等も包含
される。
これら蛋白加水分解物またはポリペプタイドの量は医
薬品(活性成分)に対して重量比で0.1以上、好ましく
は0.1〜10になるように添加することにより、その効果
を発揮することができるが、特に限定されるものではな
い。
本発明において活性成分として用いられる難溶性医薬
品とは、経口投与後生体内に吸収されることにより薬理
効果を発揮する医薬品で、その生体内への吸収速度ある
いは吸収量(バイオアベイラビリテイ)が充分とは言い
難い医薬品であれば特に限定されない。このような医薬
品としては、例えば以下に列挙するものが挙げられる。
イ)催眠・鎮静剤: 例えば、ニトラゼパム、トリアゾラム、フエノバルビ
タール、アモバルビタール等 ロ)抗てんかん剤: 例えば、フエニトイン、メタルビタール、プリミド
ン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸等 ハ)解熱鎮痛消炎剤: フエナセチン、オキシフエンブタゾン、フエニルブタ
ゾン、スルピリン、ペンタゾシン、ピロキシカム等 ニ)鎮うん剤: 塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等 ホ)精神神経用剤: ハロペリドール、メプロバメート、クロルジアゼポキ
シド、ジアゼパム、オキサゼパム、スルピリド等 ヘ)鎮けい剤: パパベリン、アトロピン、エトミドリン等 ト)強心剤: ジゴキシン、ジギトキシン、メチルジゴキシン、ユビ
デカレノン等 チ)不整脈用剤: ピンドロール、アジマリン、ジソラミド等 リ)利尿剤: ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、トリアム
テレン、フロセミド、ブメタニド等 ヌ)抗高血圧剤: レセルピン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、塩酸
プラゾシン、メトプロロール、プロプラノロール、アテ
ノロール等 ル)冠血管拡張剤: ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ジルチアゼ
ム、ニフエジピン、ジピリダモール等 ヲ)鎮咳剤: ノスカピン、サルブタモール、プロカテロール、ツロ
プテロール、トラニラスト、ケトチフエン等 ワ)脳循環改善剤: ニカルジピン、ビンポセチン等 カ)抗生物質: エリスロマイシン、ジヨサマイシン、クロラムフエニ
コール、テトラサイクリンリフアンピシン、グリセオフ
ルビン等 ヨ)抗ヒスタミン剤: ジフエンヒドラミン、プロメタジン、メキタジン等 タ)ステロイド剤: トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、
プレドニゾロン、ダナゾール、メチルテストステロン、
酢酸クロルマジノン等 レ)ビタミン剤: アルフアカルシドール、フイトナジオン、メナテトレ
ノン等 ソ)その他: シンナリジン、クロフイブラート、ニコチン酸dl−α
−トコフエノール、ゲフアルナート、シメチジン、プロ
ベネシド、メルカプトプリン、メトトレキサート、ウル
ソデスオキシコール酸、メシル酸ジヒドロエルゴタミン
等 上記の難溶性医薬品は原末の溶解性の面から、湿式ま
たは乾式の粉砕機で粉砕して得られる平均粒径100μm
以下、好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以
下であることが望ましい。
また、本発明の経口投与用組成物は、そのまま顆粒剤
として投与してもかまわないが、患者のコンプライアン
スを考慮した場合、錠剤、カプセル剤として用いるのが
望ましく、それら製剤中には必要に応じて製剤上知られ
る賦形剤、崩壊剤、滑沢剤等の種々の添加剤を配合する
ことができる。
本発明の組成物は、低分子量の蛋白加水分解物または
ポリペプタイドが組成物中に均一に分散し、活性成分と
緊密に接触する状態になるように製造することが望まし
い。すなわち、組成物を水もしくは適当な溶媒を用いて
練合し、乾燥、整粒、打錠を行う練合法、また活性成分
と低分子量の蛋白加水分解物またはポリペプタイドとを
練合し、乾燥、整粒後、種々の添加剤を混合し、打錠を
行う半直打法といった湿式法が望ましいが、低分子量の
蛋白加水分解またはポリペプタイドの量を調整すること
により乾式法あるいは共粉砕法等も用いることができ
る。顆粒剤およびカプセル剤においても錠剤の場合と同
様に湿式法が好ましいが、場合によっては乾式法や共粉
砕法あるいは噴霧造粒法等を採用することができる。
また、錠剤および顆粒剤などの剤形においては、マス
キング等の目的でコーテイングを施すこともできる。
以上、本発明の経口投与用組成物は吸収速度が従来品
に比べ速やかかつ良好で、個体差が少ない製剤となりえ
るものである。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、
本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例 1 ピンドロール1gm(平均粒径15μm)に対し低分子量
ゼラチン(平均分子量6000)を重量比で1:1、1:3および
1:5の割合で混合し、混合末1gに対して約0.5mlの精製水
を加えて60分練合した。練合したサンプルを造粒、乾
燥、整粒して顆粒を製造し硬カプセルに充填した。
実施例 2 ジルチアゼム5gm(平均粒径32μm)と低分子量ゼラ
チン(平均分子量8000)5gmとを混合し、ボールミルで
1時間共粉砕した。この共粉砕物を整粒して硬カプセル
に充填した。
実施例 3 重量% ピンドロール(平均粒径10μm以下) 5 低分子量ゼラチン(平均分子量7000) 25 パーフイーラー101 49 カルボキシメチルセルロース 20 ステアリン酸マグネシウム 1 100 上記処方のうちピンドロール、低分子量ゼラチンおよ
びパーフイーラー101(合成ケイ酸アルミニウム20%、
ヒドロキシプロピル澱粉60%、結晶セルロース20%:フ
ロイント産業株式会社製)を水で練合後、造粒、乾燥、
整粒し、この整粒末に対し、処方量のカルボキシメチル
セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、
混合後、1錠当り重量100mgとなるように打錠して錠剤
を製造した。
実施例 4 重量% 酢酸クロルマジノン(平均粒径12μm) 12.5 低分子量ゼラチン(平均分子量6000) 25 白糖 37.5 軽質無水ケイ酸 19 リヨートーシユガーエステル(シヨ糖脂肪酸 エステル:三菱化成食品株式会社製) 6 100 上記処方に示す分量の白糖を取り、粉砕した後、処方
に処す低分子量ゼラチン、軽質無水ケイ酸およびリヨー
トーシユガーエステルを加え、よく混合し、粉砕する。
これにあらかじめ粉砕した処方に示す分量の酢酸クロル
マジノンを加えて混合し、均一な粉末とした後1カプセ
ル当り重量200mgとなるように硬カプセルに充填した。
実施例 5 重量% 塩酸メクリジン 25 低分子量ゼラチン(平均分子量7000) 7.5 パーフィーラー101 46.5 カルボキシメチルセルロース 20 ステアリン酸マグネシウム 1 100 上記処方に示す成分のうち、塩酸メクリジン、低分子
量ゼラチン、パーフィーラー101およびカルボキシメチ
ルセルロースの一部(15重量%)を水で練合後、造粒、
乾燥、整粒し、この整粒末に対し、カルボキシメチルセ
ルロースの残り(5重量%)およびステアリン酸マグネ
シウムを添加し、混合後1錠当り重量100mgとなるよう
に打錠して錠剤を製造した。
実施例 6 プレドニゾロンの粉末と低分子量ゼラチン(平均分子
量7000)とを1:1の重量比で混合し、少量の水と共に混
練して製剤化した。
次に、上記実施例で得られた製剤を用いて溶出試験お
よび投与試験を行った。
溶出試験 実施例1および2で製造した各製剤を、日局XI記載の
溶出試験法のパドル法を用いて試験した。試験液は水90
0ml、回転数は100rpmとした。対照としては実施例1お
よび2に示した医薬品のみを充填したカプセル剤をそれ
ぞれ用いた。
結果は以下の第1表および第2表にそれぞれ示す通り
である。
いずれの試験製剤においても対照製剤に比べて溶出が
早くなっており、溶出性の改善が認められた。
投与試験 実施例3,4,5および6で製造した各製剤をピーグル犬
に水20mlと共に経口投与し(実施例3の場合1頭当り2
錠、実施例4の場合1頭当り1カプセル、実施例5の場
合1頭当り塩酸メクリジン50mgとなる量、そして実施例
6の場合1頭当りプレドニゾロン25mgとなる量)、その
血中濃度の時間的推移を検討した。対照としては、実施
例3の製剤に対しては5mg錠の市販製剤を2錠、実施例
4の製剤に対しては25mg錠の市販製剤を1錠、実施例5
の製剤に対しては25mg錠の市販製剤を2錠、そして実施
例6の製剤に対してはプレドニゾロンのみを25mg投与し
た場合を示すものである。
この投与試験の結果は次の第3、第4、第5および第
6表にそれぞれ示される。いずれの実施例の製剤を用い
た結果も、最高血中濃度到達時間(Tmax)は速く、また
最高血中濃度(Cmax)および血中濃度時間曲線下面積
(AUC)は増大していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−190723(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】難溶性医薬品と平均分子量2000〜15000の
    蛋白加水分解物またはポリペプタイドとを含有する経口
    投与用組成物。
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