JP5793891B2 - 固形医薬組成物及び医薬製剤 - Google Patents
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Description
[1].(A)プロピオン酸系又は酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬と、(B)アミノアルキルメタアクリレートコポリマーEと、(C)アセトアミノフェン及び/又はカフェインと、下記(D)及び/又は(E)
(D)二酸化珪素、結晶セルロース又は糖アルコール、
(E)水酸化アルミニウム又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム
とを含有する固形医薬組成物。
[2].(A)成分が、イブプロフェンである[1]記載の固形医薬組成物。
[3].(B)/(A)で表される、(A)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.3〜3であり、(C)/(A)で表される、(A)成分に対する(C)成分の含有質量比が0.3〜3である[1]又は[2]記載の固形医薬組成物。
[4].(D)成分が、二酸化珪素である[1]、[2]又は[3]記載の固形医薬組成物。
[5].(D)/[(A)+(B)+(C)]で表される、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計に対する(D)成分の含有質量比が0.1〜0.6である[1]〜[4]のいずれかに記載の固形医薬組成物を配合してなり、錠剤、粒状剤、細粒剤又はカプセル剤である医薬製剤。
[6].[1]〜[5]のいずれかに記載の固形医薬組成物を配合してなり、錠剤、粒状剤、細粒剤又はカプセル剤である医薬製剤。
(A)プロピオン酸系又は酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬
プロピオン酸系、酢酸系とは、それぞれプロピオン酸基、酢酸基を有するものをいい、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。非ステロイド性抗炎症薬としては公知のものが挙げられ、例えば、プロピオン酸系非ステロイド性抗炎症薬としては、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム等が挙げられる。酢酸系非ステロイド性抗炎症薬としては、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、フェルビナク等が挙げられる。
アミノアルキルメタアクリレートコポリマーEは、化学名:メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマーであり、医薬品添加物規格又は日本薬局方外医薬品成分規格に記載された成分である。前記(B)成分としては、市販のものを用いることができ、例えば、エボニック社のオイドラギットE100、オイドラギットEPO(モノマーモル比;メタクリル酸メチル1:メタクリル酸ブチル1:メタクリル酸ジメチルアミノエチル2、いずれも商品名)等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
アセトアミノフェン、カフェイン(無水カフェイン)は、解熱鎮痛薬又は鎮痛補助薬であるが、驚くべきことに、(A)成分と(B)成分とを含有する組成物に、(C)成分を配合することにより、経時(高温保存時)での凝集固化が抑制され、経時でも溶出性が維持される。
(D)成分としては、二酸化珪素、結晶セルロース、糖アルコール、珪酸カルシウム等の珪酸塩等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの化合物を配合することにより、(A)成分の溶出性をより向上させ、組成物の凝集をさらに抑制することができる。中でも、二酸化珪素、結晶セルロース及び糖アルコールから選ばれる化合物が好ましい。二酸化珪素としては、軽質無水珪酸、含水二酸化珪素、シリカ、ホワイトカーボン等の一般名称を有する。また、市販品を用いることもでき、富士シリシア化学社の「サイリシア」、「サイロスフェア」(いずれも商品名)等が挙げられる。糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット等が挙げられる。この中でも、マンニトールが好ましい。
他の成分としては、(E)水酸化アルミニウム(乾燥水酸化アルミニウムゲル等)又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。水酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは制酸剤であるが、これらの成分を配合することで、非晶質の(A)成分が、低温保存時において再結晶化することを抑制し、溶出性が低温保存後でも維持される。その結果、低温保存後の溶出性及び経時での凝集固化抑制が向上する。
上記(A)〜(C)成分(必要に応じて(D)及び(E)成分を含む)を湿式造粒する場合、バインダーとしてヒドロキシプロピルセルロースを用いることにより、イブプロフェン造粒物の固化を防止し、高溶出状態に保つことができ、溶出性を向上させることができる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
(1).(A)、(B)、(C)及び必要に応じて(D)成分、他の任意成分を、ボーレ型混合機、V型混合機等にて混合し、室温付近で1晩熟成する。
(2).(A)、(B)、(C)及び必要に応じて(D)成分、他の任意成分を、流動層造粒、撹拌造粒、押出造粒等を用いて湿式造粒する。バインダーは、(F)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシピロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、デンプン系等の公知のバインダーを用いることができる。
(3).(A)、(B)、(C)及び必要に応じて(D)成分、他の任意成分を、ローラーコンパクター等にて乾式造粒することもできる。造粒条件によっては室温付近で1晩熟成が必要な場合がある。
(4).(A)、(B)、(C)及び必要に応じて(D)成分、他の任意成分を、ピンミルやボールミル等にて混合粉砕する。この場合は熟成不要である。
また、さらに、振動篩やコーミル、フラッシュミル、パワーミル等にて粉砕・解砕・整粒することができる。
(A)成分と(B)成分との混合は室温(20℃)以上であれば、特に限定されず、(B)成分により(A)成分が非晶質化する。
(5).(A)、(B)及び(C)成分、必要に応じて任意成分を、上記加熱混合温度の範囲で加熱混合する方法。
(6).(A)及び(B)成分を上記加熱混合温度の範囲で加熱混合し、得られた加熱混合物と、(C)成分と、必要に応じて任意成分を、流動層造粒、撹拌造粒、押出造粒等を用いて湿式造粒する。バインダーは上記と同様の成分の液をバインダー液として添加することが好ましい。
(7).(A)及び(B)成分を上記加熱混合温度の範囲で加熱混合し、得られた加熱混合物と、(C)成分と、必要に応じて任意成分を、ローラーコンパクター等にて乾式造粒することもできる。
(8).(A)及び(B)成分を上記加熱混合温度の範囲で加熱混合し、得られた加熱混合物と、(C)成分と、必要に応じて任意成分を混合する。
また、加熱後は環境温度、例えば、室温(20℃)への冷却工程や、振動篩やコーミル、フラッシュミル、パワーミル等にて粉砕・解砕・整粒する工程を含むこともできる。
なお、(E)成分を配合する場合、加熱混合時に添加してもよく、加熱混合後に添加してもよいが、加熱混合時に添加することが好ましい。
固形医薬組成物は内服用とすることができ、そのまま(この場合は固形医薬組成物と医薬製剤は同じ組成である)、又は他の任意成分と混合して医薬製剤とすることができる。例えば、粒状剤(顆粒剤、細粒剤、散剤)としたり、さらに必要に応じて打錠して錠剤、カプセル剤等の内服用固形医薬製剤にすることができる。固形医薬組成物の含有量は、医薬製剤中30〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましい。
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
表1〜4の各成分を、パウレック(株)製MP−01流動層造粒機を用い、常法に従い湿式造粒した。具体的には、バインダー液にはヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)HPC−SSL)の8質量%水溶液を用い、この水溶液の固形分が(A)〜(D)の合計量の10質量%となるように噴霧した。得られた造粒粒子(顆粒・固体医薬組成物)をアルミパウチに封入し、50℃・1ヶ月保存した。初期及び50℃・1ヶ月保存後それぞれについて下記評価を行った。結果を表中に示す。なお、実施例の平均粒径(レーザー回折散乱式粒度分布測定器(乾式)によるメジアン径(D50))は、80〜600μmの範囲内であった。
イブプロフェンの溶出試験は日本薬局方に溶出試験で確認した。試験液にはpH4.5の酢酸緩衝液を用い、130mg/900mLの条件で測定した(5分後の溶出性)。
下記基準に従い目視にて判断した。
〈基準〉
◎:全くない
○:わずかに凝集が認められるが、簡単にほぐせる
×:かなりの凝集が認められ、塊が固化してほぐせない
××:著しく凝集し、全体が固化している
下記組成を混合し、タブレッティングテスターにて打錠して直径10mmの錠剤を得た。
組成 g
実施例1の顆粒(固体医薬組成物) 390g
ブロムヘキシン塩酸塩 4g
クレマスチンフマル酸塩 0.45g
無水カフェイン 25g
アスコルビン酸 100g
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 16g
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 20g
二酸化珪素(サイリシア740) 10g
結晶セルロース(セオラスKG801) 150g
乳糖 150g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 30g
クロスカルメロースナトリウム 20g
ステアリン酸マグネシウム 3g
下記組成を混合し、細粒剤を得た。
組成 g
実施例3の顆粒(固体医薬組成物) 415g
ブロムヘキシン塩酸塩 4g
クレマスチンフマル酸塩 0.45g
アスコルビン酸 100g
ジヒドロコデインリン酸塩 8g
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 20g
二酸化珪素(サイリシア740) 30g
D−マンニトール 150g
香料 0.5g
下記組成を混合し、タブレッティングテスターにて打錠して直径10mmの錠剤を得た。
組成 g
実施例4の顆粒(固体医薬組成物) 460g
無水カフェイン 25g
結晶セルロース(セオラスPH302) 150g
D−マンニトール 150g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 30g
クロスポビドン(XL−10) 20g
ステアリン酸マグネシウム 3g
スクラロース 1.5g
香料 0.5g
下記組成を混合し、細粒剤を得た。
組成 g
実施例5の顆粒(固体医薬組成物) 520g
無水カフェイン 25g
アリルイソプロピルアセチル尿素 60g
結晶セルロース(セオラスKG801) 150g
乳糖 150g
下記組成を混合し、タブレッティングテスターにて打錠して直径10mmの錠剤を得た。
組成 g
実施例6の顆粒(固体医薬組成物) 575g
アンブロキソール塩酸塩 15g
クレマスチンフマル酸塩 0.45g
アスコルビン酸 100g
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 16g
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 20g
乾燥水酸化アルミニウムゲル 70g
結晶セルロース(セオラスKG801) 150g
クロスカルメロースナトリウム 20g
ステアリン酸マグネシウム 3g
香料 0.5g
下記組成を混合し、細粒剤を得た。
組成 g
実施例6のイブプロフェンをナプロキセンに変えた以外は同様の方法で得た顆粒(固体医薬組成物) 460g
乾燥水酸化アルミニウムゲル 70g
結晶セルロース(セオラスPH302) 150g
D−マンニトール 150g
ヒドロキシプロピルセルロース 30g
クロスポピドン(コリドンCL) 20g
ステアリン酸マグネシウム 3g
スクラロース 0.5g
香料 0.5g
下記組成を混合し、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤とした。
組成 g
実施例6のイブプロフェンをケトプロフェンに変えた以外は同様の方法で得た顆粒(固体医薬組成物) 460g
アリルイソプロピルアセチル尿素 60g
結晶セルロース(セオラスPH302) 150g
D−マンニトール 150g
ヒドロキシプロピルセルロース 30g
クロスポピドン(コリドンCL) 20g
ステアリン酸マグネシウム 3g
スクラロース 1.5g
香料 0.5g
表5,6の各成分を、80℃で10分間粉体混合し、その後室温で冷却した。
得られた混合物(固形医薬組成物)について、上記と同様の評価を行った。結果を表中に併記する。
Claims (6)
- (A)プロピオン酸系又は酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬と、(B)アミノアルキルメタアクリレートコポリマーEと、(C)アセトアミノフェン及び/又はカフェインと、下記(D)及び/又は(E)
(D)二酸化珪素、結晶セルロース又は糖アルコール、
(E)水酸化アルミニウム又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム
とを含有する固形医薬組成物。 - (A)成分が、イブプロフェンである請求項1記載の固形医薬組成物。
- (B)/(A)で表される、(A)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.3〜3であり、(C)/(A)で表される、(A)成分に対する(C)成分の含有質量比が0.3〜3である請求項1又は2記載の固形医薬組成物。
- (D)成分が、二酸化珪素である請求項1、2又は3記載の固形医薬組成物。
- (D)/[(A)+(B)+(C)]で表される、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計に対する(D)成分の含有質量比が0.1〜0.6である請求項1〜4のいずれか1項記載の固形医薬組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の固形医薬組成物を配合してなり、錠剤、粒状剤、細粒剤又はカプセル剤である医薬製剤。
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