JP2743634B2 - 能動型騒音制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置

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JP2743634B2
JP2743634B2 JP3199180A JP19918091A JP2743634B2 JP 2743634 B2 JP2743634 B2 JP 2743634B2 JP 3199180 A JP3199180 A JP 3199180A JP 19918091 A JP19918091 A JP 19918091A JP 2743634 B2 JP2743634 B2 JP 2743634B2
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泰毅 石川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、騒音源からの騒音に制
御音源で発生させた騒音抑制信号を干渉させることによ
り騒音を抑制する能動型騒音制御装置に係り、特に空間
伝達関数とこれをモデル化したモデル化空間伝達関数の
ずれによるシステム異常を自己診断することができる能
動型騒音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の能動型騒音制御装置とし
ては、例えば特許出願公表平1−501344号公報に
記載されているものがある。この従来例は、ラウドスピ
ーカから制御音を放音することにより、車室内に騒音源
から伝達される騒音を低減させる能動型騒音制御装置で
あって、車室内の残留騒音を複数のマイクロフォンで検
出すると共に、騒音源の任意に選択し得る高調波を含む
少なくとも一つの基準信号を発生させ、これら残留騒音
検出信号と基準信号とをプロセッサ/記憶ユニットに供
給することにより、基準信号を適応フィルタ処理してラ
ウドスピーカの駆動信号を形成するようにしている。こ
こで、適応フィルタ処理では、その第i番目のフィルタ
係数Wmi(n+1)を、LMSアルゴリズムに従って、複数
のマイクロフォンの検出信号Vekの平均自乗和として設
定された評価関数Jを最小とするように、下記(1) 式に
従って順次更新するようにしている。
【0003】 ここで、Wmi(n) は前回即ちn番目のサンプル時のフ
ィルタ係数、μは収束係数、Vekはk番目のマイクロフ
ォン出力、xは騒音源に相関のある基準信号、Ckmはm
番目のスピーカとk番目のマイクロフォンとの間の実空
間伝達関数である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の能動型騒音制御装置にあっては、適応フィルタのフ
ィルタ係数を更新する制御アルゴリズムで、ラウドスピ
ーカ及びマイクロフォン間の実際の空間伝達関数Ckm
のものではなく、これをモデル化したモデル空間伝達関
数Ckm′を使用しているので、例えばラウドスピーカ,
マイクロフォンの劣化或いは閉空間の温度変化、ドアの
開閉等によって実際の伝達関数が変化したときには、前
記(1) 式で算出される適応フィルタのフィルタ係数Wmi
(n+1)に誤差を生じて評価関数Jが収束せずに発散し、
異状音を発生するおそれがあるという未解決の課題があ
った。
【0005】そこで、この発明は、上記従来例の未解決
の課題に着目してなされたものであり、正弦波信号を使
用することにより、実際の空間伝達関数とこれをモデル
化したモデル化空間伝達関数のずれを検出して自己診断
することができる能動型騒音制御装置を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る能動型騒音制御装置は、図1に示す
ように、基準信号発生手段からの騒音源の騒音発生状態
に応じた基準信号を適応フィルタ手段を介して制御音源
に入力し、当該制御音源から送出される音圧と周囲の騒
音音圧との合成音圧を残留騒音検出手段で検出し、前記
基準信号を制御音源及び残留騒音検出手段間の空間伝達
関数をモデル化したモデル空間伝達関数をフィルタ係数
とするフィルタ手段でフィルタ処理した信号と前記残留
騒音検出信号とに基づいてフィルタ係数更新手段で前記
適応フィルタのフィルタ係数を最急降下法を用いて更新
するようにした能動型騒音制御装置において、前記制御
音源及びフィルタ手段に前記基準信号に代えて掃引正弦
波信号を供給する掃引信号供給手段と、前記残留騒音検
出手段で検出した掃引正弦波信号とフィルタ手段でフィ
ルタ処理された掃引正弦波信号とを比較して、当該フィ
ルタ手段のモデル空間伝達関数の適否を判断する判断手
段とを備えたことを特徴としている。
【0007】また、請求項2に係る能動型騒音制御装置
は、図2に示すように、基準信号発生手段からの騒音源
の騒音発生状態に応じた基準信号を適応フィルタ手段を
介して制御音源に入力し、当該制御音源から送出される
音圧と周囲の騒音音圧との合成音圧を残留騒音検出手段
で検出し、前記基準信号を制御音源及び残留騒音検出手
段間の空間伝達関数をモデル化したモデル空間伝達関数
をフィルタ係数とするフィルタ手段でフィルタ処理した
信号と前記残留騒音検出信号とに基づいてフィルタ係数
更新手段で前記適応フィルタのフィルタ係数を最急降下
法を用いて更新するようにした能動型騒音制御装置にお
いて、前記制御音源及びフィルタ手段に前記基準信号に
代えて掃引正弦波信号を供給する掃引信号供給手段と、
前記残留騒音検出手段で検出した掃引正弦波信号とフィ
ルタ手段でフィルタ処理された掃引正弦波信号とを比較
して、当該フィルタ手段のモデル空間伝達関数の適否を
判断する判断手段と、該判断手段でモデル空間伝達関数
が適正と判断され且つモデル空間伝達関数及び実空間伝
達関数にずれを生じているときにフィルタ係数の同定を
行う同定手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】ここで、判断手段としては、残留騒音検出
手段で検出した掃引正弦波信号とフィルタ部でフィルタ
処理された掃引正弦波信号との振幅差又は位相差が予め
設定した閾値以上であるか否かによってモデル空間伝達
関数の適否を判断することが望ましい。また、同定手段
としては、残留騒音検出手段で検出した掃引正弦波信号
とフィルタ部でフィルタ処理された掃引正弦波信号との
位相差及びゲイン差が夫々予め設定した範囲内にあると
き再同定を行うことが望ましい。
【0009】
【作用】請求項1に係る能動型騒音制御装置において
は、掃引信号供給手段で、掃引正弦波信号を前記制御音
源及びフィルタ手段に前記基準信号に代えて供給し、判
断手段で、残留信号検出手段で検出した実際の制御音源
及び残留騒音検出手段間の実空間伝達関数を含む掃引正
弦波信号と、フィルタ手段でフィルタ処理されたモデル
空間伝達関数を含む掃引正弦波信号とを比較することに
より、両正弦波信号間に予め設定された振幅閾値又は位
相閾値以上の振幅差又は位相差があるときに、モデル空
間伝達関数及び実空間伝達のずれによる異常であると判
断する自己診断を行う。
【0010】また、請求項2に係る能動型騒音制御装置
においては、上記作用に加えて、判断手段で適正である
と判断され且つモデル空間伝達関数及び実空間伝達関数
にずれを生じているときに同定手段によってモデル空間
伝達関数を同定することにより、両者のずれを解消す
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図3は、本発明を車両に適用した場合の一実施例
を示す概略構成図である。図3において、1は車体であ
って、車室2の前方に騒音源としての4気筒エンジン3
が配置されている。車室2内には、前部座席4F及び後
部座席4Rが配設されていると共に、例えばダッシュボ
ードの下部及び後部座席4Rの後方側に制御音源として
のオーディオ信号を出力する制御音源を兼ねるラウドス
ピーカ5a及び5bが配設され、さらに天井の前方、中
央及び後方部に夫々残留騒音検出手段としてのマイクロ
フォン6a,6b及び6cが配設されている。
【0012】また、エンジン3には、クランク角センサ
7が取付けられ、このクランク角センサ7からクランク
軸が180度回転する毎に1サイクルの正弦波信号でな
る騒音発生状態検出信号Xが出力される。さらに、車両
には自己診断を行う場合の正弦波信号を後述するコント
ローラ15からの制御信号CBによって発生するスウィ
ープジェネレータ8、同定を行う場合のホワイトノイズ
を同様にコントローラ15からの制御信号CCによって
発生するホワイトノイズ発生器9及び自己診断を開始す
るための自己診断スイッチ10が搭載されている。
【0013】そして、マイクロフォン6a〜6cから出
力される残留騒音検出信号e1 〜e 3 がコントローラ1
5に入力されると共に、クランク角センサ7の検出信号
X、スウィープジェネレータ8の正弦波信号、ホワイト
ノイズ発生器9のホワイトノイズ及び自己診断スイッチ
10のスイッチ信号もコントローラ15に入力される。
【0014】コントローラ15は、図4に示すように、
入力される基準信号XをA/D変換して出力するA/D
変換回路21と、マイクロフォン6a〜6cの残留騒音
検出信号e1 〜e3 を増幅する増幅器22a〜22c
と、これら増幅器22a〜22cの増幅出力をA/D変
換して出力するA/D変換回路23a〜23cと、スウ
ィープジェネレータ8の正弦波信号をA/D変換して出
力するA/D変換回路24と、ホワイトノイズ発生器9
のホワイトノイズをA/D変換して出力するA/D変換
回路25と、各A/D変換回路21,23a〜23c,
24,25の変換出力及び自己診断スイッチ10のスイ
ッチ信号が入力されるマイクロコンピュータ26と、こ
のマイクロコンピュータ26から出力されるラウドスピ
ーカ5a,5bの駆動信号y1,2 をD/A変換して出
力するD/A変換回路27a,27bと、これらD/A
変換回路27a,27bの出力、スウィープジェネレー
タ8の正弦波信号及びホワイトノイズ発生器9のホワイ
トノイズが入力され、これらをマイクロコンピュータ2
6からの制御信号CAによって選択するアナログマルチ
プレクサ28a,28bと、これらアナログマルチプレ
クサ28a,28bから出力されるアナログ信号を増幅
してラウドスピーカ5a,5bに供給する増幅器29
a,29bと、マイクロコンピュータ26から出力され
る表示データを表示する例えば液晶表示器で構成される
表示装置30とを備えている。
【0015】ここで、マイクロコンピュータ26は、常
時、順次更新されるフィルタ係数W miに基づいて基準信
号Xのたたみ込み演算を行ってラウドスピーカ5a,5
bに対する駆動信号y1,2 を算出する適応ディジタル
フィルタ処理と、基準信号Xに基づきマイクロフォン及
びスピーカ間の空間伝達関数の組合せ数に応じて、モデ
ル化したモデル空間伝達関数に対応するフィルタ係数で
フィルタ処理された基準信号rkm(後述する(6),(7) 式
参照)を生成するディジタルフィルタ処理と、このフィ
ルタ処理された基準信号rkmと残留騒音検出信号e1
3 とに基づき適応ディジタルフィルタ処理におけるフ
ィルタ係数WmiをLMS(Least Mean Square) アルゴリ
ズムを用いて更新するフィルタ係数更新処理とを実行す
ると共に、自己診断スイッチ10をオン状態とすること
により、自己診断処理及び必要に応じて同定処理を実行
する。
【0016】ここで、マイクロコンピュータ26の制御
原理を一般式を用いて説明する。今、第k番目のマイク
ロフォン6a〜6cが検出した残留騒音検出信号をek
(n)、ラウドスピーカ5a及び5bからの制御音(二次
音)が無いときの第k番目のマイクロフォン6a〜6c
が検出した残留騒音検出信号をept(n) 、第m番目のラ
ウドスピーカ5a及び5bと第k番目のマイクロフォン
6a〜6cとの間の伝達関数HkmをFIR(有限インパ
ルス応答)関数で表したときの第j番目(j=0,1,
2,──Ic - 1 )の項に対応するフィルタ係数をC
kmj ′、基準信号をX(n) 、この基準信号X(n) を入力
しm番目のラウドスピーカ5a及び5bを駆動する適応
ディジタルフィルタの第i番目(i=0,1,2,─I
F -1)の係数をWmiとすると、下記(2) 式が成立する。
【0017】 ここで、(n)が付く項は、いずれもサンプリング時
刻nのサンプル値であり、また、Kはマイクロフォン6
a〜6cの数(本実施例では3個)、Mはラウドスピー
カ5a及び5bの数(本実施例では2個)、IC はFI
Rディジタルフィルタで表現されたフィルタ係数Ckm
のタップ数(フィルタ次数)、IF は適応ディジタルフ
ィルタで表現されたフィルタ係数Wmiのタップ数(フィ
ルタ次数)である。
【0018】上記(2) 式中の右辺の「{ΣWmi・X(n-j
-i) }」(=ym )の項は、基準信号Xを適応ディジタ
ルフィルタ処理したときの出力を表し、「ΣCkmj
{ΣW mi・X(n-j-i) }」の項は第m番目のスピーカ5
a及び5bに入力された信号エネルギがこれらスピーカ
5a及び5bから音響エネルギとして出力され、車室内
の空間伝達関数Ckmを経て第k番目のマイクロフォン6
a〜6cに到達したときの信号を表し、さらに「ΣΣC
kmj ・{ΣWmi・X(n-j-i) }」の右辺第2項全体は、
第k番目のマイクロフォン6a〜6cへの到達信号を全
スピーカについて足し合わせているから、第k番目のマ
イクロフォン6a〜6cに到達する二次音の総和を表
す。
【0019】次いで、評価関数Jを下記(3) 式のように
置く。
【0020】 そして、本実施例では、LMSアルゴリズムを採用
し、評価関数Jを最小とするフィルタ係数Wmiを求め、
適応ディジタルフィルタ処理の各フィルタ係数Wmiを更
新する。最急降下法であるLMSアルゴリズムは、適応
ディジタルフィルタ処理のフィルタ係数としてn番目の
値Wmi(n)を用い、平均自乗誤差の勾配∂J/∂Wmi
算出し、これをα倍して(n+1)番目の値Wmi(n+1)
を求め、評価関数Jの値を小さくするように演算を実行
する。
【0021】この勾配∂J/∂Wmiの計算式は、(3) 式
より、
【0022】 そして、前記 (2)式より、
【0023】 となるので、
【0024】 ここで、(5) 式の右辺を、
【0025】 とおくと、フィルタ係数に対する評価関数の勾配∂J/
∂Wmiは、
【0026】 で表すことができる。
【0027】したがって、フィルタ係数の更新式は、重
み係数γk も含めた形で下記(9) 式で与えられる。
【0028】 ここで、αは収束係数であり、適応ディジタルフィル
タ処理が最適に収束する速度や、その際の安定性に関与
する。
【0029】このように、適応ディジタルフィルタ処理
におけるフィルタ係数Wmi(n+1) を、マイクロフォン6
a〜6cから出力される残留騒音検出信号e1(n)〜e
3(n) とクランク角センサ7からの基準信号X(n) とに
基づいてLMSアルゴリズムに従って順次更新すること
により、入力される残留騒音検出信号e1(n)〜e3(n)を
最小とする駆動信号y1(n)及びy2(n)が形成され、これ
らがラウドスピーカ5a及び5bに供給されて、これら
から出力される制御音によって車室2内の騒音が相殺さ
れる。
【0030】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ26の処理手順を示す図5のフローチャートを伴
って説明する。なお、全体のシステムはキースイッチが
オン状態となったときに、電源が投入され、マイクロコ
ンピュータ26で図5に示すタイマ割込処理を所定時間
(例えば1msec)毎に実行する。なお、電源投入時のメ
インプログラムによる初期化処理によって制御信号CA
が「00」に設定され、これによりアナログマルチプレ
クサ28a,28bによってマイクロコンピュータ26
から出力される駆動信号y1,2 が選択される。
【0031】すなわち、ステップS1で、自己診断モー
ドが設定されているか否かを判定する。この判定は、運
転席近傍に配設された自己診断スイッチ10がオン状態
であるか否かによって行い、自己診断スイッチ10がオ
フ状態であるときにはステップS2に移行して、図6に
示す通常騒音抑制制御処理を実行し、自己診断スイッチ
10がオン状態であるときにはステップS3に移行し
て、図7に示す自己診断処理を実行する。
【0032】通常騒音抑制制御処理は、図6に示すよう
に、先ずステップS21で残留騒音検出信号e1 〜e3
及び基準信号X(n) を読込み、次いでステップS22に
移行して、前記(7) 式に対応するディジタルフィルタ処
理を行ってフィルタ処理された基準信号rkmを算出し、
次いでステップS23に移行して算出されたフィルタ処
理された基準信号rkmと残留騒音検出信号e1 〜e3
に基づいて前記(9) 式に従ったフィルタ係数更新処理を
行ってフィルタ係数Wmi(n+1) を算出し、次いでステッ
プS24に移行して算出されたフィルタ係数Wmi(n+1)
をもとに適応ディジタルフィルタ処理を実行してラウド
スピーカ5a,5bに対する駆動信号y 1,2 を算出
し、次いでステップS25に移行して算出した駆動信号
1,2 をD/A変換回路27a,27bに出力してか
ら通常騒音抑制制御処理を終了し:タイマ割込処理を終
了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0033】また、自己診断処理は、図7に示すよう
に、先ずステップS31で制御信号CAを「01」に設
定することにより、アナログマルチプレクサ28a,2
8bの入力側を夫々スウィープジェネレータ8側に切換
え、次いでステップS32に移行して論理値“1”の制
御信号CBをスウィープジェネレータ8に出力して、こ
のスウィープジェネレータ8を起動してからステップS
33に移行して発振周波数設定値fをスウィープジェネ
レータ8に出力して、この発振周波数設定値fの掃引信
号XSを発生させる。
【0034】次いで、ステップS34に移行して、スウ
ィープジェネレータ8から出力される掃引正弦波信号X
S及びマイクロフォン6a〜6cで検出された残留騒音
検出信号e1 〜e3 を夫々読込み、次いでステップS3
5に移行して掃引正弦波信号XSをモデル空間伝達関数
km′をフィルタ係数とするディジタルフィルタ処理を
行ってフィルタ処理された正弦波信号r1m〜r3m(=C
km′×XS)を算出すると共に、各スピーカについての
フィルタ処理された正弦波信号を加算して、各マイクロ
フォン6a〜6cの残留騒音検出信号e1 〜e3 に対応
するフィルタ処理された正弦波信号r1 〜r3 を算出
し、次いでステップS36に移行して、フィルタ処理さ
れた正弦波信号r1 〜r3 及び残留騒音検出信号e1
3 の平均値Mr1〜Mr3及びMe1〜Me3を算出する。
【0035】次いで、ステップS37に移行して、下記
(10)〜(12)式の演算を行って対応する正弦波信号の平均
値Mrkと残留騒音検出信号の平均値Mekとの差値の絶対
値でなる平均偏差ΔDk を算出する。 ΔD1 =|Mr1−Me1| …………(10) ΔD2 =|Mr2−Me2| …………(11) ΔD3 =|Mr3−Me3| …………(12) 次いで、ステップS38に移行して、算出した平均偏差
ΔDk が予め設定した偏差閾値ΔS以上であるか否かを
判定する。この判定は、フィルタ処理された正弦波信号
k 及び実際のマイクロフォン6a〜6cで検出された
残留騒音検出信号ek の振幅差が大きい異常状態である
か否かを判定するものであり、ΔDk ≧ΔSであるとき
には、異常状態であると判断してステップS39に移行
し、表示装置30に不良表示データを出力して不良表示
を行ってから後述するステップS44に移行し、ΔDk
<ΔSであるときには正常状態と判断してステップS4
0に移行する。
【0036】このステップS40では、フィルタ処理さ
れた正弦波信号rk及び残留騒音検出信号ek の各零ク
ロス点を検出して両零クロス点間の時間差を計測すると
共に、計測した時間差に前記ステップS33で設定した
周波数fを乗算することにより、正弦波信号rk 及び残
留騒音検出信号ek 間の位相差Δθを波長数で求める。
【0037】次いで、ステップS41に移行して、算出
した位相差Δθが予め設定した位相閾値ΔθT 以上であ
るか否かを判定する。この判定は、本来正弦波信号rk
と残留騒音検出信号ek の位相はモデル空間伝達関数C
km′と実空間伝達関数Ckmとが一致しているはずである
が、両者に位相差を生じるのは両空間伝達関数にずれが
生じていることにほかならず、この位相差Δθが位相閾
値ΔθT 以上であるときには異常状態であると判断して
前記ステップS39に移行し、位相差Δθが位相閾値Δ
θT 未満であるときには正常状態であると判断してステ
ップS42に移行する。
【0038】このステップS42では、現在の周波数f
が予め設定した上限周波数fL を越えているか否かを判
定し、f≦fL であるときにはステップS43に移行し
て現在の周波数fに予め設定した周波数Δfを加算した
値を新たな周波数fとして更新してから前記ステップS
33に戻り、f>fL であるときには設定された消音周
波数域の全てにおいて正常であると判断してステップS
44に移行して、スウィープジェネレータ8を停止させ
てからステップS45に移行して「00」の制御信号C
Aをアナログマルチプレクサ28a,28bに出力し、
これらによって駆動信号y1,2 を選択してからステッ
プS46に移行する。
【0039】このステップS46では、位相差Δθが正
常な消音を行う場合の許容位相差Δθ1 以内であるか否
かを判定し、Δθ≦Δθ1 であるときには、効果的な消
音作用を行うことができる正常状態であると判断してス
テップS47に移行し、正弦波信号rK 及び残留騒音検
出信号ek のゲイン差ΔGが予め設定した許容ゲイン差
ΔG1 以内であるか否かを判定し、ΔG≦ΔG1 である
ときには、効果的な消音作用を行うことができる正常状
態であると判断してそのまま自己診断処理を終了して、
図5の処理に戻る。
【0040】また、ステップS46の判定結果がΔθ>
Δθ1 であるとき及びステップS47の判定結果がΔG
>ΔG1 であるときには、ステップS48に移行して位
相差Δθが同定によって修復可能な限界位相差Δθ2
越えているか否かを判定し、Δθ>Δθ2 であるときに
は修復不可能と判断してステップS49に移行して、表
示装置30に修復不能データを出力してこれを表示して
からそのまま自己診断処理を終了して、図5の処理に戻
り、Δθ≦Δθ2 であるときにはステップS50に移行
してゲイン差ΔGが同定によって修復可能な限界ゲイン
差ΔG2 を越えているか否かを判定し、ΔG>ΔG2
あるときには修復不可能と判断して前記ステップS49
に移行し、ΔG≦ΔG2 であるときには修復可能と判断
してステップS51に移行して同定処理を実行する。
【0041】この同定処理は、図8に示すように、先ず
ステップS52で「11」の制御信号CAをアナログマ
ルチプレクサ28a,28bに出力して、これらの入力
側をホワイトノイズ発生器9側に切換える。次いで、ス
テップS53に移行して、論理値“1”の制御信号CC
をホワイトノイズ発生器9に出力して、これを起動して
からステップS54に移行する。
【0042】このステップS54では、各マイクロフォ
ン6a〜6cからの残留騒音検出信号e1 〜e3 を読込
むと共に、ホワイトノイズ発生器9からのホワイトノイ
ズXWを読込み、次いでステップS55に移行して、前
述した図7のステップS35の処理と同様に、ホワイト
ノイズXWをモデル空間伝達関数Ckm′をフィルタ係数
とするディジタルフィルタ処理を行うことにより、フィ
ルタ処理されたホワイトノイズ信号r1m〜r3m(=
km′×XW)を算出すると共に、各スピーカ5a,5
bに突いてのフィルタ処理されたホワイトノイズ信号を
加算して、各マイクロフォン6a〜6cの残留騒音検出
信号e1 〜e3 に対応するフィルタ処理されたホワイト
ノイズ信号r1 〜r3 を算出する。
【0043】次いで、ステップS56に移行して、実際
のスピーカ5a,5bとマイクロフォン6a〜6c間の
空間伝達関数を含む残留騒音検出信号e1 〜e3 からフ
ィルタ処理されたホワイトノイズ信号r1 〜r3 を減算
して両者の偏差ε1 〜ε3 を算出する。次いで、ステッ
プS57に移行して、下記(13)式の演算を行って、ステ
ップS55のディジタルフィルタ処理におけるフィルタ
係数Ckm′を算出し、算出したフィルタ係数Ckm′を更
新してからステップS58に移行する。
【0044】 Ckm′(n+1) =Ckm′(n) −α・εkm(n) ・X(n-i) …………(13) このフィルタ係数更新式は、ディジタルフィルタ処理の
フィルタ係数Ckm′の評価関数Jを下記(14)式のように
置き、LMSアルゴリズムを採用して、評価関数Jを最
小とするフィルタ係数Ckm′を求める。 J=E{εk (n)2} …………(14) 但し、E{ }は期待値である。
【0045】そして、時刻nでのフィルタ係数Ckm′の
値Ckm′(n) で評価関数Jを微分した値即ち勾配に比例
した量をCkm′(n) から減算することで、フィルタ係数
km′(n) を逐次更新することにより、評価関数Jを最
小とする目標フィルタ係数C opt に近づいて行く。具体
的には、 となり、LMSアルゴリズムでは期待値の代わりにεk
(n) X(n-i) の瞬時値をそのまま使うことにより、前記
(13)式のフィルタ係数Ckm′(n)を得ることができる。
【0046】ステップS58では、フィルタ係数Ckm
を更新するための前記(13)式の右辺第2項即ちフィルタ
係数に対する評価関数Jの勾配(αεk (n) XW(n-i)
)が所定値ΔJ以下となって評価関数Jが最小となる
目標フィルタ係数Copt に達したか否かを判定し、αε
k (n) XW(n-i) ≧ΔJであるときには、フィルタ係数
km′(n) が目標フィルタ係数Copt に達していないも
のと判断して、前記ステップS54に戻り、αεk (n)
XW(n-i) <ΔJであるときには、目標フィルタ係数C
opt に達して同定が完了したものと判断してステップS
59に移行し、論理値“0”の制御信号CCをホワイト
ノイズ発生器9に出力して、このホワイトノイズ発生器
9を停止状態とし、次いでステップS60に移行して
「00」の制御信号CAをアナログマルチプレクサ28
a,28bに出力して、その入力側を駆動信号y1,2
側としてから同定処理を終了して図7の処理に戻る。
【0047】ここで、図6のステップS22の処理がフ
ィルタ手段に対応し、ステップS23の処理がフィルタ
係数更新手段に対応し、ステップS24,S25の処理
が適応フィルタ処理に対応し、図7のステップS31〜
34,S42〜S45の処理及びスウィープジェネレー
タ8,アナログマルチプレクサ28a,28bが掃引信
号供給手段に対応し、図7のステップS46〜S51及
び図8のステップS52〜S60の処理が同定手段に対
応している。
【0048】したがって、今、自己診断スイッチ10が
オフ状態であるものとすると、図5の処理において、ス
テップS1からステップS2に移行して図6の通常騒音
抑制制御が実行される。このため、ラウドスピーカ5
a,5b及びマイクロフォン6a〜6cに劣化がなく、
これら間の実際の空間伝達関数Ckmとディジタルフィル
タ処理におけるモデル空間伝達関数Ckm′とが略一致し
ている正常状態であるものとすると、マイクロコンピュ
ータ26でLMSアルゴリズムに従って適応デジタルフ
ィルタ処理におけるフィルタ係数を順次更新して、評価
関数Jが最小となるようにラウドスピーカ5a,5bに
対する駆動信号y1,2 が算出され、これがD/A変換
回路27a,27b及びアナログマルチプレクサ28
a,28bを介してラウドスピーカ5a,5bに供給さ
れる。このため、ラウドスピーカ5a,5bから駆動信
号y1,2 に応じた制御音が発せられ、これが騒音と干
渉することにより、マイクロフォン6a〜6cの残留騒
音検出信号e1 〜e3 が最小となるように消音制御され
る。
【0049】消音制御状態から例えば運転席近傍に配設
された自己診断スイッチ10をオン状態とすると、図5
の処理が開始されたときにステップS1で自己診断モー
ドであると判断されるので、ステップS3に移行し、図
7の自己診断処理が実行される。このため、先ずアナロ
グマルチプレクサ28a,28bの入力側がスウィープ
ジェネレータ8側に切換えられ(ステップS31)、こ
の状態で、スウィープジェネレータ8が起動されて、予
め設定された下限周波数域の掃引正弦波信号XSが出力
され(ステップS32,S33)、この掃引正弦波信号
XSがアナログマルチプレクサ28a,28b、増幅器
29a,29bを介してラウドスピーカ5a,5bに供
給されて、これが電気音響変換されて出力され、マイク
ロフォン6a〜6cに入力され、これらマイクロフォン
6a,6b及び6cからこれらとラウドスピーカ5a,
5bとの間の空間伝達関数Ckmを含む残留騒音検出信号
1 (=C11・XS+C12・XS),e2 (=C21・X
S+C22・XS)及びe3 (=C31・XS+C32・X
S)が出力され、これらがA/D変換器23a〜23c
を介してマイクロコンピュータ26に入力されると共
に、スウィープジェネレータ8の掃引正弦波信号XSが
A/D変換器24でディジタル値に変換されてマイクロ
コンピュータ26に入力される。
【0050】このため、掃引正弦波信号XSをディジタ
ルフィルタ処理することにより、実際のラウドスピーカ
5a,5bとマイクロフォン6a〜6cとの間の実空間
伝達関数Ckmをモデル化したモデル空間伝達関数Ckm
を含む正弦波フィルタ信号r 1 〜r3 が算出される(ス
テップS35)。そして、入力された残留騒音検出信号
1 〜e3 及び算出された正弦波フィルタ信号r1 〜r
3 を夫々平均化して平均値Mr1〜Mr3及びMe1〜Me3
算出し(ステップS36)、互いに対応する両者の平均
偏差ΔD1 〜ΔD3 を算出する(ステップS37)。
【0051】ここで、ラウドスピーカ5a,5bとマイ
クロフォン6a〜6cとの間の実空間伝達関数Ckmと、
ディジタルフィルタ処理におけるモデル空間伝達関数C
km′とが略一致している正常状態では、残留騒音検出信
号e1 〜e3 と掃引正弦波信号XSをディジタルフィル
タ処理した掃引正弦波フィルタ信号r1 〜r3 とはそれ
らの振幅及び位相が略一致しているので、ステップS3
7で算出される入力された残留騒音検出信号e1 〜e3
及び算出された正弦波フィルタ信号r1 〜r3 の振幅差
を表す平均偏差が零に近い値となってステップS38で
ΔDk <ΔDT と判断されてステップS40に移行し、
ここで算出される位相差Δθも零に近い値となるので、
ステップS42、ステップS43を経てステップS33
に戻ることにより、スウィープジェネレータ8から次の
掃引周波数域の掃引正弦波信号XSを出力して上記動作
を繰り返し、全ての周波数域における診断が終了したと
きには、スウィープジェネレータ8を停止させる(ステ
ップS44)と共に、アナログマルチプレクサ28a,
28bを駆動信号y1,2 側に切換える(ステップS4
5)。
【0052】その後、ステップS46以降の同定処理を
行うが、実空間伝達関数Ckmと、モデル空間伝達関数C
km′とが略一致している正常状態では、前述したように
残留騒音検出信号e1 〜e3 と掃引正弦波信号XSをデ
ィジタルフィルタ処理した掃引正弦波フィルタ信号r1
〜r3 との振幅差及び位相差が略零であるので、図8の
同定処理を行うことなく自己診断処理を終了する。
【0053】ところが、車室2内の温度変化等によって
実空間伝達関数Ckmとモデル空間伝達関数Ckm′とに僅
かなずれが生じたときには、残留騒音検出信号e1 〜e
3 と掃引正弦波信号XSをディジタルフィルタ処理した
掃引正弦波フィルタ信号r1 〜r3 との振幅差ΔDk
び位相差Δθk が多少大きくなるが、振幅閾値ΔDT
び位相閾値ΔθT よりは小さい状態では、ステップS3
8及びステップS41では正常状態と判断されが、ステ
ップS46〜S48,S50の処理では同定可能と判断
されるので、ステップS51に移行して、図8の同定処
理が行われる。この同定処理では、先ずアナログマルチ
プレクサ28a,28bをホワイトノイズ発生器9側に
切換えてから(ステップS52)、ホワイトノイズ発生
器9を起動してホワイトノイズ信号XWを発生させる。
これにより、ホワイトノイズ信号XWがアナログマルチ
プレクサ28a,28b及び増幅器29a,29bを介
してラウドスピーカ5a,5bに供給され、これらラウ
ドスピーカ5a,5bからホワイトノイズが出力され、
これらが各マイクロフォン6a〜6cで集音されて、こ
れらマイクロフォン6a〜6cから残留騒音検出信号e
1 〜e3 が出力され、これらがA/D変換器23a〜2
3cでディジタル値に変換されてマイクロコンピュータ
26に入力される。
【0054】このため、マイクロコンピュータ26で
は、ホワイトノイズ発生器9から出力されA/D変換器
25でディジタル値に変換されたホワイトノイズ信号X
Wを、モデル空間伝達関数Ckm′をフィルタ係数とする
ディジタルフィルタ処理を行ってフィルタ処理されたマ
イクロフォン6a〜6cの残留騒音検出信号e1 〜e3
に対応するホワイトノイズフィルタ信号r1 〜r3 を算
出する(ステップS55)。次いで、入力される残留騒
音検出信号e1 〜e3 と算出されたホワイトノイズフィ
ルタ信号r1 〜r3 との偏差ε1 〜ε3 を算出し(ステ
ップS56)、これら偏差ε1 〜ε3 をもとに前述した
(13)式の演算を行うことにより、ステップS55のディ
ジタルフィルタ処理におけるフィルタ係数Ckm′を更新
し、上記動作を評価関数Jに対するフィルタ係数Ckm
の勾配が設定値ΔJ以下となって評価関数が最小となる
目標フィルタ係数Copt に達するまで繰り返し実行さ
れ、目標フィルタ係数Copt に達すると、ホワイトノイ
ズ発生器9を停止させると共に、アナログマルチプレク
サ28a,28bを駆動信号y1,2 側に復帰させて同
定処理を終了する。
【0055】さらに、ラウドスピーカ5a,5b又はマ
イクロフォン6a〜6cの特性が劣化することなどによ
り、実空間伝達関数Ckmとモデル空間伝達関数Ckm′と
に大きなずれが生じたときには、残留騒音検出信号e1
〜e3 と掃引正弦波信号XSをディジタルフィルタ処理
した掃引正弦波フィルタ信号r1 〜r3 とが図9に示す
ように、大きな振幅差ΔDk と位相差Δθk を生じ、こ
れらの何れか一方が振幅閾値ΔDT 又は位相閾値ΔθT
以上となると、ステップS38又はステップS41から
ステップS39に移行することになり、ラウドスピーカ
5a,5b又はマイクロコンピュータ6a〜6cの交換
等を促す不良表示データが表示装置30に出力されて、
不良表示が行われ、次いでステップS46以降の同定処
理に移行し、位相差Δθ又はゲイン差ΔGが同定可能な
上限値Δθ2 又はΔG2 を越えているか否かを判定し、
位相差Δθ及びゲイン差ΔGが同定可能な上限値Δθ2
及びΔG2 以下であるときには、同定可能と判断してス
テップS51に移行して前述した図8の同定処理によっ
てモデル空間伝達関数Ckm′を再同定するが、位相差Δ
θ又はゲイン差ΔGが同定可能な上限値Δθ2 又はΔG
2 を越えているときには、同定不能と判断してステップ
S49に移行して同定不能によりラウドスピーカ5a,
5b又はマイクロフォン6a〜6cの劣化部品を交換す
ることを促す同定不能表示データを表示装置30に出力
して、同定不能表示を行う。
【0056】なお、上記第1実施例においては、自己診
断処理を行った後に、同定処理を行う場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、自己診断処理
と同定処理とを分離して行うようにしてもよい。次に、
本発明の第2実施例を図10及び図11について説明す
る。この第2実施例は、モデル空間伝達関数Ckm′の適
否判断を、位相差Δθk 及び振幅を表す平均偏差ΔDk
で行う場合に代えて、掃引正弦波信号に応じた残留騒音
検出信号ek 及び掃引正弦波信号をモデル空間伝達関数
km′に応じたフィルタ係数のディジタルフィルタ処理
した掃引正弦波フィルタ信号rk との偏差に基づいてモ
デル空間伝達関数Ckm′の適否を判断するようにしたも
のである。
【0057】すなわち、図10に示すように、図7の自
己診断処理におけるステップS36〜S38及びS4
0,S41の処理に代えて、残留騒音検出信号e1 〜e
3 からステップS35で算出したフィルタ処理した掃引
正弦波フィルタ信号r1 〜r3 を夫々減算して両者の偏
差ε1 〜ε3 を算出するステップS61と、算出した偏
差ε1 〜ε3 の絶対値とって全波整流処理を行うステッ
プS62と、この全波整流値を例えばローパスフィルタ
処理によって移動平均して移動平均値εM を算出するス
テップS63と、算出した移動平均値εM が予め設定し
た閾値εT 以上であるか否かを判定するステップS64
とを設け、このステップS64の判定結果がεM ≧εT
であるときに、モデル空間伝達関数Ckm′が異常である
と判断して前記ステップS39に移行して表示装置30
で不良表示を行い、εM<εT であるときにモデル空間
伝達関数Ckm′が正常であると判断して前記ステップS
42に移行する。
【0058】この第2実施例によると、実空間伝達関数
kmとモデル空間伝達関数Ckm′とが略一致して、残留
騒音検出信号ek とフィルタ処理した掃引正弦波フィル
タ信号rk とが略一致しているときには、両者の偏差ε
k が略零となるので、ステップS64で正常と判断する
ことができ、実空間伝達関数Ckmとモデル空間伝達関数
km′とがずれて、残留騒音検出信号ek とフィルタ処
理した掃引正弦波フィルタ信号rk とに、例えば図11
で実線図示のように、位相差を生じている場合には、両
者の偏差εk が破線図示のように位相差に応じた振幅の
正弦波となる。このため、これを全波整流して平均値ε
M を算出したときに、これが閾値εT を越えるとステッ
プS64で異常と判断されて不良表示が行われ、前述し
た第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】なお、上記各実施例では、制御音源として
ラウドスピーカを適用した場合について説明したが、こ
れに限定されるものではなく、振動子を適用することも
でき、また残留騒音検出手段としてのマイクロフォンも
加速度振動センサを適用することもできる。また、上記
各実施例においては、自己診断スイッチ10をオン状態
としたときに自己診断モードとなる場合について説明し
たが、これに限らず、イグニッションスイッチのオン・
オフ時、或いは所定時間毎に自己診断処理を行うように
してもよい。
【0060】さらに、ラウドスピーカ及びマイクロフォ
ンの設置数は上記実施例に限定されるものではなく、1
以上の任意数とすることができる。さらにまた、上記各
実施例ではエンジン騒音を抑制する場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、車輪に路面から
の振動入力を検出してロードノイズを抑制したり、窓ガ
ラスの振動を検出して風切り音を抑制したりすることが
でき、これらの複合音を抑制することもできる。
【0061】また、上記各実施例では、マイクロコンピ
ュータ26で、適応ディジタルフィルタ処理、モデル空
間伝達関数に応じたフィルタ係数のディジタルフィルタ
処理を行う場合について説明したが、これらに代えて独
立した適応ディジタルフィルタ及びディジタルフィルタ
を適用することもできる。さらに、上記各実施例では本
発明を車両に適用した場合について説明したが、これに
限定されるものではなく、航空機の室内の騒音低減の場
合等にも適用できる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る能
動型騒音制御装置によれば、制御音源及び残留騒音検出
手段間の実際の空間伝達関数をモデル化したモデル空間
伝達関数を使用して能動型騒音制御を行う場合に、モデ
ル空間伝達関数の適否を、掃引正弦波信号を制御音源に
供給することにより音響信号として出力し、これを残留
騒音検出手段で検出した検出信号と、掃引正弦波信号を
モデル空間伝達関数をフィルタ係数とするフィルタ手段
で処理したフィルタ出力とを比較して判断することによ
り、自己診断することができ、制御音源又は残留騒音検
出手段等の騒音抑制制御系の特性劣化による異常を確実
に検出することができる効果が得られる。
【0063】また、請求項2に係る能動型騒音制御装置
によれば、上記効果に加えて、モデル空間伝達関数のず
れを検出したときに、同定手段によってモデル空間伝達
関数を同定するようにしたので、モデル空間伝達関数の
ずれを修正して、最適な消音制御を行うことができる効
果も得られる。さらに、請求項3に係る能動型騒音制御
装置によれば、判断手段が、残留騒音検出手段で検出し
た掃引正弦波信号とフィルタ手段でフィルタ処理された
掃引正弦波信号との振幅差が予め設定した振幅閾値以上
であるか否かによってモデル空間伝達関数の適否を判断
するように構成されているので、騒音抑制制御系の特性
劣化によるモデル空間伝達関数の適否を複雑な演算を用
いることなく容易且つ正確に判断することができる。
【0064】さらにまた、請求項4に係る能動型騒音制
御装置によれば、判断手段が残留騒音検出手段で検出し
た掃引正弦波信号とフィルタ手段でフィルタ処理された
掃引正弦波信号との位相差が予め設定した位相閾値以上
であるか否かによってモデル空間伝達関数の適否を判断
するように構成されているので、温度変化等によるモデ
ル空間伝達関数の適否を複雑な演算を用いることなく容
易且つ正確に判断することができる。
【0065】また、請求項5に係る能動型騒音制御装置
によれば、残留騒音検出手段で検出した掃引正弦波信号
とフィルタ手段でフィルタ処理された掃引正弦波信号と
の位相差及びゲイン差が夫々予め設定した範囲内にある
とき再同定を行うようにしており、同定によってフィル
タ手段のモデル空間伝達関数を表すフィルタ係数の更新
したときに、正常状態に復帰可能なときのみ同定を行う
ので、同定不能時には騒音抑制制御系の特性劣化部品の
交換を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図2】本発明の基本構成を示す他の機能ブロック図で
ある。
【図3】本発明の第1実施例の概略構成図である。
【図4】第1実施例のコントローラのブロック図であ
る。
【図5】第1実施例のフローチャートである。
【図6】第1実施例の通常騒音抑制処理を示すフローチ
ャートである。
【図7】第1実施例の自己診断処理を示すフローチャー
トである。
【図8】第1実施例の同定処理を示すフローチャートで
ある。
【図9】第1実施例の動作の説明に供する波形図であ
る。
【図10】本発明の第2実施例における自己診断処理を
示すフローチャートである。
【図11】第2実施例の動作の説明に供する波形図であ
る。
【符号の説明】
5a,5b ラウドスピーカ 6a〜6c マイクロフォン 8 スウィープジェネレータ 9 ホワイトノイズ発生器 10 自己診断スイッチ 15 コントローラ 26 マイクロコンピュータ 28a,28b アナログマルチプレクサ 30 表示装置

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基準信号発生手段からの騒音源の騒音発
    生状態に応じた基準信号を適応フィルタ手段を介して制
    御音源に入力し、当該制御音源から送出される音圧と周
    囲の騒音音圧との合成音圧を残留騒音検出手段で検出
    し、前記基準信号を制御音源及び残留騒音検出手段間の
    空間伝達関数をモデル化したモデル空間伝達関数をフィ
    ルタ係数とするフィルタ手段でフィルタ処理した信号と
    前記残留騒音検出信号とに基づいてフィルタ係数更新手
    段で前記適応フィルタのフィルタ係数を最急降下法を用
    いて更新するようにした能動型騒音制御装置において、
    前記制御音源及びフィルタ手段に前記基準信号に代えて
    掃引正弦波信号を供給する掃引信号供給手段と、前記残
    留騒音検出手段で検出した掃引正弦波信号とフィルタ手
    段でフィルタ処理された掃引正弦波信号とを比較して、
    当該フィルタ手段のモデル空間伝達関数の適否を判断す
    る判断手段とを備えたことを特徴とする能動型騒音制御
    装置。
  2. 【請求項2】 基準信号発生手段からの騒音源の騒音発
    生状態に応じた基準信号を適応フィルタ手段を介して制
    御音源に入力し、当該制御音源から送出される音圧と周
    囲の騒音音圧との合成音圧を残留騒音検出手段で検出
    し、前記基準信号を制御音源及び残留騒音検出手段間の
    空間伝達関数をモデル化したモデル空間伝達関数をフィ
    ルタ係数とするフィルタ手段でフィルタ処理した信号と
    前記残留騒音検出信号とに基づいてフィルタ係数更新手
    段で前記適応フィルタのフィルタ係数を最急降下法を用
    いて更新するようにした能動型騒音制御装置において、
    前記制御音源及びフィルタ手段に前記基準信号に代えて
    掃引正弦波信号を供給する掃引信号供給手段と、前記残
    留騒音検出手段で検出した掃引正弦波信号とフィルタ手
    段でフィルタ処理された掃引正弦波信号とを比較して、
    当該フィルタ手段のモデル空間伝達関数の適否を判断す
    る判断手段と、該判断手段でモデル空間伝達関数が適正
    と判断され且つモデル空間伝達関数及び実空間伝達関数
    にずれを生じているときにフィルタ係数の同定を行う同
    定手段とを備えたことを特徴とする能動型騒音制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記判断手段は、残留騒音検出手段で検
    出した掃引正弦波信号とフィルタ手段でフィルタ処理さ
    れた掃引正弦波信号との振幅差が予め設定した振幅閾値
    以上であるか否かを判定すること特徴とする請求項1又
    は2記載の能動型騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 前記判断手段は、残留騒音検出手段で検
    出した掃引正弦波信号とフィルタ手段でフィルタ処理さ
    れた掃引正弦波信号との位相差が予め設定した位相閾値
    以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項1
    乃至3の何れかに記載の能動型騒音制御装置。
  5. 【請求項5】 前記同定手段は、残留騒音検出手段で検
    出した掃引正弦波信号とフィルタ手段でフィルタ処理さ
    れた掃引正弦波信号との位相差及びゲイン差が夫々予め
    設定した範囲内にあるとき再同定を行うことを特徴とす
    る能動型騒音制御装置。
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