JP2001051703A - 周期性信号の適応制御方法 - Google Patents

周期性信号の適応制御方法

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JP2001051703A
JP2001051703A JP11221712A JP22171299A JP2001051703A JP 2001051703 A JP2001051703 A JP 2001051703A JP 11221712 A JP11221712 A JP 11221712A JP 22171299 A JP22171299 A JP 22171299A JP 2001051703 A JP2001051703 A JP 2001051703A
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JP11221712A
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Hiroyuki Ichikawa
浩幸 市川
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御対象の外的条件の変化等に適正に対処
し、収束安定性の高くかつ安価な周期性信号の適応制御
方法を提供する。 【解決手段】 適応フィルタ32のフィルタ係数の更新
期間において、フィルタ係数の更新値(Δa,Δ
φ)あるいはその平均値が予め規定された基準値(Δ
th,Δφth)より大きくなったとき、推定伝達関
数36のデータの更新を行うもので、この推定伝達関数
のデータの更新を、適応フィルタのフィルタ係数の更新
と、所定時間間隔で交互に行うようにした。また、推定
伝達関数のデータを更新の際に、パルス信号の周波数が
急激に変動する周波数急変時には、推定伝達関数のデー
タの更新を中断し、適応制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、車両等において発生する
各種振動や騒音を除去するための能動的振動等である周
期性信号の適応制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種騒音や振動等に対するアクティブキ
ャンセルシステムとして適応デジタルフィルタ技術が利
用されており、例えば時間領域において畳み込み演算に
基づき制御信号を演算し、模擬伝達関数を考慮して適応
フィルタへの入力信号を計算し設定するFiltere
dーX LMSアルゴリズム(以下、FXーLMSアル
ゴリズムと記す)や、これの演算量を削減する目的で開
発され、仮想入力信号を制御装置内部で生成することに
より、畳み込み演算を不要とした遅延調和シンセサイザ
最小平均自乗フィルタ(DXHS LMSフィルタ)を
用いた適応アルゴリズム(以下、DXHSアルゴリズム
と記す)が知られている。
【0003】ところで、上記FXーLMSアルゴリズム
やDXHSアルゴリズムの安定制御のための収束条件に
対し、現実にはこれを満たし得ない場合がある。例え
ば、制御系の出力し得る加振力が、制御対象となる振動
や騒音を相殺するに十分な大きさであっても、出力を逆
位相とするための位相調整が適切に行われなければ、振
動や騒音を十分に低減させることはできない。
【0004】従来のアルゴリズムは、予め信号伝達系の
伝達特性を推定伝達特性として演算上で考慮することに
より、本来の制御特性を発揮するものである。特に、推
定伝達特性に含まれる位相情報は重要であり、その値が
実際の伝達位相特性に対し−90゜〜+90゜の範囲を
越えると、適応フィルタはこれに適応することができず
適正制御状態に収束しないばかりか、むしろ発散状態に
なって振動や騒音を悪化させることもある。実際の伝達
特性と推定伝達特性とは、例えば車両等においては、短
期間であればそれほど大きな差異を生じることはない
が、車体の経時変化、環境温度、乗員数等の種々の外的
条件を考慮すると、これら外的条件により適応範囲を越
えた誤差が含まれてくることがある。伝達関数の測定
は、一般には制御が行われるシステムの停止時にランダ
ム信号加振あるいは周波数掃引加振に対する応答を測定
することにより行われる。ここで制御対象となるシステ
ムが、伝達関数が変化した時点で、その測定に付随する
ノイズの発生ならびに測定のための所要時間を許容する
場合はよいが、自動車等ではかかる条件は許容されな
い。すなわち、自動車の運転中に制御を停止して、伝達
関数の測定のためのノイズを発生させるようなことは好
ましくないのである。
【0005】これに対して、適応制御によるフィルタ係
数の更新と同時に、伝達関数の変動をオンラインで補償
する方法が行われている。例えば図7に示すように、振
動発生源からの制御対象である入力信号xを適応フイル
タW1で処理し、処理された信号yに入力信号xと周波
数の異なる周期性付加信号sを重畳し、伝達系G2を通
過した遅延信号zに外乱fを加えた検出信号に基づきエ
ラー信号eを定める。このエラー信号eと、予め規定さ
れた制御対象の推定伝達関数3により入力信号xを振幅
及び位相処理した伝達関数処理信号とに基づいてデジタ
ルフィルタ4により適応フィルタ1を逐次適応により更
新し、更新した適応フィルタ1により振動伝達特性を制
御する。同時に、固定的に設定していた推定伝達関数3
を伝達関数5により適応的に検出信号の変化に合わせて
変更することができる。その結果、推定伝達系位相誤差
が従来の制御アルゴリズムでは収束不能とされるほど大
きくなっても、これを適正に是正することにより安定性
のよい適応制御を行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記制御方法
の場合、適応制御と推定伝達関数の変更を同時に行うこ
とにより、制御装置の演算量が増大するため、制御装置
に高価なCPUが必要になるという問題がある。また、
高価なCPUを用いないとすると、制御サンプリングク
ロックを低く設定しなければならず、制御の精度が低下
することになる。本発明は、上記した問題を解決しよう
とするもので、制御対象の外的条件の変化等に適正に対
処し、収束安定性の高い制御を安価に行うことができる
周期性信号の適応制御方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、振動発
生源からの周期性のパルス信号に基づく入力信号を、適
応フィルタの振幅補償係数及び位相補償係数の関数であ
るフィルタ係数により振幅及び位相補償を行い、その出
力信号が制御対象系の伝達関数を通過した後、伝達関数
を通過した遅延信号と振動発生源からの外力を加算し、
加算の結果である誤差と、制御対象系において予め規定
された推定伝達関数により入力信号を振幅及び位相処理
した推定伝達関数処理信号とに基づいてデジタルフィル
タにより適応フィルタのフィルタ係数の逐次更新を行う
ものであり、遅延信号により外力を抑制するようにした
周期性信号の適応制御方法において、適応フィルタのフ
ィルタ係数の更新期間中に、フィルタ係数の更新値ある
いはその平均値が予め規定された基準値より大きくなっ
たとき、推定伝達関数のデータの更新を行うこととし、
さらに推定伝達関数のデータの更新と適応フィルタによ
るフィルタ係数の更新とを、所定時間間隔で交互に行う
ようにしたことにある。
【0008】上記のように構成した請求項1の発明にお
いては、適応フィルタによるフィルタ係数の更新期間中
において、フィルタ係数の更新値あるいはその平均値が
予め規定された基準値より大きくなったとき、推定伝達
関数のデータを更新が開始され、かつ適応フィルタによ
るフィルタ係数の更新と、所定時間間隔で交互に行われ
るため、演算量が適応制御時に比べてほとんど増大する
ことがない。
【0009】また、上記請求項2に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項1に記載の周期性信号の適応制御方
法において、パルス信号の周波数が急激に変動する周波
数急変時には、推定伝達関数のデータの更新を中止する
ようにしたことにある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明すると、図1は、同実施形態に係る振動除去
システムを適用した自動車の一部を模式図により概略的
に示したものであり、図2は、振動除去システムにおけ
る能動振動を示す周期性信号の適応制御系をブロック図
により示したものである。また、図3及び図4は、この
適応制御系を構成する適応制御部22と、推定伝達関数
更新部23をブロック図により示したものである。
【0011】自動車Mは、図1に示すように、車体10
内のエンジン11の下方にアクチュエータ搭載エンジン
マウント(以下、エンジンマウントと記す)12を搭載
している。エンジンマウント12は、ケース内の上部に
エンジン11を防振支持する防振ゴムを設け、下方にエ
ンジン11の動的変位を電気的に制御するアクチュエー
タ13を備えている。エンジン11のクランク軸には、
回転パルスセンサ14が設けられており、回転パルスセ
ンサ14は、クランク軸回転パルス信号を出力し、これ
に基づいて後述する制御部21は、出力信号の基本周波
数を決定する。また、運転席15の下部にはピックアッ
プ加速センサ16が設けられており、ピックアップ加速
センサ16は、エラー信号を出力し、またシステムの位
相特性を予め測定して出力する。
【0012】振動除去システムを電気的に制御する制御
装置20は、マイクロコンピュータ等よりなる制御部2
1を備えており、制御部21は、その一部に適応制御部
22と伝達関数更新部23を備えている。適応制御部2
2と伝達関数更新部23は、後述する第1及び第2スイ
ッチ37,39のオンオフによって切り替えられるよう
になっている。この制御部21は、図5及び図6のフロ
ーチャートに示す「伝達関数データ更新制御プログラ
ム」を実行するものである。制御部21の入力側には、
上記回転パルスセンサ14及びピックアップ加速センサ
16が接続されている。また、制御部21の出力側に
は、パワーアンプ17を介して上記アクチュエータ13
が接続されている。
【0013】適応制御部22は、振動発生源からのパル
ス信号qに基づいて、同一周波数の正弦波信号xに変換
して出力する周波数判定部31と、適応フィルタ(AD
F)W32と、作用点33aを介して制御対象系の伝達
関数34と、さらに作用点33b,33cを介して適応
フィルタW32を更新する更新適応フィルタ35とを設
け、また、信号入力側に適応フィルタ32と並列に推定
伝達関数36が設けられ、その出力側が更新適応フィル
タW35に接続されている。作用点33aには、後述す
る付加信号sの入力線が接続されている。作用点33b
にはノイズである外力fの入力線が接続されている。作
用点33cには目標値設定dの入力線が接続されてい
る。さらに、周波数判定部31の出力側の共通線には線
路を開閉する第1スイッチ37が設けられている。
【0014】一方、伝達関数更新部23は、入力信号と
は角周波数の異なる付加信号sの信号入力側から順次推
定伝達関数36を更新する伝達関数38と、伝達関数3
8からの出力線及び作用点33b,33c間からの信号
線を結ぶ作用点33dを設けており、作用点33dから
信号線が伝達関数38に戻されている。さらに、付加信
号s入力側の共通の入力線には線路を開閉する第2スイ
ッチ39が設けられている。ここで、付加信号sは、制
御部21に付設した付加信号発生装置24により生成さ
れる。
【0015】そして、適応制御部22の伝達関数34の
出力側は、信号線が分岐しており、分岐線には、更新値
判定部41とスイッチ制御部42が順次接続されてい
る。スイッチ制御部42の出力側は、上記第1及び第2
スイッチ37,39に接続されている。更新値判定部4
1は、出力信号の振幅a及び位相φの更新値が、予め規
定され制御部21のROMに記憶された基準値(Δa
th,Δφth)を超えているか否かを判定し、判定信
号をスイッチ制御部42に出力するものである。当初
は、上記更新値(Δa,Δφ)が基準値(Δ
th,Δφth)を越えることはないので、スイッチ
制御部42により、上記第1スイッチ37はオン、第2
スイッチ39はオフにされており、通常の適応制御のみ
が行われる状態になっている。そして、上記更新値Δa
が基準値Δathを超えると、スイッチ制御部42
は、第1スイッチ37と第2スイッチ39を、適応制御
のクロック信号の1クロック毎に交互にオンオフさせる
ように制御を行う。1クロックは、通常数10msec
程度に設定されている。
【0016】つぎに、上記適応制御系のアルゴリズムに
ついて、適応制御部22と伝達関数更新部23に分けて
説明する。図2において第1スイッチ37がオン、第2
スイッチ39がオフにされたときは、適応制御部22の
みが機能するようになっており、この場合について図3
により説明する。適応制御部22における制御対象であ
る入力信号xは、下記数1で与えられる。信号xは、演
算過程で数値として生成・処理される信号であり、外部
から得られる信号ではなく、制御対象信号の同期信号と
なる外部入力信号、ここではエンジンのクランク角信号
により算出されるものである。外部入力信号としては、
その他イグニッションパルス信号等が用いられる。
【0017】
【数1】x=Xexp(jωt)
【0018】ここで、jは虚数単位、ω=2παは制御
対象角周波数、αは周波数、tは時刻を表すものとし、
以下同じである。適応フィルタW32は、1つの周波数
成分に対して1つが用意され、振幅補償項a、位相補償
項φの2つの変数により下記数2に示すように構成され
ている。
【0019】
【数2】W=[a,φ]T
【0020】ただし、[ ,]Tは転置行列を示す。入
力信号xは、適応フィルタWにより振幅補償及び位相補
償され、下記数3に示す信号yとして出力される。
【0021】
【数3】y=aXexp[j(ωt+φ)]
【0022】つぎに、伝達関数34において、ゲインA
ω、位相遅れΦωの伝達関数Gωが適用され、下記数4
に示す遅延信号zとして出力される。伝達関数Gωは、
予めインパルス応答測定か、周波数掃引加振試験等で得
られたものである。伝達関数Gωは、^を冠して表記さ
れる推定伝達関数36が制御プログラム内で周波数に関
してマップ化されて適応フィルタの更新時に引用され
る。
【0023】
【数4】
【0024】そして、遅延信号zは、作用点33bにて
例えば車両におけるエンジン振動等の外乱fが加算さ
れ、観測値としてセンサにより検出される。振動制御に
おいては、センサの検出値の目標値は0であり、作用点
33cにて目標d=0との差がエラー信号eとなる。エ
ラー信号eは更新適応フィルタ35に戻され、係数を修
正し無制御状態に適応フィルタを収束させないようにし
て、適応フィルタW32が勾配法により逐次更新され
る。評価関数Jは、エラー信号eの二乗で表され下記数
5に示すとおりである。勾配▽は、評価関数を適応フィ
ルタWで偏微分することにより得られるもので下記数6
によって表される。また、適応更新式は下記数7によっ
て示される。
【0025】
【数5】J=e2 =(d−f−z)2
【0026】
【数6】
【0027】
【数7】Wn+1 =Wn +μ(−▽)
【0028】なお、数6で、ゲインAω及び位相遅れФ
ωの上部に付した「^」は、推定値であることを意味す
るものである。数7で、μはステップサイズパラメータ
で、適応システムの性能を決定するパラメータである。
nは、サンプリング順位(時刻)である。上記数6及び
数7により、数8に示すように適応更新式Wが得られ
る。
【0029】
【数8】
【0030】なお、μa は振幅のステップサイズパラメ
ータであり、μp は位相のステップサイズパラメータで
ある。ここで、Aω及びaは、φ、Фωの調整により
正または0とすることができるので、ステップサイズパ
ラメータμa 、μp を適宜選択することにより、数8
は、下記数9に示すように簡略にされる。
【0031】
【数9】
【0032】数9に基づいて振動制御を行うためには、
制御対象系の伝達関数の位相特性を事前に推定しておく
必要がある。
【0033】つぎに、図2において第1スイッチ37が
オフ、第2スイッチ39がオンにされたときは、伝達関
数更新部23のみが機能するようになっており、この場
合について図4により説明する。伝達関数更新部23で
は、付加信号発生装置24で生成される制御対象である
付加信号sは、下記数10で与えられる。付加信号sの
角周波数ω′は、制御対象角周波数ωとは異なってお
り、付加信号sに対する推定伝達関数の出力vは、数1
1で与えられる。
【0034】
【数10】s=Sexp(jω′t)
【0035】
【数11】
【0036】推定伝達関数Gω′(上部に付す^を省略
する)は、1つの周波数成分に対して1つが用意され、
ゲインAω′、位相遅れΦω′の2つの変数により下記
数12に示すように構成されている。
【0037】
【数12】Gω′=[Aω′,Φω′]T
【0038】ただし、[,]Tは転置行列を示す。出力
vを振動伝達系の応答uに一致させることが伝達特性制
御の目的であるが、応答uを測定することは不可能なの
で外乱f′と加わってセンサ等により検出されるため、
評価関数J′は、数13のように表される。なお、ε
は、図4に示すエラー信号である。
【0039】
【数13】J′=ε2 =(u+f′−v)2
【0040】勾配▽′は、評価関数J′を推定伝達関数
Gω′(上部に付す^を省略する)で偏微分することに
より得られるもので下記数14によって表される。ま
た、適応更新式は下記数15によって示される。
【0041】
【数14】
【0042】
【数15】
【0043】なお、数14で、ゲインAω′及び位相遅
れФω′の上部に付した「^」は、推定値であることを
意味するものである。数15で、μ′はステップサイズ
パラメータで、適応システムの性能を決定するパラメー
タである。そして、数14及び数15を用いることによ
り、下記数16に示すように推定伝達特性の適応更新式
が得られる。
【0044】
【数16】
【0045】なお、μa′は振幅のステップサイズパラ
メータであり、μp′は位相のステップサイズパラメー
タである。ここで、ゲインAω′は、位相Фω′の調整
により常に正または0にできるので、数16を下記数1
7のように簡略化することができる。
【0046】
【数17】
【0047】数16、数17から明らかなように、推定
伝達特性の算出においては、事前の特性調査の必要がな
く、ステップサイズパラメータμa′、μp′を適正な値
に設定しておくことにより、推定伝達特性を逐次的に求
める値に収束させることができる。
【0048】つぎに、上記のように構成した実施形態の
動作について説明する。制御部21は、イグニッション
スイッチのオンに応じて「伝達関数データ更新制御プロ
グラム」の実行を開始し、各種変数の初期設定を行うと
共に、適応制御と伝達関数変更制御を区別するフラグT
OFを「0」にする(ステップ60,61)。フラグT
OFは、「0」で適応制御を示し、「1」で伝達関数変
更制御を示すものとする。さらに、第1スイッチ37が
オン及び第2スイッチ39がオフにされる(ステップ6
2)。
【0049】回転パルスセンサ14のパルス入力信号s
を受けてその制御周波数f(k=1〜k)が決定さ
れる(ステップ63,64)。つぎに、制御周波数f
におけるフィルタ係数の基準値(Δath,Δφth
が読み出され、フィルタ係数の更新値(Δa,Δ
φ)が基準値(Δath,Δφth)より大きくなっ
ているか否かが判定される(ステップ65〜67)。更
新値(Δa,Δφ)が基準値(Δath,Δ
φth)より小さい場合は、推定伝達関数36の変動が
小さく、その変動の適応制御に対する影響が少ないとい
うことである。従って、推定伝達関数36の更新の必要
がないので、ステップ67において「NO」と判定され
てプログラムはステップ68に移され、フラグTOFが
「0」にセットされ、さらにフィルタ係数が(a,φ
)に更新され、出力信号yが出力された後(ステップ
69,70)、プログラムはステップ63に戻される。
すなわち、フィルタ係数の更新値(Δa,Δφ)が
基準値(Δath,Δφth)より小さい場合は、ステ
ップ63〜70が繰り返され、通常の適応制御のみが行
われる。
【0050】ここで、大きな温度変化があったり、また
径時変化により自動車の伝達関数34が変動すると、そ
の影響でフィルタ係数の更新値(Δa,Δφ)が基
準値(Δath,Δφth)より大きくなる。これに応
じて、ステップ67において「YES」と判定されてプ
ログラムはステップ71に移され、適応制御のサンプリ
ング信号の「0」,「1」に対応して、フラグTOFが
「0」,「1」になるように変更される。このとき、第
1及び第2スイッチ37,39は初期状態になってい
る。フラグTOFが「0」のときは、適応制御がそのま
ま行われるもので、ステップ72にて「YES」との判
定の基に、プログラムはステップ73に移され、フィル
タ係数は(a,φ)に更新され、出力信号yが出力
された後(ステップ73,74)、プログラムはステッ
プ63に戻される。
【0051】フラグTOFが「1」になると、伝達関数
変更制御が行われるもので、ステップ72にて「NO」
との判定の基に、プログラムはステップ75に移され
る。ここで、車両の急な加減速により,周波数が大きく
変化したような場合には、伝達関数34は変化していな
くてもフィルタ係数(a,φ)が変更されるため、
このような場合に推定伝達関数36を変更することは不
適当である。従って、車両の急加減速のような場合に
は、ステップ75にて「YES」との判定の基に、プロ
グラムはステップ76に移され、フラグTOFが「0」
にセットされ、さらにフィルタ係数が(a,φ)に
更新され、出力信号yが出力された後(ステップ77,
78)、プログラムはステップ63に戻される。
【0052】車両の急加減速がないような場合には、ス
テップ75にて「NO」との判定の基に、プログラムは
ステップ79に移され、第1スイッチ37がオフに、第
2スイッチ39がオンに切り替えられる。さらに、エラ
ー信号εの値に応じて、推定伝達関数G36の更新が上
記したように行われ、更新された推定伝達関数G36は
記憶された値と書き替えられる(ステップ80,8
1)。さらに、第1スイッチ37がオン及び第2スイッ
チ39がオフにされる(ステップ82)。その後、プロ
グラムはステップ63に戻され,新たなパルス信号の入
力処理から開始され、フィルタ係数の更新値(Δa
Δφ)が基準値(Δath,Δφth)より小さくな
るまでステップ63〜82の処理が繰り返し実行され
る、これにより更新値が基準値より小さくなると、推定
伝達関数の変更制御は終了し、ステップ67にて「N
O」との判定の基にプログラムはステップ68〜70を
経てステップ63に戻され、新たな処理が開始される。
【0053】以上に説明したように、本実施形態によれ
ば、適応フィルタ32のフィルタ係数(a,φ)の更新
期間中において、フィルタ係数の更新値(Δa,Δφ
)あるいはその平均値が予め規定された基準値(Δa
th,Δφth)より大きくなったとき、推定伝達関数
36のデータを更新がオンラインで開始され、かつ適応
フィルタ32のフィルタ係数の更新と所定時間間隔で交
互に行われるため、演算量が適応制御時に比べてほとん
ど増大することがない。そのため,演算容量の大きい高
価な制御装置を用いる必要がないので、推定伝達関数3
6のデータ更新を、安価な制御コストで行うことができ
る。
【0054】また、自動車の急加減速時のような振動発
生源からのパルス信号の周波数が急激に変動する周波数
急変時には、推定伝達関数36のデータの更新を中断す
るようにしたことにより、不必要な推定伝達関数の更新
を防止できる。
【0055】なお、上記実施形態では、適応制御として
DXHSアルゴリズムを採用しているが、その他FX−
LMSアルゴリズム等を用いることもできる。また、本
発明を自動車のエンジンマウントの能動制御に適用して
いるが、これに限らず他の制御対象の振動、騒音制御に
用いることもできる。
【0056】
【発明の効果】上記請求項1の発明によれば、推定伝達
関数のデータのオンラインでの更新における演算量が適
応制御時に比べてほとんど増大することがないため,演
算容量の大きい高価な制御装置を用いる必要がないの
で、推定伝達関数のデータ更新を、安価な制御コストで
行うことができる。また、請求項2の発明によれば、振
動発生源からのパルス信号の周波数が急激に変動する周
波数急変時には、推定伝達関数のデータの更新を中断す
るようにしたことにより、不必要な推定伝達関数の更新
を排除できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である周期性信号の適応制御
系を適用した自動車の一部を概略的に示す模式図であ
る。
【図2】同適応制御系を示すブロック図である。
【図3】同適応制御系の適応制御部を示すブロック図で
ある。
【図4】同適応制御系の伝達関数更新部を示すブロック
図である。
【図5】図1に示す制御部により実行される「伝達関数
データ更新制御プログラム」を示すフローチャートの一
部である。
【図6】図1に示す制御部により実行される「伝達関数
データ更新制御プログラム」を示すフローチャートの一
部である。
【図7】従来例である適応制御系を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
11…エンジン、12…エンジンマウント、13…アク
チュエータ、14…回転パルスセンサ、16…ピックア
ップ加速センサ、20…制御装置、21…制御部、22
…適応制御部、23…伝達関数更新部、31…周波数判
定部、32…適応フィルタ(ADF)、33a,33
b,33c,33d…作用点、34…制御対象系伝達関
数、35…更新適応フィルタ、36…推定伝達関数、3
7…第1スイッチ、38…伝達関数、39…第2スイッ
チ、41…更新値判定部、42…スイッチ制御部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動発生源からの周期性のパルス信号に
    基づく入力信号を、適応フィルタの振幅補償係数及び位
    相補償係数の関数であるフィルタ係数により振幅及び位
    相補償を行い、その出力信号が制御対象系の伝達関数を
    通過した後、該伝達関数を通過した遅延信号と前記振動
    発生源からの外力を加算し、該加算の結果である誤差
    と、制御対象系において予め規定された推定伝達関数に
    より前記入力信号を振幅及び位相処理した推定伝達関数
    処理信号とに基づいてデジタルフィルタにより前記適応
    フィルタのフィルタ係数の逐次更新を行うものであり、
    前記遅延信号により前記外力を抑制するようにした周期
    性信号の適応制御方法において、 前記適応フィルタのフィルタ係数の更新期間中に、該フ
    ィルタ係数の更新値あるいはその平均値が予め規定され
    た基準値より大きくなったとき、前記推定伝達関数のデ
    ータの更新を行うこととし、さらに該推定伝達関数のデ
    ータの更新と前記適応フィルタによるフィルタ係数の更
    新とを、所定時間間隔で交互に行うようにしたことを特
    徴とする周期性信号の適応制御方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の周期性信号の適応
    制御方法において、 前記パルス信号の周波数が急激に変動する周波数急変時
    には、前記推定伝達関数のデータの更新を中止するよう
    にしたことを特徴とする周期性信号の適応制御方法。
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