JPH05158487A - 能動型騒音制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置

Info

Publication number
JPH05158487A
JPH05158487A JP3320345A JP32034591A JPH05158487A JP H05158487 A JPH05158487 A JP H05158487A JP 3320345 A JP3320345 A JP 3320345A JP 32034591 A JP32034591 A JP 32034591A JP H05158487 A JPH05158487 A JP H05158487A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noise
signal
vehicle body
adaptive
change state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3320345A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3328946B2 (ja
Inventor
Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
Kenichiro Muraoka
健一郎 村岡
Mitsuhiro Doi
三浩 土井
Akio Kinoshita
明生 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP32034591A priority Critical patent/JP3328946B2/ja
Publication of JPH05158487A publication Critical patent/JPH05158487A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3328946B2 publication Critical patent/JP3328946B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)
  • Exhaust Silencers (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 騒音源から評価点までの伝達関数の変化に係
わらず小型の装置で適正な制御を可能とする。 【構成】 騒音に干渉させる制御音を発生して評価点の
騒音低減を図る制御音源と、前記干渉後の所定位置の残
留騒音を検出する手段と、騒音源の騒音発生状態に関す
る信号を検出する手段と、前記騒音発生状態の検出信号
を所定のフィルタ係数によってフィルタ処理し前記制御
音源を駆動する信号を出力する適応ディジタルフィルタ
と、前記残留騒音検出手段の出力信号と騒音発生状態検
出手段の出力信号とに基づき所定の制御アルゴリズムを
用いて前記残留騒音検出手段の出力信号を低減するよう
に前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を逐次更
新する適応制御器とを備え、前記騒音源から評価点まで
の伝達関数の変化状態を予測する手段と、前記予測した
変化状態が所定状態を上回るか否かを判断する手段と、
前記変化状態が所定状態を上回ると判断されたときに前
記判断手段から出力される信号を受け前記適応制御器の
適応動作を停止する手段又は前記制御音源を停止する手
段の少なくとも一方とを設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の車室や航空
機の客室等の騒音を能動的に低減する能動型騒音制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の能動型騒音制御装置とし
ては、例えば英国公開特許公報第2149614号記載
の図15に示すようなものがある。
【0003】この従来装置は適応信号処理装置によって
構成され、航空機の客室やこれに類する閉空間に適用さ
れるもので、閉空間101内にラウドスピーカ103
a,103b,103cおよびマイクロホン105a,
105b,105c,105dを備えており、ラウドス
ピーカ103a,103b,103cによって騒音に干
渉させる制御音を発生し、マイクロホン105a,10
5b,105c,105dによって残差信号(残留騒
音)を測定するようになっている。これらラウドスピー
カ103a,103b,103c、マイクロホン105
a,105b,105c,105dは信号処理機107
に接続されており、信号処理機107は基本周波数測定
手段によって測定した騒音源の基本周波数とマイクロホ
ン105a,105b,105c,105dからの入力
信号とを受けとり、閉空間101内の音圧レベルを最小
にするようラウドスピーカ103a,103b,103
cに駆動信号を出力するものである。
【0004】図16は上記能動型騒音制御装置を自動車
に適用した場合につき概念的に示したブロック図であ
る。
【0005】なお、説明を簡単にするためラウドスピー
カ103、及びマイクロホン105はそれぞれ1個ずつ
設けられているものとする。
【0006】今、騒音源からマイクロホン105までの
車両伝達系の伝達関数をGとし、ラウドスピーカ103
からマイクロホン105までの伝達関数をCとし、騒音
源が発生する音源情報信号をXp とすると、マイクロホ
ン105で観測される残留騒音としての信号Eは、 E=Xp ・G+Xp ・W・C となる。ここでWは消音するために必要な伝達関数であ
る。消音対象点(マイクロホン105の位置)におい
て、騒音が完全に打ち消された時E=0となる。この時
Wは、 W=−G・C-1 となる。即ち、車両において車室内に伝達される騒音
(1次音)をラウドスピーカ103から出力される制御
音(2次音)によって相殺するためには、車両伝達系の
伝達関数Gに対してW・Cが等価の伝達関数となる必要
がある。そして、マイク検出信号Eが最小となるWを求
め、このWに基づいて信号処理器107内の適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数Wを適応的に更新する。
【0007】マイク検出信号Eを最小にするようフィル
タ係数Wを求める手法として最急降下法の一種であるL
MSアルゴリズム(Least Mean Squar
e)等を用いている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで車両の騒音と
しては、エンジン音、振動、サスペション振動に基づく
エンジン騒音、ロードノイズ等種々のものが存在する。
ここでエンジン騒音の場合はその信号が単純な正弦波で
あるため、信号処理器107内の適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数Wは前記信号の位相と振幅を表現する
のみでよい。このため、信号処理器107の演算負荷が
小さく、エンジン回転数変化によって周波数が逐次変化
する場合であっても、フィルタ係数Wが迅速、かつ適格
に更新されるものとなる。
【0009】しかしながら、騒音がサスペンション振動
に伴うロードノイズである場合には、その信号が極めて
複雑なものとなり、信号処理に困難を伴なうものとな
る。
【0010】すなわち、ロードノイズの場合、Gの伝達
特性を表現するインパルス応答は図17に示すような残
響特性を持った信号となり、ディジタル信号処理におい
ては、このインパルス応答関数の畳み込み演算を行なう
ことになるため、フィルタ係数WはGと同様な残響特性
を持たせる必要がある。従って、Wを正確に表現するデ
ィジタルフィルタはフィルタ係数が非常に多くなり、フ
ィルタ処理に際してはこれらのフィルタ係数を時系列的
に逐次更新して行かなければならない。
【0011】ここで、車両伝達系の伝達関数Gが走行中
に変化しないものであれば、信号処理器107がひとた
び目標波形の信号を出力すればフィルタ係数Wの更新動
作は不要となる。しかし、現実にはサスペンションの撓
み、介在するブッシュ類の非線形性等により、図17
(a),(b)のように様々な条件でGは変化し、これ
に追従してフィルタ係数Wも更新させる必要がある。
【0012】従って、フィルタ係数Wの更新数が膨大と
なり、信号処理器107の演算負荷が極めて大きなもの
となる。
【0013】この場合、信号処理器107が十分な容量
を有していれば、急加速や急ブレーキ等による車体姿勢
変化でGに急激な変化があっても次から次へと入力され
る様々なサスペンション振動に対して高速で演算するこ
とができ、フィルタ係数Wの更新を十分追従させること
ができる。反面、信号処理器107の容量が十分なもの
でなければ、Gの急激な変化があった場合に次から次へ
と入力されるサスペンション振動に対してフィルタ係数
Wの更新を十分に追従させることはできない。
【0014】このため、ロードノイズの騒音低減のよう
に、ランダムな信号が次から次へと入力される場合に、
Gの急激な変化に対し全てのフィルタ係数の更新を十分
に追従させて更新するには極めて大きな容量の信号処理
器107が必要となり、装置が著しく大型になるという
問題がある。
【0015】そこでこの発明は装置の小型化を図りなが
ら追従性を損なわない能動型騒音制御装置の提供を目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、騒音に干渉させる制御音を発生
して評価点の騒音低減を図る制御音源と、前記干渉後の
所定位置の残留騒音を検出する手段と、騒音源の騒音発
生状態に関する信号を検出する手段と、前記騒音発生状
態の検出信号を所定のフィルタ係数によってフィルタ処
理し前記制御音源を駆動する信号を出力する適応ディジ
タルフィルタと、前記残留騒音検出手段の出力信号と騒
音発生状態検出手段の出力信号とに基づき所定の制御ア
ルゴリズムを用いて前記残留騒音検出手段の出力信号を
低減するように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数を逐次更新する適応制御器とを備え、前記騒音源か
ら評価点までの伝達関数の変化状態を予測する手段と、
前記予測した変化状態が所定状態を上回るか否かを判断
する手段と、前記変化状態が所定状態を上回ると判断さ
れたときに前記判断手段から出力される信号を受け前記
適応制御器の適応動作を停止する手段又は前記制御音の
停止手段の少なくとも一方とを設けたことを特徴とす
る。
【0017】請求項2の発明は、騒音に干渉させる制御
音を発生して評価点の騒音低減を図る制御音源と、前記
干渉後の所定位置の残留騒音を検出する手段と、騒音源
の騒音発生状態に関する信号を検出する手段と、前記騒
音発生状態の検出信号を所定のフィルタ係数によってフ
ィルタ処理し前記制御音源を駆動する信号を出力する適
応ディジタルフィルタと、前記残留騒音検出手段の出力
信号と騒音発生状態検出手段の出力信号とに基づき所定
の制御アルゴリズムを用いて前記残留騒音検出手段の出
力信号を低減するように前記適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を逐次更新する適応制御器とを備え、前記
騒音源から評価点までの伝達関数の変化状態を予測する
手段と、前記伝達関数の変化状態に応じた複数の補正値
を予め記憶した手段と、前記予測した変化状態に応じて
前記補正値を選択し前記制御音源への駆動信号を補正す
る手段とを設けたことを特徴とする。
【0018】請求項3の発明は、請求項1又は2記載の
能動型騒音制御装置であって、前記伝達関数の変化状態
予測手段の予測は、車体の姿勢変化状態を検出する手段
の検出信号に基づくことを特徴とする。
【0019】請求項4の発明は、請求項3記載の能動型
騒音制御装置であって、前記車体の姿勢変化状態検出手
段は、車体の所定位置に備えられ車体の加速度を検出す
る車体加速度センサであることを特徴とする。
【0020】請求項5の発明は、請求項3記載の能動型
騒音制御装置であって、前記車体の姿勢変化状態検出手
段は、エンジンのスロットル開度量を検出するスロット
ル開度センサであることを特徴とする。
【0021】請求項6の発明は、請求項3記載の能動型
騒音制御装置であって、前記車体の姿勢変化状態検出手
段は、ブレーキの踏み込み量を検出するブレーキセンサ
であることを特徴とする。
【0022】請求項7の発明は、請求項3記載の能動型
騒音制御装置であって、前記車体の姿勢変化状態検出手
段は、ステアリングの舵角および角速度を検出する舵角
及び角速度センサであることを特徴とする。
【0023】
【作用】請求項1の発明では、騒音源の騒音発生状態に
関する信号を騒音発生状態検出手段が検出し、適応ディ
ジタルフィルタは騒音発生状態の検出信号を所定のフィ
ルタ係数によってフィルタ処理し制御音源を駆動する信
号を出力する。これによって制御音源は騒音に干渉させ
る制御音を発生して評価点の騒音低減を図ることができ
る。
【0024】この時、適応制御器は残留騒音検出手段の
出力信号と騒音発生状態検出手段の出力信号とに基づ
き、所定の制御アルゴリズムを用いて残留騒音検出手段
の出力信号を低減するように適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を逐次更新する。
【0025】そして、予測手段が騒音源から評価点まで
の伝達関数の変化状態を予測し、判断手段が前記予測し
た変化状態が所定状態を上回るか否かを判断し、上回る
と判断された時、判断手段から出力される信号を停止手
段が受け適応制御器の適応動作を停止し、制御を停止す
る。
【0026】請求項2の発明では、記憶手段が伝達関数
の変化状態に応じた複数の補正値を予め記憶しており、
補正手段が予測手段の予測した変化状態に応じて補正値
を選択し適応ディジタルフィルタが出力する制御音源の
駆動信号を補正する。
【0027】請求項3の発明では、騒音源から評価点ま
での伝達関数の変化状態を姿勢変化状態検出手段が検出
する車体の姿勢変化状態によって予測することができ
る。
【0028】請求項4の発明では、車体加速度センサが
検出する車体の加速度によって車体の姿勢変化状態を検
出することができる。
【0029】請求項5の発明では、スロットル開度セン
サによって検出するエンジンのスロットル開度量によっ
て車体の姿勢変化状態を検出することができる。
【0030】請求項6の発明では、ブレーキセンサが検
出するブレーキの踏み込み量によって車体の姿勢変化状
態を検出することができる。
【0031】請求項7の発明では、舵角及び加速度セン
サが検出するステアリングの舵角及び加速度によって車
体の姿勢変化状態を検出することができる。
【0032】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0033】なお説明は車室内空間を例として行う。
【0034】第1実施例 図1はこの発明の第1実施例を示す概略図である。
【0035】図1のように車体1は前輪2a,2b、後
輪2c,2dによって支持され、前輪2a,2bは車体
1の前部に配置されたエンジン4によって回転駆動さ
れ、いわゆる前置きエンジン前輪駆動車を構成してい
る。
【0036】前記車室内の騒音は、例えば路面の凹凸に
伴うサスペンション振動が騒音源となっており、騒音発
生状態検出手段としては、サスペンション振動を検出す
るためサスペンションのスピンドル近傍に設けられたサ
スペンション加速度検出器5a〜5dが用いられてい
る。そして、これらサスペンション加速度検出器5a〜
5dからの出力信号(路面からサスペンションへ入力さ
れる路面振動信号)が車室内騒音に相関のある信号(加
速度信号x)とされている。
【0037】また、車体1内の音響閉空間としての車室
6内には制御音源としてラウドスピーカ7a,7b,7
c及び7dがそれぞれ前席S1,S2、及び後席S3,
S4に対向するドア部に配置されている。
【0038】さらに各座席S1〜S4のヘッドレスト位
置にそれぞれ残留騒音検出手段としてのマイクロホン8
a〜8hが配設されている。
【0039】これらマイクロホン8a〜8hに入力され
る車室6内の残留騒音は、その音圧に応じた電気信号と
してノイズ信号e1 〜e8 が出力される構成となってい
る。
【0040】前記サスペンション加速度検出器5a〜5
d及びマイクロホン8a〜8hの出力信号はコントロー
ラ10に個別に供給されるように構成されている。この
コントローラ10から出力される駆動信号y1 〜y4
個別にラウドスピーカ7a〜7dに供給され、これらス
ピーカ7a〜7dから車室6内に音響信号(制御音)が
出力される構成となっている。
【0041】前記コントローラ10は図2に示すよう
に、第一ディジタルフィルタ12、第二ディジタルフィ
ルタ(適応ディジタルフィルタ)13、マイクロプロセ
ッサ(適応制御器)16を備えている。そして、サスペ
ンション加速度検出器5a〜5dから入力される加速度
信号xはA/D変換器11によってディジタル信号に変
換され、基準信号xとして第一ディジタルフィルタ12
及び適応ディジタルフィルタ13に入力される構成とな
っている。
【0042】また、前記マイクロホン8a〜8hの出力
信号であるノイズ信号e1 〜e8 は、アンプ14a〜1
4hによって増幅され、A/D変換器15a〜15hに
よってA/D変換され、前記第一ディジタルフィルタ1
2の出力信号と共にマイクロプロセッサ16に入力され
る構成となっている。
【0043】ここで、前記第一ディジタルフィルタ12
は、加速度信号xを入力し、前記マイクロホン8a〜8
h及びスピーカ7a〜7d間の伝達関数の組合せ数に応
じてフィルタ処理された基準信号rlm(後述する第
(4),(5)式参照)を生成するものである。
【0044】前記適応ディジタルフィルタ13は機能的
にはスピーカ7a〜7dへの出力チャンネル数に応じた
フィルタを個々に有し、加速度信号xを入力し、その時
点で設定されているフィルタ係数(後述する(5)式参
照)に基づき適応信号処理(フィルタ処理)を行ってス
ピーカ駆動信号y1 〜y4を出力するものである。
【0045】前記適応ディジタルフィルタ13から出力
される駆動信号y1〜y4 はD/A変換器17a〜17
dによってD/A変換され、アンプ18a〜18dを介
してラウドスピーカ7a〜7dに出力される構成となっ
ている。
【0046】前記マイクロプロセッサ16は前記ノイズ
信号e1 〜e8 並びにフィルタ処理された基準信号rlm
を入力し、適応ディジタルフィルタ13の出力信号が目
標の信号波形となるようにフィルタ係数を最急降下法の
一種であるLMSアルゴリズムを用いて逐次更新する構
成となっている。従って、マイクロプロセッサ16は残
留騒音検出手段の出力信号と騒音発生状態検出手段の出
力信号とに基づき所定の制御アルゴリズムを用いて前記
残留騒音検出手段であるマイクロホン8a〜8hの出力
信号を低減するように前記適応ディジタルフィルタ13
のフィルタ係数Wを逐次更新する手段を構成している。
【0047】一方、この発明の一実施例では図2のよう
に車体加速度センサ21、判断回路23、及び適応停止
スイッチ25、制御音停止スイッチ26を備えている。
【0048】前記車体加速度センサ21は車体1の姿勢
変化状態を検出する手段を構成するもので、急加速時や
急ブレーキ時等の車体1の姿勢変化状態を検出して判断
回路23へ出力するものである。そして、車体1に姿勢
変化が起こるとサスペンションの撓みや介在するブッシ
ュ類の非線形性等により騒音源とマイクロホン8a乃至
8hとの間の伝達関数Gが変化するため、車体の姿勢変
化状態の検出値、即ち、車体加速度センサ21による検
出値を判断回路23で判断することによって騒音源から
マイクロホン8a乃至8hまでの伝達関数Gの変化状態
を予測することができる。
【0049】従って、車体加速度センサ21及び判断回
路23は伝達関数の変化状態を予測する手段を構成して
いる。
【0050】なお、前記車体加速度センサ21は図1,
図3のように備えられている。図3は全体構成を判りや
すくするため車体1を側面から見た状態の構成を概略的
にブロック化したもので、ラウドスピーカ、マイクロホ
ン、サスペンション加速度センサの個数及び配置箇所は
異なっているが、実質的に同一のものを代表して示して
いる。そして、前記車体加速度センサ21はその車体1
の所定位置として、例えば、エンジンルーム内等に設け
られているものである。
【0051】図2,図3のように、前記判断回路23は
伝達関数Gの予測した変化状態が所定状態を上回るか否
かを判断する手段を構成するもので、例えば、急加速や
急ブレーキ時に伝達関数Gが短時間に大きく変化する場
合に、停止スイッチ25,26へ信号を出力するように
なっている。
【0052】前記適応停止スイッチ25は、前記判断回
路23からの出力信号を受け適応制御器の適応動作を停
止する手段を構成するもので、スイッチOFFによって
マイクロプロセッサ16と適応ディジタルフィルタ13
との間の回路を断つものである。
【0053】前記制御音停止スイッチ26は、前記判断
回路23からの出力信号を受け適応フィルタの入力を遮
断するものでスイッチOFFによって制御音を停止する
ものである。
【0054】図4は、この発明の一実施例を更に判り易
くするため図2を簡略化し、適応ディジタルフィルタ1
3及びマイクロプロセッサ16と車体加速度センサ2
1、判断回路23及び停止スイッチ25,26との関係
をブロック化したものである。
【0055】ここで、コントローラ10の騒音低減制御
原理を一般式を用いて説明する。
【0056】今、l番目のマイクロホンが検出したノイ
ズ信号をel (n)、ラウドスピーカ7a〜7dからの
制御音(二次音)が無いときのl番目のマイクロホンが
検出した残留騒音検出信号をepl(n)、m番目のラウ
ドスピーカとl番目のマイクロホンとの間の伝達関数
(FIR(有限インパルス応答)関数)HlmのJ番目
(J=0,1,2,…,Ic −1)[Ic は定数]に対
応するフィルタ係数をClm j 、基準信号をX(n)、基
準信号を入力しm番目のラウドスピーカを駆動する適応
フィルタのi番目(i=0,1…Ik −1)[Ikは定
数]の係数をWmiとすると、
【数1】 が成立する。ここで、(n)がつく項は、何れもサンプ
リング時刻nのサンプル値であり、また、Mはラウドス
ピーカの数(本実施例では4個)、Ic はFIRディジ
タルフィルタで表現されたフィルタ係数Clmのタップ数
(フィルタ次数)、Ik は適応フィルタのフィルタ係数
miのタップ数(フィルタ次数)である。
【0057】上式(1)中、右辺の「ΣWmix(n−j
−i)」(=ym )の項は適応ディジタルフィルタ13
に基準信号xを入力したときの出力を表し、「ΣClmj
{ΣWmix(n−j−i)}」の項はm番目のスピーカ
に入力された信号エネルギがこれらスピーカから音響エ
ネルギとして出力され、車室6内の伝達関数Clmを経て
l番目のマイクロホンに到達したときの信号を表し、更
に、「Σ ΣClmj {ΣWmix(n−j−i)}」の右
辺全体は、l番目のマイクロホンへの到達信号を全スピ
ーカについて足し合わせているから、l番目のマイクロ
ホンに到達する制御音の総和を表す。
【0058】ついで評価関数(最小にすべき変数)Je
を、
【数2】 とおく。ここで、Lはマイクロホンの数(本実施例では
8個)である。
【0059】そして、評価関数Jeを最小にするフィル
タ係数Wmiを求めるために、本実施例ではLMSアルゴ
リズムを採用する。つまり、評価関数Jeを各フィルタ
係数Wmiについて偏微分した値で当該フィルタ係数Wmi
を更新する。そこで、(2)式より、
【数3】 となるが、(1)式より、
【数4】 となるから、この(4)式右辺をrlm(n−i)とおけ
ば、フィルタ係数の書換え式は重み係数γl も含めた形
で以下の(5)式により得られる。
【0060】
【数5】 ここで、αは収束係数であり、フィルタが最適に収束す
る速度や、その際の安定性に関与する。なお、収束係数
αを本実施例では一つの定数のように扱っているが、各
フィルタ毎に異なる収束係数(αmi)とすることもでき
るし、また重み係数γl を一緒に取り込んだ係数
(αl )として演算することもできる。
【0061】次に図5,図6のフローチャートを用いて
作用を説明する。
【0062】図5は、スピーカ駆動信号を出力するため
のフローチャートであり、図6は、適応ディジタルフィ
ルタ13のフィルタ係数更新のためのフローチャートで
ある。
【0063】まず、図5においてステップS51では、加
速度検出信号を入力する。すなわち、加速度検出器5a
〜5dから入力される加速度検出信号は、周波数−電圧
変換回路11によってディジタル信号に変換され、基準
信号xとして適応ディジタルフィルタ13に入力され
る。ついでステップS52において、基準信号xがフィル
タ処理される。すなわち、適応ディジタルフィルタ13
において、その時点で設定されているフィルタ係数(前
記(5)式参照)に基づきフィルタ処理を行なってスピ
ーカ駆動信号y1 〜y4を出力する。次にステップS53
において、スピーカ駆動を行なう。すなわち、スピーカ
駆動信号y1 〜y4 はD/A変換器17a〜17dによ
ってD/A変換され、アナログスイッチ28〜2
、およびアンプ18〜18を介してラウドスピ
ーカ7〜7に出力され、これによってラウドスピー
カ7〜7は前輪2a,2b、後輪2c,2dから車
室6内に伝達される騒音に対して逆位相の二次音を出力
し、車室6内の騒音低減を図る。
【0064】次に図6において、まずステップS61では
基準信号検出が行われる。すなわち、第一ディジタルフ
ィルタ12は基準信号xを入力し、マイクロホン8a〜
8hおよびスピーカ7a〜7d間の伝達関数の組合せ数
に応じてフィルタ処理された基準信号rlm(前記
(4),(5)式参照)を生成し、マイクロプロセッサ
16に出力する。同時にステッフS62では、車室内騒音
eの検出が行なわれる。すなわち、前記のようにしてラ
ウドスピーカ7a〜7dによって二次音が出力されると
車室6内の騒音は相殺され、その残差信号として残留騒
音がマイクロホン8a〜8hで検出される。そして、マ
イクロホン8a〜8hの出力信号であるノイズ信号e1
〜e8 はアンプ14a〜14hによって増幅され、A/
D変換器15a〜15hによってA/D変換され、マイ
クロプロセッサ16に入力される。
【0065】次に、ステップS63では、音圧の自乗e2
の総和演算が行なわれる(前記(2)式参照)。
【0066】次にステップS64においてフィルタ係数の
更新が行われる。即ち、マイクロプロセッサ16におい
て前記基準信号rlm、及び音圧e2 の総和演算に基づき
音圧の自乗和を最小とするように、前記(5)式を演算
し、これによって適応ディジタルフィルタ13のフィル
タ係数Wを逐次更新する。従って、適応的に更新される
フィルタ係数Wによって基準信号xをフィルタ処理し、
ラウドスピーカ7a〜7dを駆動することができ、これ
によって車室6内の騒音低減を図ることができるのであ
る。
【0067】このような制御において、例えば急ブレー
キ、急発進等があると上記のように伝達関数Gが変化す
るため、伝達関数Gの変化量、変化速度が閾値を越え急
激に変化することを車体加速度の変化によって予測し、
マイクロプロセッサ16による適応動作を停止するよう
にしている。
【0068】そこで車体加速度の変化と伝達関数の変化
との関係について述べる。
【0069】図7は伝達関数と周波数及び時間との関係
の実験結果を示している。伝達関数は騒音源であるサス
ペンションと評価点であるマイクロホン8a乃至8hと
の間の伝達関数Gであり、周波数は騒音源の騒音発生状
態に関する信号の周波数であり、時間は走行中の時間を
表している。走行中、ブレーキングによって車体に姿勢
変化があると矢印Bで示すように伝達関数Gの変化が見
られた。このGの変化を特定周波数fで見ると図8のよ
うな位相変化ΔΦ、ゲイン変化ΔGが明らかとなった。
従って、車体の加速度、減速度の変化状態を知ることに
よって車体の姿勢変化を予測することができ、伝達関数
Gの変化による位相変化ΔΦ、ゲイン変化ΔGを予測す
ることができる。従って、車体加速度が短時間に急激に
変化していれば、位相変化、ゲイン変化が短時間に急激
に起こっており、このような場合に、マイクロプロセッ
サ16の適応動作および制御音発生を停止しようとする
ものである。
【0070】図9は前記適応動作停止および制御音発生
停止のためのフローチャートを示すもので、以下このフ
ローチャートに基づいて説明する。
【0071】図9のフローチャートは図5のスピーカ駆
動信号出力のフローチャートに対して定時間割込み処理
によって実行される。ただし、図5のフローチャートに
対し車体加速度の変化状態が所定状態を越えた時にのみ
適応動作停止を行なわせるフローチャートとすることも
できる。
【0072】まずステップS91において車体加速度セン
サ21が検出する車体加速度変化の読み込みが判断回路
23によって行なわれる。ステップS92では車体加速度
変化量が所定の閾値を上回るかどうかが判断され、上回
らなければステップS91へ戻り、上回ればステップS93
へ移行して車体加速度の変化速度が所定の閾値を上回る
かどうかが判断される。変化速度が所定の閾値を上回ら
なければステップS91へ戻り、上回れば車体加速度が短
時間に急激に変化しており、例えば急ブレーキや急発進
によって車体姿勢が大きく変化すると予測することがで
き、ステップS94へ移行する。ステップS94では判断回
路23から停止スイッチ25へ信号が送られて停止スイ
ッチ25がOFFとなりマイクロプロセッサ16の適応
動作が停止される。同時にこの時の適応ディジタルフィ
ルタ13のフィルタ係数W0 がマイクロプロセッサ16
で読込まれ、ステップS95においてW0 がストアされ
る。そしてステップS160 に移行する。ステップS160
では判断回路23から、停止スイッチ26に信号が送ら
れて停止スイッチ26がOFFとなり制御音の発生動作
が停止される。
【0073】このように、車体加速度の変化状態が所定
状態を上回り、車体の大きな姿勢変化があった時には、
マイクロプロセッサ16の適応動作が停止され、その間
制御は行なわれない。従って、計算量の多いロードノイ
ズ制御において、伝達関数Gが急激に変化してもマイク
ロプロセッサ16の適応動作が追従できないという状態
を避けることができ、小型の装置であっても制御の悪化
を抑制することができる。
【0074】そして、車体姿勢が元に戻ったか否かを判
断するためステップS96,S97が実行される。ステップ
96において再び車体加速度の変化の読込みが行なわ
れ、ステップS97において変化量が所定の閾値を上回る
かどうかが判断される。変化量が閾値を上回れば急ブレ
ーキ或いは急加速状態が続いているためステップS96
繰返され、適応動作は停止したままとなる。変化量が閾
値を下回れば急加速や急ブレーキ状態が終り、これに基
づく車体の姿勢変化がなくなるためステップS98へ移行
してストアしたW0 が呼び出され、ステップS99で適応
動作、およびステップS159 で制御音発生動作が開始さ
れるものとなる。このように、適応動作開始はステップ
95においてストアしたフィルタ係数W0 を基準にして
行なわれ、あたかも急加速や急ブレーキ等がなかったか
のように適応動作を行なわせ、制御の追従性を保つこと
ができる。
【0075】第2実施例 図10は第2実施例に係るブロック図を示すもので、前
記第1実施例の図3に対応して示している。
【0076】この第2実施例では、制御音源であるラウ
ドスピーカ7a乃至7dへの駆動信号を伝達関数Gの変
化状態に応じて補正するようにしている。従ってこの実
施例では切換スイッチ33と記憶補正回路35とを追加
している。
【0077】前記記憶補正回路35は伝達関数Gの変化
状態に応じた複数の補正値を予め記憶する手段を構成
し、また、判断回路23、切換スイッチ33、及び記憶
補正回路35は予測した伝達関数の変化状態に応じて補
正値を選択し、制御音源への駆動信号を補正する手段を
構成している。
【0078】前記記憶補正回路35は以下のようにして
求めた補正値を記憶している。即ち、前記図7,図8の
ように急加速や急ブレーキによる位相変化、ゲイン変化
が予め実験によって求めることができ、これを全ての周
波数について表したのが図11(a),(b)である。
【0079】そして、位相変化(a)、ゲイン変化
(b)に基づいて逆フーリエ変換することにより図11
(c)のように、ある条件の時のインパルス応答関数を
求めることができる。そして、このようなインパルス応
答関数を急加速や急ブレーキによる伝達関数Gの変化に
応じて複数求め、これらを記憶補正回路35へマップと
して記憶させておく。
【0080】従って、この実施例では伝達関数Gに変化
が生じた時には変化に応じて補正値としてのインパルス
応答関数が選択され、適応ディジタルフィルタ13のフ
ィルタ係数に畳み込むことにより適正なスピーカ駆動信
号を得ることができるものである。
【0081】即ち、適応ディジタルフィルタ13のフィ
ルタ係数Wmiによって基準信号xをフィルタ処理した時
のスピーカ駆動信号は、
【数6】 となるが、更にゲイン変化を畳み込んだ時のスピーカ駆
動信号は、
【数7】 となり、伝達関数の変化に応じた適正なスピーカ駆動信
号を得ることができる。
【0082】以下、図12のフローチャートに基づいて
説明する。
【0083】このフローチャートが図9のフローチャー
トと異なるところは、ステップS11 6 のフィルタ係数の
呼び出し、ステップS117 の切換スイッチ33の切換
え、ステップS118 のΔGの畳み込み演算を加えたこと
と、S159 ,S160 制御音発生停止、開始のステップを
除いたことである。
【0084】まず、ステップS111 では車体加速度変化
の読込みが行なわれ、ステップS11 2 、ステップS113
において閾値との比較により変化状態が急激に大きく行
なわれたかどうかが判断され、閾値を越えていればステ
ップS114 において適応動作停止、フィルタ係数W0
読込みが行なわれる。適応動作停止は判断回路23から
の信号によって停止スイッチ25がOFFとなることに
よって行なわれ、フィルタ係数W0 の読込みはマイクロ
プロセッサ16によって行なわれる。
【0085】ステップS115 において前記のように読込
まれたフィルタ係数W0 がストアされる。
【0086】ステップS116 においては、メモリから車
体加速度変化量に応じたフィルタ係数の呼び出しが行な
われる。即ち、判断回路23によって判断された車体加
速度の変化状態、即ち伝達関数Gの変化状態が記憶補正
回路35に入力され、これに応じて図11(c)のよう
に記憶されたいずれかのインパルス応答関数が呼出され
る。
【0087】ステップS117 では判断回路23からの信
号により切換スイッチ33がΔG側、すなわち記憶補正
回路35側に切換えられる。
【0088】ステップS118 では前記のようにして呼出
されたインパルス応答関数を上記(7)式のように適応
ディジタルフィルタ13の出力に畳み込み、ラウドスピ
ーカ7a乃至7dの駆動信号を補正する。
【0089】ステップS119 は図9のステップS96に、
ステップS120 は同ステップS97に、ステップS121
同ステップS98に、ステップS122 は同ステップS99
それぞれ対応しているので説明は省略する。
【0090】従って、急加速や急ブレーキ等によって車
体姿勢が大きく変化し伝達関数Gが変化する場合でもこ
れに応じてラウドスピーカ7a乃至7dの駆動信号を補
正することができ、制御の悪化を抑制し、適正な消音制
御を行なわせることができる。しかも、マイクロプロセ
ッサ16の適応動作は伝達関数Gの変化に影響を受けな
いので制御の追従性を保つことができる。
【0091】なお、伝達関数Gの変化状態に応じた複数
の補正値、換言すればゲイン変化ΔGのテーブルとして
は上記のようにブレーキングや急加速時のものの他、路
面状況、右旋回、左旋回等との関係においても設定する
ことができる。これをブレーキングや急加速時の時のテ
ーブルと共に以下に示す。
【0092】
【表1】 従って、路面状況の変化や右旋回、左旋回等においても
上記同様に伝達関数Gの変化に係わらず適正な制御を行
なわせることができると共に、制御の追従性を損なわな
いようにすることができる。
【0093】また、第1,第2実施例において、車体の
姿勢変化状態検出手段は車体加速度センサ21に代え、
図3,図10の一点鎖線で便宜上示したように、エンジ
ンのスロットル開度量をを検出するスロットル開度セン
サ27、ブレーキの踏み込み量を検出するブレーキセン
サ29、或いはステアリングの舵角及び角速度センサ3
1の各出力信号、図示はしないがアクティブサスペンシ
ョンの制御信号のいずれか、あるいはこれらの組合わせ
を用いることもできる。即ち、スロットル開度センサ2
7の開度量を知ることよにり急加速による姿勢変化を知
ることができ、ブレーキセンサ29によるブレーキの踏
み込み量を検出することにより急ブレーキ状態による姿
勢変化を知ることができ、更に、舵角及び角速度センサ
31によってステアリングの舵角及び角速度を検出する
ことにより車体1のローリングによる姿勢変化を知るこ
とができ、さらにはアクティブサスペンションの制御信
号によって、急ブレーキ、ローリング等による姿勢変化
を知ることができるからである。
【0094】第3実施例 図13は第3実施例に係るブロック図を図3と同様の状
態において示している。この実施例では車体の姿勢変化
状態検出手段を路面センサ37によって構成したもので
ある。路面センサ37は、例えば、超音波の送受信装置
によって構成され、路面状況の検出信号が判断回路23
に入力され、前輪2a,2b及び後輪2c,2bに凸入
力があるか凹入力があるかを判断することにより、伝達
関数Gの変化に応じてラウドスピーカ7a乃至7dへの
駆動信号を補正するものである。
【0095】次に、図14のフローチャートを用いて更
に説明する。
【0096】このフローチャートも図9,図12に示す
フローチャートと同様に定時間割込み等によって処理さ
れるものである。まずステップS141 において、路面セ
ンサ37の出力信号から判断回路23により路面変化の
読込みが行なわれる。
【0097】ステップS142 では、同じく判断回路23
において、路面変化の変化量が所定の閾値を上回るかど
うかが判断され、上回らなければステップS141 へ戻
り、上回ればステップS143 へ移行する。
【0098】ステップS143 では入力車輪の判断が行な
われる。路面変化が左右両輪に渡り左右両輪から入力が
ある時にはステップS144 へ移行し、m=1and 2と
し、左右両輪からの入力による制御に備える。右側車輪
であると判断されればステップS145 へ移行してm=1
とし、右側車輪への入力による制御に備える。左側車輪
に入力された時は、ステップS146 へ移行してm=2と
し、左側車輪への入力による制御に備える。
【0099】ステップS147 では停止スイッチ25が判
断回路23からの出力によってOFFとなると共に、適
応ディジタルフィルタ13のその時のフィルタ係数W
m(0)が読込まれ、ステップS148 においてWm(0)がスト
アされる。このフィルタ係数Wm(0)のストアは、前記同
様に路面変化がなくなって適応動作を再び開始する時
に、適応動作停止直前のフィルタ係数から適応動作を行
なわせようとするためのものである。
【0100】ステップS149 では判断回路23からの出
力により記憶補正回路35において伝達関数Gの変化、
換言すれば路面変化の変化量に応じたゲイン変化ΔGが
呼出される。この呼び出しは前記ステップS144 ,S
145 ,S146 の設定に応じて呼出される。ステップS
150 では、切換スイッチ33がΔG側に切換えられ、適
応動作が停止される。ステップS150 の適応動作停止は
路面センサ37による検出から前輪2a,2bへの凹凸
入力があるまでの時間の遅延が行なわれる。ステップS
151 では前記(7)式のように適応ディジタルフィルタ
13の出力にゲイン変化ΔGが畳み込み演算される。
【0101】ステップS152 では後輪についての制御が
終了したか否かの判断が行なわれ、終了していなければ
ステップS153 において、前後輪2a,2b,2c,2
d間のホイルベースと車速とに基づき前輪に凹凸入力が
あってから後輪に凹凸入力があるまでの時間の遅延を行
ない、同様にステップS149 ,S150 ,S151 が実行さ
れ、路面からの凹凸入力による伝達関数の変化に応じた
スピーカ駆動信号の補正が行なわれる。従って、サスペ
ンションが路面からの凹凸入力を受けた時の振動測定点
とマイクロホン8a乃至8hとの間の伝達特性と、フィ
ルタ係数Wとゲイン変化ΔGのインパルス応答関数とを
合わせた特性とが等しくなり、大入力が車輪に入力され
ても消音量は損なわれることなく、適正な制御を行なう
ことが可能となる。
【0102】ステップS154 では再び路面変化の読込み
が行なわれ、ステップS155 で変化量が閾値を上回って
いるかどうかが判断されてサスペンションが元の状態に
なっているかどうかを判断する。サスペンションが元の
状態になっていなければステップS149 へ移行し再び上
記の制御が繰返され、サスペンションが元の状態になっ
ていれば、ステップS156 へ移行する。ステップS156
ではステップS148 でストアした適応動作停止時のフィ
ルタ係数Wm(0)を呼び出し、ステップS157 において当
該フィルタ係数Wm(0)から適応動作が開始されるものと
なる。
【0103】従って、マイクロプロセッサ16の適応動
作は伝達関数Gの変化に影響を受けず、制御の追従性を
維持することができる。
【0104】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではない。
【0105】例えば、騒音低減を図る評価点とマイクロ
ホンとが空間的に離れたものであっても、所定値に基づ
いて評価点の残留騒音を推定し制御を行なわせることが
できる。
【0106】適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の
更新アルゴリズムとしては、時間領域のLMSアルゴリ
ズムに限らず周波数領域のLMSアルゴリズム等、他の
アルゴリズムを適用することができる。
【0107】更に、この発明は振動制御に応用すること
もできる。
【0108】
【発明の効果】以上より明らかなように請求項1の発明
では、騒音源から評価点までの伝達関数の変化状態が所
定状態を上回る時は、適応制御器の適応動作が停止され
るので適応制御器の適応動作が伝達関数の変化に影響を
受けることがなくなり、制御の悪化を抑制させることが
可能となり、装置の小型化をも図ることができる。
【0109】請求項2の発明では、伝達関数の変化状態
に応じて制御音源への駆動信号を補正することができる
ので、伝達関数の変化に係わらず適正な制御を行なわせ
ることができる。しかも、伝達関数の変化状態に応じた
複数の補正値を予め記憶しておき、この記憶した補正値
をもって補正するため、適応制御器の適応動作が伝達関
数の変化に影響を受けることがなくロードノイズ等、ラ
ンダム信号に基づく騒音制御等において更新すべきフィ
ルタ係数の数が多くても追従性が損なわれることなく小
型の装置により高速処理が可能となる。
【0110】請求項3の発明では、伝達関数の変化状態
を車体の姿勢変化状態で検出することができる。
【0111】請求項4の発明では、車体の姿勢変化を車
体加速度センサで検出することができる。
【0112】請求項5の発明では、車体の姿勢変化をス
ロットル開度センサが検出するエンジンのスロットル開
度量で検出することができる。
【0113】請求項6の発明では、車体の姿勢変化状態
をブレーキセンサが検出するブレーキの踏み込み量によ
って検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る能動型騒音制御装置を車両に
適用した状態の概略ブロック図である。
【図2】第1実施例に係る制御ブロック図である。
【図3】第1実施例に係る要部の制御ブロック図であ
る。
【図4】第1実施例に係る要部の制御ブロック図であ
る。
【図5】スピーカ駆動ののフローチャートである。
【図6】フィルタ係数更新のフローチャートである。
【図7】伝達関数の変化を表す三次元グラフである。
【図8】特定周波数における位相変化、ゲイン変化を示
すグラフである。
【図9】適応動作停止のフローチャートである。
【図10】第2実施例に係るブロック図である。
【図11】位相変化、ゲイン変化とインパルス応答関数
とのグラフである。
【図12】第2実施例に係るフローチャートである。
【図13】第3実施例に係るブロック図である。
【図14】第3実施例に係るフローチャートである。
【図15】従来例に係るブロック図である。
【図16】自動車に適用した場合の制御ブロック図であ
る。
【図17】伝達関数の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
7a ラウドスピーカ(制御音源) 7b ラウドスピーカ(制御音源) 7c ラウドスピーカ(制御音源) 7d ラウドスピーカ(制御音源) 8a マイクロホン(残留騒音検出手段) 8b マイクロホン(残留騒音検出手段) 8c マイクロホン(残留騒音検出手段) 8d マイクロホン(残留騒音検出手段) 8e マイクロホン(残留騒音検出手段) 8f マイクロホン(残留騒音検出手段) 8g マイクロホン(残留騒音検出手段) 8h マイクロホン(残留騒音検出手段) 13 適応ディジタルフィルタ 16 マイクロプロセッサ(適応制御器) 21 車体加速度センサ(車体の姿勢変化状態検出手
段) 23 判断回路(判断手段、伝達関数の変化状態予測手
段) 25 停止スイッチ(停止手段) 27 スロットルセンサ(車体の姿勢変化状態検出手
段) 29 ブレーキセンサ(車体の姿勢変化状態検出手段) 31 舵角及び加速度センサ(車体の姿勢変化状態検出
手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 明生 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音に干渉させる制御音を発生して評価
    点の騒音低減を図る制御音源と、前記干渉後の所定位置
    の残留騒音を検出する手段と、騒音源の騒音発生状態に
    関する信号を検出する手段と、前記騒音発生状態の検出
    信号を所定のフィルタ係数によってフィルタ処理し前記
    制御音源を駆動する信号を出力する適応ディジタルフィ
    ルタと、前記残留騒音検出手段の出力信号と騒音発生状
    態検出手段の出力信号とに基づき所定の制御アルゴリズ
    ムを用いて前記残留騒音検出手段の出力信号を低減する
    ように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を逐
    次更新する適応制御器とを備え、前記騒音源から評価点
    までの伝達関数の変化状態を予測する手段と、前記予測
    した変化状態が所定状態を上回るか否かを判断する手段
    と、前記変化状態が所定状態を上回ると判断されたとき
    に前記判断手段から出力される信号を受け前記適応制御
    器の適応動作を停止する手段又は前記制御音の停止手段
    の少なくとも一方とを設けたことを特徴とする能動型騒
    音制御装置。
  2. 【請求項2】 騒音に干渉させる制御音を発生して評価
    点の騒音低減を図る制御音源と、前記干渉後の所定位置
    の残留騒音を検出する手段と、騒音源の騒音発生状態に
    関する信号を検出する手段と、前記騒音発生状態の検出
    信号を所定のフィルタ係数によってフィルタ処理し前記
    制御音源を駆動する信号を出力する適応ディジタルフィ
    ルタと、前記残留騒音検出手段の出力信号と騒音発生状
    態検出手段の出力信号とに基づき所定の制御アルゴリズ
    ムを用いて前記残留騒音検出手段の出力信号を低減する
    ように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を逐
    次更新する適応制御器とを備え、前記騒音源から評価点
    までの伝達関数の変化状態を予測する手段と、前記伝達
    関数の変化状態に応じた複数の補正値を予め記憶した手
    段と、前記予測した変化状態に応じて前記補正値を選択
    し前記制御音源への駆動信号を補正する手段とを設けた
    ことを特徴とする能動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の能動型騒音制御装
    置であって、前記伝達関数の変化状態予測手段の予測
    は、車体の姿勢変化状態を検出する手段の検出信号に基
    づくことを特徴とする能動型騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の能動型騒音制御装置であ
    って、前記車体の姿勢変化状態検出手段は、車体の所定
    位置に備えられ車体の加速度を検出する車体加速度セン
    サであることを特徴とする能動型騒音制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の能動型騒音制御装置であ
    って、前記車体の姿勢変化状態検出手段は、エンジンの
    スロットル開度量を検出するスロットル開度センサであ
    ることを特徴とする能動型騒音制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の能動型騒音制御装置であ
    って、前記車体の姿勢変化状態検出手段は、ブレーキの
    踏み込み量を検出するブレーキセンサであることを特徴
    とする能動型騒音制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の能動型騒音制御装置であ
    って、前記車体の姿勢変化状態検出手段は、ステアリン
    グの舵角および角速度を検出する舵角及び角速度センサ
    であることを特徴とする能動型騒音制御装置。
JP32034591A 1991-12-04 1991-12-04 能動型不快波制御装置 Expired - Fee Related JP3328946B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32034591A JP3328946B2 (ja) 1991-12-04 1991-12-04 能動型不快波制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32034591A JP3328946B2 (ja) 1991-12-04 1991-12-04 能動型不快波制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05158487A true JPH05158487A (ja) 1993-06-25
JP3328946B2 JP3328946B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=18120442

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32034591A Expired - Fee Related JP3328946B2 (ja) 1991-12-04 1991-12-04 能動型不快波制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3328946B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5758311A (en) * 1994-03-16 1998-05-26 Honda Giken Koygo K.K. Vibration/noise active control system for vehicles
JP2012131315A (ja) * 2010-12-21 2012-07-12 Honda Motor Co Ltd 能動型振動騒音制御装置
CN103228485A (zh) * 2010-12-21 2013-07-31 本田技研工业株式会社 有源振动噪音控制装置
WO2023021596A1 (ja) 2021-08-18 2023-02-23 日産自動車株式会社 騒音制御方法及び騒音制御装置

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5421124B2 (ja) * 2007-12-27 2014-02-19 パナソニック株式会社 騒音制御装置
EP3401902B1 (en) * 2017-05-10 2019-07-03 FCA Italy S.p.A. Improvement of the acoustic comfort in the passenger compartment of a motor vehicle

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5758311A (en) * 1994-03-16 1998-05-26 Honda Giken Koygo K.K. Vibration/noise active control system for vehicles
JP2012131315A (ja) * 2010-12-21 2012-07-12 Honda Motor Co Ltd 能動型振動騒音制御装置
CN103228485A (zh) * 2010-12-21 2013-07-31 本田技研工业株式会社 有源振动噪音控制装置
EP2657086A1 (en) * 2010-12-21 2013-10-30 Honda Motor Co., Ltd. Active vibration noise control apparatus
EP2657086A4 (en) * 2010-12-21 2014-09-17 Honda Motor Co Ltd APPARATUS FOR ACTIVE CONTROL OF VIBRATION NOISE
JP5604529B2 (ja) * 2010-12-21 2014-10-08 本田技研工業株式会社 能動型振動騒音制御装置
US9042570B2 (en) 2010-12-21 2015-05-26 Honda Motor Co., Ltd. Active vibration noise control apparatus
WO2023021596A1 (ja) 2021-08-18 2023-02-23 日産自動車株式会社 騒音制御方法及び騒音制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3328946B2 (ja) 2002-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3094517B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JP2939017B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JP2921232B2 (ja) 能動型不快波制御装置
JP3328946B2 (ja) 能動型不快波制御装置
JP2529745B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JPH07248784A (ja) 能動型騒音制御装置
JP3198548B2 (ja) 能動型不快波制御装置
JP3028977B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JP3517883B2 (ja) 適応制御装置及び能動型騒音制御装置
JPH07219560A (ja) 能動型騒音制御装置
JP2674252B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JPH0683369A (ja) 車輌用能動振動騒音制御装置
JP3517924B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置及び車両用能動型騒音振動制御装置
JP3674963B2 (ja) 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置
JPH04342296A (ja) 能動型不快波制御装置
JP3500643B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JP3617079B2 (ja) 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置
JPH06130970A (ja) 能動型騒音制御装置
JPH0588684A (ja) 適応信号処理方法、適応信号処理装置、及び能動型騒音制御装置
JPH06314097A (ja) 能動型騒音制御装置
JPH05249986A (ja) 車室内騒音の低減装置
JPH0643881A (ja) 能動型騒音制御装置
JPH06250674A (ja) 能動型騒音制御装置
JPH0516889A (ja) 能動型騒音制御装置
JPH0588681A (ja) 適応信号処理装置及び能動型騒音制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees