JPH0516889A - 能動型騒音制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置

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JPH0516889A
JPH0516889A JP17540891A JP17540891A JPH0516889A JP H0516889 A JPH0516889 A JP H0516889A JP 17540891 A JP17540891 A JP 17540891A JP 17540891 A JP17540891 A JP 17540891A JP H0516889 A JPH0516889 A JP H0516889A
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JP
Japan
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noise
transfer function
control
signal
test signal
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Application number
JP17540891A
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English (en)
Inventor
Kenichiro Muraoka
健一郎 村岡
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 伝達関数を、補正した伝達関数に更新するこ
とにより装置の発散を抑制し、より的確な騒音制御を可
能とする。 【構成】 騒音源の始動時に制御音源にテスト信号を供
給するテスト信号発生手段と、前記テスト信号により制
御音源から発生されるテスト音及びテスト信号供給時に
前記残留騒音検出手段が検出した残留騒音に基づいて前
記補正伝達関数を演算する手段と、前記制御アルゴリズ
ムの前記伝達関数を前記伝達関数演算手段が演算した補
正伝達関数に更新する手段とを備えたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の車室や航空
機の客室等の騒音を能動的に低減する能動型騒音制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の能動型騒音制御装置とし
ては、例えば英国公開特許公報第2149614号記載
の図6に示すようなものがある。
【0003】この従来装置は航空機の客室やこれに類す
る閉空間に適用されるもので、閉空間101内にラウド
スピーカ103a,103b,103cおよびマイクロ
ホン105a,105b,105c,105dを備えて
おり、ラウドスピーカ103a,103b,103cに
よって騒音に干渉させる制御音を発生し、マイクロホン
105a,105b,105c,105dによって残差
ノイズ信号(残留騒音)を測定するようになっている。
これらラウドスピーカ103a,103b,103c、
マイクロホン105a,105b,105c,105d
は信号処理機107に接続されており、信号処理機10
7は基本周波数測定手段によって測定した騒音源の基本
周波数とマイクロホン105a,105b,105c,
105dからの入力信号とを受けとり、閉空間101内
の音圧レベルを最小にするようラウドスピーカ103
a,103b,103cに駆動信号を出力するものであ
る。
【0004】ここで閉空間101内には、3個のラウド
スピーカ103a,103b,103cと4個のマイク
ロホン105a,105b,105c,105dとが設
けられているが、説明を単純化するため、それぞれ10
3a,105aの一個ずつ設けられているものとする。
今、騒音源からマイクロホン105aまでの伝達関数を
Hとし、ラウドスピーカ103aからマイクロホン10
5aまでの伝達関数をCとし、騒音源が発生する音源情
報信号をXp とすると、マイクロホン105aで観測さ
れる残留騒音としてのノイズ信号Eは、 E=Xp ・H+Xp ・G・C となる。ここでGは、消音するために必要な伝達関数で
ある。消音対象点(マイクロホン105aの位置)にお
いて、騒音が完全に打ち消されたとき、E=0となる。
このときGは、 G=−H/C となり、信号処理機107にフィルタ係数としてセット
する。このフィルタ係数は、マイク検出信号Eが最小と
なるGを求め、このGに基づいて信号処理機107内の
フィルタ係数を適応的に更新するようにしている。マイ
ク検出信号Eを最小にするようフィルタ係数を求める手
法として、最急降下法の一種であるLMSアルゴリズム
(Least Mean Square)などがある。
【0005】また図6のように、マイクロホンが複数設
置されている場合には、例えば各マイクロホン105
a,105b,105c105dで検出した信号の総和
が最小となるように制御されるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な制御により、信号処理機107内のフィルタ係数を適
応的に更新する場合、ノイズ信号Eが最小となるGを求
める制御アルゴリズムにラウドスピーカ103aからマ
イクロホン105aまでの伝達関数Cを含んでいるた
め、次のような問題がある。
【0007】すなわち、前記伝達関数Cは、閉空間10
1内の温度変化、ラウドスピーカ103a、マイクロホ
ン105aの経時的な劣化による影響等で変化してしま
い、制御アルゴリズムの収束特性が極めて緩慢となり、
さらに条件が悪化した場合には評価点での音圧上昇を招
き、いわゆる発散状態となってしまうからである。
【0008】一方、特開昭63−311396号公報に
記載されているように、騒音制御装置の制御開始時にテ
スト信号を発生し、このテスト信号によってスピーカを
駆動し、このときスピーカから発生されて制御音に基づ
いてスピーカ及びマイクロホン間の現時点の伝達関数を
求め、前記制御アルゴリズムに用いる伝達関数を更新す
るのである。こうすると、スピーカ等の経時劣化に伴な
う伝達関数の変化に応じて、制御アルゴリズムの伝達関
数の変化を更新し、発散を抑制して的確な騒音制御が可
能となる。
【0009】しかしながら、このような能動型騒音制御
装置を自動車に応用した場合、制御開始の度にスピーカ
からテスト音が発生されたのでは、乗員が著しい煩しさ
を感じる恐れがある。
【0010】一方、装置の発散が検知又は予測されたと
きに、テスト音を発生させることも考えられるが、この
制御を消音制御と同時に行なう場合、制御装置に大きな
負担がかかり、消音制御に充分な演算時間が得られなく
なる恐れがある。
【0011】そこでこの発明は、伝達関数を、補正した
伝達関数に更新することにより、装置の発散を抑制しな
がら、乗員が煩しさを感ずることがないと共に、制御装
置の負担を少なくし、より的確な騒音制御が可能な能動
型騒音制御装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、騒音に干渉させる制御音を発生
して評価点の騒音低減を図る制御音源と、前記干渉後の
所定位置の残留騒音を検出する手段と、騒音源の騒音発
生状態に関する信号を検出する手段と、前記残留騒音検
出手段の出力信号と騒音発生状態検出手段の出力信号と
に基づき前記制御音源と残留騒音検出手段との間の伝達
関数を含む制御アルゴリズムを用いて前記制御音源を駆
動する信号を出力する制御手段とを備えた能動型騒音制
御装置であって、前記騒音源の始動時に前記制御音源に
テスト信号を供給するテスト信号発生手段と、前記テス
ト信号により制御音源から発生音に基づいて前記補正伝
達関数を演算する手段と、前記制御アルゴリズムの前記
伝達関数を前記伝達関数演算手段が演算した補正伝達関
数に更新する手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】また請求項2に記載の発明は、前記請求項
1記載の能動型騒音制御装置であって、前記制御音源を
複数有し、前記制御音源群を複数のグループに分割し、
前記テスト信号発生手段は前記騒音源の1回の始動で前
記グループの1つにテスト信号を供給し、前記伝達関数
演算手段は前記制御音源の各グループについて各別に伝
達関数を求める演算を行うことを特徴とする。
【0014】
【作用】請求項1に記載の発明では、制御手段は残留騒
音検出手段の出力信号と騒音発生状態検出手段の出力信
号とに基づき、制御音源と残留騒音検出手段との間の伝
達関数を含む制御アルゴリズムを用いて制御音源を駆動
する信号を出力する。これによって制御音源は騒音に干
渉させる制御音を発生して評価点の騒音低減を図ること
ができる。前記制御アルゴリズムの伝達関数を、補正し
た伝達関数へ更新するに際しては、騒音源の始動時にテ
スト信号発生手段からテスト信号を供給して行なうこと
ができる。
【0015】請求項2に記載の発明では、制御音源を複
数有している場合に、これを複数のグループに分割し、
騒音源の1回の始動で前記グループの1つにテスト信号
を供給するようにし、各グループについて各別に伝達関
数を求めることができる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0017】なお説明は車室内空間を例として行う。
【0018】第1実施例 図1はこの発明の第1実施例を示す概略図である。
【0019】図1のように車体1は前輪2a,2b、後
輪2c,2dによって支持され、前輪2a,2bは車体
1の前部に配置されたエンジン4によって回転駆動さ
れ、いわゆる前置きエンジン前輪駆動車を構成してい
る。
【0020】前記車体1内の騒音は、例えばエンジン4
が騒音源となっており、騒音発生状態検出手段として
は、例えばクランク角センサ5が用いられている。そし
て、クランク角センサ5からエンジン騒音に相関しクラ
ンク角に対応するパルス検出信号xが出力されるように
なっている。このパルス検出信号xは例えばレシプロ4
気筒の場合は180°回転する毎に1つである。
【0021】なお、騒音発生状態検出手段は、騒音源の
騒音発生状態に関する信号を検出できれば良く、エンジ
ンを騒音源とした場合、信号としては、例えばエンジン
外表面に設けられた振動センサの出力信号、エンジンの
点火パルス信号、クランク軸の回転速度、回転速度セン
サで検出した回転速度信号等を用いることもできる。
【0022】また、車体1内の音響閉空間としての車室
6内には制御音源としてラウドスピーカ7a,7b,7
c及び7dがそれぞれ前席S1,S2、及び後席S3,
S4に対向するドア部に配置されている。
【0023】さらに各座席S1〜S4のヘッドレスト位
置にそれぞれ残留騒音検出手段としてのマイクロホン8
a〜8hが配設されている。
【0024】これらマイクロホン8a〜8hに入力され
る車室6内の残留騒音は、その音圧に応じた電気信号と
してノイズ信号e1 〜e8 が出力される構成となってい
る。
【0025】前記クランク角センサ5及びマイクロホン
8a〜8hの出力信号は制御手段としてのコントローラ
10に個別に供給されるように構成されている。このコ
ントローラ10から出力される駆動信号y1 〜y4 は個
別にラウドスピーカ7a〜7dに供給され、これらスピ
ーカ7a〜7dから車室6内に音響信号(制御音)が出
力される構成となっている。
【0026】前記コントローラ10は図2に示すよう
に、第一ディジタルフィルタ12、第二ディジタルフィ
ルタ(適応ディジタルフィルタ)13、マイクロプロセ
ッサ16を備え、このマイクロプロセッサ16にはイグ
ニッションスイッチ21からの信号が入力されるように
構成されている。前記イグニッションスイッチ21は、
騒音源であるエンジン4の始動時であることを知らせる
信号をマイクロプロセッサ16に入力する構成となって
おり、エンジン始動時にテスト信号を発生するテスト信
号発生手段としてのテスト信号発生器25が設けられて
いる。
【0027】そして、クランク角センサ5から入力され
るパルス検出信号xは周波数−電圧変換回路11によっ
てディジタル信号に変換され、基準信号xとして第一デ
ィジタルフィルタ12及び第二ディジタルフィルタ13
に入力される構成となっている。
【0028】また、前記マイクロホン8a〜8hの出力
信号であるノイズ信号e1 〜e8 は、アンプ14a〜1
4hによって増幅され、A/D変換器15a〜15hに
よってA/D変換され、前記第一ディジタルフィルタ1
2の出力信号と共に前記マイクロプロセッサ16に入力
される構成となっている。前記第二ディジタルフィルタ
13から出力される駆動信号y1 〜y4 はD/A変換器
17a〜17dによってD/A変換され、アナログスイ
ッチ28a〜28d及びアンプ18a〜18dを介して
ラウドスピーカ7a〜7dに出力される構成となってい
る。
【0029】ここで、前記第一ディジタルフィルタ12
は、基準信号xを入力し、前記マイクロホン8a〜8h
及びスピーカ7a〜7d間の伝達関数の組合せ数に応じ
てフィルタ処理された基準信号rlm(後述する第
(4),(5)式参照)を生成するものである。
【0030】前記第二ディジタルフィルタ13は機能的
にはスピーカ7a〜7dへの出力チャンネル数に応じた
フィルタを個々に有し、基準信号xを入力し、その時点
で設定されているフィルタ係数(後述する(5)式参
照)に基づき適応信号処理を行ってスピーカ駆動信号y
1 〜y4 を出力するものである。
【0031】前記マイクロプロセッサ16は前記ノイズ
信号e1 〜e8 並びにフィルタ処理された基準信号rlm
を入力し、第二ディジタルフィルタ13のフィルタ係数
を最急降下法の一種であるLMSアルゴリズムを用いて
変更する構成となっている。
【0032】前記基準信号rlmにはラウドスピーカ7a
〜7bとマイクロホン8a〜8hとの間の伝達関数をデ
ィジタルフィルタのフィルタ係数(インパルス応答関
数)として表したClmが含まれており、マイクロプロセ
ッサ16は制御音源と残留騒音検出手段との間の伝達関
数を含む制御アルゴリズムを用いて制御音源を駆動する
信号を出力する構成となっている。以下、説明におい
て、Clmを伝達関数とも称す。
【0033】ここで、コントローラ10の騒音低減制御
原理を一般式を用いて説明する。
【0034】今、l番目のマイクロホンが検出したノイ
ズ信号をepl(n)、ラウドスピーカ7a〜7dからの
制御音(二次音)が無いときのl番目のマイクロホンが
検出した残留騒音検出信号をepl 、m番目のラウドス
ピーカとl番目のマイクロホンとの間の伝達関数(FI
R(有限インパルス応答)関数)HlmのJ番目(J=
0,1,2,…,Ic −1)[Ic は定数]に対応する
フィルタ係数をClmj 、基準信号をX(n)、基準信号
を入力しm番目のラウドスピーカを駆動する適応フィル
タのi番目(i=0,1…Ik −1)[Ik は定数]の
係数をWmiとすると、
【0035】
【数1】
【0036】が成立する。ここで、(n)がつく項は、
何れもサンプリング時刻nのサンプル値であり、また、
Mはラウドスピーカの数(本実施例では4個)、Ic
FIRディジタルフィルタで表現されたフィルタ係数C
lmのタップ数(フィルタ次数)、Ik は適応フィルタの
フィルタ係数Wmiのタップ数(フィルタ次数)である。
【0037】上式(1)中、右辺の「ΣWmix(n−j
−i)」(=ym )の項は第二ディジタルフィルタ13
に基準信号xを入力したときの出力を表し、「ΣClmj
{ΣWmix(n−j−i)}」の項はm番目のスピーカ
に入力された信号エネルギがこれらスピーカから音響エ
ネルギとして出力され、車室6内の伝達関数Clmを経て
l番目のマイクロホンに到達したときの信号を表し、更
に、「Σ ΣClmj {ΣWmix(n−j−i)}」の右
辺全体は、l番目のマイクロホンへの到達信号を全スピ
ーカについて足し合わせているから、l番目のマイクロ
ホンに到達する制御音の総和を表す。
【0038】ついで評価関数(最小にすべき変数)Je
を、
【0039】
【数2】
【0040】とおく。ここで、Lはマイクロホンの数
(本実施例では8個)である。
【0041】そして、評価関数Jeを最小にするフィル
タ係数Wm を求めるために、本実施例ではLMSアルゴ
リズムを採用する。つまり、評価関数Jeを各フィルタ
係数Wmiについて偏微分した値で当該フィルタ係数Wmi
を更新する。そこで、(2)式より、
【0042】
【数3】
【0043】となるが、(1)式より、
【0044】
【数4】
【0045】となるから、この(4)式右辺をrlm(n
−i)とおけば、フィルタ係数の書換え式は重み係数γ
l も含めた形で以下の(5)式により得られる。
【0046】
【数5】
【0047】ここで、αは収束係数であり、フィルタが
最適に収束する速度や、その際の安定性に関与する。な
お、収束係数αを本実施例では一つの定数のように扱っ
ているが、各フィルタ毎に異なる収束係数(αmi)とす
ることもできるし、また重み係数γl を一緒に取り込ん
だ係数(αl )として演算することもできる。
【0048】このように第二ディジタルフィルタ13の
フィルタ係数Wmi(n+1)をマイクロホン8a〜8h
から出力されるノイズ信号el (n)〜e8 (n)の出
力とクランク角センサ5からの出力に基づく基準信号x
(n)とに基づいてLMS(Least Mean S
quare)適応アルゴリズムに従って順次更新するこ
とにより、入力されるノイズ信号el (n)〜e
8 (n)の自乗和が常に最小となるように駆動信号y1
(n)〜y4 (n)が形成され、これがラウドスピーカ
7a〜7dに供給され、出力される制御音によって車室
6内の騒音が相殺される。
【0049】前記テスト信号発生回路25は、図2に示
すように、ホワイトノイズ発生器26と、そのホワイト
ノイズ信号に対して帯域通過フィルタ処理を行なう帯域
通過フィルタ27とを備えている。この帯域通過フィル
タ27から出力されるテスト信号は、アナログスイッチ
28a〜28dがマイクロプロセッサ16からの選択信
号によって切り換えられることにより、駆動信号y1
4 に代えランダムノイズ信号としてラウドスピーカ7
a〜7dに供給される。
【0050】次に上記実施例の動作を、コントローラ1
0の伝達関数更新処理手順を示す図3より説明する。
【0051】この実施例は1回のエンジン始動で1つの
ラウドスピーカ7a,7b,7c及び7dと各マイクロ
ホン8a〜8hの間の伝達関数を更新するものである。
コントローラ10は、スタータが稼働状態となったとき
に起動されて図3に示す伝達関数更新処理を実行する。
【0052】まず、スタータの稼働を検知するとステッ
プS31に移行し演算回数Nを”0”にクリアしてステッ
プS32に移行する。ステップS32では伝達関数の更新を
行うスピーカの番号mを読みとりmの値に従いステップ
33m に移行する。このステップS33m では、テスト信
号発生回路25にテスト開始信号を出力すると共に、m
番目のラウドスピーカに対するアナログスイッチをテス
ト信号側に切り換える切り換え信号を出力し、m番目の
ラウドスピーカ7a〜7dからランダムノイズ信号(テ
スト信号)を発生する。
【0053】次いでステップS34に移行して、各マイク
ロホン8a〜8hからの残留騒音検出信号e1 〜e8
基づいてm番目のラウドスピーカと各マイクロホンとの
間の伝達関数ClmN (N=1.2…N0 ,N0 は所定の
整数であり、演算回数を表す)を演算し、その演算結果
を所定の記憶領域に更新記憶しておく。
【0054】次にステップS35に移行して、演算回数N
を”1”だけインクリメントし、ステップS36に移行し
て演算回数Nが予め設定した設定回数N0 以上であるか
否かを判定し、N<N0 である時にはステップS37に移
行しスタータの状態を調べ、スタータが稼働状態にあれ
ば前記ステップS32に戻り、スタータが停止していれば
処理を終了する。また、N≧N0 である時はステップS
38に移行し、ClmN0を新たな伝達関数Clmとしてディジ
タルフィルタ12に出力してそのフィルタ係数を更新す
る。
【0055】次いでステップS39に移行してラウドスピ
ーカの番号mを”1”だけインクリメインし、ステップ
310 に移行してmの値がラウドスピーカの数Mをこえ
たか否かを判定し、こえていなければ処理を終了し、こ
えていればステップS311 に移行してmを”1”として
処理を終了する。
【0056】従って、エンジン4の始動時の車室6内の
音響レベルか比較的高くランダムノイズを出力しても乗
員に不快感を与えない状態でテスト信号が発生され、ま
た伝達関数の更新が頻繁に行えることからラウドスピー
カ7a〜7dに対する駆動信号y1 〜y4 を適正化して
騒音低減効果を向上させることができる。
【0057】次に、制御音源と残留信号検出手段との間
の伝達関数の算出方法の一例としてLMSアルゴリズム
による方法を説明する。
【0058】テスト信号をx(n)とし、m番目のスピ
ーカからテスト信号が発生されたときの1番目のマイク
ロホンの残留騒音検出信号をel (n)、m番目のスピ
ーカと1番目のマイクロホンとの間の伝達関数Hlmのj
番目に対応するフィルタ係数をClmj 、フィルタ係数の
更新中の適応フィルタの出力をy(n)とすると、
【0059】
【数6】
【0060】となる。次に、評価関数Jeをマイクロホ
ンの残留騒音検出信号手適応フィルタの出力の差の二乗
とすると、 Je=(el (n)−y(n))2 ={el (n)−ΣClmj x(n−j)}2 (7) となり、この評価関数Jeを各フィルタ係数Clmj につ
いて偏微分した値で当該フィルタ係数Clmj を更新す
る。
【0061】そこで、(7)式より、
【0062】
【数7】
【0063】となることから、フィルタ係数の書換式は
以下の式(9)により得られる。
【0064】 Clmj (n+1)=Clmj (n)+μx(n−j) {el (n)−ΣClmj x(n−j)} (9) ここで、μは収束係数であり、フィルタが最適に収束す
る速度や、その際の安定性に関与する。
【0065】式(9)による演算を所定の回数N0 回繰
り返すことにより制御アルゴリズム内に含まれる伝達関
数Clmj を制御対象の音響空間の制御音源と残留騒音検
出手段との間の伝達関数に近づけてゆくことにより適正
な伝達関数Clmを求める。
【0066】第2実施例 本実施例は上記実施例1と同様のアルゴリズムを用いて
フィルタ係数の更新を行うものであるが、全ての制御音
源から互いに無相関なテスト信号を発生することにより
1回のエンジン始動で全ての制御音源と残留騒音信号検
出手段との間の伝達関数の更新を行うものである。本実
施例の動作をコントローラ10の伝達関数更新処理手順
を表す図4により説明する。
【0067】コントローラ10はスタータの稼働を検知
することにより起動し、ステップS41で演算回数Nを”
0”にクリアし、ステップS42に移行して各ラウドスピ
ーカから互いに無相関なテスト信号を発生する。次いで
ステップS43に移行して、各ラウドスピーカと各マイク
ロホンとの間の伝達関数Clmj を演算し、その演算結果
を所定の記憶領域に更新記憶しておく。次に、ステップ
44に移行し演算回数Nを”1”だけディクリメント
し、ステップS45に移行して演算回数が予め設定した設
定回数N0 以上であるか否かを判定し、N<N0 である
場合にはステップS46に移行しスタータの状態を調べ、
スタータが稼働状態にあれば前記ステップS42に戻り、
スタータが停止していれば処理を終了する。また、N≧
0 である時はステップS47に移行し、ClmN0を新たな
伝達関数Clmとしてディジタルフィルタ12に出力して
そのフィルタ係数を更新する。次いでステップS48に移
行してラウドスピーカの番号mを”1”だけインクリメ
ントし、ステッフS49に移行してmの値がラウドスピー
カの数Mをこえたか否かを判定し、こえていなければ処
理を終了し、こえていればステップS410 に移行してm
を”1”として処理を終了する。
【0068】第3実施例 コントローラ10の伝達関数処理手順を図5に示される
ものとすることによりスタータが稼働状態にある間に順
次1つのスピーカについて伝達関数の更新を行うように
もできる。
【0069】ステップS51において伝達関数の更新を行
うスピーカの番号mを読みとりmの値に従いステップS
52m に移行する。このステップS52m では、テスト信号
発生回路25にテスト開始信号を出力すると共に、m番
目のラウドスピーカに対するアナログスイッチをテスト
信号側に切り換える切り換え信号を出力し、m番目のラ
ウドスピーカからランダムノイズ信号を発生する。
【0070】次いでステップS53に移行して、各マイク
ロホンからの残留騒音検出信号e1 〜e8 に基づいてm
番目のラウドスピーカと各マイクロホンとの間の伝達関
数ClmN (N=1.2…N0 ,N0 は所定の整数であ
り、演算回数を表す)を演算し、その演算結果を所定の
記憶領域に更新記憶しておく。
【0071】次にステップS54に移行して、演算回数N
を”1”だけインクリメントし、ステップS55に移行し
て演算回数Nが予め設定した設定回数N0 以上であるか
否かを判定し、N<N0 である時にはステップS56に移
行しスタータの状態を調べ、スタータが稼働状態にあれ
ば前記ステップS51に戻り、スタータが停止していれば
処理を終了する。また、N≧N0 である時はステップS
57に移行し、ClmN0を新たな伝達関数Clmとしてディジ
タルフィルタ12に出力してそのフィルタ係数を更新す
る。次いでステップS58に移行しNを”0”にクリアす
る。
【0072】次いでステップS59に移行してラウドスピ
ーカの番号mを”1”だけインクリメインし、ステップ
510 に移行してmの値がラウドスピーカの数Mをこえ
たか否かを判定し、こえていなければ前記ステップS51
に戻り、こえていればステップS511 に移行してmを”
1”としてステップS51に戻る。
【0073】以上の実施例では1回のエンジン始動で更
新処理を行う制御音源残留信号信号検出手段との間の伝
達関数はあるひとつの制御音源もしくは全制御音源と各
残留信号信号検出手段との間のものとしているが、複数
の制御音源群を1つまたは複数の制御音源のグループに
分割し、それぞれのグループについて1回のエンジン始
動時に行ってもよい。
【0074】また、上記実施例では騒音源としてエンジ
ン4を適用した場合について説明したが、これに限定さ
れるものではなく、ロードノイズに相関のあるサスペン
ション振動のピックアップ信号、ドアミラー付近におけ
る風切音のピックアップ信号、ディファレンシャルギヤ
やトランスミッションギヤのケース振動に対するピック
アップ信号(駆動力伝達系のケース振動に起因した騒音
に相関のある信号)、車速計測用としてのトランスミッ
ションの出力軸の回転に応じたパルス信号(トランスミ
ッションやディファレンシャルギヤのかみ合いによる騒
音に相関のある信号)をもとり込んだ多チャンネルであ
ってもよいし、これらの任意のものの組み合わせであっ
てもよい。
【0075】また更に、上記実施例では制御音源として
4つのラウドスピーカを、残留騒音源として8つのマイ
クロホンを適用した場合について説明したが、これらの
設定個数は任意に選択することができる。
【0076】なお更に、上記実施例においては、適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数の更新アルゴリズムと
しては、前述した時間領域のLMSアルゴリズムに限ら
ず、周波数領域のLMSアルゴリズム等他のアルゴリズ
ムを適用することができる。
【0077】
【発明の効果】制御アルゴリズム内に含まれる制御音源
と残留騒音検出手段との間の伝達関数を乗員に不快感を
与えること無く、適宜更新することにより、最適な騒音
低減効果を発揮することができる能動型騒音制御装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略図である。
【図2】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図3】コントローラの第1実施例を示すフローチャー
トである。
【図4】コントローラの第2実施例を示すフローチャー
トである。
【図5】コントローラの第3実施例を示すフローチャー
トである。
【図6】従来例に係るブロック図である。
【符号の説明】
4 エンジン(騒音源) 5 クランク角センサ(騒音発生状態検出手段) 7a ラウドスピーカ(制御音源) 7b ラウドスピーカ(制御音源) 7c ラウドスピーカ(制御音源) 7d ラウドスピーカ(制御音源) 8a マイクロホン(残留騒音検出手段) 8b マイクロホン(残留騒音検出手段) 8c マイクロホン(残留騒音検出手段) 8d マイクロホン(残留騒音検出手段) 8e マイクロホン(残留騒音検出手段) 8f マイクロホン(残留騒音検出手段) 8g マイクロホン(残留騒音検出手段) 8h マイクロホン(残留騒音検出手段) 10 コントローラ(制御手段) 16 マイクロプロセッサ(伝達関数更新手段) 21 イグニッションスイッチ 25 テスト信号発生器(テスト信号発生手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音に干渉させる制御音を発生して評価
    点の騒音低減を図る制御音源と、前記干渉後の所定位置
    の残留騒音を検出する手段と、騒音源の騒音発生状態に
    関する信号を検出する手段と、前記残留騒音検出手段の
    出力信号と騒音発生状態検出手段の出力信号とに基づき
    前記制御音源と残留騒音検出手段との間の伝達関数を含
    む制御アルゴリズムを用いて前記制御音源を駆動する信
    号を出力する制御手段とを備えた能動型騒音制御装置で
    あって、前記騒音源の始動時に前記制御音源にテスト信
    号を供給するテスト信号発生手段と、前記テスト信号に
    より制御音源から発生されるテスト音及びテスト信号供
    給時に前記残留騒音検出手段が検出した残留騒音に基づ
    いて前記補正伝達関数を演算する手段と、前記制御アル
    ゴリズムの前記伝達関数を前記伝達関数演算手段が演算
    した補正伝達関数に更新する手段とを備えたことを特徴
    とする能動型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の能動型騒音制御装置
    であって、前記制御音源を複数有し、前記制御音源群を
    複数のグループに分割し、前記テスト信号発生手段は前
    記騒音源の1回の始動で前記グループの1つにテスト信
    号を供給し、前記伝達関数演算手段は前記制御音源の各
    グループについて各別に伝達関数を求める演算を行うこ
    とを特徴とする能動型騒音制御装置。
JP17540891A 1991-07-16 1991-07-16 能動型騒音制御装置 Pending JPH0516889A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018127942A1 (ja) * 2017-01-04 2018-07-12 三菱電機株式会社 スピーカの異常診断装置および異常診断方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018127942A1 (ja) * 2017-01-04 2018-07-12 三菱電機株式会社 スピーカの異常診断装置および異常診断方法

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