JP2674252B2 - 能動型騒音制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置

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JP2674252B2 JP1341907A JP34190789A JP2674252B2 JP 2674252 B2 JP2674252 B2 JP 2674252B2 JP 1341907 A JP1341907 A JP 1341907A JP 34190789 A JP34190789 A JP 34190789A JP 2674252 B2 JP2674252 B2 JP 2674252B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、能動型騒音制御装置に係り、特に騒音が
伝達される所定空間を複数の領域に分割し、各領域毎に
隣接する領域の制御音の影響を除去する制御音を発生さ
せて騒音を低減させるようにしたもので、車両の車室や
航空機の客室などの騒音低減に好適な騒音制御装置に関
する。
〔従来の技術〕
従来、この種の能動型騒音制御装置としては、例えば
英国公開特許公報第2149614号記載の装置が知られてい
る。
この従来装置は、航空機の客室やこれに類する閉空間
に適用され、その外部に位置するエンジン等の単一の騒
音源(一次音源)は基本周波数f0及びその高調波f1〜fn
を含む音響を発生するという条件下において作動するも
のである。具体的には、上記従来装置は、閉空間内に設
置された複数のラウドスピーカ(二次音源)及びマイク
ロフォンと、騒音源の周波数f0〜fnを検出する周波数検
出手段と、複数のマイクロフォンの出力信号及び周波数
検出手段の検出信号とに基づき,検出周波数f0〜fnと逆
位相の信号を複数のラウドスピーカに供給する信号処理
器とを備えており、これにより、ラウドスピーカから発
生される二次音と騒音源から伝達した一次音とが干渉し
て閉空間内の音圧レベルを最小にするようにしている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来の能動型騒音制御装置にあっ
ては、1つの閉空間内に複数の制御音源(ラウドスピー
カ)及び複数のマイクロフォンを配置し、これらを1つ
の制御装置で制御するようにしているので、閉空間全体
としては騒音の低減を行うことができるが、局所的には
必ずしも騒音の低減が行われない場合があり、例えばレ
ベルの大きな騒音が局所的に生じたときには、この騒音
を低減するために全体として大きな制御音を出力するこ
とになり、他の場所では騒音がむしろ増大することにな
るという未解決の課題があった。
そこで、この発明は、上記従来例の未解決の課題に着
目してなされたものであり、所定空間を複数の領域に分
割し、各分割領域で隣接する分割領域からの制御音の影
響を除去することにより、分割領域の夫々で騒音低減効
果を発揮することができる能動型騒音制御装置を提供す
ることを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、請求項(1)に係る能動
型騒音制御装置は、所定空間内で騒音源から伝達される
騒音と制御音源から発生させた制御音とを干渉させて騒
音を低減させるようにした能動型騒音制御装置におい
て、前記騒音源の騒音発生状態に関する信号を検出する
騒音発生状態検出手段を設けると共に、前記所定空間を
複数の領域に分割し、各分割領域毎に、制御音源と、残
留騒音を検出する残留騒音検出手段と、前記騒音発生状
態検出及び残留騒音検出手段の検出信号に基づいて所定
の演算処理を行って前記制御音源を駆動する駆動信号を
算出し、これを出力する制御手段と、該制御手段の駆動
信号を隣接する分割領域の駆動信号に基づいて補正する
駆動信号手段とを備えている。
また、請求項(2)に係る能動型騒音制御装置は、前
記駆動信号補正手段は、予め自己の領域の制御音源及び
隣接する分割領域の制御音源と自己の残留騒音検出手段
との関の伝達関数Hii及びHjiを夫々求め、両者の比Hji/
Hiiに隣接する分割領域の制御手段から出力される駆動
信号を乗じた値を補正値として自己の制御手段から出力
される駆動信号から減算して補正駆動信号を得るように
構成されている。
さらに、請求項(3)に係る能動型騒音制御装置は、
所定空間を車両の車室とし、分割領域を各座席毎に分割
領域を設定するか又は前部側座席と後部側座席で分割領
域を設定するようにしている。
またさらに、請求項(4)に係る能動型騒音制御装置
は、各座席に乗員検出手段を設け、該乗員検出手段で乗
員を検出した領域についてのみ制御手段及び駆動信号補
正手段を作動させるよう構成されている。
なおさらに、請求項(5)に係る能動型騒音制御装置
は、残留騒音検出手段が指向性マイクロフォンで構成さ
れ、指向性の強い方向を各領域で支配的な騒音源方向に
一致させた構成を有する。
〔作用〕
請求項(1)に係る能動型騒音制御装置においては、
例えば自動車の車室空間を前部座席側と後部座席側とに
分割し、両分割領域毎に、制御手段で、騒音発生状態検
出手段及び残留騒音検出手段の検出信号に基づいて残留
騒音検出手段位置での騒音が最小となるように駆動信号
を形成すると共に、駆動信号補正手段で、駆動信号に対
して隣接する領域での制御音源の制御音の影響を除去す
る補正を行うことにより、各分割領域で隣接する分割領
域での制御音の影響を受けることなく騒音の低減を行う
ことができる。
また、請求項(2)に係る能動型騒音装置において
は、例えば自動車の車室空間を全部座席側及び後部座席
側とに分割したものとすると、各分割領域の駆動信号補
正手段で、予め求めた前部座席側領域の残留騒音検出手
段と前部座席側領域及び後部座席側領域の制御音源との
間の伝達関数を夫々H11及びH21とし、後部座席側領域の
残留騒音検出手段と前部座席側領域及び後部座席側領域
の制御音源との間の伝達関数を夫々H12及びH22とし、前
部座席側領域及び後部座席側領域の制御手段から出力さ
れる駆動信号を夫々X1及びX2とすると、前部座席側領域
の駆動信号補正手段での補正値は(H21/H11)X2とな
り、後部座席側領域の駆動信号補正手段での補正値は
(H12/H22)X1となり、補正後の補正駆動信号及び
は、=X1−(H21/H11)X2及び=X2−(H12
/H22)X1となる。このため、前部座席側領域の残留騒音
検出手段で検出する残留騒音検出信号Y1は、Y1=H11
+H21 ={H11−(H12・H21/H22)}X1となり、後
部座席側領域の駆動信号X2の影響が除去されたものとな
る。同様に、後部座席側領域の残留騒音検出手段で検出
残留騒音検出信号Y2は、Y2=H22 +H12 ={H22
−(H12・H21/H22)}X2となり、前部座席側領域の駆動
信号X1の影響が除去されたものとなる。したがって、各
分割領域で他の分割領域の制御音に影響されることなく
独立に騒音低減処理を行うことができる。
さらに、請求項(3)に係る能動型騒音制御装置にお
いては、車室空間を各座席を含む領域又は前部座席側及
び後部座席側に分割することにより、分割領域毎に独立
して騒音低減処理を行うことができ、個々の座席の乗員
に対して最適な騒音低減処理を行うことができる。
またさらに、請求項(4)に係る能動型騒音制御装置
においては、各座席に乗員検出手段を設けることによ
り、乗員が検出された座席を含む分割領域のみ騒音低減
処理を行うことにより、無用な騒音低減処理を防止す
る。
なおさらに、請求項(5)に係る能動型騒音制御装置
においては、残留騒音検出手段を指向性マイクロフォン
で構成し、その指向性の強い方向を該当分割領域で支配
的な騒音源方向に一他させることにより、正確な残留騒
音を検出することができる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図はこの発明を前置きエンジン前輪駆動型の乗用
車に適用した場合の一実施例を示す構成図である。
図中、1は車体であって、その車室3が前部座席4Fを
含む前部座席側分割領域5Fと後部座席4Rを含む後部座席
側領域5Rとに分割されている。ここで、分割とは、厳密
に隔壁等によって区画されて分割されているものではな
く、車室空間を仮想空間に分割するという意味である。
各分割領域5F及び5Rには、オーディオ信号を出力する
制御音源としてのラウドスピーカ6F及び6Rが配置されて
いると共に、座席4F及び4Rに着席した乗員の耳近傍の位
置に残留騒音検出手段としてのマイクロフォン7F及び7R
が配置されている。
また、騒音源としてのエンジン8には、そのクランク
が180度回転する毎に1つの検出パルスを基準信号とし
て出力する騒音発生状態検出手段としてのクランク角セ
ンサ9が配設されている。
そして、マイクロフォン7F及び7Rから出力される残留
騒音検出信号が夫々前席側プロセッサユニット10F及び
後席側プロセッサユニット10Rに入力されると共に、ク
ランク角センサ9から出力されるクランク角信号xが各
プロセッサユニット10F及び10Rに入力され、これらプロ
セッサユニット10F及び10Rから出力される駆動信号X1
びX2が駆動信号補正手段としての駆動信号補正回路11F
及び11Rに入力され、この駆動信号補正回路11F及び11R
から出力される補正駆動信号及びがラウドスピ
ーカ6F及び6Rに供給される。
ここで、プロセッサユニット10F及び10Rは、第2図に
示すように、入力される基準信号xをA/D変換して出力
するA/D変換回路22と、このA/D変換回路22の出力信号を
基準信号xとして入力するディジタルフィルタ24及び適
応ディジタルフィルタ26と、マイクロフォン7F及び7Rか
らのアンプ28によって増幅された残留騒音検出信号y1
びy2をA/D変換するA/D変換器30と、このA/D変換器30に
よる変換信号及び前記ディジタルフィルタ24の出力信号
を入力するマイクロプロセッサ34と、適応ディジタルフ
ィルタ26の処理信号をD/A変換するD/A変換器36と、その
出力を増幅してラウドスピーカ6F及び6Rに出力するアン
プ38とを備えている。
ここで、ディジタルフィルタ24は、基準信号sを入力
し、マイクロホン及びスピーカ間の伝達関数の組合せ数
に応じて、フィルタ処理された基準信号rlm(後述する
第(4),(5)式参照)を生成するものであり、適応
ディジタルフィルタ26は機能的にはスピーカ6F及び6Rへ
の出力チャンネル数に応じたフィルタを個々に有し、基
準信号sを入力し、その時点で設定されているフィルタ
係数に基づき畳込み処理を行ってスピーカ駆動信号x1
出力するものである。マイクロプロセッサ34は、残留騒
音検出信号y1及びy2並びにフィルタ処理された基準信号
rlmを入力し、適応フィルタ26のフィルタ係数をLMSアル
ゴリズムを用いて変更するようになっている。
ここで、各プロセッサユニット10F及び10Rの制御原理
を一般式を用いて説明する。今、l番目のマイクロホン
7F及び7Rが検出した残留騒音検出信号をyl(n)、ラウ
ド・スピーカ6F及び6Rからの制御音(二次音)が無いと
きのl番目のマイクロホン7F及び7Rが検出した残留騒音
検出信号をypl(n)、m番目のラウドスピーカ6F及び6
Rとl番目のマイクロホン7F及び7Rとの間の伝達関数Hlm
をFIR(有限インパルス応答)関数で表したときのj番
目(j=0,1,2……Ic−1)の項に対応するフィルタ係
数をClmi、基準信号をs(n)、基準信号s(n)を入
力しm番目のラウドスピーカ6F及び6Rを駆動する適応フ
ィルタのi番目(i=0,1,2……Ik−1)の係数をWmi
すると、 が成立する。ここで、(n)が付く項は、何れもサンプ
リング時刻nのサンプル値であり、また、Lはマイクロ
ホン7F及び7Rの数(本実施例では1個)、Mはラウドス
ピーカ6F及び6Rの数(本実施例では1)、IcはFIRディ
ジタルフィルタで表現されたフィルタ係数Clmのタップ
数(フィルタ次数)、Ikは適応フィルタWmのタップ数
(フィルタ次数)である。
上式(1)中、右辺の「Σ Wmi・s(n−j−
j)}」(=xm)の項は適応フィルタ26に基準信号sを
入力したときの出力を表し、「ΣClmj・{ΣWmi・s
(n−j−j)}」の項はm番目のスピーカ6F及び6Rの
入力された信号エネルギがこれらスピーカ6F及び6Rから
音響エネルギとして出力され、車室3内の伝達関数Hlm
を経てl番目のマイクロホン7F及び7Rに到達したときの
信号を表し、さらに、「Σ Σ Clmj・{Σ Wmi・s
(n−j−j)}」の右辺全体は、l番目のマイクロホ
ン7F及び7Rへの到達信号を全スピーカについて足し合わ
せているから、l番目のマイクロホン7F及び7Rに到達す
る二次音の総和を表す。
次いで、評価関数(最小にすべき変数)Jeを、 とおく。
そして、評価関数Jeを最小にするフィルタ係数Wmを求
めるために、本実施例ではLMSアルゴリズムを採用す
る。つまり、評価関数Jeを各フィルタ係数Wmiについて
偏微分した値で当該フィルタ係数Wmiを更新する。
そこで、(2)式より、 となるが、(1)式より となるから、この(4)式の右辺をrlm(n−i)とお
けば、フィルタ係数の書換え式は重み係数γも含めた
形で以下の(5)式により得られる。
ここで、αは収束係数であり、フィルタが最適に収束
する速度や、その際の安定性に関与する。なお、収束係
数αを本実施例では一つの定数のように扱っているが、
各フィルタ係数毎に異なる収束係数(αmi)とすること
もできるし、また重み係数γを一緒に取り込んだ係数
(α)として演算することもできる。
このように、適応フィルタ26のフィルタ係数Wmi(n
+1)をマイクロフォン7F及び7Rから出力される残留騒
音検出信号y1(n)及びy2(n)の出力とクランク角セ
ンサ9の基準信号s(n)に基づいてLMS(Least Mean
Square)適応アルゴリズムに従って順次更新することに
より、入力される残留騒音検出信号y1(n)及びy
2(n)が常に最小となるように駆動信号x1(n)及びx
2(n)が形成され、これがラウドスピーカ6F及び6Rに
供給されてこれらから出力される制御音によって騒音が
相殺される。
ところが、各領域においては、自己の領域内のマイク
ロフォン7F及び7Rに自己の領域内のラウドスピーカ6F及
び6Rの他隣接する領域のラウドスピーカ6R及び6Fの制御
音が入力されるので、この隣接する領域からの制御音の
影響を除去するために、各駆動信号X1及びX2(信号を周
波数域で表している)が駆動信号補正回路11F及び11Rに
供給される。一方の駆動信号補正回路11Fは、プロセッ
サユニット10Rから出力される駆動信号X2(信号を周波
数域であらわしている)が入力され、この駆動信号X2
予め設定されたラウドスピーカ6Rとマイクロフォン7Fと
の間の伝達関数H21をラウドスピーカ6Fとマイクロフォ
ン7Fとの間の伝達関数H11で除去した値(H21/H11)を乗
算する演算回路12Fと、前記プロセッサユニット10Fから
出力される駆動信号X1から演算回路12Fの乗算出力を減
算する減算器13Fとで構成され、この減算器13Fから下記
(6)式で表される補正駆動信号が出力され、これ
がアンプ14Fで増幅されてラウドスピーカ6Fに供給され
る。
ここで、X1,X2,は各信号を周波数域で表したもの
であり、伝達関数H11,H21は予め測定されて設定され
る。これら伝達関数H11,H21を設定するには、第1図に
示すように、予め各ラウドスピーカ6F及び6Rに個別にホ
ワイトノイズ発生器15からホワイトノイズ信号を、低域
通過フィルタ16及びA/D変換器17を介してプロセッサユ
ニット10F及び10Rに個別に供給し、これらホワイトノイ
ズ信号によってラウドスピーカ6F及び6Rを個別に駆動
し、このときの各マイクロフォン7F及び7Rから出力され
る残留騒音検出信号に基づいて、ラウドスピーカ6Fとマ
イクロフォン7F及び7Rとの間の伝達関数H11,H21並びに
ラウドスピーカ6Rとマイクロフォン7F及び7Rとの間の伝
達関数H21,H22を設定する。
上記(6)式は周波数域の式なので、実際には次式で
リアルタイム演算を行う。
ここで、1,x1,x2及び は夫々1,X1,X2及びH21/H11を逆フーリエ変換したもの
で、サンプル番号nの関数、mはフィルタ次数である。
H11,H21は予め測定して設定されているので、H21/H11
を逆フーリエ変換した をメモリ上に格納しておけばよい。
上記(7)式の右辺第2項の演算回路12Fで行うたた
み込み演算は、第3図に示すFIRフィルタ21で容易に得
ることができる。すなわち、順次直列に接続されたN−
1個のレジスタD1,D2……DN-1と、入力信x2(n)にフ
ィルタ係数 を乗算する乗算器M0,遅延回路D1〜DN-1の出力に夫々フ
ィルタ係数 を乗算する乗算器M1〜MN-1とで構成され、各乗算器M0
MN-1の乗算出力が加算されることにより、(7)式の右
辺第2項を得ることができる。
なお、FIRフィルタ21でフィルタ係数 (m)がm<0で値を持つと実際上問題となることがあ
る。すなわち、因果的でないフィルタとなると未来の情
報が必要になるのであるが、本実施例では、 はH21/H22と等価であるが、第1図に示すように、伝達
関数H11より伝達関数H21の方が経路が長く、H21/H11
位相は必ず負となり、伝達関数の絶対位相が0゜より大
となることはないので、伝達関数 の出力は過去にのみ存在し、前記(3)式の演算はいつ
でも可能である。
したがって、ラウドスピーカ6F及び6Rとマイクロフォ
ン7F及び7Rとの配置は、自己の領域のスピーカ及びマイ
クロフォン間の距離が、マイクロフォンと隣接する他の
領域のスピーカとの距離より短く設定されている。
他方の駆動信号補正回路11Rについても、プロセッサ
ユニット10Fから出力される駆動信号X1に伝達関数の比H
12/H22を乗算する演算回路12Rと、前記プロセッサユニ
ット10Rから出力される駆動信号X1から演算回路12Rの乗
算出力を減算する減算器13Rとで構成され、この減算器1
3Rから下記(8)式で表される補正駆動信号が出力
され、これがアンプ14Rで増幅されてラウドスピーカ6F
に供給される。
この(4)式は周波数域であらわされているので、実
際には、演算回路12RとしてFIRフィルタを適用して次式
でリアルタイム演算を行う。
次に、上記実施例の動作を説明する。
エンジン8を始動すると、エンジン8の回転振動が車
体を介して車室3に伝わり、車室3内にこもり音として
残留する。このときのエンジン回転状態は、クランク角
センサ9によって検知され、エンジン8の回転数に対応
した基準信号sがプロセッサ・ユニット10F及び10Rに出
力される。
一方、マイクロフォン7F及び7Rはその設置位置(観測
点)に残留している音を検知し、これに応じた残留騒音
検出信号Y1及びY2と同様にプロセッサ・ユニット10F及
び10Rに出力する。
このため、プロセッサユニット10F及び10RでLMSアル
ゴリズムに従って、基準信号s及び残留騒音検出信号Y1
及びY2に基づいて残留騒音検出信号の自乗が最小となる
ように駆動信号出力値X1及びX2が形成され、これらが夫
々駆動信号補正回路11F及び11Rに供給される。
したがって、駆動信号補正回路11F及び11Rの乗算器12
F及び12Rで、隣接する領域5R及び5Fのプロセッサユニッ
ト10R及び10Fから出力される駆動信号X2及びX1に伝達関
数比H21/H11及びH12/H22を乗算して補正値A1及びA2を算
出し、算出された補正値A1及びA2を減算器13F及び13Rに
供給し、この減算器13F及び13Rでプロセッサユニット10
F及び10Rから出力される駆動信号X1及びX2から補正値A1
及びA2を減算して、駆動信号補正値及びを算出
し、この駆動信号補正値が及びをラウドスピー
カ6F及び6Rに供給する。これに応じてラウドスピーカ6F
及び6Rから個別に制御音が発せられ、この制御音によっ
てこもり音が相殺され、残留した騒音分が再度マイクロ
フォン7F(又は7R)で検出される。
ところで、領域5Fのマイクロフォン7Fには、自己の領
域のラウドスピーカ6Fからの制御音以外に隣接する領域
5Rのラウドスピーカ6Rからの制御音も入力されるので、
マイクロフォン7Fから出力される残留騒音検出信号Y
1(信号を周波数域で表している)は、下記(10)式で
表すことができる。
Y1=H11 +H21 …………(10) ここで、が及びはラウドスピーカ6F及び6Rに
入力される駆動信号補正値であるので、上記(10)式に
前記(6)式及び(8)式に代入することにより、残留
騒音検出信号Y1は、 で表すことができる。この(11)式から明らかなよう
に、領域5Fのマイクロフォン7Fから出力される残留騒音
検出信号Y1には、隣接する領域5Rのラウドスピーカ6Rか
ら発せられる制御音の影響を全く受けないことが理解で
きる。したがって、領域5Fで独立した騒音低減処理を行
うことができる。
同様に、領域5Rのマイクロフォン7Rから出力される残
留騒音検出信号Y2も下記(12)式で表すことができ、領
域5Fのラウドスピーカ6Fから発せられる制御音の影響を
受けることなく独立した騒音低減処理を行うことができ
る。
このように上記実施例では、車室3内の分割領域5F及
び5R毎に独立した騒音低減処理を行うことができ、各領
域の居住性をより向上させることができる。
なお、上記実施例においては、分割領域5F及び5Rに乗
員が存在するか否かにかかわらず独立した騒音低減処理
を行う場合について説明したが、これに限定されるもの
ではなく、前席及び後席の各シートに圧力センサ等の乗
員の有無を検出するシートセンサを配置し、前席側及び
後席側で乗員の不在を検出したときに、該当領域の騒音
低減処理を停止して、乗員が存在する領域のみ騒音低減
処理を行うようにすることもできる。
また、上記実施例においては、各分割領域に夫々一対
のラウドスピーカ6F及び6Rとマイクロフォン7F及び7Rを
設けた場合について説明したが、これに限定されるもの
ではなく、複数のラウドスピーカと複数のマイクロフォ
ンを配置することもでき、この場合には、プロセッサユ
ニット10F及び10Rで前記(4)式及び(5)式に基づい
て各マイクロフォンの残留騒音検出信号の自乗和が最小
となるように、各ラウドスピーカの駆動信号を形成する
と共に、駆動信号補正回路11F及び11Rで、各マイクロフ
ォンと各制御音源との間の伝達関数比Hji/Hiiを制御音
源に対する駆動信号Xiに乗算した補正値A1の総和を駆動
信号Xiから減算して駆動信号補正値を得るようにす
ればよい。
さらに、上記実施例においては、車室空間を前席側及
び後席側の2つの領域に分割した場合について説明した
が、これに限らず左席側及び右席側の2つの領域に分割
したり、全ての座席毎に分割することもでき、これらの
分割領域毎に少なくとも1つの制御音源及び残留騒音検
出手段を配置すると共に、制御手段及び駆動信号補正手
段を配置するようにすればよい。
なおさらに、上記実施例においては、駆動信号補正回
路11F及び11Rを設けた場合について説明したが、マイク
ロフォン7F及び7Rとして指向性の強いマイクロフォンを
適用し、その指向性の強い方向を各分割領域で支配的な
騒音源の方向に一致させようにしてもよく、この場合に
は残留騒音を正確に検出することができる。
また、この発明の能動型騒音制御装置は前述した実施
例のように車両の車室に適用する装置に限定されること
なく、例えば航空機のキャビンに適用する装置であって
もよいし、複数の空調用室外機の回転に起因した室内騒
音を低減させるように構成した装置とすることもでき
る。一方、前述した実施例では複数の騒音源が車室とい
う一種の閉じられた空間の外部に在る場合を説明した
が、この発明は騒音源がそのような閉空間の内部に配置
されている場合にも適用できる。
さらに、前述した実施例では騒音発生状態検出手段の
検出内容として、エンジン振動に起因したこもり音,排
気騒音に相関のあるクランク角信号、を用いる場合につ
いて説明したが、ロードノイズに相関のあるサスペンシ
ョン振動のピックアップ信号、ドアミラー付近における
風切り音のピックアップ信号、ディファレンシァルギヤ
やトランスミッションのケース振動に対するピックアッ
プ信号(駆動力伝達系のケース振動に起因した騒音に相
関のある信号)、車速計測用としてのトランスミッショ
ンの出力軸の回転に応じたパルス信号(トランスミッシ
ョンやディファレンシァルギヤの噛み合い因る騒音に相
関のある信号)をも取り込んだ多チャンネルであっても
よいし、これらの内の任意のものの組合せであってもよ
い。
さらにまた、この発明のフィルタ係数更新のアルゴリ
ズムは、前述した実施例記載のようなLMSアルゴリズム
のほか、例えば周波数領域のLMSアルゴリズムのように
評価関数を最小にするものであればよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、請求項(1)に係る能動型騒音
制御装置によれば、騒音源の騒音発生状態に関する信号
を検出する騒音発生状態検出手段を設けると共に、騒音
源からの騒音が伝達される所定空間を複数の領域に分割
し、各分割領域毎に、制御音源と、残留騒音検出手段
と、騒音発生状態検出手段及び残留騒音検出手段の検出
信号に基づいて制御音源を駆動する制御手段と、この制
御手段の駆動信号を隣接する分割領域の制御音に応じて
補正する駆動信号補正手段とを備えた構成としたので、
駆動信号補正手段で隣接する他の領域の制御音源から発
せられる制御音の影響を除去する補正駆動信号を得るこ
とができ、これを制御音源に入力することにより、各分
割領域毎に独立して騒音低減処理を行うことが可能とな
り、分割領域内での騒音低減効果をより向上させること
ができる効果が得られる。
また、請求項(2)に係る能動型騒音制御装置によれ
ば、駆動信号補正手段で、予め測定した自己の領域内の
残留騒音検出手段と自己の領域の制御音源及び隣接する
他の分割領域の制御音源との間の伝達関数Hii及びHji
比Hji/Hiiに隣接する分割領域の制御手段から出力され
る駆動信号を乗じた補正値を算出し、この補正値を自己
の制御手段から出力される駆動信号から減算して補正駆
動信号を得るように構成されているので、この補正駆動
信号によって制御音源を駆動することにより、残留騒音
検出手段から出力される残留騒音検出信号中に隣接する
分割領域の制御音源からの制御音による信号成分を含む
ことがなくなり、分割領域毎に独立した騒音低減処理を
行うことができる効果が得られる。
さらに、請求項(3)に係る能動型騒音制御装置によ
れば、所定空間を車室空間とし、この車室空間を座席に
応じた所定数に分割するようにしているので、分割され
た領域の座席に着席した乗員に対して最適な騒音低減処
理を行うことができる効果が得られる。
またさらに、請求項(4)に係る能動型騒音制御装置
によれば、各座席に乗員検出手段を設けることにより、
乗員が検出された座席を含む分割領域のみ騒音低減処理
を行うことができ、不要な分割領域の騒音低減処理を省
略することができる効果が得られる。
なおさらに、請求項(5)に係る能動型騒音制御装置
によれば、残留騒音検出手段を指向性マイクロフォンで
構成し、その指向性の強い方向を該当分割領域で支配的
な騒音源方向に一致させることにより、残留騒音を正確
に検出することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す概略構成図、第2図
はプロセッサユニットの一例を示すブロック図、第3図
はFIRフィルタを示すブロック図である。 図中、1は車体、3は車室(所定空間)、4Fは前部座
席、4Rは後部座席、5Fは前部座席側分割領域、5Rは後部
座席側分割領域、6F,6Rはラウドスピーカ(制御音
源)、7F,7Rはマイクロフォン(残留騒音検出手段)、
8はエンジン(騒音源)、9はクランク角センサ(騒音
発生状態検出手段)、10F,10Rはプロセッサユニット
(制御手段)、11F,11Rは駆動信号補正回路(駆動信号
補正手段)、12F,12Rは乗算回路、13F,13Rは減算器、22
は周波数−電圧変換回路、24はディジタルフィルタ、26
は適応ディジタルフィルタ、34はマイクロプロセッサで
ある。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定空間内で騒音源から伝達される騒音と
    制御音源から発生させた制御音とを干渉させて騒音を低
    減させるようにした能動型騒音制御装置において、前記
    騒音源の騒音発生状態に関する信号を検出する騒音発生
    状態検出手段を設けるとと共に、前記所定空間を複数の
    領域に分割し、各分割領域毎に、制御音源と、残留騒音
    を検出する残留騒音検出手段と、前記騒音発生状態検出
    手段及び残留騒音検出手段の検出信号に基づいて所定の
    演算処理を行って前記制御音源を駆動する駆動信号を演
    算し、これを出力する制御手段と、該制御手段の駆動信
    号を隣接する分割領域の駆動信号に基づいて補正する駆
    動信号補正手段とを備えたことを特徴とする能動型騒音
    制御装置。
  2. 【請求項2】前記駆動信号補正手段は、予め自己の領域
    の制御音源及び隣接する分割領域の制御音源と自己の残
    留騒音検出手段との間の伝達関数Hij及びHjiを夫々求
    め、両者の比Hji/Hiiに隣接する分割領域の制御手段か
    ら出力される駆動信号を乗じた値を補正値として自己の
    制御手段から出力される駆動信号から減算して補正駆動
    信号を得るように構成されている請求項(1)記載の能
    動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】所定空間が車両の車室であり、分割領域が
    各座席毎又は前部座席と後部座席である請求項(1)又
    は(2)に記載の能動型騒音制御装置。
  4. 【請求項4】各座席に乗員検出手段を設け、該乗員検出
    手段で乗員を検出した領域についてのみ制御手段及び駆
    動信号補正手段を作動させるようにした請求項(3)記
    載の能動型騒音制御装置。
  5. 【請求項5】残留騒音検出手段が指向性マイクロフォン
    で構成され、指向性の強い方向を各領域で支配的な騒音
    源方向に一致させたことを特徴とする請求項(1)に記
    載の能動型騒音制御装置。
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