JPH08101692A - アクティブコントロール装置 - Google Patents

アクティブコントロール装置

Info

Publication number
JPH08101692A
JPH08101692A JP6237315A JP23731594A JPH08101692A JP H08101692 A JPH08101692 A JP H08101692A JP 6237315 A JP6237315 A JP 6237315A JP 23731594 A JP23731594 A JP 23731594A JP H08101692 A JPH08101692 A JP H08101692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control
control device
value
neural network
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6237315A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3550751B2 (ja
Inventor
Paru Chinmoi
パル チンモイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP23731594A priority Critical patent/JP3550751B2/ja
Publication of JPH08101692A publication Critical patent/JPH08101692A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3550751B2 publication Critical patent/JP3550751B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車の音振状態をニューラルネットを用い
た制御装置により的確に制御する。 【構成】 自動車の音振状態を制御するアクチュエータ
(7)と、自動車の音振状態を検出する音振状態検出手
段(3)と、前記音振状態検出手段(3)の出力が入力
され、前記アクチュエータ(7)を制御する信号を出力
すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目
標値と比較することにより結合荷重の修正を行なうニュ
ーラルネットを用いた制御装置(11)とよりなり、制
御装置(11)は探索領域を大きさの異なった多領域に
分割し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を
選んで極小値を各領域で検出し、この極小値の中から最
小値を算出して次回の初期値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の車室内騒音
や車体振動を能動的に低減するアクティブコントロール
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のアクティブコントロール
装置としては、例えば英国公開特許公報第214961
4号記載の図30に示す能動型騒音制御装置がある。
【0003】この従来装置は航空機の客室やこれに類す
る閉空間に適用されるもので、閉空間101内にラウド
スピーカ103a,103b,103cおよびマイクロ
フォン105a,105b,105c,105dを備え
ており、ラウドスピーカ103a,103b,103c
によって騒音に干渉させる制御音を発生し、マイクロフ
ォン105s,105b,105c,105dによって
残差信号(残留騒音)を測定するようになっている。こ
れらラウドスピーカ103a,103b,103c、マ
イクロフォン105a,105b,105c,105d
は信号処理機107に接続されており、信号処理機10
7は基本周波数測定手段によって測定した騒音源の基本
周波数とマンクロホン105a,105b,105c,
105dからの入力信号とを受けとり、閉空間101内
の音圧レベルを最小にするようにラウドスピーカ103
a,103b,103cに制御音信号を出力するもので
ある。
【0004】ここで閉空間101内には、3個のラウド
スピーカ103a,103b,103cと4個のマイク
ロフォン105a,105b,105c,105dが設
けられているが、説明を単純化するため、それぞれ10
3a,105aの一個ずつ設けられているものとする。
【0005】今、騒音源からマイクロフォン105aま
での伝達関数をHとし、ラウドスピーカ103aからマ
イクロフォン105aまでの伝達関数をCとし、騒音源
が発生する音源情報信号をXp とすると、マイクロフォ
ン105aで観測される残差信号Eは、 E=Xp ・H+Xp ・G・C となる。ここで、Gは、消音するために必要な伝達関数
である。消音対象点において、騒音が完全に打ち消され
てとき、E=0となる。このときGは、 G=−H/C となる。そして、マイク検出信号Eが最小となるGを求
め、このGに基づいて信号処理機107内のフィルター
係数を適応的に更新するようにしている。マイク検出信
号Eを最小にするようフィルター係数を求める手段とし
て、最急降下法の一種であるLMSアルゴリズム(Le
ast Mean Square)などがある。
【0006】また、図30のように、マイクロフォンが
複数設置されている場合には、各マイクロフォン105
a,105b,105c,105dで検出した信号の総
和が最小となるように制御される。
【0007】そして、上記のような制御によって、例え
ば図31の(a)のような車室内籠り音に対して(b)
のような逆相の相殺音を出力し、(c)のように籠り音
を相殺音で打ち消す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来装
置は、正弦成分などの定状確定信号からなる単一の騒音
源、例えばエンジンから発生される騒音を低減する場合
には効果的である。
【0009】しかしながら、走行中の自動車の車室内騒
音は、エンジン回転に伴なう騒音、サスペンションから
伝達されるロードノイズ、風切り音、排気音など種々の
ものが存在し、しかも、ランダムな性質のものが多い。
従って、エンジン回転に伴なう騒音の正弦成分のみを基
準信号として騒音制御をしたのでは制御対象以外の騒音
成分が演算の度に加算されて発散を招く恐れがあり、こ
の場合はかえって騒音レベルの悪化を招くことがある。
【0010】また、アクティブコントロール装置は、上
記図30の能動型騒音制御装置以外に、サスペンション
の振動制御などにも応用することができるが、サスペン
ションの振動入力はランダムな性質を有しており、これ
を適格に制御することは困難であった。
【0011】このため、本願出願人はニューラルネット
を用いた制御装置を採用することにより、複数の騒音原
からの騒音が連成され、かつランダムな性質を有してい
ても、的確な騒音制御を図ることができ、またランダム
な振動であってもこれを的確に制振することのできるア
クティブコントロール装置をすでに出願している(特願
平5−5785参照)。
【0012】ところで、このようなニューラルネットワ
ークを用いたアクティブコントロール装置では低周波数
領域において有効であるにしても、高周波数領域での非
線形性の強いシステムに対して、同定学習速度及び制御
精度の向上に限界を招いていた。
【0013】これをさらに説明すると、ニューラルネッ
トワークを用いた制御装置では、一般に最急降下法LM
S(Least Mean Square)などのアル
ゴリズムを用いて、ニューラルネットワークの出力値か
ら算出できる誤差評価関数の最小値を求め、ニューラル
ネットワークの制御パラメータの調整を行なうようにし
ている。
【0014】しかし、ニューラルネットワークの誤差評
価関数が示す誤差曲面にはグローバルな最小値の他に、
数多くのローカルな極小値が存在しランダムな抽出を行
なうためたまたま抽出によりローカルな極小値を見つけ
るとそこに収束してしまうものとなる。このため、検出
した値がローカルな極小値かグローバルな最小値かの判
断ができず、制御パラメータの調整に限界を招いていた
からである。
【0015】これに対して、最近ではもとの信号に雑音
(ノイズ)を入れてグローバルな最小値が得られるニュ
ーラルネットワークのアルゴリズムが発表されている
(USP284152参照)。これはもとの信号に一定
レベルの周波数でノイズを入れ、このノイズの度合いを
次第に小さくすることにより、グローバルな最小値を得
るようにしたものである。
【0016】しかしながら、どの程度のレベルのノイズ
を入たらいいのか、あるいはどの程度小さくしていった
らいいのかを一義的に決めることが出来ず、場合によっ
ては最小値が得られない恐れがある。
【0017】そこで、この発明はニューラルネットを用
いたアクティブコントロール装置でありながら、的確な
学習速度と制御精度とを達成することの出来るアクティ
ブコントロール装置の提供を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記、課題を解決するた
めに請求項1の発明は、出力値と制御目標値との比較に
より制御パラメータを修正するニューラルネットを用い
た制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータ
の初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値
に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの
許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記
各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選ん
で制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検
出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算
出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なう
ことを特徴とする。
【0019】請求項2の発明は、音又は振動状態の少な
くとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状
態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前
記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエ
ータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に
基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制
御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御
装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初
期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対
する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの
許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記
各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選ん
で制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域
で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値
を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行
なうことを特徴とする。
【0020】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御
装置は、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダ
ムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし
て前記各領域での検出を、複数回繰り返すことを特徴と
する。
【0021】請求項4の発明は、請求項3記載のアクテ
ィブコントロール装置であって、前記制御装置は、前記
各領域での前記カウント数の繰り返しによる検出値に応
じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴
とする。
【0022】請求項5の発明は、請求項3記載のアクテ
ィブコントロール装置であって、前記制御装置は、前記
各領域で前記カウント数の繰り返し中に極小値が得られ
ないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録
し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴と
する。
【0023】請求項6の発明は、請求項3記載のアクテ
ィブコントロール装置であって、前記制御装置は、前記
各領域での前記カウント数の繰り返しによる検出値に応
じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値
の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴
とする。
【0024】請求項7の発明は、請求項1〜請求項6記
載のアクティブコントロール装置であって、前記制御パ
ラメータは、前記ニューラルネットの結合荷重を学習す
るときの学習の割合であることを特徴とする。
【0025】請求項8の発明は、請求項1〜請求項7記
載のアクティブコントロール装置であって、前記ニュー
ラルネットは、前記領域の個数であるステップ数に応じ
て複数並列に備えられていることを特徴とする。
【0026】請求項9の発明は、請求項2〜請求項8の
いずれかに記載のアクティブコントロール装置であっ
て、前記アクチュエータは、自動車の車室内騒音に干渉
させる制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であ
り、前記音振状態検出手段は、自動車の車室内の騒音状
態を検出する騒音状態検出手段であることを特徴とす
る。
【0027】請求項10の発明は、請求項2〜請求項8
のいずれかに記載のアクティブコントロール装置であっ
て、前記アクチュエータは、自動車のサスペンションに
制御力を与えて振動低減を図る制振装置であり、前記音
振状態検出手段は、自動車のサスペンションの振動状態
を検出する振動状態検出手段であることを特徴とする。
【0028】請求項11の発明は、請求項2〜請求項1
0のいずれかに記載のアクティブコントロール装置であ
って、前記制御装置のニューラルネットは、制御ニュー
ラルネットと同定ニューラルネットとからなり、前記制
御ニューラルネットは、前記音振状態検出手段の出力が
入力されて前記アクチュエータを制御する信号を出力
し、前記同定ニューラルネットは、予め同定した前記ア
クチュエータの制御による自動車の応答に基づき前記制
御予測値を出力することを特徴とする。
【0029】請求項12の発明は、請求項2〜請求項1
1のいずれかに記載のアクティブコントロール装置であ
って、前記制御装置は、前記音振状態検出手段が検出し
た現時点よりも前のデータとして、少なくとも前記アク
チュエータの制御信号を入力するニューロン素子を有し
て現時点のアクチュエータの制御信号を出力し、前記検
出時点よりも後の制御予測値を予測して出力することを
特徴とする。
【0030】
【作用】上記手段の請求項1の発明のよれば、ニューラ
ルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との
比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、
制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定
し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計
算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割
し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのラ
ンダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の
極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の
中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として
前記修正を行なうことができる。
【0031】すなわち、制御パラメータの許容範囲を複
数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、その
うち最も小さいものを最小値として算出するため、ロー
カルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小
値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができ
る。
【0032】請求項2の発明では、音振状態検出手段が
対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力
されるとニューラルネットによって生成された信号が出
力される。この信号出力によって、アクチュエータが対
象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットに
より出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御
予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラル
ネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネ
ットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、
制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値
での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算
し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、
前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダ
ムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極
小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中
から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前
記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわ
ち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正す
る際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中
から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束す
ることがなく、グローバルな最小値を的確に求めること
ができる。そして、このグローバルな最小値によって制
御パラメータの修正を的確に行なうことができる。
【0033】請求項3の発明では、請求項1又は請求項
2記載の発明の作用に加え、各領域での極小値の検出に
際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各
々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回
繰り返すことができる。したがってグローバルな最小値
を求める確率が増大する。
【0034】請求項4の発明では、請求項3の発明の作
用に加え、各領域でカウント数の繰り返しによる検出値
に応じて前記各領域でのカウント数を変更することがで
きる。したがって、検出値が収束しない領域の場合に
は、次第にカウント数を減らすことができる。
【0035】請求項5の発明では、請求項3の発明の作
用に加え、各領域でカウント数の繰り返しにより検出値
が収束しないとき、該当する領域を制約リストに登録し
当該領域での極小値の検出を中止することができる。し
がって、極小値が得られる可能性のある領域にしぼって
検出を続行することができる。
【0036】請求項6の発明では、請求項3の発明の作
用に加え、各領域でのカウント数の繰り返しによる検出
値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな
値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことがで
きる。したがって各領域で、検出値がより収束する方向
に制御パラメータのランダムな値をとることができる。
【0037】請求項7の発明では、請求項1〜請求項6
のいずれかの発明の作用に加え、制御パラメータとして
ニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習の割
合とすることができる。したがって最小値の検出に際し
て、学習の割合を適宜選択することができる。
【0038】請求項8の発明では、請求項1〜請求項7
のいずれかの発明の作用に加え、ニューラルネットを領
域の個数であるステップ数に応じて複数並列に備えるこ
とができる。したがって各領域ごとに、各々のニューラ
ルネットによって探索を行なうことができる。
【0039】請求項9の発明では、請求項2〜請求項8
のいずれかの発明の作用に加え、騒音状態検出手段が車
室内の騒音状態を検出すると、その出力が制御装置に入
力されニューラルネットによって生成された信号が出力
される。この出力信号によって、制御音源が制御され自
動車の車室内騒音に干渉させる制御音を発生して、騒音
低減を図ることができる。またニューラルネットによ
り、出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御
予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラル
ネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネ
ットの学習を行なうことができる。すなわちランダムな
性質を有する騒音であっても、ニューラルネットを用い
て正確にコントロールすることができる。
【0040】請求項10の発明では、請求項2〜請求項
8のいずれかの発明の作用に加え、振動状態検出手段が
サスペンションの振動状態を検出すると、その出力が制
御装置に入力され、ニューラルネットにより生成された
信号が出力される。この出力信号によって、制振装置が
制御され自動車のサスペンションに制御力が与えられ
て、振動低減を図ることができる。またニューラルネッ
トによって、前記出力信号に基づく制御予測値が出力さ
れ、制御目標値と比較することによりニューラルネット
の制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの
学習を行なうことができる。すなわち、ランダムな性質
を有するサスペンション振動をニューラルネットを用い
てコントロールすることができる。
【0041】請求項11の発明では、請求項2〜請求項
10のいずれかの発明の作用に加え、音振状態検出手段
の出力が制御ニューラルネットに入力され、アクチュエ
ータを制御する信号が出力される。また、同定ニューラ
ルネットは予め同定した自動車の応答に基づき制御予測
値を出力することができる。したがって同定ニューラル
ネットから出力された制御予測値を制御目標値と比較す
ることにより、制御ニューラルネットの制御パラメータ
の修正を行ないニューラルネットの学習を行なうことが
できる。すなわち、同定ニューラルネットの採用により
制御ニューラルネットの制御パラメータを修正するため
の制御予測値を正確に出力することができる。
【0042】請求項12の発明では、請求項2〜請求項
11のいずれかの発明の作用に加え、制御装置におい
て、音振状態検出手段が検出した現時点よりも前のデー
タとして少なくともアクチュエータの制御信号を入力
し、現時点のアクチュエータの制御信号が出力される。
また検出時点よりも後の制御予測値を予測して出力する
ことができる。すなわちアクチュエータの制御信号は、
過去のデータに基づいて出力され、かつ制御予測値が予
測して出力されるので、ランダムな性質を有する騒音や
振動に適応させることができる。
【0043】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0044】図1は、この発明の第1実施例に係るアク
ティブコントロール装置を適用したアクティブノイズコ
ントロール装置の全体を示す概略図である。
【0045】図1で示す車室1内は、エンジンからの騒
音、サスペンションからのロードノイズ、マフラからの
排気音、更には風切り音、車体パネルの振動などが合成
され、非線形の連成空間を構成している。このような連
成空間としての車室1内の音振状態として、騒音状態を
検出するために、音振状態検出手段(騒音状態検出手
段)であるマイクロフォン3及びピエゾ素子センサ5が
設けられている。
【0046】自動車の音振状態を制御するアクチュエー
タとしては、自動車の車室1内騒音に干渉させる制御音
を発生して騒音低減を図る制御音源であるラウドスピー
カ7が設けられている。
【0047】また、この実施例では、自動車の音振状態
を制御するアクチュエータとして車体パネルに外力を加
えて車体の振動モードを制御するピエゾ素子アクチュエ
ータ9が設けられている。
【0048】そして、マイクロフォン3、ピエゾ素子セ
ンサ5の出力は、ニューラルネットを用いた制御装置1
1に入力され、制御装置11は、ラウドスピーカ7、ピ
エゾ素子アクチュエータ9を制御する信号を出力するよ
うになっている。
【0049】同時に当該出力信号に基づく制御予測値を
制御目標値と比較することにより、ニューラルネットの
パラメータ、例えば結合荷重の修正を行なう構成となっ
ている。
【0050】なお、この実施例では、前記のように車室
1内の騒音を制御するためにマイクロフォン3、ラウド
スピーカ7の他に、ピエゾ素子センサ5、ピエゾ素子ア
クチュエータ9を設けているが、これは、車室1内の騒
音は車体の振動応答と車室1内の音場との連成となるか
らである。
【0051】また、マイクロフォン3、ピエゾ素子セン
サ5、ラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ
9は、説明簡単のために各1個のみ設けられているもの
としているが、例えば、これらを複数とし、マイクロフ
ォン3は各座席のヘッドレスト位置にそれぞれ設け、ラ
ウドスピーカ7は車両の前席及び後席に対応する左右ド
ア部にそれぞれ配置し、ピエゾ素子センサ5及びピエゾ
素子アクチュエータ9は車体ルーフ、左右ドア部などに
分散して設けることもできる。
【0052】図2は、前記制御装置11を示す概略ブロ
ック図である。即ち、制御装置11は、制御ニューラル
ネット13と、同定ニューラルネット15と、評価・調
整部17と、遅延器19と、図示しないが記憶部等を備
えている。
【0053】前記制御ニューラルネット13は、マイク
ロフォン3の出力mとピエゾ素子セ
【外1】 子アクチュエータ9を制御する信号Oc2とを出力する構
成となっている。
【0054】前記同定ニューラルネット15は、予め同
定したアクチュエータの制御による自動車の応答に基づ
き制御予測値Of を出力する。即ち、制御ニューラルネ
ット13の出力Oc1,Oc2及びマイクロフォン3の出力
m等を入力し、制御予測値Of を出力する構成となって
いる。
【0055】前記評価・調整部17は、同定ニューラル
ネット15が被制御体の動特性を充分に表した後、即
ち、車室1の応答を充分に同定した後、同定ニューラル
ネット15の出力Of と制御目標値XT との差を演算
し、この値を用いてバックプロパゲーションにより制御
ニューラルネット13の結合荷重の修正を行なう。
【0056】前記遅延器19,21及び図示しない記憶
部は、ARMAモデルに基づいて制御ニューラルネット
13と同定ニューラルネット15とを構成するものであ
る。
【0057】遅延器19はマイクロフォン3、ピエゾ素
子センサ5が騒音状態を検出した時点tよりも前、即
ち、(t−1),(t−2),…などの制御信号Oc1
c2を制御ニューラルネット13に入力する構成となっ
ている。このため、制御ニューラルネット13は時間遅
れ(過去)の信号を入力するニューロン素子を有してい
る。
【0058】遅延器21は、同定ニューラルネット15
の出力信号Of の現時点tよりも前の(t−1)などの
データを同定ニューラルネット15及び制御ニューラル
ネット13に入力する構成となっている。従って、両ニ
ューラルネット13,15は、同定ニューラルネット1
5の出力Of の過去のデータを入力するニューロン素子
をそれぞれ有している。
【0059】
【外2】 入力により現時点の制御信号Oc1,Oc2を出力し、同定
ニューラルネット15は、前記過去のデータとm,
c1,Oc2との信号入力により、検出時点よりも後の
(t+Δt)の制御予測値Of を予測して出力する。こ
のため、自動車のように外部環境が激しく変化するよう
な場合でも、将来を見越した制御ができるため、素早い
対応をとることができる。又、その予測を行なう際、常
に最前の値を用いて予測を行なっているため適確な予測
を行なうことができる。
【0060】図3(a),(b)は、ニューラルネット
の構成の一部を示したもので(a)は全体(b)は中間
層の1つ(例えば25c)を示したものである。
【0061】このニューラルネットは、入力層と中間層
と出力層とからなっている。入力層はニューロン素子2
3a,23bの2個を示し、中間層はニューロン素子2
5a,25b,25cの3個を示し、出力層はニューロ
ン素子27の1個を示している。
【0062】ここで説明するニューラルネットは、入力
層のニューロン素子23a,23bでは入力x1 ,x2
に対して結合荷重Wijを付け、中間層のニューロン素子
25a,25b,25cでは同様に結合荷重Hjrを付け
ている。ijはi番目の入力層に対して、j番目の中間層
が結合していることを示し、jrはj番目の中間層に対し
てr番目の出力層が結合していることを示している。
【0063】従って、結合荷重Wijによる各ニューロン
の内部ポテンシャルO1 は、 O1 =ΣWiji +Θi …(1) となる。ここに、Θi はニューロン素子の閾値を示して
いる。
【0064】また、内部ポテンシャルO1 は、ニューロ
ン素子への出力値と決める。出力は、例えば、図4で示
すシグモイド関数で計算される。これは、
【数1】 と表される。
【0065】ここに、u0 は図4の傾きを示すもので、
この傾きu0 を決めることにより、ランダム信号に対応
させることができる。出力は0から1の間の出力であ
り、例えば、物理量v=0〜100m/sec を出力する
としたら、
【数2】 として、0〜1の信号にするのである。
【0066】結合荷重Wij等の修正は、同定ニューラル
ネット15の出力Of と制御目標値XT との誤差を、 E=Σ(XT −Of 2 …(4) とし、最急降下法により、誤差Eを最小値とするWij
求め、結合荷重とするのである。
【0067】ここで、入力xのニューロン素子の出力O
f は、Of =f(y)で与えられるから、誤差Eはf
(y)の関数となり、EをOf で偏微分し、Of をWij
で偏微分して、
【数3】 とし、さらにOf をf(y)で偏微分し、f(y)をW
ijで偏微分して、
【数4】 となる。従って、f(y)とOf との関係でEを最小と
するWijが求められる。
【0068】上記のような関係でEを最小とするWij
求めることは、最急降下法を実装したものと等価であ
り、以下の式が成り立つ。
【0069】
【数5】 このような関係において、制御パラメータηがある程度
大きいと誤差Eは収束せず、またηを小さくするとロー
カルな極小値で収束してしまい、グローバルな最小値を
検出することができなくなる。これを図5を用いて説明
すると、図5は入力xに対する誤差Eの変化として誤差
関数f(y)を示している。この誤差関数f(y)にお
いて、制御パラメータηを大きくしてしまうと例えば誤
差関数f(y)上においてSからPまで進んでしまい、
最小値Rに収束することがなかなかできないものとな
る。逆にηが小さいと例えばP点からQ点へ進んでロー
カルな極小値Qに収束してしまい、グローバルな最小値
Rを検出することができなくなる恐れがある。したがっ
て上記のように、単なる最急降下法を実装したものと等
価なニューラルネットワークでは学習速度及び制御精度
の向上に限界がある。このため、この発明の一実施例で
は制御パラメータの一つであるηを以下に説明する勾配
式ランダム探索法によって決定するのである。すなわ
ち、この実施例では最急降下法とランダム探索法とを結
合したアルゴリズムとなっている。
【0070】図6はランダム探索法の概略図を示してい
る。ここでは、有る目的関数f(x)を制約条件のもと
で最小にする問題を考える。このランダム探索法ではあ
らたにステップ数、カウント数の二つの定数を定義す
る。ステップ数とは探索を行なう近傍領域の個数であ
り、カウント数とは一つの近傍領域を探索する回数の上
限値を表わす。制約条件を満足する解の第1次近似解
(初期値)x0 とし、x0 の周りに近傍領域N(x0
i )を設定する。ここにH=hi (i=1,…,r)
はステップである。この探索法の考え方は、夫々の近傍
領域の中でxをランダムに発生させ、これによるf
(x)がf(x0 )より小さければ、その点をその領域
内の極小値として記憶し、全近傍領域で選択された極小
値の中で最も小さなxを第2次近似解x1 とし、x1
周りに再度近傍領域を設けて探索を繰り返すものであ
る。
【0071】以上の手法を一変数関数の最小値の問題に
適用すると以下のようになる。
【0072】目的関数f(x)が与えられ、変数xの値
域が(a,b)のとき、ステップを順次1/10づつ小
さくし、ステップ数がr個で探索が行われた場合、ステ
ップ(H)はベクトル表示して次のようになる。
【0073】
【数6】 すなわち図6の上段のようにh1 =b−aを最大の領域
として、1/10のづつ小さくしhr =hr-1 /10.
0を最小として、r個の領域に分割される。すなわち、
ある起点x0 から夫々のステップに対し近傍領域(N)
が設定される。次いで図6の中段のように近傍領域
(N)でランダムにx0iが発生する。この結果、f(x
0 )>f(x0i)ならばx0iは記憶され、そうでない場
合はカウント数Kをプラスし同じ近傍領域で次のランダ
ムなx0iが発生する。またカウント数Kが与えられた数
より大きければ、他の近傍領域(N)への探索に移る。
そして図6の下段のように、全ての近傍領域Nでの探索
から極小値xsave(1),xsa ve(2),…x
save(r)を検出し、これら極小値の中から最小値x
bestを算出し次解の初期値とするのである。この方法は
多変数の場合についても、変数をベクトルと考えること
により、その対応は可能である。
【0074】次に図7のフローチャートを用いて、上記
ランダム探索を説明する。
【0075】なお以下の説明において、ステップSはラ
ンダム探索法において、あらたに定義したステップhと
は異なるものである。
【0076】まずステップS1では、ステップhi の設
定が行われる。このステップhi の設定は、上記のよう
に探索を行なう近傍領域の個数の設定である。
【0077】ステップS2では、領域の設定が行われ
る。この領域設定によって、xの許容範囲を複数の領域
に分割する。
【0078】次いでステップS3,S4,S5において
初期設定が行われる。すなわち繰り返し数I=0、ステ
ップ数i=1、カウント数K=0に設定される。繰り返
し数Iは一回の領域設定によって得られた最小値を次解
の初期値として、再度探索を繰り返す場合の数である。
ステップ数iは1として設定し、ステップS2で設定し
た領域の最初の近傍領域を選定する。そして、初回はス
テップS6,ステップS7と移行してステップS8にお
いて最大の領域での探索が行われる。すなわち初期値x
0iがランダムに発生し、ステップS6において目的関数
f(x)との比較が行なわれる。f(x0 )>f
(x0i)ならば初期値x0iはステップS9において極小
値として記憶される。
【0079】ステップS6においてNOと判断されれ
ば、ステップS7においてカウント数Kが与えられた数
より大きいかどうかが判断され、大きくなければステッ
プS8において同じ領域であらためてxが発生し探索が
行われる。このような探索において、極小値が見つから
ず、しかもカウント数が与えられた数より大きくなると
ステップS10へ移行し、ステップhの個数iが設定し
た個数rを上回るかどうかの判断が行われ、iがrを下
回っていればiの数をプラスしてステップS5へ移行す
る。
【0080】ステップS5では再びK=0の設定が行わ
れ、ステップS6,ステップS7,ステップS8へと移
行し次の領域での探索が行われる。ステップS9におい
て極小値の記憶が行われた場合にも、ステップS10の
判断が行われステップの個数iのプラスが行われて次の
領域での探索が行われるものである。
【0081】このようにして、全てのステップでの探索
が終了すると、ステップS11において極小値の中の最
も小さい値を最小値x=xbestとして算出し記憶する。
次にステップS11において記憶した最小値xbestを第
2次近似解x1 とし、x1 の解りに再度近傍領域が設定
され、ステップS13においてIが繰り返し数を上回っ
てない限りIがプラスされ、ステップS4へ移行する。
したがって、あらたな領域設定において再度探索が行わ
れ最小値の算出が行われる。
【0082】そしてステップS13において、繰り返し
数を満足したと判断されれば探索は終了する。
【0083】このような処理によって、上記制御パラメ
ータηの最小値を探索するものである。すなわち図6,
図7において、xを制御パラメータηとして置き換え処
理を行なうのである。制御パラメータηに置き換えて説
明すると、制御装置11は制御パラメータηの初期値η
0iをランダムに設定し、初期値η0iでの制御目標値に対
する出力値の感度を計算する。次いで制御パラメータη
の許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各
領域の中に制御パラメータηのランダムな値を選んで、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出
し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出
し、該最小値を次回の初期値としてηの修正を行なうも
のである。
【0084】したがって上記のように、大きさの異なっ
た多領域に分割してηの解を探索するため、盲目的な探
索を避けることができ探索に要する回数を減らすことが
できる。また多領域において夫々極小値を検出し、その
中から最小値を算出するためローカルな極小値へ収束す
ることを防ぐことができ、グルーバルな最小値を求める
ことができる。こうしてニューラルネットの学習の割合
であるηの適正な値を求めることができ、精度良く高速
に処理することができる。
【0085】次に上記ランダム探索法の効果を目的関数
f(x)として、一次元関数を定義し、さらに説明す
る。
【0086】この一次元関数は、
【数7】 で定義する。この関数の形状は図8のようになってい
る。また関数の最小値を与えるx(=xbest)は17.
039であり、そのときの関数値f(=fbest) は0.
094となっている。この問題を最急降下法、ランダム
探索法及び二つを組合せた方法を用いて探索した結果が
図9である。ここで誤差Eは、 E=(f−fbest)/fbestbest=最適値 と定義され、xの初期値は各々図に示してある通り1
3.5,13.4,5.0としている。この図9より最
急降下法は初期値の設定によって解が収束する場合(グ
ローバルな最小値)とそうでない場合(ローカルな極小
値)とがあり、初期値に対する依存性が強くあるのに対
し、ランダム探索法ではどのような初期値に対しても精
度よく解が収束した。
【0087】さらに二つの方法を組合せた場合、最急降
下法だけのときに見られた初期値に対する依存性を十分
に克服していると共に、ランダム探索法だけのときに比
べ収束が早くなっている。この結果からランダム探索法
は最適化問題を解く上で有効な方法であり、ランダム探
索法と他のアルゴリズムを組合せることにより、さらに
有効性が増すことが確認できた。
【0088】またランダム探索法に用いる新たに定義し
た定数であるステップ数,カウント数が最適解への収束
情況にどのような影響を及ぼすかを考慮してみる。これ
ら二つの定数を変更したときの解の収束性を比較した結
果を図10,図11に示す。目的関数は上記f(x)を
用いている。これら図10,図11から明らかなよう
に、ステップ数が増えるとより精度の良いきめこまかな
解の探索が可能となる。またカウント数が増えると誤差
が最小、すなわちグローバルな最小値にたどりつく確率
が増すことになる。但し、この二つの考え方で注意しな
ければならないのは、この二つの定数をむやみに大きく
すると無駄な探索時間や、プログラムの際、無駄なメモ
リ領域を使ってしまうので、これらの定数の決定には十
分な注意を要する。
【0089】図12から図20はランダム探索法の有効
性をさらに説明するためのものである。すなわち一自由
度のばね−質量モデル及び多自由度の梁の数値シミュレ
ーション結果を示している。
【0090】先ず図12から図16は一自由度系の変位
励振による応答を示している。図12に示す一自由度の
ばね−質量モデルを考えると、この系に正弦波の外力を
加え、ある時間経過した後の過渡応答を図13に示す。
固有角振動数は約100rad/secで、時間ステッ
プは1msecとした。ニューラルネットワークの入力
としては、系の応答速度と加速度とを用い、次の時間ス
テップの加速度の変化分を出力とした。教師信号を図1
4に示し、図15に収束性、図16に同定結果を示して
いる。図15,図16の結果よりランダム探索法の誤差
の収束が極めて早いことが確認できた。これは高精度な
学習を極めて短時間で行なうことができることを示し、
ランダム探索法を用いたニューラルネットワークの写像
能力が最急降下法に比べ、極めて優れていることが確認
できた。
【0091】図17から図20は片持梁のインパルス応
答をオンライン同定することを試みた。ニューラルネッ
トワークの入出力及びシステムの概略は図18に示して
いる。この図18において、ニューラルネットワークの
入力としては梁の先端(x6)の加速度と速度とし、加
速度の変換を出力する。ここでも片持梁の応答、すなわ
ち教師信号は数値計算により求めている。誤差の収束性
を図19に示し、シミュレーション時間100秒付近に
おける同定結果を図20に夫々示している。図19,図
20より明らかなように、オンライン同定では最急降下
法を用いた場合とランダム探索法及び最急降下法を組合
せた方法を用いた場合とでは、学習時間及び誤差の収束
性にかなりの違いがあった。同定結果も勾配式ランダム
探索法では極めて精度良く行われていることが確認でき
た。
【0092】以上説明したランダム探索法の処理は、一
つのニューラルネットワークによって順番に行なうこと
もできるが、図21のように並列化ニューラルネットに
よって分散処理することも可能である。すなわちニュー
ラルネットは夫々入力層,中間層,出力層を備えた複数
のユニット1〜rを備えている。このユニットの個数は
分割設定する領域の個数となっている。したがって各領
域ごとに各ユニットにより分散処理制御を行なうことが
できる。すなわち分散処理制御システム61では全体領
域での探索の情報制御及び各ユニットを分散制御する。
そして各ユニットごとに各領域での探索が行われ、グロ
ーバルな最小値の算出が63によって行われる。そし
て、この最小値に基づきバックプロパゲーションによっ
て各ユニットの制御パラメータが修正されるのである。
このような並列化処理によって、処理時間を極めて短縮
することができ、より高速な処理を行なうことができ
る。またこのように複数のニューラルネットを並設した
場合、一つのユニットの処理が終了し、他のユニットの
処理が終了していない場合には終了したユニットが他の
ユニットの支援を行なうことができ、さらに高速化処理
することができる。
【0093】なお上記処理において、制御装置11は各
領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、
各領域でのカウント数を変更することも可能である。す
なわちカウント数が多く残存していても、検出値が大き
く収束している場合には、以後の処理においてカウント
数を次第に減少し、処理を早めることができるのであ
る。
【0094】また制御装置11は、各領域でカウント数
の繰り返しにより極小値が得られないと判断するとき、
該当する領域を制約リストに登録し、該領域での極小値
の検出を中止することもできる。このように構成するこ
とによって、極小値が得られないことが明らかな領域の
探索を中止し、より処理を高速化することができる。
【0095】さらに制御装置11は各領域でのカウント
数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御
パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重
み付けを行なうことができる。すなわち図7で示すよう
な領域において、初期値x0iを中心にしてランダムな値
を発生させるのであるが、カウント数を繰り返している
うちに初期値に対する極小値の方向が領域の中で次第に
明らかになってくるため、その方向に多くのランダムな
値を発生させることによって、より精度の良い検出を行
なうことができるのである。
【0096】図22は、ARMAモデルに基づいたニュ
ーラルネットを一般的に示したものである。このニュー
ラルネットは、入力層、中間層、出力層を有しており、
時刻tにおける入力x(t)によって時刻(t+1)に
おける出力y(t+1)を予測して出力する。即ち、予
測される出力y(t+1)は、現在の入力x(t)と過
去の状態とに関係する。このため、入力層には3つの短
期記憶ユニット29,30,31に接続されたニューロ
ン素子を新たに追加している。
【0097】記憶ユニット29は、入力x(t)の過去
のデータx(t−1)からx(t−n)を記憶し、それ
ぞれ対応するニューロン素子に信号を入力するようにな
っている。記憶ユニット30は、出力y(t+1)の過
去のデータy(t)からy(t−l)のデータを記憶
し、それぞれ対応するニューロン素子に入力するように
なっている。記憶ユニット31は、出力y(t+1)の
過去のデータz(t−l−1)からz(t−g)を記憶
し、それぞれ対応するニューロン素子に入力するように
なっている。
【0098】そして、入力x(t)の信号は予測係数α
0 を付けて中間層のニューロン素子に入力され、記憶ユ
ニット29の各信号は予測係数α1 からαn が付けら
れ、記憶ユニット30の信号は予測係数β0 からβ1
付けられ、記憶ユニット31の信号は予測係数γl+1
らγg が付けられ、それぞれ中間層のニューロン素子に
入力されるようになっている。
【0099】このニューラルネットの出力y(t+1)
と検出した状態量x(t+1)との関係は、予測誤差e
(t+1)とすると、 x(t+1)=y(t+1)+e(t+1) となる。この場合、出力y(t+1)は、
【数8】 で表される。
【0100】従って、予測係数α,β,γは、誤差系列
に最小2乗推定法を適用して適正な値へ修正されていく
こととなる。
【0101】次に、アクティブコントロール装置の作用
を説明する。
【0102】図23は、この発明の第1実施例に係る作
用の概略を示したものである。アクティブコントロール
装置は、大概この図23のように動作する。図1をも参
照すると、まず、ピエゾ素子センサ5及びマイクロフォ
ン3によって車室1内の代表点の応答を正確に把握し、
制御装置11によってシステムの動的特性をより正確に
同定する。制御装置11は、システムの同定に基づいて
連成解析を行ない、ピエゾ素子アクチュエータ9及びラ
ウドスピーカ7を制御するのである。即ち、図2を参照
し、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に対す
る動特性を充分に表した後、評価・調整部17において
同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT
との差を演算し、この値を用いて制御ニューラルネット
13の結合荷重をバックプロパゲーションにより修正す
るのである。
【0103】図24は、車室1内の応答に対する制御の
タイムチャートを示している。即ち、時刻tにおいて、
ピエゾ素子センサ5及びマイクロフォン3で車室1内の
状態を感知し、制御装置11が時刻tでラウドスピーカ
7及びピエゾ素子アクチュエータ9に信号を出力し、時
刻t+Δtにおいて車室1内の騒音制御が実現されるの
である。
【0104】そして、この制御結果を制御装置11のニ
ューラルネットにフィードバックして結合荷重を修正す
るため、同定ニューラルネット15の入力はある時間ス
テップtにおける車室1内の騒音状態量とこれに対する
制御量とし、出力は次のステップ(t+Δt)における
状態量となる。この同定ニューラルネット15の出力O
f に基づき、同定ニューラルネット15の制御評価関数
f 、制御ニューラルネット13の制御評価関数E
c は、
【数9】 但し、X:現在の状態 XT :のぞましい状態 Of :ニューロが予測した状態 となる。
【0105】Xは時間ステップt+Δtにおける検出状
態量であり、XT は、制御目標となる状態量である。従
って、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に対
する動特性を正確に同定しているならば、評価関数Ef
は所定値以下となり、同定ニューラルネット15の出力
f と目標状態量XT との誤差Ec は、全て制御ニュー
ラルネット13によって発生したと考えられる。
【0106】従って、図25のように誤差情報を逆伝搬
し、制御ニューラルネット13迄戻すことによって、制
御装置11全体についての調整が可能となるのである。
【0107】次に、図26のフローチャートによりこの
発明の第1実施例の制御作用を説明する。
【0108】まず、ステップS21では、制御ニューラ
ルネット13と同定ニューラルネット15との初期化を
行なう。この初期化は、結合荷重Wと閾値Θ及びシグモ
イド関数の傾き係数u0 をランダム関数を用いて決定す
る。
【0109】ステップS22では、同定ニューラルネッ
ト15の初期学習を行なう。この初期学習はオフライン
で行なわれ、予め定められたプログラムで行なわれる。
このステップS22での初期学習が完了すると、図2の
ように同定ニューラルネット15は制御装置11に組み
込まれる。
【0110】同定ニューラルネット15の初期学習が完
了した後、制御ニューラルネット13が稼動され、その
出力Oc がステップS23で出力される。この出力によ
ってラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9
が駆動されると共に、出力Oc は同定ニューラルネット
15に入力される。これにより、ステップS24におい
て同定ニューラルネット15は、時刻t+Δtにおける
予測した状態量Of を出力する。
【0111】ステップS25では、時刻t+Δtにおけ
る状態量Xの実測データがサンプリングされる。また、
この実施例では、ARMAモデルを利用しているため、
過去の状態量を記憶装置に書き込む。
【0112】ステップS26では、同定の判断が行なわ
れる。即ち、このステップS26は、同定ニューラルネ
ット15が車室1内の騒音に関する動特性を正確に同定
しているかどうかを判断するものである。具体的には、
実測された状態量Xと予測した出力Of とを用いて上式
のように演算された同定ニューラルネット15の評価関
数Ef を収束判定基準Tf より大きいか否かを判断す
る。Ef がTf より大きければ、同定ニューラルネット
15がシステムを充分に同定していないため、ステップ
S27へ移行し、評価・調整部17によって同定ニュー
ラルネット15の結合荷重Wの修正、学習が行なわれ
る。
【0113】次いで、ステップS28へ移行し、適応制
御の判断が行なわれる。この判断は、車室1内の騒音状
態が目標の状態になっているかどうかを判断するもので
ある。具体的には、目標とする状態量XT と同定ニュー
ラルネット15の出力Of とによって上式のように演算
される評価関数Ec を収束判定基準Tc より大きいか否
かを判断する。Ec がTc よりも大きければ、制御ニュ
ーラルネット13が充分に同定されていないためステッ
プS29に移行し、バックプロパゲーションによって制
御ニューラルネット13の結合荷重Wの修正、学習が行
なわれる。
【0114】以後、ステップS23からステップS29
が繰り返され、車室1内の騒音がフィードフォワードに
よって制御されることになる。
【0115】即ち、図1、図2のように同定ニューラル
ネット15は、予めオフラインで車室1内の騒音に関す
る動特性を同定されている。そして、制御ニューラルネ
ット
【外3】 制御ニューラルネット13の出力信号Oc1,Oc2の過去
の信号及び同定ニューラルネット15の出力Of の過去
の信号が入力され、制御信号Oc1,Oc2が出力される。
ここで、制御ニューラルネット13は、過去のデータを
反映させるために過去のデータを入力するために予め設
けられた入力用のニューロン素子全てにデータが入力さ
れた後稼動し出力するのである。
【0116】そして、出力Oc1によってラウドスピーカ
7が駆動され、騒音に対する逆相の信号が車室1内に出
力される。また、出力Oc2によって、ピエゾ素子アクチ
ュエータ9が駆動され、車体の振動モードが制御され
る。これによって、車室1の非線形の連成空間が制御さ
れ、騒音低減を図ることができる。
【0117】また、同定ニューラルネット15は、制御
ニューラルネット13の出力Oc1,Oc2を入力すると共
に、車室1内の状態量としてマイクロフォン3の出力m
及び出力Of の過去のデータを入力し、時刻t+Δtに
おける出力Of を予測して出力する。この出力Of は、
現時点での車室1内の騒音状態及び外力と過去のデータ
とに基づいており、ランダムな入力による騒音状態であ
っても正確に予測しているものと言える。
【0118】そして、出力Of と現時点tにおける車室
1内の騒音状態の実測データXとを比較し、同定ニュー
ラルネット15の学習が行なわれる。同定ニューラルネ
ット15がシステムの動特性を正確に同定しているもの
とした場合に、同定ニューラルネット15の出力Of
目標の状態量XT とにより評価・調整部17が制御ニュ
ーラルネット13の学習を行なうのである。
【0119】図27は、この発明の第1実施例に係るニ
ューラルネットワークの具体的な構成を示している。
【0120】上記のように、このニューラルネットワー
クは、ARMAモデルを考慮しており、制御ニューラル
ネット13として音場制御ニューラルネットワーク13
aと構造制御ニューラルネットワーク13bとを備えて
いる。各ニューラルネットワークは、入力層、中間層、
出力層とからなっており、入力層は白丸、中間層は斜線
の入った丸、出力層は黒丸で示している。
【0121】音場制御ニューラルネットワーク13aの
入力は、時刻tにおけるn個のマイクロフォンの音圧感
知信号m=m1 s (t) 〜mn s (t) と、時刻(t−1)
〜(t−k)迄の過去のデータm1 a (t-1) 〜m1 a (t
-k) ,mn a (t-1) 〜mn a(t-k) と、n個のラウドス
ピーカの(t−1)〜(t−k)迄の過去における制御
力S1 a (t-1) 〜S1 a (t-k) ,Sn a (t-1) 〜Sn a
(t-k) とが入力層の各ニューロン素子に入力されてい
る。ここに、上添字のsは検出信号を示し、同aはニュ
ーラルネットによる処理信号を示している。
【0122】音場制御ニューラルネットワーク13aの
現在の時刻tにおける出力Oc1は、Oc1=S1 a (t) 〜
n a (t)であり、n個のラウドスピーカに制御力とし
て出力されると共に、同定ニューラルネットワーク15
の入力層の該当するニューロン素子に入力されている。
【0123】この出力Oc1=S1 a (t) 〜Sn a (t) の
過去のデータは記憶され、遅延器19により音場制御ニ
ューラルネットワーク13aの入力層に入力されること
は前述の通りである。
【0124】同定ニューラルネットワーク15の入力層
には、現時点tにおけるマイクロフォン音圧感知信号m
=m1 s (t) 〜mn s (t) と音圧感知信号の過去のデー
タm1 a (t-1) 〜m1 a (t-k) ,mn a (t-1) 〜mn a
(t-k) とが入力されている。
【0125】また、構造制御ニューラルネットワーク1
3bの入力層には、n個のピエゾ素
【外4】 ) が入力されている。また、n個のピエゾ素子アクチュ
エータの過去の制御信号P1 a (t-1) 〜P1 a (t-k) ,
n a (t-1) 〜Pn a (t-k) が入力されている。
【0126】構造ニューラルネットワーク13bの時刻
tにおける出力Oc2は、 Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t) である。この出力Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t) は、n
個のピエゾ素子アクチュエータに出力されると共に、同
定ニューラルネットワーク15の入力層に入力されてい
る。
【0127】また、出力Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t)
は前記同様逐次記憶され、過去のデータとして構造制御
ニューラルネットワーク13bの入力層に入力されるの
は前述の通りである。
【0128】同定ニューラルネットワーク15の入力層
には、時刻tにおける検出した車体
【外5】 る。
【0129】そして、同定ニューラルネットワーク15
からは時刻t+Δtにおけるマイク検出信号の予測値と
して Of =m1 a (t+Δt)〜mn a (t+Δt) が出力され、ピエゾ素子センサの検出の予測値として
【数10】 が出力される。
【0130】なお、同定ニューラルネットワーク15の
出力Of =m1 a (t+Δt)〜mn a(t+Δt)は逐次記憶
され、過去のデータとして同定ニューラルネットワーク
15と音場制御ニューラルネットワーク13aとの各入
力層に入力されている。
【0131】
【外6】 n a (t+Δt)も逐次記憶され、過去のデータとして同定
ニューラルネットワーク15の入力層及び構造制御ニュ
ーラルネットワーク13bの入力層にそれぞれ入力され
ている。
【0132】従って、同定ニューラルネットワーク15
の評価関数Ef は、
【数11】 となる。
【0133】また、音場制御ニューラルネットワーク1
3aの制御評価関数Ec は、
【数12】 となる。
【0134】更に、構造制御ニューラルネットワーク1
3bの制御評価関数Ec は、
【数13】 となる。
【0135】従って、これらの評価関数Ef ,Ec を用
いて上記のように同定ニューラルネットワーク15と制
御ニューラルネットワーク13との結合荷重Wの修正、
学習を適格に行なうことができる。
【0136】なお、この第1実施例では、同定ニューラ
ルネット、制御ニューラルネットの双方にARMAモデ
ルを考慮したニューラルネットを用いているが、少なく
とも制御ニューラルネットにつきARMAモデルを考慮
すればよい。
【0137】図28は、この発明の第2実施例を示して
いる。この実施例は、アクティブコントロール装置を自
動車のサスペンションの振動制御に適用したものであ
る。
【0138】車体32は、前輪33と後輪35とで路面
37に接地している。このようなサスペンションにおい
て前輪33と車体32との間のバネ定数はKF2、減衰係
数はCF1であり、前輪33と路面37との間のバネ定数
はKF1、減衰係数はCF1である。また、後輪35と車体
32との間のバネ定数はKR2であり、減衰係数はCR1
ある。後輪35と路面37との間のバネ定数はKR1、減
衰係数はCR1である。
【外7】 ある。
【0139】そして、前輪33と車体32との間には制
御力PF を与えて振動低減を図る制振装置39が設けら
れ、後輪35と車体32との間には制御力PR を与えて
振動低減を図る制振装置41が設けられている。
【0140】制御装置40には、前輪33側における路
面37の凹凸Y0Fを検出する前輪側路面検出器43及び
後輪35側における路面の凹凸を検出する後輪側路面検
出器45の信号が入力されるようになっている。
【0141】また、前輪33の振動加速度を検出する前
輪振動加速度検出器47と、後輪35の振動加速度を検
出する後輪振動加速度検出器49との出力信号が入力さ
れるようになっている。
【0142】更に、車体32の前部振動加速度を検出す
る前部振動加速度検出器51と、後輪側の振動加速度を
検出する後部振動加速度検出器53とからの信号が入力
されるようになっている。
【0143】これら、検出器43,45,47,49,
51,53は、サスペンションの振動状態を検出する振
動状態検出手段を構成している。そして、制御装置40
は、第1実施例同様にニューラルネットが用いられてお
り、検出器43,45,47,49,51,53の出力
が入力され、前記制振装置39,41を制御する信号を
出力する。また、当該出力信号に基づく制御予測値を制
御目標値と比較することにより、ニューラルネットの結
合荷重の修正を行なう構成となっている。
【0144】この制御装置40のニューラルネットワー
クの構成は図29のようになっている。
【0145】このニューラルネットも前記実施例同様、
制御ニューラルネット55と同定ニューラルネット57
とからなっている。制御ニューラルネット55は、前輪
制御ニューラルネット55aと後輪制御ニューラルネッ
ト55bとからなっている。各制御ニューラルネット5
5a,55bは白丸の入力層と、斜線を施した丸で示す
2段の中間層と黒丸の出力層とからなっており、同定ニ
ューラルネット57は白丸の入力層、斜線を施した丸の
中間層、黒丸の出力層からなっている。
【0146】そして、この実施例では、制御ニューラル
ネット55のみをARMAモデルを考慮したニューラル
ネットとしている。即ち、前輪制御ニューラルネット5
5aの入力層には、時刻tにおける前輪側路面検出器4
3の検出信号Y0F s (t) 、前
【外8】 制御力PF a (t) となる。この出力PF a (t) は、同定
ニューラルネット15に入力されると共に逐次記憶さ
れ、過去のデータPF a (t-1) として前輪制御ニューラ
ルネット55aの入力層に入力されるようになってい
る。
【0147】また、後輪制御ニューラルネット55bも
同様であり、入力は、検出器45,
【外9】 41の制御力Oc =PR a (t) の過去のデータPR s (t
-1) となっている。出力Oc =PR a (t) は制振装置4
1に出力されると共に、同定ニューラルネット15に入
力されるようになっている。同定ニューラルネット15
の入力層には、更
【外10】 更に、同定ニューラルネット15の入力層には、中間層
の出力が入力される構成となっている。これは、一般に
レカレント(recurrent )と呼ばれ、信号のノイズを除
去することができる。レカレントは、例えば、中間層の
出力を再び中間層自体に入力することによっても行なう
ことができる。
【0148】同定ニューラルネット15の出力Of は、
次の時刻t+1における車体32の振動加速度
【数14】 となる。従って、同定ニューラルネット15の評価関数
f は、
【数15】 となり、制御ニューラルネット55の評価関数Ec は、
【数16】 となる。
【0149】従って、この実施例においても評価関数E
f が所定以下となり、同定ニューラルネット57が振動
入力に対する車体32の動特性を正確に表しているなら
ば、評価関数Ec によって制御ニューラルネット55の
結合荷重を修正、学習し、サスペンション制御の適格な
フィードフォワード制御を可能とする。
【0150】なお、第2実施例で設けた同定ニューラル
ネット57のレカレントは、制御ニューラルネットに用
いることもでき、更に、第1実施例のニューラルネット
に適用することも可能である。また第2実施例では過去
のデータとして(t−1)における1個のデータで説明
したが、第1実施例と同様にいくつかの時間遅れのデー
タも考慮することが可能である。
【0151】
【発明の効果】以上より明らかなように、この発明の構
成によれば以下のような効果を奏する。
【0152】請求項1の発明では、ニューラルネットを
用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定す
ることができる。しかも探索領域を大きさの異なった多
領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避ける
ことができ、探索に要する回数を減らすことができる。
しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ
収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求
めることができる。したがって高速で精度のよい処理を
行なうことができる。
【0153】請求項2の発明では、探索領域を大きさの
異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なう
ため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度
よく制御することができる。
【0154】請求項3の発明では、請求項1又は請求項
2の発明の効果に加え、領域の中での探索を複数回繰り
返すことによって、極小値を確実に検出することができ
る。したがって精度のよい処理を行なうことが可能であ
る。
【0155】請求項4の発明では、請求項3の発明の効
果に加え、検出値に応じてカウント数を減少することが
可能となり、より高速な処理が可能となる。
【0156】請求項5の発明では、請求項3の発明の効
果に加え、極小値が得られないことが明らかな場合にそ
の領域の処理を中止し、処理をより高速に行なうことが
可能である。
【0157】請求項6の発明では、請求項3の発明の効
果に加え、初期値に対する方向性に重み付けを行なうこ
とにより、より高速で精度のよい検出を行なうことがで
きる。
【0158】請求項7の発明では、ニューラルネットの
結合荷重を学習するときの学習する割合を制御パラメー
タとして修正するため、学習の割合を適切な値にするこ
とを高速かつ精度良く行なうことができ、最小値の検出
をより高速かつ高精度に行なうことができる。
【0159】請求項8の発明では、ニューラルネットを
領域の個数に応じて複数並列に備えたため、処理を高速
に行なうことができる。
【0160】請求項9の発明では、請求項2〜請求項8
の発明の効果に加え、車室内騒音をフィードフォワード
制御により的確に制御することができる。したがって車
室内騒音がエンジン音、エンジンからの入力、サスペン
ションからの入力、マフラーからの排気音、風切り音な
どの連成に基づく場合でも連成を的確に解析して、騒音
低減を図ることができる。
【0161】請求項10の発明では、請求項2〜請求項
8の発明の効果に加え、サスペンションの信号制御をフ
ィードフォワードにより的確に制御することができる。
したがって高速道は勿論、オフロードであってもサスペ
ンションの振動特性を的確に解析し、車体振動の低減を
図ることができる。
【0162】請求項11の発明では、請求項2〜請求項
10のいずれかの発明の効果に加え、制御ニューラルネ
ットの他に同定ニューラルネットを設けることによっ
て、制御予測値を出力し、制御ニューラルネットの制御
パラメータの修正を的確に行なうことができる。
【0163】請求項12の発明では、請求項2〜請求項
11のいずれかの発明の効果に加え、検出制御の現時点
よりも前のデータを入力することによって、現時点より
も後の制御予測値を予測して出力するため、ランダムな
入力であっても音振状態を的確に予測することができ、
ランダムな入力に対して的確な制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る概略ブロック図であ
る。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】ニューラルネットの一部を示す説明図である。
【図4】シグモイド関数を示す説明図である。
【図5】最急降下法による収束状況を示す説明図であ
る。
【図6】ランダム探索法の概略図である。
【図7】ランダム探索法のフローチャートである。
【図8】一次元関数の形状を示す図である。
【図9】各初期値における収束状況を説明するグラフで
ある。
【図10】ステップ数を変更した場合の説明図である。
【図11】カウント数を変更した場合の説明図である。
【図12】一自由度系ばね−質量モデルの説明図であ
る。
【図13】一自由度系ばね−質量モデルの過渡応答の説
明図である。
【図14】教師信号のグラフである。
【図15】線形モデルの誤差の時刻歴のグラフである。
【図16】同定結果のグラフである。
【図17】片持梁にインパルス入力を行なう状況の説明
図である。
【図18】片持梁の同定ニューラルシステムの説明図で
ある。
【図19】片持梁のリアルタイム同定過程での誤差の履
歴を示すグラフである。
【図20】ニューラルネットによる片持梁の同定結果の
グラフである。
【図21】並列化ニューラルネットによる該略図であ
る。
【図22】ARMAモデルに基づいたニューラルネット
の説明図である。
【図23】作用の概略説明図である。
【図24】システムの応答図である。
【図25】バックプロパゲーションの説明図である。
【図26】フローチャートである。
【図27】一実施例に係るニューラルネットの構成図で
ある。
【図28】他の実施例に係る概略ブロック図である。
【図29】他の実施例に係るニューラルネットワークの
構成図である。
【図30】従来の能動型騒音制御装置の概略ブロック図
である。
【図31】信号の干渉状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車室 3 マイクロフォン(騒音状態検出手段、音振状態検出
手段) 7 ラウドスピーカ(制御音源、アクチュエータ) 11 制御装置 39 制振装置(アクチュエータ) 40 制御装置 41 制振装置(アクチュエータ) 43 前輪側路面検出器(振動状態検出手段、音振状態
検出手段) 45 後輪側路面検出器(振動状態検出手段、音振状態
検出手段) 47 前輪振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振
状態検出手段) 49 後輪振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振
状態検出手段) 51 前部振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振
状態検出手段) 53 後部振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振
状態検出手段)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力値と制御目標値との比較により制御
    パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装
    置を備え、 該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダム
    に設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感
    度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領
    域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制
    御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対す
    る出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から
    得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次
    回の初期値として前記修正を行なうことを特徴とするア
    クティブコントロール装置。
  2. 【請求項2】 音又は振動状態の少なくとも一方を制御
    するアクチュエータと、 音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検
    出手段と、 前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュ
    エータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号
    に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより
    制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制
    御装置とを備え、 該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダム
    に設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値
    の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数
    の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前
    記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に
    対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出
    し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出
    し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうこ
    とを特徴とするアクティブコントロール装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のアクティブ
    コントロール装置であって、 前記制御装置は、前記各領域の中に前記制御パラメータ
    のランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウン
    ト数として前記各領域での検出を、複数回繰り返すこと
    を特徴とするアクティブコントロール装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のアクティブコントロール
    装置であって、 前記制御装置は、前記各領域での前記カウント数の繰り
    返しによる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数
    を変更することを特徴とするアクティブコントロール装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のアクティブコントロール
    装置であって、 前記制御装置は、前記各領域で前記カウント数の繰り返
    し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領
    域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を
    中止することを特徴とするアクティブコントロール装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のアクティブコントロール
    装置であって、 前記制御装置は、前記各領域での前記カウント数の繰り
    返しによる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラ
    メータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付
    けを行なうことを特徴とするアクティブコントロール装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6記載のアクティブコ
    ントロール装置であって、 前記制御パラメータは、前記ニューラルネットの結合荷
    重を学習するときの学習の割合であることを特徴とする
    アクティブコントロール装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7記載のアクティブコ
    ントロール装置であって、 前記ニューラルネットは、前記領域の個数であるステッ
    プ数に応じて複数並列に備えられていることを特徴とす
    るアクティブコントロール装置。
  9. 【請求項9】 請求項2〜請求項8のいずれかに記載の
    アクティブコントロール装置であって、 前記アクチュエータは、自動車の車室内騒音に干渉させ
    る制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であり、 前記音振状態検出手段は、自動車の車室内の騒音状態を
    検出する騒音状態検出手段であることを特徴とするアク
    ティブコントロール装置。
  10. 【請求項10】 請求項2〜請求項8のいずれかに記載
    のアクティブコントロール装置であって、 前記アクチュエータは、自動車のサスペンションに制御
    力を与えて振動低減を図る制振装置であり、 前記音振状態検出手段は、自動車のサスペンションの振
    動状態を検出する振動状態検出手段であることを特徴と
    するアクティブコントロール装置。
  11. 【請求項11】 請求項2〜請求項10のいずれかに記
    載のアクティブコントロール装置であって、 前記制御装置のニューラルネットは、制御ニューラルネ
    ットと同定ニューラルネットとからなり、 前記制御ニューラルネットは、前記音振状態検出手段の
    出力が入力されて前記アクチュエータを制御する信号を
    出力し、 前記同定ニューラルネットは、予め同定した前記アクチ
    ュエータの制御による自動車の応答に基づき前記制御予
    測値を出力することを特徴とするアクティブコントロー
    ル装置。
  12. 【請求項12】 請求項2〜請求項11のいずれかに記
    載のアクティブコントロール装置であって、 前記制御装置は、前記音振状態検出手段が検出した現時
    点よりも前のデータとして、少なくとも前記アクチュエ
    ータの制御信号を入力するニューロン素子を有して現時
    点のアクチュエータの制御信号を出力し、前記検出時点
    よりも後の制御予測値を予測して出力することを特徴と
    するアクティブコントロール装置。
JP23731594A 1994-09-30 1994-09-30 アクティブコントロール装置 Expired - Fee Related JP3550751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23731594A JP3550751B2 (ja) 1994-09-30 1994-09-30 アクティブコントロール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23731594A JP3550751B2 (ja) 1994-09-30 1994-09-30 アクティブコントロール装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08101692A true JPH08101692A (ja) 1996-04-16
JP3550751B2 JP3550751B2 (ja) 2004-08-04

Family

ID=17013553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23731594A Expired - Fee Related JP3550751B2 (ja) 1994-09-30 1994-09-30 アクティブコントロール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3550751B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107103132A (zh) * 2017-04-21 2017-08-29 西北工业大学 基于随机参数‑神经网络的民机机构全局灵敏度分析方法
CN108418494A (zh) * 2018-03-13 2018-08-17 江西精骏电控技术有限公司 一种产生优化pwm的方法
US11393444B2 (en) 2019-11-12 2022-07-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Noise suppressor for a vehicle and noise suppressing method for a vehicle

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102474355B1 (ko) * 2017-10-30 2022-12-05 현대자동차 주식회사 차량 제어 통합 관리 시스템 및 이와 통신을 통해 연결된 중앙 인공지능 서버

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107103132A (zh) * 2017-04-21 2017-08-29 西北工业大学 基于随机参数‑神经网络的民机机构全局灵敏度分析方法
CN107103132B (zh) * 2017-04-21 2020-04-03 西北工业大学 基于随机参数-神经网络的民机机构全局灵敏度分析方法
CN108418494A (zh) * 2018-03-13 2018-08-17 江西精骏电控技术有限公司 一种产生优化pwm的方法
CN108418494B (zh) * 2018-03-13 2021-02-19 江西精骏电控技术有限公司 一种产生优化pwm的方法
US11393444B2 (en) 2019-11-12 2022-07-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Noise suppressor for a vehicle and noise suppressing method for a vehicle

Also Published As

Publication number Publication date
JP3550751B2 (ja) 2004-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3345930B2 (ja) アクティブコントロール装置
US7904212B2 (en) Noise estimating device and noise estimating method
US20100010943A1 (en) Learning device, learning method, and program
JP2010086397A (ja) 制御装置、制御プログラム及び方法
JPH08221137A (ja) 能動振動制御方法及び装置
US11093863B2 (en) Method for ascertaining a time characteristic of a measured variable, prediction system, actuator control system, method for training the actuator control system, training system, computer program, and machine-readable storage medium
CN115171639A (zh) 一种车辆降噪方法及系统
US5150414A (en) Method and apparatus for signal prediction in a time-varying signal system
JP3550751B2 (ja) アクティブコントロール装置
JP4857928B2 (ja) 騒音制御装置および騒音制御方法
US6647324B2 (en) Method for digitally filtering a signal burdened with noise and a control system for a vehicle
JPH0561485A (ja) 能動型騒音制御装置
CN116047888A (zh) 一种基于bp神经网络pid的自平衡车的控制方法
Yang et al. Active suspension control strategy for vehicles based on road surface recognition
JP2010202073A (ja) 騒音制御装置及び騒音制御方法
US12026081B2 (en) Method for validating a software
JPH05265467A (ja) 適応制御装置及び能動型騒音制御装置
JP2001051703A (ja) 周期性信号の適応制御方法
Huang et al. Application of a fuzzy enhance adaptive control on active suspension system
Halfmann et al. Modeling and identification of the vehicle suspension characteristics using local linear model trees
JPH0588684A (ja) 適応信号処理方法、適応信号処理装置、及び能動型騒音制御装置
US20240078437A1 (en) Method for training a generative adversarial network
US10964303B2 (en) Vehicular apparatus and method for active noise control, and vehicle including vehicular apparatus
Akhmetov et al. Novel “on-line” identification procedure using artificial neural network
Ruchti et al. Estimation of artificial neural network parameters for nonlinear system identification

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees