JP2742758B2 - 化粧板の製造方法 - Google Patents

化粧板の製造方法

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JP2742758B2 JP31116493A JP31116493A JP2742758B2 JP 2742758 B2 JP2742758 B2 JP 2742758B2 JP 31116493 A JP31116493 A JP 31116493A JP 31116493 A JP31116493 A JP 31116493A JP 2742758 B2 JP2742758 B2 JP 2742758B2
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剛 政年
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数枚の木材単板層を
積層してなる木材基材表面に化粧材を熱圧によって積
層、接着するに際して、反りを生じさせることなく熱圧
一体化し得る化粧板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、木材基板の表面に化粧シート
や化粧単板などの化粧材を積層、接着することによって
化粧板を製造する際に、短尺の木材単板片を複数枚、互
いにその側端面同士が突き合わされた木材単板層を積
層、接着することによって木材基板を得ている。
【0003】このような木材基板においては、上記短尺
の木材単板片同士の突き合わせ時において、突き合わせ
るべき側端面部に生じているひび割れや欠損、或いは木
口端面の傾斜、積層接着時に生じる伸縮等によって対向
端面間に空隙部が発生している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように短尺の木
材短板片の突き合わせ部に空隙部が生じている木材基板
に化粧材を接着剤を介して熱圧、一体化すると、基板の
時点で反りがなくても得られる化粧板に反りが発生す
る。これは、熱圧時に木材単板中に含まれる水分が空隙
部分において他の部分よりも基材外に多く放出されて低
含水率となるからである。
【0005】一方、従来から、木材単板に生じている割
れや節穴等の空隙部に合成樹脂性のパテ剤を充填して美
観や平滑性を向上させることも行われているが、このよ
うなパテ剤を上記木材単板片の突き合わせ部に生じてい
る空隙部に充填したのち、化粧材を重ね合わせて熱圧す
ると、パテ剤によって木材単板片の側端面からの水分の
蒸散が阻止され、その結果、その突き合わせ部が膨れた
りパンクしてパテ剤が脱落し、得られる化粧板の商品価
値が低下するという問題点があった。本発明の目的とす
るところは、このような問題点を解消し得る化粧板の製
造方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の化粧板の製造方法は、複数枚の木材単板片の
側端面同士が突き合わされてなる木材単板層を複数層、
積層、一体化することによって形成してなる木材基板の
表面に化粧材を積層、接着するに際して、あらかじめ、
上記木材単板片の突き合わせ部に生じている空隙部に、
木材基板の端面側から硬化後の湿気伝導率が0.001 〜0.
05×10−9kg/m.s.Paの透湿性を有する発泡樹脂性充填剤
を充填し、しかるのち、木材基板の表面に化粧シート材
等の化粧材を接着剤を介して熱圧により積層、一体化す
ることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】小版サイズの木材単板片の対向端面同士を突き
合わせた際に、その端面部に生じているひび割れや欠
損、或いは切断時において生じた木口端面の傾斜によっ
て突き合わせ部に空隙部が発生する。また、このような
空隙部は木材単板片同士を突き合わせて大判サイズの木
材単板層を形成したのち、該木材単板層を積層、接着す
る際に木材単板片が長さ方向に伸縮することによっても
生じる。
【0008】このような空隙部は、木材単板を一体に積
層することによって形成した木材基板の側端面に開口し
ており、該開口部を通じて空隙部内に硬化後の湿気伝導
率が0.001 〜0.05×10−9kg/m.s.Paの透湿性を有する発
泡樹脂性充填剤を充填したのち、木材基板の表面に化粧
材を接着剤を介して熱圧により積層、一体化すると、熱
圧時の加熱によって突き合わせ部の側端面から水分が蒸
散しようとするが、空隙部に充填している硬化後の湿気
伝導率が0.001 〜0.05×10−9kg/m.s.Paの透湿性を有す
る発泡樹脂性充填剤によって基材外への余分な水分放出
が調整され、連続する木材側端面と略同等の低水分放出
量となって全体的に均一な水分分布率のもとでの熱圧、
一体化が行われ、蒸気による突き合わせ部の膨れやパン
クによる充填剤の脱落が生じることがなく、従って、反
りが生じていない化粧板が製造できる。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面について説明す
ると、まず、図1に示すように、大判サイズの裏単板1
上に一定厚みを有する複数枚の小版サイズの木材単板片
2aを、互いに対向する端面同士を突き合わせながら平面
方向に組み合わせて裏単板1に載置することにより、該
裏単板1と略同大の大判サイズの木材単板層2を形成
し、この木材単板層2を複数層、積層接着することによ
って所望厚みの木材基板3を形成する。
【0010】このような木材基板3において、各木材単
板層2を形成する木材単板片2aの繊維方向は、上下に重
合した木材単板層2、2において、一方の木材単板層2
の単板片2aを基板3の長さと直交方向に向け、他方の木
材単板層2の単板片2aを基板3の幅方向に向けた構造に
してもよく、又、基板3の短手方向においては、単板片
2aを繊維方向を短手方向と平行に配して突き合わせたも
のと、その上に重合する単板片2aの繊維方向と短手方向
を直交に配して突き合わせたものからなる。なお、全て
の木材単板層2の繊維方向を基板3の長さ方向に向けた
構造にしておいてもよい。なお、木材単板層2、2間に
必要に応じて薄肉の中質繊維板やパーティクルボード等
を介在、接着させておいてもよい。
【0011】さらに、各木材単板層2の単板片2a、2aの
突き合わせ部4は、上下の木材単板層2において、図1
に示すように、一方の木材単板層2の突き合わせ部4が
他方の木材単板層2の突き合わせ部4、4間の中間部に
位置するように積層、接着されている。又、長さ方向に
隣接する木材単板片2a、2a間の突き合わせ部4には、そ
の突き合わせ端部に生じているひび割れや欠損、或いは
切断時において生じた切断誤差等による傾斜端面、及
び、木材単板層2の積層、接着時における長さ方向の収
縮などによって空隙部5が生じており、この空隙部5は
木材基板3の幅方向に連通して該基板3の両側端面に開
口した状態となっている。
【0012】このように構成した木材基板3の側端面に
開口している空隙部5において、突き合わせ部4の端面
が木口面となっている全ての空隙部5に硬化後に湿気伝
導率が0.001 〜0.05×10−9kg/m.s.Paの透湿性を有する
発泡樹脂性充填剤6を充填する。このような発泡樹脂性
充填剤6としては、ウレタン、アクリルウレタン、ビニ
ルウレタン、エポキシ、フェノール、メラミン、ユリア
メラミン樹脂などの熱硬化性又はその変性樹脂にポリオ
ールやグリコールなどの活性水素化合物と、トリクロロ
モノフルオロメタン等のフロン化合物や重炭酸ナトリウ
ム、炭酸カルシウム等の炭酸ガスを発生させる物質を添
加して発泡させたもので、硬化後に湿気伝導率が0.001
〜0.05×10−9kg/m.s.Paとなる発泡性樹脂液が用いられ
る。なお、この発泡性樹脂液に必要に応じて、粘度や透
湿性を調整するために、澱粉やクルミ粉、パルプなどの
天然有機物充填剤や、クレー等の無機充填剤を添加して
おいてもよい。
【0013】湿気伝導率を上記範囲にしたのは、0.001
×10−9kg/m.s.Paより小さければ木材単板の側端面から
の湿気の放出が妨げられて膨れやパンクが生じ、一方、
0.05×10−9kg/m.s.Paを越えれば、特に木材単板木口部
分からの放湿が多く、突き合わせ部周辺が低含水率にな
って反りやすい。上記湿気伝導率に設定すると、実施例
のように木材単板の板面又は柾目の突き合わせ部の空隙
部にも木口部同士の突き合わせ部の空隙部の両方に適用
できる。
【0014】充填方法としては、先端が開口した直径2
〜10mmの硬質中空管を発泡性樹脂液供給部に連結、連通
させ、この硬質中空管を木材基板3の側端面に開口して
いる上記空隙部5内に挿入し、その先端から発泡性樹脂
液を注入しながら引き抜くことによって空隙部5内に発
泡性樹脂液を充填させるものである。
【0015】充填した発泡性樹脂液の硬化後、図2に示
すように木材基板3の表面にこの基板3と同一平面形状
を有する適宜厚さの化粧材7を接着剤8を介して載置す
る。このような化粧材7としては木材突板、突板貼り合
板、樹脂注入単板、熱硬化性樹脂含浸紙化粧シート板な
どが使用される。
【0016】また、接着剤8としてはユリア、ユリアメ
ラミン共縮合体、フェノール樹脂などのホルムアルデヒ
ド系接着剤や、水性ビニルウレタンやアクリルアミド系
接着剤であって、木材基板3の表面に生じている虫食い
や割れ等の欠陥部を隠蔽するための顔料を添加してあ
り、この接着剤8を木材基板3の表面に30〜200g/m2=の
割合で塗布したのち、化粧材7を載置し、プレス盤によ
って80〜200 ℃で数秒から数分間、熱圧することにより
接着剤8を硬化させて化粧材7を木材基板3上に接着、
一体化させるものである。
【0017】この熱圧処理時において、基板3を構成し
た各木材単板層2の対向する木材単板片2a、2aの突き合
わせ部4における木口端面から木材単板片2a内の水分が
蒸散しようとするが、突き合わせ部4の空隙部5には硬
化後の湿気伝導率が0.001 〜0.05×10==9kg/m.s.Paの透
湿性を有する発泡樹脂性充填剤6が充填されているの
で、この発泡樹脂性充填剤6によって基材外への余分な
水分放出が抑制され、柾目や板目の木目側と同等の低水
分放出量となって全体的に均一な水分分布率のもとでの
熱圧、一体化が行われ、蒸気による突き合わせ部4の膨
れやパンクによる発泡樹脂性充填剤6の脱落が生じるこ
とがなく、反りが生じていない化粧板を製造し得るもの
である。
【0018】
【発明の効果】以上のように本発明の化粧板の製造方法
によれば、複数枚の木材単板片の側端面同士が突き合わ
されてなる木材単板層を複数層、積層、一体化すること
によって形成してなる木材基板の表面に化粧材を積層、
接着するに際して、あらかじめ、上記木材単板片の突き
合わせ部に生じている空隙部に、木材基板の端面側から
硬化後の湿気伝導率が0.001 〜0.05×10−9kg/m.s.Paの
透湿性を有する発泡樹脂性充填剤を充填し、しかるの
ち、木材基板の表面に化粧シート材等の化粧材を接着剤
を介して熱圧により積層、一体化するものであるから、
熱圧時の加熱によって突き合わせ部の木口端面から基板
外に蒸散しようとする水分を空隙部に充填している発泡
樹脂性充填剤によって抑制することができるものであ
る。
【0019】さらに、この発泡樹脂性充填剤は木材の柾
目や板目と同等の透湿性を有しているので、突き合わせ
部を柾目や板目部分と同等の含水率にすることができて
全体的に均一な水分分布率のもとでの熱圧、一体化が行
われ、蒸気による突き合わせ部の膨れやパンクによる充
填剤の脱落が生じることがなく、従って、反りが生じて
いない商品価値の優れた外観の美麗な化粧板を製造し得
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】木材基板の斜視図、
【図2】充填剤を注入後、熱圧一体化して得られた化粧
板の斜視図。
【符号の説明】
1 裏単板 2 木材単板層 2a 木材単板片 3 木材基板 4 突き合わせ部 5 空隙部 6 発泡樹脂性充填剤 7 化粧材 8 接着剤

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の木材単板片の側端面同士が突き
    合わされてなる木材単板層を複数層、積層、一体化する
    ことによって形成してなる木材基板の表面に化粧材を積
    層、接着するに際して、あらかじめ、上記木材単板片の
    突き合わせ部に生じている空隙部に、木材基板の端面側
    から硬化後の湿気伝導率が0.001 〜0.05×10−9kg/m.s.
    Paの透湿性を有する発泡樹脂性充填剤を充填し、しかる
    のち、木材基板の表面に化粧シート材等の化粧材を接着
    剤を介して熱圧により積層、一体化することを特徴とす
    る化粧板の製造方法。
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