JP4937830B2 - 化粧板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面を天然材からなる木質薄突板によって構成するとともに、当該表面に凹凸模様を施した化粧板およびその製造方法に関する。
表面に凹凸模様を有する化粧板は、意匠性に優れるだけでなく、凹凸模様から適度な刺激を得られることから、人の体が直接触れる用途(床材または壁材等)に幅広く用いられており、当該化粧板をフローリングに適用した例が特許文献1に記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されたフローリングでは、1枚の板材の表面に凹凸模様を施しているため、フローリングの材料に高級天然材を使用した場合には、コスト高になるという問題があった。また、特許文献1では、凹凸模様の形成方法については言及されておらず、凹凸模様を「切削加工」で形成したのでは、加工作業が面倒であり、よりコスト高になるという問題があった。
一方、特許文献2には、加熱軟化させた木材に「熱圧プレス」を施すことによって当該木材の表面に凹凸模様を形成する方法が記載されており、この方法によれば、木材に「熱圧プレス」を施すだけで凹凸模様を簡単に形成することができる。
しかしながら、木材の樹種によっては、「熱圧プレス」の際に「割れ」が発生したり、凹凸模様が不均一になったりする場合が生じ、これらの問題を解消するためには、30〜60分といった非常に長時間の「熱圧プレス」を必要とし、生産性が著しく劣るという問題があった。
これらの問題を解消する手段として、特許文献3には、「木質繊維板」の表面に「熱圧プレス」によって凹凸模様を形成し、当該表面に「木質薄突板」を貼着するようにしたログハウス調壁面材の製造方法が記載されている。また、特許文献4には、「木質繊維板」の表面に「熱圧プレス」によって凹凸模様を形成するとともに、「木質繊維板」に熱硬化性樹脂を含浸させ、その後、「木質繊維板」の表面および裏面に「木質薄突板」を貼着するようにした化粧板の製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献3の凹凸模様は、ログハウス調壁面材の表面に施されたものであり、深さが20〜40mmもあることから、これを床材に適用することは想定されていない。また、特許文献3の「ログハウス調壁面材」や、特許文献4の「化粧板」では、「耐荷重性」に劣ることから、これらを床材に適用することはできない。
特開2000−87542号公報 特開平10−235619号公報 特開平8−39510号公報 特開昭58−146314号公報
それゆえに本発明の主たる課題は、木質薄突板の外観と凹凸模様とによって「意匠性」を高めることができ、また、優れた「耐荷重性」、「加工性」および「表面強度」を得ることができ、さらに、水濡れに対する優れた「形態安定性」を得ることができる、化粧板およびその製造方法を提供することである。
請求項に記載した発明は、「表面に凹凸模様22を有する化粧板10の製造方法であって、(a)比重0.4〜1.0で、厚さ0.80〜6.00mmの木質繊維板14の表面に厚さ0.15〜0.40mmの天然材からなる木質薄突板16を直接的または間接的に接着することによって積層体24を形成し、(b)前記積層体24に熱圧プレスを施すことによって前記木質繊維板14と前記木質薄突板16とが一体化した一体化積層体28を形成し、(c)前記一体化積層体28の含水率を7〜20%に調整し、(d)前記一体化積層体28の表面に前記木質繊維板14および前記木質薄突板16の両方に亘って深さ0.15〜0.40mmの凹凸模様22を熱圧プレスで形成することによって表面化粧材20を生成し、(e)前記表面化粧材20の裏面に合板基材12を接着する、化粧板の製造方法」である。
本発明では、木質繊維板14および木質薄突板16の両方に亘って凹凸模様22を形成しているので、水濡れに対する優れた「形態安定性」を得ることができる。また、凹凸模様22を有する表面化粧材20を形成した後、この表面化粧材20の裏面に合板基材12を接着するようにしているので、凹凸模様22を形成するための熱圧プレス、すなわち「エンボス加工」の際に合板基材12が不所望に圧縮されるのを防止できる。
請求項に記載した発明は、請求項に記載した「化粧板の製造方法」において、「前記(a)工程では、前記木質繊維板14と前記木質薄突板16との間に防湿シート40を介在させるようにした」ことを特徴とする。
本発明では、防湿シート40によって湿気や水分の浸透を防止できる。
請求項に記載した発明は、請求項1または2に記載した「化粧板10」において、「表化粧材20の生成においては、木質繊維板14の圧縮の程度を木質薄突板16の圧縮の程度よりも大きくした」ことを特徴とする。
本発明では、木質繊維板14の圧縮の程度を木質薄突板16の圧縮の程度よりも大きくするようにしているので、木質繊維板14を木質薄突板16よりも大きく変形させることができ、主として形態安定性に優れた木質繊維板14によって凹凸模様22の形態を保持できる。
請求項に記載した発明によれば、表面化粧材20の表面に凹凸模様22を熱圧プレスによって形成した後、この表面化粧材20に合板基材12を接着するようにしているので、凹凸模様22を形成するための熱圧プレス、すなわち「エンボス加工」の際に合板基材12が不所望に圧縮されるのを防止できる。したがって、木質繊維板14の「厚み減り」を軽減できるとともに、木質繊維板14に所望の凹凸22aを確実に形成することができる。
また、凹凸模様22を形成する際には、木質繊維板14および木質薄突板16を適当な含水率条件下で加熱しながらプレス(熱圧プレス)するようにしているので、凹凸模様22の形状が「水濡れ」によって戻るのを防止でき、「形態安定性」に優れた化粧板10を得ることができる。
図1は、本発明が適用された化粧板10を示す断面図である。この化粧板10は、住宅等における「床材」(すなわち「フローリング」)または「壁材」等として用いられるものであり、合板基材12と、木質繊維板14と、木質薄突板16とをこの順に積層するとともに、これらを接着剤18で接合した構成を有している。
これらの構成部材のうち、木質繊維板14と木質薄突板16とは、「表面化粧材20」として一体化されており、この表面化粧材20の表面には、木質繊維板14および木質薄突板16の両方に亘って凹凸模様22が熱圧プレスによって形成されている。そして、表面化粧材20の裏面に合板基材12が接着剤18を介して接合されている。なお、以下の説明では、「凹凸模様22を形成するための熱圧プレス加工」を特に「エンボス加工」と称するものとする。
合板基材12は、化粧板10の強度を確保するための板状部材であり、一般的な「合板」が合板基材12として用いられる。
ここで、「合板」とは、複数枚の「単板」を繊維方向(木目方向)が交差するようにして積層するとともに、これらを接着剤で貼り合わせることによって得られた板材であり、「重さの割に強度が大きい」、「伸び縮みが少ない」、「熱伝導率が小さくて断熱性がある」、「音または振動の吸収性がある」といった特徴を有している。
なお、合板基材12を構成する「単板」の種類は、特に限定されるものではなく、南洋材、針葉樹または植林木(ラジアータパイン、ファルカタ等)等の任意の木材を用いることができる。また、合板基材12の厚さは、特に限定されるものではなく、化粧板10に要求される強度等を確保し得るように設定されている。
さらに、合板基材12は、内部空洞を有していてもよく、合板基材12の比重は木質繊維板14の比重よりも小さく設定されていてもよい。内部空洞を有する合板基材12を用いた場合には、低品質材として安価に入手できることから、コストを低減することができる。
木質繊維板14は、木質薄突板16と一体になって木質薄突板16を補強するとともに、「凹凸模様22を加工する際の加工性」、すなわち「エンボス加工の加工性」を高めるものであり、一般的な「中比重木質繊維板」(以下、「MDF」という。)または「ハードボード」(以下、「HDF」という。)等が木質繊維板14として用いられる。そして、木質繊維板14の表面、すなわち木質薄突板16が接着された側の面には、表面化粧材20の表面に施された凹凸模様22の下層部分を構成する凹凸22aが形成されている。
一般的な「MDF」および「HDF」には、ユリアメラミンを結合剤として用いた「Uタイプ」、メラミンを結合剤として用いた「Mタイプ」、フェノールを結合剤として用いた「Pタイプ」の他、イソシアネート化合物やポリオール化合物等を結合剤として用いたものが存在し、また、針葉樹を用いた「針葉樹系MDF」,「針葉樹系HDF」、広葉樹を用いた「広葉樹系MDF」,「広葉樹系HDF」が存在するが、本実施例の木質繊維板14では、これらを任意に選択して用いることができる。ただし、水濡れに対する「形態安定性」を確保するためには、「広葉樹系MDF」または「広葉樹系HDF」を用いることが望ましい。また、「耐水性」をより高めるためには、「Uタイプ」以外の「MDF」または「HDF」を木質繊維板14として用いるとともに、ワックス等の撥水剤を内添させることが望ましい。
木質繊維板14の比重は、「耐傷性」や「エンボス加工の加工性」を考慮して設定され、具体的には、0.4〜1.0に設定され、より好適には、0.6〜0.8に設定される。比重が0.4より小さければ、凹み傷が付き易くなって「耐傷性」の高い化粧板10を得ることができず、一方、比重が1.0を越えると、「エンボス加工の加工性」が悪くなるからである。そして、比重が0.6〜0.8であれば、これらの問題をほぼ解消できるからである。
また、木質繊維板14の厚みは、「エンボス加工の加工性」を考慮して設定され、具体的には、0.80〜6.00mmに設定される。厚みが0.8mmより薄ければ、圧縮代が少ないために「エンボス加工」に高圧を必要とし、大掛かりな設備が必要となるからであり、また、「エンボス加工」の際に木質薄突板16のみが潰れて、木質繊維板14に所望の凹凸22aを形成することが困難になるからである。一方、木質繊維板14の厚みが6.0mmを越えると、木質繊維板14が厚み方向へ均一に圧縮され易くなり、木質繊維板14に所望の凹凸22aを形成することが困難になるからである。
そして、木質繊維板14の表面に形成される凹凸22aの「形態」は、表面化粧材20の表面に「エンボス加工」によって形成される凹凸模様22の「形態」に依存して設定される。つまり、凹凸22aの「平面視形状」は、凹凸模様22の「平面視形状」とほぼ同じに設定され、凹凸22aの「深さ」は、凹凸模様22の「エンボス深さ」とほぼ同じに設定される。凹凸22aは、「エンボス加工」によって凹凸模様22と一体に形成されるからである。
ここで、凹凸模様22の「平面視形状」は、「意匠性が高く、かつ、人の体が触れた際に心地よさを感じさせるような形状」に設定され、具体的には、図2に示すような「筋模様」や、図3に示すような「格子模様」等に設定される。なお、図2の「筋模様」は、複数の筋状の凹部を平行に並べた模様であり、図3の「格子模様」は、複数の四角形状の凹部を格子状に並べた模様である。
また、凹凸模様22の「深さ(以下、「エンボス深さ」という。)」は、「意匠性」や「耐久性」を考慮して設定され、具体的には、0.15〜0.40mmに設定される。「エンボス深さ」が0.15mmより小さければ、意匠的に「凹凸」として認識され難くなり、「エンボス深さ」が0.40mmより大きければ、木質薄突板16が割れ易くなるとともに、木質繊維板14における凹部の圧縮率が高くなり過ぎるため、木質繊維板14のパンクないし爆裂(以下、単に「パンク」という。)が発生し易くなるからである。特に、木質繊維板14の厚さが1.0mm以下である場合には、圧縮代が少なくなってパンクが発生し易くなるため、凹凸模様22の「エンボス深さ」を0.15〜0.30mmにすることが望ましい。
したがって、木質繊維板14の表面に形成される凹凸22aの「平面視形状」は、凹凸模様22の「平面視形状」に合致する「筋模様」または「格子模様」等に設定され、凹凸22aの「深さ」は、凹凸模様22の「エンボス深さ」とほぼ同じ「0.15〜0.40mm」に設定されることになる。
木質薄突板16は、化粧板10の表面に「装飾性」を付与するものであり、一般に「突板」、「天然化粧単板」、「天然銘木単板」または「天然突板単板」等と称されている天然材からなる薄板である。木質薄突板16は、木質繊維板14の表面に施された凹凸22aに沿うようにほぼ一定の厚みで形成されており、木質薄突板16の表面に現れた凹凸22bが化粧板10の凹凸模様22として視認されることになる。
木質薄突板16の樹種は、特に限定されるものではないが、「装飾性」を高めるためには、「美しい木目」や「個性的な模様」を有するものであることが望ましい。
木質薄突板16の厚みは、「エンボス加工の加工性」を考慮して設定され、具体的には、0.15〜0.40mmに設定され、より好適には、0.20〜0.35mmに設定される。厚みが0.15mmより薄ければ、「破れ」が生じ易くなり、一方、厚みが0.60mmより厚ければ、「エンボス加工」の際に「割れ」が生じ易くなるからである。そして、厚みが0.20〜0.35mmであれば、これらの問題をほぼ解消できるからである。
また、木質薄突板16として、杉材や桐材等の比較的比重の軽い軟質材を用いる場合には、「エンボス加工」の際に「優先的な圧縮」が進むため、木質繊維板14に対する凹凸22aの加工が困難になる。そこで、この場合には、木質薄突板16の厚みを0.15〜0.30mmに薄く設定して、「優先的な圧縮」による悪影響を小さくすることが望ましい。
そして、木質薄突板16として、ブビンガまたはローズウッド等の硬質材を用いる場合には、「エンボス加工」の際に「割れ」が生じ易くなるため、木質薄突板16の厚みを0.15〜0.30mmに薄く設定することが望ましい。
さらに、木質薄突板16は、「エンボス加工」によって凹凸模様22を形成する際に木質繊維板14と共に圧縮されるが、木質繊維板14の圧縮の程度は、木質薄突板16の圧縮の程度よりも大きくすることが望ましい。木質繊維板14は、微細な空隙を有する木質繊維の集合体であり、天然材からなる木質薄突板16に比べて熱圧プレス後の「形態安定性」がはるかに優れているため、木質繊維板14の圧縮の程度を木質薄突板16の圧縮の程度よりも大きくすることによって、凹凸模様22の「形態安定性」をより高めることができるからである。
接着剤18は、合板基材12と木質繊維板14との接着や、木質繊維板14と木質薄突板16との接着に適した汎用接着剤である。接着剤18の種類は、特に限定されるものではなく、具体的には、尿素メラミン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ビニルウレタン系接着剤、エポシキ系接着剤、ウレタン系接着剤またはPURホットメルト接着剤等が接着剤18として用いられる。
以下には、図4〜図6に基づいて、化粧板10(図1)の製造方法について説明する。本実施例の「化粧板の製造方法」では、「積層体生成工程」、「積層体一体化工程」、「含水率調整工程」、「エンボス加工工程」、「化粧板一体化工程」および「表面化粧工程」をこの順に実行する。
「積層体生成工程」では、図4(A)に示すように、比重0.4〜1.0で、厚さ0.80〜6.00mmの木質繊維板14の表面に接着剤18を塗布し、当該表面に厚さ0.15〜0.40mmの天然材からなる木質薄突板16を、他の部材を介することなく直接接着することによって積層体24を形成する。
「積層体一体化工程」では、図4(B)に示すように、積層体24を熱圧プレス機26にセットし、プレス板26aおよび26bを用いて積層体24に熱圧プレスを施すことによって木質繊維板14と木質薄突板16とが一体化した一体化積層体28を形成する。
本工程における熱圧プレス条件は、木質繊維板14と木質薄突板16とを確実に接合する観点から設定され、具体的には、プレス温度が100〜130℃、プレス圧力が0.8〜1.5MPa、プレス時間が30〜90秒に設定される。
「含水率調整工程」では、図4(c)に示すように、一体化積層体28を調湿ルーム30に収容し、一体化積層体28の含水率を7〜20%、より好適には、10〜15%に調整する。含水率が7%より少なければ、木質繊維板14が充分に軟化しないため、後の「エンボス加工工程」における「エンボス加工の加工性」が悪くなるからである。一方、含水率が20%より多ければ、「エンボス加工」の際に、木質繊維板14が水蒸気過剰になってパンクしたり、木質薄突板16が変色したりする恐れがあるからである。そして、含水率が10〜15%であれば、これらの問題をほぼ解消できるからである。
なお、本工程で要求される調湿ルーム30の最適条件は、一体化積層体28の構成によって異なるものである。たとえば、「比重0.7で、厚み2.7mmのMDF」からなる木質繊維板14と、「厚み0.18mmのホワイトバーチ」からなる木質薄突板16とを組み合わせた一体化積層体28においては、「温度23℃、湿度53%」で2日間養生した場合に「含水率12%」となり、「温度40℃、湿度40%」で2日間養生した場合に「含水率7%」となり、「温度40℃、湿度90%」で2日間養生した場合に「含水率16%」となることが実験により確認されている。
また、含水率の調整方法としては、上述の「養生法」の他、一体化積層体28における木質繊維板14の裏面側から噴霧等により給水する「給水法」を用いてもよい。この「給水法」においても、「3〜5%」であった含水率が「7〜20%」になることが実験により確認されている。
「エンボス加工工程」では、図5(D)に示すように、一体化積層体28の表面に深さ0.15〜0.40mmの凹凸模様22を熱圧プレスで形成することによって表面化粧材20を生成する。つまり、含水率が調整された一体化積層体28を熱圧プレス機32にセットし、プレス板32aおよび32bを用いて一体化積層体28に「エンボス加工(熱圧プレス)」を施すことによって、一体化積層体28の表面に深さ0.15〜0.40mmの凹凸模様22を形成する。
なお、本工程における熱圧プレス条件は、「エンボス加工の加工性」を考慮して設定され、具体的には、プレス温度が150〜180℃、好適には160〜170℃、プレス圧力が2〜4Mpa、プレス時間が45〜180秒に設定される。
プレス温度が150℃より低ければ、木質繊維板14を充分に軟化させることができないため、「加工性」が悪くなるとともに、水濡れに対する「形態安定性」が悪くなり、プレス温度が180℃より高ければ、木質薄突板16が「変色」してしまうからである。
また、プレス圧力が2MPaより低ければ、充分な「エンボス加工」を期待できず、プレス圧力が4MPaより高ければ、含水率が比較的高い木質繊維板14を用いた場合に、木質繊維板14がパンクする恐れがあるとともに、木質繊維板14の厚みが不所望に薄くなってしまうからである。
そして、プレス時間が45秒より短ければ、充分な「エンボス加工」を期待できず、水濡れに対する「形態安定性」が悪くなり、プレス時間が180秒より長ければ、「生産性」が悪くなるとともに、木質薄突板16が「変色」してしまうからである。
また、凹凸模様22の「エンボス深さ」は、プレス板32bに形成された凹凸模様(凹凸模様22に対応するもの)の「深さ」によって定まるが、当該「深さ」は、凹凸模様22の「エンボス深さ」が0.15〜0.40mmになるように設定されている。凹凸模様22の「エンボス深さ」が0.15mmより浅くなれば、「凹凸」として認識され難いために充分な意匠的効果を得られず、「エンボス深さ」が0.40mmより深くなれば、木質薄突板16が割れ易くなるだけでなく、木質繊維板14がパンクし易くなるからである。
さらに、本工程では、木質繊維板14の「厚み減り」を軽減するために、一体化積層体28(すなわち、表面化粧材20)の厚みを規制するディスタンスバー(図示省略)を併用することが望ましい。ディスタンスバーを併用すると、特に、厚み3.00〜6.00mmの厚肉の木質繊維板14を用いた一体化積層体28に「エンボス加工」を施す際に、木質繊維板14の「厚み減り」を効果的に軽減できる。
「化粧板一体化工程」では、図5(E)に示すように、表面化粧材20の裏面に合板基材12を接着する。つまり、表面化粧材20の裏面または合板基材12の表面の少なくとも一方に接着剤18を塗布し、合板基材12の表面に表面化粧材20を積層して積層体34を形成する。そして、積層体34を熱圧プレス機36にセットし、プレス板36aおよび36bを用いて積層体34に熱圧プレスを施すことによって、強固に一体化された化粧板10を生成する。
本工程におけるプレス条件は、表面化粧材20と合板基材12と確実に接合する観点から設定され、具体的には、プレス圧力が0.2〜1.0MPa、プレス時間が30〜90秒に設定される。また、接着剤18として、ホットメルトやPUR(Poly Uretane Reactive)ホットメルト等の「熱圧タイプ」のものを用いる場合には、プレス温度が100〜130℃に設定され、ビニルウレタン系接着剤等の「冷圧タイプ」のものを用いる場合には、プレス温度がほぼ常温に設定される。また、合板基材12に比重が軽いファルカタや杉材等を用いる場合には、0.2〜0.8MPaの低めのプレス圧力でプレスを施すことが望ましい。
「表面化粧工程」では、図5(F)に示すように、化粧板10の凹凸模様22が施された表面に塗料を塗布して塗装膜38を形成する。本工程で用いる塗料としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ウレタン塗料、紫外線硬化型樹脂塗料、電子線硬化型塗料等を用いることができる。なお、本工程は、水濡れによる凹凸模様22の「形態安定性」をより高める工程であり、必ずしも必要な工程ではなく、耐水性に優れた木質薄突板16を用いる場合には省略されてもよい。
上述の実施例によれば、凹凸模様22を有する表面化粧材20を形成し、その後、表面化粧材20と合板基材12とを接合して一体化するようにしているので、「エンボス加工工程」(図5(D))における「エンボス加工」のプレス圧力を大きくすることができるとともに、「化粧板一体化工程」(図5(E))における「熱圧プレス」のプレス圧力を小さくすることができる。したがって、「エンボス加工工程」で得られる凹凸模様22の「エンボス深さ」を深くすることができるとともに、「化粧板一体化工程」における合板基材12の「厚み減り」を少なくすることができる。
また、「エンボス加工工程」(図5(D))における「エンボス加工」では、木質繊維板14および木質薄突板16を適当な含水率条件下で加熱しながらプレス(熱圧プレス)するようにしているので、凹凸模様22の形状が「水濡れ」によって戻るのを防止でき、「形態安定性」に優れた化粧板10を得ることができる。
なお、上述の化粧板10(図1)では、木質繊維板14の表面に木質薄突板16を直接的に接着するようにしているが、図6に示すように、木質繊維板14の表面に木質薄突板16を、防湿シート40を介して間接的に接着するようにしてもよい。
防湿シート40は、木質繊維板14と木質薄突板16との間において、木質薄突板16から木質繊維板14へ向かう湿気や水分を遮断するシート状物であり、具体的には、ポリサンド紙、樹脂含浸紙またはアルミサンド紙等の防湿効果を期待できるシート状物が防湿シート40として用いられる。
これらのうち「ポリサンド紙」は、図7に示すように、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなるシート状の芯材40aと、芯材40aの裏面に熱融着された裏面紙40bと、芯材40aの表面に熱融着された表面紙40cとを有しており、裏面紙40bが木質繊維板14に接着され、表面紙40cが木質薄突板16に接着される。したがって、防湿シート40として「ポリサンド紙」を用いた場合には、芯材40aによって優れた「防湿性」を得ることができるとともに、裏面紙40bおよび表面紙40cによって優れた「接着性」を得ることができる。
また、上述の「化粧板の製造方法」では、一体化積層体28を形成する「積層体一体化工程」(図4(B))と、一体化積層体28の含水率を調整する「含水率調整工程」(図4(C))と、凹凸模様22を形成する「エンボス加工工程」(図5(D))とを別々に行うようにしているが、これらの工程を「表面化粧材形成工程」として一つの工程で行うようにしてもよい。
この「表面化粧材形成工程」では、図8に示すように、木質繊維板14の表面に接着剤18を塗布し、当該表面に木質薄突板16を載置して積層体42を形成する。このとき、木質繊維板14および木質薄突板16の含水率を目標含水率(7〜20%の範囲内の所定値)よりも小さく調整しておき、所定量の接着剤18を塗布して積層体42の含水率を目標含水率になるように調整する。そして、この積層体42に「エンボス加工」を施して、表面に凹凸模様22を有する表面化粧材44を得る。
なお、「表面化粧材形成工程」では、木質繊維板14と木質薄突板16との間に水分が集中し易く、当該水分によってパンクが発生し易くなるため、「エンボス加工」におけるプレス圧力を「2.5〜3.5MPa」と低めに設定するとともに、プレス時間を「90〜180秒」と長めに設定することが望ましい。
また、木質繊維板14と木質薄突板16との間に防湿シート40を介在させる場合には、パンクの危険性がより高くなるため、「積層体一体化工程」(図4(B))と、一体化積層体28の含水率を調整する「含水率調整工程」(図4(C))と、凹凸模様22を形成する「エンボス加工工程」(図5(D))とを別々に行うことが望ましい。
発明者等は、以下の「実施例1〜4」および「比較例」について、凹凸模様22の「エンボス深さ」を測定するとともに、「パンク」の有無を確認した。また、化粧板10の厚みと加工前の各層の総厚みとの差を「厚み減り量」として算出した。そして、「実施例1〜4」および「比較例」の各構成と、これらに対応する測定結果等とを図9に示す「表」に記載した。
実施例1では、木質繊維板14として、「厚み2.7mm、比重0.7」の広葉樹系のMDFを使用し、接着剤18として、ビニルウレタン系接着剤を使用し、木質薄突板16として、「厚み0.18mm」のホワイトバーチ単板を使用した。また、合板基材12として、「厚み9.0mm、比重0.7」のゴム合板を使用した。
化粧板10を製造する際には、まず、木質繊維板14の表面に接着剤18を「密度100g/m」で塗布し、当該表面に木質薄突板16を積層して積層体24を形成し、この積層体24に「温度120℃、圧力0.8MPa、時間50秒」のプレス条件で熱圧プレスを施して一体化積層体28を形成した。続いて、この一体化積層体28の裏面にスポンジロールを用いて水を「密度50g/m」で塗布し、1日間の堆積養生によって含水率を10%に調整した。その後、この一体化積層体28に「エンボス加工」を施して表面化粧材20を得た。
「エンボス加工」では、表面が鏡面状に仕上げられたプレス板32aと、表面に「深さ0.25mm」の反転凹凸模様(凹凸模様22に対応する模様)が形成されたプレス板32bとの間に一体化積層体28を配置し、「温度160℃、圧力3MPa、時間90秒」のプレス条件で熱圧プレスを施した。また、「エンボス加工」の際には、無用な「厚み減り」を防ぐために、一体化積層体28の総厚(2.9mm)よりも0.7mm薄い厚み(2.2mm)のディスタンスバー(図示省略)を併用した。
そして、合板基材12の表面に接着剤18を「密度170g/m」で塗布し、当該表面に表面化粧材20を積層した積層体34を50セット準備し、これらを順積み堆積したものに「圧力0.7MPa、時間40分」のプレス条件で冷圧プレスを施して化粧板10を得た。その後、この化粧板10を「期間1週間、温度23℃、湿度53%」で養生した。なお、実施例1では、図5(F)に示した「表面化粧工程」は省略した。
実施例1については、「表(図9)」に示すように凹凸模様22の「エンボス深さ」は「0.23mm」、「パンク」は「なし」、「厚み減り量」は「0.3mm」であった。
実施例2では、「合板基材12の芯層に1.0mm×2.0mmの複数の欠損部(内部空洞)が存在している点」において実施例1と相違しているが、その他の構成や製造方法は、実施例1と同じである。
実施例2については、「表(図9)」に示すように凹凸模様22の「エンボス深さ」は「0.23mm」、「パンク」は「なし」、「厚み減り量」は「0.3mm」であった。
実施例3では、木質繊維板14として、「厚み2.7mm、比重0.7」の広葉樹系のMDFを使用し、接着剤18として、ビニルウレタン系接着剤を使用し、木質薄突板16として、「厚み0.18mm」のホワイトバーチ単板を使用した。また、合板基材12として、「厚み10.0mm、比重0.4」のファルカタ合板を使用した。実施例3と実施例1とは、合板基材12の構成において相違するが、その他の構成は同じである。
化粧板10を製造する際には、まず、木質繊維板14の表面に接着剤18を「密度100g/m」で塗布し、当該表面に木質薄突板16を積層して積層体42を形成した。こうして得られた積層体42の含水率は10%であった。
そして、この積層体42に「エンボス加工」を施して表面に凹凸模様22を有する表面化粧材44を得た。つまり、実施例1では、「積層体一体化工程」と、「含水率調整工程」と、「エンボス加工工程」とを別々に行うようにしているのに対し、実施例3では、これらの工程を「表面化粧材形成工程」(図8)として一つの工程で行うようにしている。
「表面化粧材形成工程」における「エンボス加工」では、表面が鏡面状に仕上げられたプレス板32aと、表面に「深さ0.25mm」の反転凹凸模様(凹凸模様22に対応する模様)が形成されたプレス板32bとの間に積層体42を配置し、「温度160℃、圧力3MPa、時間90秒」のプレス条件で熱圧プレスを施した。また、「エンボス加工」の際には、無用な「厚み減り」を防ぐために、積層体42の総厚(4.2mm)よりも2.0mm薄い厚み(2.2mm)のディスタンスバー(図示省略)を併用した。
そして、合板基材12の表面に接着剤18を「密度170g/m」で塗布し、当該表面に表面化粧材44を積層したものを50セット準備し、これらを順積み堆積したものに「圧力0.7MPa、時間40分」のプレス条件で冷圧プレスを施して化粧板10を得た。その後、この化粧板10を「期間1週間、温度23℃、湿度53%」で養生した。なお、実施例3では、図5(F)に示した「表面化粧工程」は省略した。
実施例3については、「表(図9)」に示すように凹凸模様22の「エンボス深さ」は「0.24mm」、「パンク」は「なし」、「厚み減り量」は「0.3mm」であった。
実施例4では、木質繊維板14として、「厚み5.5mm、比重0.7」の広葉樹系のMDFを使用し、接着剤18として、ビニルウレタン系接着剤を使用し、木質薄突板16として、「厚み0.18mm」のホワイトバーチ単板を使用した。また、合板基材12として、「厚み10.0mm、比重0.4」のファルカタ合板を使用した。実施例4と実施例1とは、木質繊維板14および合板基材12の構成において相違するが、その他の構成は同じである。
化粧板10を製造する際には、まず、木質繊維板14の表面に接着剤18を「密度100g/m」で塗布し、当該表面に木質薄突板16を積層して積層体24を形成し、この積層体24に「温度120℃、圧力0.8MPa、時間50秒」のプレス条件で熱圧プレスを施して一体化積層体28を形成した。続いて、この一体化積層体28の裏面にスポンジロールを用いて水を「密度75g/m」で塗布し、1日間の堆積養生によって含水率を8%に調整した。その後、この一体化積層体28に「エンボス加工」を施して表面化粧材20を得た。
「エンボス加工」では、表面が鏡面状に仕上げられたプレス板32aと、表面に「深さ0.25mm」の反転凹凸模様(凹凸模様22に対応する模様)が形成されたプレス板32bとの間に一体化積層体28を配置し、「温度160℃、圧力3MPa、時間90秒」のプレス条件で熱圧プレスを施した。なお、「エンボス加工」の際には、ディスタンスバーは使用しなかった。
そして、合板基材12の表面に接着剤18を「密度170g/m」で塗布し、当該表面に表面化粧材20を積層した積層体34を50セット準備し、これらを順積み堆積したものに「圧力0.7MPa、時間40分」のプレス条件で冷圧プレスを施して化粧板10を得た。その後、この化粧板10を「期間1週間、温度23℃、湿度53%」で養生した。なお、実施例4では、図5(F)に示した「表面化粧工程」は省略した。
実施例4については、「表(図9)」に示すように凹凸模様22の「エンボス深さ」は「0.22mm」、「パンク」は「なし」、「厚み減り量」は「0.9mm」であった。
[比較例]
比較例では、木質繊維板14として、「厚み2.7mm、比重0.7」の広葉樹系のMDFを使用し、接着剤18として、ビニルウレタン系接着剤を使用し、木質薄突板16として、「厚み0.18mm」のホワイトバーチ単板を使用した。また、合板基材12として、「厚み9.0mm、比重0.7」のゴム合板を使用した。つまり、比較例の基本的構成は実施例1の構成と同じである。
比較例に係る「化粧板」を製造する際には、まず、木質繊維板14の表面に接着剤18を「密度100g/m」で塗布し、当該表面に木質薄突板16を積層して積層体24を形成し、この積層体24に「温度120℃、圧力0.8MPa、時間50秒」のプレス条件で熱圧プレスを施して一体化積層体28を形成した。続いて、この一体化積層体28の裏面にスポンジロールを用いて水を「密度50g/m」で塗布し、1日間の堆積養生によって含水率を10%に調整した。
そして、合板基材12の表面に接着剤18を「密度170g/m」で塗布し、当該表面に一体化積層体28を積層したものを50セット準備し、これらを順積み堆積したものに「圧力0.7MPa、時間40分」のプレス条件で冷圧プレスを施して「積層体」を得た。こうして得られた「積層体」の含水率は12%であった。その後、この「積層体」に「エンボス加工」を施して化粧板10を得た。
「エンボス加工」では、表面が鏡面状に仕上げられたプレス板32aと、表面に「深さ0.25mm」の反転凹凸模様(凹凸模様22に対応する模様)が形成されたプレス板32bとの間に「積層体」を配置し、「温度160℃、圧力3MPa、時間90秒」のプレス条件で熱圧プレスを施して化粧板10を得た。また、「エンボス加工」の際には、無用な「厚み減り」を防ぐために、積層体の総厚(12.0mm)よりも2.0mm薄い厚み(10.0mm)のディスタンスバー(図示省略)を併用した。そして、化粧板10を「期間1週間、温度23℃、湿度53%」で養生した。なお、比較例では、図5(F)に示した「表面化粧工程」は省略した。
比較例については、「表(図9)」に示すように凹凸模様22の「エンボス深さ」は「0.08mm」、「パンク」は「なし」、「厚み減り量」は「0.9mm」であった。
[検討]
比較例では、合板基材12を含む全ての構成材料を積層して「積層体」を得た後、この「積層体」に「エンボス加工」を施して凹凸模様22を有する化粧板10を得るようにしている。これに対し、実施例1〜4では、合板基材12を除いた構成材料を積層し、これに「エンボス加工」を施して凹凸模様22を有する表面化粧材20,44を形成し、その後、表面化粧材20,44を合板基材12に積層して化粧板10を得るようにしている。
したがって、実施例1〜4では、「エンボス加工」の際に合板基材12が不所望に圧縮されることはなく、表(図9)に示すように、比較例に比べて「厚み減り量」を大幅に軽減できる。また、実施例1〜4では、「エンボス加工」におけるプレス圧力が合板基材12に吸収されることがないので、表(図9)に示すように、所定の「エンボス深さ」を有する凹凸模様22を確実に形成することができる。
化粧板を示す断面図 化粧板の凹凸模様(筋状)を示す平面図 化粧板の凹凸模様(格子模様)を示す平面図 化粧板の製造方法を示す工程図(A),(B),(C) 化粧板の製造方法を示す工程図(D),(E),(F) 他の化粧板(防湿シート有り)を示す断面図 防湿シート(ポリサンド紙)を示す断面図 表面化粧材形成工程を示す工程図 各実施例および比較例の構成および効果を示す表
符号の説明
10… 化粧板
12… 合板基材
14… 木質繊維板
16… 木質薄突板
18… 接着剤
20,44… 表面化粧材
22… 凹凸模様
22a,22b… 凹凸
24,34,42… 積層体
26,32,36… 熱圧プレス機
28… 一体化積層体
30… 調湿ルーム
38… 塗装膜
40… 防湿シート

Claims (3)

  1. 表面に凹凸模様を有する化粧板の製造方法であって、
    (a)比重0.4〜1.0で、厚さ0.80〜6.00mmの木質繊維板の表面に厚さ0.15〜0.40mmの天然材からなる木質薄突板を直接的または間接的に接着することによって積層体を形成し、
    (b)前記積層体に熱圧プレスを施すことによって前記木質繊維板と前記木質薄突板とが一体化した一体化積層体を形成し、
    (c)前記一体化積層体の含水率を7〜20%に調整し、
    (d)前記一体化積層体の表面に前記木質繊維板および前記木質薄突板の両方に亘って深さ0.15〜0.40mmの凹凸模様を熱圧プレスで形成することによって表面化粧材を生成し、
    (e)前記表面化粧材の裏面に合板基材を接着する、化粧板の製造方法。
  2. 前記(a)工程では、前記木質繊維板と前記木質薄突板との間に防湿シートを介在させるようにした、請求項1に記載の化粧板の製造方法。
  3. 表面化粧材の生成においては、木質繊維板の圧縮の程度を木質薄突板の圧縮の程度よりも大きくした、請求項1または2に記載の化粧板の製造方法。
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