JP2004156246A - 床板およびこれを用いた床 - Google Patents
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Abstract
【目的】床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生を防止し、かつ施工性を良好にする。
【構成】本発明の床板3は、基板5と、該基板の一方の面6に設けられた防湿シート11と、該防湿シートの表面に硬化した後でも柔らかい接着剤27で熱圧接着された化粧材13と、基板の他方の面7に硬化した後で硬くなる接着剤28で熱圧接着された裏当材15とを備え、基板の一方の面側に凸状に変形してなることを特徴とする。好ましくは、基板の一方の面側の温度を常温にして基板の他方の面に裏当材を熱圧接着する。この床板を建築物の床下地構造体に張って床とすることができる。
【選択図】 図1
【構成】本発明の床板3は、基板5と、該基板の一方の面6に設けられた防湿シート11と、該防湿シートの表面に硬化した後でも柔らかい接着剤27で熱圧接着された化粧材13と、基板の他方の面7に硬化した後で硬くなる接着剤28で熱圧接着された裏当材15とを備え、基板の一方の面側に凸状に変形してなることを特徴とする。好ましくは、基板の一方の面側の温度を常温にして基板の他方の面に裏当材を熱圧接着する。この床板を建築物の床下地構造体に張って床とすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用の床板およびこれを用いた床に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の床板としては、たとえば長方形の板面を有するとともに天然木から挽かれた加工木質基板を有し、幅方向の断面形状が表面側に凸となるようにアーチ状に湾曲させたものが知られている。この床板は、必要に応じて適宜の化粧加工表面を有し、長手方向および幅方向または何れか一方の方向の木口に実加工が施されている(特許文献1参照)。
【0003】
他方、基板の表面に熱可塑性樹脂系接着剤を介して化粧材が貼着され、基板の裏面に熱硬化性樹脂系接着剤を介してシート状物が貼着されたものが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また、基板の表面に、その木目方向と平行な木目方向を有する化粧材を軟質接着剤で接着し、基板の裏面に、その木目方向と交差する方向の木目方向を有する捨て単板を硬質接着剤で接着したものが知られている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
実公平4−7313号公報(第1頁−第2頁、図)
【特許文献2】
特許第3069888号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】
特開平9−38906号公報(第3頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアーチ状に湾曲させた床板(特許文献1)は、幅方向の断面形状が表面側に凸となるように形成されているので、従来の単なる平板状の床板に比べれば、長手方向の曲げ強度が向上する。しかし、幅方向のみに湾曲しているので、施工の際にこの床板を長手方向に連結する際に、床板同士の長手方向の床面が一致しにくく、床板の浮き上がりや床鳴りなどの発生のおそれもあるので一層の改善が望まれていた。
【0007】
他方、熱可塑性樹脂系および熱硬化性樹脂系の接着剤を介して化粧材とシート状物を貼着する床板(特許文献2)は、基板の裏面においては含水率の変化の影響を受けにくいシート状物が貼着されるので基板の裏面においては収縮膨張の影響が少ないが、基板の表面においては含水率の変化の影響を受ける化粧材が貼着されるので収縮膨張の影響を受け、長期の使用の間に基板の表裏で収縮膨張のバランスがくずれ、床板の浮き上がりや床鳴りなどの発生のおそれがあるので耐久性の点からさらに改善が望まれていた。
【0008】
また、基板の表面に化粧材を軟質接着剤で接着し、基板の裏面に捨て単板を硬質接着剤で接着したもの(特許文献3)は、幅方向に曲がりにくく、谷反りが発生しないようにできるが、基板の長手方向に対しては表面側に凸状に反るものではないので、この床板を床根太などに張るときに、十分に配慮した施工を行わないと長手方向の床板同士の継ぎ目に食い違いや浮き上がりができる。
【0009】
本発明は、床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生を防止でき、かつ施工性が良いことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、基板と、この基板の一方の面に設けられた防湿シートと、この防湿シートの表面に硬化した後でも柔らかい接着剤で熱圧接着された化粧材と、基板の他方の面に硬化した後で硬くなる接着剤で熱圧接着された裏当材とを備え、基板の一方の面側に凸状に変形してなることを特徴とする。
【0011】
このようにすることにより、基板の他方の面に裏当材を接着するときに、熱圧の状態で接着されるので裏当材に含まれる水分は放出され、裏当材の含水率は小さくなる。裏当材の含水率が小さくなると裏当材は収縮する。さらに、接着剤として硬化後に硬くなるものを使用するので裏当材の収縮は基板に影響し、裏当材と基板の裏面側は収縮する。
【0012】
他方、基板の一方の面側に接着される化粧材は熱圧の状態で接着されるので化粧材に含まれる水分は放出され収縮する。しかし、硬化した後でも柔らかい接着剤は変形が容易であるので、化粧材による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シートの層は比較的軟質であるので、この防湿シートの部分でも化粧材による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シートは基板の一方の面側に含有する水分が放出し含水率が低下することを阻止し、基板の一方の面側の収縮を防止する。したがって、化粧材の収縮は、少なくとも硬化した後でも柔らかい接着剤および防湿シートの両部分で吸収され基板にまで及ぶことが少ない。
【0013】
このように、基板の表裏に使用する接着剤に物性の異なるものを使用し、基板の一方の面側に防湿シートを設けることにより、床板の一方の面側に凸状ないし椀状の変形を発生させることができるが、さらに基板の両面における温度をコントロールすることにより該変形を確実に発生させることができる。すなわち、基板の一方の面側は化粧材の収縮の影響をあまり受けないようにコントロールされ、基板の他方の面側は裏当材の収縮の影響を大きく受けるようにコントロールされるので、床板は長手方向およびこれと直交する巾方向において一方の面側に凸状ないし椀状に変形する。
【0014】
たとえば、基板の一方の面側の温度を常温にして基板の他方の面に裏当材を熱圧接着すると良い。このようにすると基板の一方の面側は常温の状態であるので、基板の一方の面側に含まれる水分の蒸発は少なく含水率の低下は小さい。他方、基板の他方の面には裏当材が熱圧接着されるので温度が高く、先に記したように、水分の放出が大きく基板の他方の面側の含水率は小さくなる。基板の他方の面側の含水率が小さくなると、基板の他方の面側は収縮変形する。故に、基板はその一方の面側に凸状(椀状)に変形することになる。
【0015】
上記したように、本発明の床板は、その一方の面側に凸状に変形しているので、その床板を建築物の床下地構造体に張って床を設けるとき、床板の縁は一方の面側に反り上がることがなく、床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生が防止され、床板同士の継ぎ目に凹凸のない高級感のある床が形成され、かつ施工性が良い。
【0016】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。床板は、その表面を上から見た形状が略矩形で、四つの木口のうち隣合う木口に雄実、別の隣合う木口に雌実が各々設けられている。基板の他方の面に裏当材を熱圧接着するときは、凸状に変形させるために基板の他方の面側の温度と基板の一方の面側の温度の差を大きくした方が良い。具体的には、基板の他方の面側の温度を100〜150℃、好ましくは140℃とし、基板の一方の面側の温度を常温とする。熱圧の圧力は6〜10kgf/cm2、好ましくは7kgf/cm2とする。
【0017】
また、防湿シートの上に化粧材を熱圧接着するときに、基板の一方の面側の温度は、基板の他方の面側の温度より低くする。これは、基板の他方の面側の含水率を低く保つためである。基板の一方の面側の温度は100〜140℃、好ましくは130℃とし、基板の他方の面側の温度は100〜150℃、好ましくは140℃とする。熱圧の圧力は6〜10kgf/cm2、好ましくは7kgf/cm2とすると良い。
【0018】
基板と裏当材との間に使用する硬化した後で硬くなる接着剤は、接着時に熱をかけることにより硬化するもので、熱硬化性接着剤(たとえば、ユリア系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系接着剤、これらの重合体・重縮合体からなる各種接着剤)を単独で用いるか、あるいは、これに塗布時の粘度調整と増量のために若干量の小麦粉を混合したものを用いることができる。SBRラテックス等のゴム系接着剤が含まれると、硬化した後も柔らかさを維持する傾向が強くなるので、この接着剤にはゴム系接着剤が含まれないことが好ましいが、硬化した後で硬くなるものであれば、若干量のSBRラテックス等のゴム系接着剤を含むものであってもよい。この接着剤は硬化するときに収縮するので基板の裏当材側を収縮させ、基板の一方の面側に凸状になるようにする。
【0019】
化粧材と防湿シートとの間に使用する硬化した後でも柔らかい接着剤としては、熱硬化性接着剤(たとえば、ユリア系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系接着剤、これらの重合体・重縮合体からなる各種接着剤)とゴム系接着剤(SBRラテックス等)の混合物を用いることができる。上記と同じ理由で小麦粉を混合して用いてもよい。。
【0020】
床板は、裏当材にクッション材としての軟質材を設けると良い。このように形成された本床板は、5層の積層構造をしており、上から化粧材、防湿シート、基板、裏当材、軟質材である。
【0021】
基板は、合板、平行合板(L.V.L.)、パーティクルボード、ウェハーボード、フレークボード、ストランドボード、スティックボードなどの木削片板および木質繊維板(MDFなど)などを使用することができる。これらの木質板の中でも特に木質繊維板が好ましい。裏当材は、単板、合板、木削片板、単板積層板などの木質系を使用することができる。
【0022】
防湿シートは、水蒸気と水の両方を透さないもので、かつ接着剤で貼着できるものであれば特に限定されないが、たとえば紙層の間に合成樹脂層などの防湿層を有する積層シート、たとえばポリエチレンフィルムを紙で挟んだポリラミシートまたはポリラミ紙(ポリサンド紙)を用いることができる。
【0023】
化粧材は、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板、人工突板および不織布、紙、合成樹脂シートを裏打ちした突板シートおよび化粧紙、樹脂含浸紙などを使用することができる。また、これら化粧材の表面に、上塗り層を設けることもできる。さらに、木質板に直接印刷、塗装などを施すことにより形成することもできる。化粧材として用いる合成樹脂シートとしては、たとえばオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いても良い。
【0024】
軟質材は、クッションとなる材料で、弾力性を有する材料をはじめ、合成ゴム材や天然ゴム材あるいは気泡を有する発泡材や気泡を有しない未発泡材などで、たとえばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)、シリコン樹脂などの軟質合成樹脂材が含まれる。スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)やシリコン樹脂などを酢酸ビニル樹脂などの軟質材用接着剤で貼着しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る床板およびこれを用いた床の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜図7において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【0026】
図1は、本発明に係る床板の要部断面図である。床板3は、基板として使用される中質繊維板(以下「MDF」と記す)5と、このMDF5の表面(一方の面)6に貼着された防湿シート11と、この防湿シート11の表面に接着剤として硬化した後でも柔らかいもの27で熱圧接着された突板(化粧材)13とを備える。さらに、MDF5の裏面(他方の面)7に硬化した後で硬くなる接着剤28で熱圧接着された捨て単板(裏当材)15と、捨て単板15の表面に貼着されたクッション材(軟質材)17とを備える。このように形成された床板3は、5層の積層構造をしており、MDF5の表面側に凸状ないし椀状に変形している。MDFの厚さTは、たとえばT=9.5mmである。
【0027】
防湿シート11は、水蒸気と水の両方を透さないもので、たとえばポリラミシートまたはポリラミ紙(ポリサンド紙)で紙層の間にポリエチレンフィルムの防湿層を挟んだ積層シートである。また、突板13は、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板である。
【0028】
図2は、本発明に係る床板の平面図である。床板3は、その表面(一方の面)側から見た形状が略矩形で、幅Wと長さLは、たとえばW=150mm、L=900mmである。また、厚みTは、たとえばT=9.5mmである(図3、4に表示)。四つの木口のうち、隣合う木口8a、8bに各々雄実19a、19b、別の隣合う木口9a、9bに各々雌実21a、21bが設けられる。
【0029】
図3は、図2に示した床板3の正面図である。図4は、図2に示した床板3のI−I線断面図である。図3、4に示すように、床板3は長手方向4aおよびこれと直交する幅方向4bにおいて、表面側に凸状(または椀状)に変形している。長手方向4aにおける凸状の変形の大きさは、図3に示すように、長さL=900mmに対して最大の反りS1=0〜5mmの範囲にあり、長手方向4aの中央で最大となる。
【0030】
また、幅方向4bの凸状の変形の大きさは、図4に示すように、幅W=150mmに対して最大の反りS2=0〜0.5mmの範囲にあり、幅方向中央で最大となる。なお、雄実と雌実の形状は、互いに嵌合可能であれば特に限定されないが、たとえば雄実の断面形状を略矩形とし、基端側の厚みを大きくし先端側の厚みを小さくしたテーパー状の突起とし嵌合しやすくしても良い。雌実の断面形状は、雄実の断面形状に対応させて形成されている。
【0031】
図5は、本発明に係る床板の製造方法の初期工程を示す斜視図である。図6は、図5に続く製造工程を示す斜視図である。図7は、図6に続く製造工程を示す斜視図である。図5(a)に示すように、平面矩形で大きさが、たとえば幅W0=981×長さL0=1840mmのMDF5で形成された素板を準備する。図5(b)に示すように、このMDF5の素板表面6側に防湿シート11を接着剤25により熱圧接着し、中間加工材とする。この際の温度は70℃と130℃の2段階に分けて行う。また加圧力は5.5kgf/cm2である。図5(c)に示すように、防湿シート11を貼着した中間加工材を、その長手方向と平行に三等分し、幅W1=325mm×長さL0=1840mmの大きさにする。
【0032】
次に、図6(d)に示すように、この中間加工材の裏面7側に硬化後に硬くなる接着剤(メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物を含む有機混合物接着剤と小麦粉の3:1混合物)28を用いて捨て単板15を熱圧接着する。この場合、中間加工材の裏面7側の設定温度を140℃とし、中間加工材の表面12側の温度を常温とする。熱圧の圧力は7.0kgf/cm2で圧締時間は50sec前後である。接着剤28の塗布量は、凡そ90〜100g/m2である。
【0033】
中間加工材の裏面7に捨て単板15を接着後、MDF5の表面側の防湿シート11の上に硬化後でも柔らかい接着剤(変性スチレン・ブタジエン重合体ラテックス(SBRラテックス)とメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物を含む有機混合物接着剤)27を用いて突板13を熱圧接着する。この場合、中間加工材の表面12側の設定温度を130℃とし、中間加工材の裏面16側の温度を140℃とする。熱圧の圧力は7.0kgf/cm2で圧締時間は50sec前後である。接着剤27の配合は、接着後でも柔らかい接着剤、小麦粉および水を使用し、これらを各々10:5:3.6の割合で使用する。この塗布量は、凡そ90〜100g/m2である。
【0034】
次に、図6(e)に示すように、MDF5に捨て単板15、防湿シート11および突板13を接着したものの外観検査と表面にサンダーをかけた後、裏面に厚さ2mmのクッション材(軟質材)17を接着剤26で貼着する。
【0035】
次に、図7(f)に示すように、長手方向と同じ方向に小割りして幅W2=160×長さL0=1840mmの大きさにする。そして、図7(g)に示すように、四周の隣り合う二つの木口に雄実19a(19b)を、別の隣り合う二つの木口に雌実21a、21bを切削加工する。最後に、塗装、外観検査などを行って完成する。因みに、最終製品としての床板の寸法は、幅W=150mm、長さL=900mmである。
【0036】
以上により製造される本実施形態の床板3は、次のように作用する。すなわち、MDFの裏面7に捨て単板15を接着するときに、熱圧の状態で接着されるので捨て単板15に含まれる水分は放出され、捨て単板15の含水率は小さくなる。捨て単板15の含水率が小さくなるので捨て単板15は収縮する。さらに、硬化後に硬くなる接着剤28、すなわちメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物の有機混合物は硬化後に収縮するので、この接着剤28の収縮と捨て単板15の収縮とはMDF5に影響し、捨て単板15とMDF5の裏面側は収縮する。
【0037】
他方、防湿シート11の表面12側に接着された突板13は熱圧の状態で接着されるので突板13に含まれる水分は放出され収縮する。しかし、硬化した後でも柔らかい接着剤27は、変形が容易であるので突板13による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シート11は、合成樹脂層を紙で挟んだ3層構造であるので、合成樹脂層の部分でも突板13による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シート11はMDFの表面6側の水分が放出することを阻止するので、MDFの表面側の含水率の低下を防ぎ、MDFの表面側の収縮を防止する。したがって、突板13の収縮は、少なくとも硬化した後でも柔らかい接着剤27および防湿シートの合成樹脂層の両方で吸収されMDF6にまで及ぶことが少ない。
【0038】
次に、床の施工方法について説明する。先ず、床板3の裏面3a(図3に表示)全面に接着剤(または粘着剤)を塗布する。接着剤の塗布は、状況により長手方向の先端および後端の裏面幅方向に塗布しても良い。接着剤を塗布した床板3を根太上の捨て張り合板やコンクリートスラブなどの床下地構造体の上に置き貼着する。同様に、接着剤を塗布した別の床板3の雄実(または雌実)を先に置いた床板3の雌実(または雄実)に挿入し、床下地構造体に貼着する。このようにして床板3を連結する際、必要により床板3を釘などで仮固定しても良い。上記工程を繰り返して床板3を床下地構造体に張ることにより床が得られる。
【0039】
以上の施工方法により床板3を建物の床下地構造体に張って得られる床は、張る前に床板3が凸状に変形しているので、この床板3を床下地構造体に順次張ると、少なくとも各床板の縁は長手方向と幅方向の双方において表面側に反り返ることがなく、床面の継ぎ目に凹凸のない高級感のある床を形成できる。
【0040】
以上この発明を図示の実施形態について詳しく説明したが、この発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、床板は一方の面側に凸状に変形しているので、この床板を床下地構造体の上に張るときに、床板の縁は一方の面側に反り上がることがなく、床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生を防止でき、かつ施工性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る床板の要部断面図である。
【図2】本発明に係る床板の平面図である。
【図3】図2に示した床板の正面図である。
【図4】図2に示した床板のI−I線断面図である。
【図5】本発明に係る床板の製造方法の初期工程を示す斜視図である。
【図6】図5に続く製造工程を示す斜視図である。
【図7】図6に続く製造工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
3 床板
5 MDF(基板)
6 表面(一方の面)
7 裏面(他方の面)
11 防湿シート
13 突板(化粧材)
15 捨て単板(裏当材)
27 硬化した後でも柔らかい接着剤
28 硬化した後で硬くなる接着剤
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用の床板およびこれを用いた床に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の床板としては、たとえば長方形の板面を有するとともに天然木から挽かれた加工木質基板を有し、幅方向の断面形状が表面側に凸となるようにアーチ状に湾曲させたものが知られている。この床板は、必要に応じて適宜の化粧加工表面を有し、長手方向および幅方向または何れか一方の方向の木口に実加工が施されている(特許文献1参照)。
【0003】
他方、基板の表面に熱可塑性樹脂系接着剤を介して化粧材が貼着され、基板の裏面に熱硬化性樹脂系接着剤を介してシート状物が貼着されたものが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また、基板の表面に、その木目方向と平行な木目方向を有する化粧材を軟質接着剤で接着し、基板の裏面に、その木目方向と交差する方向の木目方向を有する捨て単板を硬質接着剤で接着したものが知られている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
実公平4−7313号公報(第1頁−第2頁、図)
【特許文献2】
特許第3069888号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】
特開平9−38906号公報(第3頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアーチ状に湾曲させた床板(特許文献1)は、幅方向の断面形状が表面側に凸となるように形成されているので、従来の単なる平板状の床板に比べれば、長手方向の曲げ強度が向上する。しかし、幅方向のみに湾曲しているので、施工の際にこの床板を長手方向に連結する際に、床板同士の長手方向の床面が一致しにくく、床板の浮き上がりや床鳴りなどの発生のおそれもあるので一層の改善が望まれていた。
【0007】
他方、熱可塑性樹脂系および熱硬化性樹脂系の接着剤を介して化粧材とシート状物を貼着する床板(特許文献2)は、基板の裏面においては含水率の変化の影響を受けにくいシート状物が貼着されるので基板の裏面においては収縮膨張の影響が少ないが、基板の表面においては含水率の変化の影響を受ける化粧材が貼着されるので収縮膨張の影響を受け、長期の使用の間に基板の表裏で収縮膨張のバランスがくずれ、床板の浮き上がりや床鳴りなどの発生のおそれがあるので耐久性の点からさらに改善が望まれていた。
【0008】
また、基板の表面に化粧材を軟質接着剤で接着し、基板の裏面に捨て単板を硬質接着剤で接着したもの(特許文献3)は、幅方向に曲がりにくく、谷反りが発生しないようにできるが、基板の長手方向に対しては表面側に凸状に反るものではないので、この床板を床根太などに張るときに、十分に配慮した施工を行わないと長手方向の床板同士の継ぎ目に食い違いや浮き上がりができる。
【0009】
本発明は、床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生を防止でき、かつ施工性が良いことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、基板と、この基板の一方の面に設けられた防湿シートと、この防湿シートの表面に硬化した後でも柔らかい接着剤で熱圧接着された化粧材と、基板の他方の面に硬化した後で硬くなる接着剤で熱圧接着された裏当材とを備え、基板の一方の面側に凸状に変形してなることを特徴とする。
【0011】
このようにすることにより、基板の他方の面に裏当材を接着するときに、熱圧の状態で接着されるので裏当材に含まれる水分は放出され、裏当材の含水率は小さくなる。裏当材の含水率が小さくなると裏当材は収縮する。さらに、接着剤として硬化後に硬くなるものを使用するので裏当材の収縮は基板に影響し、裏当材と基板の裏面側は収縮する。
【0012】
他方、基板の一方の面側に接着される化粧材は熱圧の状態で接着されるので化粧材に含まれる水分は放出され収縮する。しかし、硬化した後でも柔らかい接着剤は変形が容易であるので、化粧材による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シートの層は比較的軟質であるので、この防湿シートの部分でも化粧材による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シートは基板の一方の面側に含有する水分が放出し含水率が低下することを阻止し、基板の一方の面側の収縮を防止する。したがって、化粧材の収縮は、少なくとも硬化した後でも柔らかい接着剤および防湿シートの両部分で吸収され基板にまで及ぶことが少ない。
【0013】
このように、基板の表裏に使用する接着剤に物性の異なるものを使用し、基板の一方の面側に防湿シートを設けることにより、床板の一方の面側に凸状ないし椀状の変形を発生させることができるが、さらに基板の両面における温度をコントロールすることにより該変形を確実に発生させることができる。すなわち、基板の一方の面側は化粧材の収縮の影響をあまり受けないようにコントロールされ、基板の他方の面側は裏当材の収縮の影響を大きく受けるようにコントロールされるので、床板は長手方向およびこれと直交する巾方向において一方の面側に凸状ないし椀状に変形する。
【0014】
たとえば、基板の一方の面側の温度を常温にして基板の他方の面に裏当材を熱圧接着すると良い。このようにすると基板の一方の面側は常温の状態であるので、基板の一方の面側に含まれる水分の蒸発は少なく含水率の低下は小さい。他方、基板の他方の面には裏当材が熱圧接着されるので温度が高く、先に記したように、水分の放出が大きく基板の他方の面側の含水率は小さくなる。基板の他方の面側の含水率が小さくなると、基板の他方の面側は収縮変形する。故に、基板はその一方の面側に凸状(椀状)に変形することになる。
【0015】
上記したように、本発明の床板は、その一方の面側に凸状に変形しているので、その床板を建築物の床下地構造体に張って床を設けるとき、床板の縁は一方の面側に反り上がることがなく、床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生が防止され、床板同士の継ぎ目に凹凸のない高級感のある床が形成され、かつ施工性が良い。
【0016】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。床板は、その表面を上から見た形状が略矩形で、四つの木口のうち隣合う木口に雄実、別の隣合う木口に雌実が各々設けられている。基板の他方の面に裏当材を熱圧接着するときは、凸状に変形させるために基板の他方の面側の温度と基板の一方の面側の温度の差を大きくした方が良い。具体的には、基板の他方の面側の温度を100〜150℃、好ましくは140℃とし、基板の一方の面側の温度を常温とする。熱圧の圧力は6〜10kgf/cm2、好ましくは7kgf/cm2とする。
【0017】
また、防湿シートの上に化粧材を熱圧接着するときに、基板の一方の面側の温度は、基板の他方の面側の温度より低くする。これは、基板の他方の面側の含水率を低く保つためである。基板の一方の面側の温度は100〜140℃、好ましくは130℃とし、基板の他方の面側の温度は100〜150℃、好ましくは140℃とする。熱圧の圧力は6〜10kgf/cm2、好ましくは7kgf/cm2とすると良い。
【0018】
基板と裏当材との間に使用する硬化した後で硬くなる接着剤は、接着時に熱をかけることにより硬化するもので、熱硬化性接着剤(たとえば、ユリア系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系接着剤、これらの重合体・重縮合体からなる各種接着剤)を単独で用いるか、あるいは、これに塗布時の粘度調整と増量のために若干量の小麦粉を混合したものを用いることができる。SBRラテックス等のゴム系接着剤が含まれると、硬化した後も柔らかさを維持する傾向が強くなるので、この接着剤にはゴム系接着剤が含まれないことが好ましいが、硬化した後で硬くなるものであれば、若干量のSBRラテックス等のゴム系接着剤を含むものであってもよい。この接着剤は硬化するときに収縮するので基板の裏当材側を収縮させ、基板の一方の面側に凸状になるようにする。
【0019】
化粧材と防湿シートとの間に使用する硬化した後でも柔らかい接着剤としては、熱硬化性接着剤(たとえば、ユリア系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系接着剤、これらの重合体・重縮合体からなる各種接着剤)とゴム系接着剤(SBRラテックス等)の混合物を用いることができる。上記と同じ理由で小麦粉を混合して用いてもよい。。
【0020】
床板は、裏当材にクッション材としての軟質材を設けると良い。このように形成された本床板は、5層の積層構造をしており、上から化粧材、防湿シート、基板、裏当材、軟質材である。
【0021】
基板は、合板、平行合板(L.V.L.)、パーティクルボード、ウェハーボード、フレークボード、ストランドボード、スティックボードなどの木削片板および木質繊維板(MDFなど)などを使用することができる。これらの木質板の中でも特に木質繊維板が好ましい。裏当材は、単板、合板、木削片板、単板積層板などの木質系を使用することができる。
【0022】
防湿シートは、水蒸気と水の両方を透さないもので、かつ接着剤で貼着できるものであれば特に限定されないが、たとえば紙層の間に合成樹脂層などの防湿層を有する積層シート、たとえばポリエチレンフィルムを紙で挟んだポリラミシートまたはポリラミ紙(ポリサンド紙)を用いることができる。
【0023】
化粧材は、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板、人工突板および不織布、紙、合成樹脂シートを裏打ちした突板シートおよび化粧紙、樹脂含浸紙などを使用することができる。また、これら化粧材の表面に、上塗り層を設けることもできる。さらに、木質板に直接印刷、塗装などを施すことにより形成することもできる。化粧材として用いる合成樹脂シートとしては、たとえばオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いても良い。
【0024】
軟質材は、クッションとなる材料で、弾力性を有する材料をはじめ、合成ゴム材や天然ゴム材あるいは気泡を有する発泡材や気泡を有しない未発泡材などで、たとえばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)、シリコン樹脂などの軟質合成樹脂材が含まれる。スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)やシリコン樹脂などを酢酸ビニル樹脂などの軟質材用接着剤で貼着しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る床板およびこれを用いた床の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜図7において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【0026】
図1は、本発明に係る床板の要部断面図である。床板3は、基板として使用される中質繊維板(以下「MDF」と記す)5と、このMDF5の表面(一方の面)6に貼着された防湿シート11と、この防湿シート11の表面に接着剤として硬化した後でも柔らかいもの27で熱圧接着された突板(化粧材)13とを備える。さらに、MDF5の裏面(他方の面)7に硬化した後で硬くなる接着剤28で熱圧接着された捨て単板(裏当材)15と、捨て単板15の表面に貼着されたクッション材(軟質材)17とを備える。このように形成された床板3は、5層の積層構造をしており、MDF5の表面側に凸状ないし椀状に変形している。MDFの厚さTは、たとえばT=9.5mmである。
【0027】
防湿シート11は、水蒸気と水の両方を透さないもので、たとえばポリラミシートまたはポリラミ紙(ポリサンド紙)で紙層の間にポリエチレンフィルムの防湿層を挟んだ積層シートである。また、突板13は、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板である。
【0028】
図2は、本発明に係る床板の平面図である。床板3は、その表面(一方の面)側から見た形状が略矩形で、幅Wと長さLは、たとえばW=150mm、L=900mmである。また、厚みTは、たとえばT=9.5mmである(図3、4に表示)。四つの木口のうち、隣合う木口8a、8bに各々雄実19a、19b、別の隣合う木口9a、9bに各々雌実21a、21bが設けられる。
【0029】
図3は、図2に示した床板3の正面図である。図4は、図2に示した床板3のI−I線断面図である。図3、4に示すように、床板3は長手方向4aおよびこれと直交する幅方向4bにおいて、表面側に凸状(または椀状)に変形している。長手方向4aにおける凸状の変形の大きさは、図3に示すように、長さL=900mmに対して最大の反りS1=0〜5mmの範囲にあり、長手方向4aの中央で最大となる。
【0030】
また、幅方向4bの凸状の変形の大きさは、図4に示すように、幅W=150mmに対して最大の反りS2=0〜0.5mmの範囲にあり、幅方向中央で最大となる。なお、雄実と雌実の形状は、互いに嵌合可能であれば特に限定されないが、たとえば雄実の断面形状を略矩形とし、基端側の厚みを大きくし先端側の厚みを小さくしたテーパー状の突起とし嵌合しやすくしても良い。雌実の断面形状は、雄実の断面形状に対応させて形成されている。
【0031】
図5は、本発明に係る床板の製造方法の初期工程を示す斜視図である。図6は、図5に続く製造工程を示す斜視図である。図7は、図6に続く製造工程を示す斜視図である。図5(a)に示すように、平面矩形で大きさが、たとえば幅W0=981×長さL0=1840mmのMDF5で形成された素板を準備する。図5(b)に示すように、このMDF5の素板表面6側に防湿シート11を接着剤25により熱圧接着し、中間加工材とする。この際の温度は70℃と130℃の2段階に分けて行う。また加圧力は5.5kgf/cm2である。図5(c)に示すように、防湿シート11を貼着した中間加工材を、その長手方向と平行に三等分し、幅W1=325mm×長さL0=1840mmの大きさにする。
【0032】
次に、図6(d)に示すように、この中間加工材の裏面7側に硬化後に硬くなる接着剤(メラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物を含む有機混合物接着剤と小麦粉の3:1混合物)28を用いて捨て単板15を熱圧接着する。この場合、中間加工材の裏面7側の設定温度を140℃とし、中間加工材の表面12側の温度を常温とする。熱圧の圧力は7.0kgf/cm2で圧締時間は50sec前後である。接着剤28の塗布量は、凡そ90〜100g/m2である。
【0033】
中間加工材の裏面7に捨て単板15を接着後、MDF5の表面側の防湿シート11の上に硬化後でも柔らかい接着剤(変性スチレン・ブタジエン重合体ラテックス(SBRラテックス)とメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物を含む有機混合物接着剤)27を用いて突板13を熱圧接着する。この場合、中間加工材の表面12側の設定温度を130℃とし、中間加工材の裏面16側の温度を140℃とする。熱圧の圧力は7.0kgf/cm2で圧締時間は50sec前後である。接着剤27の配合は、接着後でも柔らかい接着剤、小麦粉および水を使用し、これらを各々10:5:3.6の割合で使用する。この塗布量は、凡そ90〜100g/m2である。
【0034】
次に、図6(e)に示すように、MDF5に捨て単板15、防湿シート11および突板13を接着したものの外観検査と表面にサンダーをかけた後、裏面に厚さ2mmのクッション材(軟質材)17を接着剤26で貼着する。
【0035】
次に、図7(f)に示すように、長手方向と同じ方向に小割りして幅W2=160×長さL0=1840mmの大きさにする。そして、図7(g)に示すように、四周の隣り合う二つの木口に雄実19a(19b)を、別の隣り合う二つの木口に雌実21a、21bを切削加工する。最後に、塗装、外観検査などを行って完成する。因みに、最終製品としての床板の寸法は、幅W=150mm、長さL=900mmである。
【0036】
以上により製造される本実施形態の床板3は、次のように作用する。すなわち、MDFの裏面7に捨て単板15を接着するときに、熱圧の状態で接着されるので捨て単板15に含まれる水分は放出され、捨て単板15の含水率は小さくなる。捨て単板15の含水率が小さくなるので捨て単板15は収縮する。さらに、硬化後に硬くなる接着剤28、すなわちメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド重縮合物の有機混合物は硬化後に収縮するので、この接着剤28の収縮と捨て単板15の収縮とはMDF5に影響し、捨て単板15とMDF5の裏面側は収縮する。
【0037】
他方、防湿シート11の表面12側に接着された突板13は熱圧の状態で接着されるので突板13に含まれる水分は放出され収縮する。しかし、硬化した後でも柔らかい接着剤27は、変形が容易であるので突板13による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シート11は、合成樹脂層を紙で挟んだ3層構造であるので、合成樹脂層の部分でも突板13による収縮変形を吸収する。さらに、防湿シート11はMDFの表面6側の水分が放出することを阻止するので、MDFの表面側の含水率の低下を防ぎ、MDFの表面側の収縮を防止する。したがって、突板13の収縮は、少なくとも硬化した後でも柔らかい接着剤27および防湿シートの合成樹脂層の両方で吸収されMDF6にまで及ぶことが少ない。
【0038】
次に、床の施工方法について説明する。先ず、床板3の裏面3a(図3に表示)全面に接着剤(または粘着剤)を塗布する。接着剤の塗布は、状況により長手方向の先端および後端の裏面幅方向に塗布しても良い。接着剤を塗布した床板3を根太上の捨て張り合板やコンクリートスラブなどの床下地構造体の上に置き貼着する。同様に、接着剤を塗布した別の床板3の雄実(または雌実)を先に置いた床板3の雌実(または雄実)に挿入し、床下地構造体に貼着する。このようにして床板3を連結する際、必要により床板3を釘などで仮固定しても良い。上記工程を繰り返して床板3を床下地構造体に張ることにより床が得られる。
【0039】
以上の施工方法により床板3を建物の床下地構造体に張って得られる床は、張る前に床板3が凸状に変形しているので、この床板3を床下地構造体に順次張ると、少なくとも各床板の縁は長手方向と幅方向の双方において表面側に反り返ることがなく、床面の継ぎ目に凹凸のない高級感のある床を形成できる。
【0040】
以上この発明を図示の実施形態について詳しく説明したが、この発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、床板は一方の面側に凸状に変形しているので、この床板を床下地構造体の上に張るときに、床板の縁は一方の面側に反り上がることがなく、床板同士の継ぎ目の浮き上がりや床鳴りなどの発生を防止でき、かつ施工性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る床板の要部断面図である。
【図2】本発明に係る床板の平面図である。
【図3】図2に示した床板の正面図である。
【図4】図2に示した床板のI−I線断面図である。
【図5】本発明に係る床板の製造方法の初期工程を示す斜視図である。
【図6】図5に続く製造工程を示す斜視図である。
【図7】図6に続く製造工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
3 床板
5 MDF(基板)
6 表面(一方の面)
7 裏面(他方の面)
11 防湿シート
13 突板(化粧材)
15 捨て単板(裏当材)
27 硬化した後でも柔らかい接着剤
28 硬化した後で硬くなる接着剤
Claims (3)
- 基板と、該基板の一方の面に設けられた防湿シートと、該防湿シートの表面に硬化した後でも柔らかい接着剤で熱圧接着された化粧材と、前記基板の他方の面に硬化した後で硬くなる接着剤で熱圧接着された裏当材とを備え、前記基板の一方の面側に凸状に変形してなることを特徴とする床板。
- 請求項1において、前記基板の一方の面側の温度を常温にして前記基板の他方の面に前記裏当材を熱圧接着してなることを特徴とする床板。
- 請求項1または2に記載の床板を建築物の床下地構造体に張ってなることを特徴とする床。
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JP2008088801A (ja) * | 2006-09-08 | 2008-04-17 | Itai Komuten:Kk | 内装建材 |
JP2008279655A (ja) * | 2007-05-10 | 2008-11-20 | Daiken Trade & Ind Co Ltd | 化粧板およびその製造方法 |
JP2016160720A (ja) * | 2015-03-05 | 2016-09-05 | タキロン株式会社 | 熱可塑性合成樹脂製シート |
-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002321242A patent/JP2004156246A/ja active Pending
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