JP3103819B2 - 化粧板およびその製造方法 - Google Patents

化粧板およびその製造方法

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JP3103819B2 JP07345414A JP34541495A JP3103819B2 JP 3103819 B2 JP3103819 B2 JP 3103819B2 JP 07345414 A JP07345414 A JP 07345414A JP 34541495 A JP34541495 A JP 34541495A JP 3103819 B2 JP3103819 B2 JP 3103819B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基板の表面に薄板を
貼着してなる化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】壁板、床板、天井板、階段踏板、階段側
板、棚板、カウンター、扉用材、枠材、開口部材、造作
材等種々に用いられる化粧板としては、木質材、特に木
材の無垢挽材、あるいは集成材、合板、パーティクルボ
ード等の基板表面に、任意塗装や柄模様印刷等を施し、
または接着剤を介して化粧紙、突板等の化粧材を貼着し
て化粧層を形成したものが用いられている。
【0003】また、化粧層を保護するとともに表面の摩
耗性を向上するために、耐摩耗材を混入した塗膜層を化
粧層の表面に形成することも行われている。
【0004】一方、木質材を加熱圧縮して圧密化するこ
とが従来より提案されている。従来法による木質材の加
熱圧縮により圧密化は、木質材を湿潤状態とするか、あ
るいは水蒸気雰囲気中で加湿して、木質材を高含水率と
した状態で行われている。
【0005】この方法は、高含水率で、すなわち木質材
中に多量の水分が存在する状態で加熱圧縮による圧密化
を行うため、水が可塑剤、特に木材の主要成分中のヘミ
セルロース、リグニン等の非結晶成分に対して可塑剤と
して大きく作用し、それらの軟化点温度をそれぞれ60
℃程度にまで低下させ、木質材の可塑性を増大させるも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化粧板
の基板として用いられる木質材は一般にその表面強度が
不十分であり、特に耐衝撃性が低いことから、耐摩耗性
を付与した塗膜層を化粧層表面に形成しても、引っ掻き
傷や滑り傷は防止されるものの、衝撃による凹みや表面
割れ等の傷がつきやすいものであった。
【0007】一方、前記従来法による木質材の圧密化処
理においては、高含水率状態で木質材の加熱圧縮が行わ
れるため、木質材の内部に存在する水分の高蒸気圧力が
解圧時には圧密化状態を復元しようとする力として働
き、さらに解圧によるスプリングバック現象とあいまっ
て、圧密化状態を維持することが困難である。また、特
に比重の低い木質材においては、該高蒸気圧力が一瞬の
うちに放出されることによりパンク(層間剥離)が発生
するおそれがある。
【0008】高蒸気圧力の放出を防止するために、圧締
状態のままで冷却することも考えられるが、生産性がき
わめて低く、コストを大幅に上昇させてしまう。
【0009】さらには、前記従来技術によるときは、圧
密化状態を維持することができたとしても、高含水率状
態にある木質材全体が圧密化されることから、高比重の
木質材となってしまう。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の
問題点を解消することを目的として創案されたものであ
って、基板と化粧層との間に、加熱圧締により圧密化さ
れることにより少なくとも表裏に硬質層が設けられた薄
単板が介在されてなることを特徴とする化粧板である。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の化粧板の基板としては、
合板、繊維板、パーティクルボード、集成材、単板積層
材、無垢挽板等が用いられる。基板の木口縁には必要に
応じて実加工による相決まり、本実等の嵌合手段が設け
られる。
【0017】基板の表面に、接着剤を介して、木質材を
加熱圧縮した薄板を貼着する。薄板の木質材としては、
無垢木材をロータリーレース、ハーフラウンドロータリ
ーレース、スライサー、ベニアソー等の切削装置を用い
て得られるロータリー単板、ハーフロータリー単板、ス
ライスド単板、ソード単板等の単板が用いられる。無垢
木材としては、針葉樹材、広葉樹材のいずれもが使用可
能であり、特に柔らかいもの、低比重のものが好適に用
いられる。
【0018】単板木質材すなわち単板は、乾燥されて、
繊維飽和点以下の含水率に調整される。ここで言う繊維
飽和点以下の含水率とは、好ましくは35%以下の含水
率を意味する。
【0019】繊維飽和点以下に含水率調整された単板
は、上下の熱盤の間隔を規制する一般にディスタンスバ
ーと呼ばれる厚さ規制治具が取り付けられたホットプレ
ス装置の熱盤間に挿入される。
【0020】熱盤間の厚さ規制治具としては、単板の厚
さの30〜95%の厚さを有するものを用いることが好
ましい。言い換えれば、単板の圧縮率が5〜70%とな
るように、厚さ規制治具を取り付けることが好ましい。
単板の圧縮率が5%未満であると圧密化が不十分とな
り、単板の表面において必要な強度を得ることができな
い。
【0021】圧縮率は、上記範囲内において、使用単板
の樹種、単板自体の比重、得ようとする表面硬度等に応
じて任意に選択することができ、該圧縮率に対応して厚
さ規制治具をセットする。
【0022】厚さ規制治具が取り付けられたホットプレ
ス装置の上下熱盤間に挿入された単板は、熱圧圧締によ
り加熱圧縮され、圧密化された圧密化材となる。
【0023】圧密化材における圧密化の程度は、単板の
圧縮率と単板自体の厚さとの関係によって異なる。圧縮
率が大きく、単板が薄い場合には、単板の表裏両面に圧
密化された硬質層が形成されると共に、その内層部分に
おいても圧密化がなされて高比重となり、表裏部分と内
層部分とで若干の比重差は見られるものの全体に圧密化
がなされた圧密化材が得られる。
【0024】圧縮率が小さく、単板が厚い場合には、単
板の表裏両面に厚密化された硬質層が形成されるが、そ
の内層部分は厚密化が不十分なため比較的低比重とな
る。
【0025】熱圧圧締は、その熱圧温度を、木質材の結
晶成分であるセルロースの軟化点温度以下であって且つ
非結晶成分の前記調整後の含水率における軟化点温度以
上の温度として行われる。
【0026】圧締時間および圧締圧力は、使用単板自体
の比重、柔らかさ等に応じて任意設定されるが、圧締の
際に前記厚さ規制治具が用いられて必要圧縮率が得られ
るため、圧締時間1〜15分、圧締圧力5〜20kg/
cmとすることが好適である。
【0027】ホットプレス装置の上下熱盤間にて加熱圧
縮された単板は、熱盤と直に接する表裏面より徐々に中
心部に向けて熱軟化および圧締力による圧密化が進行す
るが、単板が薄い場合、その熱伝達および圧締力伝達は
早く、単板の表裏両面のみならず、その内層部分におい
ても圧密化がなされる。
【0028】また、単板が厚い場合には、繊維飽和点以
下の低含水率に調整されていることもあって熱伝達が比
較的緩慢なされるため、単板の表裏部分のみが圧密化さ
れる。この場合には、熱圧時においても単板自体の温度
が全体に高くなることがないため、その後の解圧により
容易に冷却される。
【0029】いずれにしても、木材組織中には繊維質で
あるセルロースが熱軟化することなく残存しており、熱
圧時に軟化溶融したヘミセルロース、リグニンがセルロ
ースに対して接着剤として作用するため、熱圧圧締後の
解圧に伴う単板のスプリングバックが最小限に抑えられ
る。
【0030】圧密化された単板の表面の硬さは、JIS
Z−2007による木材の硬さ試験方法において1.
5kgf/mm以上であることが好ましい。表面硬さ
が1.5kgf/mmに満たないと、表面の耐衝撃性
が不十分となって傷がつきやすくなり、また、圧密化が
不十分であるために材自体の曲げ強度の向上がなされ
ず、疎水性、膨潤率、吸水率を減少させることもできな
いので寸法安定化が達成されない。
【0031】このようにして得られた圧密化材を、前記
基板の片面または両面に接着剤を用いて貼着する。接着
剤としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合
成樹脂接着剤が好適に用いられ、必要に応じて増量剤、
着色剤等の添加剤が添加混合される。このような接着剤
を基板表面に塗布装置により塗布した後、薄板を載置
し、圧締装置により圧締貼着する。
【0032】圧密化材の表面には必要に応じて化粧層を
形成することができる。化粧層は、基材表面に必要に応
じて目止め処理、シーラー処理等の下地処理を施した
後、たとえば着色塗装や柄模様印刷を施し、あるいは接
着剤を介して化粧単板、化粧紙、化粧合成樹脂シート等
の化粧材を貼着することによって形成される。
【0033】必要に応じて、圧密化材の表面にワイヤブ
ラシ掛け、サンダー掛け等により微細溝を形成すること
ができる。微細溝は圧密化材の表面積を増大させ、また
それによる投錨効果が発揮されるので、その表面に設け
られる化粧材の接着力を向上させる。
【0034】化粧層の表面にはさらに、該化粧層を隠蔽
することなく、耐摩耗性塗膜層を形成することができ
る。耐摩耗性塗膜層は、必要に応じて任意着色された透
明または半透明のアミノアルキッド樹脂塗料、ウレタン
樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料等
の合成樹脂塗料に、耐摩材として粒子径が30〜200
μのアルミナ、炭化珪素等の鉱物性粒子が添加混合され
たものを塗布、乾燥することによって形成される。塗料
中に混合される鉱物性粒子は、形成される耐摩耗性塗膜
層の表面に一部露出した状態で、あるいは塗膜層内に埋
没して内在した状態で、塗膜層中に散在している。
【0035】必要に応じて、化粧板の木口上端縁に面取
り部が設けられる。
【0036】木質材中の結晶成分であるセルロースの軟
化点温度は、木質材の含水率にかかわらず200〜25
0℃でほぼ一定しているが、非結晶成分であるヘミセル
ロース、リグニンの軟化点温度は木質材の含水率によっ
て大きく変化し、絶乾状態におけるヘミセルロース、リ
グニンの軟化点温度はそれぞれ約180℃、約150℃
であるが、木質材の繊維飽和点である35%の含水率に
おいてはともに軟化点温度が60℃付近まで低下する。
すなわち、実質的に非可塑性であるセルロースと異な
り、ヘミセルロースおよびリグニンは繊維飽和点以下で
あっても木質材に含有される水分が可塑剤として作用し
て可塑化する。
【0037】したがって、たとえば繊維飽和点である3
5%の含水率に調整された木質材の場合は、約60〜約
200℃の範囲の熱圧温度とすることにより、結晶成分
であるセルロースはほとんど軟化させずに、組織細胞内
において非結晶成分であるヘミセルロース、リグニンを
熱軟化させることができる。
【0038】繊維飽和点以下の低含水率の木質材をこの
ような温度で加熱圧縮することにより、木質材全体が圧
密化され、または少なくともその表裏近くの部分が圧密
化されて硬質層が形成される。
【0039】圧密化材の表面に化粧層および耐摩耗性塗
膜層が形成されて、本発明の建築用材が得られる。
【0040】図1は本発明による化粧板の概略構成例を
示し、基材1の一表面に、硬質層2、2が表裏に形成さ
れてなる圧密化薄板3が貼着され、その一表面に化粧層
4が形成されている。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、基板の表面に圧密化さ
れた薄板が貼着されているため、表面平滑性、強度およ
び耐衝撃性に優れた化粧板が得られる。さらに、表面強
度に優れた硬質層により衝撃による凹みや表面割れ等の
傷が付くことが防止され、耐摩耗性の向上が図られる。
【0042】また、薄板の少なくとも表裏部分において
は、主として木質材中の非結晶成分であるヘミセルロー
ス、リグニンが一旦軟化溶融された後に圧縮されること
により高密度に硬化して形成されるものであるため、疎
水性の被膜となり、圧密化による親水性の低減とあいま
って、膨潤率および吸水率を減少させることができ、基
板の動きを抑制し、化粧板の寸法安定性を大幅に向上さ
せる。
【0043】また、薄板の一方の表面のみに化粧層を形
成する場合であっても、薄板が疎水性であり、その吸水
率が減少されていることから、薄板への塗料や接着剤の
角の浸透が防止され、寸法安定性が保持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化粧板の概略構成例を示す断面図
である。
【符号の説明】 1 基材 2 硬質層 3 圧密化薄板 4 化粧層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−154809(JP,A) 特開 平6−238615(JP,A) 特開 平5−220713(JP,A) 特開 昭61−31205(JP,A) 特開 平2−188206(JP,A) 特開 平2−188203(JP,A) 特開 昭59−209857(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B27K 5/00 - 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と化粧層との間に、加熱圧締により圧
    密化されることにより少なくとも表裏に硬質層が設けら
    れた薄単板が介在されてなることを特徴とする化粧板。
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