JP2741674B2 - 回路基板およびその製造方法 - Google Patents

回路基板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、金属箔表面に接着剤層を介することなくポ
リイミド樹脂の薄膜を形成した、生産性及び経済性に優
れた回路基板及びその製造方法に関する。
(従来の技術) 可撓性の回路基板は、金属箔とその上に形成された薄
い絶縁層とによって構成されている。絶縁層として、ポ
リイミド、ポリエステル等のフィルムやエポキシ樹脂含
浸ガラスクロス等が用いられている。エポキシ樹脂含浸
ガラスクロスは、可撓性、低誘電特性に劣るという欠点
があり、またポリエステルフィルムは耐熱性に劣るとい
う問題がある。ポリイミドフィルムは、それ自体の耐熱
性、低誘電特性、耐薬品性が優れているものの、金属箔
に対するポリイミドフィルムの接着特性などが劣るとい
う欠点がある。
従来、回路基板製造における金属箔上のポリイミドと
の形成には、金属箔に接着剤を介してポリイミドフィ
ルムを接着したもの、金属箔上にポリイミド前駆体の
ポリアミド酸樹脂を塗布し、300℃以上の高温で熱処理
してイミド化させたもの、金属箔上にポリイミドフィ
ルムを少なくとも300℃以上の高温で熱融着させたもの
がある。
しかし、の回路基板は接着剤の耐熱性が低いためポ
リイミドの耐熱性の特徴を十分に発揮させることができ
ない欠点がある。また接着剤の使用に伴い工程が複雑に
なるという欠点がある。及びの回路基板は、いずれ
も高温での熱処理が必要で生産性、経済性に劣る欠点が
ある。更にの回路基板はポリイミド前駆体の組成によ
っては生成ポリイミド膜と金属箔との接着力が不十分と
なり、それが回路パターン形成時に剥離現象が生じ不良
の原因となる欠点があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記の欠点を解消するためになされたもの
で、接着剤を介在させずに、耐熱性、接着性に優れ、か
つ生産性、経済性の高い回路基板及びその製造方法を提
供しようとするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を
進めた結果、金属箔上に接着剤を介することなく直接
に、特定ポリイミド樹脂の薄膜を形成させることによっ
て、耐熱性、接着性に優れ、かつ生産性、経済性の高い
回路基板が得られることを見いだし、本発明を完成した
ものである。
すなわち、本発明の回路基板は、 金属箔と、該金属箔の表面にポリイミド樹脂溶液を塗
布することにより形成したポリイミド樹脂薄膜とを具備
し、該ポリイミド樹脂が、 (A)3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
を95モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸と、 (B)一般式(1)又は(2) (但し式中XはCH2,SO2,C(CH32,C(CF32,O又はS
を、R5はベンゼン核又はシクロヘキサン核を、R1,R2
CH3,C2H5,OCH3又はOC2H5を、R3,R4はC2H5を、それぞ
れ表し、そしてR1〜R4はいずれもアミノ基のオルソ位に
置換されている)で示される芳香族ジアミンを90モル%
以上含むジアミンとを反応させてなるものであることを
特徴とするものであり、 本発明の回路基板の製造方法は、金属箔表面に、上記
のポリイミド樹脂溶液を、直接塗布した後タックフリー
な状態に乾燥して塗布金属箔を得、該塗布金属箔を不活
性ガス中で加熱して金属箔表面にポリイミド樹脂薄膜を
形成することを特徴とするものである。
本発明に用いる(A)芳香族テトラカルボン酸は、そ
の95モル%以上が3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸であるが、本発明でいう3,3′,4,4′−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸にはその無水物もしくはそ
のアルキルエステルを含むものである。また(A)芳香
族テトラカルボン酸は3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸の他の芳香族テトラカルボン酸を5モル
%未満含んでいてもよい。
本発明に用いる(B)芳香族ジアミンは、その90モル
%以上が次の一般式(1)又は(2)で示されるジアミ
ンである。
(但し式中XはCH2,SO2,C(CH32,C(CF32,O又はS
を、R5はベンゼン核又はシクロヘキサン核を、R1,R2
CH3,C2H5,OCH3又はOC2H5を、R3,R4はC2H5を、それぞ
れ表し、そしてR1〜R4はいずれもアミノ基のオルソ位に
置換されている) (B)芳香族ジアミンの具体的な化合物としては、3,
3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジ
フェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−
ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−
ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメトキシ
−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエトキ
シ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチ
ル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメ
トキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−
ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′
−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,
3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルス
ルホン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニル
プロパン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニ
ルプロパン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフ
ェニルプロパン、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノ
ジフェニルプロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミ
ノジフェニルスルファイド、3,3′−ジエチル−4,4′−
ジアミノジフェニルスルファイド、3,3′−ジメトキシ
−4,4′−ジアミノジフェニルスルファイド、3,3′−ジ
エトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルファイド、
4,4′−ジメチル−5,5′−ジアミノジフェニルヘキサフ
ルオロプロパン等が挙げられ、これらは単独又は2種以
上混合して用いることができる。またこれらの芳香族ジ
アミンの他にも10モル%未満のジアミンを配合すること
ができる。
(A)芳香族テトラカルボン酸と(B)芳香族ジアミ
ンとの反応は、ほぼ等モルを有機溶媒中で30℃以下、好
ましくは0℃以下の温度下で3〜12時間付加反応させた
後、脱水環化して次の構造式(3)、(4)を有するポ
リイミド樹脂が得られる。
(但し式中XはCH2,SO2,C(CH32,C(CF32,O又はS
を、R5はベンゼン核又はシクロヘキサン核を、R1,R2
CH3,C2H5,OCH3又はOC2H5を、R3,R4はC2H5を、それぞ
れ表し、そしてR1〜R4はいずれもアミノ基のオルソ位に
置換されている) この付加重合反応において用いる有機溶媒としては、
例えば、N,N′−ジメチルスルホオキシド、N,N′−ジメ
チルホルムアミド、N,N′−ジエチルホルムアミド、N,
N′−ジメチルアセトアミド、N,N′−ジエチルアセトア
ミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホ
スホアミド等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混
合して使用することができる。
このポリイミド樹脂溶液を金属箔にコーティングする
場合は、ポリイミド樹脂を5〜40重量%、特に好ましく
は10〜30重量%含有し、かつ固有粘度(intrinsic visc
osity)が0.5〜6dl/g、特に1〜4dl/gである溶液を用い
ることが好ましい。それは、ポリイミド樹脂の薄膜の物
性及び塗布・乾燥工程において経済的に好ましいからで
ある。
ポリイミド樹脂溶液をコーティングする金属箔として
は、一般に銅箔、アルミニウム箔が用いられる。また、
特殊な場合にはニッケル箔等を用いることもできる。ポ
リイミド溶液を金属箔にコーティングする方法は、流延
塗布、例えば金属箔表面にポリイミド溶液を製膜用スリ
ットから吐出させて均一な厚さ(30〜300μmとなるよ
うに調節する)の塗膜層を形成することが好ましい。し
かし、他のコーティング方法、例えばロールコーター、
ナイフコーター、コンマコーター、ドクターブレード、
フローコーター等の公知の手段を利用することも可能で
ある。こうしてポリイミド樹脂の塗布をした後は、100
〜290℃、好ましくは100〜150℃に加熱して脱溶媒を行
う。この脱溶媒工程で、金属箔表面が酸化される温度以
上になると、金属箔表面の酸化が起こり、金属箔の機械
的特性、電気的特性及び接着性の低下が起こり易くな
る。このため、金属箔表面が酸化される温度以上では不
活性ガス中で行うことが、特に好ましい。加熱乾燥は金
属箔を広げた状態で行うのが一般的であるが、ポリイミ
ド樹脂溶液を長尺金属箔に直接コートした後、実質的に
タックフリーな状態迄乾燥した後、ロール状に巻き取
り、その巻き取った物を不活性ガス中で加熱して脱溶媒
を完全に行うことがよい。こうして接着剤層を含まない
で優れた回路基板をつくることができる。
(作用) 本発明の回路基板は、金属箔表面に直接所定のポリイ
ミド樹脂の薄膜を形成したことによって、接着剤を使用
することによって起こる欠点が除去され、生産性、経済
性を向上させたものである。
(実施例) 次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 三口フラスコに乾燥窒素を通じてフラスコ内を置換し
た後、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジ
フェニルメタン310gを入れ、これにN−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)2530mlを加え溶解した。溶解後、0℃
に冷却し攪拌しながら3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸無水物(BTDA)322gを加えた。反応によ
る発熱を氷水中で押さえながら6時間攪拌を続けて前駆
体の反応をさせた。次いで、反応溶液に脱水剤である無
水酢酸408mlとピリジン40mlを加え、100℃で酢酸を留出
させながら閉環反応を3時間行った。その後、無水酢酸
/ピリジンを減圧下で留出除去させてイミド化した。
反応後、反応溶液をメタノールと水の混合溶液に投入
してポリイミド樹脂を析出させた。析出物を乾燥し、黄
色のポリイミド樹脂粉末(固有粘度2.5)590gを得た。
得られたポリイミド樹脂粉末150gをシクロヘキサノン85
0mlにて溶解し、圧延銅箔(厚さ35μm)にドクターブ
レードを用いて均一にコーティングした。このコーティ
ング銅箔を130℃で60分間加熱乾燥した後、250℃の窒素
雰囲気の中で60分間加熱して、膜厚25μmのポリイミド
樹脂薄膜をコートした回路基板を得た。この場合、コー
トする銅箔の表面は酸化処理又はプライマー処理しても
よい。
第1図は本発明に係る回路基板の断面図を示した。銅
箔等の金属箔1の片面に厚さ25μmのポリイミド樹脂薄
膜2が形成されている。
実施例2 三口フラスコに乾燥窒素を通じてフラスコ内を置換し
た後、4,4′−ジメチル−5,5′−ジアミノジフェニルヘ
キサフルオロプロパン362gを入れ、これにN−メチル−
2−ピロリドン(NMP)3420mlを加え溶解した。溶解
後、0℃に冷却し攪拌しながら3,3′,4,4′−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)322gを加えた。
反応による発熱を氷水中で押さえながら6時間攪拌を続
けて前駆体の反応をさせた。次いで、反応溶液に脱水剤
である無水酢酸408mlとピリジン40mlとを加え、100℃で
酢酸を留出させながら閉環反応を3時間行った。その
後、無水酢酸/ピリジンを減圧下で留出除去させてイミ
ド化した。
反応後、反応溶液をメタノールと水の混合溶液に投入
してポリイミド樹脂を析出させた。析出物を乾燥し、黄
色のポリイミド樹脂粉末(固有粘度3.44)640gを得た。
得られたポリイミド樹脂粉末150gをシクロヘキサノン85
0mlにて溶解し、圧延銅箔(厚さ35μm)にドクターブ
レードを用いて均一にコーティングした。このコーティ
ング銅箔を130℃で60分間加熱乾燥した後、250℃の窒素
雰囲気の中で60分間加熱して、膜厚25μmのポリイミド
樹脂薄膜をコートした回路基板を得た。
実施例3 三口フラスコに乾燥窒素を通じてフラスコ内を置換し
た後、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジ
アミノジフェニルメタン282gを入れ、これにN−メチル
−2−ピロリドン(NMP)2420mlを加え溶解した。溶解
後、0℃に冷却し攪拌しながら3,3′,4,4′−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)322gを加えた。
反応による発熱を氷水中で押さえながら6時間攪拌を続
けて前駆体の反応をさせた。次いで、反応溶液に脱水剤
である無水酢酸408mlとピリジン40mlとを加え、100℃で
酢酸を留出させながらイミド閉環反応を3時間行った。
反応後、反応溶液をメタノールと水の混合溶液に投入
してポリイミド樹脂を析出させた。析出物を乾燥し、黄
色のポリイミド樹脂粉末(固有粘度2.33)564gを得た。
得られたポリイミド樹脂粉末150gをシクロヘキサン850m
lにて溶解し、圧延銅箔(厚さ35μm)にドクターブレ
ードを用いて均一にコーティングした。このコーティン
グ銅箔を130℃で60分間加熱乾燥した後、250℃の窒素雰
囲気の中で60分間加熱して、膜厚25μmのポリイミド樹
脂薄膜をコートした回路基板を得た。
比較例1 市販の厚さ25μmのポリイミドフィルムと実施例で用
いた圧延銅箔とを、アクリルゴム系接着剤を用いて、室
温で圧力0.7kg/cm2の条件で加圧して、回路基板を得
た。
これらの実施例及び比較例で得られた回路基板におけ
るポリイミドフィルムと銅箔との接着力をASTM−D−18
75に準じて測定し、耐はんだ性をJIS−C−6481に準じ
て行ったので、その結果を第1表に示す。
[発明の効果] 以上の説明および第1表から明らかなように、本発明
の、また本発明方法による回路基板は、金属箔に接着剤
を介在させることなく直接に、特定のポリイミド樹脂の
薄膜を形成したので、耐熱性、接着性に優れ、かつ生産
性、経済性が高く、従ってプリント配線板、ハイブリッ
ド基板、LSI実装用基板等に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る回路基板の一実施例を示す断面図
である。 1…金属箔、2…ポリイミド樹脂薄膜。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属箔と、該金属箔の表面にポリイミド樹
    脂溶液を塗布することにより形成したポリイミド樹脂薄
    膜とを具備し、該ポリイミド樹脂が、 (A)3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
    を95モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸と、 (B)一般式(1)又は(2) (但し式中XはCH2,SO2,C(CH32,C(CF32,O又はS
    を、R5はベンゼン核又はシクロヘキサン核を、R1,R2
    CH3,C2H5,OCH3又はOC2H5を、R3,R4はC2H5を、それぞ
    れ表し、そしてR1〜R4はいずれもアミノ基のオルソ位に
    置換されている)で示される芳香族ジアミンを90モル%
    以上含むジアミンとを反応させてなるものであることを
    特徴とする回路基板。
  2. 【請求項2】金属箔表面に、(A)3,3′,4,4′−ベン
    ゾフェノンテトラカルボン酸を95モル%以上含む芳香族
    テトラカルボン酸と、 (B)一般式(1)又は(2) (但し式中XはCH2,SO2,C(CH32,C(CF32,O又はS
    を、R5はベンゼン核又はシクロヘキサン核を、R1,R2
    CH3,C2H5,OCH3又はOC2H5を、R3,R4はC2H5を、それぞ
    れ表し、そしてR1〜R4はいずれもアミノ基のオルソ位に
    置換されている)で示される芳香族ジアミンを90モル%
    以上含むジアミンとを反応させてなるポリイミド樹脂溶
    液を、直接塗布した後タックフリーな状態に乾燥して塗
    布金属箔を得、該塗布金属箔を不活性ガス中で加熱して
    金属箔表面にポリイミド樹脂薄膜を形成することを特徴
    とする回路基板の製造方法。
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