JP2741401B2 - チェーンガイドの取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はチェーンの走行をガイドするチェーンガイド
の取付構造に関する。

〈従来の技術〉 近年自動車のエンジンは、チェーン等の伝動部材の長
さを短くして、高速回転による振動を防止し伝動部の耐
久性を向上するという目的で、伝動装置を２系統に分割
し伝動する構成となっているものがある（特開昭60−50
208号公報参照）。

即ち、第３図に示すエンジンはシリンダブロック61と
それの上面に接合されるシリンダヘッド62とよりなって
いる。

シリンダブロック61の下方中央部にエンジン駆動され
るクランク軸63が支持され、またシリンダヘッド62の上
部に一対のカム軸64,65が夫々支持される。一方のカム
軸64はその回転により吸気弁（図示せず）を開閉する吸
気用であり、他方のカム軸65はその回転により排気弁
（図示せず）を開閉する排気用である。

シリンダヘッド62の一側壁80の中間部には中継軸66が
回転可能に支持されており、クランク軸63の回転はタイ
ミングチェーン67により中継軸66に減速伝達され、更に
タイミングチェーン68により一対のカム軸64,65に減速
伝達される。

ここで、夫々のタイミングチェーン67,68において
は、振動防止のため油圧により押圧力が調整可能である
油圧作動式のテンショナ69,70によりその張力が調整さ
れると共に、チェーンガイド71,72によりタイミングチ
ェーン67,68を構成する各コマがスプロケットと噛み合
わない現象（所謂目飛び現象）の発生や、減速時のタイ
ミングチェーン67,68のばたつきの発生が防止されてい
る。

例えばチェーンガイド72は、第４図に示すようにその
断面はＬ字状に形成されており、カム軸64,65に軸支さ
れるカムスプロケット73,74と、中継軸66に軸支された
中継スプロケット81の間を自在に走行するよう張設され
たタイミングチェーン68を案内する摺動面75を有すると
共に、取付面76,取付ボルト77用の孔78等で構成される
取付部79により前記タイミングチェーン68の走行面近傍
であるシリンダヘッド62の一側壁80に取り付けられる構
成となっている。

〈発明が解決しようとする課題〉 前述した目飛び現象やばたつきを防止するためには、
チェーンガイド71,72をなるべく長い距離設けることに
よりタイミングチェーン67,68を長い距離案内する必要
がある。しかし、最近エンジンの小型化により軸間距離
が短くなってきており、例えば中継軸66に軸支される中
継スプロケット81に着目すると、タイミングチェーン68
の方がタイミングチェーン67よりシリンダヘッド62の一
側壁80から離れた面がチェーンの走行面となっているの
で、中継スプロケット81近傍のシリンダヘッド62の一側
壁80に、チェーンガイド72の取付部79を設けることは、
取付ボルト77の取付スペースが必要となることから不可
能となる。よって、エンジンの小型化に対応してコンパ
クトに取り付けるという点に鑑みて、チェーンガイド72
の長さをより長くする場合は、第５図に示すように、前
記スプロケットと干渉しない箇所で一側壁80に固定し、
チェーンガイド72の摺動面75に切欠き82を設けることに
より、タイミングチェーン67が通過する空間83を確保し
て該タイミングチェーン67とチェーンガイド72との干渉
を防止する必要が生じる。

しかし、前記切欠き82を設けることは加工が複雑とな
り製造コストの増加につながったり、応力集中が発生し
てチェーンガイド72の強度低下を誘因したりする不具合
が考えられる。

一方、第６図に示すように、断面がＬ字状のチェーン
ガイド84の取付面85を当該チェーンより幅方向（カム軸
64,65を結ぶ方向）で外側に配設して前述したタイミン
グチェーンとの干渉を防止するものもある（特開昭62−
154206号公報等参照）が、前記取付面85を取り付けるス
ペースだけシリンダヘッド62が幅方向に大きくなるとい
う問題がある。

更に、第７図に示すように、断面がＬ字状のチェーン
ガイド86の取付面87をカム軸64,65の軸端側により配置
して取り付けることも考えられるが、この場合もスプロ
ケット81との干渉は防止できるが、前記取付面87を取り
付ける突起部88のスペースだけシリンダヘッド62がやは
り幅方向に大きくなるという問題がある。

そこで、本発明はかかる従来の実情に鑑み、チェーン
ガイドと該ガイドの取付構造を改良することにより、ス
プロケットと干渉すること無く、且つシリンダヘッドの
大きさも大きくなることの無いチェーンガイドの取付構
造を提供することを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 このため本発明は、機関前面側に複数のスプロケット
間に張設されたチェーンをその外側から当接して案内す
るチェーンガイドの取付構造において、 前記チェーンの周囲を覆う固定壁内面の前記チェーン
より前方位置に突起を設ける一方、前記チェーンガイド
を、前記突起の前面に固定される取付部と、この取付部
に連なって前記突起を跨ぐようにコ字状に屈曲する屈曲
部と、この屈曲部の外側の端より後方に延びその内側の
面を前記チェーンの案内面としたガイド部と、より構成
した。

〈作用〉 かかる構成のチェーンガイドを配設することにより、
チェーンを当接して案内する案内面を有するガイド部
が、チェーンの周囲を覆う固定壁内面の前記チェーンよ
り前方位置に設けられた突起より機関に近い側に、即ち
前記突起の先端より突出すること無く配設されることと
なる。

〈実施例〉 以下に本発明の実施例を図に基づいて説明する。

第１図に示すエンジン１は、シリンダブロック２と、
それの上面に図示しないヘッドガスケットを介して載置
されるシリンダヘッド３とよりなっている。

シリンダブロック２の下面中央部にエンジン駆動され
るクランク軸４が支持され、またシリンダヘッド３の上
部に一対のカム軸5e・5iが各々支持される。一方のカム
軸5iはその回転により吸気弁（図示せず）を開閉する吸
気用であり、他方のカム軸5eはその回転により排気弁
（図示せず）を開閉する排気用である。

シリンダヘッド３の外側壁８からは側壁40が張り出し
ており、該側壁40は上方及び側方に開口して、下部に開
口部６を有するスプロケット室７が形成される。そし
て、該側方は室カバー（図示せず）により覆われ、シー
ルされる構成となっており、エンジン１は図示しない車
両等に外側壁８を前面にして搭載される。

また、シリンダヘッド３の一側壁中間部には外側壁８
から貼り出すように中継軸９が回転自由に支持されてい
る。中継軸９には、大スプロケット10aと小スプロケッ
ト10bとが一体となっているタイミングチェーンスプロ
ケット10が軸支されている。ここで、大スプロケット10
aが小スプロケット10bより外側壁８に近く、即ち内側に
配設されている。

一方クランク軸４にはタイミングチェーンスプロケッ
ト11が固着され、これとタイミングチェーンスプロケッ
ト10の大スプロケット10aとタイミングチェーン12によ
って連結されている。また、もう一方の小スプロケット
10bはタイミングチェーン14により、カム軸5e・5iの一
端に取り付けられた被動スプロケット13と連結される。

タイミングチェーン12及び14は振動防止の為各々テン
ショナ15,16により張力を与えられている。即ち、各テ
ンショナ15,16はテンショナピストン部17,18に油圧が供
給されることにより、タイミングチェーン12及び14を押
圧しており、更にチェーンガイド21及び22がタイミング
チェーン12及び14を後述するように円滑にガイドする構
成となっている。

上記構成において、クランク軸４が回転すると、その
回転力はタイミングチェーン12を介して中継軸９に伝達
されこれらを回転させるが、駆動スプロケットであるタ
イミングチェーンスプロケット11と被動スプロケットで
ある大スプロケット10aとのギア比が１対２になってい
るので、中継軸９の回転速度はクランク軸４のそれより
２分の１に減速される。次いで、中継軸９の回転力はタ
イミングチェーン14を介してカム軸5e・5iに伝達され、
これらを同速度で回転させる。かくして、エンジン１の
吸・排気弁が所定の時期に開閉駆動される。

このとき、前述したようにタイミングチェーン12,14
には、振動防止の為に各々テンショナ15,16により張力
が与えられ、また目飛び現象の発生や、減速時のタイミ
ングチェーン12,14のばたつきの発生の防止のためにチ
ェーンガイド21及び22が設けられているが、本発明に係
る構成として、例えばチェーンガイド22は第２図に示す
ように構成されている。

まず、シリンダヘッド３の外側壁８から張り出してス
プロケット室７を形成する側壁40には、前記チェーンガ
イド22に対応する部位に該チェーンガイド22の取付部23
を固定するための突起41が、設けられる。

ここで、取付部23に設けられた取付孔24に取付ボルト
25を通すことにより該チェーンガイド22の取付部23を前
記突起41の前面42に取り付ける。

また、チェーンガイド22は、前記取付部23に連なって
突起41を跨ぐようにコ字状に屈曲している屈曲部26と、
この屈曲部26の外側の端27より直角に後方に延びその内
側の面28にゴム等のシュー30を張ることにより前記チェ
ーン14の案内面31が形成されるガイド部29と、により構
成される。ここで、ゴム等のシュー30は案内面31とタイ
ミングチェーン14との間の摩擦を低減するために張られ
ているものである。

以上の構成によれば、タイミングチェーン14を当接し
て案内するガイド部29が、側壁40内面に設けられた突起
41より機関に近い側に、即ち前記突起41の先端43より突
出すること無く配設されると共に、前記突起41の先端43
を覆うようにチェーンガイド22が該突起41の側面42に取
り付けられるので、取付部23とガイド部29とを前面から
みて重なって設けることが可能となる。

従って、小スプロケット10bより外側壁８に近く、即
ち内側に配設されているタイミングチェーンスプロケッ
ト10aとも干渉すること無く、チェーンガイド22をタイ
ミングチェーンスプロケット13,10bの近傍まで延長して
設けることが可能となると共に、前記摺動部29と前記突
起41とをシリンダヘッド３の前後方向（カム軸方向）に
オーバーラップさせて設けることが可能となるので、チ
ェーンガイド22の取り付けのためにシリンダヘッド３を
幅方向に拡幅する必要が無い。

尚、本実施例ではチェーンガイド22について説明した
が、チェーンガイド21についても同様な構成により同様
な作用を奏するものである。

よって、本発明に係るチェーンガイド21,22の取付構
造によれば、シリンダヘッド３を大きくすること無く、
チェーンガイド21,22により目飛び現象や、減速時のタ
イミングチェーン12,14のばたつきの発生を十分に防止
となるという効果を奏する。

尚、本実施例において、本発明に係るチェーンガイド
の取付構造により突起41や取付ボルト25等の分だけシリ
ンダヘッド３の前後方向に長さが長くなることが考えら
れるが、タイミングチェーン12,14の組替え等の作業性
の悪化防止のための作業スペースが確保されており、前
記突起41を設けても該スペースにおける作業性は悪化す
ることは無く、また突起41、チェーンガイド21,22とも
該スペースの中に十分に収まる取付構造であるので、何
ら問題は無いことは勿論である。

〈発明の効果〉 以上説明したように本発明によれば、取付部と屈曲部
とガイド部とによりチェーンガイドを構成し、ガイド部
を固定するための突起をコ字状に屈曲する屈曲部にて覆
うように該チェーンガイドを取り付けるようにしたの
で、ガイド部が前記突起より前面に出ること無く配設さ
れ、もって配設スペースを大きく取ること無く、チェー
ンガイドの機能を十分発揮させることが可能となるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る一実施例を示すエンジンの側面
図、第２図は第１図におけるＡ−Ａ断面矢視図、第３図
は従来のエンジンの側面図、第４図は第３図におけるＢ
−Ｂ断面矢視図、第５図は従来のチェーンガイドを示す
斜視図、第６図及び第７図は従来の他のチェーンガイド
の取付構造を示すエンジンの側面図である。 ２……シリンダブロック、３……シリンダヘッド、４…
…クランク軸、5e,5i……カム軸、８……外側壁、９…
…中継軸、10,11,13……タイミングチェーンスプロケッ
ト、12,14……タイミングチェーン、21,22……チェーン
ガイド、23……取付部、29……ガイド部、40……側壁、
41……突起

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】機関前面側にて複数のスプロケット間に張
   設されたチェーンをその外側から当接して案内するチェ
   ーンガイドの取付構造において、 前記チェーンの周囲を覆う固定壁内面の前記チェーンよ
   り前方位置に突起を設ける一方、前記チェーンガイド
   を、前記突起の前面に固定される取付部と、この取付部
   に連なって前記突起を跨ぐようにコ字状に屈曲する屈曲
   部と、この屈曲部の外側の端より後方に延びその内側の
   面を前記チェーンの案内面としたガイド部と、より構成
   したことを特徴とするチェーンガイドの取付構造。