JP2735292B2 - ビニル系単量体のスケール防止剤およびそれを用いるスケール防止法 - Google Patents

ビニル系単量体のスケール防止剤およびそれを用いるスケール防止法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ビニル系単量体の重合を行なった際に生じ
るスケール防止剤およびそれを用いるスケール防止法に
関する。さらに詳しくは、懸濁重合法、乳化重合法、塊
状重合法に適用でき、かつ、連続バッチ重合にたえうる
スケール防止剤およびそれを用いるスケール防止法に関
する。
[従来の技術・発明が解決しようとする課題] ビニル系単量体の重合時に、重合用反応器の内壁面や
バッフル、撹拌翼など(以下、内壁面等ともいう)に重
合体が付着してスケールが生ずるが、これが重合時に発
生した熱を除く効果を低下させたり、製品中に混入して
製品品質を悪化させたりする。さらに、スケールの除去
に多大の費用が必要になり、かつ、重合を連続的に実施
できないなどの生産上の不利があることは周知である。
また、除熱の効率化と、重合反応器の大型化によって生
産性を上げるため、グラスライニング製重合反応器より
もステンレス製やクラッド鋼製、さらにはニッケル製な
どの重合反応器を使う傾向にある。
ところが、グラスライニング製重合反応器よりもスケ
ール製やクラッド鋼製、ニッケル製などの重合反応器の
方がスケールが発生しやすく、かつ除去も困難であり、
重合反応器が大型になるほどスケール除去の費用も多く
なる欠点があることも業界では周知である。
従来、とくに塩化ビニルまたは塩化ビニルを含む単量
体の懸濁重合法におけるスケール防止法が精力的に研究
されてきており、ある程度の成果がえられている。たと
えば、アルデヒドとフェノール系化合物との縮合物、芳
香族アミンの縮合物、芳香族アミンとニトロ化合物との
縮合物またはそのスルホン化物を重合反応器の内壁面等
に塗布して、スケール防止を行なう方法が知られてい
る。
しかし、これらの方法によっても充分な効果がえられ
ているとはいい難い。また、これらの方法では、水溶性
の高いビニル系単量体、たとえば酢酸ビニルと塩化ビニ
ルとを共重合させる懸濁重合法では、スケール防止効果
が低下するという問題がある。さらに、塩化ビニルの乳
化重合系では、スケール防止効果がほとんどえられない
という問題もある。
塩化ビニル系樹脂の製造以外では、MBS系樹脂、ABS系
樹脂、ポリメタクリレート系加工性改良樹脂などの製造
に一般に乳化重合法が採用されているが、これらの重合
系に対しても前記の方法ではスケール防止効果はほとん
どえられない。
[課題を解決するための手段] 本発明者らはかかる従来の欠点を改良したスケール防
止剤およびスケール防止法を開発すべく、鋭意研究を重
ねた結果、ビニル系単量体の重合を行なう際に、芳香族
アミンおよび芳香族ヒドロキシ化合物の反応生成物と、
アルミナコロイド、酸化チタンコロイドおよび酸化スズ
コロイドよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属
酸化物コロイドとの混合物であらかじめ重合、反応器内
をコーティングすることにより重合体スケールを効果的
に防止しうることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
[実施例] 本発明のスケール防止剤は、芳香族アミンと芳香族ヒ
ドロキシ化合物との反応生成物(以下、反応生成物とも
いう)と、アルミナコロイド、酸化チタンコロイドおよ
び酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属酸化物コロイドとの混合物からなる。
前記反応生成物は、重合反応器の内壁面等に強固に付
着し、それ自体でスケール防止効果を示すとともにコロ
イド粒子を強固に保持する作用がある成分であり、芳香
族アミンと芳香族ヒドロキシ化合物とを合成溶媒中に溶
解し、触媒を添加後所定温度で所定時間反応せしめ、生
成した反応生成物を過分別して取得されるものであ
り、平均分子量が1000〜40000程度のものである。
前記反応生成物を製造する際に用いる芳香族アミンに
はとくに限定はなく、公知の芳香族アミンであれば使用
しうる。その具体例としては、たとえばアニリン、1,4
−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼンなどのア
ミノベンゼン、1−アミノナフタリン、2−アミノナフ
タリンなどのモノアミノナフタリン、1,2−ジアミノナ
フタリン、1,8−ジアミノナフタリン、1,4−ジアミノナ
フタリン、2,3−ジアミノナフタリン、2,6−ジアミノナ
フタリン、2,7−ジアミノナフタリンなどのポリアミノ
ナフタリンなどがあげられる。また、芳香族アミンに存
在するベンゼン環やナフタリン環に、スルホン酸基、カ
ルボン酸基、ハロゲン原子などの置換基が存在していて
もよい。これら芳香族アミンのうちでは、ポリアミノナ
フタリンがスケール防止効果が良好になるという点から
好ましい。
また、前記反応生成物を製造する際に用いる芳香族ヒ
ドロキシ化合物にもとくに限定はなく、公知の芳香族ヒ
ドロキシ化合物であれば使用しうる。その具体例として
は、たとえばフェノール、1,4−ヒドロキシベンゼン、
ピロガロールなどのヒドロキシベンゼン、1−ヒドロキ
シナフタリン、2−ヒドロキシナフタリンなどのモノヒ
ドロキシナフタリン、1,2−ジヒドロキシナフタリン、
1,3−ジヒドロキシナフタリン、1,4−ジヒドロキシナフ
タリン、1,8−ジヒドロキシナフタリン、2,3−ジヒドロ
キシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリンなどの
ポリヒドロキシナフタリンなどがあげられる。また、芳
香族ヒドロキシ化合物に存在するベンゼン環やナフタリ
ン環に、スルホン酸基、カルボン酸基、ハロゲン原子な
どの置換基が存在していてもよい。これら芳香族ヒドロ
キシ化合物のうちでは、ポリヒドロキシナフタリンがス
ケール防止効果が良好になるという点から好ましい。
前記芳香族アミンと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応
させる際の割合はモル比で1/5〜5/1程度、さらには1/1
〜1/3が好ましい。芳香族アミンの割合が1/5より小さい
と反応が起こりにくく、5/1より大きいとスケール防止
効果が低下する傾向がある。
前述のごとく、芳香族アミンと芳香族ヒドロキシ化合
物とを反応させる際に、触媒、合成溶媒などが使用され
る。
前記合成溶媒の具体例としては、たとえば公知のアル
コール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、水など
があげられ、これらは単独で使用してもよく、2種以上
併用してもよい。その使用量は反応成分の溶解性の点か
ら芳香族アミンと芳香族ヒドロキシ化合物との総量に対
して重量で2〜200倍程度が好ましい。
前記触媒の具体例としては、たとえば塩化第二鉄、硫
酸第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二銅、塩酸、リン酸など
の酸性の触媒があげられる。該触媒の使用量としては、
芳香族アミン1モルに対し0.1〜5モル程度が好まし
い。
また反応温度としては、20〜80℃、反応時間は10分〜
10時間ぐらいが一般的である。
これらの条件には限界的な意味がなく、使用する触媒
などによって変化するものである。好ましくは塩化第二
鉄、硫酸第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二銅を使用すれ
ば、室温で1〜5時間の反応によって目的とする反応生
成物がえられる。
このようにしてえられる反応生成物の例としては、た
とえば1−アミノナフタリンと1−ヒドロキシナフタリ
ンの反応生成物、2−アミノナフタリンと2−ヒドロキ
シナフタリンの反応生成物、1,4−ジアミノナフタリン
と2,3−ジヒドロキシナフタリンの反応生成物、1,8−ジ
アミノナフタリンと1,2−ジヒドロキシナフタリンの反
応生成物、1,8−ジアミノナフタリンと2,3−ジヒドロキ
シナフタリンの反応生成物などがあげられる。
前記反応生成物が、芳香族アミンとしてポリアミノナ
フタリンを用い、芳香族ヒドロキシ化合物としてポリヒ
ドロキシナフタリンを用いたものであるばあいには、ス
ケール防止効果がとくに良好となる。その原因は明白で
ないが、反応生成物の縮合度が高くなり、内壁面等への
付着性が向上し、重合反応媒体中への耐溶解・溶出性が
向上するとともに重合禁止効果を有するヒドロキシ基含
有量が多くなるためと考えられる。
本発明に用いるアルミナコロイド、酸化チタンコロイ
ドおよび酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少な
くとも1種の金属酸化物コロイド(以下、コロイド類と
もいう)とは、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ス
ズのごとき物質で、親水性を付与するために使用される
成分である。該コロイド類の粒子径は比表面積の点から
小さければ小さいほど好ましいが、小粒子径のものは製
造が困難で入手しにくい。したがって、コロイド類の粒
子径としては、200mμ以下が好ましく、100mμ以下がさ
らに好ましく、通常20mμ程度以上である。なお、コロ
イド類の粒子径が大きくなるとスケール防止効果が低下
する。
前記コロイド類のうち、酸化チタンコロイドやアルミ
ナコロイドを用いるととくに大きなスケール防止効果が
えられる。
このようなコロイド類は一般に水分散液か有機溶剤で
分散性が改善された液状物として市販されているため、
そのまま反応生成物と混合しうる。前記コロイド類は単
独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記コロイド類は単独では全くスケール防止効果を有
さないが、芳香族アミンと芳香族ヒドロキシ化合物との
反応生成物と併用すると顕著なスケール防止効果を示
す。その機構は明白でないが、これらコロイド類は親水
性を有し、かつ、重合反応媒体である水やビニル系単量
体などに溶解・溶出しないため、これらのコロイド類が
コーティング膜表面に水を吸着し、水の層が形成される
ことによって、重合媒体中で発生するスケール付着活性
物質が内壁面等へ付着するのを防止するものと考えられ
る。
本発明においては、前記反応生成物とコロイド類とを
混合して重合反応装置内をコーティングする混合物(以
下、コーティング液ともいう)が調製される。
前記コーティング液の調製は、芳香族アミンと芳香族
ヒドロキシ化合物との反応生成物をコーティング液の溶
剤となる溶剤(コーティング溶剤)に溶解させ、ついで
コロイド類を分散させることにより行なわれる。
なお、反応生成物が、たとえばコーティング溶剤を溶
剤として含む液状物のばあいには、これにコロイド類を
分散させるまたは濃度を調整したのちコロイド類を分散
させるなどすればよい。
前記コーティング溶剤としては、前記の合成溶媒以外
にジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルホキシド、メチルピロリドンなどを使用するこ
とができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上併用
してもよい。
コーティング液中の反応生成物の濃度は0.1〜5%
(重量%、以下同様)程度が好ましい。また、反応生成
物/コロイド類の混合比は重量で1/0.3〜1/3程度が好ま
しい。該反応生成物/コロイド類の混合比が前記範囲を
はずれて小さくても、また大きくてもスケール防止効果
が低下する。
このようにして調製したコーティング液は、数センチ
ポイズ〜20センチポイズ程度の分散液である。
前記コーティング液が、あらかじめ洗浄した重合反応
器の内壁面等にコーティングされ、乾燥せしめられる。
コーティングする方法にはとくに限定はなく、はけ塗
り、スプレー塗り、重合反応器内にコーティング液を満
たして塗る方法など、種々の方法が採用できる。
コーティング量は内壁面等1m2当り固形分で0.01〜10g
程度が好ましく、0.1〜5g程度がさらに好ましい。該コ
ーティング量が0.01g程度未満になるとスケール防止効
果が低下する傾向があり、10g程度をこえても実質的に
スケール防止効果は同じで経済的にデメリットとなる。
乾燥とはコーティング溶剤を蒸発させることであり、実
際には50〜120℃程度で必要に応じて減圧下または送風
下で10分〜3時間程度の条件で乾燥させればよい。
本発明でいう重合反応器とは、ステンレス製、クラッ
ド鋼製、ニッケル合金などの金属製重合反応器に限ら
ず、グラスライニング製の重合反応器などをも含む概念
であり、当然のことながら、これらの重合反応器にはバ
ッフル、撹拌翼などの必要なものが取付けられている。
前記のごとくあらかじめ重合反応器の内壁面等に前記
のコーティング液を塗布、乾燥させたのち、水媒体、ビ
ニル系単量体、重合開始剤、分散剤、乳化剤、添加剤な
どを仕込み、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの重合
を行なうと、重合体スケールの重合反応器の内壁面等へ
の付着を効果的に防止することができ、従来、重合体ス
ケールの防止が非常に困難であったメタクリル酸エステ
ル、アクリル酸エステルの乳化重合法においても、ま
た、重合反応媒体が酸性側やアルカリ側においても顕著
な重合体スケールの防止効果を呈する。なお、塊状重合
法では、コーティング液を塗布乾燥後、一度水洗して、
塗布膜表面に水の膜を形成後、ビニル系単量体、重合開
始剤などを仕込んで重合を行なうのが好ましい。
前記懸濁重合、乳化重合、塊状重合などは公知の各重
合法による重合のことである。
前記ビニル系単量体とは、公知のビニル単量体、ビニ
リデン単量体および公知のジエン単量体を意味し、ビニ
ル系単量体の具体例としては、たとえば塩化ビニル、塩
化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチ
レン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ア
クリル酸、メタクリル酸、フェニルマレイミド、エチレ
ン、プロピレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、1−ブテン、
1−ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン
などの公知の単量体があげられる。
前記分散剤や乳化剤の具体例としては、たとえばリン
酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機化合物、メチル
セルロース、エチルセルロース、部分ケン化ポリ酢酸ビ
ニルなどの高分子化合物、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン酸エステル
類などの非イオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスル
ホン酸アルカリ金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸
金属塩、ジアルキルスルホコハク酸金属塩などのアニオ
ン性界面活性剤などがあげられる。
前記重合開始剤の具体例としては、たとえばアゾ系化
合物、ジアシル系過酸化物、ハイドロパーオキサイド、
ジアシル系パーオキサイド、ジアルキルパーオキサイ
ド、アルキルパーエステル、パーオキシジカーボネー
ト、過硫酸塩、レドックス系開始剤などの公知の重合開
始剤があげられる。
前記添加剤としては、たとえば公知の連鎖移動剤、公
知の抗酸化剤、公知の電解質化合物、公知の可塑剤など
があげられる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する
が、これらは何ら本発明を限定するものではない。
実施例1〜12 第1表に示す芳香族アミンと芳香族ヒドロキシ化合物
とをメタノール300ccおよびテトラヒドロフラン30ccの
混合合成溶媒中に溶解し、1時間撹拌後、水60ccに溶解
した塩化第二鉄水溶液を添加し、室温で3時間反応せし
めた。反応生成物を過分別後、乾燥してサンプルNo.1
〜12の反応生成物をえた。
実施例1〜11および比較例1〜5 前記の方法で取得したサンプルNo.1〜12の反応生成物
をジメチルホルムアミド/ブタノール/水(85/10/5
(体積比))に溶解し、濃度1%に調整した。ついで、
ここへの平均粒子径30mμのアルミナコロイド、平均粒
子径30mμの酸化チタンコロイドを、(反応生成物)/
(コロイド粒子)が重量で1/1となるように添加し、分
散させてコーティング液を調製した。このコーティング
液をあらかじめ洗浄された重合反応器の内壁面等にはけ
で内壁面等1m2当り1g(固形分)になるように塗布し、7
0℃で2時間乾燥したのち、下記処方1の重合をスケー
ル付着が観察されるまで繰返し行なった。
コーティング液を重合反応器の内壁面等に塗布、乾燥
して形成された被膜の親水性の有無およびスケール付着
が観察されることなく行なうことができた重合の回数
(スケール防止連続バッチ数)を第2表に示す。
なお、比較例としてコーティング後を塗布しなかった
ばあい、反応生成物またはコロイドのみを塗布したばあ
いについても示した。
(処方1:塩化ビニルの乳化重合法) 内容積20のコーティング済ステンレス製重合反応器
に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム80gを溶解
した水8kg、塩化ビニル4kgおよび過硫酸カリウム8gを仕
込み、60℃で10時間重合を行なった。重合末期の重合媒
体のpHは3.5であった。
(親水性の有無) コーティング溶液を重合反応器の内壁面等に塗布し、
乾燥させたのち、その表面に水を接触せしめて水の表面
ぬれ性を観察し、全面に水がぬれる状態を有、水がはじ
かれる状態を無として判定した。
第2表から、芳香族アミンおよび芳香族ヒドロキシ化
合物の反応生成物とアルミナコロイドとを併用すれば顕
著なスケール防止効果がえられることがわかる。また、
芳香族アミンとしてポリアミノナフタリンを用い、芳香
族ヒドロキシ化合物としてポリヒドロキシナフタリンを
用いればより顕著なスケール防止効果がえられることが
わかる。
実施例12〜22および比較例6〜14 コロイド粒子、反応生成物とコロイド粒子(または金
属塩)の混合比(重合比)を第3表に示すようにかえ、
反応生成物としてサンプルNo.6の反応生成物を用い、下
記処方2によって重合を行なったほかは実施例1〜11と
同様にしてスケール防止連バッチ数および親水性の有無
を調べた。結果を第3表に示す。
なお、比較例として反応生成物のみのばあい、アルミ
ナコロイドのみのばあいについても示した。
(処方2:ブチルアクリレートの乳化重合) 内容積3のコーティング済ステンレス製重合反応器
に、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムでpHを11.5に調
整した水1500gと、ブチルアクリレート800g、オレイン
酸ナトリウム15gを仕込み、クメンハイドロパーオキサ
イド10g、ロンガリット5g、エチレンジアミン四酢酸ナ
トリウム0.15g、硫酸第一鉄0.07gを仕込み、50℃で10時
間重合を行なった。
第3表から1,8−ジアミノナフタリンおよび1,2−ジヒ
ドロキシ化合物の反応生成物とアルミナコロイド粒子と
を使用すればスケール防止効果がえられるが、とくに反
応生成物とコロイド粒子との重合比が1/0.3〜1/3の範囲
で使用すれば顕著なスケール防止効果がえられることが
わかる。また、酸化チタンコロイド、酸化スズコロイド
も前記反応生成物と併用すれば顕著なスケール防止効果
を有し、とくに、酸化チタンコロイド、アルミナコロイ
ド、酸化スズコロイドを用いたばあい効果が大きいこと
がわかる。
さらに親水性のない酸化ジルコニウムコロイドや重合
媒体(水、アルカリ)に溶解する塩化アルミニウム、硫
酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、酸化アンチモンコ
ロイド、ケイ酸コロイドなどはスケール防止効果を有さ
ないことがわかる。またアルミナコロイド、凝固アルミ
ナコロイドの中では粒子径の小さいものほどスケール防
止効果が大きいこともわかる。
実施例23〜28および比較例15〜21 反応生成物、コロイド粒子を第4表に示すようにか
え、下記処方3によって重合を行なった他は実施例1〜
11と同様にし、スケール防止連続バッチ数および親水性
の有無を調べた。結果を第4表に示す。
なお、比較例として反応生成物単独使用のばあい(比
較例18)、コロイド粒子単独使用のばあい(比較例1
9)、反応生成物の原料物質を用いたばあい(比較例20
〜21)についても示した。
(処方3:メタクリル酸メチル系の乳化重合法) 内容積5のコーティング済ステンレス製重合反応器
に水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25
g、過硫酸カリウム8g、メタクリル酸メチル1.5kgおよび
スチレン500gを仕込み、70℃で8時間重合を行なった。
重合末期の重合媒体のpHは3であった。
第4表から、反応生成物単独やアルミナコロイド粒子
単独ではスケール防止効果はほとんどないが、これらを
併用すると顕著なスケール防止効果がえられることがわ
かる。
[発明の効果] 本発明はビニル系単量体を重合するとき、重合反応器
内壁面等に付着する重合体のスケール防止に顕著な効果
を示し、重合を連続的に繰返し行なってもその効果が持
続する。また本発明は、従来スケール防止が困難とされ
てきたアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの乳
化重合においても顕著なスケール防止効果を示す。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族アミンおよび芳香族ヒドロキシ化合
    物の反応生成物と、アルミナコロイド、酸化チタンコロ
    イドおよび酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少
    なくとも1種の金属酸化物コロイドとの混合物からなる
    ビニル系単量体のスケール防止剤。
  2. 【請求項2】前記芳香族アミンとしてアミノナフタリン
    を用い、前記芳香族ヒドロキシ化合物としてヒドロキシ
    ナフタリンを用いる請求項1記載のスケール防止剤。
  3. 【請求項3】前記アミノナフタリンとしてポリアミノナ
    フタリンを用い、前記ヒドロキシナフタリンとしてポリ
    ヒドロキシナフタリンを用いる請求項2記載のスケール
    防止剤。
  4. 【請求項4】アルミナコロイド、酸化チタンコロイドお
    よび酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少なくと
    も1種の金属酸化物コロイドとして酸化チタンコロイド
    を用いる請求項1、2または3記載のスケール防止剤。
  5. 【請求項5】アルミナコロイド、酸化チタンコロイドお
    よび酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少なくと
    も1種の金属酸化物コロイドとしてアルミナコロイドを
    用いる請求項1、2または3記載のスケール防止剤。
  6. 【請求項6】ビニル系単量体の重合を行なう際、芳香族
    アミンおよび芳香族ヒドロキシ化合物の反応生成物と、
    アルミナコロイド、酸化チタンコロイドおよび酸化スズ
    コロイドよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属
    酸化物コロイドとの混合物であらかじめ重合反応器内を
    コーティングすることを特徴とする重合体のスケール防
    止法。
  7. 【請求項7】前記芳香族アミンとしてアミノナフタリン
    を用い、前記芳香族ヒドロキシ化合物としてヒドロキシ
    ナフタリンを用いる請求項6記載のスケール防止法。
  8. 【請求項8】前記アミノナフタリンとしてポリアミノナ
    フタリンを用い、前記ヒドロキシナフタリンとしてポリ
    ヒドロキシナフタリンを用いる請求項7記載のスケール
    防止法。
  9. 【請求項9】アルミナコロイド、酸化チタンコロイドお
    よび酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少なくと
    も1種の金属酸化物コロイドとして酸化チタンコロイド
    を用いる請求項6、7または8記載のスケール防止法。
  10. 【請求項10】アルミナコロイド、酸化チタンコロイド
    および酸化スズコロイドよりなる群から選ばれた少なく
    とも1種の金属酸化物コロイドとしてアルミナコロイド
    を用いる請求項6、7または8記載のスケール防止法。
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