JP3518859B2 - 塩化ビニル系重合体を製造するための重合反応器 - Google Patents

塩化ビニル系重合体を製造するための重合反応器

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JP3518859B2
JP3518859B2 JP2000178312A JP2000178312A JP3518859B2 JP 3518859 B2 JP3518859 B2 JP 3518859B2 JP 2000178312 A JP2000178312 A JP 2000178312A JP 2000178312 A JP2000178312 A JP 2000178312A JP 3518859 B2 JP3518859 B2 JP 3518859B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合時のスケール
発生を防止するための特定の皮膜により内壁が被覆され
た塩化ビニル系重合体製造のための重合反応器、該重合
反応装置を使用した塩化ビニル系重合体の製造方法及び
上記被膜を形成するために好適なスケール付着防止剤に
関する。
【0002】詳しくは、塩化ビニル系重合体を製造する
際、内壁に形成された特定の皮膜により、重合反応器内
壁へのスケール付着が極めて少なく抑えられると共に、
該皮膜の剥離物が得られる塩化ビニル系重合体に混入し
た場合のトラブルが極めて少ない重合反応器、該重合反
応装置を使用した塩化ビニルの製造方法及び上記被膜を
形成するために好適なスケール付着防止剤である。
【0003】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体の製造において、モ
ノマーを水性媒体中で懸濁または乳化重合する際に重合
容器内部や攪拌翼などにスケールが付着し、これが生産
性や得られる重合体の品質低下を招いていた。そこで、
これまで種々のスケール付着防止成分を予め重合器内面
に塗布する方法(例えばスケール付着防止成分として、
特開昭62−201832号公報記載のフェノール類/
アルデヒド縮合物、特公昭62−3841号公報に記載
の多官能フェノール類の自己縮合物など)が提案されて
きた。
【0004】また、スケール付着防止剤を重合反応器内
部などに塗布する時間を短縮する場合に水蒸気気流を用
いる方法(特公昭64−5044号公報)があり、この
場合にはスケール付着防止成分が水性媒体に可溶である
ことが求められている。たとえばアルカリ水溶液に可溶
なタイプとしては特公平1−31523号公報には1−
ナフトール/ホルムアルデヒド縮合物などが提案されて
いる。
【0005】一方、スケール付着防止剤を塗布した場
合、得られる塩ビ系重合体の成形品の色調に影響を与え
ることがある。さらに、スケール付着防止成分が着色異
物やフィッシュアイの原因になることもある。
【0006】これらの要求を同時に且つ十分に満足でき
るスケール付着防止技術は未だ開発されるに至っていな
いのが現状である。
【0007】
【課題を解決するための手段】これらの状況に鑑み、鋭
意努力した結果、1−ナフトール類、水酸基含有芳香族
化合物及びアルデヒド類の縮合反応せしめて得られる縮
合生成物を予め重合反応容器内にコーティングすること
により、塩化ビニル系重合体を製造する際に優れたスケ
ール付着防止効果を発揮し、しかも、得られる塩化ビニ
ル系重合体の成形物の色調に影響を与えにくく、さらに
は着色異物やフィッシュアイも少ないことを見い出し、
本発明を提案するに到った。
【0008】即ち、本発明は、下記(1)式で示される
水酸基含有芳香族化合物、1−ナフトール類及びアルデ
ヒド類を縮合反応せしめて得られた縮合物を主成分とす
る皮膜により内壁が被覆されたことを特徴とする塩化ビ
ニル系重合体を製造するための重合反応器。
【0009】
【化2】
【0010】(但し、R1、R2はヒドロキシ基、炭素数
が1〜8のアルキル基、ハロゲン、アルキル基部の炭素
数が1〜8のアルコキシカルボニル基及びフェニル基よ
り選ばれた同種又は異種の基であり、一方の基が水素で
あっても良く、且つ、ヒドロキシ基に対してオルト位及
び/又はパラ位の少なくとも2箇所に置換基が無い構造
を有する。)
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、1−ナフトール
類としては(2)式で示される化合物を使用することが
できる。
【0012】
【化3】
【0013】(但し、nは1〜3であり、R3及びR
4は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシ
基または水素を示す。)
【0014】上記1−ナフトール類を具体的に例示すれ
ば、1−ナフトール、1,3ジヒドロキシナフタレン、
1,5ジヒドロキシナフタレン、1,6ジヒドロキシナフ
タレンなどが挙げられる。
【0015】また、上記1−ナフトール類は、単独で使
用することもできるし、2種類以上を混合して使用する
こともできる。
【0016】本発明において、水酸基含有芳香族化合物
としては、(1)式で示される化合物が使用される。
【0017】
【化4】
【0018】(但し、R1、R2はヒドロキシ基、炭素数
が1〜8のアルキル基、ハロゲン、アルキル基部の炭素
数が1〜8のアルコキシカルボニル基及びフェニル基よ
り選ばれた同種又は異種の基であり、一方の基が水素で
あっても良く、且つ、ヒドロキシ基に対してオルト位及
び/又はパラ位の少なくとも2箇所に置換基が無い構造
を有する。)
【0019】上記水酸基含有芳香族化合物において、ア
ルキル基は炭素数が1〜8であれば特に制限されない
が、特にメチル基、t−ブチル基が好ましい。また、ハ
ロゲンとしては、塩素が好適である。更に、アルコキシ
カルボニル基としては、炭素数8(オクチルまたはエチ
ルヘキシル)が好適である。
【0020】また、上記水酸基含有芳香族化合物は、ヒ
ドロキシ基に対してオルト位及び/又はパラ位の少なく
とも2箇所に置換基が無い構造を有することが必要であ
る。尚、上記構造はヒドロキシ基が複数存在する場合、
いずれか1つのヒドロキシ基についてかかる構造を満足
すれば良い。
【0021】上記水酸基含有芳香族化合物を具体的に示
せば、石炭酸、o−クレゾール、p−クレゾール、p−
t−ブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−
クロロフェノール、サリチル酸メチルなど一価フェノー
ル類、カテコール、レソルシノール、2−メチルレゾル
シノール、2,6ジヒドロキシ安息香酸オクチルエステ
ルなどの二価フェノール類、ピロガロール、フロログル
シノール、ヒドロキシヒドロキノンなどの三価フェノー
ル類、及びo−ヒドロキシビフェニル、2,6ジヒドロ
キシビフェニルなどのビフェニル類などが挙げられる。
【0022】これらは2種類以上を混合して用いること
もできる。
【0023】これらの内、二価フェノール類または三価
フェノール類は、特にスケール付着防止効果に優れるた
め、好適に使用することができる。
【0024】本発明において、アルデヒド類としては、
具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベ
ンズアルデヒド、フルフラールなどが挙げられる。これ
ら単独または2種類以上の混合物でも使用できる。
【0025】本発明において、前記特定の構造を有する
水酸基含有芳香族化合物は、アルデヒド類との縮合物を
生成することは勿論、アルデヒド類を介して1−ナフト
ール類とも縮合反応が可能で、比較的高い比率で共縮合
物を生成することができるものと推定される。
【0026】従って、上記以外の基を有する水酸基含有
芳香族化合物を使用した場合や、水酸基含有芳香族化合
物と1−ナフトール類をアルデヒド類とそれぞれ単独で
縮合せしめて混合した混合縮合物とは全く異なる効果、
即ち、優れたスケール付着防止効果、塩化ビニル系重合
体の成形物におけるフィッシュアイや着色異物の数及び
優れた非着色性を発揮することができる。例えば、水酸
基含有芳香族化合物と1−ナフトール類をアルデヒド類
とそれぞれ単独で縮合せしめて混合した場合、スケール
付着防止効果が低下するか、もしくは塩化ビニル系重合
体の成形体に着色異物が増加する。
【0027】一方、水酸基含有芳香族化合物としてスル
ホン酸基やカルボン酸基などの酸性を示す基、またはア
ミノ基、アミン基など塩基性を示す基を持つものを用い
た場合、スケール付着防止効果の低下、または/及び、
塩化ビニル系重合体の成形物の色調への影響が比較的大
きい。
【0028】本発明において、1−ナフトール類と水酸
基含有芳香族化合物との組成比は、1−ナフトール類に
対して水酸基含有芳香族化合物が0.01〜2倍モル、
より好ましくは0.05〜0.5倍モルが適当である。即
ち、水酸基含有芳香族化合物の割合が0.01倍モルよ
り少ない場合、着色異物やフィッシュアイが増加する傾
向がある。また、水酸基含有芳香族化合物が2倍モルよ
り多い場合、スケール付着防止効果が低下する傾向があ
る。
【0029】また、アルデヒド類の使用量は、1−ナフ
トール類と水酸基含有芳香族化合物の合計モル数に対し
て、0.5〜2倍モル、さらに好ましくは0.7〜1.2
倍モルが適当である。即ち、アルデヒド類が2倍モルよ
り多い場合、レゾール型の反応物が増えたり、これが未
反応物として残るため好ましくない。また、アルデヒド
類が0.5倍モルより少ない場合、縮合反応が十分に起
こらず、スケール付着防止効果が低下する傾向がある。
【0030】本発明において、アルデヒド類として特に
アセトアルデヒドを用いた場合は、着色異物、フィッシ
ュアイがより一層少なくなり好ましい。この場合、アセ
トアルデヒドは単独で使用しても、他のアルデヒドと併
用しても良いが、併用する場合にはアセトアルデヒドが
全アルデヒド中の10モル%以上、好ましくは、40モ
ル%以上含まれることが好ましい。
【0031】一方、ベンズアルデヒドは連続重合を行う
際のスケール付着防止効果の持続性が良く、好適に使用
される。この場合、ベンズアルデヒドは単独で使用して
も、他のアルデヒド類と併用しても良いが、この場合に
はベンズアルデヒドが全アルデヒド類中の10モル%以
上となるように使用することが好ましい。但し、70モ
ル%を超えると得られる共縮合物を後記のアルカリ水溶
液に溶解する際均質な組成物を得ることが困難となるお
それがあるため、70モル%以下で使用することが望ま
しい。
【0032】1−ナフトール類及び水酸基含有芳香族化
合物と、アルデヒド類の縮合反応は既知の方法を用いる
ことができる。例えば、溶媒を用いる場合は水、有機溶
媒およびこれらの混合物などが使用できる。また、触媒
を使用する場合は既知の塩基性触媒、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが、また、
既知の酸性触媒、例えば、塩酸、りん酸、酢酸、蓚酸な
どを使用することができる。
【0033】縮合反応は反応温度30〜300℃、反応
時間2分〜72時間の範囲で行われるのが一般的であ
る。この縮合反応により生成する縮合物は精製して未反
応物を除去してもよいし、未反応物を含んだそのままの
ものを使用しても差し支えない。 本発明において、塩
化ビニル系重合体を製造するための重合反応器の構造、
材質等は、特に制限されるものではなく、公知の構造、
材質を使用することができる。例えば、ステンレス等の
金属製容器、内面にガラスライニングを施した該金属製
容器、ガラス容器などで構成され、かかる容器に、必要
に応じて攪拌機や邪魔板、還流コンデンサーなどを設け
たものが一般的である。
【0034】そして、前記水酸基含有芳香族化合物、1
−ナフトール類及びアルデヒド類の縮合物を主成分とす
る皮膜により重合反応器の内壁を被覆して構成される。
【0035】尚、本発明において、重合反応器の内壁に
は、反応容器の内壁以外に、必要に応じて設けられる、
攪拌機や邪魔板、還流コンデンサーなどの壁面も含まれ
る。
【0036】かかる縮合物の被膜は、最終的に重合反応
器の内壁に形成されていれば、その形成方法は特に制限
されない。
【0037】代表的な形成方法を例示すれば、(1)前
記水酸基含有芳香族化合物、1−ナフトール類及びアル
デヒド類を縮合反応せしめて得られる縮合物を溶解した
アルカリ性水溶液を重合反応器内壁に塗布する態様、
(2)前記水酸基含有芳香族化合物、1−ナフトール類
及びアルデヒド類の混合物のアルカリ性水溶液を重合反
応器内壁に塗布後あるいは充填後、縮合反応を行わせる
態様、(3)前記水酸基含有芳香族化合物、1−ナフト
ール類及びアルデヒド類の混合物の酸性水溶液を重合反
応器内壁に塗布後、縮合反応を行わせる態様、等が挙げ
られる。
【0038】上記アルカリ性水溶液を構成する塩基とし
ては、前記塩基触媒として例示したアルカリを、また、
酸性水溶液を構成する酸としては、前記酸触媒として例
示した酸が好適に使用される。
【0039】上記方法のうち、(1)の方法が、被膜の
均一性、操作性などにおいて有利であり好ましい。即
ち、前記縮合物のアルカリ水溶液は、塗布後これを乾燥
し、必要に応じて水洗することによって、迅速に且つ容
易に縮合物の被膜を形成することが可能である。
【0040】上記アルカリ水溶液において、アルカリ濃
度(アルカリ固体成分の濃度)は0.01〜10wt%
が好適である。また、縮合物の濃度としては特に限定さ
れないが、0.01〜20重量%程度が好適である。
【0041】上記(1)において使用される縮合物のア
ルカリ水溶液は、前記したように迅速に且つ容易に縮合
物の被膜を形成することが可能であるため、スケール付
着防止剤として有用である。
【0042】上記縮合物のアルカリ水溶液は、如何なる
方法で製造しても良いが、前記縮合反応において水性溶
媒を用い、且つ塩基性触媒を用いることにより、縮合物
がアルカリ水溶液として得ることが可能であり、推奨さ
れる。
【0043】また、前記各態様において、塗布後の水溶
液の乾燥時間を短縮するなどの目的で、縮合物の分散性
(溶解性)を悪化させない範囲で、メタノールのような
水と混合可能な有機溶媒を含んでいてもよい。この場
合、有機溶媒は30重量%以下が好ましい。
【0044】また、上記縮合物の被膜の形成に際して、
スケール付着防止効果を妨げない範囲で、前記水溶液に
任意の添加物を必要に応じて添加しても良い。例えば、
ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなど
の水溶性高分子化合物、ドデシル硫酸ナトリウムのよう
な陰イオン界面活性剤、シリカゾル、アルミナゾルのよ
うな水分散性固体、及び、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナト
リウム、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウ
ム、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、
ピロリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酢酸カ
リウムなどの水溶性アルカリ金属塩である。
【0045】前記した縮合物の皮膜形成方法において、
重合体製造用重合反応器の内面に各水溶液を塗布する方
法は既知の方法が使用できる。例えば刷毛塗り、スプレ
ー方式や水蒸気気流中に乗せて微粒子化して塗布する方
法がある。必要に応じて塗膜の水分を乾燥させても良い
し、乾燥後に水洗しても良い。
【0046】重合反応器内面への塗布量としては特に限
定されないが、縮合生成物の重量として、0.001g
〜10g/m2の範囲が好ましい。
【0047】本発明の重合反応器を使用した塩化ビニル
系重合体の製造は、水性媒体中において実施される既知
の方法が特に制限なく採用される。例えば、塩化ビニル
単独、或いは塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能な
モノマーとを水性媒体中で懸濁重合または乳化重合する
ことにより行う方法が挙げられる。
【0048】上記塩化ビニルと共重合可能なモノマーと
しては、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、アク
リロニトリルなどが挙げられる。
【0049】上記重合に使用する重合開始剤としては、
イソプロピルパーオキシジカーボネート、ラウロイルパ
ーオキサイド、タシャリブチルパーキシピバレート、ベ
ンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸カリ
ウムのような無機過酸化物、アゾビスイソブチリロニト
リルのようなアゾ系化合物などの公知の化合物が挙げら
れる。また、過酸化物と還元剤を組み合わせて用いるレ
ドックス系も使用することができる。
【0050】上記懸濁重合においては分散安定剤を使用
することができ、該分散安定剤は、部分ケン化ポリビニ
ルアルコールやメチルセルロースが好適である。
【0051】また、乳化重合においては乳化安定剤を使
用することができ、該乳化安定剤としては、ドデシル硫
酸ナトリウムのような陰イオン界面活性剤、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテルのような非イオン界面活性剤
が挙げられる。
【0052】また、重合において、エチルメルカプタン
のようなメルカプト系化合物や、四塩化炭素のような塩
素化合物を連鎖移動剤に用いて塩化ビニル系重合体の分
子量を調節する方法を実施することも可能である。
【0053】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明の重合反応器は、前記特定の縮合物を主成分とする皮
膜により内壁が被覆されているため、スケール付着防止
性に優れるのみでなく、得られる塩化ビニル系重合体の
成形物への着色性が低く、しかも、成形品のフィッシュ
アイ、着色異物など表面外観を低下する等の問題が極め
て少ない。
【0054】従って、工業的に極めて有利に塩化ビニル
系重合体の製造を行うことができる。
【0055】また、前記縮合物を主成分とするのアルカ
リ水溶液は、前記重合反応器に該縮合物よりなる被膜を
迅速に、且つ均一に形成するためのスケール付着防止剤
として有用である。
【0056】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定さ
れるものではない。
【0057】尚、実施例において、各種試験は下記の方
法によって行った。
【0058】(1)スケール付着防止性 塩化ビニルの懸濁重合と乳化重合とをそれぞれ行って、
評価した。
【0059】(懸濁重合)重合反応器(内壁はステンレ
ス製)内に、イオン交換水28kg、部分ケン化ポリビ
ニルアルコール(日本合成KH-20)の4wt%水溶液4
85g、ラジカル開始剤(KS-23)5.1g、(PS-N)
6.1gを仕込み、次いで塩化ビニルモノマー18.6
5kgを仕込んだ。3段のブルーマージン翼により70
0rpmで攪拌しながら、63.5℃で約4時間重合し
た。重合後に重合体及び水媒体を取り出し、反応器を軽
く水洗した。
【0060】この操作を1バッチとし、連続して重合す
る場合は、引き続き次の仕込みを行う。3バッチ後に気
液界面付近の内面(20cm×20cm)に付着してい
るスケールを黄銅製のへらで採取し、40℃で12hr
真空乾燥させた重量を換算して、スケール付着量A(g
/m2)として示した。
【0061】(乳化重合)重合反応器(内壁はステンレ
ス製)内に、イオン交換水25kg、ラウリル硫酸ナト
リウム75g、過硫酸カリウム4gを仕込み、次いで塩
化ビニルモノマー12kgを仕込んだ。ファウドラー翼
を用いて900rpmで攪拌しながら、70℃で8時
間、乳化重合を行った。重合後に重合体及び水媒体を取
り出し、反応器を軽く水洗した。
【0062】この操作を1バッチとし、連続して重合す
る場合は、引き続き次の仕込みを行う。3バッチ後の気
液界面付近の内面(20cm×20cm)に付着してい
るスケールを黄銅製のへらで採取し、40℃で12hr
真空乾燥させた重量を換算してスケール付着量B(g/
2)として示した。
【0063】(2)塩化ビニル系重合体の成形体の着色
性 上記懸濁重合により得られたポリ塩化ビニル100重量
部に、三塩基性硫酸鉛2重量部、ステアリン酸鉛1.5
重量部、ステアリン酸カルシウム0.5重量部、ステア
リン酸0.2重量部を(株)東洋精機製作所製プラスト
ミルにて185℃で15分間混合した後、175℃の1
0分間加熱プレスして、厚さ5mmのシートを得た。大
日精化工業製カラーコンピューターにてハンター白色度
(L)を測定した。L値が大きいほど白色度が高い(非
着色性が優れる)と言える。
【0064】(3)塩化ビニル系重合体の成形物の着色
異物 上記懸濁重合により得られたポリ塩化ビニル100重量
部に、ジブチル錫マレエート4重量部を添加して、20
mmφの一軸押し出し機(185℃)を用いてTダイに
て幅約70mm、厚さ約0.2mmのシートに成形し
た。このシート100m中の着色異物の数を目視で数え
た。
【0065】実施例1 冷却コンデンサー付の500mLの密閉式ガラス容器に
1−ナフトール25g、ピロガロール10g、水酸化ナ
トリウム6g、蒸留水300gを仕込んだ。窒素ガスで
系内を置換した後、攪拌しながら湯浴で70℃に昇温し
た。次いで攪拌下、37wt%ホルムアルデヒド水溶液
20gをゆっくり入れた。温度を保ったまま、攪拌しな
がら5時間縮合反応させた。青色がかった透明な水溶液
が得られた。
【0066】上記縮合生成物を溶解したアルカリ性水溶
液を、縮合物の濃度0.5重量%、アルカリ濃度0.5
重量%となるように調整した後、内容積約50Lの塩化
ビニル重合用の反応器内面(ステンレス)にスプレーに
より塗布した。
【0067】その後、水洗して重合反応器を得た。重合
反応器に入れた縮合物の量と、排水として出てきた縮合
物の重量差から推定される形成された皮膜は、約0.2
g/m2であった。
【0068】得られた重合反応器について、スケール付
着防止性試験に供すると共に、得られた塩ビ系重合体重
合体の成形物を着色性および着色異物試験に供した。
【0069】上記各種試験の結果、スケール付着防止性
試験の付着量Aは、3g/m2、付着量Bは5g/m2
あり、着色性は、L=73、着色異物は、2個であっ
た。
【0070】実施例2〜18 実施例1において、1−ナフトール類、水酸基含有芳香
族化合物、アルデヒド類の種類及び使用量を表1に示す
ように代えると共に、縮合条件を表1に示すように代え
た以外は同様にして、重合反応器を得た。形成された皮
膜の量を表1に示す。
【0071】得られた重合反応器について、スケール付
着防止性試験に供すると共に、得られた塩ビ系重合体重
合体の成形物を着色性および着色異物試験に供した。
【0072】上記各種試験の結果を表2に示す。
【0073】尚、酸触媒を使用して得られ縮合物は固体
で得られるため、アルカリ水溶液に溶解して使用した。
【0074】比較例1〜3 実施例1において、1−ナフトール類、水酸基含有芳香
族化合物、アルデヒド類の種類及び使用量を表1に示す
ように代えると共に、縮合条件を表1に示すように代え
た以外は同様にして、重合反応器を得た。形成された皮
膜の量を表1に示す。
【0075】得られた重合反応器について、スケール付
着防止性試験に供すると共に、得られた塩ビ系重合体重
合体の成形物を着色性および着色異物試験に供した。試
験の結果を表2に示す。
【0076】水酸基含有芳香族化合物を使用しない場合
や、本発明以外の基を有する水酸基含有芳香族化合物を
使用した場合は、スケール付着防止効果の低下や成形物
へ着色が起こる。
【0077】比較例4 冷却コンデンサー付の500mLの密閉式ガラス容器に
1−ナフトール31g、水酸化ナトリウム7g、蒸留水
300gを仕込んだ。窒素ガスで系内を置換した後、攪
拌しながら湯浴で70℃に昇温した。次いで攪拌下、3
7wt%ホルムアルデヒド水溶液17gをゆっくり入れ
た。温度を保ったまま、攪拌しながら5時間縮合反応さ
せた。青色がかった透明な水溶液が得られた(X液)。
【0078】別の冷却コンデンサー付の500mLの密
閉式ガラス容器にピロガロール25g、水酸化ナトリウ
ム7g、蒸留水300gを仕込んだ。窒素ガスで系内を
置換した後、攪拌しながら湯浴で70℃に昇温した。次
いで攪拌下、37wt%ホルムアルデヒド水溶液17g
をゆっくり入れた。温度を保ったまま、攪拌しながら5
時間縮合反応させた。褐色の水溶液が得られた(Y
液)。
【0079】これら2つの水溶液(X,Y)を等量づつ
混合した水溶液用いて、実施例1と同様に塗布した重合
反応器を得た。形成された皮膜の量を表1に示す。
【0080】得られた重合反応器について、スケール付
着防止性試験に供すると共に、得られた塩ビ系重合体重
合体の成形物を着色性および着色異物試験に供した。試
験の結果を表2に示す。
【0081】水酸基含有芳香族化合物と1−ナフトール
類をアルデヒド類とそれぞれ単独で縮合せしめて混合し
た場合、スケール付着防止効果が低下し、さらに塩化ビ
ニル系重合体の成形物に着色異物が増加した。
【0082】比較例5 スケール付着防止剤をまったく塗布しない重合反応器に
ついて、スケール付着防止性試験(但しこの場合のみ、
1バッチ後のスケール量)に供すると共に、得られた塩
ビ系重合体の成形物を着色性および着色異物試験に供し
た。試験の結果を表2に示す。スケール付着防止剤をま
ったく塗布しない場合はスケール付着量が多いため、連
続で重合することができなかった。
【0083】
【表1】
【0084】上記表1において、各記号はそれぞれ下記
の化合物を示す。 A1:1−ナフトール A2:1,6−ジヒドロキシナフタレン A3:1,3−ジヒドロキシナフタレン B1:ピロガロール B2:石炭酸 B3:o−クレゾール B4:レソルシノール B5:p−ブチルフェノール B6:o−ヒロドキシビフェニル B7:2−メチルレゾルシノール B8:1,3ジヒドロキシ安息香酸オクチルエステル
(合成) B9:サリチル酸 B10:p−アミノフェノール F:ホルムアルデヒド37wt%水溶液 D:ベンズアルデヒド C:90%アセトアルデヒド液 Na:水酸化ナトリウム K:水酸化カリウム HCl:36%塩酸 P:リン酸 (試薬類はすべて和光純薬工業株式会社製を使用)
【0085】
【表2】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−60008(JP,A) 特開 平10−231302(JP,A) 特表2001−504889(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)式で示される水酸基含有芳香
    族化合物、1−ナフトール類及びアルデヒド類を縮合反
    応せしめて得られた縮合物を主成分とする皮膜により内
    壁が被覆されたことを特徴とする塩化ビニル系重合体を
    製造するための重合反応器。 【化1】 (但し、R1、R2は、ヒドロキシ基、炭素数が1〜8の
    アルキル基、ハロゲン、アルキル基部の炭素数が1〜8
    のアルコキシカルボニル基及びフェニル基より選ばれた
    同種又は異種の基であり、一方の基が水素であっても良
    く、且つ、ヒドロキシ基に対してオルト位及び/又はパ
    ラ位の少なくとも2箇所に置換基が無い構造を有す
    る。)
  2. 【請求項2】 請求項1において内壁に形成される被膜
    が、前記(1)式で示される水酸基含有芳香族化合物、
    1−ナフトール類及びアルデヒド類を縮合反応せしめて
    得られる縮合物のアルカリ性水溶液を塗布することによ
    り形成された、塩化ビニル系重合体を製造するための重
    合反応器。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかの重合反応器を
    使用して塩化ビニル系重合体の懸濁重合を行うことを特
    徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記(1)式で示される水酸基含有芳香
    族化合物、1−ナフトール類及びアルデヒド類を縮合反
    応せしめて得られる共縮合物のアルカリ性水溶液よりな
    ることを特徴とするスケール付着防止剤。
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