JP2734616B2 - 接点装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、回路遮断器や電磁接触器等の電気開閉器に
使用される接点装置に関する、 〔従来の技術〕 この種の接点装置は使用される電気開閉器において、
例えば短絡電流や過負荷電流等の過電流状態で接点を強
制的に開離し、回路遮断を行うことがある。

この過電流状態で接点を開極した場合、開離した接点
間にアーク電流が発生し、アーク電流を断ち切らない限
り回路遮断が行えないことがある。

そこで、消弧グリッドや磁気ヨーク等を用いてアーク
電流の引延し及び絞込みにより、アーク電圧を高め、迅
速にアーク電流を消滅させて回路遮断する構成が採用さ
れている。

しかしながら、消弧グリッドや磁気ヨーク等を用いる
には、それらの十分な配置空間が必要となり、それらの
配置空間が十分に確保できない場合には、消弧グリッド
や磁気ヨーク等の消弧能力の減少が余儀なくされて迅速
なアーク消弧が行うことが難しくなり、場合によっては
アーク電流が長時間接点間に存在する恐れがある。

この状態は、大きなアーク電圧を存在させつつアーク
電流が流れ続けることから、接点間での熱エネルギー増
大を招き、この熱エネルギーにより接点溶融や接点装置
周辺の絶縁不良等を発生させる問題が生じる。

したがって、上記の如き十分な空間が確保できない場
合でも確実な回路遮断を行う手段として、第４図乃至第
６図に示す如き、回路遮断器が提案された。

このものの接点装置１を除く回路遮断器の構成は、特
願昭63−73708号に記載のものと同等で、器体２の両側
に電源側端子装置３及び負荷側端子装置４を各極毎に装
備し、この電源側端子装置３側に配置された各極毎の接
点装置１と、この接点装置１に流れる短絡電流或いは過
負荷電流等の過電流を検出する負荷側端子装置４側に装
備された各極毎の過電流検出装置５と、器体２の上面よ
り突出させた操作ハンドル６の操作に連動して接点装置
１を開閉駆動すると共に接点装置１が閉極状態の時に過
電流検出装置５に応動して接点装置１を強制的に開極す
る各極連動駆動させる開閉機構部７とを収納している。

また、この接点装置１は、一側片に電源側端子装置３
を装備する例えば銅或いは銅合金の如き導電材料で構成
された固定接点板８に、固定接点板８よりも耐アーク性
の高い例えば銀或いは銀合金の如き導電材料で構成され
た固定接点９を固着すると共に固定接点９のみ突出させ
て表面に絶縁板10を被せ固定接点９の消耗を少なくして
いる。

また、固定接点９の端子装置３側には、排気バリア11
及び排気板12並びに絶縁対13が装備され、反対側には、
絶縁板13の先端が嵌まるＵ字型アークバリア14が装備さ
れて、このＵ字空間に編組線15にて異常電流検出装置５
に接続される可動接点板16を介在させている。

この可動接点板16は、例えば銅或いは銅合金の如き導
電材料で構成され、一端下面に可動接点板16よりも耐ア
ーク性の高い例えば銀或いは銀合金の如き導電材料で構
成された可動接点17が固定接点９に対向して固着され、
可動接点板16よりも高溶融温度の例えば鉄、ステンレス
等の導電材料で構成された電極板18が可動接点17に近接
若しくは当接させた状態で装備される。

尚、可動接点17及び電極板18の固定接点９に対する位
置関係は、接点９、17の閉極から開極に至る可動接点板
16の開極動作に伴って、固定接点９と可動接点17との開
離距離よりも固定接点９と電極板18との開離距離が逆転
して小さくなるように固定接点９と常に間隔をもって対
向する構成となっている。

また、可動接点板16は、その中央に枢支軸体19を装備
して開閉機構部７に作用されて回転軸部20を中心に回転
する各極連動用絶縁物製クロスバー21に回転自在に保持
させている。

さらに、この可動接点板16の他端にばね受けピン22を
設けてクロスバー21との間にばね23を縮設し、通常の開
閉状態では可動接点板16を接点圧力を付与するよう反時
計回りに付勢し、過電流発生時には電磁反発力で時計回
りに反転して接点開極し、クロスバー21の回転に伴って
元の位置に復帰させるようになっている。

この接点装置１の消弧動作は、接点９、17が閉極した
第６図（ａ）の如き状態で接点９、17間に過電流が流れ
ると、第６図（ｂ）のように電磁反発力で可動接点板16
とばね23との関係で反転し固定接点９から可動接点17が
開離すると同時に接点９、17間にアーク電流Ｉが流れ
る。

このアーク電流Ｉは、その可動接点板16自身の開極進
行に伴い徐々に開離距離が相対的に短くなる電極板18方
向へと広がり、可動接点17から電極板18に至る巾広い範
囲でアーク電流Ｉが流れる。

このときのアーク電圧は、アーク電流Ｉの広がりによ
り十分に高まることがなく、これに伴ってアーク電流Ｉ
とアーク電圧の積、すなわち空間に発生する熱エネルギ
ーは抑制される。

さらに、第６図（ｃ）のようにクロスバー21が開閉機
構部７の開極動作に伴い回転の始め、このクロスバー21
の回転に伴い可動接点板16が跳上り防止片24に当接して
元の反時計回り方向の状態に反転し、第６図（ｄ）の如
き開極状態となると共に電流が略零となる状態を迎えて
アーク電流Ｉは消滅し回路遮断が行われる。

また、この空間で熱エネルギーにより発生したアーク
ガスは、そのガス圧により排気バリア11を外部方向に押
し曲げ、排気板12の排気孔を通じて外部に排出される。

尚、上述した接点装置Ｉのアーク消弧動作は、可動接
点板16が反転動作する状態で述べたが、接点９、17間に
流れる電流の大きさによっては可動接点板16が反転する
ことなく上述の如きアーク電流Ｉが接点９、17間に流れ
ることもある。この場合も上述と同様、接点９、17間に
発生したアーク電流Ｉは電極板18方向へと広がり、可動
接点17から電極板18に至る巾広い範囲でアーク電流Ｉが
流れることとなる。

上述の如く、提案された回路遮断器は、接点9,17の開
閉時、固定接点９と可動接点17とのみが接触することと
なり固定接点９及び可動接点17間の電気的接触信頼性が
確保できるとともに、固定接点９に可動接点17が当接し
た閉極状態から開離する可動接点板16の開極動作に伴っ
て発生するアーク電流は、電極板18から発生せず、可動
接点17を介して電極板18にまで広げてアーク電圧の上昇
を抑制し、アーク電流Ｉとの積で生ずる熱エネルギーの
発生を抑さえて、アーク電流Ｉが略零の位置になるのを
待って、アーク電流Ｉを消弧することにより、十分な空
間が確保出来ない場合でも、確実な回路遮断を行えるよ
うにしたものである。

〔発明が解決しようとする課題〕 しかして、上述の接点装置は、電極板が固定接点への
可動接点の接触を阻止しないように可動接点の高さを電
極板の高さより高くするよう可動接点と電極板との対向
する部分に段さを設けているが、可動接点に発生したア
ーク電流を電極板にまで延ばした際に可動接点の電極板
側端部の温度上昇が極めて大きくなり、この温度上昇が
接点の溶融につながり、可動接点の消耗を早める結果と
なった。

また、一方では、可動接点板に形成した接点座に可動
接点を装備する際に、可動接点の精密な位置決めが必要
となり、固着作業に手間が掛かるものであった。

本発明は上記事由に鑑みてなしたもので、その目的と
するところは、可動接点の消耗を抑制し、併せて可動接
点の装備に必要な位置決め作業の簡素化を図った接点装
置の提供にある。

〔課題を解決するための手段〕

かかる課題を解決するために、固定接点に対向する可
動接点と、この可動接点を固着する接点座を形成した可
動接点板と、この可動接点板の開極動作に伴って前記固
定接点と可動接点との開離距離よりも固定接点側との距
離が逆転して小さくなるように前記接点座側の面に装備
すると共に前記接点座に対し立設する垂直面を設けて前
記固定接点と常に間隔をもって対向する電極板とで構成
し、前記可動接点板に前記電極板を装備した後で、前記
可動接点板の接点座に前記電極板の垂直面に側面を当接
させて前記可動接点を載置し、前記可動接点板に前記可
動接点を固着加工している。

〔作 用〕

上述の接点装置によれば、可動接点は電極板に当接し
た状態で固着作業が行われるから、可動接点と電極板と
の空間が著しく狭くなり、可動接点に発生したアーク電
流を電極板にまで延ばした際に大きくなる可動接点の電
極板側端部の温度上昇が電極板に伝導されて抑制され、
接点の溶融を少なくして、可動接点の消耗が抑制出来
る。また、可動接点は電極板に当接した状態で接点座に
載置されるから、可動接点の装備に必要な位置決め作業
の簡素化が図れる。

〔実施例〕

以下、本発明を一実施例として掲げた図面第１図乃至
第３図に基づき、上述した従来の技術と同一のものには
同符号を付して説明する。

すなわち、可動接点板16に、固定接点（図示せず）に
対向する可動接点17を装備する接点座25を形成すると共
に、この接点座25側の面に内側寸法L1よりも外側寸法L2
を大きくし外方向に広がる突起26を２ケ所の凹部27を設
けることにより形成している。

さらに、この突起26間で突起26に近接した位置に貫通
孔28を形成し、この貫通孔28にクロスバー（図示せず）
への枢支軸体19を挿入している。

しかも、電極板18に、外側寸法L3よりも内側寸法L4を
大きくし内方向に広がる形状とした溝29を可動接点板16
の２ケ所の凹部27に嵌まる２ケ所の突起30を設けて形成
し、この溝29に可動接点板16の突起26を嵌入している。

この可動接点板16への電極板18の装備は、接点座25側
の面に位置させ、可動接点板16の開極動作に伴って固定
接点（図示せず）と可動接点17との開離距離よりも固定
接点（図示せず）側との距離が逆転して小さくなるよう
に固定接点（図示せず）と常に間隔をもって対向した状
態で配設される。

また、電極板18の先端は、可動接点板16の接点座25に
対し立設する垂直面31となっている。

この垂直面31は、電極板18を可動接点板16に装備した
状態では接点座25よりも突出し、さらに可動接点17を装
備した状態では可動接点17よりも落込んだ高さとなって
いる。

しかも、この垂直面31は、接点座25に近接若しくは当
接した位置としている。

さらに、可動接点板16は、編組線15をスポット溶接し
て接合すると共に、ばね受けピン22を可動接点板16に形
成した貫通孔32に挿通固定する。

しかして、可動接点17及び電極板18並びに枢支軸体19
の可動接点板16への結合手順を以下説明する。

先ず、第３図の如き各部品状態から、可動接点板16の
突起26を電極板18の溝29に嵌入すると共に可動接点板16
の貫通孔28に枢支軸体19を挿入し可動接点板16に電極板
18及び枢支軸体19を位置決めする。

この位置決めされた状態から、貫通孔28縁を両側より
押圧変形して押圧窪み32を形成し、軸体19を貫通孔28の
縮みにより強固に固着し、また外向き、すなわち突起26
方向の伸びを発生させて突起26を膨らませ、この突起26
の膨らみにより電極板18の溝29への密着を良くして電極
板18の結合を強固に行ない、第２図の如き状態とする。

この電極板18及び枢支軸体19を可動接点板16に装備し
た状態から、可動接点板16の接点座25に電極板18の垂直
面31に側面33を当接させて可動接点17を載置する。

この可動接点17を位置決めして可動接点板16に載置し
た状態で、可動接点17を可動接点板16に固着し、第１図
の如き状態とする。

この固着方法は、可動接点17の接点座25への当接面を
溶融して接合する方法、ロー付け接合する方法等があ
る。

尚、可動接点板への編組線15及びばね受けピン22の装
備は実施例では、可動接点17の装備前に成したが、可動
接点17の装備後でもよい。

〔発明の効果〕

本発明の接点装置は上記の如く構成したので、可動接
点は電極板に当接した状態で固着作業が行われるから、
可動接点と電極板との空間が著しく狭くなり、可動接点
に発生したアーク電流を電極板にまで延ばした際に大き
くなる可動接点の電極板側端部の温度上昇が電極板に伝
導されて抑制され、接点の溶融を少なくして、可動接点
の消耗が抑制出来る。また、可動接点は電極板に当接し
た状態で接点座に載置されるから、可動接点の装備に必
要な位置決め作業の簡素化が図れる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の接点装置の一実施例を示す要部斜視
図、 第２図は第１図の接点装置の可動接点固着前の要部斜視
図、 第３図は第１図の接点装置の分解斜視図、 第４図は本発明の接点装置が適用され得る従来技術とし
て掲げた回路遮断器の断面正面図、 第５図は第４図の接点装置の要部断面斜視図、 第６図（ａ）乃至（ｄ）は第４図の接点装置の消弧作用
の各経過を示す断面正面図である。 １……接点装置、２……器体、3,4……端子装置、５…
…過電流検出装置、６……ハンドル、７……開閉機構
部、８……固定接点板、９……固定接点、15……編組
線、16……可動接点板、17……可動接点、18……電極
板、19……軸体、25……接点座、26……突起、28……貫
通孔、29……溝、30……貫通孔、31……垂直面、32……
押圧窪み、33……側面、Ｉ……アーク電流。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅田 昭信 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (72)発明者 岡崎 正起 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−173418（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定接点に対向する可動接点と、この可動
   接点を固着する接点座を形成した可動接点板と、この可
   動接点板の開極動作に伴って前記固定接点と可動接点と
   の開離距離よりも固定接点側との距離が逆転して小さく
   なるように前記接点座側の面に装備すると共に前記接点
   座に対し立設する垂直面を設けて前記固定接点と常に間
   隔をもって対向する電極板とで構成し、前記可動接点板
   に前記電極板を装備した後で、前記可動接点板の接点座
   に前記電極板の垂直面に側面を当接させて前記可動接点
   を載置し、前記可動接点板に前記可動接点を固着加工し
   た接点装置。