JP2729884B2 - 立体駐車場におけるパレット昇降装置 - Google Patents

立体駐車場におけるパレット昇降装置

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JP2729884B2
JP2729884B2 JP31414092A JP31414092A JP2729884B2 JP 2729884 B2 JP2729884 B2 JP 2729884B2 JP 31414092 A JP31414092 A JP 31414092A JP 31414092 A JP31414092 A JP 31414092A JP 2729884 B2 JP2729884 B2 JP 2729884B2
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米田  卓
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は立体駐車場におけるパレ
ット昇降装置に係り、詳しくは、複数列の駐車空間が各
段に形成されている多段式の立体駐車場におけるパレッ
ト昇降装置において、特に、パレットを上昇させた後の
昇降チェーンの垂れ下がりをなくすことができるととも
に、四段や五段といった中層の立体駐車場においても、
その最上段のパレットを昇降させることができるチェー
ン張架式のパレット昇降機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、上下を複数段にして各段に左右方
向へ並ぶ複数の駐車空間を確保した構造の立体駐車場が
建造されるようになってきている。このような多段式複
列駐車場においては、それが二段式である場合を例にし
て述べると、下段の駐車空間に車両を載せた状態で左右
へ横行させることができる下段パレットが設けられる一
方、上段の駐車空間には下段まで下降可能な上段パレッ
トが採用される。このような駐車設備においては、上段
駐車空間の上方から前後左右の四本の昇降チェーンを吊
下させ、それでもって上段パレットの四隅を支持するよ
うにしている。そして、一般的には、下段の駐車空間の
側方には余分なスペースが確保され、上段パレットに保
管された車両を出庫させる場合に、その直下に駐車して
いる下段パレットを側方へ退避させることができるよう
になっている。このような種類の駐車設備は、例えば実
公昭64−4992号公報に記載されている。これは、
二段式複列駐車設備の上部に位置する後部縦梁に設けた
昇降装置によって、支持スプロケットを通過して水平に
変向された昇降チェーンが、駆動スプロケットを介して
巻き上げまたは繰り出されることにより、上段パレット
を昇降させることができる。
【0003】その昇降チェーンの張架形態は、図22に
示される。パレット2K の左側の前後を吊る二条の昇降
チェーン8AK ,8CK は、上部に設置された枠体4K
に設けた支持スプロケット10K ,12K で支えられ、
二つの駆動スプロケット16K ,18K によって反転さ
れた後に、その両昇降チェーン8AK ,8CK の先端が
移動部材66Lで一体化されている。そして、その移動
部材66Lを駆動スプロケットとは反対の前部に位置す
るガイドスプロケット67Lに張架された引取りチェー
ン68Lの先端に接続し、そのガイドスプロケット67
Lで反転された引取りチェーン68Lの他端が、支持ス
プロケット10K と駆動スプロケット16K との間の昇
降チェーン8AK の途中に、連結具69Lを介して連結
固定されたものとなっている。なお、右側の前後を吊る
二条の昇降チェーン(図示せず)も同じ形態で張架され
ており、駆動スプロケット16K ,18K は図示しない
右側の駆動スプロケットとトルクシャフト15K で連結
され、そのトルクシャフト15K を介して同時に駆動さ
れるようになっている。したがって、移動部材66Lと
右側の図示しない移動部材とは駆動スプロケットとガイ
ドスプロケットとの間を移行することができ、その移行
間距離分だけパレットを昇降させることができる。加え
て、パレットを吊る昇降チェーンは、立体駐車場を形成
する枠体の前後の梁の近傍でほぼ水平に装着されること
になり、昇降チェーンの繰り出しや巻き上げ時における
チェーンの垂れ下がりなどが回避される。また、昇降チ
ェーンの張りを維持するためのカウンターウエイトも不
要となり、駐車設備の見栄えがよくなるとともに、車両
の出し入れや乗降動作にも差し支えが生じなくなる利点
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、市街地など
に建設される立体駐車場は、土地の確保に制約があるた
めに中層化や高層化が余儀なくされる。そのような多段
式の立体駐車設備の場合に昇降チェーンを使用した昇降
装置を採用する場合、昇降チェーンを長くしておく必要
がある。上記した昇降チェーンの張架形態においては、
移動部材の移行範囲は、駆動スプロケットとガイドスプ
ロケットとの間となる。一方、パレットの前後方向の長
さは、通常一台の車両を駐車させるに必要な程度である
ので、上記の移行長さは余り長く確保することができな
い。したがって、せいぜい二段もしくは三段の低層な立
体駐車場にしか昇降チェーン型式の昇降装置を採用する
ことができず、四段ないしは五段といった中層の設備に
は高価な他の型式を採用しなければならなくなる問題が
ある。本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その
目的は、少なくとも、四段ないしは五段程度の駐車空間
を備えた中層の立体駐車設備にも昇降チェーン式の昇降
装置の導入を可能にすること、もちろん、昇降チェーン
がパレットの昇降によって垂れ下がったりカウンターウ
エイトが必要となることがなく、車両の出し入れや乗降
を阻害したり見栄えを損なったりしないようにできるこ
と、を実現した立体駐車場におけるパレット昇降装置を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、出庫しようと
する車両が載せられたパレットを最下段まで昇降チェー
ンの繰り出しでもって下降させることができるようにな
っている立体駐車場のパレット昇降装置に適用される。
その特徴とするところは、図1ないし図3を参照して、
パレット2の左側2Lと右側2Rにあって、それぞれ前
後に離隔しかつ左右に少しずれた全部で四か所の吊持位
置h1 ,h2 ,h3 ,h4 に、昇降チェーン8A〜8D
が上方へ延びるように取りつけられる。その吊持位置h
1 ,h2 ,h3 ,h4 の上方で各昇降チェーン8A〜8
Dを前後方向における水平な同じ向きへ変向させるため
の支持スプロケット10〜13が、パレット2を吊り下
げる吊持体4に取りつけられている。水平方向に変向さ
れた同じ側に位置する二条の昇降チェーン8A,8Cを
反転させるための二つの昇降チェーン用スプロケット1
6,18を備える反転スプロケット体20L、および、
二条の昇降チェーン8B,8Dを反転させるための二つ
の昇降チェーン用スプロケット17,19を備える反転
スプロケット体20Rが、吊持体4の左側4Lおよび右
側4Rのそれぞれに取りつけられている。各反転スプロ
ケット体20L,20Rには、その二つの昇降チェーン
用スプロケット16,18間および昇降チェーン用スプ
ロケット17,19間に、エンドレスチェーン用スプロ
ケット21m,21nが備えられる。その各エンドレス
チェーン用スプロケット21m,21nから前後方向に
離隔した吊持体4の左側および右側の位置にアイドラー
スプロケット22L,22Rが配置される。エンドレス
チェーン用スプロケット21mを同軸に取りつけた反転
スプロケット体20Lとエンドレスチェーン用スプロケ
ット21nを同軸に取りつけた反転スプロケット体20
Rとは、同時に回転させるためのトルクシャフト15で
連結される。反転スプロケット体20L,20Rによっ
て反転された各二条の昇降チェーン8A,8Cおよび昇
降チェーン8B,8Dは、同じ長さだけ反転したその先
端部位において、チェーン連結具24L,24Rによ
り、昇降チェーン8A,8Cおよび昇降チェーン8B,
8Dの相互の左右の間隔Wを維持して一体化される。そ
のチェーン連結具24Lを介して、昇降チェーン8A,
8Cが、エンドレスチェーン用スプロケット21mとア
イドラースプロケット22Lとに張架したエンドレスチ
ェーン23Lに接続される一方、チェーン連結具24R
を介して、昇降チェーン8B,8Dが、エンドレスチェ
ーン用スプロケット21nとアイドラースプロケット2
2Rとに張架したエンドレスチェーン23Rに接続され
ている。そして、アイドラースプロケット22Lの左右
部位には、チェーン連結具24Lによって一体化された
二条の昇降チェーン8A,8Cを、その左右間隔Wを維
持して再反転させることができる昇降チェーンガイド2
6A,26Cが設けられる一方、アイドラースプロケッ
ト22Rの左右部位にも、チェーン連結具24Rによっ
て一体化された二条の昇降チェーン8B,8Dを、その
左右間隔を維持して再反転させることができる昇降チェ
ーンガイド26B,26Dがそれぞれ設けられる。その
結果、そのチェーン連結具24L,24Rによって一体
化された二条の昇降チェーン8A,8Cおよび昇降チェ
ーン8B,8Dの先端部位が、昇降チェーンガイド26
A,26Cおよび昇降チェーンガイド26B,26Dを
経て反転スプロケット体20L,20Rの位置する方向
へ移行できるようになっている。
【0006】
【作用】車両を例えば三段目の位置にあるパレット2に
入庫させるとき、空車状態にあるパレット2が最下段に
降ろされ、車両が載せられる。そのパレット3を上昇さ
せるためにトルクシャフト15が駆動されると、反転ス
プロケット体20L,20Rは同時に回転する。パレッ
ト2の左側2Lと右側2Rにおいては、それぞれ前後に
離隔しかつ左右に少しずれた全部で四か所の吊持位置h
1 ,h2 ,h3 ,h4 に取りつけた昇降チェーン8A,
8Cおよび昇降チェーン8B,8Dが、二つの昇降チェ
ーン用スプロケット16,18および昇降チェーン用ス
プロケット17,19によって引き上げられる。このと
き、昇降チェーン8A,8Cは支持スプロケット10,
12を介して、昇降チェーン8B,8Dは支持スプロケ
ット11,13を介して、吊持位置h1 ,h2 ,h3
4 の上方で前後方向における水平な同じ向きへ変向さ
れ、パレット2は水平を維持して上昇する。反転スプロ
ケット体20L,20Rの回転によりエンドレスチェー
ン用スプロケット21m,21nも回転し、その各エン
ドレスチェーン用スプロケット21m,21nと、その
スプロケット21m,21nから前後方向に離隔した吊
持体4の左側4Lおよび右側4Rの位置に設けたアイド
ラースプロケット22L,22Rとの間に張架されたエ
ンドレスチェーン23L,23Rも移動する。反転スプ
ロケット体20L,20Rによって反転された各二条の
昇降チェーン8A,8Cおよび昇降チェーン8B,8D
は、同じ長さだけ反転したその先端部位が、チェーン連
結具24L,24Rにより一体化され、それぞれのチェ
ーン連結具24L,24Rがエンドレスチェーン23
L,23Rに接続されているので、昇降チェーン8A,
8Cおよび昇降チェーン8B,8Dは、相互の左右間隔
Wを維持した状態で、アイドラースプロケット22L,
22Rに向けて移行する。
【0007】パレット2を所定の三段目まで上昇させる
ときは、チェーン連結具24L,24Rをエンドレスチ
ェーン用スプロケット21m,21nからアイドラース
プロケット22L,22Rまでの距離を移行させるだけ
十分である。しかし、四段目のパレット3(図4参照)
を上昇させるときには、チェーン連結具24L,24R
がエンドレスチェーン用スプロケット21m,21nか
らアイドラースプロケット22L,22Rまでの距離を
移行しただけでは不足となる。この場合、昇降チェーン
8A,8Cおよび昇降チェーン8B,8Dの先端部位が
アイドラースプロケット22L,22Rを越えて再反転
される。チェーン連結具24L,24Rにより一体化さ
れている昇降チェーン8A,8Cおよび昇降チェーン8
B,8Dは、アイドラースプロケット22L,22Rの
左右部位に設けられた昇降チェーンガイド26A,26
Cおよび昇降チェーンガイド26B,26Dによって案
内され、反転スプロケット体20L,20Rに向けて移
行することができる。図面には表されていないが、五段
目のパレットを上昇させるときには、アイドラースプロ
ケット22L,22Rを経た後のチェーン連結具24
L,24Rを、反転スプロケット体20L,20Rの近
くまで移行させればよい。この間に引き上げられた昇降
チェーン8A,8Cおよび昇降チェーン8B,8Dは、
パレット2,3の上方空間で移行するエンドレスチェー
ン23L,24Rとともに移行するだけであり、人目に
触れることもほとんどなく、見栄えのよいものとなる。
一方、出庫しようとする車両が載っている最上段のパレ
ット3やそれ以下の段のパレット2を最下段まで下降さ
せるときは、トルクシャフト15が逆回転される。チェ
ーン連結具24L,24Rが上記とは逆の動きとなり、
すなわち、アイドラースプロケット22L,22Rおよ
び昇降チェーンガイド26A〜26Dを逆にたどって反
転スプロケット体20L,20Rの位置する方向へ移行
し、昇降チェーン8A〜8Dが繰り出される。
【0008】
【実施例】以下に、実施例を示した図面を参照しなが
ら、本発明を詳細に説明する。図5は本発明のパレット
昇降装置が適用される立体駐車場60の前面図、図6は
その側面図、図7はその平面図である。これには、上下
に形成された四段の駐車空間61,62,63,64が
設けられ、それぞれの空間には、車両を載せたまま昇降
することができるパレットが左右に並ぶようにして複数
基配置され、出庫しようとする車両が載せられたパレッ
トを最下段まで昇降チェーンの繰り出しでもって下降さ
せることができるようになっている。そのパレットは、
最下段,二段目,三段目の駐車空間61,62,63に
おいて車両を載せた状態もしくは空の状態で横行可能と
されている。したがって、最上段,三段目,二段目の駐
車空間64,63,62から出庫するとき、その直下の
駐車空間63,62,61に位置しているパレット2,
2,1をいずれかの方向へ横行させると、各段に昇降用
の一つの空間63a,62a,61aが確保されるよう
になっている。そして、出庫しようとする車両が載せら
れたパレット3,2,2を最下段まで昇降チェーン8,
8(図6参照)の繰り出しでもって下降させることがで
きる昇降装置が、最上段と三段目と二段目に設置され
る。この立体駐車場60は、6本の柱73,73と、上
部の左右梁74,74および前後梁75,75と、後述
するレールの敷設された駐車空間62,63における左
右梁76,76,77,77とにより骨組が形成されて
いる。そして、地上の入出庫口65に臨む最下段の駐車
空間61においてのみ、車両の出し入れが可能となって
いる。
【0009】これらの各駐車空間61〜64のうち二段
目,三段目,最上段の空間62〜64には、パレット
2,3を昇降させるための装置を搭載した吊持体4,5
が採用される。この吊持体4,5は剛性の高い枠体であ
ればよく、二段目および三段目の駐車空間62,63に
おいては横行可能な枠組構造の吊持枠体4(後述する図
2参照)が採用され、最上段の駐車空間64において
は、左右梁74,74に固定された吊持枠体5となって
いる。なお、左右梁74,74の上にアッパーフレーム
78が取りつけられる場合には、最上段の吊持体5をそ
のアッパーフレーム78自体に形成させるようにするこ
ともできる。最上段の駐車空間64においては、図5に
示すように、吊持枠体5から吊り下げられた左右に並ぶ
4基の昇降するパレット3A〜3Dがあり、それぞれに
車両90〜93を駐車できるようにしている。二段目の
駐車空間62および三段目の駐車空間63には、左右梁
76,76,77,77上を横行する吊持枠体4,4に
吊り下げられて昇降する各3基のパレット2A〜2C、
2D〜2Fがあり、それぞれに車両84〜86、87〜
89を駐車させることができる。そして、最下段の駐車
空間61の床面61Aには横行可能な3基のパレット1
A〜1Cが設けられ、それぞれに車両81〜83が載せ
られ、合計13台が駐車できるようになっている。
【0010】ところで、二段目の駐車空間62および三
段目の駐車空間63に設置される各パレット2は、図2
および図3に示す左側2Lと右側2Rに配置した断面が
C形に近い縦桁2a,2b(詳しくは後述する図8参
照)と、入出庫口65の位置する前面部や背後部72寄
りに配置した横桁2c,2dとで形成される枠体、およ
び、その枠体に張られた連続する台形を形成した波底板
2mから構成される。なお、図2は立体駐車場の中段す
なわち二段目の駐車空間62または三段目の駐車空間6
3に設置されたパレット2が上昇したときの側面図であ
り、図3はその平面図を示している。ちなみに、最上段
の駐車空間64に設置されるパレット3もほとんど同じ
構成であり、図4にはそのパレット3が上昇したときの
側面図が表されている。そのパレット3を構成する縦
桁,横桁や波底板などには、3なる符号を頭に付して表
されている。このようなパレット2,3を、以下にパレ
ット2の場合を例にして、図2および図3をもとに説明
する。縦桁2a,2bの外側面にはチェーン吊り材7,
7が取りつけられ、前後に離隔しかつ左右に少しずれた
吊持位置h1 ,h3 および吊持位置h2 ,h4 にはボル
トおよびナットよりなる取付部材9,9を介して、昇降
チェーン8A〜8Dの先端がそれぞれ独立して取りつけ
られ、その昇降チェーンが上方へ延びるように設けられ
ている。これの詳細は図8に表されている。
【0011】一方、吊持枠体4は、図3に示す左側4L
と右側4Rに配置した断面がC字状の縦桁4a,4b
(詳しくは後述する図11参照)と、入出庫口65の位
置する前面部や背後部72に配置したアングル材である
横桁4c,4dとで構成された枠体となっている。そし
て、上述したパレット2の吊持位置h1 ,h2 ,h3
4 から真っ直ぐに立ち上がってくる昇降チェーン8A
〜8Dを水平に後方へ変向させるための支持スプロケッ
ト10と12,11と13が、縦桁4a,4bの内外面
に一体化した取付板材10a,10a〜13a,13a
を介して、その間に全部で四か所に取りつけられてい
る。なお、左側の前後の支持スプロケット10,12と
昇降チェーン8A,8Cについては、その設置関係が図
2および模式的に示した図1に明瞭に表されている。本
例では、左側4Lにおいて、パレット2の前部の吊持位
置h1 から延びる昇降チェーン8Aを張架する支持スプ
ロケット10が、後部側の吊持位置h3 から延びる昇降
チェーン8Cを張架する支持スプロケット12よりも左
方に少しずれて配置されている(図1参照)。右側4R
においても、長い昇降チェーン8Bを張架する支持スプ
ロケット11が、短い昇降チェーン8Dを張架する支持
スプロケット13よりも右方に配置され、同じ側に位置
する二条の昇降チェーンの干渉が生じないように配慮さ
れている。上記した左側4Lの支持スプロケット10と
右側4Rの支持スプロケット11とは同一の構造であ
り、また、支持スプロケット12と支持スプロケット1
3も同じである。例えば支持スプロケット10の構造を
拡大して示した図9と図2のX−X線矢視断面図である
図10とを参照しながら説明する。この支持スプロケッ
ト10は、抜止め材10hを介して取付板材10a,1
0aに回転しないように固定された固定軸10bと、ス
ペーサ10c,10cを介して固定軸10bに位置決め
されたベアリング10dと、そのベアリング10dが内
挿されている回転可能なスプロケット本体10Aとより
なる。そして、後述する反転スプロケット体20L(図
1参照)が正逆転駆動されたときの昇降チェーン8Aの
移動に伴って、支持スプロケット10が回転するように
なっている。なお、図10中の30はチェーンカバーで
あり、支持スプロケット10は縦桁4aの中にあって、
雨などがかからないように配慮されている。
【0012】図3に示した左側4Lの後部において、縦
桁4aと横桁4dとが交差するか所には、図11のよう
に縦桁4aの上面に固定されて内方へ延びる板材とL形
材とよりなる架台用部材14aが設けられ、それに昇降
チェーン8を駆動するためのギヤードモータ14の減速
部14Bがボルトで固定され、モータ部14Aは縦桁4
aの内側上方に位置する一方、減速部14Bの下部に内
蔵した出力歯車(図示せず)は、左右に延びるトルクシ
ャフト15に一体化されている。さらに、縦桁4aの内
側面に取りつけられた支持部材15Aの内部には軸受
(図示せず)が設けられる一方、右側4Rの後部におけ
る縦桁4bの内側面に設けた支持部材15Bの内部にも
軸受が介装され、両軸受によってトルクシャフト15が
支承されている。また、左側4Lの縦桁4a内へ突出し
たトルクシャフト15の端部には、水平に変向された後
の二条の昇降チェーン8A,8Cを180度反転させる
反転スプロケット体20Lが装着される。そして、図1
に示すように、この反転スプロケット体20Lには、左
右に並ぶ同一径の昇降チェーン用スプロケット16,1
8があり、その間には、左側4Lの後述するエンドレス
チェーン23Lが張架されるエンドレスチェーン用スプ
ロケット21mが同軸状にほぼ同じ外径を有して取りつ
けられ、三つのスプロケットが同時に正転または逆転さ
れるようになっている。なお、右側4Rの縦桁4b内に
突出したトルクシャフト15の端部にも、水平に変向さ
れた後の右側4Rに位置する二条の昇降チェーン8B,
8D(図11参照)を180度反転させる昇降チェーン
用スプロケット17,19が装着されている。これら左
右に並ぶ二条の昇降チェーン用スプロケット17,19
の間にもエンドレスチェーン23Rを張架するエンドレ
スチェーン用スプロケット21nが同様に取りつけら
れ、ギヤードモータ14を駆動すると、トルクシャフト
15を介して三つのスプロケットからなる反転スプロケ
ット体20Lが左側の三つのスプロケットからなる反転
スプロケット体20Rとともに正逆転される。その結
果、昇降チェーン8A〜8Dが同じ速度で移行され、図
3に示した吊持位置h1 ,h2 ,h3 ,h4 が水平に保
持された状態で、パレット2が上昇または下降すること
ができる。なお、本例では、水平姿勢となった合計四条
の昇降チェーン8A〜8Dおよび二条のエンドレスチェ
ーン23L,23Rは、それぞれ縦桁4a,4b内に収
納された状態で移行する。
【0013】上記したようにして、パレット2を上昇さ
せる場合、昇降チェーン用スプロケット16〜19によ
って上方側へ反転して繰り出される各二条の昇降チェー
ン8A,8Cおよび昇降チェーン8B,8Dは、その先
端が横桁4cに向かうほぼ水平状態とされる。そして、
例えば吊持枠体4の左側4Lにおいて、横桁4cと縦桁
4aとが交差する位置の近傍には、すなわち、エンドレ
スチェーン用スプロケット21mから前方に離隔した吊
持枠体4にはアイドラースプロケット22Lが設けら
れ、これと前述したエンドレスチェーン用スプロケット
21mとには、図1に簡略化して示すように、エンドレ
スチェーン23Lが張架される。図3のXII −XII 線矢
視である図12およびその側面を示す図13をもとにし
て、右側4Rのアイドラースプロケット22Rとその周
辺を説明する。アイドラースプロケット22Rは、破線
で示すベアリング22n,22nを介して、縦桁4bの
内側面から挿入した軸体22aの周囲で回転するドラム
22pに取りつけられ、エンドレスチェーン23Rの移
行に伴って回転するようになっている。なお、軸体22
aは、その先端部が取付板材22bを貫通して縦桁4b
の内部へ延ばされ固定されている。このような構成は左
側4Lのアイドラースプロケット22Lの周辺において
も同じである。なお、アイドラースプロケット22L,
22Rのピッチサークル径を、エンドレスチェーン用ス
プロケット21m,21nのそれの約1/2とし、か
つ、張架されたエンドレスチェーン23L,23Rの上
方側がエンドレスチェーン用スプロケット21m,21
nによって移行するとき水平となるように、アイドラー
スプロケット22L,22Rの軸体22a,22aを位
置決めしておく。下方側へ移行した当初のエンドレスチ
ェーン23L,23Rはエンドレスチェーン用スプロケ
ット21m,21nの近傍に比べれば少し上方に位置す
ることになり(図1参照)、支持スプロケット10,1
1により水平に変向されて反転スプロケット体20L,
20Rへ移行する昇降チェーン8A,8C(図10にお
ける二点鎖線参照)との干渉を避けるための空間が確保
されやすくなる
【0014】上記したエンドレスチェーン23L,23
Rのテンションを調整することができるように、アイド
ラースプロケット22L,22Rを回転自在に支持して
いる軸体22a,22aを、以下のような構造によって
前後方向に変位させた後に、ボルト止めするようにして
いる。上記の図12および図13において、縦桁4bの
内側に突出する軸体22aの先端部は、縦桁4bに一体
化した板材4eの長孔4fに挿入され、さらに、取付板
材22bに設けた孔22cにも挿嵌されている。その取
付板材22bに垂直に一体化した調整板材22dおよび
縦桁4bから内方へ張り出されたブラケット4gには、
前後方向へ延びる調整ボルト22fが挿通される。すな
わち、調整ボルト22fの先端のねじ部が調整板材22
dの前後に固定した二つのナット22g,22gに螺合
され、調整ボルト22fを右または左に回すと、調整板
材22dの動きにより軸体22aが長孔4fに沿って前
後動する。アイドラースプロケット22Rが前方または
後方へ移動され、エンドレスチェーン23Rに適度の緊
張を与えることができるようになっている。このように
して調整のために移動された後の取付板材22bを板材
4eに固定するため、二本のボルト22i,22iが使
用され、板材4eに形成した長孔4h,4hに挿通され
るとともに取付板材22bに設けた孔にも挿嵌される。
ナットでもって締め付ければ、位置調整後のアイドラー
スプロケット22Rの軸体22aが固定される。なお、
左側4Lのアイドラースプロケット22L(図1参照)
も、右側4Rのアイドラースプロケット22Rと同じ構
成で、軸体22aとともに前後方向に位置を変えて、エ
ンドレスチェーン23Lの張力を調整することができ
る。
【0015】ところで、パレット2が上昇して図2に示
す状態となる際には、エンドレスチェーン用スプロケッ
ト21mから左側4Lの縦桁4a(図3参照)内で上方
側に繰り出されるエンドレスチェーン23Lが、縦桁4
a内の昇降チェーン用スプロケット16,18から上方
側へ繰り出されてくる昇降チェーン8A,8Cを、横桁
4cに向けて牽引するようになっている。そのために、
図1に示すように、反転スプロケット体20Lによって
反転された二条の昇降チェーン8A,8Cは、同じ長さ
だけ反転した先端部位において、エンドレスチェーン2
3Lとチェーン連結具24Lにより、昇降チェーン8
A,8Cの左右の間隔Wを維持して接続されている。な
お、その間隔Wは、吊持位置h1 ,h3 の左右のずれ量
と一般的には等しくされている。右側4Rの縦桁4b内
においても、同様であり、図14に示すように、エンド
レスチェーン23Rが昇降チェーン8B,8Dを横桁4
cに向けて牽引することができるように、二条の昇降チ
ェーン8B,8Dとエンドレスチェーン23Rとがチェ
ーン連結具24Rで接続されている。なお、この図14
は、パレット2が上昇し終わったときに、チェーン連結
具24L,24Rがアイドラースプロケット22L,2
2Rの手前まで移行している場合を示している。しか
し、チェーン連結具24L,24Rによって一体化され
た二条の昇降チェーン8A,8Cおよび昇降チェーン8
B,8Dの先端部位は、後述する昇降チェーンガイド2
6A,26C(図1参照)および昇降チェーンガイド2
6B,26D(図3参照)を経て下方側へ回り、反転ス
プロケット体20L,20Rの位置する方向へ移動する
ことができるようにもなっている。エンドレスチェーン
用スプロケット21mとアイドラースプロケット22L
との軸間距離は、車両の長さにほぼ等しいかそれより少
し長い約5メートルを確保することができるので、五段
の立体駐車場の場合の各段のパレットの上下間隔を例え
ば2.3メートルとすれば、チェーン連結具24L,2
4Rをエンドレスチェーン23L,23Rの上方側の後
部からアイドラースプロケット12L,22Rを経て下
方側の後部近くまで移動させる間に、五段目のパレット
の下降距離である9.2メートルを十分に確保すること
ができる。
【0016】上記のチェーン連結具24Lは、図15な
いし図17に示す構造が採用されている。昇降チェーン
8A,8Cの先端部位にはチェーンローラのダミーとし
てのスペーサ27B,27Bが取りつけられ、それにリ
ンクプレート8aを介してほぼZ字状のフレーム板27
A,27Aがリンクピン8bによって対面する姿勢で枢
支されている。そのフレーム板27A,27Aの先端に
おいて平行となる部分は、スペーサ27D,27Dを挟
んで二本のピン27C,27Cによって一体化されてい
る。そして、そのピン27C,27Cはエンドレスチェ
ーン23Lのリンクピンとして機能するような間隔で配
置され、上記のスペーサ27D,27Dがエンドレスチ
ェーン23Lのリンクプレートを形成するように取りつ
けられている。このようにして、昇降チェーン8A,8
Cは左右に一定の間隔Wを保持してエンドレスチェーン
23Lに接続される。なお、右側4Rのチェーン連結具
24Rも同じ構造であり、左側4Lの二条の昇降チェー
ン8A,8Cが反転スプロケット体20Lで反転された
その先端部位と同じ位置で昇降チェーン8B,8Dとエ
ンドレスチェーン23Rとが接続されている。このよう
にして接続された二条の昇降チェーンとエンドレスチェ
ーンは同時に移行することができるが、その移行の間に
無用の垂れ下がりや捩じれの生じるのを防止するため
に、図2に破線で示したごとくチェーンサポートレール
25A〜25Cが設置される。これらの詳細は図10お
よび図18に示される。支持スプロケット10の位置す
るところでは、図10に示す縦桁4aの内部にL字形断
面のチェーンサポートレール25Aが設けられ、その上
面25aに左右に並ぶ昇降チェーン8A,8Cの下面が
接触する。そして、昇降チェーン8A,8Cの間に挟ま
れたエンドレスチェーン23Lは宙に浮いた恰好となっ
て、昇降チェーン8A,8Cの左右に水平な姿勢が維持
される。図2に示した支持スプロケット10,12間に
位置するチェーンサポートレール25Bも、図18に示
す支持スプロケット12の位置におけるチェーンサポー
トレール25Cも、上記と同じ形態で取りつけられてい
る。このように水平姿勢を保持して、図13に示すアイ
ドラースプロケット22Rに移行してくる三条のチェー
ン8B,8D,23Rのうち、昇降チェーン8B,8D
は、アイドラースプロケット22Rに一体化したドラム
22pの左右部位に形成される昇降チェーンガイド26
B,26Dの外周面に接触しながら再反転する。この昇
降チェーンガイド26B,26Dは、そのときの反転姿
勢を保持するとともに、その後に反転スプロケット体2
0Rの位置する方向へ昇降チェーン8B,8Dが円滑に
移行するのを案内する。
【0017】上記の昇降チェーンガイド26B,26D
は図示したようなドラム状でもよいし溝付きプーリのよ
うなものでもよい。また、昇降チェーン8B,8Dのリ
ンクプレートのリンクピン間距離がエンドレスチェーン
23Rのそれと同じであるなら、昇降チェーン8B,8
Dを張架させることができるスプロケットのようなもの
を採用してもよい。要するに、エンドレスチェーン23
Rがアイドラースプロケット22Rを通過するとき、昇
降チェーン8B,8Dも同時に反転させることができる
ようになっていればよい。なお、左側4Lのエンドレス
チェーン23Lを例にして述べれば、図10に示したよ
うに、支持スプロケット10の近傍では、エンドレスチ
ェーン23Lの下方側で牽引される二点鎖線で示した昇
降チェーン8A,8Cと、支持スプロケット10から反
転スプロケット体20Lに向かう昇降チェーン8Aとは
前述した理由により大きく離されている。しかし、支持
スプロケット12の近傍では図18に示すように両者が
接近してくるので、その干渉を避けるために、前記した
チェーンサポートレール25Cの下方に別のチェーンサ
ポートレール25Dが設けられている。図3に示す右側
4Rの横桁4b内を移動する二条の昇降チェーン8B,
8Dのためにも、アイドラースプロケット22Rの左右
に昇降チェーンガイド26B,26Dが設けられ、同様
にしてチェーンサポートレール25A〜25Dが配置さ
れる。
【0018】一方、図2において、吊持枠体4は、二段
目の駐車空間62における左右梁76,76(図5参
照)や三段目の駐車空間63における左右梁77,77
に沿って横方向へ移動可能としているので、吊持枠体4
の下面の右後部には、ギヤードモータ31と、これによ
って回転される駆動車輪32Aとが設けられている。そ
して、吊持枠体4の下面の図3に示す左後部や左前部や
右前部の三か所にも横行車輪32B,32C,32Dが
従動回転可能に取りつけられている。前部に位置する横
行車輪32C,32Dは円板状であって、平らなレール
34B上を走行させるようにしているが、後部に位置す
る駆動車輪32Aと横行車輪32Bとは、図19および
図20に拡大して表されているようにV形溝を有し、三
角状となるように配置した山形鋼のレール34A上を走
行し、吊持枠体4の蛇行を防止するように配慮されてい
る。ちなみに、吊持枠体4を構成する横桁4a,4bの
外面の前後端位置となる四か所に横行用ストッパ29
(図3参照)が取りつけられ、吊持枠体4が横行を終え
たときに緩衝部材(図示せず)に当接するなどして衝撃
を緩和できるようになっている。また、図4に示すよう
に、最上段の駐車空間64に設置されるパレット3は、
三段目の駐車空間63や二段目の駐車空間62における
パレット2と同一構造とされる。しかし、そのパレット
3を横行させる必要はないので、左右梁74,74に載
せられている吊持枠体5は、横行のための車輪,その駆
動装置やストッパを有しない構成とされる。なお、縦桁
5aは、図2の縦桁4aとほぼ同一構造であるがやや長
くされている点が異なるだけで、前部の横桁5cや後部
の横桁5dとともに枠体が形成されている。その他の部
材については頭に5を付した符号で図2と同じ要領で表
されている。
【0019】ところで、最下段の駐車空間61に設置さ
れる横行自在なパレット1は、その左側面を表す図21
に示されているように、床面61Aに形成したピット6
1Bに配置される。これは、上記した昇降自在なパレッ
ト2,3と同じく波底板1mが枠体に張りつけられたも
のとなっているが、昇降させる必要がないので昇降チェ
ーンは取りつけられていない。しかし、パレット1自体
は横行させる必要があるために、次に述べる横行手段3
6が備えられている。なお、ピット61Bの底面の前部
には平らなレール37Bが、また、後部には山形鋼で形
成した三角状の二本のレール37A,37Aが敷設さ
れ、それぞれの上面や頂部はピット61Bの底面と同一
レベルとなるように設置されている。したがって、上段
のパレット2,3が下降してピット61Bに入ると、そ
れらの波底板2m,3mの上面が床面61Aとほぼ同じ
高さとなって車両の入出庫に差し支えがないようにされ
ている。パレット1の横行手段36は、背後部72に装
着したギヤードモータ44と、その駆動軸44aに取り
つけたV字状の溝を有する二つの駆動車輪45A,45
Aと、前部に位置する従動車輪45Bとから構成され
る。なお、図には表れていない右後部の車輪もV字状の
溝を有する同じ形状とされ、パレット1の蛇行が生じな
いようにされている。
【0020】このように構成した立体駐車場におけるパ
レット昇降装置は、五段または本例のように四段となる
中層の多段式立体駐車場に適用することができる一方、
立体駐車場60へ車両84〜93を一台ずつ入出庫させ
るためにパレット2,3を昇降するとき、昇降チェーン
8が吊持枠体4,5から垂れ下がることがなく見栄えが
よくなるとともに、乗降者や車両に触れることもなく、
次のようにして円滑に昇降させることができる。図5に
示す三段目の駐車空間63のパレット2Dに車両87を
駐車させる場合を述べる。まず、パレット1A上に車両
81があるなしにかかわらず、パレット1Aを図示の位
置から空間61aへ横行させる。そのとき、ギヤードモ
ータ44(図21参照)が駆動され、レール37A,3
7Bに沿ってパレット1Aを移動させる。図示しないリ
ミットスイッチが動作するとギヤードモータ44が止め
られ、パレット1Aは停止する。さらに、パレット2A
上に車両84があるなしにかかわらず、パレット2Aを
図示の位置から空間62aへ横行させ、パレット2Dの
直下に新しい昇降空間を確保する。その場合、パレット
2Aのギヤードモータ31(図19参照)を駆動して、
レール34A,34Bに沿ってパレット2Aを移動させ
る。
【0021】その状態で、パレット2Dを吊持する吊持
枠体4に設けたギヤードモータ14(図2参照)を逆回
転させ、モータ部14A,減速部14Bを介してトルク
シャフト15を逆回転させる。左右の昇降チェーン用ス
プロケット16〜19および左右のエンドレスチェーン
用スプロケット21m,21n(図11参照)が同時に
逆回転され、左右の昇降チェーン8A〜8Dの移行を介
して支持スプロケット10〜13も逆回転される。一
方、左右のエンドレスチェーン用スプロケット21m,
21nと、左右のアイドラースプロケット22L,22
Rとに張架されたエンドレスチェーン23L,23Rの
上方側が水平方向の矢印M(図14参照)方向へ逆移動
する。そして、チェーン連結具24L,24Rを介し
て、エンドレスチェーン23Lに接続した左側4Lの昇
降チェーン8A,8Cや他方のエンドレスチェーン23
Rに接続された右側4Rの昇降チェーン8B,8Dは、
逆回転する反転スプロケット体20L,20Rを介して
移行するエンドレスチェーン23L,23Rによって牽
引される。そのとき、矢印M方向へ逆移動する左右の昇
降チェーン8A〜8Dは、縦桁4a,4bの内部に形成
されたチェーンサポートレール25A〜25Cなどの上
面25a(図10および図18参照)上で摺動しなが
ら、左右方向に水平な姿勢を維持して円滑に移行され
る。
【0022】いずれの昇降チェーン8A〜8Dも同じ長
さだけ支持スプロケット10〜13から繰り出され、四
か所の吊持位置h1 ,h2 ,h3 ,h4 で支えられたパ
レット2Dが、水平姿勢を維持しながら下降する。その
パレット2Dがピット61Bに降ろされると、図示しな
いリミットスイッチなどの動作によって、ギヤードモー
タ14の回転が停止され、パレット2Dの上面が床面6
1Aとほぼ同一レベルにされる。この状態で、前面の入
出庫口65から車両87をパレット2Dのタイヤストッ
パ(図示せず)に当たるまで進入させ、車両のハンドブ
レーキを引いておく。そこで、ギヤードモータ14を正
回転させると、トルクシャフト15の回転によって反転
スプロケット体20L,20Rが同時に正転する。昇降
チェーン8A,8Cや昇降チェーン8B,8Dは、支持
スプロケット10〜13を介して同等長さ上昇される。
昇降チェーン用スプロケット16〜19で反転した昇降
チェーン8A,8Cや昇降チェーン8B,8Dは、チェ
ーン連結具24A,24Bを介して接続されたエンドレ
スチェーン23L,23Rによっても水平方向である矢
印N方向(図14参照)へ牽引されながら前方へ移行す
る。三段目の駐車空間63に到達するとパレット2Dの
上昇が停止され、図14に示すように、左右のチェーン
連結具24A,24Bはともに左右のアイドラースプロ
ケット22L,22Rの手前近傍で停止する。四段目の
パレット3の場合には、昇降チェーン8A〜8Dが、ア
イドラースプロケット22L,22Rの左右側に形成さ
れた昇降チェーンガイド26A〜26Dの外周面に沿っ
て左右方向の水平姿勢を維持しながら上方側から下方側
へ円滑に再反転し、反転スプロケット体20L,20R
に向かってさらに移行したところで停止される。五段目
が設けられている場合には、その昇降チェーンは反転ス
プロケット体の極めて近くまで移行する。いずれにして
も、昇降チェーンガイド26A〜26Dで再反転された
昇降チェーン8A,8Bは、支持スプロケット12,1
4の近くまでくると、チェーンサポートレール25D
(図18参照)によって、支持スプロケット10,11
で変向された昇降チェーン8A,8Bとの接触が回避さ
れる。本例では、前述したようにアイドラースプロケッ
ト22L,22Rの径がエンドレスチェーン用スプロケ
ット21m,21nの径の半分とされているので、支持
スプロケット10,11の近傍では、その位置で水平に
変向された昇降チェーン8A,8Bと再反転してきた昇
降チェーン8A,8Bとが接触することはない(図10
参照)。しかし、支持スプロケット10,11の位置す
るか所においてもチェーンサポートレール25D(図1
8参照)のようなレールを設けるなどすれば、アイドラ
ースプロケット22L,22Rの径をエンドレスチェー
ン用スプロケット21m,21nの径と同じ程度にして
おいても差し支えはない。なお、図5のような状態にあ
る場合に車両87を降ろすときは、最下段のパレット1
Aを横行させることなく、パレット2Dを空間63aへ
横行させてから下降するようにしてもよいことは述べる
までもない。パレット2Dを横行させるときにはギヤー
ドモータ31(図2参照)が駆動され、駆動車輪32A
と従動車輪32B〜32D(図3参照)でもって、レー
ル34A,34Bを走行させることができる。ちなみ
に、最上段以外のいずれのパレット2,1もパレット一
基分の距離を横行するだけであり、その移動のためのシ
ーケンス制御は複雑なものが要求されることはない。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、二条の昇降チェーンは
ローラチェーン連結具を介してエンドレスチェーンに牽
引されて移行し、かつ、その範囲は、反転スプロケット
体の位置からアイドラースプロケットを越えて再び反転
スプロケット体の位置へ戻ってくるまで許容される。し
たがって、例えば五段まである中層の立体駐車場におけ
る最上段のパレットをも、昇降チェーンによって水平な
状態を保って支えながら最下段まで下降させることがで
き、立体駐車設備の多段化の促進が図られる。加えて、
昇降チェーンはパレットの上方に位置する吊持体の梁に
沿って収納する形態とすることができ、引き上げられた
昇降チェーンが人目につきにくくなって、立体駐車設備
の美観の向上も実現する。もちろん、昇降チェーンの張
りを与えるためのカウンターウエイトなども必要でなく
なり、駐車中の車両の周囲に目ざわりとなるものがなく
なり、見栄えが向上し、かつ、乗降を妨げるようなこと
も車両に設備部品が触れるといったこともなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を分かりやすくした昇降チェー
ン式昇降装置の左側のみの模式的な立体図。
【図2】 本発明に係るパレット昇降装置を構成する吊
持体とパレットとの一例であって、最上段でないパレッ
トが最も上昇したときの側面図。
【図3】 図2の III−III 線矢視図。
【図4】 最上段の吊持体とパレットとの一例であっ
て、パレットが最も上昇したときの側面図。
【図5】 本発明が適用される立体駐車場の一例の前面
図。
【図6】 図5のVI−VI線矢視図。
【図7】 図6の VII−VII 線矢視図。
【図8】 図2のVIII−VIII線矢視拡大図。
【図9】 図3のIX−IX線矢視図。
【図10】 図2のX−X線矢視断面図。
【図11】 図3のXI−XI線矢視図。
【図12】 図3の XII−XII 線矢視図。
【図13】 図12のXIII−XIII線矢視図。
【図14】 三段目のパレットが上昇したときの吊持体
における昇降チェーンおよびエンドレスチェーンの張架
状態の全体斜視図。
【図15】 チェーン連結具により二条の昇降チェーン
をエンドレスチェーンに接続した状態の平面図。
【図16】 図15の XVI−XVI 線矢視図。
【図17】 図15のXVII−XVII線矢視図。
【図18】 図2の XVIII−XVIII 線矢視断面図。
【図19】 図3の XIX−XIX 線矢視図。
【図20】 図3のXX−XX線矢視図。
【図21】 最下段のパレットの側面図。
【図22】 先行技術における昇降チェーン式昇降装置
の模式的立体図。
【符号の説明】
1,1A〜1C…最下段のパレット、2,2A〜2F…
中段のパレット、2L…左側、2R…右側、3,3A〜
3D…最上段のパレット、3L…左側、3R…右側、4
…吊持体(吊持枠体)、4L…左側、4R…右側、5…
吊持体(吊持枠体)、5L…左側、5R…右側、8,8
A〜8D…昇降チェーン、10〜13…支持スプロケッ
ト、15…トルクシャフト、16〜19…昇降チェーン
用スプロケット、20L,20R…反転スプロケット
体、21m,21n…エンドレスチェーン用スプロケッ
ト、22L,22R…アイドラースプロケット、23
L,23R…エンドレスチェーン、26A〜26D…昇
降チェーンガイド、60…立体駐車場、81〜93…車
両、h1 ,h2 ,h3 ,h4 …吊持位置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出庫しようとする車両が載せられたパレ
    ットを最下段まで昇降チェーンの繰り出しでもって下降
    させることができるようになっている立体駐車場のパレ
    ット昇降装置において、 上記パレットの左側と右側にあって、それぞれ前後に離
    隔しかつ左右に少しずれた全部で四か所の吊持位置に、
    昇降チェーンが上方へ延びるように取りつけられ、 上記各吊持位置の上方で各昇降チェーンを前後方向にお
    ける水平な同じ向きへ変向させるための支持スプロケッ
    トが、上記パレットを吊り下げる吊持体に取りつけら
    れ、 上記水平方向に変向された同じ側に位置する二条の昇降
    チェーンを反転させるための二つの昇降チェーン用スプ
    ロケットを備える反転スプロケット体が、前記吊持体の
    左側および右側に取りつけられ、 各側の反転スプロケット体には、その二つの昇降チェー
    ン用スプロケット間にエンドレスチェーン用スプロケッ
    トが備えられるとともに、該各エンドレスチェーン用ス
    プロケットから前後方向に離隔した上記吊持体の左側お
    よび右側の位置にアイドラースプロケットが配置され、 上記エンドレスチェーン用スプロケットを同軸に取りつ
    けた前記左側の反転スプロケット体と右側の反転スプロ
    ケット体とは、同時に回転させるためのトルクシャフト
    で連結され、 前記反転スプロケット体によって反転された二条の昇降
    チェーンは、同じ長さだけ反転したその先端部位におい
    て、チェーン連結具により該昇降チェーンの左右間隔を
    維持して一体化され、 上記チェーン連結具を介して、前記二条の昇降チェーン
    が、上記のエンドレスチェーン用スプロケットと前記ア
    イドラースプロケットとに張架したエンドレスチェーン
    に接続され、 上記アイドラースプロケットの左右部位には、前記チェ
    ーン連結具によって一体化された二条の昇降チェーン
    を、その左右間隔を維持して再反転させることができる
    昇降チェーンガイドが設けられ、前記チェーン連結具に
    よって一体化された二条の昇降チェーンの先端部位が、
    上記昇降チェーンガイドを経て反転スプロケット体の位
    置する方向へ移行できるようになっていることを特徴と
    する立体駐車場におけるパレット昇降装置。
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