JPH1088842A - 連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造のコスト
ダウンを図る。 【解決手段】エレベータ方式または垂直循環方式立体駐
車装置用建屋を３棟以上連立して設けてなり、建屋側面
の鉄骨軸組がＫ型ブレース構造となっている連立立体駐
車装置用建屋の鉄骨構造において、連立方向両端の建屋
以外の建屋の連立方向に平行な側面の鉄骨軸組の斜材の
全部または大部分を省略した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はエレベータ式または
垂直循環式立体駐車装置用建屋を３棟以上連立して設け
た場合の、立体駐車装置用建屋の鉄骨構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車を乗せたケージを、ロープを用い
て昇降させ、所定の棚へ格納するようにしたエレベータ
式駐車装置がある。図２および図３はかかるエレベータ
式駐車装置を示す正面図および側面図である。

【０００３】図中、１ａはエレベータ式駐車装置の建
屋、１ｂは建屋１ａの地上部分に設けられた出入口、１
ｃは建屋１ａの中央部に設けられた昇降路、１ｄは昇降
路１ｃ内部を昇降するケージ、１ｅは昇降路１ｃの両側
部に設けられた駐車棚、１ｆは自動車１ｇを載せケージ
１ｄから駐車棚１ｅへ、また駐車棚１ｅからケージ１ｄ
へと受け渡すためのパレット、１ｈはケージ１ｄや各駐
車棚１ｅの上面に設けられてパレット１ｆの横行を案内
するためのローラーガイド、１ｉは昇降路１ｃ下部のピ
ット１ｊに設けられたジャッキアップ機構付きのターン
テーブル、１ｋは建屋１ａの上部に設けられた昇降装
置、１ｍ，１ｎは一端をケージ１ｄに接続されて昇降装
置１ｋによって昇降移動されるロープ、１ｐは昇降装置
１ｍの駆動モータ、１ｑは昇降装置１ｋの減速器、１ｒ
は昇降装置１ｋの駆動スプロケット、１ｓは昇降装置１
ｋのアイドラスプロケット、１ｔはロープ１ｍ，１ｎに
より吊下げられてケージ１ｄとの間でバランスをとるた
めのカウンタウエイト、１ｕはエレベータ式駐車装置の
鉄骨構造材である。

【０００４】また垂直循環式駐車装置は、第４図に示す
ように、入口側と奥側に設けてある対向配置の１対の上
部および下部スプロケットホイール２ａ，２ｂに張設さ
れた２本のエンドレスリンクチェーン２ｃにアタッチメ
ント２ｄを介して数十個のケージ２ｅを懸吊支持し、マ
シンスペース２ｆ上に配置されるモータ２ｇ、ブレーキ
２ｈ、減速機２ｉ、クロスシャフト２ｊ、およびギヤト
レイン２ｋ等から成る駆動装置２ｍにより上部スプロケ
ットホイール２ａを回転せしめ、これによって各ケージ
２ｅが垂直方向に移動循環するように構成されており、
この場合、リンクチェーン２ｃおよびケージ２ｅは循環
駆動中の揺動を防ぐためにチェーンガイド２ｎおよびガ
イドローラ２ｏを配置している。自動車の入出庫は入口
側手前に設けてあるターンテーブル２ｐにより方向転換
して行われる。なお、２ｑは中間ステー、２ｒは制御盤
ベース、２ｓはチェーン２ｃのゆるみを取るスラックテ
ークアップを示すものである。

【０００５】かかるエレベータ式または垂直循環式駐車
装置は、ビルディング内に設ける場合もあるが、自立式
の建屋内に設ける場合も多い。自立式の建屋は鉄骨軸組
構造であり、外壁はスレート等を張設してある。図５は
建屋鉄骨の斜視図である。図に示すように建屋１ａの各
側面の鉄骨軸組は各階毎に通し柱３、梁４および斜材５
により構成され、上段の梁４の中央と、下段の梁４の両
端との間に斜材５が架設されてＫ型ブレース構造６とな
っている。なお、１階部分正面は、車の出入のためＫ型
ブレース構造にはできないので異なる構造となってい
る。

【０００６】Ｋ型ブレース構造６の斜材５は、図６に示
すように風や地震などの水平力Ｆが作用したときに、そ
の反作用として力の作用する側の斜材５には引張力ｆ、
力のかかる側と反対側の斜材５には圧縮力ｇが発生する
ことにより、建屋に強度と剛性を持たせる働きがある。
斜材の断面形状は、圧縮応力と細長比λ（ｌ／ｒ、ｌは
斜材の長さ、ｒは断面の２次半径）が所要の規定値以内
になるように決定される。

【０００７】以上説明した立体駐車装置の駐車容量を増
すため高さを高くしてもよいが、高さは種々の制約があ
るので２以上の駐車装置を連立させて設置することが行
われる。図７は、４棟連立させた場合の建屋の鉄骨構造
の斜視図である。図に示すように隣り合う駐車装置用建
屋の側面を共有している他は単独の場合と同一の構造と
なっている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし図７に示すよう
に建屋側面のすべての鉄骨軸組をＫ型ブレース構造とす
ることは、材料費や加工、取り付けのための人件費が高
くなり、コスト面で不利をまぬがれない。

【０００９】本発明は鋭意構造解析を行い、斜材の一部
を省略しても建物の強度や剛性に影響を与えないことが
判明したことに鑑み案出されたもので、一部の斜材を省
略して建屋建設のためのコストを削減することを目的と
する。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造はエレベ
ータ方式または垂直循環方式立体駐車装置用建屋を３棟
以上連立して設けてなり、建屋側面の鉄骨軸組がＫ型ブ
レース構造となっている連立立体駐車装置用建屋の鉄骨
構造において、連立方向両端の建屋以外の建屋の連立方
向に平行な側面の鉄骨軸組の斜材の全部または大部分を
省略した。

【００１１】３棟連立の場合には中央の建屋、４棟連立
の場合は中央の２棟の建屋、５棟連立の場合には２番目
および４番目の建屋の側面の斜材の全部または大部分を
省略するようにするのがよい。

【００１２】次に本発明の作用を説明する。連立方向に
対して直角方向の水平力に対しては、水平力に平行な側
面の斜材の数は省略していないので建屋は従来と同一の
強度を有していることは明らかである。連立方向と同一
方向の水平力に対しては、３棟または４棟連立の場合は
両端の建屋の、５棟連立の場合は両端および中央の建屋
の、それぞれ水平力に平行な側面のＫ型ブレース構造の
斜材が水平力を分担することになる。この場合、従来構
造の建屋の斜材の断面形状が圧縮応力の許容値によって
制約されているときは、本発明では斜材にかかる圧縮力
が大きくなるので斜材の断面形状を従来より大きくする
必要がある。従来構造の建屋の斜材の断面形状が細長比
λにより制約されている場合には、斜材にかかる圧縮力
が大きくなっても圧縮応力の許容値には余裕があるの
で、断面形状を大きくする必要はない。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下本発明の１実施形態について
図面を参照しつつ説明する。図１は本発明の連立立体駐
車装置用建屋の鉄骨構造の斜視図である。なお、この図
において従来技術として説明したものと同様の部分につ
いては同一の符号を付しており、重複した説明は省略す
る。図１において７は４棟連立した立体駐車装置用建屋
である。８は連立方向を示す矢印である。７ａ，７ｄは
連立方向両端の建屋であり、７ｂ，７ｃは中央２棟の建
屋である。建屋７ａおよび７ｄについては前後左右の４
側面の鉄骨軸組がＫ型ブレース構造６となっている。建
屋７ｂおよび７ｃについては連立方向８に対して平行な
側面、即ち前後の側面は斜材５が省略されており、連立
方向に対して直角な側面、即ち左右の側面（７ａと７ｂ
の間、７ｂと７ｃの間および７ｃと７ｄの間）は、すべ
て隣り合う建屋の間で共有となっていてＫ型ブレース構
造となっている。

【００１４】次に本実施形態の作用を説明する。連立方
向８に対して直角方向の水平力Ｇに対しては水平力Ｇに
平行な側面（７ａの左側面、７ａと７ｂの間の面、７ｂ
と７ｃの間の面、７ｃと７ｄの間の面、７ｄの右側面）
の鉄骨軸組はすべてＫ型ブレース構造であり、従来例と
して説明した図７の建屋と同一構造なので、同一強度、
同一剛性を有していることは明らかである。

【００１５】連立方向８と同一方向の水平力Ｆに対して
は、建屋７ａと建屋７ｄとの、水平力に平行な側面（前
後の面）のＫ型ブレース構造６の斜材５の内部に発生す
る引張力と圧縮力とにより分担する。この場合斜材５の
長さが比較的短く、図７に示す従来構造の建屋で用いら
れている斜材５の断面形状が圧縮応力の許容値により制
約されている場合には、従来各建屋の分担する水平力は
Ｆ／４であったのに対し、２倍のＦ／２になるので、斜
材５の断面形状は従来より大きくする必要がある。これ
に対し斜材５の長さが比較的長く、従来構造の建屋の斜
材５の断面形状が細長比λにより制約される場合（建築
構造設計指針によれば筋かい材（斜材）の基準強度（ｔ
／ｃｍ² ）を２．４として、λ＜１３０）、斜材５にか
かる圧縮力が２倍に大きくなっても、圧縮応力の許容値
には余裕があるので、本発明で、中央２棟の斜材５を省
略しても、両端２棟の斜材５の断面形状を大きくする必
要はない。

【００１６】本発明は以上述べた実施形態に限定される
ものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変
更が可能である。例えば、中央２棟の建屋７ｂ，７ｃの
連立方向８に平行な側面は全部斜材５を省略している
が、最上階の部分については、機械類の設置の都合上斜
材を残すようにしてもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように本発明の連立立体駐車
装置建物の鉄骨構造は、連立方向両端の建屋以外の建屋
の連立方向に平行な側面のＫ型ブレース構造の鉄骨軸組
の斜材の全部または大部分を省略したので、斜材の材料
費、加工費および取り付けのための工数、人件費を節約
することができ、駐車装置のコストダウン効果が大き
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造の
斜視図である。

【図２】エレベータ式駐車装置の正面図である。

【図３】エレベータ式駐車装置の側面図である。

【図４】垂直循環式駐車装置の斜視図である。

【図５】立体駐車装置の独立建屋の鉄骨構造の斜視図で
ある。

【図６】Ｋ型ブレース構造の説明図である。

【図７】従来の連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造の斜
視図である。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータ方式または垂直循環方式立体
   駐車装置用建屋を３棟以上連立して設けてなり、建屋側
   面の鉄骨軸組がＫ型ブレース構造となっている連立立体
   駐車装置用建屋の鉄骨構造において、連立方向両端の建
   屋以外の建屋の連立方向に平行な側面の鉄骨軸組の斜材
   の全部または大部分を省略したことを特徴とする連立立
   体駐車装置用建屋の鉄骨構造。
2. 【請求項２】 ３棟連立の立体駐車装置用建屋の中央の
   建屋側面の斜材の全部または大部分を省略した請求項１
   記載の連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造。
3. 【請求項３】 ４棟連立の立体駐車装置用建屋の中央２
   棟の建屋側面の斜材の全部または大部分を省略した請求
   項１記載の連立立体駐車装置用建屋の鉄骨構造。
4. 【請求項４】 ５棟連立の立体駐車装置用建屋の端から
   ２番目および４番目の建屋側面の斜材の全部または大部
   分を省略した請求項１記載の連立立体駐車装置用建屋の
   鉄骨構造。