JP2727970B2 - ボンディングツール - Google Patents

ボンディングツール

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はボンディングツールに関
し、特に半導体素子のボンディングパッドとフィルムキ
ャリア等のインナーリードとを、さらにはアウタリード
とプリント基板の配線とを超音波圧着または超音波併用
熱圧着により接続するためのボンディングツールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体素子のボンディングパッドは通常
ワイヤでリードフレームやプリント基板へ接続されてい
るが、多ピン化にともなう微細化に対処するため、TA
B方式による接続も行なわれている。TAB方式では、
フィルムキャリアの各インナーリードを半導体素子の対
応するボンディングパッドに一括して熱圧着により接続
するギャングボンディング方式が一般的に用いられてい
る。しかしながら、集積回路技術の進歩によって半導体
素子は年々大きくなっており、またパッド数もそれにと
もなって増大している。このため、ギャングボンディン
グ方式による一括接続が困難となってきている。
【0003】そこで、インナーリードを素子の対応する
パッドへ1本ずつ接続するシングルポイント方式が採用
されている。かかる方式による接続は超音波圧着方式あ
るいは超音波併用熱圧着方式が用いられる。
【0004】図8にシングルポイント方式による超音波
ボンディング装置を示す。超音波振動子100とボンデ
ィングツール102とはホーン101によって統合され
ており、振動子100で発生された超音波振動はホーン
101によりボンディングツール102に伝播される。
本例の場合、超音波振動は紙面と平行な左右方向であ
り、したがって、ツール102も左右方向に振動する。
【0005】ボンディングにあたっては、ステージ11
0上に載置された半導体素子(チップ)111は、キャ
リアテープ114の所謂デバイスホール内に位置するよ
うに移動されさらにチップ111のボンディングパッド
112とインナーリード113との位置合わせが行なわ
れる。そして、図8(b)に同図(a)の矢印115か
らみた図を示すように、ホーン101を下降させること
によりツール102によってインナーリード113をパ
ッド112に押し付け、超音波振動を与えて両者を接続
するのである。なお、図8(b)ではツール102は紙
面に垂直な方向に振動する。また、ツール102が隣り
合うインナーリード113と接触することを防止するた
めに、図示のようにツール102はその先端がくさび形
となるように加工してある。
【0006】前述のとおり集積回路化技術の向上にとも
ない必要とされるピン数、すなわちボンディングパッド
数は増大しており、これに対処するためにパッド112
はチップ111の4つの辺にすべて設けられるようにな
ってきている。この場合、図8(a)で図示されていな
いチップ111の辺に沿って設けられたパッドに対して
は、同図(c)のように、ツール102の紙面と平行な
振動によりインナーリード113との接続が行なわれ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かくして、各インナー
リードと対応するボンディングパッドとが接続されるわ
けであるが、両者間の良好な電気的および機械的接続を
得るためには、超音波振動をインナーリード113とパ
ッド112との接触面に効率よく伝達する必要がある。
もし、ツール102が他のインナーリード113に接触
すると超音波振動が減衰し、その結果、目的とする接続
が得られない。
【0008】図8の場合は、所謂QFP(クワッド・フ
ラット・パッケージ)型の半導体チップであっても、パ
ッド間の間隔がツール102の幅よりも大きいので問題
は生じない。しかしながら、さらに多ピン化の要求にと
もないパッド間隔(パッドピッチ)が狭くなると、特に
図8(c)から明らかなとおり、ツール102は隣のイ
ンナーリード113と接触することになる。したがっ
て、ボンディングツール102の先端を細く加工する必
要がある。しかも、パッドピッチが小さいQFP型の半
導体チップに対処するためには、ツール102の先端
は、図8(b)のようにその正面からのみならず、図8
(c)のようにその側面からみた場合も、細くする必要
がある。そこで、パッドピッチが小さいQFP型の半導
体チップに対する超音波振動を用いたボンディングツー
ルでは、その先端部を正面(裏面)方向からも側面方向
からも所謂ボトルネック加工することが考えられる。
【0009】ところが、実際の超音波ボンディングにあ
たっては、前述のとおり、ツールの先端によりインナー
リード113をパッド112に押し付けるように荷重を
かけて超音波振動を与えている。したがって、ツール1
02の先端を単純にボトルネック加工すると、押し付け
のための荷重によって、先端部に伝達されるべき超音波
振動が大きく減衰してしまう。実質的には振動せず、接
続が行なわれない。
【0010】したがって、本発明の目的は、パッドピッ
チが小さいQFP型半導体チップへの超音波ボンディン
グも可能としたボンディングツールを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願第1発明によるボン
ディングツールは、振動方向と平行な面からでは一方は
実質的に垂直な平坦面、他方は一様に連続して傾斜する
傾斜面とされていることを特徴とする。
【0012】さらに、本願第2発明によるボンディング
ツールは、ホーン取付け部分と先端部にインナーリード
への押圧面を有する円すい加工部分とを有し、円すい加
工部分の傾斜は直径が少なくとも200μmとなるまで
は一様に連続していることを特徴とする。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例につき図面を用いて詳
細に説明する。
【0014】図1は本発明の一実施例によるボンディン
グツール1を示しており、(a),(b),(c)およ
び(d)はそれぞれ正面図、側面図、裏面図および底面
図である。(a)および(c)の正面および裏面図は、
本ツール1が超音波により振動する方向に対して直交す
る面である。
【0015】本ツール1は、円柱の金属棒を基本として
おり、かかる円柱棒の長さ方向の中心面から前方にオフ
セットした所で平坦に加工され、平坦面15が形成され
ている。かかる平坦面15によりツール1の本体部分1
0および先端部分13の一つの外壁面が規定される。先
端部分13は、図1(a),(c)から明らかなとお
り、振動方向と直交する面からみてボトルネック加工が
施されている。すなわち、実質的に同一の幅をもって本
体部分10から突出して形成されている。ただし、その
幅が約80μmであるのに対し、本体部分10の径は約
1.58mmであるので、本体部分10はホーン101
(図8)への取り付け部分11から12として示すよう
に先細りに加工されて、先端部分13と連続している。
【0016】一方、ツール1の側面形状については、図
1(b)から明らかなとおり先端部分1に対応する部分
のボトルネック加工はない。その代わりに、先端部分1
のインナーリードへの押圧面20(本実施例では一辺が
80μmの正方形)のエッジから、本体10の平坦面1
5とは反対の外壁まで、ツール1の中心面に対し所定の
角度をもって連続的に一様に傾斜加工され、傾斜面16
となっている。本実施例では、傾斜面16を中心面に対
し10°の角度で形成している。
【0017】かかるボンディングツール1を用いれば、
図8の振動子100からの超音波振動がホーン101を
介してツール1の先端部分13までほぼ100%の効率
をもって伝達されることが確認された。これは、ツール
1の振動方向の形状がボトルネック加工とはなっておら
ず、押圧面20から一様に連続的に傾斜面16が施さ
れ、ボトルネック加工による機械的強度低下をおぎなっ
ているからである。
【0018】QFP形の半導体チップに対するフィリム
キャリアを用いたシングルポイント方式による超音波ボ
ンディングは、本ボンディングツール1を図8のツール
102と代えて同様に行なわれる。ただし、前述のとお
り、ツール1の平坦面15が振動方向に対して直交する
ようにツール1をホーン101に取り付ける。その様子
を図3(a),(b)に示している。なお、図3
(a),(b)は図8(b),(c)にそれぞれ対応す
る。
【0019】図1において、ツール1の先端部分1のイ
ンナーリードへの押圧面20は平坦に形成されている
が、実際には、図2にその拡大図を示すように、所定の
曲率をもって押圧面20は形成されている。なお、
(a),(b),(c)はそれぞれ正面図、側面図、底
面図である。
【0020】図4に本発明の第2実施例を示す。本実施
例によるツール40は、その正面図(a)からわかるよ
うに、ボトルネックされた先端部分を有しておらず、そ
の代わり、ツール1の中心線上に位置するインナーリー
ドの押付け面41から、本体部分42の両外壁に向って
一様に連続する傾斜面43とされている。二つの傾斜面
43のなす角度は10°に設定されている。傾斜面43
からは44として示すように45°の角度をもって本体
部分42に連続する。本ツール20の側面については前
実施例と同一形状に従って加工してある。底面図は図1
(d)と同一であるので省略する。
【0021】本実施例においても、図1のツールと同様
に、超音波が押付け面41までほぼ100%の効率で伝
達されることが確認された。
【0022】図5に本願第2発明の一実施例を示す。本
ボンディングツール50はその正面(側面)図を(a)
に、底面図を(b)に示すように、先端の押圧面51に
従って面すい状に加工されている。ただし、押圧面51
の直径は、図2と同様に80μmであり、同面51から
中心軸に対して10°の角度をもって円すい状に加工さ
れている。したがって、この円すい部分はツール50の
半分の長さよりも大きな範囲にわたって一様な傾斜面5
2となっている。円すい部分の上がホーンへの取り付け
部分となる。また、押圧面51は平坦でもよいが、図2
と同様に所定の曲率をもった形状となっている。
【0023】かかる例によっても、ツール50はその元
の径から少しずつ小さくなって押圧面51に至るので、
超音波はほぼ減衰なく押圧面51に伝わる。図6に超音
波ボンディングの様子を示す。また、本実施例では、そ
の加工が図1のものに比して格段に優れ、その材質とし
てセラミックスを用いることができる。したがって、ボ
ンディング時に生じるクズの発生も図1、図4のものに
比して少なくなる。なお、ホーン101(図8)への取
り付けのための方向性が必要な場合は、ツール50の一
部を図5(c)で53と示されるように平坦加工として
もよい。
【0024】図7は本願第2発明の他の実施例である。
図5のものでは、押圧面51が所定角度をもって上方広
がりに一様に円すい加工しているが、図7のものでは、
72示すように中心に対する10°の第2の円すい加
工部分と、そこから中心に対し45°の角度をもってさ
らに円すい加工された第1の円すい加工部分73とで構
成されている。本実施例においても同様な効果が得られ
るが、ここで問題となるのが第2の円すい加工部分72
の長さである。すなわち、第2の円すい加工部分72の
押圧面71とは反対側の直径75である。この直径75
を小さくすると、前述のとおり超音波が伝達されなくな
る。本発明者による検討では、押圧面71の幅が100
μm,80μm、60μmのいずれかの場合でも、直径
が200μm以上となるように第の円すい加工部分7
2を形成することにより、所望の伝達率が得られた。
【0025】上記各実施例において、各ツールの傾斜面
の角度を10°としたが、パッドピッチに応じて5°か
ら30°の範囲で変更できる。また、ピッチの縮小化に
ともない押圧面の幅を適宜小さくし、上記角度と組合わ
せることにより狭ピッチ化が可能となる。また、各実施
例とも円柱棒を素材としたが四角柱棒でもよい。
【0026】要するに、本発明では、ボンディング対象
となるパッドピッチやインナーリードの幅に従って、ツ
ールの先端の押圧面および同面からの傾斜角(すなわ
ち、隣りのインナーリードに接触しないような傾斜角)
を決定し、そして、振動方向の面からみた形状の一方を
実質的な面とし他方を上記傾斜角で一様に連続した傾斜
する傾斜面とするか、又は、押圧面から上記傾斜角をも
った一様な円すい加工とするとともにかかる円すい加工
部分を直径が200μm以上となるまで一様に連続形成
したものである。
【0027】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によるボンディン
グツールを用いることにより、パッドピッチが小さい狭
ピッチのQFP型半導体チップの各パッドに対するイン
ナーリードのシングルポイント方式による超音波ボンデ
ィングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1発明の一実施例によるボンディングツ
ールを示す図。
【図2】図1のツールの先端部分の拡大図。
【図3】図1のツールを用いた超音波ボンディングの様
子を示す図。
【図4】本願第1発明の他の実施例によるボンディング
ツールを示す図。
【図5】本願第2発明の一実施例によるボンディングツ
ールを示す図。
【図6】図5のツールを用いた超音波ボンディングの様
子を示す図。
【図7】本願第2発明の他の実施例によるボンディング
ツールを示す図。
【図8】従来例のボンディングツールおよびボンディン
グを示す図。
【符号の説明】
1,40,50,70 ボンディングツール

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動により半導体チップ上のボン
    ングパッドにインナーリードを直接ボンデングす
    るためのボンデングツールにおいて、前記ボンディン
    グツールは本体と、前記本体から伸びる先細り加工部
    と、前記先細り加工部から伸びるボトルネック部とから
    構成され、前記本体、先細り加工部及びボトルネック部
    は連続した一つの平坦面を有する1つの正面を有し、前
    記本体、先細り加工部及びボトルネック部の裏面は前記
    ボトルネック部の先端に向かって前記ボンデングツー
    ルの厚さが薄くなるように均一な傾斜を有することを特
    徴とするボンデングツール。
  2. 【請求項2】 超音波振動により半導体チップ上のボン
    ングパッドにインナーリードを直接ボンデングす
    るためのボンデングツールにおいて、前記ボンディン
    グツールの一端から伸びその先端が細くなるように円す
    い加工された第1の円すい加工部分と、前記円すい加工
    部分の先端から伸びその先端が細くなるように全体が円
    すい加工された第2の円すい加工部とを有し、前記第1
    の円すい加工部の前記先端の直径は200μm以上であ
    ることを特徴とするボンデングツール。
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