JP2725350B2 - プロパルギルフランカルビノール類の製造法 - Google Patents

プロパルギルフランカルビノール類の製造法

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JP2725350B2 JP5578489A JP5578489A JP2725350B2 JP 2725350 B2 JP2725350 B2 JP 2725350B2 JP 5578489 A JP5578489 A JP 5578489A JP 5578489 A JP5578489 A JP 5578489A JP 2725350 B2 JP2725350 B2 JP 2725350B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、農薬、医薬等の中間体として有用なプロパ
ルギルフランカルビノール類の製造法に関する。
<従来の技術> 一般式(I) (式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。) で示されるプロパルギルフランカルビノール類の製造法
としては、たとえばプロパルギルブロミドまたはプロパ
ルギルクロリドとフルフラール類のグリニア反応により
得る方法が知られている(特開昭59−118780号公報)。
しかしながら、プロパルギルブロミドおよびプロパル
ギルクロリドは自己分解性を有している為に、工業的な
大量使用に於ては、それらの自己分解性を抑制する対策
(安全対策)が必要となるなどの問題点があり、前記製
造法は必ずしも工業的有利な方法ではなかった。
<発明が解決しようとする課題> このようなことから、本発明者らはプロパルギルブロ
ミドまたはプロパルギルクロリドを使用しないプロパル
ギルフランカルビノール類(I)の製造法を鋭意検討し
た結果、本発明に至った。
<課題を解決するための手段> 本発明は、一般式(II) (式中、R1は前記と同じ意味である。R2は塩素、臭素ま
たは沃素原子を表わす。) で示されるハロアリルフランカルビノール類を溶媒中で
塩基と反応させて脱ハロゲン化水素することを特徴とす
るプロパルギルフランカルビノール類(I)の製造法で
ある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる塩基としてはn−ブチルリチウム、s
−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ベンジルリチ
ウム、アリルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチ
ウム、メチルリチウム等の有機リチウム類、ナトリウム
アミド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミ
ド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムビス
(トリメチルシリル)アミド等のアルカリ金属アミド
類、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等
のアルカリ金属アルコラート類、水酸化リチウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属も
しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウ
ム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム等のアルカ
リ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩等があげられ
る。
かかる塩基の使用量は、ハロアリルフランカルビノー
ル類(II)に対して通常1〜15当量倍であり、より好ま
しくは1〜10当量倍である。
反応溶媒は使用する塩基によって異なる。有機リチウ
ム類またはアルカリ金属アミド類を使用する場合は、テ
トラヒドロフランもしくはジオキサン等の親水性の非プ
ロトン性溶媒またはn−ペンタン、n−ヘキサン、n−
ヘプタン、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン等の疎
水性溶媒で、かつ、反応に不活性な溶媒の単独または混
合物が用いられる。アルカリ金属を使用する場合は液体
アンモニアが用いられる。アルカリ金属アルコラート類
を使用する場合は、エチルエーテル、イソプロピルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、
トリグライム等の疎水性もしくは親水性のエーテル類、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の疎水性炭化水素類、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアル
コール類、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の疎水性のハロゲ
ン化炭化水素類、ピリジン、トリエチルアミン等のアミ
ン類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の親水
性の非プロトン性溶媒およびその混合物が用いられる。
さらには、溶媒が反応に関与しない範囲においてアセト
ン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケト
ン等のケトン類およびその混合物も用いられる。
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物ま
たはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩を
使用する場合には、反応溶媒は、アルカリ金属アルコラ
ート類の場合に例示した溶媒に加えて水または水とそれ
らの例示溶媒との混合物が使用され、水とトルエン、キ
シレン、ペンタンもしくはヘキサン等の疎水性炭化水素
溶媒または水とモノクロロベンゼンもしくはジクロロベ
ンゼン等の疎水性ハロゲン化炭化水素溶媒との混合物が
好ましく使用される。
水以外の溶媒の使用量は特に制限はないが、ハロアリ
ルフランカルビノール類(II)に対して通常1〜20重量
倍である。溶媒として水を用いる場合にその使用量は、
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物また
は炭酸塩に対して1〜4重量倍である。
反応温度は通常−70℃〜120℃であり、反応時間は特
に制限はなく、原料ハロアリルフランカルビノール類
(II)が反応系から消失した時点を反応終点とすること
ができる。
必要により相間移動触媒を加えることもでき、その使
用量はハロアリルフランカルビノール類(II)に対して
通常0.01〜5当量倍である。
かかる相間移動触媒としては、テトラn−ブチルアン
モニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムク
ロリド、テトラn−ペンチルアンモニウムブロミド、テ
トラ−n−ペンチルアンモニウムアイオダイド、ベンジ
ルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチ
ルアンモニウムブロミド、ベンジルトリプロピルアンモ
ニウムクロリド、ベンジルトリプロピルアンモニウムア
イオダイド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド等
の有機4級アンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウ
ムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テ
トラフェニルホスホニウムアイオダイド、ベンジルトリ
フェニルホスホニウムクロリド等の有機4級ホスホニウ
ム塩、18−クラウン−6、15−クラウン−5、12−クラ
ウン−4等の大環状エーテル類等があげられる。
反応終了後、反応混合物からのプロパルギルフランカ
ルビノール類(I)の取出しは、たとえば注水、抽出、
分液等の後、有機層を蒸留することにより行われる。
原料化合物であるハロアリルフランカルビノール類
(II)は、一般式(III) (式中、R1は前記と同じ意味である。) で示されるフルフラール類と一般式(IV) (式中、Xは塩素、臭素もしくは沃素原子を表わす。R2
は前記と同じ意味である。) で示されるジハロゲン化物を亜鉛の存在下に水を主溶媒
とする反応溶媒中で反応させることにより製造すること
ができる。
ジハロゲン化物(IV)としては、2,3−ジクロロ−1
−プロペン、2,3−ジブロム−1−プロペン、2,3−ジヨ
ード−1−プロペン、2−クロロ−3−ブロム−1−プ
ロペン、2−クロロ−3−ヨード−1−プロペン、2−
ブロム−3−クロロ−1−プロペン、2−ブロム−3−
ヨード−1−プロペン、2−ヨード−3−クロロ−1−
プロペン、2−ヨード−3−ブロム−1−プロペンがあ
げられる。
これらのジハロゲン化物(IV)は、通常フルフラール
類(III)に対して1〜3当量倍の使用量である。
亜鉛は市販の種々の形状のものが利用できるが、好ま
しくは粉末または微粒状のものが使用でき、とりわけ、
粉末状のものが好ましく使用される。
亜鉛の使用量はフルフラール類(III)に対して0.8〜
3重量倍、より好ましくは1.1〜1.5重量倍である。
必要に応じて塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、
沃化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウムが使用さ
れ、その使用量はフルフラール類(III)に対して0.15
〜6重量倍である。
反応溶媒としては、水、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、トルエン、ベンゼン、モノクロロベンゼン、エチ
レンジクロリド等の混合物または水単独が用いられ、混
合物である場合には水が主溶媒であることが必要であ
り、混合物中の水の組成は50重量%以上であることがよ
り好ましい。
反応溶媒中の水の絶対量はフルフラール類(III)に
対して通常3〜24重量倍であり、より好ましくは4〜19
重量倍である。
本反応においては、必要により相間移動触媒を加える
こともでき、その使用量は、フルフラール類(III)に
対して通常0.05〜0.4重量倍である。
かかる相間移動触媒の具体例としては、前記の有機4
級アンモニウム塩があげられる。
反応温度は0℃〜100℃であり、より好ましくは15℃
〜50℃である。
反応時間は通常1〜8時間であるが、少量の酸の添加
により短縮することができる。かかる酸としては、酢
酸、塩酸、硫酸等があげられる。
酸の添加量は、反応溶媒中の水に対する濃度として表
わすと、酢酸では5重量%以下、塩酸または硫酸では0.
1重量%以下が適当である。
反応終了後、反応混合物からのハロアリルフランカル
ビノール類(II)の取出しは、たとえば過、分液の
後、有機層を蒸留することにより行われる。
<発明の効果> かくして本発明によれば、前記一般式(I)で示され
るプロパルギルフランカルビノール類を安全に、かつ工
業的有利に製造することができる。
<実施例> 以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1 5−メチルフルフラール20.0g、水88g、トルエン33g
および亜鉛末26gを仕込み33〜35℃に保つ、攪拌下に2,3
−ジクロロ−1−プロペン44.4gを20分で滴下し、33〜3
5℃に4時間保温した。反応終了後、亜鉛末由来の結晶
を別し、液にトルエン66gを加え、トルエン層を分
液する。7%炭酸ナトリウム水30gで洗浄し、水50gで水
洗後、60℃以下でトルエンを留去する。単蒸留を行な
い、30.5gの5−メチル−フリル 2′−クロロアリル
カルビノールを得た。
沸点 84〜85℃/0.8mmHg 収率 90% NMRデーター(CDCl3、内部標準TMS、δ値) 2.27(s,3H) 2.75〜2.92(m,3H) 4.95(dd,1H) 5.25と5.26(s,2H) 5.89(d,1H) 6.13(d,1H) 上で得た5−メチル−フリル 2′−クロロアリルカ
ルビノール12.3g、50%水酸化ナトリウム42.3g、トルエ
ン37gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1
5.1gの混合物を40℃で8時間攪拌した。トルエン100gと
水100gを加えて抽出後、分液する。有機層を5%塩酸、
続いて7%炭酸ナトリウム水で洗浄後、有機層を減圧濃
縮した。
残渣を単蒸留して5−メチル−フリルプロパルギルカ
ルビノール7.86gを得た。
沸点 74℃/0.7mmHg 収率 79.2% NMRデーター(CDCl3、内部標準TMS、δ値) 2.03(t,1H,J=2.6Hz) 2.25(d,3H,J=1.0Hz) 2.70(dd,2H,J=6.6,2.6Hz) 2.89(brs,1H) 4.76(t,1H,J=6.6Hz) 5.88(dq,1H,J=3.3,1.0Hz) 6.17(d,1H,J=3.3Hz) 実施例2 5−メチルフルフラール20.0gの代わりにフルフラー
ル17.5gを用いる以外は実施例1と同様に反応、後処
理、精製を行えばフリルプロパルギルカルビノールが得
られる。
実施例3 5−メチル−フリル 2′−クロロアリルカルビノー
ル12.3g、50%水酸化ナトリウム42.3g、トルエン37gお
よびテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド21.3gの
混合物を40℃で8時間攪拌した。
以後、実施例1と同様の後処理を行って5−メチル−
フリルプロパルギルカルビノール7.94gを得た。収率80.
0% 実施例4 フリル 2′−クロロアリルガルビノール20.0g、40
%水酸化カリウム97.4g、ヘキサン40gおよびトリオクチ
ルメチルアンモニウムブロミド28.1gの混合物を室温で2
4時間攪拌した。
以後、実施例1と同様の後処理を行ってフリルプロパ
ルギルカルビノール13.0gを得た。
収率 82.3% 実施例5 5−メチル−フリル 2′−クロロアリルカルビノー
ル10.0g、50%水酸化ナトリウム42.9gおよびトルエン10
gの混合物を80℃で5時間攪拌する。有機層を分液、水
洗後、減圧濃縮する。
得られた残渣を単蒸留すれば5−メチル−フリルプロ
パルギルカルビノールが得られる。
実施例6 5−メチルフルフラール22.0g、12.5%塩化アンモニ
ウム水265g、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.6
g、トルエン33gおよび亜鉛末26gの混合物に、33〜35℃
で2,3−ジクロロ−1−プロペン44.4gを1時間で滴下
し、同温度で3時間攪拌した。反応終了後、亜鉛末由来
の結晶を別し、液にトルエン66gを加え、トルエン
層を分液する。15%亜硫酸水素ナトリウム水60g、水50g
の順で洗浄後、60℃以下でトルエンを留去する、濃縮残
渣を単蒸留して、32.0gの5−メチル−フリル 2′−
クロロアリルカルビノールを得た。
沸点 84〜85℃/0.8mmHg 収率 85% 上で得た5−メチル−フリル 2′−クロロアリルカ
ルビノール18.6gをメチルエチルケトン100mlに溶解し、
炭酸カリウム276gを加えた。80℃に昇温後そのまま62時
間保温した。冷却後、不溶物を去し、液を飽和食塩
水で洗浄後、ゼオライトで乾燥した。乾燥剤を去し、
減圧濃縮後、蒸留による精製を行って5−メチル−フリ
ル プロパルギル カルビノールを得た。
実施例7 5−メチル−フリル 2′−クロロアリルカルビノー
ル10.0gをジメチルホルムアミド100gに溶解し、水酸化
ナトリウム6.43gを加え、40℃で3時間保温した。10%
塩酸で反応マスを中和後、溶媒を減圧留去し、残渣をト
ルエンおよび水に溶解した。分液後、有機層を減圧濃縮
し、その後、蒸留による精製を行っても5−メチル−フ
リル プロパルギル カルビノール6.92gを得た。
収率 86.0%

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2は塩素、臭
    素または沃素原子をそれぞれ表わす。) で示されるハロアリルフランカルビノール類を溶媒中で
    塩基と反応させて脱ハロゲン化水素することを特徴とす
    る一般式 (式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。) で示されるプロパルギルフランカルビノール類の製造
    法。
  2. 【請求項2】塩基がアルカリ金属またはアルカリ土類金
    属の水酸化物である請求項1に記載のプロパルギルフラ
    ンカルビノール類の製造法。
  3. 【請求項3】溶媒が水と疎水性炭化水素または疎水性ハ
    ロゲン化炭化水素溶媒との混合物である請求項2に記載
    のプロパルギルフランカルビノール類の製造法。
  4. 【請求項4】相間移動触媒の存在下に行う請求項1、2
    または3のいずれかに記載のプロパルギルフランカルビ
    ノール類の製造法。
  5. 【請求項5】一般式 (式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。) で示されるフルフラール類と一般式 (式中、R2およびXはそれぞれ塩素、臭素または沃素原
    子を表わす。) で示されるジハロゲン化物を亜鉛の存在下に水を主溶媒
    とする反応溶媒中で反応させて得られた一般式 (式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2は塩素、臭
    素または沃素原子をそれぞれ表わす。) で示されるハロアリルフランカルビノール類を用いる請
    求項1に記載のプロパルギルフランカルビノール類の製
    造法。
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