JP3852491B2 - 2−シアノピペラジン及びその製造方法 - Google Patents

2−シアノピペラジン及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2−シアノピペラジン及びその製造方法に関するものである。2−シアノピペラジンは新規化合物であり、医薬、農薬等の合成原料として有用である。例えば、「Tetrahedron Letters」、vol.36、6419−6422頁、1995年に記載される次式(5)で示されるMerckの抗エイズ剤の製造用原料の中間体として有用である。
【0002】
【化3】
Figure 0003852491
【0003】
【従来の技術】
上記式(5)で示される抗エイズ剤は、式(6)で示されるN−t−ブチル−2−ピラジンカルボキサミドを出発原料に次のルートで製造されることがTetrahedron Letterに記載されている。
【0004】
【化4】
Figure 0003852491
【0005】
上式(6)で示されるN−t−ブチル−2−ピラジンカルボキサミドは、例えば特開平7−145153号公報に示されるようにシアノピラジン(8)とt−ブチルアルコールとを酸触媒の存在下で反応させて得られる。
【0006】
【化5】
Figure 0003852491
【0007】
このように、目的とする抗エイズ剤(5)の中間体のN−t−ブチル2−ピペラジンカルボキサミド(2)を得るには、シアノピラジン(8)を出発原料とすると3工程要する。
又、特開平1−117869号公報は、N−t−ブチル−2−ピラジンカルボキサミド(6)を酸化白金触媒の存在下、50℃、100気圧の条件下において水素化還元して、2−ピペラジンカルボキサミド(2)を製造する方法を開示する。
【0008】
【化6】
Figure 0003852491
【0009】
しかしながら上記の方法では、高価な酸化白金触媒が必要であり、また100気圧の高圧設備が必要で工業的には有利でない為、安価且つ収率良くN−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを製造する方法が切望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、より安価でより効率よくN−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを製造することができる新規な中間体の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次式(1)で示される2−シアノピペラジンの製造方法を提供するものである。
【0012】
【化7】
Figure 0003852491
【0013】
【作用】
2−シアノピペラジン(1)とt−ブチルアルコールを酸触媒、例えば硫酸の存在下に反応させれば容易に、N−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミド(2)を製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、下記式(9)で表わされる2−ハロゲノアクリロニトリル
【0015】
【化8】
Figure 0003852491
【0016】
(式中、Xは塩素、臭素、沃素などのハロゲン原子を示す)
と、エチレンジアミンとを反応させることにより、高収率で2−シアノピペラジンを製造することができる。
【0017】
【化9】
Figure 0003852491
【0018】
反応は無溶媒で行なうこともできるが、不活性溶媒中で行なうのが好ましい。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の(ハロ)芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族ないしは脂環族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水などが用いられる。好ましくはテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等が用いられる。溶媒は2−ハロゲノアクリロニトリルに対し通常1〜20容量倍用いる。
【0019】
本発明の反応を無溶媒で行なう場合には、エチレンジアミンを溶媒をかねて過剰に用いるのが好ましい。
本発明の反応では、反応式から明らかなように、ハロゲン化水素酸が生成するので、反応系に酸結合剤を存在させてこれを捕捉する。酸結合剤としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン等のアミン類や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が用いられ、その使用量は2−ハロゲノアクリロニトリル1モルに対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量である。
【0020】
本発明の好ましい一態様では、反応原料のエチレンジアミンを酸結合剤を兼ねて過剰に使用する。通常は2−ハロゲノアクリロニトリル1モルに対し1〜20モルの範囲で、併用される酸結合剤や溶媒の有無などを考慮して、エチレンジアミンの使用量を決定する。溶媒を併用するが他の酸結合剤は併用しない場合には、2−ハロゲノアクリロニトリル1モルに対しエチレンジアミン1.5〜2モルを用いるのが回収の面から好ましく、収率の面からは2〜10モルの範囲が好ましい。
【0021】
2−ハロゲノアクリロニトリルとエチレンジアミンとの反応は通常−20〜100℃で行なわれる。反応速度及び収率からして20〜60℃で反応させるのが好ましい。反応圧力は反応系が液相を維持する圧力であればよく、通常は常圧で反応させるが、所望ならば減圧または加圧下で反応させてもよい。
反応は、最も簡単には、反応器に不活性溶媒、エチレンジアミン及び酸結合剤を仕込み、攪拌下これに2−ハロゲノアクリロニトリルを滴下することにより行なうことができる。この反応は発熱反応なので、所望により適宜冷却する。
【0022】
反応生成液からの2−シアノピペラジンの分離・精製は、常用の任意の分離・精製方法で行なうことができる。例えば反応生成液から副生した塩を析出させてこれを濾別し、濾液に酸を加えて2−シアノピペラジンをその酸付加塩として析出させて、これを濾取する。添加する酸としては塩酸、硫酸、臭化水素酸等の無機酸が好ましく、その量は2−シアノピペラジン1モルに対し1〜3当量、好ましくは1〜1.5当量である。
2−シアノピペラジンの酸付加塩を水に溶解させて水溶液とし、これを水酸化ナトリウムなどで中和すると2−シアノピペラジンが遊離する。これを酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、次いで蒸発により有機溶媒を除去すると、2−シアノピペラジンを単離できる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
テトラヒドロフラン300ml中にエチレンジアミン54.1g(0.9モル)を加え、30℃に加熱した。これに2−クロロアクリロニトリル52.5g(0.6モル)を攪拌下2時間かけて滴下し、さらに6時間攪拌を続行した。この間、温度はほぼ30℃に維持した。反応生成液を20℃まで冷却し、析出物を濾別した。濾液に35%塩酸を添加してpH=4としたのち析出物を濾取した。これを20%塩酸に加えて溶液とし、テトラヒドロフラン中に滴下した。析出物を濾取し、減圧下に付着している溶媒を除去して2−シアノピペリジン・2塩酸塩55.2g(収率50%)を得た。このものの分析値は次の通りであった。
【0024】
1H−NMR(D2 O,400MHz)
δ(ppm) 3.2〜3.4(4H,m),3.57(2H,dd,J=12.0and4.0Hz),4.72(1H,t,J=4.0Hz)
IR(KBr)
ν(cm-1) 3400,2905,2655,2409,2143,1529,1430,1340,1290,1071,940,558,519
【0025】
【表1】
元素分析
Figure 0003852491
【0026】
実施例2
実施例1において、反応生成液から析出物を濾別した濾液に10%硫酸を添加してpH=4としたのち析出物を濾取した。これを10%硫酸に加えて溶液とし、テトラヒドロフラン中に滴下した。析出物を濾取し、減圧下に付着している溶媒を除去して2−シアノピペラジン・硫酸塩57.7g(収率46%)を得た。このものの分析値は次の通りであった
【0027】
1H−NMR(D2 O,400MHz)
δ(ppm) 3.1〜3.3(4H,m),3.47(2H,dd,J=16.0and4.0Hz),4.51(1H,t,J=4.0Hz)
IR(KBr)
ν(cm-1) 3405,2935,2590,2460,2135,1602,1477,1439,1137,1098,1060,1015,614
【0028】
【表2】
元素分析
Figure 0003852491
【0029】
実施例3
テトラヒドロフラン400ml中にエチレンジアミン180.3g(3.0モル)を加え、30℃に加熱した。これに、2−クロロアクリロニトリル52.5g(0.6モル)を攪拌下2時間かけて滴下し、さらに6時間攪拌を続行した。この間、温度はほぼ30℃に維持した。反応終了後、液体クロマトグラムにより反応液を分析したところ2−シアノピペラジンの収率は80%であった。続いて、減圧下テトラヒドロフランを蒸留除去した後、30%硫酸を添加してpH=4とし、析出物を濾取した。さらに、濾取した析出物を水で洗浄し、濾取乾燥して2−シアノピペラジン・硫酸塩88.4g(収率67%,純度95%)を得た。
【0030】
実施例4
エチレンジアミンを72.1g(1.2モル)用い、実施例3と同様に反応を行った。反応終了後、液体クロマトグラムにより反応液を分析したところ、2−シアノピペラジンの収率は60%であった。
実施例5
エチレンジアミンを360.6g(6.0モル)用い、実施例3と同様に反応を行った。反応終了後、液体クロマトグラムにより反応液を分析したところ、2−シアノピペラジンの収率は65%であった。
【0031】
応用例
水343gとt−ブチルアルコール389g(5.25モル)を仕込み、攪拌下、25℃以下に保ちながら、2−シアノピペラジン硫酸塩219.5g(1.05モル)を溶解した。続いて温度を25℃に保ちながら、これに80%硫酸水溶液1372g(8.4モル)を滴下し、更に40℃の温度で3時間保ち反応を完結させた。25℃まで冷却した後、反応液にテトラヒドロフラン2,700gを添加し、0℃に3時間保った。析出物を濾過し、乾燥し、得られた析出物241gを480gの水に溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpHが13になるまで中和した。クロロホルム1Lで3回抽出し、抽出液からクロロホルムを減圧下に除去した。N−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキシサミド142g(収率73%)を得た。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬、農薬等の原料として有用な2−シアノピペラジン又はその塩を容易に製造することができる。

Claims (5)

  1. 下記式(9)
    Figure 0003852491
    (式中、Xはハロゲン原子を示す)
    で表わされる2−ハロゲノアクリロニトリルとエチレンジアミンとを反応させることを特徴とする下記式(1)
    Figure 0003852491
    で表わされる2−シアノピペラジンの製造方法。
  2. 2−ハロゲノアクリロニトリルに対し1.5倍モル以上のエチレンジアミンの存在下に反応を行なうことを特徴とする請求項記載の方法。
  3. 酸結合剤の存在下に反応を行なうことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 2−ハロゲノアクリロニトリルが2−クロロアクリロニトリルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 反応を溶媒の存在下で行なうことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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