JP2723398B2 - アクリル系樹脂粉末の製造方法 - Google Patents
アクリル系樹脂粉末の製造方法Info
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- resin powder
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アクリル系樹脂粉末
の製造方法に関する。より詳しくは、この発明は、メタ
クリル酸エステルから架橋したポリマー粒子を形成し、
この粒子に更にメタクリル酸エステルを吸収ないし吸着
させた状態でメタクリレートポリマーを形成してアクリ
ル系樹脂粉末を得る方法に関する。この発明のアクリル
系樹脂粉末は、例えば義歯床用樹脂として有用である。
の製造方法に関する。より詳しくは、この発明は、メタ
クリル酸エステルから架橋したポリマー粒子を形成し、
この粒子に更にメタクリル酸エステルを吸収ないし吸着
させた状態でメタクリレートポリマーを形成してアクリ
ル系樹脂粉末を得る方法に関する。この発明のアクリル
系樹脂粉末は、例えば義歯床用樹脂として有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現在、
義歯床用樹脂材料としては一般にポリメタクリル酸メチ
ル(PMMAと略)が使用されている。この樹脂は、口
腔内で化学的に安定であり、また人体に対する毒性が低
く、さらに着色が容易で且つ透明性に優れるため鮮明な
色調が得られる。ポリメタクリル酸メチルによりなる粉
末状のアクリル系ポリマー(粉剤)とメタクリル酸メチ
ルを主成分とする液状モノマー(液剤)とを所定の割合
で混合し、常温下密閉状態で所定の時間静置して、粘着
・接着性は示さないが適当な固さの可塑性を示す状態
(餅状状態)とした後、この餅状物を患者の口腔内印象
からおこした右膏型に填入し、加圧・加熱を行って成形
する方法である。上記方法において粉剤と液剤とを混合
すると、まず最初の段階で混合物は水に濡れた砂のよう
な状態になり、次にモノマーがポリマー粉末の表面を溶
解して、手を触れると糸を引く状態となる。さらにモノ
マーがポリマー粉末の内部に吸収・拡散してポリマーの
可塑化が進むと、手や容器にこびりつかず操作し易い、
柔らかい餅のような状態(餅状状態)となる。その後、
弾性を示すゴム状状態を経て固い状態となる。この方法
で義歯床を製作するにあたって最も重要なことは、上記
混合物が餅状である間に石膏型に填入するということで
ある。餅状に至っていない水に濡れた砂のような状態や
糸を引く状態では、型に填入するとき十分に加圧でき
ず、気泡が生じ易くなり義歯床の強度低下、折損の一因
となる。逆に餅状を過ぎて弾性を示す状態では、型の細
部まで填入されず成形不良となる。
義歯床用樹脂材料としては一般にポリメタクリル酸メチ
ル(PMMAと略)が使用されている。この樹脂は、口
腔内で化学的に安定であり、また人体に対する毒性が低
く、さらに着色が容易で且つ透明性に優れるため鮮明な
色調が得られる。ポリメタクリル酸メチルによりなる粉
末状のアクリル系ポリマー(粉剤)とメタクリル酸メチ
ルを主成分とする液状モノマー(液剤)とを所定の割合
で混合し、常温下密閉状態で所定の時間静置して、粘着
・接着性は示さないが適当な固さの可塑性を示す状態
(餅状状態)とした後、この餅状物を患者の口腔内印象
からおこした右膏型に填入し、加圧・加熱を行って成形
する方法である。上記方法において粉剤と液剤とを混合
すると、まず最初の段階で混合物は水に濡れた砂のよう
な状態になり、次にモノマーがポリマー粉末の表面を溶
解して、手を触れると糸を引く状態となる。さらにモノ
マーがポリマー粉末の内部に吸収・拡散してポリマーの
可塑化が進むと、手や容器にこびりつかず操作し易い、
柔らかい餅のような状態(餅状状態)となる。その後、
弾性を示すゴム状状態を経て固い状態となる。この方法
で義歯床を製作するにあたって最も重要なことは、上記
混合物が餅状である間に石膏型に填入するということで
ある。餅状に至っていない水に濡れた砂のような状態や
糸を引く状態では、型に填入するとき十分に加圧でき
ず、気泡が生じ易くなり義歯床の強度低下、折損の一因
となる。逆に餅状を過ぎて弾性を示す状態では、型の細
部まで填入されず成形不良となる。
【0003】しかし従来使用されている樹脂組成物では
餅状〃態の期間が短いため、多数の義歯床を製作する場
合小分けして何度も混和を行わねばならず、また填入し
た残りの樹脂は保存できず廃棄せざるを得ない等、技工
操作やコストの面で支障があり餅状々態の期間が長い樹
脂組成物が切望されてきた。このような粉液2剤からな
り、混合したときの餅状の期間が長い組成物が特開昭57
−203006号公報に開示されている。この組成物は、平均
分子量30〜80万の高分子量のポリメタクリル酸メチルお
よび平均分子量5〜20万の低分子量のポリメタクリル酸
メチルを含有する粉剤と、重合性液状モノマーでなる液
剤よりなる。上記粉剤中の分子量の異なる2種のポリメ
タクリル酸メチルは、液状モノマーに対する溶解性が異
なるため混合物の餅状期間が長くなる。しかし、この組
成物は低分子量のポリマーを多く含むため、得られる義
歯床の強度が劣るという問題を有する。従って、上記の
問題を解決する樹脂組成物の創製が望まれていること
は、明らかである。
餅状〃態の期間が短いため、多数の義歯床を製作する場
合小分けして何度も混和を行わねばならず、また填入し
た残りの樹脂は保存できず廃棄せざるを得ない等、技工
操作やコストの面で支障があり餅状々態の期間が長い樹
脂組成物が切望されてきた。このような粉液2剤からな
り、混合したときの餅状の期間が長い組成物が特開昭57
−203006号公報に開示されている。この組成物は、平均
分子量30〜80万の高分子量のポリメタクリル酸メチルお
よび平均分子量5〜20万の低分子量のポリメタクリル酸
メチルを含有する粉剤と、重合性液状モノマーでなる液
剤よりなる。上記粉剤中の分子量の異なる2種のポリメ
タクリル酸メチルは、液状モノマーに対する溶解性が異
なるため混合物の餅状期間が長くなる。しかし、この組
成物は低分子量のポリマーを多く含むため、得られる義
歯床の強度が劣るという問題を有する。従って、上記の
問題を解決する樹脂組成物の創製が望まれていること
は、明らかである。
【0004】
【課題を解決するための手段】かくして、この発明によ
れば、メタクリル酸エステルを0.01〜0.5 モル%の2官
能以上の架橋性モノマーと重合開始剤の存在下に懸濁重
合させる第1工程と第1工程で得られた架橋ポリマーに
懸濁下でメタクリル酸エステルを添加して重合さす第2
工メタクリル酸エステルを添加して重合さす第2工程に
よりアクリル系樹脂粉末を得ることを特徴とするアクリ
ル系樹脂粉末の製造方法が提供される。
れば、メタクリル酸エステルを0.01〜0.5 モル%の2官
能以上の架橋性モノマーと重合開始剤の存在下に懸濁重
合させる第1工程と第1工程で得られた架橋ポリマーに
懸濁下でメタクリル酸エステルを添加して重合さす第2
工メタクリル酸エステルを添加して重合さす第2工程に
よりアクリル系樹脂粉末を得ることを特徴とするアクリ
ル系樹脂粉末の製造方法が提供される。
【0005】この発明の方法に用いられるメタクリル酸
エステルとしては、メタクリル酸メチルが代表的であ
る。その他、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ
る。これらのエステルは単独で使用することができる
が、混合であってもよい。例えばメタクリル酸メチルに
物性の調整のため少量の他のエステルを加えることがで
きる。
エステルとしては、メタクリル酸メチルが代表的であ
る。その他、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ
る。これらのエステルは単独で使用することができる
が、混合であってもよい。例えばメタクリル酸メチルに
物性の調整のため少量の他のエステルを加えることがで
きる。
【0006】この発明に用いられる2官能以上の架橋性
モノマーとは、ポリメタクリレートを架橋しうる2又は
それ以上の官能基を1分子中に有するモノマーを意味す
る。例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プ
ロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ
メタクリレート、及びトリメチロールプロパントリメタ
クリレート又はこれらの対応するアクリレートなどが挙
げられる。その他フタル酸ジアリルが挙げられる。これ
らの架橋性モノマーは、通常1種類が用いられるが、2
種類以上の混合であってもよい。
モノマーとは、ポリメタクリレートを架橋しうる2又は
それ以上の官能基を1分子中に有するモノマーを意味す
る。例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プ
ロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ
メタクリレート、及びトリメチロールプロパントリメタ
クリレート又はこれらの対応するアクリレートなどが挙
げられる。その他フタル酸ジアリルが挙げられる。これ
らの架橋性モノマーは、通常1種類が用いられるが、2
種類以上の混合であってもよい。
【0007】重合開始剤としては、通常有機過酸化物
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなど)が
用いられる。その他アゾ系化合物(例えば、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル)が挙げられる。この発明
の方法における第1工程では、メタクリル酸エステルの
懸濁重合が行われる。その際、架橋性モノマーを0.01〜
0.5 モル%、好ましくは0.03〜0.3 モル%存在さすこと
により架橋重合が行われる。この架橋性モノマーの添加
量は、この発明の特徴の1つを構成するものである。0.
01モル%以下の使用では、例えばこの発明の樹脂を義歯
床用組成物の粉末として用いても餅状期間の所望の延長
化は認められない。また0.5 モル%以上の使用では、餅
状物の固さが不足し、型へ填入するとき十分な加圧がで
きず、また餅状物への到達が非常に遅れるという不都合
を生ずる。
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなど)が
用いられる。その他アゾ系化合物(例えば、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル)が挙げられる。この発明
の方法における第1工程では、メタクリル酸エステルの
懸濁重合が行われる。その際、架橋性モノマーを0.01〜
0.5 モル%、好ましくは0.03〜0.3 モル%存在さすこと
により架橋重合が行われる。この架橋性モノマーの添加
量は、この発明の特徴の1つを構成するものである。0.
01モル%以下の使用では、例えばこの発明の樹脂を義歯
床用組成物の粉末として用いても餅状期間の所望の延長
化は認められない。また0.5 モル%以上の使用では、餅
状物の固さが不足し、型へ填入するとき十分な加圧がで
きず、また餅状物への到達が非常に遅れるという不都合
を生ずる。
【0008】また、第1工程では、重合開始剤を添加す
ることを必須とする。第1工程における分散媒は、水で
ある。この分散媒には通常分散剤(例えばポリビニルア
ルコール、第3燐酸カルシウム、複分解法ピロリン酸マ
グネシウムなど)が添加される。また、界面活性剤化例
えばラウリル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸ナト
リウム)の使用は、粒子径の調節に役立であろう。
ることを必須とする。第1工程における分散媒は、水で
ある。この分散媒には通常分散剤(例えばポリビニルア
ルコール、第3燐酸カルシウム、複分解法ピロリン酸マ
グネシウムなど)が添加される。また、界面活性剤化例
えばラウリル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸ナト
リウム)の使用は、粒子径の調節に役立であろう。
【0009】第1工程の重合反応は、通常攪拌下加熱
(例えば40〜80℃)することによって行われる。反応時
間は、通常数十分〜数時間である。かくして、反応系内
には、架橋したポリメタクリートが微粒子として生成す
る。次に、この発明の第2工程では、上記の反応系にメ
タクリル酸エステルを添加して第2の重合が行われる。
ここで使用するメタクリル酸エステルは、第1工程で使
用したものと同一であることが望ましいが、異なってい
てもよい。
(例えば40〜80℃)することによって行われる。反応時
間は、通常数十分〜数時間である。かくして、反応系内
には、架橋したポリメタクリートが微粒子として生成す
る。次に、この発明の第2工程では、上記の反応系にメ
タクリル酸エステルを添加して第2の重合が行われる。
ここで使用するメタクリル酸エステルは、第1工程で使
用したものと同一であることが望ましいが、異なってい
てもよい。
【0010】第1工程の終了後に得られた架橋ポリマー
を分級したのち第2工程を実施することで効率よく任意
の粒径分布をもつ樹脂粉末を製造することも可能であ
る。第2工程に必要な重合開始剤は、第1工程の終了
後、重合温度あるいは常温下に、少量のモノマーに溶解
させて滴下し吸収させるかあるいは、第2工程の滴下モ
ノマーに添加する、第1工程で残存した重合開始剤を利
用するなどの方法により充足される。この時生成した重
合物の分子量は50〜200 万(GPC法 標準ポリスチレ
ン較正)であった。
を分級したのち第2工程を実施することで効率よく任意
の粒径分布をもつ樹脂粉末を製造することも可能であ
る。第2工程に必要な重合開始剤は、第1工程の終了
後、重合温度あるいは常温下に、少量のモノマーに溶解
させて滴下し吸収させるかあるいは、第2工程の滴下モ
ノマーに添加する、第1工程で残存した重合開始剤を利
用するなどの方法により充足される。この時生成した重
合物の分子量は50〜200 万(GPC法 標準ポリスチレ
ン較正)であった。
【0011】第2工程でのメタクリル酸エステルの添加
は、架橋ポリメタクリレート微粒子に少なくとも吸着さ
れ、巨大分子内に吸収されるように徐々に行うのが好ま
しい。例えば添加は、60℃〜80℃の加熱下に長時間をか
けて徐々に行われる。第1工程と第2工程のメタクル酸
エステルの使用割合は、5:95〜45:55、好ましくは1
0:90〜30:70(重量比)である。この範囲を超える
(第2工程のモノマーが第1工程のモノマーに対して55
重量%以下、又は第1工程のモノマーが第2段階のモノ
マーに対して5重量%以下)と、上記の義歯床用樹脂組
成物としての使用に欠点を生ずる。
は、架橋ポリメタクリレート微粒子に少なくとも吸着さ
れ、巨大分子内に吸収されるように徐々に行うのが好ま
しい。例えば添加は、60℃〜80℃の加熱下に長時間をか
けて徐々に行われる。第1工程と第2工程のメタクル酸
エステルの使用割合は、5:95〜45:55、好ましくは1
0:90〜30:70(重量比)である。この範囲を超える
(第2工程のモノマーが第1工程のモノマーに対して55
重量%以下、又は第1工程のモノマーが第2段階のモノ
マーに対して5重量%以下)と、上記の義歯床用樹脂組
成物としての使用に欠点を生ずる。
【0012】この第2工程の反応は、モノマーの添加終
了後、40〜80℃で、数十分〜数時間行われる。この反応
では、架橋ポリメタクリレートの分子内でポリメタクリ
レートが形成するものと考えられる。かくして生成する
アクリル系樹脂粉末は、常法によって容易に単離でき
る。なおこの粉末の平均粒子径は20〜200 μmであるの
が好ましい。このような粒子径を得るには、主に、第1
工程における攪拌速度、界面活性剤の添加量などを調節
することにより達成できる。
了後、40〜80℃で、数十分〜数時間行われる。この反応
では、架橋ポリメタクリレートの分子内でポリメタクリ
レートが形成するものと考えられる。かくして生成する
アクリル系樹脂粉末は、常法によって容易に単離でき
る。なおこの粉末の平均粒子径は20〜200 μmであるの
が好ましい。このような粒子径を得るには、主に、第1
工程における攪拌速度、界面活性剤の添加量などを調節
することにより達成できる。
【0013】ここで第1工程で架橋ポリマーを作製し、
第2工程で非架橋ポリマーを架橋ポリマー分子内に形成
することが重要で、これとは逆に第1工程で非架橋ポリ
マーを作製し、第2工程で非架橋ポリマー分子内に架橋
ポリマーを作製しても、餅状期間の所望の延長化は認め
られない。
第2工程で非架橋ポリマーを架橋ポリマー分子内に形成
することが重要で、これとは逆に第1工程で非架橋ポリ
マーを作製し、第2工程で非架橋ポリマー分子内に架橋
ポリマーを作製しても、餅状期間の所望の延長化は認め
られない。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の実施例で説明する。
【0015】実施例1 内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに部分
けん化型ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−20
日本合成化学工業株式会社製)1重量%水溶液1000
g、およびエチレングリコールジメタクリレート0.05
g、過酸化ベンゾイル0.25g、メタクリル酸メチル50g
の混合物を仕込み、空間部を窒素置換した後、攪拌下60
℃に加熱して3時間保持し架橋ポリマーを作製した。得
られた架橋ポリマーは平均粒子径59μm、重合転化率91
%であり、未重合分は液体クロマトグラフによって過酸
化ベンゾイルおよびその分解生成物とメタクリル酸メチ
ルで、エチレングリコールジメタクリレートの未重合分
は残存しないことが確認された。またゲル分率は90%で
あり、生成ポリマーのほぼ全量が架橋していることも確
認された。
けん化型ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−20
日本合成化学工業株式会社製)1重量%水溶液1000
g、およびエチレングリコールジメタクリレート0.05
g、過酸化ベンゾイル0.25g、メタクリル酸メチル50g
の混合物を仕込み、空間部を窒素置換した後、攪拌下60
℃に加熱して3時間保持し架橋ポリマーを作製した。得
られた架橋ポリマーは平均粒子径59μm、重合転化率91
%であり、未重合分は液体クロマトグラフによって過酸
化ベンゾイルおよびその分解生成物とメタクリル酸メチ
ルで、エチレングリコールジメタクリレートの未重合分
は残存しないことが確認された。またゲル分率は90%で
あり、生成ポリマーのほぼ全量が架橋していることも確
認された。
【0016】架橋ポリマーの重合後、常温まで冷却した
のち攪拌下、過酸化ベンゾイル1.75g 、メタクリル酸メ
チル50g の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後も
引き続いて10時間常温下で攪拌を行った。100 倍に拡大
して観察したところポリマー粒子以外は見られず、滴下
した混合物は粒子内部に吸収、拡散したものと考えられ
る。空間部を窒素置換した後、攪拌下60℃に加熱してメ
タクリル酸メチル300gを100g/ 時間の速度で定量添加し
重合を進め、メタクリル酸メチルの添加終了後、6 時間
60℃を保持して重合を終了させた。重合終了後、30℃ま
で冷却して懸濁物を取り出し、濾別、水洗、風乾して平
均粒子径121μm、重合転化率95%、ゲル分率11%のポ
リメタクリル酸メチル粉末を得た。試験結果を表1に示
す。
のち攪拌下、過酸化ベンゾイル1.75g 、メタクリル酸メ
チル50g の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後も
引き続いて10時間常温下で攪拌を行った。100 倍に拡大
して観察したところポリマー粒子以外は見られず、滴下
した混合物は粒子内部に吸収、拡散したものと考えられ
る。空間部を窒素置換した後、攪拌下60℃に加熱してメ
タクリル酸メチル300gを100g/ 時間の速度で定量添加し
重合を進め、メタクリル酸メチルの添加終了後、6 時間
60℃を保持して重合を終了させた。重合終了後、30℃ま
で冷却して懸濁物を取り出し、濾別、水洗、風乾して平
均粒子径121μm、重合転化率95%、ゲル分率11%のポ
リメタクリル酸メチル粉末を得た。試験結果を表1に示
す。
【0017】
【表1】
【0018】実施例2 内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに部分
けん化型ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−20
日本合成化学工業株式会社製)1重量%水溶液1000
g、およびトリメチロールプロパントリメタクリレート
0.25g、過酸化ベンゾイル2.5g、メタクリル酸メチル50
gの混合物を仕込み、空間部を窒素置換した後、攪拌下
60℃に加熱して3時間保持し架橋ポリマーを作製した。
架橋ポリマーの重合に引き続いて、メタクリル酸メチル
450 gを 100g/時間の速度で定量添加し重合を進め、
メタクリル酸メチルの添加終了後 6時間、60℃を保持し
て重合を終了させた。得られたポリメタクリ酸メチル粉
末は平均粒子径133 μm、重合転化率94%であった。試
験結果を表1に示す。
けん化型ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−20
日本合成化学工業株式会社製)1重量%水溶液1000
g、およびトリメチロールプロパントリメタクリレート
0.25g、過酸化ベンゾイル2.5g、メタクリル酸メチル50
gの混合物を仕込み、空間部を窒素置換した後、攪拌下
60℃に加熱して3時間保持し架橋ポリマーを作製した。
架橋ポリマーの重合に引き続いて、メタクリル酸メチル
450 gを 100g/時間の速度で定量添加し重合を進め、
メタクリル酸メチルの添加終了後 6時間、60℃を保持し
て重合を終了させた。得られたポリメタクリ酸メチル粉
末は平均粒子径133 μm、重合転化率94%であった。試
験結果を表1に示す。
【0019】実施例3 エチレングリコールジメタクリレート0.03gを用い、架
橋ポリマーの重合に引き続いて添加するメタクリル酸メ
チルを150 gとする以外は実施例2と同様に重合を行
い、平均粒子径 112μm、重合転化率92%、ゲル分率22
%のポリメタクリル酸メチル粉末を得た。試験結果を表
1に示す。
橋ポリマーの重合に引き続いて添加するメタクリル酸メ
チルを150 gとする以外は実施例2と同様に重合を行
い、平均粒子径 112μm、重合転化率92%、ゲル分率22
%のポリメタクリル酸メチル粉末を得た。試験結果を表
1に示す。
【0020】比較例1 懸濁重合により、平均粒子径119 μm、重合転化率97
%、重量平均分子量103万(GPC法 標準ポリスチレ
ン較正)のポリメタクリル酸メチル粉末を得た。試験結
果を表1に示す。
%、重量平均分子量103万(GPC法 標準ポリスチレ
ン較正)のポリメタクリル酸メチル粉末を得た。試験結
果を表1に示す。
【0021】比較例2 エチレングリコールジメタクリレートを0.2 重量%含ん
だメタクリル酸メチルを懸濁重合することによって平均
粒子径122 μm、重合転化率95%、ゲル分率95%の架橋
ポリメタクリル酸メチル粉末を得た。この架橋ポリメタ
クリル酸メチル粉末と比較例1のポリメタクリル酸メチ
ル粉末を重量比1/ 4で混合し,試験に供した。試験結
果を表1に示す。
だメタクリル酸メチルを懸濁重合することによって平均
粒子径122 μm、重合転化率95%、ゲル分率95%の架橋
ポリメタクリル酸メチル粉末を得た。この架橋ポリメタ
クリル酸メチル粉末と比較例1のポリメタクリル酸メチ
ル粉末を重量比1/ 4で混合し,試験に供した。試験結
果を表1に示す。
【0022】(試験・評価方法の説明) 1.餅状・可使時間 ポリマー粉末50gと、メタクリル酸メチル19g、エチレ
ングリコールジメタクリレート1g、過酸化ベンゾイル
0.2 gからなる液剤をガラス容器に液、粉の順番に入れ
蓋をし、軽く振動を与えて粉液を馴染ませる。このレジ
ン泥の一部を取り出し、内径13mm、容積2cm3 のステン
レス製円筒多数個に入れ円柱状レジンとする。混和開始
より5分乃至10分毎に円柱状のレジンジンの拡がり直径
を読み取る。レジン直径35mmの時点を餅状化開始とし、
35〜28mmを可使時間とした。試験環境は23±2℃、RH
50% 2.抗折たわみ試験、折損荷重 先の粉液混合、餅状化物を石膏型に填入し、70℃の水中
1.5 時間加熱した後、沸騰水中で30分間加熱して得られ
た成形体を試料片とし、JIST6501に準じて行った。
また、5kgf以降も荷重を増やし続け、折損する荷重を
求め、試料片10個で平均を取り折損荷重とした。
ングリコールジメタクリレート1g、過酸化ベンゾイル
0.2 gからなる液剤をガラス容器に液、粉の順番に入れ
蓋をし、軽く振動を与えて粉液を馴染ませる。このレジ
ン泥の一部を取り出し、内径13mm、容積2cm3 のステン
レス製円筒多数個に入れ円柱状レジンとする。混和開始
より5分乃至10分毎に円柱状のレジンジンの拡がり直径
を読み取る。レジン直径35mmの時点を餅状化開始とし、
35〜28mmを可使時間とした。試験環境は23±2℃、RH
50% 2.抗折たわみ試験、折損荷重 先の粉液混合、餅状化物を石膏型に填入し、70℃の水中
1.5 時間加熱した後、沸騰水中で30分間加熱して得られ
た成形体を試料片とし、JIST6501に準じて行った。
また、5kgf以降も荷重を増やし続け、折損する荷重を
求め、試料片10個で平均を取り折損荷重とした。
【0023】
【表2】 表1から、本発明の製造方法によるアクリル系樹脂粉末
は、強度等を損なうことなく、填入に適した餅状、可使
時間が3〜4時間と飛躍的に延長されることがわかる。
は、強度等を損なうことなく、填入に適した餅状、可使
時間が3〜4時間と飛躍的に延長されることがわかる。
【0024】比較例3 本比較例においては製造手順をかえ、非架橋ポリマーを
重合した後、架橋ポリマーを重合する例を示す。
重合した後、架橋ポリマーを重合する例を示す。
【0025】内容量2lit.のステンレス製オートクレー
プに部分けん化型ポリビニルアルコール(ゴーセノール
GH−20 日本合成化学工業株式会社製)1重量%水溶
液1000g、および比較例1で得た平均粒子径119 μm重
量転化率97%重量平均分子量103 万(GPC表 標準ポ
リスチレン較正)のポリメタクリル酸メチル粉末を仕込
み、常温下で攪拌し分散させた後、引き続いてメタクリ
ル酸メチル50g、エチレングリコールジメタクリレート
0.1 g、過酸化ベンゾイル0.25gの混合物を滴下し、滴
下終了後10時間常温下で攪拌を行った。100 倍に拡大し
て観察したところポリマー粒子以外は見られず、滴下混
合物は粒子内部に吸収・拡散したものと考えられる。空
間部は窒素置換した後、攪拌下60℃に加熱して6時間保
持して重合を終了させた。重合終了後、30℃まで冷却し
て懸濁物を取り出し、濾別・水洗し風乾して平均粒子径
124 μm重合転化率98%ゲル分率9%のポリメタクリル
酸メチル粉末を得た。試験結果を表2に示す。
プに部分けん化型ポリビニルアルコール(ゴーセノール
GH−20 日本合成化学工業株式会社製)1重量%水溶
液1000g、および比較例1で得た平均粒子径119 μm重
量転化率97%重量平均分子量103 万(GPC表 標準ポ
リスチレン較正)のポリメタクリル酸メチル粉末を仕込
み、常温下で攪拌し分散させた後、引き続いてメタクリ
ル酸メチル50g、エチレングリコールジメタクリレート
0.1 g、過酸化ベンゾイル0.25gの混合物を滴下し、滴
下終了後10時間常温下で攪拌を行った。100 倍に拡大し
て観察したところポリマー粒子以外は見られず、滴下混
合物は粒子内部に吸収・拡散したものと考えられる。空
間部は窒素置換した後、攪拌下60℃に加熱して6時間保
持して重合を終了させた。重合終了後、30℃まで冷却し
て懸濁物を取り出し、濾別・水洗し風乾して平均粒子径
124 μm重合転化率98%ゲル分率9%のポリメタクリル
酸メチル粉末を得た。試験結果を表2に示す。
【0026】
【表3】 表2のように、ポリマー粒子内に架橋ポリマーと非架橋
ポリマーが共存していても重合の順序により効果は異な
り、本発明の第一段階で架橋ポリマー粒子を作成し第二
段階で非架橋ポリマーを共存させたポリメタクリル酸メ
チル粉末にしか効果は発現しない。
ポリマーが共存していても重合の順序により効果は異な
り、本発明の第一段階で架橋ポリマー粒子を作成し第二
段階で非架橋ポリマーを共存させたポリメタクリル酸メ
チル粉末にしか効果は発現しない。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、機械的強度
や諸物性を損なうことなく、型に填入するのに最適な粉
剤と液剤の混合物の状態(餅状状態)を長時間保持す
る、粉/液2剤からなる義歯床用樹脂組成物を構成しう
る歯科用アクリル系樹脂粉末を提供する。これは、技工
操作の効率化およびコストの低減に効果をもたらすもの
である。
や諸物性を損なうことなく、型に填入するのに最適な粉
剤と液剤の混合物の状態(餅状状態)を長時間保持す
る、粉/液2剤からなる義歯床用樹脂組成物を構成しう
る歯科用アクリル系樹脂粉末を提供する。これは、技工
操作の効率化およびコストの低減に効果をもたらすもの
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 メタクリル酸エステルを0.01〜0.5 モル
%の2官能以上の架橋性モノマーと重合開始剤の存在下
に懸濁重合させる第1工程と、第1工程で得られた架橋
ポリマーに懸濁下でメタクリル酸エステルを添加して重
合さす第2工程によって、アクリル系樹脂粉末を得るこ
とを特徴とするアクリル系樹脂粉末の製造方法。 - 【請求項2】 第1工程におけるメタクリル酸エステル
と第2工程におけるメタクリル酸エステルの使用割合が
5:95〜45:55(重量比)である請求項第1項に記載の
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3255142A JP2723398B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | アクリル系樹脂粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3255142A JP2723398B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | アクリル系樹脂粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0593004A JPH0593004A (ja) | 1993-04-16 |
JP2723398B2 true JP2723398B2 (ja) | 1998-03-09 |
Family
ID=17274675
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3255142A Expired - Lifetime JP2723398B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | アクリル系樹脂粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2723398B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3917052B2 (ja) * | 2002-10-16 | 2007-05-23 | 信和化工株式会社 | コポリマー、これを用いた吸着剤又は濃縮媒体、固相マイクロ抽出用注射針 |
-
1991
- 1991-10-02 JP JP3255142A patent/JP2723398B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0593004A (ja) | 1993-04-16 |
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