JP2902524B2 - 透明性に優れた複合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

透明性に優れた複合体組成物およびその製造方法

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JP2902524B2
JP2902524B2 JP25474992A JP25474992A JP2902524B2 JP 2902524 B2 JP2902524 B2 JP 2902524B2 JP 25474992 A JP25474992 A JP 25474992A JP 25474992 A JP25474992 A JP 25474992A JP 2902524 B2 JP2902524 B2 JP 2902524B2
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直己 山本
章 中田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた透明性、剛性、
靱性および耐熱性を有する複合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、有機重合体は剛性、硬度、耐熱
性が低い。このような点を克服する試みの一つとして、
無機物との複合化がこれまで多く検討されている。例え
ば、アクリル系樹脂溶液に、アルコキシシラン類の重縮
合により得られるシリカ系化合物やコロイダルシリカを
分散させたものを表面硬化用の塗膜として用いる方法が
数多く提案されている(特開昭53−11952号、特
開昭53−11989号等)。
【0003】しかしながら、汎用のプラスチック基材に
このようなコーティングを行った場合、高硬度、高耐摩
耗性の塗膜は得られるが、剛性の向上は殆ど望めない。
また、数十μ程度の塗膜厚であれば透明性は良好である
が、それ以上の膜厚とすると、透明性は著しく悪くな
る。
【0004】一方、J.Mater.Res.,Vo
l.4,p.1018(1989)には、孔径を調節し
た多孔質シリカゲルにメチルメタクリレート単量体を含
浸させた後、重合させることにより透明性に優れたシリ
カゲル−ポリメチルメタクリレート複合体が得られると
いう記載がある。しかしながら、この方法は工程が繁雑
であり、工業的製法としては不向きである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
重合体が本来有する優れた透明性、靱性、低比重、良加
工性を損なうことなく、高剛性および耐熱性が付与され
た有機重合体を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的を達成すべく鋭意検討した結果、ラジカル重合性ビニ
ル化合物とケイ酸オリゴマーとを均一に混合し重合させ
て複合体組成物とすることによって、所期の目的を達成
し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0007】本発明の複合体組成物は、ラジカル重合性
ビニル化合物(a)を、水ガラスまたはメタケイ酸ソー
ダから調製されたケイ酸オリゴマー(b)の存在下で重
合させて得られる複合体組成物、またはコロイド状シリ
カ(c)の存在下で、水ガラスまたはメタケイ酸ソーダ
から調製されたケイ酸オリゴマー(b)を縮重合させて
得られるシリカ系縮重合体の存在下で、ラジカル重合性
ビニル化合物(a)を重合させて得られる複合体組成物
である。
【0008】また本発明の製造方法は、ラジカル重合性
ビニル化合物(a)またはその部分重合体(a’)中
に、水ガラスまたはメタケイ酸ソーダから調製された
イ酸オリゴマー(b)を溶解した混合溶液を調製する第
1工程、次いで、ケイ酸オリゴマー(b)の縮合反応と
成分(a)または(a’)のラジカル重合を実施する第
2工程からなる複合体組成物の製造方法、または表面が
水ガラスまたはメタケイ酸ソーダから調製されたケイ酸
オリゴマーで化学修飾されたコロイド状シリカ粒子とラ
ジカル重合性ビニル化合物(a)またはその部分重合体
(a’)とを含む混合溶液を調製する第1工程、次い
で、ケイ酸オリゴマーの縮合反応と成分(a)または
(a’)のラジカル重合を実施する第2工程からなる複
合体組成物の製造方法である。
【0009】
【作用】コロイド状シリカ(c)を使用しない場合の本
発明の複合体組成物においては、ラジカル重合性ビニル
化合物(a)中に均一に混合されたケイ酸オリゴマー
(b)が、ラジカル重合性ビニル化合物の重合時にシリ
カ骨格を形成し、更にラジカル重合性ビニル化合物の重
合体とセミIPN(Interpenetrating Network) 構造を
形成するため、極めて良好な剛性、靱性および耐熱性が
発現する。
【0010】言い替えるならば、本発明の複合体組成物
は、ラジカル重合性ビニル化合物(a)の重合体と、こ
のケイ酸オリゴマー(b)を更に縮重合した縮重合体等
とを主成分として成り、その両成分(化合物(a)の重
合体およびケイ酸オリゴマー(b)の更なる縮重合体)
が均質に相容してなるものともいえる。
【0011】また、コロイド状シリカ(c)を更に含有
させた場合も、ラジカル重合性ビニル化合物(a)中に
均一に分散したコロイド状シリカ粒子同士を、重合時に
ケイ酸オリゴマーが結合させ、シリカ骨格を形成し、更
に上述と同様にセミIPN構造が形成され、同様の良好
な物性が得られる。
【0012】本発明に用いられるラジカル重合性ビニル
化合物(a)としては、公知のラジカル重合可能な単量
体が使用される。例えばメチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸
エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イ
タコン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水
イタコン酸等の酸無水物;N−フェニルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミ
ド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート等のヒドロキシ基含有単量体;アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチル
アミノエチルメタクリレート等の窒素含有単量体;アリ
ルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;スチ
レン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチ
レングリコールジアクリレート、エチレングリコールジ
メタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリ
レート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパント
リアクリレート等の架橋剤等が挙げられる。これらのう
ち、好ましいのはケイ酸オリゴマーとの相容性に優れる
親水性基を有するラジカル重合性ビニル化合物である。
親水性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、
テトラヒドロフルフリル基、ピロリドン基、ピリジン基
等が例示され、具体的化合物としては、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレー
ト、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリル酸、
メタクリル酸等が挙げられる。これらの中で最も好まし
い化合物はヒドロキシル基を有する化合物であり、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げら
れる。
【0013】本発明で使用されるケイ酸オリゴマー
(b)としては、水ガラスまたはメタケイ酸ソーダから
調製されたものが適当である。水ガラスまたはメタケイ
酸ソーダからの調製方法は、一般的に行なわれている手
法が用いられ、例えば水ガラスまたはメタケイ酸ソーダ
を水により希釈しイオン交換樹脂によりナトリウムイオ
ンを除く方法、または水ガラスまたはメタケイ酸ソーダ
を水により希釈し過剰の塩酸を用いて酸性にした後テト
ラヒドロフラン等の有機溶媒で抽出する方法などが挙げ
られる。
【0014】このケイ酸オリゴマー(b)は、下記の繰
返し単位(I)から成る直鎖状、分枝状またはハシゴ状
の構造を有し、分子量数百〜数万の部分縮重合体であ
る。この縮重合体の分子構造は、例えば下記の構造(I
I)、(III) で示される。
【0015】
【化1】 この様にケイ酸系化合物から得られるケイ酸オリゴマー
(b)は、その外表面にはOH基が残存する。したがっ
て、先に述べた様にラジカル重合性ビニル化合物(a)
としては、ケイ酸オリゴマー(b)との相容性の点から
親水性基を有するものが好ましいのである。
【0016】本発明の複合体組成物におけるラジカル重
合性ビニル化合物(a)とケイ酸オリゴマー(b)(固
形分)の使用量の比は、ラジカル重合性ビニル化合物
(a)1〜99重量部に対してケイ酸オリゴマー(b)
99〜1重量部の割合とされることが好ましい。より好
ましい使用量の比は、ラジカル重合性ビニル化合物
(a)10〜90重量部に対してケイ酸オリゴマー
(b)90〜10重量部であり、特に好ましい使用量の
比は、ラジカル重合性ビニル化合物(a)30〜80重
量部に対してケイ酸オリゴマー(b)70〜20重量部
である。ケイ酸オリゴマー(b)の使用量の割合が10
〜90重量部の場合に本発明の効果を十分発揮させるこ
とができる。
【0017】本発明の複合体組成物においては、更に、
コロイド状シリカ(c)分散系を含有することができ
る。コロイド状シリカ(c)としては、各種の市販品が
使用できる。コロイド状シリカ(c)の平均粒径は、通
常1nm〜1μmであるが、特に限定されるものではな
い。しかし、好ましい平均粒径は5nm〜500nmで
ある。
【0018】コロイド状シリカの分散媒は、特に限定さ
れないが、通常、水;メタノール、イソプロピルアルコ
ールのようなアルコール類;セロソルブ類;ジメチルア
セトアミド等が使用される。特に好ましい分散媒は、ア
ルコール類、セロソルブ類および水である。
【0019】本発明の複合体組成物がコロイド状シリカ
(c)を含有する場合、各成分の配合量は特に限定され
ないが、コロイド状シリカ(c)(固形分)100重量
部に対して、ラジカル重合性ビニル化合物(a)は5〜
1000重量部が好ましく、20〜200重量部がより
好ましく、ケイ酸オリゴマー(b)(固形分)は5〜1
00重量部が好ましく、10〜50重量部がより好まし
い。
【0020】本発明の複合体組成物は、SiO2 分含量
が10重量%以上で板厚3mmにおいて測定した曇価が
5%以下である。電子顕微鏡写真によれば、20万倍の
倍率においてもシリカ微粒子は見られない。このこと
は、本発明の複合体組成物中のラジカル重合性ビニル化
合物(a)の重合体がケイ酸オリゴマー(b)から形成
されるシリカ骨格中に組み込まれ、両者が分子レベルで
相容化していることを意味しており、優れた透明性の発
現を可能にしている。通常の市販のシリカ微粉末を分散
させた複合体組成物では、SiO2 分含量が10重量%
以上で板厚3mmにおいて測定した曇価が大きく、電子
顕微鏡写真においても数千倍の倍率でシリカ微粒子がは
っきりと認められる。
【0021】本発明の複合体組成物がコロイド状シリカ
(c)を含有する場合においても、電子顕微鏡写真によ
れば、コロイド状シリカ粒子が非常に均一に、凝集する
ことなく分散していることがわかる。このことは、本発
明の複合体組成物中のコロイド状シリカ粒子がケイ酸オ
リゴマー(b)から形成されるシリカ骨格中に組み込ま
れ、ラジカル重合性ビニル化合物(a)の重合体と分子
レベルで相容化していることを意味しており、優れた透
明性の発現を可能にしている。
【0022】本発明の製造方法は、基本的にはラジカル
重合性ビニル化合物(a)とケイ酸オリゴマー(b)と
の混合溶液を調製する第1工程、および成分(b)の縮
合反応と成分(a)のラジカル重合を実施する第2工程
からなる。なお、第1工程の段階で成分(b)の縮合反
応はある程度進行してもよい。また、ラジカル重合性ビ
ニル化合物(a)の部分重合体(a’)を用いることも
できる。
【0023】具体的には、本発明の複合体組成物を得る
方法は特に限定されるものではないが、従来より知られ
ている鋳込み重合法によって製造するのが好ましい。鋳
込み重合法を例示すると、まず、単量体又は部分重合体
としてのラジカル重合性ビニル化合物(a)または
(a’)とケイ酸オリゴマー(b)の混合物に、所望の
ラジカル重合開始剤を添加し、これを鋳込み原料とす
る。
【0024】両成分の混合は、ケイ酸オリゴマー(b)
溶液に、成分(a)を直接混合した後溶媒を除去する方
法、あるいは成分(b)の溶媒を除去しつつ成分(a)
を添加する方法等によって行われる。これにより該溶媒
の全部または一部が成分(a)で置換されることとな
る。すなわち、成分(b)を固体として析出させない状
態で両成分の混合溶液を調製することが重要である。な
お、ここでいう混合溶液とは、成分(b)が成分(a)
中に均一に溶解している状態であればその粘度は問題と
されず、ゲル状物のような状態を呈するものであっても
よい。
【0025】ケイ酸オリゴマー(b)の溶媒としては、
上述の様に成分(a)と置換可能なものであればよく特
に限定されない。具体的には、例えば、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等の水溶性エーテル類;tert−ブ
チルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル類が挙げられる。
【0026】また、コロイド状シリカを用いる場合は、
まずケイ酸オリゴマー溶液とコロイド状シリカ分散液を
混合して、表面がケイ酸オリゴマーで化学修飾されたコ
ロイド状シリカを得て、次いでこの混合液と成分(a)
との混合溶液を調製する第1工程などが採用される。こ
の第1工程の段階でコロイド状シリカの表面上にあるケ
イ酸オリゴマーの縮合反応はある程度進行していてもよ
い。また、混合溶液中には遊離したケイ酸オリゴマーが
存在していてもよい。
【0027】第1工程の混合溶液の調製法としては、成
分(a)を混合してから溶媒を留去する方法または溶媒
を留去しつつ成分(a)を添加する方法等が採用され
る。
【0028】第2工程は前述と同様であり、公知の鋳込
み重合法で製造すればよい。上述した様に溶媒の全部ま
たは一部を成分(a)で置換するとよいが、この場合も
同様に成分(b)を固体として析出させない状態で混合
溶液を調製することが重要である。
【0029】本発明において、ラジカル重合性ビニル化
合物(a)としては、通常は単量体が用いられるが、成
分(a)の部分重合体、即ち成分(a)の重合体1〜2
0重量程度を含有する単量体と重合体との混合物を用い
ることもできる。
【0030】ここで使用されるラジカル重合開始剤とし
ては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾ
イル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、及びレドッ
クス系の重合開始剤を挙げることができる。
【0031】この鋳込み原料を、周辺をガスケットでシ
ールした対向させた2枚の表面処理された無機ガラス板
又は金属板の間に注入して加熱する方法(セルキャスト
法)や同一方向に同一速度で進行する片面鏡面研摩され
た2枚のステンレス鋼製エンドレスベルトとガスケット
とでシールされた空間の上流から連続的に上記の鋳込原
料を注入して加熱する方法(連続キャスト法)などによ
って鋳込み重合することができる。なお、本発明の複合
体組成物を製造する際の重合硬化温度は、一般には40
〜150℃である。
【0032】さらに本発明の好都合な工程のいずれかに
おいて、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、紫
外線吸収剤、熱安定剤、離型剤等の添加剤を混合して用
いることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるもの
ではない。以下の実施例において「部」は特記の無い限
り「重量部」を意味する。
【0034】なお、透明性は、積分球式ヘーズメーター
(日本精密光学製、SEP−H−SS)を使用して、A
STM D1003に準じて全光線透過率および曇価を
測定した。耐熱性は、試料を130℃で60時間アニー
ル後、ASTM D648に準じて熱変形温度(HD
T)を測定した。強度は、試料を130℃で60時間ア
ニール後、ASTM D790に準じて曲げ試験を行
い、曲げ破壊強度および曲げ弾性係数を測定した。
【0035】<合成例>36%塩酸1000部を脱イオ
ン水2000部に溶かした溶液に、メタケイ酸ナトリウ
ム9水和物1200部を脱イオン水3000部に溶かし
た溶液を20℃以下に保ちながら滴下した。滴下終了
後、1.5時間室温で撹拌した後、テトラヒドロフラン
3000部および塩化ナトリウム1800部を加えて1
時間激しく撹拌した。その後、溶液を静置し、上層(有
機層)を分離し無水硫酸ナトリウム600部を入れ乾燥
した。固形分を濾別後、減圧下で濃縮してケイ酸オリゴ
マーのテトラヒドロフラン溶液(固形分20重量%)と
した。
【0036】<実施例1>攪拌羽根付きガラス製フラス
コに、合成例で得たケイ酸オリゴマーのテトラヒドロフ
ラン溶液(固形分20重量%)200部および2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略)1
60部を加え、1時間攪拌した。その後、真空ポンプで
減圧下、揮発分を完全に留去し総量200部[固形分
(シリカ分)20重量%]とした。
【0037】この混合溶液150部に、重合開始剤とし
て2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AI
BNと略)0.15部を溶解させた後、減圧にして溶存
空気を除去し、ガスケットおよび2枚のステンレス製鋼
板により形成され、あらかじめ厚さ3mmになるよう設
定されたセル中に注いだ。その後80℃において2時
間、130℃において2時間重合を行い、キャスト板を
得た。得られたキャスト板の物性の評価結果を表1に示
した。
【0038】<実施例2〜4>ラジカル重合性ビニル化
合物(a)および合成例で得られたケイ酸オリゴマー
(b)のテトラヒドロフラン溶液の種類と量、及び混合
溶液中の固形分を表1に示したように変えたことを除い
ては、実施例1と全く同様にしてキャスト板を得た。得
られたキャスト板の物性の評価結果を表1に示した。
【0039】<比較例1>HEMA150部にAIBN
を0.15部溶解させ、実施例1と同様な方法で重合を
行い、キャスト板を得た。得られたキャスト板の物性の
評価結果を表1に示した。
【0040】<比較例2>HEMA160部に、シリカ
微粉末(日本アエロジル (株) 製、商品名アエロジルR
−972、平均粒径16nm)40部を攪拌しながら加
え、均一に分散させた。
【0041】この溶液150部に、AIBNを0.15
部溶解させた後、実施例1と全く同様の方法で重合させ
キャスト板を得た。得られたキャスト板の物性の評価結
果を表1に示した。
【0042】
【表1】 <実施例5>攪拌羽根付きガラス製フラスコに、合成例
で得たケイ酸オリゴマーのテトラヒドロフラン溶液(固
形分20重量%)75部およびイソプロピルアルコール
分散コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、触媒化
成工業 (株) 製、商品名OSCAL−1432)200
部を入れ、1時間室温で攪拌した。その後、HEMA9
0部を加えてロータリーエバポレータで減圧下40℃で
揮発分を留去しながらメチルメタクリレート(以下、M
MAと略)を揮発分の留去と同じ速度で加え、最後に溶
媒をMMAで完全に置換し、濃縮して総量185部[固
形分(シリカ分)40重量%]とした。
【0043】この混合溶液150部に、AIBNを0.
15部を加え、実施例1と全く同様の方法で重合させキ
ャスト板を得た。得られたキャスト板の物性の評価結果
を表2に示した。
【0044】<実施例6> 攪拌羽根付きガラス製フラスコに、合成例で得たケイ酸
オリゴマーのテトラヒドロフラン溶液(固形分20重量
%)75部および実施例5で用いたものと同じイソプロ
ピルアルコール分散コロイド状シリカ200部を入れ、
1時間室温で攪拌した。その後、HEMA110部を加
え真空ポンプで揮発分を完全に留去し総量185部[固
形分(シリカ分)40重量%]とした。
【0045】この混合溶液150部に、AIBNを0.
15部加え、実施例1と全く同様の方法で重合させキャ
スト板を得た。得られたキャスト板の物性の評価結果を
表2に示した。
【0046】<実施例7> 攪拌羽根付きガラス製フラスコに、合成例で得たケイ酸
オリゴマーのテトラヒドロフラン溶液(固形分20重量
%)75部及び水分散コロイド状シリカ(シリカ含量2
0重量%、日産化学工業 (株) 製、商品名スノーテック
ス−O)300部を入れ、1時間室温で攪拌した。HE
MA110部を加えた後、水を共沸させるため、エチル
セロソルブ150部を加えて、ロータリーエバポレータ
で減圧下40℃で揮発分を留去し、更に真空ポンプで揮
発分を完全に留去し総量185部[固形分(シリカ分)
40重量%]とした。
【0047】この混合溶液150部に、AIBNを0.
15部加え、実施例1と全く同様の方法で重合させキャ
スト板を得た。得られたキャスト板の物性の評価結果を
表2に示した。
【0048】<実施例8及び9>ラジカル重合性ビニル
化合物(a)、コロイド状シリカ(c)、合成例で得ら
れたケイ酸オリゴマー(b)のテトラヒドロフラン溶液
の種類と量、及び混合溶液中の固形分を表2に示したよ
うに変えたことを除いては、実施例5と全く同様にして
キャスト板を得た。得られたキャスト板の物性の評価結
果を表2に示した。
【0049】<比較例3>実施例5で用いたものと同じ
イソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ100部
を、ロータリーエバポレータで減圧下40℃で揮発分を
留去しながらMMAを揮発分の留去と同じ速度で加え、
溶媒をMMAで完全に置換して固形分30重量%の溶液
を得ようと試みたが、完全に置換する前に急に溶液粘度
が上がってゲル化し、重合操作ができなくなった。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明により、優れた透明性、耐熱性、
剛性および靱性を有する複合体組成物が提供された。こ
の複合体組成物は、従来無機ガラスが使われていた用
途、すなわち家屋や車輌の窓ガラスなど種々の用途に有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 博之 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社中央研究所内 (56)参考文献 Macromolecules,VO L.24,No.19,1991 p.5481− 5483 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 292/00 C08F 2/44 CA(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル重合性ビニル化合物(a)を、
    水ガラスまたはメタケイ酸ソーダから調製されたケイ酸
    オリゴマー(b)の存在下で重合させて得られる複合体
    組成物。
  2. 【請求項2】 コロイド状シリカ(c)の存在下で、水
    ガラスまたはメタケイ酸ソーダから調製されたケイ酸オ
    リゴマー(b)を縮重合させて得られるシリカ系縮重合
    体の存在下で、ラジカル重合性ビニル化合物(a)を重
    合させて得られる複合体組成物。
  3. 【請求項3】 ラジカル重合性ビニル化合物(a)が、
    親水性基を有するラジカル重合性ビニル化合物を主成分
    として含む請求項1または2記載の複合体組成物。
  4. 【請求項4】 SiO2 分含量が10重量%以上でかつ
    板厚3mmで測定した曇価が5%以下である請求項1ま
    たは2記載の複合体組成物。
  5. 【請求項5】 ラジカル重合性ビニル化合物(a)また
    はその部分重合体(a’)中に、水ガラスまたはメタケ
    イ酸ソーダから調製されたケイ酸オリゴマー(b)を溶
    解した混合溶液を調製する第1工程、次いで、ケイ酸オ
    リゴマー(b)の縮合反応と成分(a)または(a’)
    のラジカル重合を実施する第2工程からなる複合体組成
    物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ケイ酸オリゴマー(b)を溶媒に溶解し
    た溶液に成分(a)または(a’)を混合した後、この
    混合液から成分(b)の溶媒を留去することにより前記
    混合溶液を調製する請求項記載の複合体組成物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 ケイ酸オリゴマー(b)を溶媒に溶解し
    た溶液から該溶媒を留去しつつ成分(a)または
    (a’)を添加することにより前記混合溶液を調製する
    請求項記載の複合体組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 第1工程の混合溶液中に、更に表面がケ
    イ酸オリゴマーで化学修飾されたコロイド状シリカ粒子
    を含有させる請求項記載の複合体組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 表面が水ガラスまたはメタケイ酸ソーダ
    から調製されたケイ酸オリゴマーで化学修飾されたコロ
    イド状シリカ粒子とラジカル重合性ビニル化合物(a)
    またはその部分重合体(a’)とを含む混合溶液を調製
    する第1工程、次いで、ケイ酸オリゴマーの縮合反応と
    成分(a)または(a’)のラジカル重合を実施する第
    2工程からなる複合体組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 第1工程の混合溶液の調製段階でケイ
    酸オリゴマーの縮合反応を部分的に進行させる請求項
    またはの何れかの項に記載の複合体組成物の製
    造方法。
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