JP2717128C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、極めて嵩高性に富み且つスパン糸調の風合を示す新感性の織編物を
得るポリエステル系異収縮混織糸に関する。 (従来の技術) 高収縮糸と低収縮糸とのポリエステルの混繊糸はその収縮差を利用し、織編物
にフクラミ(嵩高性)を付与し、更にアルカリ減量加工とを組合わせることによ
って繊維間、組織のルーズ化を図り絹の風合に近い織編製品を提供するものであ
り、既に市販されている。しかしながら、こうした従来の織編品はフクラミが充
分でなく、単に絹に近づいたというに過ぎず、そのため絹を超えるフクラミ、或
いは全く新規な風合の織編物を開発することが強く要望されている。 (発明が解決しようとする課題) 本発明は従来のポリエステル異収縮混繊糸による織編物の不充分なフクラミを
更に増加させて絹以上とすると共に、それにより新たな高級感のある風合を有す
る織編物が得られるポリエステル系異収縮混繊糸を提供するものである。 従来のポリエステル異収縮混繊糸がフクラミに乏しい織編しか得られなかった
理由は、混繊糸を構成する高収縮フィラメントと低収縮フィラメントの織、染色
仕上加工における高次加工時の加熱工程において、熱収縮率の差が高次加工を経
る毎に小さくなり、最終仕上段階では大巾に熱収縮差が小さくなり、バルクが減
少することにあった。所謂、ヘタリ現象があるためである。 一般的に高次加工においては、織物を例にとると経糸は糊付乾燥工程で120 ℃
程度の乾燥用の熱を受け、原糸の特に高収縮フィラメントの収縮率が低下する。
例えば、ポリエチレンテレフタレートの高収縮マルチフィラメント延伸糸を、糊
付乾燥工程条件を想定して、90cm熱板に接触させ、糸速100m/min、熱板温度120
℃、糸張力0.1g/dで熱処理した時の沸水収縮率は、熱処理前の17.0%に対し6.0
%にまで低下する。一方、低収縮フィラメントの沸水収縮率は5〜6%が一般的
であって、従って両収縮成分フィラメント間の沸水収縮率差はほとんどなくなり
、バルクが発生しないという不具合につながる。このため、従来でも経糸の糊付
乾燥工程の乾燥温度を120 ℃ではなく、80〜90℃と低温にする必要があり、乾燥
効果が低下する分、糸速度を落して加工している。しかるに、このような手段を
とっても相変らずバルクは少ないものであった。 一方、上記ポリエステル系異収縮混繊糸を織物の緯糸に用いる場合には、糸へ
の追撚数がないか少ない場合は原糸の物性のまま緯打ちされるが、例えば75デニ
ール糸に追燃数約500T/m以上の強撚を施して使用する場合は、強撚のトルクを止
めて緯打時のビリ込みを防ぐため撚止めセットが必要となり、この為のセット温
度が80℃〜90℃であり、このセットによって高収縮フィラメントと低収縮フィラ
メント間の収縮率差は減少し、バルクの発生を減少させていた。このような製織
工程段階の加熱がばりに限らず、染色工程においては更に高温の加熱を受け、従
来のポリエステル異収縮混繊糸では加熱工程を経るにつれてボリウム感が少なく
なって行く、所謂ヘタリという現象を起こしていた。 その現象の例を図を参照して説明すると、糸(C)はポリエチレンテレフタレ ートの高収縮フィラメントを示し、糸(1)はポリエチレンテレフタレートの従
来型低収縮フィラメントを示している。糸(C)と糸(1)との混繊糸が従来の
ポリエステル異収縮混繊糸となるものであり、この混繊糸を乾熱100 ℃でバルク
出しすると、ΔHAS (100 )(両収縮フィラメントの100 ℃で処理された時の収
縮率の差)は9.7 %に対し、中間セット或いは仕上セット時の175 ℃加熱時では
ΔHAS (175 )6.6 %と、減少してしまう。このようにΔHAS が減少してしまう
ことは織物のバルク(ボリウム感)が減少することにつながり、これが所謂ヘタ
リ現象であり従来糸の解決すべき課題である。 (課題を解決するための手段及び作用) 従来のポリエステル異収縮混繊糸のかかる課題を解決し、同時に絹よりも優れ
たフクラミ及び新規風合を持つポリエステル織編品を得る為に鋭意研究し、よう
やく本発明に到ったものである。即ち、本発明はイソフタル酸が3モル%以上共
重合されたポリエチレンテレフタレートからなる高収縮フィラメントと2700m/mi
n 以上の紡糸速度で紡糸した部分配向糸を延伸、緩和、熱セットしたポリエチレ
ンテレフタレートからなる低収縮フィラメントをエア交絡ノズルで混繊させたポ
リエステル系異収縮混繊糸であって、 HAS (H175)≧18.0% ……(1) HAS (L175)≦7.0 % ……(2) ΔHAS (175 )≧15.0% ……(3) ΔHAS (175 )≧ΔHAS (100 ) ……(4) 高収縮フィラメントの100 ℃〜175 ℃における収縮率の増加割合 ≧0.07 ……(5) 低収縮フィラメントの100 ℃〜175 ℃における収縮率の増加割合 ≦0.03 ……(6) の各式を満足することを特徴とするものである。 高収縮フィラメントとしてはポリエチレンテレフタレートの従来型高収率フィ
ラメントより高温になるほど収縮率の上昇率が高いフィラメントを、低収縮フィ
ラメントとしては高温になるほど従来型低収縮フィラメントより収縮率の上昇率
が低いフィラメントを夫々使用して混繊糸を得ることが、高温になるほど収縮差 が拡大して従来のポリエステル異収縮混繊糸の上記課題が解決できるものと考え
、実験を重ねた結果、上記特性をもつ高収縮フィラメントとしては共重合ポリエ
ステルがかかる熱特性を持っていることが判明した。 即ち、表1において従来の高収縮フィラメントに対して、イソフタル酸共重合
ポリエステル高収縮フィラメントの方が、熱セットされた糸の収縮率、及び熱セ
ットされた糸を織物の緯糸にした時のリラックスによる幅入り率も高いことが分
る。また、図における従来型高収縮フィラメント糸(C)に対してイソフタル酸
共重合ポリエステル(糸(A):イソフタル酸7.0 モル%共重合、糸(B):イ
ソフタル酸3.0 モル%共重合)高収縮フィラメント糸の方が処理温度の上昇に対
する収縮率の上昇率が高いことが明らかになっている。 本発明ではこのように共重合ポリエステルを高収縮フィラメントとすることが
重要な要件の1つであり、このフィラメントを使用することで高収縮フィラメン
トと低収縮フィラメント単独或いは両者間の熱特性において、従来のポリエステ
ル異収縮混繊糸よりもフクラミに富んだ新規な風合の織編物が得られる。 まず、高収縮フィラメントとしては、図から従来の高収縮フィラメントよりHA
S (H175)がより高くなければならず、好ましくは、イソフタル酸3.0 モル%以
上の共重合ポリエステルが好ましく、HAS (H175)≧18.0%が必要である。 一方、低収縮糸としては、従来のポリエステル低収縮糸(1)よりも低いHAS
(L175)が必要であり、HAS (L175)≦7.0 %を満たすことが必要である。この
HAS (L175)≦7.0 %に相当する糸(3)を低収縮糸とすると、従来にない全く
新規な風合、フクラミを感じる織物が得られ、更にΔHAS (175 )≧15.0%とな
ると、一段と新規なフクラミと風合を示すと共に、ソフトでドレープ感があるに
も関わらず同時に反発性をもつ極めて良好な織物が得られる。糸(2)、糸(3
)は延伸時に低倍率で高温セットをした特殊低収縮糸であり、本発明に好適であ
る。このような低収縮フィラメントとしては、その他、部分配向ポリエステルの
熱処理糸、ポリブチレンテレフタレートの部分配向糸等がHAS (L175)が更に低
くなり適性がある。 このような高収縮フィラメントと低収縮フィラメントとの乾熱175 ℃における
両者の収縮率の差ΔHAS (175 )が織編物に新規なフクラミ、風合を与えるに充 分であるためには、従来のポリエステル異収縮混繊糸の6.6 %に対しその有意差
としてはΔHAS (175 )が15.0%以上であることが必要である。 尚、本発明における高収縮フィラメント糸及び低収縮フィラメント糸の繊度、
各単繊維繊度、繊維断面、光沢等に制限はない。また、混繊手段としては引揃え
、撚合せ、流体混繊、交絡、等その手段を問わない。 ここで、上記各符号の定義を改めて載せておく。 HAS (H175):高収縮フィラメントを紹にとり無荷重で乾熱175 ℃で10分間熱処
理を行なった時の乾熱収縮率。 綛長測定荷重0.05g/d l0:熱処理前の綛長 l1:熱処理後の綛長 HAS (L175):低収縮フィラメントの同様な乾熱175 ℃処理時における乾熱収
縮率。 ΔHAS (175 ):HAS(H175)−HAS (L175) *1:90cm熱板に糸を接触させ、糸速100m/min、熱板温度120 ℃、糸張力0.1g/d で熱処理 *2:上記熱セット糸を平坦織の織物に緯打した織物を120 ℃熱水中で60分間リ ラックスした時の織物の緯糸方向の巾入率 (実施例) 以下、本発明を代表的な実施例により比較例と共に具体的に説明する。 高収縮フィラメントとしてポリエチレンテレフタレートからなるSD30d/12f 高
収縮糸(C)、イソフタル酸7.0 モル%共重合ポリエステルB30d/24f高収縮糸(
A)、イソフタル酸3.0 モル%共重合ポリエステルB30d/24f高収縮糸(B)を、
低収縮フィラメントとしてポリエチレンテレフタレートからなるB60d/36f延伸セ
ット低収縮糸(1)、ポリエチレンテレフタレートチップを1400m/min で紡糸し
た未延伸糸をMDR ×0.58(MDR:最大延伸倍率)の延伸倍率で95℃で延伸、165 ℃
で熱セットしたB60d/36fの低収縮糸(2)ポリエチレンテレフタレートチップを
2700m/min で紡糸した部分配向糸をMDR ×0.58の延伸倍率で89℃で延伸し、6.3
%緩和して195 ℃でセットしたSD60d/36f の低収縮糸(3)を各試作した。 これらの収縮フィラメントと低収縮フィラメントのHAS の挙動を図に示す。 次に各高収縮フィラメントと低収縮フィラメントを多様に組合わせる夫々エア
交絡ノズルを用いて交絡混繊し、異収縮混繊糸試料1〜6を得てこれに300 回/m
の撚を付与して糊付乾燥して経糸として用い、緯糸にはポリエステルのSD75d/72
f に2500回/mの撚を付与したS撚糸、Z撚糸を2本交互に打込んだ平組織の織物
とし、この織物を精練し、高圧ワッシャーを用いて120 ℃熱水でリラックスし、
乾燥後175 ℃乾熱でセットし、アルカリ減量率16.0%の減量加工を行なって再び
乾燥し、175 ℃で乾熱セットし、ポリエステルの織物の風合評価の経験が長い染
色仕上技術者3名によりフクラミ程度、風合の新規性を判定した。その結果と異
収縮混繊糸のHAS 特性値を表2に示す。 試料1は従来のポリエステル異収縮混繊糸であり、これに対し試料2はイソフ
タル酸3.0 モル%共重合ポリエステルを高収縮フィラメントとしてはいるが従来
のポリエステル低収縮フィラメントとを組合わせた混繊糸であり、ΔHAS (175
)が8.5 %と本発明の上記要件から外れているため、フクラミ感、風合の新規性
の面で新規改善効果が少ない。 試料No.6は本発明の要件を満足する異収縮混繊糸であり、いずれも織物のフ
クラミ感、風合の新規性の各面で、従来品とは差がはっきり認められ、特にHAS
(L175)≦7.0 %である。試料3,5,6 は更にその特長が増大し好ましい。 ここで試料1及び2は改善効果が少ないのはΔHAS (175 )がΔHAS (100 )
に比べて小さいためであり、ΔHAS (175 )がΔHAS (100 )より大きい試料3
〜6はいずれもフクラミ感及び風合の新規性において良好な結果が得られている
。更に、ΔHAS (175 )が15%以上であり、ΔHAS (175 )がHAS (100 )に比
べてより大きい試料6は、いままでにないフクラミ感とソフトでドレープ性があ
りながら、反発性も良好な新規風合を示した。 (発明の効果) 以上、詳細に説明した如く本発明によれば、絹様を呈することは勿論のこと、
本発明に係る糸条による織編物は極めて嵩高性と風合に富み、特に従来にない新
規な風合の織編物が得られる。
得るポリエステル系異収縮混織糸に関する。 (従来の技術) 高収縮糸と低収縮糸とのポリエステルの混繊糸はその収縮差を利用し、織編物
にフクラミ(嵩高性)を付与し、更にアルカリ減量加工とを組合わせることによ
って繊維間、組織のルーズ化を図り絹の風合に近い織編製品を提供するものであ
り、既に市販されている。しかしながら、こうした従来の織編品はフクラミが充
分でなく、単に絹に近づいたというに過ぎず、そのため絹を超えるフクラミ、或
いは全く新規な風合の織編物を開発することが強く要望されている。 (発明が解決しようとする課題) 本発明は従来のポリエステル異収縮混繊糸による織編物の不充分なフクラミを
更に増加させて絹以上とすると共に、それにより新たな高級感のある風合を有す
る織編物が得られるポリエステル系異収縮混繊糸を提供するものである。 従来のポリエステル異収縮混繊糸がフクラミに乏しい織編しか得られなかった
理由は、混繊糸を構成する高収縮フィラメントと低収縮フィラメントの織、染色
仕上加工における高次加工時の加熱工程において、熱収縮率の差が高次加工を経
る毎に小さくなり、最終仕上段階では大巾に熱収縮差が小さくなり、バルクが減
少することにあった。所謂、ヘタリ現象があるためである。 一般的に高次加工においては、織物を例にとると経糸は糊付乾燥工程で120 ℃
程度の乾燥用の熱を受け、原糸の特に高収縮フィラメントの収縮率が低下する。
例えば、ポリエチレンテレフタレートの高収縮マルチフィラメント延伸糸を、糊
付乾燥工程条件を想定して、90cm熱板に接触させ、糸速100m/min、熱板温度120
℃、糸張力0.1g/dで熱処理した時の沸水収縮率は、熱処理前の17.0%に対し6.0
%にまで低下する。一方、低収縮フィラメントの沸水収縮率は5〜6%が一般的
であって、従って両収縮成分フィラメント間の沸水収縮率差はほとんどなくなり
、バルクが発生しないという不具合につながる。このため、従来でも経糸の糊付
乾燥工程の乾燥温度を120 ℃ではなく、80〜90℃と低温にする必要があり、乾燥
効果が低下する分、糸速度を落して加工している。しかるに、このような手段を
とっても相変らずバルクは少ないものであった。 一方、上記ポリエステル系異収縮混繊糸を織物の緯糸に用いる場合には、糸へ
の追撚数がないか少ない場合は原糸の物性のまま緯打ちされるが、例えば75デニ
ール糸に追燃数約500T/m以上の強撚を施して使用する場合は、強撚のトルクを止
めて緯打時のビリ込みを防ぐため撚止めセットが必要となり、この為のセット温
度が80℃〜90℃であり、このセットによって高収縮フィラメントと低収縮フィラ
メント間の収縮率差は減少し、バルクの発生を減少させていた。このような製織
工程段階の加熱がばりに限らず、染色工程においては更に高温の加熱を受け、従
来のポリエステル異収縮混繊糸では加熱工程を経るにつれてボリウム感が少なく
なって行く、所謂ヘタリという現象を起こしていた。 その現象の例を図を参照して説明すると、糸(C)はポリエチレンテレフタレ ートの高収縮フィラメントを示し、糸(1)はポリエチレンテレフタレートの従
来型低収縮フィラメントを示している。糸(C)と糸(1)との混繊糸が従来の
ポリエステル異収縮混繊糸となるものであり、この混繊糸を乾熱100 ℃でバルク
出しすると、ΔHAS (100 )(両収縮フィラメントの100 ℃で処理された時の収
縮率の差)は9.7 %に対し、中間セット或いは仕上セット時の175 ℃加熱時では
ΔHAS (175 )6.6 %と、減少してしまう。このようにΔHAS が減少してしまう
ことは織物のバルク(ボリウム感)が減少することにつながり、これが所謂ヘタ
リ現象であり従来糸の解決すべき課題である。 (課題を解決するための手段及び作用) 従来のポリエステル異収縮混繊糸のかかる課題を解決し、同時に絹よりも優れ
たフクラミ及び新規風合を持つポリエステル織編品を得る為に鋭意研究し、よう
やく本発明に到ったものである。即ち、本発明はイソフタル酸が3モル%以上共
重合されたポリエチレンテレフタレートからなる高収縮フィラメントと2700m/mi
n 以上の紡糸速度で紡糸した部分配向糸を延伸、緩和、熱セットしたポリエチレ
ンテレフタレートからなる低収縮フィラメントをエア交絡ノズルで混繊させたポ
リエステル系異収縮混繊糸であって、 HAS (H175)≧18.0% ……(1) HAS (L175)≦7.0 % ……(2) ΔHAS (175 )≧15.0% ……(3) ΔHAS (175 )≧ΔHAS (100 ) ……(4) 高収縮フィラメントの100 ℃〜175 ℃における収縮率の増加割合 ≧0.07 ……(5) 低収縮フィラメントの100 ℃〜175 ℃における収縮率の増加割合 ≦0.03 ……(6) の各式を満足することを特徴とするものである。 高収縮フィラメントとしてはポリエチレンテレフタレートの従来型高収率フィ
ラメントより高温になるほど収縮率の上昇率が高いフィラメントを、低収縮フィ
ラメントとしては高温になるほど従来型低収縮フィラメントより収縮率の上昇率
が低いフィラメントを夫々使用して混繊糸を得ることが、高温になるほど収縮差 が拡大して従来のポリエステル異収縮混繊糸の上記課題が解決できるものと考え
、実験を重ねた結果、上記特性をもつ高収縮フィラメントとしては共重合ポリエ
ステルがかかる熱特性を持っていることが判明した。 即ち、表1において従来の高収縮フィラメントに対して、イソフタル酸共重合
ポリエステル高収縮フィラメントの方が、熱セットされた糸の収縮率、及び熱セ
ットされた糸を織物の緯糸にした時のリラックスによる幅入り率も高いことが分
る。また、図における従来型高収縮フィラメント糸(C)に対してイソフタル酸
共重合ポリエステル(糸(A):イソフタル酸7.0 モル%共重合、糸(B):イ
ソフタル酸3.0 モル%共重合)高収縮フィラメント糸の方が処理温度の上昇に対
する収縮率の上昇率が高いことが明らかになっている。 本発明ではこのように共重合ポリエステルを高収縮フィラメントとすることが
重要な要件の1つであり、このフィラメントを使用することで高収縮フィラメン
トと低収縮フィラメント単独或いは両者間の熱特性において、従来のポリエステ
ル異収縮混繊糸よりもフクラミに富んだ新規な風合の織編物が得られる。 まず、高収縮フィラメントとしては、図から従来の高収縮フィラメントよりHA
S (H175)がより高くなければならず、好ましくは、イソフタル酸3.0 モル%以
上の共重合ポリエステルが好ましく、HAS (H175)≧18.0%が必要である。 一方、低収縮糸としては、従来のポリエステル低収縮糸(1)よりも低いHAS
(L175)が必要であり、HAS (L175)≦7.0 %を満たすことが必要である。この
HAS (L175)≦7.0 %に相当する糸(3)を低収縮糸とすると、従来にない全く
新規な風合、フクラミを感じる織物が得られ、更にΔHAS (175 )≧15.0%とな
ると、一段と新規なフクラミと風合を示すと共に、ソフトでドレープ感があるに
も関わらず同時に反発性をもつ極めて良好な織物が得られる。糸(2)、糸(3
)は延伸時に低倍率で高温セットをした特殊低収縮糸であり、本発明に好適であ
る。このような低収縮フィラメントとしては、その他、部分配向ポリエステルの
熱処理糸、ポリブチレンテレフタレートの部分配向糸等がHAS (L175)が更に低
くなり適性がある。 このような高収縮フィラメントと低収縮フィラメントとの乾熱175 ℃における
両者の収縮率の差ΔHAS (175 )が織編物に新規なフクラミ、風合を与えるに充 分であるためには、従来のポリエステル異収縮混繊糸の6.6 %に対しその有意差
としてはΔHAS (175 )が15.0%以上であることが必要である。 尚、本発明における高収縮フィラメント糸及び低収縮フィラメント糸の繊度、
各単繊維繊度、繊維断面、光沢等に制限はない。また、混繊手段としては引揃え
、撚合せ、流体混繊、交絡、等その手段を問わない。 ここで、上記各符号の定義を改めて載せておく。 HAS (H175):高収縮フィラメントを紹にとり無荷重で乾熱175 ℃で10分間熱処
理を行なった時の乾熱収縮率。 綛長測定荷重0.05g/d l0:熱処理前の綛長 l1:熱処理後の綛長 HAS (L175):低収縮フィラメントの同様な乾熱175 ℃処理時における乾熱収
縮率。 ΔHAS (175 ):HAS(H175)−HAS (L175) *1:90cm熱板に糸を接触させ、糸速100m/min、熱板温度120 ℃、糸張力0.1g/d で熱処理 *2:上記熱セット糸を平坦織の織物に緯打した織物を120 ℃熱水中で60分間リ ラックスした時の織物の緯糸方向の巾入率 (実施例) 以下、本発明を代表的な実施例により比較例と共に具体的に説明する。 高収縮フィラメントとしてポリエチレンテレフタレートからなるSD30d/12f 高
収縮糸(C)、イソフタル酸7.0 モル%共重合ポリエステルB30d/24f高収縮糸(
A)、イソフタル酸3.0 モル%共重合ポリエステルB30d/24f高収縮糸(B)を、
低収縮フィラメントとしてポリエチレンテレフタレートからなるB60d/36f延伸セ
ット低収縮糸(1)、ポリエチレンテレフタレートチップを1400m/min で紡糸し
た未延伸糸をMDR ×0.58(MDR:最大延伸倍率)の延伸倍率で95℃で延伸、165 ℃
で熱セットしたB60d/36fの低収縮糸(2)ポリエチレンテレフタレートチップを
2700m/min で紡糸した部分配向糸をMDR ×0.58の延伸倍率で89℃で延伸し、6.3
%緩和して195 ℃でセットしたSD60d/36f の低収縮糸(3)を各試作した。 これらの収縮フィラメントと低収縮フィラメントのHAS の挙動を図に示す。 次に各高収縮フィラメントと低収縮フィラメントを多様に組合わせる夫々エア
交絡ノズルを用いて交絡混繊し、異収縮混繊糸試料1〜6を得てこれに300 回/m
の撚を付与して糊付乾燥して経糸として用い、緯糸にはポリエステルのSD75d/72
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とし、この織物を精練し、高圧ワッシャーを用いて120 ℃熱水でリラックスし、
乾燥後175 ℃乾熱でセットし、アルカリ減量率16.0%の減量加工を行なって再び
乾燥し、175 ℃で乾熱セットし、ポリエステルの織物の風合評価の経験が長い染
色仕上技術者3名によりフクラミ程度、風合の新規性を判定した。その結果と異
収縮混繊糸のHAS 特性値を表2に示す。 試料1は従来のポリエステル異収縮混繊糸であり、これに対し試料2はイソフ
タル酸3.0 モル%共重合ポリエステルを高収縮フィラメントとしてはいるが従来
のポリエステル低収縮フィラメントとを組合わせた混繊糸であり、ΔHAS (175
)が8.5 %と本発明の上記要件から外れているため、フクラミ感、風合の新規性
の面で新規改善効果が少ない。 試料No.6は本発明の要件を満足する異収縮混繊糸であり、いずれも織物のフ
クラミ感、風合の新規性の各面で、従来品とは差がはっきり認められ、特にHAS
(L175)≦7.0 %である。試料3,5,6 は更にその特長が増大し好ましい。 ここで試料1及び2は改善効果が少ないのはΔHAS (175 )がΔHAS (100 )
に比べて小さいためであり、ΔHAS (175 )がΔHAS (100 )より大きい試料3
〜6はいずれもフクラミ感及び風合の新規性において良好な結果が得られている
。更に、ΔHAS (175 )が15%以上であり、ΔHAS (175 )がHAS (100 )に比
べてより大きい試料6は、いままでにないフクラミ感とソフトでドレープ性があ
りながら、反発性も良好な新規風合を示した。 (発明の効果) 以上、詳細に説明した如く本発明によれば、絹様を呈することは勿論のこと、
本発明に係る糸条による織編物は極めて嵩高性と風合に富み、特に従来にない新
規な風合の織編物が得られる。
【図面の簡単な説明】
図は各種高収縮フィラメントと低収縮フィラメントの乾熱収縮率HAS の挙動を
示す線図である。 図の主要部分の説明 (A),(B),(C)……高収縮フィラメント糸 (1),(2),(3)……低収縮フィラメント糸
示す線図である。 図の主要部分の説明 (A),(B),(C)……高収縮フィラメント糸 (1),(2),(3)……低収縮フィラメント糸
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】イソフタル酸が3モル%以上共重合されたポリエチレンテレフタ
レートからなる高収縮フィラメントと2700m/min 以上の紡糸速度で紡糸した部分
配向糸を延伸、緩和、熱セットしたポリエチレンテレフタレートからなる低収縮
フィラメントとをエア交絡ノズルで混繊させた、下記式を満足するポリエステル
系異収縮混繊糸。 HAS (H175)≧18.0% ……(1) HAS (L175)≦7.0 % ……(2) △HAS (175 )≧15.0% ……(3) △HAS (175 )≧ΔHAS (100 ) ……(4) 高収縮フィラメントの100 ℃〜175 ℃における収縮率の増加割合 ≧0.07 ……(5) 低収縮フィラメントの100 ℃〜175 ℃における収縮率の増加割合 ≦0.03 ……(6)
Family
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