JP2714684B2 - 金属ガリウムの精製方法 - Google Patents

金属ガリウムの精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、金属ガリウムの精製方法に関し、更に詳細
には、回転引上げによる結晶化を施すことからなる金属
ガリウムの精製方法に関するものである。
(従来技術及びその問題点) 低純度金属ガリウムは、アルミナ生産、亜鉛製錬の副
産物として生産され、一般には、ガリウム酸ナトリウム
を電解することによって得られる。その他、半導体スク
ラップを真空熱分解する際にも得られる。
このような低純度金属ガリウムを高純度化する方法と
して回転引上げ結晶化法が知られている。
しかし、精製金属ガリウムを回転引上げ結晶化法によ
って精製する場合、下記に示すようないくつかの理由に
より結晶純度を向上させることは非常に困難である。つ
まり、低純度の金属ガリウムに含まれている濃縮された
不純物の微粒子は再結晶によってもほとんど減少しない
上、回転引上げされた棒状の金属ガリウム表面は凹凸が
大きいために、その不純物を含んだ母液が付着してしま
い、純度の高いガリウム結晶を得ることができない。ま
た、母液相の保持温度に比べて、種子結晶を含む結晶相
の温度はガリウムの融点よりもかなり低温に保持される
ために、その母液相の最上層はガリウムの融点近くの温
度にまで低下してしまい、その結果、母液最上層の自由
界面でガリウムが結晶化しやすくなり、この結晶化によ
って生成した微結晶が結晶相に付着して引上げられるこ
とになる。ところが、自由界面で成長したガリウム結晶
は種子結晶から成長したガリウム結晶に比べて、不純物
を著しく多く含んでいるので、当然ながら自由界面で成
長した結晶が付着したガリウム結晶相は純度が低くなっ
てしまう。
(発明の課題) したがって、従来用いられている回転引上げ結晶化に
よる金属ガリウムの精製法に固有の前記問題点を解消し
て純度の高い金属ガリウムを得ることができる金属ガリ
ウムの精製方法が強く要望されていた。そこで、本発明
は、回転引上げ結晶化による金属ガリウムの精製方法に
おいて、製品ガリウム結晶の純度を向上させることので
きる金属ガリウムの精製方法を提供することをその課題
としている。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1のプロセスによれば、ガリウ
ム融液からガリウム結晶を回転しながら引上げて結晶化
するに際し、該ガリウム融液の表面に酸性溶液層を形成
することを特徴とする金属ガリウムの精製方法が提供さ
れる。
また、本発明の第2のプロセスによれば、ガリウム融
液からガリウム結晶を回転しながら引上げて再結晶化す
るに際し、該ガリウム融液として、回転引上げ法により
得られたガリウム結晶を融解し、その中に含まれる固体
不純物粒子を除去した後のガリウム融液を用いることを
特徴とする金属ガリウムの精製方法が提供される。
さらに、本発明の第3のプロセスによれば、ガリウム
融液からガリウム結晶を回転しながら引上げて結晶化す
るに際し、該回転引上げられるガリウム結晶棒の表面を
加熱融解させることを特徴とする金属ガリウムの精製方
法が提供される。
さらにまた、本発明の第4のプロセスによれば、ガリ
ウム融液からガリウム結晶を回転しばがら引上げて結晶
化するに際し、該ガリウム融液の表面に断熱層を形成す
ることを特徴とする金属ガリウムの精製方法が提供され
る。
本発明に使用される原料ガリウムとしては、各種の金
属ガリウムが用いられ、その純度は特に限定されるもの
ではない。本発明の場合、例えば、スクラップから回収
したような粗ガリウムであっても十分に原料として使用
することができるし、また、再結晶化工程により得られ
た比較的高純度のものも使用される。
本発明の第1のプロセスにおいては、原料ガリウム融
液を回転引上げ法により結晶化するに際し、母液として
存在するガリウム融液の表面を酸性溶液層で被覆する。
酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、ギ酸
等の強酸を含む水溶液が好ましいものとして挙げられ
る。酸濃度としては、一般に、0.05〜5N、好ましくは0.
1〜1Nの範囲が選ばれる。また、この酸性溶液には、溶
液の融点を低下させる目的で、アルコール類、エステル
類、エーテル類、有機酸、エチレングリコール、グリセ
リン等の凝固点の低い液状有機化合物を添加することが
できる。酸性溶液を母液であるガリウム融液と接触させ
る時には、ガリウム融液中に含まれている不純物金属が
酸性溶液中に溶解除去されるとともに、不純物金属が酸
性溶液中の溶存酸素により酸化されて固形物として析出
する。この不純物金属の溶解及び酸化析出を促進させる
ために、過酸化水素水を酸性溶液に加えることもでき
る。この場合、酸性溶液中のH2O2濃度は0.1〜10重量%
程度である。また、母液表面を酸性溶液で被覆する時に
は、この酸性溶液からなる被覆層が断熱層としての役割
を果し、ガリウム融液の表面温度がガリウム融点以下に
なることが防止されるため、自由界面でのガリウム微結
晶の生成が防止され、その結果、引上げられる結晶棒表
面への微結晶の付着も防止される。
前記のようにして原料ガリウムを回転引上げ結晶化す
る時には、その母液表面に存在する酸性溶液の作用によ
り、ガリウム融液中に含まれる不純物が除去され、また
自由界面でのガリウム微結晶生成が防止されるので、原
料ガリウムを非常に効率よく精製することができる。こ
の第1プロセスにおいて用いられる原料ガリウムの種類
は制約されず、スクラップから回収したような粗ガリウ
ムであってもよし、再結晶化された比較的純度の高いも
のであってもよい。
本発明の第2のプロセスにおいては、回転引上げ結晶
化により得られたガリウム結晶を再結晶化するに先立
ち、ガリウム融液に固体微粒子除去処理を施して、それ
に含まれる固体微粒子を除去し、その後、固定微粒子の
除去されたガリウム融液から再び回転引上げ法によりガ
リウムを結晶化させる。
前記したように、低純度の金属ガリウムに含まれてい
る濃縮された不純物の微粒子は再結晶処理によってもほ
とんど減少せずにガリウム結晶に含まれるようになる。
また母液から回転引上げられる金属ガリウムの結晶棒
は、その表面に凹凸があり、この凹凸表面に不純物の濃
縮された母液が付着固化してくる。さらに、母液の自界
界面で生成した、種子結晶から成長した結晶に比べて不
純物濃度の大きい微結晶が結晶棒に付着する場合もあ
る。これらのことから、従来の回転引上げ結晶化法は非
常に精製効率の悪いものであり、この方法により純度の
低いガリウム結晶を高純度化しようとすると、非常に大
きな困難が伴う。これに対し、本発明の第2のプロセス
による時には、回転引上げ結晶化処理に先立ち、ガリウ
ム融液には固形微粒子除去処理が施され、固微粒子があ
らかじめ除去されていることから、母液からの微結晶の
析出が抑制されるとともに、引上げられるガリウム結晶
棒の表面は滑らかなものとなり、結晶棒を回転引上げる
に際しての母液の表面付着が防止される。このようにし
て得られたガリウム結晶の不純物濃度は、あらかじめ固
形微粒子除去処理を行わなかった場合に比べて著しく少
ない。従って、本発明の第2のプロセスによれば、従来
の多段結晶化法に比べて、より少ない再結晶化段数でよ
り高純度のガリウム結晶を得ることができる。本発明に
おいて、第1のプロセスと第2のプロセスを結合させて
高純度ガリウム結晶を製造することは、再結晶化段数及
び精製効率の点から非常に有効な方法である。
ガリウム融液からの固体微粒子の除去は、従来公知の
各種の方法で行なうことができるが、好ましくは遠心分
離法や濾過法が採用される。固体粒子除去処理は、ガリ
ウムの融点以上、例えば約30℃〜40℃の低温で行なうの
が好ましい。濾過法としては、任意の方法であってよ
く、何ら特定の方法に限定されるものではない。また、
使用する濾材にしても何ら限定されるものではなく、濾
布、濾紙、金網等を使用することができ、特に網目の小
さいもの、例えば約50メッシュより小さな網目を有する
網体を用いるのが好ましい。なお、ガリウム結晶を融解
する場合には、窒素気流中で、例えば約40℃〜50℃で融
解するのが好ましい。更に、固体微粒子除去処理を行な
う場合には、窒素の存在下で加圧下で行なうのが好まし
い。
本発明の第3のプロセスにおいては、生成されるガリ
ウム結晶中の不純物量を少なくするために、原料ガリウ
ム融液から回転引上げられているガリウム結晶棒の表面
を加熱処理して、結晶棒の表面層を融解させる。この表
面層の融解により、結晶棒の回転引上げに際し、その表
面に付着して固化した低融点のガリウム母液が融解さ
れ、流下して結晶棒から除去され、また同時に、その表
面に付着している固体不純物粒子もその表面から剥離・
流下する。
結晶棒における表面加熱帯域の位置は、できるだけ結
晶棒の下部、即ち、ガリウム融液表面にできるだけ近い
部分が好ましい。加熱する方法は特に限定されるもので
はなく、任意の方法を使用することができる。ただし、
ガリウム結晶棒は回転させながら引き上げられるので、
非接触的加熱手段が好ましく、具体的には、赤外ラン
プ、キセノンランプ、クリプトンランプ、赤外レーザー
等を用いて熱線を直接または間接的に照射する方式が好
ましく使用される。なお、間接的に熱線を照射する方式
では、鏡、光ファイバー等を用いることができる。ま
た、細いチューブから加熱した不活性ガスまたは液体を
結晶棒の表面に吹き付けることも有効な方法である。加
熱面は、結晶棒の円周全面でもよいが、ガリウム結晶棒
は引き上げられながら回転しているので、その円周の1
部だけを加熱すれば、結果として円周全面が加熱される
ことになり好ましい。更に、加熱帯域の面積としても、
特に限定されるものではないが、小さい面積を集中的に
加熱する方が経済的に効率がよく、大きな面積を強熱す
ることは大きな加熱能力を要する他、得られるガリウム
結晶棒の強度が低下し、融解、脱落の可能性もあり一般
的には好ましくない。加熱を行う場合、加熱強度と加熱
面積を徐々に変化させることは、ガリウム結晶棒の表面
から融解・剥離したガリウムの流下を促進させることが
でき、得られるガリウム結晶を高純度化するために好ま
しい。結晶棒の加熱帯域の上下部分は、これをガリウム
融点以下に冷却して冷却帯域とするのが好ましい。この
冷却によって、結晶棒の加熱による強度低下及び融解脱
落が防止される。
なお、ガリウム結晶棒表面の加熱帯域におけるガリウ
ム融解層の深さは、その結晶棒の冷却温度、ガリウム母
液の付着量などによって決められるが、通常結晶棒直径
の0.1〜5%程度であるのが好ましい。
前述したように引き上げられたガリウム結晶棒表面に
融解帯域を形成することにより、その表面に付着してい
る不純物に富む母液由来のガリウムならびに付着層を融
解流下させ、同時に表面に付着する不純物の濃縮した固
形分を剥離流下させることができ、得られるガリウム結
晶棒は高純度のものとなり極めて有効である。
前述したようにして回転引上げられるガリウム結晶棒
の表面を加熱して付着不純物や不純物の固体粒子部分を
除去する場合、その融解された不純物が結晶棒の表面に
沿って流下し結晶棒の未端部に付着する。従って、再結
晶化に使用するためには、その末端部を切り離して、純
度の高い部分だけを使用するのが好ましい。
本発明の第4のプロセスにおいては、ガリウム融液か
らガリウム結晶棒を回転引上げ法により結晶化させる際
に、ガリウム融液からなる母液表面に断熱層を形成す
る。この断熱層は、ガリウム融液表面がガリウムの融点
以下になるのを防止すると共に、自由界面において不純
物の多いガリウム微結晶が生成することおよび回転引上
げられる結晶棒の表面にそのガリウム微結晶が付着する
ことを防止する作用を有している。断熱層としては、液
体断熱材の他に、固体断熱材を使用することができる
が、固体断熱材の場合には、固体断熱材がガリウム融液
の表面に直接接触すれば、その中に含まれる不純物がガ
リウム融液中に溶解する可能性があり、またその固体断
熱材が結晶化種子となる可能性があるために、固体断熱
材は液体断熱材を介してその上部に配置するのが好まし
い。
液体断熱材としては、前記した酸性溶液が使用される
他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動
パラフィン、各種オイル、ケロシン等の低融点でかつ熱
伝導率の体さい物質を好ましく使用することができる。
固体断熱材としては、例えば発泡ポリスチレンなどの
有機ポリマー微粒子、シラスバルーム、超微粒子シリカ
などの無機断熱等が挙げられる。また、使用される固体
断熱材の粒径は20メッシュ以下であるのが好ましく、ま
た固体断熱材の層厚は、5〜10mm程度が好ましい。断熱
層を形成する方法としては、特に限定されるものではな
く、断熱用液体ををガリウム融液の上面に流し込んでも
よいし、加温した断熱用物質を不活性ガスと一緒に吹き
付けることもできる。また、断熱層の温度を一定に保つ
ために、断熱用液体を系外の恒温槽等と連結して循環さ
せてもよい。
本発明によって高純度のガリウム単結晶を得るために
は、前述したような回転引上げによる結晶化を複数回に
わたって繰返して行なうことが好ましい。また、前記し
た第1〜第4のプロセスを組合せて行うことが好まし
く、これによって、再結晶化の段数を少なくして、かつ
高純度のガリウム結晶が得られることになり好都合であ
る。
(発明の効果) 前述した如く、本発明のガリウム精製方法は、従来法
とは異なり、高められた精製効率で高純度ガリウム結晶
を得ることができる。従って、本発明により高純度のガ
リウム結晶を得る時には、再結晶の段数を少なくできる
と同時に、より高純度のガリウム結晶を得ることができ
るという利点があり、そん産業的意義は多大である。
(実施例) 以下、この発明を実施例につき説明する。
実施例1 (原料ガリウム) 原料ガリウムとしては、スクラップから回収された粗
ガリウムを使用した。この粗ガリウムには下記の不純物
が含まれていた。
(種子結晶) 市販の高純度金属ガリウムを融解し、予め種子結晶取
付用金具を取付けた吸引スポイトで、この融解したガリ
ウムを吸取った。次に、ガリウムを満たしたスポイトを
28℃に保持しながら放置してガリウムを固化させ、これ
を種子結晶として用いた。
(原料ガリウムの結晶化) 前述した原料ガリウムを融解して原料ガリウム融液を
得、この融液を円筒状容器に入れ、30.2℃〜30.4℃の範
囲の一定温度に保温し、この表面上部に0.25N希硫酸水
溶液を深さが20mmになるように満たした。またこの希硫
酸層の上部は高さ約300cmの自由空間となるようにし、
その容器外壁を0℃に保持し、回転引上げられるガリウ
ム結晶が冷却されるようにした。また、この冷却された
自由空間の上部に蓋を取付けて、冷気が容器外に飛散し
ないようにした。
次いで、前記種子結晶を取付けた金具を、回転引上げ
結晶化装置の回転引上げシャフトに固定させ、このシャ
フトを約70回転/分の割合で回転させながら徐々に、ガ
リウム融液表面に接触させ、直ちに引き上げシャフトを
約50〜80mm/時間の引上げ速度で引上げた。この引上げ
速度は、引上げられた結晶の大きさが一定になるように
前記割合の範囲内で変化させた。この第1回目の結晶化
では、結晶棒の表面には黒色の不純物微粒子の付着が認
められた。この原料ガリウムの結晶化は、原料ガリウム
融液の約90%が引上げられるまで続けた。なお、得られ
た原料ガリウム結晶に対する種子結晶の重量比率は0.1
%以下であった。
(固体微粒子除去処理) 前述のようにして得られたガリウム結晶棒には希硫酸
水溶液が付着しているので、先ず、20〜25℃で高純度水
を用いて十分に洗浄して付着水溶液を除去した。次い
で、アセトンで付着水を置換し、窒素気流中でこれを蒸
発乾燥した。乾燥したガリウム結晶を窒素気流中で約40
〜50℃に加熱融解し、窒素加圧下で10μmの微細孔を有
するテフロン濾紙で濾過して微細固体微粒子を除去し
た。分離した固体微粒子を分析したところ、Cuが3000pp
m、Feが700ppm、Naが18ppm含有されていた。
(再結晶化) 固体微粒子除去処理したガリウム融液を用いて、前記
原料ガリウムの結晶化の場合と同様にして回転引き上げ
による再結晶化をさらに3回繰返し行った。なおこの再
結晶化によるガリウム結晶棒の表面には、前記第1回目
の結晶化で得られた結晶棒の表面に認められたような不
純物による黒色付着物はほとんど認められなかった。ま
た濾過処理においても微細固体粒子はほとんど認められ
なかったので、この再結晶化の場合には濾過処理を施す
ことなく、得られた結晶棒をそのまま融解使用して再結
晶化して製品ガリウム結晶を得た。
前記のようにして原料ガリウムを合計4回結晶化させ
ることによって得られた製品ガリウム結晶を、フレーム
レス原子吸光分析により、含まれている不純物成分を分
析したところ、いずれの不純物成分を0.1ppm以下に減少
していることが判明した。
実施例2 本実施例に使用した回転引上げ結晶化精製装置は、引
上げられる結晶棒の表面部を加熱するためのランプ加熱
装置を備えたものであった。すなわち、キセノンランプ
およびレンズ(レンズ径30mmφ、焦点径約3mmφ)が容
器外部に取付けられていて、この加熱用キセノンランプ
およびレンズは、加熱するガリウム結晶棒の表面で焦点
が結ぶように設置し、また光が効率よく加熱に使用され
るように反射鏡の焦点位置にランプを配置した。更に、
ランプから発生する熱で希硫酸水溶液の上部における冷
帯帯域の温度が上昇しないように、ランプおよび反射鏡
は冷却帯域の外部に取付けて別途冷却し、ランプ光は透
明容器壁を透過させて結晶棒表面に当てるようにした。
更にまた、引上げられるガリウム結晶棒表面における加
熱帯域において融解される表面からの深度はランプの入
力電圧を変えて調節した。
本実施例では、ガリウム結晶棒が回転引上げられる自
由空間の外壁を−5℃に冷却した。
前述したような結晶化装置を使用して実施例1で示し
た原料ガリウムを融解して得られた原料ガリウム融液か
ら、実施例1と同様にして回転引上げによる結晶化を合
計3回繰返し行った。なお、本実施例においては、原料
ガリウム結晶を融解した融液には濾過処理を施こさなか
った。但し、各結晶化工程で得られた結晶棒の下端部に
は、加熱帯域から流下した不純物の多いガリウム(黒色
付着物)に付着しているので、その下端部を切除除去
し、残りの純度の高い部分(原料ガリウム融液の約80%
相当分)のみを再結晶化用原料とした。
このように合計3回結晶化して得られたガリウム結晶
棒から不純物の多い下端部を切り離した精製ガリウム結
晶をフレームレス原子吸光分析で分析したところ、In,C
u,Sn,Fe,Na,Alのいずれの不純物成分も0.1ppm以下であ
った。
実施例3 実施例2において、引上げられた結晶表面を加熱する
ことなく、原料ガリウム融液の結晶化率を約80%として
逐次結晶化精製したところ、3回目の結晶化で得られた
製品ガリウム結晶の不純物を分析したところ下記の通り
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−242996(JP,A) 特開 昭57−194225(JP,A) R.K.Willardson an d H.L.Goering 編:Co mpound Semiconduct ors,volume 1,Prepa ration of ▲III▼−V Compounds,Reinhold Publishing Corpor ation,New York (1962)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガリウム融液からガリウム結晶を回転しな
    がら引上げて結晶化するに際し、該ガリウム融液の表面
    に酸性溶液層を形成することを特徴とする金属ガリウム
    の精製方法。
  2. 【請求項2】ガリウム融液からカリウム結晶を回転しな
    がら引上げて再結晶化するに際し、該ガリウム融液とし
    て、回転引上げ法により得られたガリウム結晶を融解
    し、その中に含まれる固体不純物粒子を除去した後のガ
    リウム融液を用いることを特徴とする金属ガリウムの精
    製方法。
  3. 【請求項3】ガリウム融液からガリウム結晶を回転しな
    がら引上げて結晶化するに際し、該回転引上げられるガ
    リウム結晶棒の表面を加熱融解させることを特徴とする
    金属ガリウムの精製方法。
  4. 【請求項4】ガリウム融液からガリウム結晶を回転しな
    がら引上げて結晶化するに際し、該ガリウム融液の表面
    に断熱層を形成することを特徴とする金属ガリウムの精
    製方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の方法において、それらのう
    ちの2つ以上を組合せたいずれかの方法。
  6. 【請求項6】前記断熱層が液体断熱材からなる請求項4
    の方法。
  7. 【請求項7】前記断熱層が固体断熱材からなる請求項4
    の方法。
  8. 【請求項8】前記断熱層が液体断熱材と固体断熱材とか
    らなり、固体断熱材が液体断熱材を被覆するように配置
    されている請求項4の方法。
  9. 【請求項9】前記固体断熱材が固体粒子からなる請求項
    7または8の方法。
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