JP2713863B2 - 軟弱地盤の改良工法 - Google Patents

軟弱地盤の改良工法

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JP2713863B2
JP2713863B2 JP27948794A JP27948794A JP2713863B2 JP 2713863 B2 JP2713863 B2 JP 2713863B2 JP 27948794 A JP27948794 A JP 27948794A JP 27948794 A JP27948794 A JP 27948794A JP 2713863 B2 JP2713863 B2 JP 2713863B2
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中富 栗本
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中富 栗本
栗本 雅史
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟弱地盤の改良工法に
関し、特に、全ケーシング工法用装置を利用して軟弱地
盤に大径の地盤改良パイルを造成するようにした工法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の全ケーシング工法は、直径が1〜
2mの大径ケーシングを、地上に設置した回転圧入引抜
装置によって回転させつつ地盤中に押し込みながら、ハ
ンマグラブ等の掘削具によってケーシング内部を掘削し
つつその掘削土を地上に排出し、この排土されたケーシ
ング内部に生コンクリートを投入した後、ケーシングを
前記回転圧入引抜装置により回転させつつ引き抜くこと
により、地盤中にコンクリートパイルを造成するもの
で、軟弱地盤でも十分な支持力が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の全ケーシング工法の最大の難点は、大量に
生コンクリートを使用するため、施工費が非常に高くつ
くことである。殊に生コンクリートの主要材料である砂
や砂利が非常に高価であり,国内では殆ど調達不能で、
その殆どが外国から調達しているのが現状であり、また
外国製のものでもかなり高価なものとなっている。
【0004】本発明は、上記のような課題を解決するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
工法にあっては、ケーシング回転圧入引抜装置1によっ
て大径の筒状ケーシング2を地盤中所定深度まで埋め込
み、次に中空ロッド7の先端に取付けられ且つ上下動手
段により上下動可能なバイブロフロット8を振動させ且
つ上下動させながら、前記中空ロッド7の先端部よりペ
ースト状セメント系固化材またはセメントミルクを注入
し、この中空ロッド7を前記ケーシング2内の土壌中に
その底部まで挿入し且つ引き上げることにより、ケーシ
ング2内部の土壌とペースト状セメント系固化材または
セメントミルクとを攪拌混合して混合粉粒ペースト体S
となし、その後ケーシング2を前記回転圧入引抜装置1
により引き抜くことによって地盤中に地盤改良パイル
P′を形成するようにしたものである。
【0006】請求項2に係る工法にあっては、前記回転
圧入引抜装置1によりケーシング2を引き抜くと共に、
再度、前記バイブロフロット8を振動させ且つ上下動さ
せながら、前記混合粉粒ペースト体Sを攪拌混合して地
盤中に地盤改良パイルPを形成するようにしたものであ
る。
【0007】請求項3に係る工法にあっては、前記バイ
ブロフロット8の下部に、土圧によって横方向に展開す
るように開き自重によって下向きに折り畳むように閉じ
る蝶形開閉板16を装備し、前記ケーシング2を引き抜
く際に、前記上下動手段によるバイブロフロット8の上
下動に伴って蝶形開閉板16を開閉させるようにしたも
のである。
【0008】請求項4に係る工法にあっては、前記上下
動手段として油圧シリンダ6を使用するようにしたもの
である。
【0009】請求項5に係る工法にあっては、セメント
系固化材が、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アル
ミニウム及び三酸化硫黄を主成分としてなるものであ
る。
【0010】
【作用】本発明の請求項1に係る工法によれば、回転圧
入引抜装置1によって大径の筒状ケーシング2を軟弱地
盤中所定深度まで埋め込んで、このケーシング2内の土
壌を排出することなくそのままパイル形成用の土砂材と
して利用するものであるから、従来の全ケーシング工法
によるような掘削排土作業が不要である上に、高価な砂
や砂利が不要となって、きわめて経済的で、パイル造成
費用の大幅な低減化を図ることができる。
【0011】また、本発明の工法では、バイブロフロッ
ト8を振動させ且つ上下動させながら中空ロッド7の先
端部よりペースト状セメント系固化材またはセメントミ
ルクを注入し、この中空ロッド7を軟弱地盤中に埋め込
んだケーシング2内部に底部まで挿入し且つ引き上げる
ことにより、ケーシング2内部の土壌とペースト状セメ
ント系固化材またはセメントミルクとを攪拌混合して混
合粉粒ペースト体Sとするものであって、軟弱地盤中の
ケーシング2の内部で土壌とペースト状セメント系固化
材またはセメントミルクとが攪拌混合されるから、周囲
地盤から土砂や水の混入したり、周囲地盤の土圧を受け
ることがなく、両者が有効に攪拌混合されて、均質良好
な混合粉粒ペースト体Sが形成される。
【0012】また、本発明の工法によれば、上記ケーシ
ング2を回転圧入引抜装置1により引き抜くことによ
り、ケーシング2内部の混合粉粒ペースト体Sを地盤中
に排出して、地盤改良パイルを形成するものであって、
このケーシング2から地盤中に排出される混合粉粒ペー
スト体Sは、それまでケーシング2内部で圧縮された状
態にあってしかもペースト状セメント系固化材またはセ
メントミルクと土壌粒子とが反応している途上にあるた
め、その体積を膨張してケーシング2よりも径大の地盤
改良パイルP′を形成する。このようにパイル体積が膨
張すると、その周囲の地盤が圧密され、この圧密によっ
て、地盤強度が増強される。
【0013】請求項2に係る工法によれば、回転圧入引
抜装置1によってケーシング2を引き抜く際に、再び、
バイブロフロット8を振動させ且つ上下動させながら、
中空ロッド7を介してバイブロフロット8をケーシング
2内部の土壌中にその底部まで挿入し且つそれより引き
上げることによって、地盤中に排出される混合粉粒ペー
スト体Sは、バイブロフロット8の振動作用及び上下動
作用によって十分に混合攪拌され、それによりペースト
状セメント系固化材またはセメントミルクと土壌粒子と
の反応が促進されて、更に体積を膨張し、それにより圧
密された強固な地盤改良パイルPが形成されると共に、
周囲地盤が圧密され、この圧密により地盤強度が一層増
強される。
【0014】また、請求項3に係る工法によると、バイ
ブロフロット8の下部に装備した蝶形開閉板16は、バ
イブロフロット8の下動時には、土圧により横方向に開
き、この開いた状態で下動して土砂等を押動せしめ、ま
た上動時には自重で下向きに閉じて、土砂等の抵抗を受
けることなくスムースに上動することができる。従っ
て、請求項1の工法においては、この蝶形開閉板16が
バイブロフロット8の上下動に伴って開閉することによ
り、ケーシング2内部の土壌とペースト状セメント系固
化材またはセメントミルクとの攪拌作用が促進されると
共に、攪拌された混合粉粒ペースト体Sが圧密され、ま
た請求項2の工法においては、上記の作用に加えて、地
盤中に排出される混合粉粒ペースト体Sが締め固められ
て圧密される。
【0015】また、請求項4に係る工法によれば、上下
動手段として油圧シリンダ6を使用することにより、十
分な駆動力が得られると共に、構造がコンパクトで取付
けが簡単となる。
【0016】更に、請求項5に係る工法によれば、酸化
カルシウム、二酸化けい素、酸化アルミニウム及び三酸
化硫黄を主成分とするセメント系固化材を使用する場
合、実験の結果では、普通のセメント粉を240kg/m3
を添加したときの一軸圧縮強さが2kgf/cm2 であった
のに対し、このセメント系固化材では、240kg/m3
添加したときの一軸圧縮強さは6.4kgf/cm2 で、セ
メント粉の約3倍の強度を発揮することが判明した。従
って、このセメント系固化材によると、パイルとしてき
わめて良好な支持力を発揮することができる。
【0017】
【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図1は、本発明に係る工法を実施するのに用いるパイル
造成装置を示している。この図において1は、大径の筒
状ケーシング2を回転させつつ地盤中に押し込み、ある
いは地盤中から引き抜くためのケーシング回転圧入引抜
装置である。3はロッド昇降機枠で、例えば図1に示す
ようにリーダ4に沿って昇降自在に支持されると共に、
リーダ4の頂部から昇降ワイヤ5によって吊支される。
このロッド昇降機枠3に油圧シリンダ6を介して中空ロ
ッド7が垂下装備され、この中空ロッド7の下端にバイ
ブロフロット8が取付けてある。尚、ロッド昇降機枠3
には、必要に応じて、この機枠3がリーダ4に沿って降
下する際に中空ロッド7に対し下向きの推進力を作用せ
しめるるような駆動装置を装備してもよい。
【0018】ケーシング回転圧入引抜装置1は、従来よ
り使用されている周知のもので、例えば図2に示すよう
に、地上に設置されるベースフレーム9上に回転駆動軸
10、油圧モーター11、圧入引抜手段12、チャック
装置13等を装備してなるもので、回転駆動軸10内に
前記ケーシング2を挿入してチャック装置13により把
持しながら、油圧モーター11の駆動により回転駆動軸
10を回転させて、ケーシング2を回転しながらこれを
地盤中に押し込み、あるいは引き抜くようにしたもので
ある。
【0019】図3(A)に示すように、ロッド昇降機枠
3に垂設された油圧シリンダ6に中空ロッド7が同軸状
に垂下連設され、この中空ロッド7の下端にバイブロフ
ロット8が装備されており、このバイブロフロット8を
同図の(B)に拡大して示す。油圧シリンダ6は、中空
ロッド7を介してバイブロフロット8を所定ストローク
上下動させる上下動手段であって、この上下動手段とし
ては、油圧シリンダ6に代えて、所定ストローク上下動
する空気ばね等を使用してもよいが、油圧シリンダ6の
方が強力な駆動力が得られると共に、構造がコンパクト
で取付けが簡単となる利点がある。
【0020】バイブロフロット8は周知のもので、内部
構造の図示は省略するが、電動機により偏心軸体を回転
させて水平方向の振動を発生させるようになっている。
この電動機への給電ケーブル13は、中空ロッド7の中
空部7a内に挿通され、このロッド9の上端部からコイ
ル状をなしてロッド昇降機枠3内へ延出されている。こ
のケーブル13のコイル状部分は、油圧シリンダ6の作
動による中空ロッド7の上下動に対応するようにしたも
のである。
【0021】また、図3(A)及び(B)に示すよう
に、中空ロッド7の中空部7aには、その上端部よりペ
ースト状セメント系固化材またはセメントミルクが加圧
供給されて、ロッド7下端部の噴出孔14から噴出され
るようになっている。しかして、中空ロッド7の上端部
には、外部からペースト状セメント系固化材またはセメ
ントミルクを供給するための供給ホース15が連結され
ており、この供給ホース15の先端部側は、前記バイブ
ロフロット8の給電ケーブル13と同様に、油圧シリン
ダ6の作動による中空ロッド7の上下動に対応しうるよ
うにコイル状に形成されている。尚、この供給ホース1
5は、ロッド昇降機枠3内からペースト状セメント系固
化材またはセメントミルクの外部供給ユニット(図示せ
ず)に接続されている。
【0022】また、バイブロフロット8には、図3
(A)及び(B)に示すように、その下部に、土圧によ
って横方向に展開するように開き自重によって下向きに
折り畳むように閉じる蝶形開閉板16を装備することが
できる。その場合には、バイブロフロット8に、径大の
短管状支持管17を複数の取付片18を介して取付け、
この支持管17の下端部内にその直径方向に水平支軸1
9を固着し、この水平支軸19に、一対の半円形板16
a,16aからなる蝶形開閉板16を枢着する。この蝶
形開閉板16は、常時は図3(A)の実線図示のように
自重によって下向きに折り畳むように閉じ、下方より土
圧を受けることにより同図の仮想線図示のように上向き
に回動して横方向に展開し、その展開位置で前記支持管
17の下端に当接支持されることになる。
【0023】次に、上述のような構造を有するパイル造
成装置を使用して軟弱な地盤中に地盤改良パイルを造成
する本発明の工法について、図4を中心に適宜他の図面
を参照して説明する。尚、図4の〜は、施工順序を
示す。
【0024】先ず、図4のに示すようにケーシング回
転圧入引抜装置1によって大径ケーシング2を回転させ
つつ軟弱地盤中に圧入して埋め込んでゆく。この場合、
ケーシング2は、単位長さのものを複数個使用し、各ケ
ーシング2を順次継ぎ足しながら地盤中に埋め込むよう
にする。
【0025】しかして、ケーシング2を、図5のに示
すように地盤中所定深度まで埋め込んだ後、ロッド昇降
機枠3をリーダ4に沿って降下させつつ、中空ロッド7
を、同図のに示すようにケーシング2内部の土壌中に
挿入してゆき、この中空ロッド7の挿入中に、ロッド7
先端のバイブロフロット8を振動させ且つ油圧シリンダ
6により上下動させると共に、ロッド7先端部の噴出孔
14からペースト状セメント系固化材またはセメントミ
ルクを噴出させてケーシング2内部の土壌中に注入す
る。バイブロフロット8がケーシング内部の土壌中にそ
の底部まで達したならば、ロッド昇降機枠3を上昇させ
て中空ロッド7を引き抜いてゆく。この引き抜き中も、
挿入時と同様に、バイブロフロット8を振動させ且つ上
下動させると共に、ロッド7先端部の噴出孔14からペ
ースト状セメント系固化材またはセメントミルクをケー
シング2内部の土壌中に注入する。
【0026】上記のように、軟弱地盤中に埋め込まれた
ケーシング2内部の土壌中に、中空ロッド7先端のバイ
ブロフロット8を振動させ且つ上下動させながら、中空
ロッド7先端部よりペースト状セメント系固化材または
セメントミルクを注入しつつ、この中空ロッド7を底部
まで挿入し且つ引き上げることによって、ケーシング2
内部の土壌とペースト状セメント系固化材またはセメン
トミルクとが攪拌混合されて混合粉粒ペースト体Sとな
る。この場合、ケーシング2の内部で土壌とペースト状
セメント系固化材またはセメントミルクとが攪拌混合さ
れるから、周囲地盤から土砂や水の混入したり、周囲地
盤の土圧を受けることがなく、両者が有効に攪拌混合さ
れて、均質で良好な混合粉粒ペースト体Sが形成され
る。また、このとき、蝶形開閉板16がバイブロフロッ
ト8の上下動に伴って開閉することにより、ケーシング
2内部の土壌とペースト状セメント系固化材またはセメ
ントミルクとの攪拌作用が促進されると共に、攪拌され
た混合粉粒ペースト体Sが圧密される。
【0027】しかして、地盤中に埋め込まれているケー
シング2を、図4のに示すように、ケーシング回転圧
入引抜装置1により回転させつつ引き抜くことによっ
て、ケーシング2内部の混合粉粒ペースト体Sを地盤中
に排出する。このケーシング2の引き抜きは、ケーシン
グ2内部の土壌中にバイブロフロット8を挿入してこれ
を引き上げる途中から行ってもよい。
【0028】ケーシング2の引き抜きによってケーシン
グ2下端から地盤中に排出される混合粉粒ペースト体S
は、それまでケーシング2内部で圧縮された状態にあっ
てしかもペースト状セメント系固化材またはセメントミ
ルクと土壌粒子とが反応している途上にあるため、図4
のに示すようにその体積を膨張してケーシング2より
も径大の地盤改良パイルP′を形成する。このようにパ
イルが膨張すると、その周囲の地盤が圧密され、この圧
密によって、地盤強度が増強される。尚、この地盤改良
パイルP′は、本発明の請求項1に係る工法によって形
成されるパイルである。
【0029】また、回転圧入引抜装置1によりケーシン
グ2を引き抜いた後、あるいはその引き抜き途上に、図
4の及びに示すように、再びロッド昇降機枠3を前
述のように降下、上昇させて、バイブロフロット8を振
動させ且つ上下動させながら、中空ロッド7を介してバ
イブロフロット8をケーシング2内部の土壌中にその底
部まで挿入し且つそれより引き上げることによって、ケ
ーシング2から排出された混合粉粒ペースト体Sが更に
攪拌混合され、同図のに示すような地盤改良パイルP
が形成される。この地盤改良パイルPは、本発明の請求
項2に係る工法によって形成されるパイルである。
【0030】上記のように、図4のからまでの工程
に引続いて同図の及びの工程を加えた工法による
と、ケーシング2の引き抜きにより地盤中に排出された
混合粉粒ペースト体Sが、バイブロフロット8の振動作
用及び上下動作用によって再度繰り返し混合攪拌され、
それによりこの混合粉粒ペースト体Sは、ペースト状セ
メント系固化材またはセメントミルクと土壌粒子との反
応が促進されて、更に体積が膨張し、それによって周囲
地盤が圧密され、この圧密により地盤強度が一層増強さ
れることになる。
【0031】また、図4の及びに示すように、ケー
シング2から地盤中に排出された混合粉粒ペースト体S
中にバイブロフロット8を挿入し且つ引き上げる際、こ
のバイブロフロット8の下部に装備した蝶形開閉板16
が、油圧シリンダ6によるバイブロフロット8の下動時
には、混合粉粒ペースト体Sの圧力により横方向に開
き、この開いた状態で下動して混合粉粒体Sを押動せし
め、また上動時には自重で下向きに閉じて、混合粉粒体
Sの抵抗を受けることなくスムースに上動する。しかし
て、この蝶形開閉板16がバイブロフロット8の上下動
に伴って開閉することにより、地盤中に排出された混合
粉粒体Sが押圧されて圧密されると共に、周囲地盤が圧
密され、それによって強固な圧密パイルPが形成される
と共に、地盤強度が更に増強される。
【0032】以上説明した本発明の工法において、軟弱
地盤中に埋め込んだケーシング2の内部土壌にはペース
ト状セメント系固化材またはセメントミルクのいずれを
注入してもよいが、ペースト状セメント系固化材、即ち
水分とセメント系固化材とを混練してペースト状とした
ものを使用する場合、そのセメント系固化材として、酸
化カルシウム、二酸化けい素、酸化アルミニウム及び三
酸化硫黄を主成分とするものを使用すると良く、具体的
には、次の配合割合のものが好適である。
【0033】二酸化けい素 18.6〜20.2% 酸
化アルミニウム 6.2〜4.6% 酸化第二鉄 1.8〜2.5% 酸化カルシウム
59.6〜63.1% 酸化マグネシウム 約1.8% 三酸化硫黄 7.
7〜6.7% 不溶残部 0.1〜0.2%
【0034】また、市販のセメント系固化材としては、
商品名 ハートキープ Pー430(株式会社トクヤマ
製)あるいは商品名 麻生ソリッドエース(麻生セメン
ト株式会社製)が好ましい。
【0035】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る工法によれば、
大径筒状ケーシングを回転圧入引抜装置により軟弱地盤
中所定深度まで埋め込んで、このケーシング内の土壌を
排出することなくパイル形成用の土砂材としてそのまま
利用できるから、従来工法によるような掘削排土作業が
不要となる上、高価な砂や砂利が不要となり、従ってき
わめて経済的で、パイル造成費用の大幅な低減化を図る
ことができる。
【0036】また、この工法によれば、軟弱地盤中に埋
め込んだケーシングの内部で土壌とペースト状セメント
系固化材またはセメントミルクとが攪拌混合されるか
ら、周囲地盤から土砂や水が混入したり、周囲地盤の土
圧の影響を受けることがなく、従って土壌とペースト状
セメント系固化材またはセメントミルクはが有効に攪拌
混合されて、均質で良好な混合粉粒ペースト体が形成さ
れる。
【0037】更に、この工法によれば、ケーシングの引
き抜きにより、その内部の混合粉粒ペースト体が地盤中
に排出されて、地盤改良パイルを形成するものである
が、地盤中に排出される混合粉粒ペースト体は、それま
でケーシング内部で圧縮された状態にあってしかもペー
スト状セメント系固化材またはセメントミルクと土壌粒
子とが反応している途上にあるため、パイル体積を膨張
して、その周囲の地盤を圧密し、それによって地盤強度
を増強することができる。
【0038】請求項2に係る工法によれば、地盤中に排
出された混合粉粒ペースト体が、バイブロフロットの振
動作用及び上下動作用によって再度繰り返し混合攪拌さ
れ、それによりペースト状セメント系固化材またはセメ
ントミルクと土壌粒子との反応が促進されて更に体積を
膨張し、それにより圧密された強固な地盤改良パイルを
形成することができると共に、周囲地盤を圧密して、地
盤強度を一層増強することができる。
【0039】また、請求項3に係る工法によると、蝶形
開閉板が、バイブロフロットの上下動に伴って開閉する
ことにより、請求項1の工法にあっては、ケーシング内
部の土壌とペースト状セメント系固化材またはセメント
ミルクとが有効に攪拌混合されると共に、この攪拌混合
された混合粉粒ペースト体が圧密され、また請求項2の
工法にあっては、地盤中に排出される混合粉粒ペースト
体が押圧されて圧密されると共に、周囲地盤が圧密さ
れ、それによってより強固な圧密パイルを形成できると
共に、地盤強度を一層増強することができる。
【0040】また、請求項4に係る工法によるば、上下
動手段として油圧シリンダを使用することにより、十分
な駆動力が得られると共に、構造がコンパクトで取付け
が簡単となる。
【0041】更に、請求項5に係る工法によれば、半永
久的に支持力の強い地盤改良パイルとすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の工法を実施するためのパイル造成装
置を示す側面図である。
【図2】 ケーシング回転圧入引抜装置を示す斜視図で
ある。
【図3】 (A)はロッド昇降機枠、これに油圧シリン
ダを介して垂下装備された中空ロッド、及びロッド下端
に取付けられたバイブロフロットを示す一部断面側面図
であり、(B)はバイブロフロットを示す拡大斜視図で
ある。
【図4】 本発明工法の施工順序を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ケーシング回転圧入引抜装置 2 大径筒状のケーシング 3 ロッド昇降機枠 6 油圧シリンダ(上下動手段) 7 中空ロッド 8 バイブロフロット 14 中空ロッド下端部の噴出孔 16 蝶形開閉板 S 混合粉粒ペースト体 P′ 地盤改良パイル P 地盤改良パイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−134891(JP,A) 特開 平8−134892(JP,A) 特開 平8−134894(JP,A) 特開 平8−134893(JP,A) 特開 平8−134895(JP,A) 特開 平8−134897(JP,A) 特開 平8−134898(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケーシング回転圧入引抜装置によって大径
    の筒状ケーシングを地盤中所定深度まで埋め込み、次に
    中空ロッドの先端に取付けられ且つ上下動手段により上
    下動可能なバイブロフロットを振動させ且つ上下動させ
    ながら、前記中空ロッドの先端部よりペースト状セメン
    ト固化材またはセメントミルクを注入し、この中空ロッ
    ドを前記ケーシング内の土壌中にその底部まで挿入し且
    つ引き上げることにより、ケーシング内部の土壌とペー
    スト状セメント固化材またはセメントミルクとを攪拌混
    合して混合粉粒ペースト体となし、その後ケーシングを
    前記回転圧入引抜装置により引き抜くことによって地盤
    中に地盤改良パイルを形成するようにした軟弱地盤の改
    良工法。
  2. 【請求項2】前記回転圧入引抜装置によりケーシングを
    引き抜くと共に、再度、前記バイブロフロットを振動さ
    せ且つ上下動させながら、前記混合粉粒体を攪拌混合し
    て地盤中に地盤改良パイルを形成するようにした請求項
    1に記載の軟弱地盤の改良工法。
  3. 【請求項3】バイブロフロットの下部に、土圧によって
    横方向に展開するように開き自重によって下向きに折り
    畳むように閉じる蝶形開閉板を装備し、前記上下動手段
    によるバイブロフロットの上下動に伴って蝶形開閉板を
    開閉させるようにした請求項1または2に記載の軟弱地
    盤の改良工法。
  4. 【請求項4】前記上下動手段として油圧シリンダを使用
    する請求項1〜3のいずれかに記載の軟弱地盤の改良工
    法。
  5. 【請求項5】前記セメント系固化材は、酸化カルシウ
    ム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び三酸化硫黄を
    主成分としてなる請求項1〜4のいずれかに記載の軟弱
    地盤の改良工法。
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