JP2002275884A - 軟弱地盤改良工法及びパイル構築装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低騒音低振動で且つ高品質のパイル構築がで
きる軟弱地盤改良工法を提供する。 【解決手段】 パイル構築位置に、ケーシング２を埋入
すると同時にケーシング内土砂を掘削体１で掘削及び攪
拌し、埋設したケーシング内の底部から地表に順次固化
材ｂを放出しながらケーシング内土砂を攪拌してケーシ
ング内を混合土ｃとし、しかる後混合土を攪拌しながら
ケーシングを引き抜いて、混合土を固化してパイルを構
築してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軟弱地盤にパイルを打
設形成することで地盤改良を行う改良工法のうち、特に
在来土を利用してのパイルを形成する工法に関するもの
である。

【０００２】

【従来技術及び発明が解決しようとする課題】掘削した
在来土を使用して軟弱地盤改良パイルとする工法は、従
前より知られている。具体的には、地盤に縦穴を掘削
し、縦穴から排出した掘削土（在来土）にセメントミル
クなどの固化材を混合し、この混合土を縦穴に埋め戻
し、混合土の固化でパイルを構築している。

【０００３】然し前記の従来工法は、掘削した在来土を
一旦地表で固化材と混合する作業や埋め戻し作業が必要
となり、作業自体が煩雑である。而も軟弱地盤の程度に
もよるが、地盤が軟弱すぎると、正確な鉛直方向の縦穴
を掘削することが困難であり、且つ掘削縦穴壁面が崩れ
易く、また混合土を埋め戻した際に、液状固化材が縦穴
壁面から外部に滲みでてしまい、設計値のパイルを構築
されない虞がある。

【０００４】そこで縦穴壁面を保持する筒状ケーシング
を利用する工法が提案されている（特許第２８０４８９
６号）。具体的には、筒状ケーシングを振動を利用して
地盤中に圧入し、更にケーシング内の土中にバイブロフ
ロットを差し入れ、バイブロフロット先端からセメント
ミルクを吹き出しながら上下動させて、前記バイブロフ
ロットとケーシングを引き抜き、ケーシング内のペース
ト体を地盤中に排出してパイルを形成するものである。

【０００５】然し前記工法は、ケーシング並びにバイブ
ロフロットの振動圧入のために周囲地盤に与える影響が
大きいし、且つ作業中の騒音が問題となる。また前記工
法は、ある程度以上の軟弱地盤にしか適用できない。即
ちパイル形成地盤の途中にある程度硬い地盤が存在した
場合に、強い振動圧入が必要となり、周囲に与える振動
騒音が大きくなってしまう。

【０００６】そこで本発明は、低騒音低振動で軟弱地盤
改良を正確な設計値どおりのパイル構築で達成する工法
並びに前記工法を実施するパイル構築装置を提案したも
のである。

【０００７】

【課題を解決する手段】本発明に係る軟弱地盤改良方法
は、パイル構築位置に、ケーシングを埋入すると同時に
ケーシング内土砂を掘削及び攪拌し、埋設したケーシン
グ内の底部から地表に順次固化材を放出しながらケーシ
ング内土砂を攪拌してケーシング内を混合土とし、しか
る後混合土を攪拌しながらケーシングを引き抜いて、混
合土の固化でパイルを構築してなることを特徴とするも
のである。

【０００８】従って掘削箇所のケーシングの埋入作業
は、ビット部による回転掘削を伴って行われるので振動
や騒音が抑えられ、ケーシング内の掘削土（在来土）
は、攪拌によって流動可能状態となり、更にセメントミ
ルクとの混合が適切に実施され、ケーシングの引き抜き
後の混合土の固化でケーシング形状対応のパイルが形成
される。

【０００９】また本発明に係るパイル構築装置は、回転
駆動機構を備えて重機本体に昇降可能に着脱できるよう
にした本体と、本体から垂設すると共に、別置固化材供
給装置からの供給管と連結して、下端固化材放出口を設
けた回転筒と、回転筒先端に掘削径に対応して取り付け
たビット部と、回転筒から外周に突設した攪拌羽根と、
回転筒上部に掘削径に対応したケーシングの着脱を自在
としたケーシング取付部と、前記ケーシング取付部に上
端近傍を取付け可能とし且つ取り付け時に回転筒先端と
約一致する高さのケーシングとで構成したことを特徴と
するものである。

【００１０】而して前記パイル構築装置によって前記軟
弱地盤改良工法を実現できるものである。

【００１１】

【実施の形態】次に本発明工法の実施に使用される本発
明のパイル構築装置の実施形態について説明する。実施
形態に示したパイル構築装置は、掘削体１と掘削体１に
着脱されるケーシング２とで構成したもので、掘削体１
は、本体１１と、回転筒１２と、ビット部１３と、攪拌
羽根１４と、ケーシング取付部１５とを備えてなる。

【００１２】本体１１は、内部に回転駆動機構を備え
て、重機本体（図示せず）に装着されるものである。重
機本体は、所謂アースオーガと称される機器で、走行可
能で且つ装着対象物を昇降させるリーダを備えている。
本体１１は前記重機本体に取り付けられて、上下昇降を
行うものである。

【００１３】回転筒１２は、本体１１から垂設すると共
に、本体の駆動機構で回転駆動させられもので、別置の
固化材供給装置（ミルクセメント圧送装置：図示せず）
の供給管と連結し、下端固化材放出口１６を設けてな
り、更に前記回転筒１２の外周に掘削径に対応したビッ
ト部１３と、回転筒１２の途中の外周に突設した攪拌羽
根１４とを付設してなる。

【００１４】ケーシング取付部１５は、ケーシング取付
リングを回転筒１２の上部外周に回転筒１２と一体に設
け、前記取付リングにピン孔１７を穿設したものであ
る。

【００１５】ケーシング２は、掘削径に対応した大きさ
で、上部に取付リング（ケーシング取付部１５）のピン
孔１７と対応するピン孔２１を設け、ケーシング２を取
付リングに内嵌してピン孔１７，２１にピン３を挿通し
て取り付けた際に、ビット部１３の位置と一致する長さ
としたものである。

【００１６】前記パイル構築装置を使用して、本発明工
法を実施する工程について次に説明する。本発明工法
は、掘削工程、混合土形成工程、ケーシング引き抜き工
程を順次実施するもので、掘削工程は、所定の重機に掘
削体１を昇降動作させるように取り付けると共に、ケー
シング２をケーシング取付部１５に装着し、掘削体１を
パイル構築位置の地盤Ａ上に位置し、所定の掘削を行う
（図２イ）。

【００１７】掘削は、掘削体１の回転筒１２及び回転筒
１２に付設したビット部１３並びに撹拌羽根１４と、取
付部１５に装着したケーシングング２の全体を一体とし
て回転させて、前記全体を地盤Ａに埋入する（図２
ロ）。前記の埋入に際しては、ビット部１３で地盤を削
り取りながら掘削をおこなうものであるから、軟弱地盤
の硬軟の差異が存在しても何ら支障無く掘削が可能であ
り、掘削された土砂は、ケーシング２内で撹拌羽根１４
によって撹拌され、流動状態の土砂（掘削在来土）ａと
なる。そして所定の深さまで掘削が終了したところで本
体１１の回転駆動作動を一旦停止する。

【００１８】次に混合土形成工程を実施するもので、最
初に地盤Ａに埋入した状態でケーシング２を取付部１５
から外す（ピン３の離脱：図２ハ）。しかる後回転筒１
２の先端の放出口１６からセメントミルクｂ等固化材を
放出しながら掘削体１を回転駆動させながら引き抜く
（図３イ、ロ）。従ってセメントミルクｂは、掘削在来
土ａの全体に放出されることになる。

【００１９】そこで再度掘削体１を回転駆動させながら
下降させる。この下降動作によって掘削在来土ａとセメ
ントミルクｂが撹拌混合されて混合土ｃとなる（図３
ハ）。

【００２０】掘削体１を掘削終了位置まで下降させた
ら、次にケーシング引き抜きを行うもので、ケーシング
２を掘削体１の取付部１５に連結（ピン３の装着）し
て、回転駆動を行いながら掘削体１及びケーシング２を
上昇させて地表に引き抜く（図４イ、ロ）。

【００２１】従って地盤中には、ケーシング２で囲繞さ
れた範囲に混合土ｃが残置され、この硬化によってパイ
ルが構築され、軟弱地盤の改良が実現する。特に前記工
法は、掘削に際してケーシング内で掘削土の撹拌を行う
ことで、固化材との混合を容易にし、セメントミルク
（固化材）の放出は掘削箇所の下方から順次上方に万遍
無く放出されるので、而も掘削体の下降時の撹拌作業と
ケーシング引き抜き時の撹拌作業によって、固化してパ
イルとなる混合土が均一な品質となり、パイル自体の品
質が一致して軟弱地盤改良が設計どおりに実現する。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明は、パイル構築位置
に、ケーシングを埋入すると同時にケーシング内土砂を
掘削及び攪拌し、埋設したケーシング内の底部から地表
に順次固化材を放出しながらケーシング内土砂を攪拌し
てケーシング内を混合土とし、しかる後混合土を攪拌し
ながらケーシングを引き抜いて、混合土を固化してパイ
ルを構築する軟弱地盤改良工法で、騒音振動や騒音が抑
えられ、且つ高品質のパイルを構築することができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の実施形態の全体図。

【図２】本発明工法の実施形態を示すもので、掘削工程
説明図。

【図３】同混合土形成工程説明図。

【図４】同ケーシング引き抜き工程説明図。

【符号の説明】

１ 掘削体 １１ 本体 １２ 回転筒 １３ ビット部 １４ 撹拌羽根 １５ ケーシング取付部 １６ 放出口 １７ ピン孔 ２ ケーシング ２１ ピン孔 ３ ピン

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイル構築位置に、ケーシングを埋入す
   ると同時にケーシング内土砂を掘削及び攪拌し、埋設し
   たケーシング内の底部から地表に順次固化材を放出しな
   がらケーシング内土砂を攪拌してケーシング内を混合土
   とし、しかる後混合土を攪拌しながらケーシングを引き
   抜いて、混合土を固化してパイルを構築してなることを
   特徴とする軟弱地盤改良工法。
2. 【請求項２】 回転駆動機構を備えて重機本体に昇降可
   能に着脱できるようにした本体と、本体から垂設すると
   共に、別置固化材供給装置からの供給管と連結して、下
   端固化材放出口を設けた回転筒と、回転筒先端に掘削径
   に対応して取り付けたビット部と、回転筒から外周に突
   設した攪拌羽根と、回転筒上部に掘削径に対応したケー
   シングの着脱を自在としたケーシング取付部と、前記ケ
   ーシング取付部に上端近傍を取付け可能とし、且つ取り
   付け時に回転筒先端と約一致する高さのケーシングとで
   構成したことを特徴とするパイル構築装置。