JP2712476B2 - ジフルオロメチレン基を有するプロパンの製造法 - Google Patents

ジフルオロメチレン基を有するプロパンの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はジフルオロメチレン基を有するプロパンの製
造方法に関するものである。ジフルオロメチレン基を有
するプロパンは従来から用いられてきたフロン類と同様
に発泡剤、冷媒、洗浄剤等の用途が期待される。
[従来の技術] ジフルオロメチレン基を有するプロパンの合成ルート
としては、従来塩化アルミニウムの存在下に、1−クロ
ロ−1,2,2−トリフルオロエチレン等のジフルオロメチ
レン単位を有するエチレンにクロロジフルオロメタン等
を付加させて合成する方法が知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、この方法は目的生成物と同時に目的生成物と
沸点の近いジフルオロメチレン以外のメチレン基を有す
る反応副生物を生成するため純度の高い製品を得るには
多段の精製工程が必要であるという欠点を有している。
[課題を解決するための手段] 本発明は、下記一般式(1)で表されるジフルオロメ
チレン基を有するプロパン(ただし、1,1,3−トリクロ
ロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパンを除き、以
下、化合物Aという)を水素化触媒の存在下で水素と反
応させることを特徴とする下記一般式(2)および
(3)から選ばれるジフルオロメチレン基を有するプロ
パン(ただし、1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフル
オロプロパンを除き、以下、化合物Bという)の製造法
である。
C3HmCl3-mF5 ……(1) C3HnCl3-nF5 ……(2) C3HpCl4-pF4 ……(3) (式中、m、nおよびpは0≦m≦2、1≦n≦3、1
≦p≦4を満足する整数) 本反応においてはVIII族元素、レニウム、ジルコニウ
ム、タングステン等、またはこれらの組合せにより形成
された種々の水素化触媒が使用可能である。
原料に用いる化合物Aとしては、1,1,1−トリクロロ
−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(R−215cb)、
1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン
(R−225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフ
ルオロプロパン(R−225cb)、1,1−ジクロロ−1,2,2,
3,3−ペンタフルオロプロパン(R−225cc)、1−クロ
ロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(R−235c
a)、1−クロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン
(R−235cb)、1−クロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオ
ロプロパン(R−235cc)が挙げられるが、これらはい
すれも公知である。
本発明において、水素化触媒の担体としては、例え
ば、アルミナ、活性炭等が好適である。担持方法は、従
来の貴金属触媒の調製法が適用可能である。なお、使用
に当たってはあらかじめ触媒の還元処理を施しておくこ
とが安定した特性を得るうえで好ましいが、必ずしも行
なうことを要しない。
かかる金属の化合物は少なくとも一部還元する。
水素と原料の割合は大幅に変動させ得る。通常、化学
量論量の水素を使用してハロゲン原子を除去するが、原
料の化合物Aをほぼ完全に反応させるために出発物質の
全モル数に対して化学量論量よりかなり多い量、例えば
4倍モルまたはそれ以上の水素を使用してもよい。
反応温度は、気相反応においては100〜450℃が適当で
あり、特には100〜300℃が好ましい。接触時間は通常0.
1〜300秒、特には2〜60秒が好ましい。
液相で反応を行なう場合において用いる溶媒としては
エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール
類、酢酸、ピリジン等があげられるが、無溶媒で行なう
ことも可能である。液相反応での反応温度は常温〜150
℃が好ましく、また反応圧力は常圧〜10kg/cm2が好まし
い。
反応により生成する化合物Bとしては、1,1−ジクロ
ロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(R−225c
a)、1,1−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロ
パン(R−225cc)、1−クロロ−1,2,2,3,3−ペンタフ
ルオロプロパン(R−235ca)、1−クロロ−2,2,3,3,3
−ペンタフルオロプロパン(R−235cb)、1−クロロ
−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(R−235cc)、
1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(R−245ca)、1,
1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(R−245cb)、1−
クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(R−244c
c)または1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(R−254c
b)が挙げられ、これらは通常の蒸留等の操作により分
離することができる。
[実施例] 以下に本発明の実施例を示す。
調製例1 純水中に塩酸を1重量%加えpHを調整した液にヤシガ
ラ成形炭を浸漬し細孔内部まで液を含浸させた。これに
塩化パラジウムと塩化ニッケルをPd金属:Ni金属=8:2
(重量比)の割合で活性炭の重量に対し両金属成分の全
重量で0.5%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴下しイオ
ン成分を活性炭に吸着させた。これにヒドラジン水溶液
を投入し急速に還元した。純水を用いて洗浄した後、そ
れを150℃で5時間乾燥した。
調製例2 純水中にヤシガラ破砕炭を浸漬し細孔内部まで水を含
浸させた。これに塩化パラジウムとタングステン酸カリ
ウムをPd金属:W金属=9:1(重量比)の割合で活性炭の
重量に対し両金属成分の全重量で0.5%だけ溶解した水
溶液を少しずつ滴下しイオン成分を活性炭に吸着させ
た。純水を用いて洗浄した後、それを150℃で5時間乾
燥した。次に窒素中550℃で4時間乾燥した後、水素を
導入し、5時間、300℃に保持して還元した。
実施例1 活性炭担持パラジウム触媒(担持量:0.5重量%)を40
0cc充填した内径2.54cm、長さ100cmのインコネル600製
反応管を塩浴炉中に浸漬した。水素と出発物質1,1,1−
トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンを1:1
のモル比でガス化して反応管に導入した。反応温度は20
0℃、接触時間は20秒であった。反応生成物は酸分を除
去した後、−78℃に冷却したトラップに捕集した。捕集
した反応生成物をガスクロマトグラフィーおよびNMRを
用いて分析した。その結果を表1に示す。
実施例2〜3 表1に示す水素化触媒、反応条件を用いる以外は実施
例1と同様にして、1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペ
ンタフルオロプロパンの水素化反応を行ない反応生成物
の分析を行なった。その結果を表1に示す。
実施例4〜6 触媒成分を表2のものとする他は調製例2と同様にし
て調製した表2に示す触媒を用い、表2に示す反応条件
を用いる以外は実施例1と同様にして、1,1,1−トリク
ロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンの水素化反
応を行ない反応生成物の分析を行なった。その結果を表
2に示す。
実施例7〜8 触媒成分を表3の重量比とし、還元温度を300℃とす
る他は調製例2と同様にして調製した触媒を用い、表3
に示す反応条件を用いる以外は実施例1に同様にして、
1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパ
ンの水素化反応を行ない反応生成物の分析を行なった。
その結果を表3に示す。
実施例9〜10 触媒成分を表4の重量比とし、還元温度を300℃とす
る他は調製例2と同様にして調製した触媒を用い表4に
示す反応条件を用いる以外は実施例1と同様にして、1,
1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン
の水素化反応を行ない反応生成物の分析を行なった。そ
の結果を表4に示す。
実施例11〜13 出発物質として1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフ
ルオロプロパン(実施例11)、1,3−ジクロロ−1,1,2,
2,3−ペンタフルオロプロパン(実施例12)または1,1−
ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(実施
例13)を用い、表5に示す反応条件を用いる以外は実施
例1と同様にして反応を行ない反応生成物の分析を行な
った。その結果を表5に示す。
実施例14〜16 出発物質として1−クロロ−2,2,3,3,3−ペンタフル
オロプロパン(実施例14)、1−クロロ−1,1,2,2,3−
ペンタフルオロプロパン(実施例15)または1−クロロ
−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(実施例16)を
用い、表6に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同
様にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。そ
の結果を表6に示す。
実施例17 触媒成分を白金とし担持量を1重量%とする他は調製
例1と同様にして調製した水素化触媒を用い、出発物質
を1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン
とし、表7に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同
様にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。そ
の結果を表7に示す。
実施例18 触媒成分を白金とし担持量を1重量%とする他は調製
例2と同様にして調製した水素化触媒を用い、出発物質
を1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン
とし、表7に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同
様にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。そ
の結果を表7に示す。
実施例19 触媒成分を白金とし担持量を1重量%とする他は調製
例1と同様にして調製した水素化触媒を用い、出発物質
を1,1−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン
とし、表7に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同
様にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。そ
の結果を表7に示す。
実施例20 触媒成分を白金とし担持量を1重量%とする他は調製
例1と同様にして調製した水素化触媒を用い、出発物質
を1−クロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンと
し、表8に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同様
にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。その
結果を表8に示す。
実施例21 触媒成分を白金とし担持量を2重量%とする他は調製
例2と同様にして調製した水素化触媒を用い、出発物質
を1−クロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンと
し、表8に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同様
にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。その
結果を表8に示す。
実施例22 触媒成分を白金とし担持量を2重量%とする他は調製
例1と同様にして調製した水素化触媒を用い、出発物質
を1−クロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパンと
し、表8に示す反応条件を用いる以外は実施例1と同様
にして反応を行ない反応生成物の分析を行なった。その
結果を表8に示す。
実施例23 1リットルのSUS316製オートクレーブに、750gの1,1,
1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、
および還元触媒として触媒成分を白金、担持量を5重量
%、担体を活性炭粉末とする他は調製例2と同様にして
調製した白金触媒を7.5g仕込んだ。なお、オートクレー
ブのフランジ上部には冷却器を、冷却器の上部にバルブ
をそれぞれ取り付けて開放系に出来るようにした。冷却
器の冷媒の温度は−20℃とした。
オートクレーブの内部を窒素で充分に置換した後、撹
拌下で65℃まで昇温した。次に内圧が2kg/cm2となるま
で水素を吹き込んだ。その後は内圧が常に2kg/cm2とな
るような一定の流量で水素を導入し、温度は常に60℃付
近となるようにした。この時の水素流量は、560ml/分で
あった。冷却器で凝縮しきれなかった反応ガスは水中を
通過させることにより塩化水素を除去した後、ドライア
イスで冷却したトラップを通過させ、凝縮分を捕集し
た。
この状態で撹拌下120時間反応させた後、反応液を取
り出し、触媒を濾別した。濾液と、ドライアイスで冷却
したトラップ中に溜った凝縮分との混合液をガスクロマ
トグラフィーで分析した。その結果を表9に示す。
[発明の効果] 本発明は、ジフルオロメチレン基を有するペンタフル
オロプロパン類を原料として水素化触媒の存在下で水素
と反応させることにより選択的に含水素ペンタフルオロ
プロパン類および含水素テトラフルオロプロパン類を製
造し得るという効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/44 B01J 23/44 X 23/46 301 23/46 301X 311 311X 23/89 23/89 C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 田沼 敏弘 神奈川県横浜市港南区港南2―24―31 (56)参考文献 特開 平1−149739(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で表されるジフルオロメ
    チレン基を有するプロパン(ただし、1,1,3−トリクロ
    ロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパンを除く)を水
    素化触媒の存在下で水素と反応させることを特徴とする
    下記一般式(2)および(3)から選ばれるジフルオロ
    メチレン基を有するプロパン(ただし、1,3−ジクロロ
    −1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパンを除く)の製造
    法。 C3HmCl3-mF5 ……(1) C3HnCl3-nF5 ……(2) C3HpCl4-pF4 ……(3) (式中、m、nおよびpは0≦m≦2、1≦n≦3、1
    ≦p≦4を満足する整数)
  2. 【請求項2】一般式(1)で表されるジフルオロメチレ
    ン基を有するプロパンが1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3
    −ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3
    −ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3
    −ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1,2,2,3,3
    −ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,2,2,3,3−
    ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−2,2,3,3,3−ペ
    ンタフルオロプロパンまたは1−クロロ−1,1,2,2,3−
    ペンタフルオロプロパンである請求項1に記載の製造
    法。
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