JP2760136B2 - 含水素クロロフルオロカーボン類の製法 - Google Patents

含水素クロロフルオロカーボン類の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、含水素クロロフルオロカーボン類の製法に
関するものである。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 近年、冷媒、発泡剤、および溶剤として広く用いられ
ているクロロフルオロカーボン(フロンまたはCFC)に
よるオゾン層破壊の可能性が論議され、その製造、使用
について規制される方向にある。現在のオゾン層の濃度
変化とフロンとの相関については必ずしも明確になって
いるとは言えないが、フロンが紫外線により分解して生
成する塩素化合物がオゾン分解反応の触媒として作用す
ると考えられている。そのための代替フロンとしては水
素を含有し大気圏で分解する構造のもの[水素を分子中
に含むクロロフルオロカーボン(HCFC)、または水素を
分子中に含むフルオロカーボン類(HFC)]が適してい
ると考えられている。HCFCの中で化学的に安定なパーフ
ルオロメチル基、パーフルオロエチル基、およびパーフ
ルオロプロピル基を有する化合物は適度な安定性、油類
との相溶性を有し、代替フロンの候補物質となりうる。
例えば、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−225caはそれぞ
れ、CFC−11、CFC−114、CFC−113の代替候補として検
討が進められている。
[課題を解決するための手段] パーフルオロアルキル基を有するHCFCを製造する方法
として可能性のある種々の製造法の中で、Rf−CCl3また
はRf−CCl2F(Rf:パーフルオロメチル基、パーフルオロ
エチル基またはパーフルオロプロピル基)で表されるハ
ロゲン化アルカンを原料とし、これを耐酸性を有する還
元触媒の存在下で水素還元を行なう方法は、副生成物で
ある塩化水素をアルカリ処理により除去することが可能
であって、工業的な生産に適している。(下式参照) 本発明者は本還元反応に適した触媒につき鋭意探索、
検討を進めた結果、ついに白金を主成分とし、これにパ
ラジウム、ランタノイド元素、および11族元素(IUPAC
新命名法)(銅、銀、金元素)から選ばれる1種、また
は2種以上を添加してなる還元触媒を用いることにより
高選択的に1個の塩素原子を水素原子に置換することが
可能であることを見い出し本発明を提供するに至ったも
のである。以下、本発明の詳細について実施例とともに
説明する。
上式に示す接触水素化分解反応は、逐次的に進行する
と考えられ、通常、反応率が高くなった場合、生成物分
子中の塩素原子や、場合によってはフッ素原子も水素原
子に置換されやすくなる。元素種の中では白金接触を用
いた場合に複数の塩素原子の中から1個だけ塩素原子を
置換する割合が高いことが判明した。しかし、目的物の
選択率は必ずしも十分ではなく、特に反応温度を高くし
た場合には、パーフルオロアルキル基を除くすべてのハ
ロゲン原子が水素に置換されたHFCの生成量が増加す
る。本発明者は、白金を主成分とし、これにランタノイ
ド元素、パラジウム、および11族元素のように、格子サ
イズの大きな元素またはd−電子充填率の高い元素から
選ばれる1種、または2種以上を添加してなる還元触媒
においてさらに高い選択率が得られることを見い出し
た。添加元素の量は0.01〜50重量%が、好ましくは0.1
〜20重量%が白金の特性を活かす上で好適である。
本発明において、還元触媒の担体としては、例えば、
活性炭、アルミナ、ジルコニア等が好適である。担持量
は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%が特性、
コスト、等の点から好適である。
なお、使用に当たってはかかる金属の化合物は少なく
とも一部還元することが安定した反応特性を得る上で望
ましい。
水素と原料の割合は大幅に変動させ得る。しかしなが
ら、通常、化学量論量ないしは4倍モル程度の水素を使
用してハロゲン原子を除去することが、反応率、選択
率、および蒸留収率の点で好適である。
反応圧力については常圧、または常圧以上の圧力が使
用し得る。
反応温度は0℃〜450℃、好ましくは50℃〜300℃と
し、液相、または気相で反応を行なうことが適当であ
る。
接触時間は、反応を気相で行なう場合には通常0.1〜3
00秒、特には5〜100秒である。
[実施例] 以下に本発明の実施例を示す。
調製例1 活性炭を純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸させ
た。塩酸を用いてpHを調整した後、塩化白金酸と酢酸ラ
ジウムを活性炭の重量に対し金属成分の全重量でそれぞ
れ0.45%、0.05%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴下し
イオン成分を活性炭に吸着させた。純水を用いて洗浄し
た後、それを150℃で5時間乾燥した。次に250℃で窒素
を4時間通気した後、水素を導入し、300℃に5時間保
持して還元した。
調製例2 活性炭を純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸させ
た。塩酸を用いてpHを調整した後、塩化白金酸と塩化ラ
ンタンを活性炭の重量に対し金属成分の全重量でそれぞ
れ0.45%、0.05%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴下し
イオン成分を活性炭に吸着させた。ヒドラジンを用いて
急速に還元した後純水を用いて洗浄した。それを150℃
で5時間乾燥し、さらに250℃で窒素を4時間通気した
後、水素を導入し、300℃に5時間保持して還元した。
調製例3 γ−アルミナを純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸
させた。塩酸を用いてpHを調整した後、塩化白金酸と塩
化セリウムを活性炭の重量に対し金属成分の全重量でそ
れぞれ0.45%、0.05%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴
下しイオン成分を活性炭に吸着させた。水素化ホウ素ナ
トリウムを用いて急速に還元した後純水を用いて洗浄し
た。それを150℃で5時間乾燥し、さらに250℃で窒素を
4時間通気した後、水素を導入し、300℃に5時間保持
して還元した。
調製例4 活性炭を純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸させ
た。塩酸を用いてpHを調整した後、塩化白金酸と塩化銅
を活性炭の重量に対し金属成分の全重量でそれぞれ0.90
%、0.10%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴下しイオン
成分を活性炭に吸着させた。ヒドラジンを用いて急速に
還元を行った後、純水を用いて洗浄した。それを150℃
で5時間乾燥し、さらに250℃で窒素を4時間通気した
後、水素を導入し、300℃に5時間保持して還元した。
調製例5 活性炭を純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸させ
た。塩酸を用いてpHを調整した後、塩化白金酸を活性炭
の重量に対し金属成分の重量で0.95%%だけ溶解した水
溶液に少しずつ滴下し、イオン成分を活性炭に吸着させ
た。これにアンモニア水を添加しアルカリ性にした後、
硫酸ジアンミン銀を活性炭の重量に対し金属成分の重量
で0.05%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴下しイオン成
分を活性炭に吸着させた。純水を用いて洗浄した後、そ
れを100℃で10時間乾燥した。次に250℃で窒素を4時間
通気した後、水素を導入し、250℃に5時間保持して還
元した。
調製例6 活性炭を純水中に浸漬し細孔内部まで水を含浸させ
た。塩酸を用いてpHを調整した後、塩化白金酸と塩化金
酸を活性炭の重量に対し金属成分の全重量でそれぞれ0.
45%、0.05%だけ溶解した水溶液を少しずつ滴下しイオ
ン成分を活性炭に吸着させた。純水を用いて洗浄した
後、それを150℃で5時間乾燥した、次に250℃で窒素を
4時間通気した後、水素を導入し、300℃に5時間保持
して還元した。
実施例1 調製例1のようにして調製した還元触媒を300cc充填
した内径2.6cm、長さ100cmのインコネル600製反応器を
塩浴炉中に浸漬した。
水素、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタ
ン(CFC−113a)を4:1のモル比で反応管に導入した。水
素、出発物質の流量はそれぞれ、100cc/分、25cc/分と
し、反応温度は120℃とした。生成物は酸分を除去した
後、−78℃に冷却したトラップに反応粗液を回収してガ
スクロ及び19F−NMRを用いて分析した。その結果、HCFC
−123(CHCl2CF3)、HCFC−133a(CH2ClCF3)、HFC−14
3a(CH3CF3)がそれぞれ、87、8、5重量%の割合で生
成した。
実施例2 調製例2のようにして調製した触媒を用いる他は実例
1と同様にして反応および分析を行った。その結果、HC
FC−123、HCFC−133a、およびHFC−143aがそれぞれ、8
4、7、9重量%の割合で生成した。
実施例3 調製例2のようにして調製した触媒を用い、CFC−113
aの替わりに2,2−ジクロロ−1,1,1,2−テトラフルオロ
エタン(CFC−114a)を用い、反応温度を200℃とする他
は実施例1と同様にして反応および分析を行った。その
結果、HCFC−124(CHC1FCF3)、HCF−134a(CH2FCF3
がそれぞれ、83、8、9重量%の割合で生成した。
実施例4 調製例3のようにして調製した触媒を300cc充填した
内径2.6cm、長さ100cmのインコネル600製反応器を油浴
炉中に浸漬した。
水素、3,3,3−トリクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオ
ロプロパン(CFC−215cb)を4:1のモル比で反応管に導
入した。反応温度は170℃であった。生成物の分析を行
った結果、HCFC−225ca(CHC12CF2CF3)、HCFC−245cb
(CH3CF2CF3)、オレフィン類その他がそれぞれ、83、
9、7重量%の割合で生成した。
実施例5 調製例5のようにして調製した触媒を用いる他は実施
例4と同様にして反応および分析を行った。その結果、
HCFC−225ca、HCFC−245cb、オレフィン類その他がそれ
ぞれ、81、13、6重量%の割合で生成した。
実施例6 調製例6のようにして調製した触媒を用いる他は実施
例4と同様にして反応および分析を行った。その結果、
HCFC−225ca、HCFC−245cb、オレフィン類その他がそれ
ぞれ、84、10、6重量%の割合で生成した。
比較例1 市販のPb触媒(担持量0.5%、担体;活性炭)を用い
る他は実施例1と同様にして反応と分析を行った。その
結果、HCFC−123、HCFC−133a、およびHFC−143aがそれ
ぞれ、35、6、59重量%の割合で生成した。
比較例2 市販のPt触媒(担持量0.5%、担体;活性炭)を用い
る他は実施例1と同様にして反応と分析を行った。その
結果、HCFC−123、HCFC−133a、およびHFC−143aがそれ
ぞれ、74、15、11重量%の割合で生成した。
比較例3 市販のPt触媒(担持量0.5%、担体;活性炭)を用い
る他は実施例2と同様にして反応と分析を行った。その
結果、HCFC−124、HFC−134a、およびHFC−143aがそれ
ぞれ、74、6、19重量%の割合で生成した。
比較例4 市販のPt触媒(担持量0.5%、担体;活性炭)を用い
る他は実施例3と同様にして反応と分析を行った。HCFC
−225ca、HCFC−245cb、オレフィン類その他がそれぞ
れ、62、24、14重量%の割合で生成した。
[発明の効果] 本発明は実施例に示すようにクロロフルオロカーボン
から水素還元により高選択的にHCFCを得るという効果を
有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 B01J 23/56 301X (72)発明者 立松 伸 神奈川県横浜市神奈川区六角橋4―15― 32 (56)参考文献 特開 平1−319439(JP,A) 特開 平3−99026(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 19/10 C07C 17/23

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Rf−CCl3またはRf−CCl2F(Rf:パーフルオ
    ロメチル基、パーフルオロエチル基またはパーフルオロ
    プロピル基)で表されるハロゲン化アルカン原料を、白
    金を主成分とし、これにパラジウム、ランタノイド元素
    および11族元素から選ばれる1種または2種以上を添加
    してなる還元触媒の存在下で水素により還元し、ハロゲ
    ン化アルカン原料の1個の塩素原子が水素原子で置換さ
    れた含水素クロロフルオロカーボン類を得ることを特徴
    とする含水素クロロフルオロカーボン類の製法。
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