JP2022068119A - 1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

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Akira Iwasaki
真理 市野川
Mari ICHINOKAWA
秀一 岡本
Shuichi Okamoto
拓 山田
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Abstract

【課題】収率が高い、1224ydの製造方法を提供。
【解決手段】担体と、担体に担持されたCu含有触媒とを含むCu含有担持触媒の存在下、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを水素と反応させて、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法であって、Cu含有触媒が、Cu触媒、および、Cu-M触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含み、Cu触媒が、1価のCuを有する化合物を含み、Cu-M触媒が、1価のCuを有する化合物と、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属またはPd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物とを含み、担体のBET比表面積が400m/g以上である、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法に関する。
1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFCF=CHCl。HCFO-1224yd。以下、1224ydとも記す。)は、例えば、洗浄剤、冷媒、熱媒体、発泡剤、溶媒の各種用途に適用できる。
なお、本開示において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記す場合がある。本開示では、必要に応じて、化合物名に代えてその略称を用いる。その略称として、ハイフン(-)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分のみ(例えば、「HCFO-1224yd」は「1224yd」)を用いる場合がある。
特許文献1の実施例欄には、Ni-Cu触媒、または、0.5%Pd-8.5%Cu触媒を用いて、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFCF=CCl、CFO-1214ya。以下、1214yaとも記す。)を水素と反応させて1224ydを得ることが開示されている。
米国特許第9,637,429号明細書
しかしながら、特許文献1で具体的に記載の方法で得られる生成物には副生物および未反応の原料が多く、1224ydの収率が低い。
そこで、本発明は、収率が高い、1224ydの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出した。
(1) 担体と、担体に担持されたCu含有触媒とを含むCu含有担持触媒の存在下、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを水素と反応させて、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法であって、
Cu含有触媒が、Cu触媒、および、Cu-M触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
Cu触媒が、1価のCuを有する化合物を含み、
Cu-M触媒が、1価のCuを有する化合物と、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属またはPd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物とを含み、
担体のBET比表面積が400m/g以上である、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(2) 担体が、活性炭を含む、(1)に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(3) 担体のBET比表面積が、1000m/g以上である、(1)または(2)に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(4) Cu含有触媒の担持量が、担体の100質量部に対して、金属原子換算で1~20質量部である、(1)~(3)のいずれかに記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(5) 反応の反応温度が、30~350℃である、(1)~(4)のいずれかに記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(6) 1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンに対する水素のモル比が、0.1~50である、(1)~(5)のいずれかに記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(7) Cu含有触媒が、Cu-M触媒であり、
Cu-M触媒が、CuClを含む、(1)~(6)のいずれかに記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(8) Cu-M触媒が、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の金属、または、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物を含む、(1)~(7)のいずれかに記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
(9) Cu含有触媒が、Cu触媒であり、
Cu触媒が、CuClを含む、(1)~(6)のいずれかに記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
本発明によれば、収率が高い、1224ydの製造方法を提供できる。
反応装置を示す模式図である。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1224ydは、炭素-炭素二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体とが存在する。
本開示において、特段の断りがなく、化合物名や化合物の略称を用いた場合、Z体およびE体からなる群から選択される少なくとも1種を示す。具体的には、Z体もしくはE体、または、Z体とE体との任意の割合で含む混合物を示す。
化合物名や化合物の略称の後ろに(E)または(Z)を付した場合には、化合物の(E)体または(Z)体を示す。例えば、1224yd(Z)はZ体を示し、1224yd(E)はE体を示す。
本発明の1224ydの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも記す。)は、所定のCu含有担持触媒の存在下、1214yaを水素と反応させる、1224ydの製造方法である。
Cu含有担持触媒は、担体と、担体に担持されたCu含有触媒とを含む。
Cu含有触媒は、Cu触媒、および、Cu-M触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含み、Cu触媒は、1価のCuを有する化合物を含み、Cu-M触媒は、1価のCuを有する化合物と、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属またはPd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物とを含む。
以下では、まず、Cu触媒およびCu-M触媒について説明し、次に、担体について説明する。
(Cu触媒)
Cu触媒は、1価のCu(1価の銅)を有する化合物を含む。
Cu触媒は、触媒として作用する金属元素として、Cuのみを有する触媒を意味する。 1価のCuを有する化合物の具体例としては、1価のCuを有する塩化合物、1価のCuを有する酸化物(酸化銅)が挙げられ、1価のCuを有するハロゲン化物(ハロゲン化銅)が好ましく、1価の塩化Cu(CuCl)が特に好ましい。
Cu触媒は、上記1価のCuを有する化合物以外に、Cu原子を有する化合物を含んでもよい。
Cu原子を有する化合物は、1価のCuを有する化合物以外の化合物であり、触媒として作用する金属元素として、Cuのみを有する化合物である。
Cu原子を有する化合物の具体例としては、Cu(0価のCu)、CuCl、CuF、Cuで表される化合物が挙げられる。Xは、それぞれ独立に、ハロゲンイオン(例えば、Cl)、水酸化物イオン、硝酸イオンを表す。Cuで表される化合物の具体例としては、CuCl(OH)、Cu(NO(OH))が挙げられる。なかでも、Cu原子を有する化合物としては、Cuが好ましい。
Cu触媒は、不純物としてCu以外の金属元素が触媒製造時に微量混入してもよい。具体的には、Cu以外の金属元素の含有量は、Cu触媒におけるCu原子の全質量に対して、合計で1000質量ppm以下含んでもよい。
但し、担体として用いる活性炭中に灰分として含まれるアルカリ金属およびアルカリ土類金属等、本反応に関与しないことが明確な金属元素については、この限りではない。この点については、後述するCu-M触媒も同様である。
(Cu-M触媒)
Cu-M触媒は、1価のCuを有する化合物(以下、「第1の成分」ともいう。)と、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属、または、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物(以下、これらを総称して「第2の成分」ともいう。)を含む。
第1の成分としては、上記Cu触媒に含まれる1価のCuを有する化合物と同義であり、好適範囲も同じである。
第2の成分としては、触媒として作用する金属元素として、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種を有していればよく、金属、酸化物およびハロゲン化物の化合物を用いることができる。
第2の成分の価数は、0価および1価以上のいずれであってもよい。上記価数としては、2~6価が好ましく、2~3価がより好ましく、2価が特に好ましい。
Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物の具体例としては、PdO、PdCl、PtO、PtO、PtCl、PtCl、HPtCl、NiO、NiClが挙げられる。第2の成分としては、1224ydの収率を向上できる点から、Pd原子またはPt原子を有する化合物が好ましく、Pd原子を有する化合物が特に好ましい。
第1の成分と第2の成分とは、同一担体上にそれぞれ個別に存在していてもよく、合金として存在していてもよい。
Cu-M触媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1の成分および第2の成分以外の成分を含んでいてもよい。
第1の成分および第2の成分以外の成分の具体例としては、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Au、Bi、およびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む金属または原子を有する化合物が挙げられる。
Cu-M触媒において、Cu原子に対するPd、Pt、Niからなる群から選択される少なくとも1種の原子(以下、これらを総称して「M」ともいう。)の質量比(M/Cu)は、1224ydの収率、特に選択率を向上できる点から、1/40以下が好ましく、1/60以下がより好ましく、1/70以下がさらに好ましく、1/80以下が特に好ましく、1/100以下が最も好ましい。上記の下限は、反応収率の点から、1/999以上が好ましく、1/700以上がより好ましく、1/500以上が特に好ましい。
Cu-M触媒としては、CuClを含む触媒が好ましく、CuClと、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の金属、または、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物とを含む触媒が特に好ましい。
なお、上述したCu含有触媒としては、CuClと、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の金属、または、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物とを含む触媒が好ましく、CuClと、Pd金属またはPd原子を有する化合物とを含む触媒が特に好ましい。
(担体)
担体のBET比表面積は、400m/g以上であり、800m/g以上が好ましく、1000m/g以上がより好ましく、1200m/g以上が特に好ましい。上記の上限は、例えば、3000m/gである。
BET比表面積とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を意味する。
BET比表面積の測定は、窒素ガスを用いたガス吸着法を測定原理とする装置(例えば、マイクロメトリック社製「3Flex」)により実施される。なお、担体は、真空乾燥装置(例えば、EYELA社製「真空低温乾燥器」)を用いて、真空下にて130℃で一晩乾燥した後、BET比表面積の測定が実施される。
担体としては、活性炭を含む担体が好ましく、活性炭が特に好ましい。
活性炭の具体例としては、木材、木炭、果実ガラ、ヤシガラ、泥炭、亜炭、石炭を原料として調製される活性炭が挙げられる。なかでも、活性炭としては、植物を原料として調製される活性炭が好ましく、ヤシガラ活性炭が特に好ましい。
担体形状としては、長さ2~5mm程度の成型炭、4~50メッシュ程度の破砕炭、2~50メッシュの粒状炭が好ましく、1224ydの収率の点から、4~20メッシュの破砕炭または4~20メッシュの粒状炭がより好ましく、4~6メッシュの破砕炭または4~6メッシュの粒状炭が特に好ましい。
担体は、触媒を担持する機能を高めるために、酸洗浄等の処理が施されてもよい。
Cu触媒またはCu-M触媒が担持された担体の調製方法の具体例としては、Satterfield著、「Heterogeneous Catalysts in Industrial Practice」、2nd ed.(McGraw-Hill、New York、1991)、pp.87~112に記載された通りに、析出法および含浸法のいずれかの方法が挙げられ、含浸法が特に好ましい。
Cu含有担持触媒において、Cu含有触媒の比表面積を十分に大きくでき、且つ、触媒活性に優れる点から、Cu含有触媒の担持量は、担体の質量の100質量部に対して、金属原子換算で0.5~50質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましく、3~20質量部がさらに好ましく、5~10質量部が特に好ましい。
上述したCu-M触媒は、第1の成分と第2の成分とをそれぞれ個別に担体に担持させたものを混合物として用いてもよく、第1の成分と第2の成分との混合物を担体に担持させてもよい。
Cu含有担持触媒の活性が向上する点から、Cu含有担持触媒を製造する過程、または、使用される前に、Cu含有担持触媒には還元処理が施されてもよい。
還元処理の具体例としては、Cu含有担持触媒と水素とを接触させる処理が挙げられる。
上記還元処理の温度は、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、180℃以上が特に好ましい。上記温度の上限は、400℃未満が好ましく、370℃以下がより好ましく、350℃以下がさらに好ましく、300℃以下が特に好ましく、280℃以下が最も好ましい。
なかでも、Cu含有担持触媒は上記還元処理が施されないか、または、Cu含有担持触媒を製造する過程もしくは使用される前に、上記温度の範囲で還元処理が施されることが好ましい。
本発明の製造方法の原料である1214yaは、公知の方法により製造できる。
1214yaの製造方法の具体例としては、1,1-ジクロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)および1,1,1-トリクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-224db)を、相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させて脱フッ化水素または脱塩化水素反応させる方法が挙げられる。上記反応には225caを含むジクロロペンタフルオロプロパン(225)を使用でき、上記相間移動触媒により225中の225caのみが選択的に脱フッ化水素される。反応後、1214yaは蒸留等の公知の方法により精製できる。精製後の1214yaには、不純物が含まれる場合がある。不純物としては、225ca以外の225異性体が脱フッ化水素反応して得られる1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(1214yb)が挙げられる。不純物の含有量は、1214yaの全質量に対して、1000質量ppm以下が好ましい。上記の下限は、例えば、0質量ppmである。
225caを含む225は、市販品を用いてもよい。上記市販品としては、アサヒクリンAK225(AGC社製、225caの48モル%と225cbの52モル%との混合物)が挙げられる。相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)が好ましい。
本発明の製造方法における1214yaと水素との反応において、使用される1214yaのモル量に対する使用される水素のモル量のモル比(水素のモル量/1214yaのモル量)は、1224ydの収率をより高くできる点から、0.1~50が好ましく、0.5~50がより好ましく、0.7~20がさらに好ましく、1~10が特に好ましい。
上記反応は、通常、反応器を用いて行なわれる。
反応器としては、形状および構造は特に限定されない。反応器の具体例としては、後述する気相反応の場合、内部にCu含有担持触媒を充填できる円筒状の縦型反応器が挙げられる。
円筒状の縦型反応器に充填する触媒量は、ガス線速および接触時間によって最適充填長が異なることから任意の使用量が用いられ、一般的に円筒状の縦型反応器に10~500cmで充填される。
液相反応の場合、Cu含有担持触媒の含有量は、反応器内の総液量に対して、0.1~20質量%が好ましく、1~10質量%が特に好ましい。上記含有量が1質量%以上である場合、反応速度が優れる。また、上記含有量が10質量%以下である場合、反応後の触媒分離工程および反応中の攪拌効率が優れる。
反応器の材質の具体例としては、ガラス、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、鉄、ニッケルを主成分とする合金が挙げられる。
反応器は、電気ヒータ等の加熱部を内部に備えていてもよい。反応器は、内部の温度を測定するための温度計が挿入するために、さや管を有していてもよい。
本発明の製造方法における1214yaと水素との反応は、液相反応および気相反応のいずれでもよい。
液相反応とは、液体状態の1214yaを水素と反応させることを意味する。
気相反応とは、気体状態の1214yaを水素と反応させることを意味する。
上記としては、液相反応である場合、反応器内部の圧力が高くなり高圧反応となってしまう点から、気相反応が好ましい。
上記反応は、バッチ式であってもよく、半連続式または連続流通式であってもよい。
液相反応について詳細に説明する。
液相反応の具体的な手順としては、例えば、1214yaと触媒との混合物が液体状態として存在する反応器内に、連続的または非連続的に水素を供給し、反応によって生成する1224ydを反応器内から連続または非連続的に抜き出す手順が挙げられる。
液相反応における反応温度は、1224ydの収率の点から、30℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、160℃超がさらに好ましい。また、350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、225℃未満がさらに好ましい。
液相反応における反応時間は、1224ydの収率および製造効率の点から、0.1~100時間が好ましく、0.5~50時間がより好ましく、1~20時間が特に好ましい。反応時間は、反応器内での原料(1214yaおよび水素)の滞留時間を意味する。液相反応は、必要に応じて、溶媒の存在下にて実施してもよい。溶媒としては、例えば、CF(CFCF(但し、式中nは、3~6の整数を表す。)で表される炭素数5~8の直鎖パーフルオロアルキル化合物が挙げられる。
次に、気相反応について詳細に説明する。
気相反応の具体的な手順としては、ガス状態に加熱された原料である1214yaと水素とを反応器内に連続的に供給して、反応器に充填されたCu含有担持触媒と、ガス状態の1214yaと、ガス状態の水素とを接触させて、1224ydを得る手順が挙げられる。
流量の調整、副生物の抑制、触媒失活の抑制等に有効である点から、上記反応に不活性なガス(希釈ガス)を反応器に供給してもよい。希釈ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴンが挙げられる。例えば不活性なガスとして窒素を反応器に供給する場合、窒素のモル量に対する水素のモル量のモル比は、0超えが好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましい。
Cu触媒を用いる場合、気相反応における反応温度(反応器内の温度)は、1224ydの収率の点から、30~350℃が好ましく、100~350℃がより好ましく、160~350℃がさらに好ましく、200~300℃が特に好ましく、230~300℃が最も好ましい。
Cu-M触媒を用いる場合、気相反応における反応温度(反応器内の温度)は、1224ydの収率の点から、30~350℃が好ましく、100~300℃がより好ましく、160~300℃がさらに好ましく、200~300℃が特に好ましく、230~300℃が最も好ましい。一方、副生物の生成を抑え、1224ydの選択率を向上できる点から、上記反応温度は200~280℃が好ましく、200~250℃がより好ましく、200~225℃が特に好ましい。
反応器内の温度は、反応器に供給される1214yaおよび水素の温度および圧力を調整することにより制御できる。必要に応じて、電気ヒータおよびマイクロウェーブ発生機等により反応器内を補助的に加熱できる。
気相反応における反応時間は、0.1~1000秒間が好ましく、1~800秒間がより好ましく、5~600秒間がさらに好ましく、10~500秒間が特に好ましい。反応時間が0.1~1000秒間であることにより、1214yaの還元反応が十分に進行し、1224ydの収率がより高くなる。
反応時間は、原料である1214yaおよび水素の反応器内での滞留時間に相当し、1214yaおよび水素の反応器への供給量(流量)を調節することにより制御できる。
気相反応における反応系の圧力(反応器内の圧力)は、0~2.0MPaが好ましく、0~0.5MPaがより好ましい。陰圧でもよい。反応器内の圧力は、取り扱い性の点から、常圧(大気圧)が特に好ましい。本開示において、特に断らない限り、圧力はゲージ圧を示す。
液相反応における反応器内の圧力は、原料が液体として反応器内に存在する圧力が好ましく、反応温度における原料物質の蒸気圧より高い圧力がより好ましく、0.1~10MPaが特に好ましい。
本発明の製造方法において、1224ydが生成物として得られる。得られる1224ydは、上述したように、Z体単独であってもよく、E体単独であってもよく、Z体とE体との混合物であってよい。
得られる1224ydがZ体とE体との混合物である場合、E体の質量に対するZ体の質量の比(Z/E)は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、10以上が特に好ましい。上記比の上限は、例えば、100である。
1224yd(Z)は、1224yd(E)よりも化学的安定性が高い。このため、質量比(Z/E)が上記下限値以上であれば、1224ydを、例えば、洗浄剤、冷媒、熱媒体、発泡剤、溶媒等の各種用途に使用しやすい。
本発明の製造方法によって得られる生成物中には、目的物である1224yd以外に、不純物を含んでもよい。不純物の具体例としては、1214yaの水素化がさらに進行して生成する2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFCF=CH、HFO-1234yf。以下、1234yfとも記す。)、過還元体である1,1,1-トリフルオロプロペン(CFCH=CH、HFO-1243zf。以下、1243zfとも記す。)、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(254eb)が挙げられる。
生成物中における1234yf、1243zfおよび254ebの合計含有量は、生成物全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。上記含有量の下限は、例えば、0質量%である。
また、生成物中における1224ydの含有量は、生成物全質量に対して、45モル%以上が好ましく、55モル%以上がより好ましく、65モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。上記含有量の上限は、例えば、100モル%である。
生成物に不純物が含まれる場合、得られた生成物から1224ydを蒸留等の公知の方法により分離する処理を実施してもよい。
次に、気相反応のより詳細な態様を、図1を参照して説明する。図1に示す反応装置20は、気相反応に使用される反応装置の一例である。
反応装置20は、反応器1を備える。反応器1には、1214yaの供給ライン2、水素の供給ライン3、および、希釈ガスである窒素の供給ライン4が接続されている。
反応器1は、電気ヒータ等の加熱部を備えることが好ましい。
1214yaの供給ライン2、および、水素の供給ライン3は、それぞれ別々に、反応器1に接続されてもよく、反応器1の手前で連結されて反応器1に接続されてもよい。例えば、図1に示すように、1214yaの供給ライン2、水素の供給ライン3、および、窒素の供給ライン4を連結する。これにより、1214yaと水素と窒素との混合物が、混合物供給ライン5を経由して、反応器1に供給される。
図1に示す反応装置20においては、1214yaの供給ライン2、水素の供給ライン3、および、窒素の供給ライン4には、それぞれ、電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)2a、3aおよび4aが設けられている。反応器1に供給される1214ya、水素および窒素は、それぞれ、予熱器2a、3aおよび4aによって所定の温度に予熱されてから反応器1に供給されることが好ましい。これにより、1214ya、水素および窒素を、反応器1の内部で所定の反応温度まで効率よく昇温できる。予熱器2a、3aおよび4aは、設置されることが好ましい。
反応器1の出口には、熱交換器等の冷却部6を介して、出口ライン7が接続されている。出口ライン7には、さらに、水蒸気および酸性液の回収槽8、アルカリ洗浄装置9、並びに、脱水塔10が順に接続されている。
反応器1から取り出された反応混合物は、出口ライン7以降の処理によって、塩化水素、フッ化水素等の酸性物質、水蒸気、水が除去される。得られたガスを、以下、「出口ガス」という。出口ガス中の各成分が、ガスクロマトグラフ(GC)等の分析装置により分析および定量される。
例えば、1214yaの還元反応における出口ガスは、1224ydを含む。
この場合、出口ガスに含まれる1224yd以外の化合物としては、未反応原料である1214yaに加えて、1234yf、1243zfおよび254ebが挙げられる。
出口ガスに含まれる1224yd以外の成分を、蒸留等の既知の手段により分離除去することで、高純度に精製された1224ydを製造できる。
反応装置20においては、反応器1から出た反応混合物および出口ガスから、蒸留等によって未反応の1214yaを分離し、原料の一部として反応器に戻すことができる。これにより1224ydの生産性を向上できる。
以下に、例により本発明をより詳細に説明する。但し、本発明は、以下の例に限定されない。例1~15は、実施例であり、例16は、比較例である。
〈Cu含有担持触媒の調製〉
《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)》
含浸法により塩化銅(I)および塩化パラジウム(II)を活性炭に担持した。但し、触媒の調製方法は、含浸法に限定されない。以下、含浸法を用いた具体的な調製手順を記す。
塩化銅(I)(15g、ナカライテスク社製)、塩化パラジウム(II)(0.16g、純正化学社製)、イオン交換水(300g)、35質量%塩酸(41g、ナカライテスク社製)、および、BET法で測定したBET比表面積が1230m/gの4~6メッシュの粒状成型された活性炭(原料:ヤシガラ)(150g)をフラスコ内で混合し、12時間静置した後、エバポレーターを用いて60℃にて塩化水素および水を減圧留去した。得られた担持触媒の全質量に対する水の割合(含水率)が30質量%以下になった時点で、フラスコ内の担持触媒を、反応管に移した後、反応管を200℃に保ち、窒素ガスを16.7mL/秒で16時間供給して乾燥した。これらにより、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPdの質量比(Pd/Cu)が1/100である、CuCl-PdCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPdの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/300)》
混合する塩化パラジウム(II)の量を0.05gに変更した以外は、上記《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)》と同様の手順で、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPdの質量比(Pd/Cu)が1/300である、CuCl-PdCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPdの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/600)》
混合する塩化パラジウム(II)の量を0.03gに変更した以外は、上記《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)》と同様の手順で、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPdの質量比(Pd/Cu)が1/600である、CuCl-PdCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPdの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PtCl担持触媒(Pt/Cu=1/40)》
含浸法により塩化銅(I)および塩化白金(II)を活性炭に担持した。但し、触媒の調製方法は、含浸法に限定されない。以下、含浸法を用いた具体的な調製手順を記す。
塩化銅(I)(15g、ナカライテスク社製)、塩化白金(II)(0.34g、純正化学社製)、35質量%塩酸(320g、ナカライテスク社製)、および、BET法で測定したBET比表面積が1230m/gの4~6メッシュの粒状成型された活性炭(150g)をフラスコ内で混合し、12時間静置した後、エバポレーターを用いて60℃にて塩化水素および水を減圧留去した。得られた担持触媒の全質量に対する水の割合(含水率)が30質量%以下になった時点で、フラスコ内の担持触媒を、反応管に移した後、反応管を200℃に保ち、窒素ガスを16.7mL/秒で16時間供給して乾燥した。これらにより、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPtの質量比(Pt/Cu)が1/40である、CuCl-PtCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPtの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PtCl担持触媒(Pt/Cu=1/70)》
混合する塩化白金(II)の量を0.19gに変更した以外は、上記《Cu-Pt触媒(Pt/Cu=1/40)》と同様の手順で、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPtの質量比(Pt/Cu)が1/70である、CuCl-PtCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPtの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PtCl担持触媒(Pt/Cu=1/100)》
混合する塩化白金(II)の量を0.14gに変更した以外は、上記《Cu-Pt触媒(Pt/Cu=1/40)》と同様の手順で、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPtの質量比(Pt/Cu)が1/100である、CuCl-PtCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPtの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-HPtCl担持触媒(Pt/Cu=1/40)》
含浸法により塩化銅(I)およびヘキサクロロ白金(VI)酸六水和物を活性炭に担持した。但し、触媒の調製方法は、含浸法に限定されない。以下、含浸法を用いた具体的な調製手順を記す。
塩化銅(I)(15g、ナカライテスク社製)、ヘキサクロロ白金(VI)酸六水和物(0.67g、純正化学社製)、イオン交換水(75g)、35質量%塩酸(190g、ナカライテスク社製)、および、BET法で測定した比表面積が1230m/gの4~6メッシュの粒状成型された活性炭(150g)をフラスコ内で混合し、12時間静置した後、エバポレーターを用いて60℃にて塩化水素および水を減圧留去した。得られた担持触媒の全質量に対する水の割合(含水率)が30質量%以下になった時点で、フラスコ内の担持触媒を、反応管に移した後、反応管を200℃に保ち、窒素ガスを16.7mL/秒で16時間供給して乾燥した。これらにより、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPtの質量比(Pt/Cu)が1/40である、CuCl-HPtCl担持触媒を得た。金属原子換算でCuおよびPtの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:1243)》
含浸法により塩化銅(I)および塩化パラジウム(II)を活性炭に担持した。但し、触媒の調製方法は、含浸法に限定されない。以下、含浸法を用いた具体的な調製手順を記す。
塩化銅(I)(15g、ナカライテスク社製)、塩化パラジウム(II)(0.16g、純正化学社製)、イオン交換水(300g)、35質量%塩酸(41g、ナカライテスク社製)、および、BET法で測定したBET比表面積が1243m/gの4~6メッシュの粒状成型された活性炭(原料:ヤシガラ)(150g)をフラスコ内で混合し、12時間静置した後、エバポレーターを用いて60℃にて塩化水素および水を減圧留去した。得られた担持触媒の全質量に対する水の割合(含水率)が30質量%以下になった時点で、フラスコ内の担持触媒を、反応管に移した後、反応管を200℃に保ち、窒素ガスを16.7mL/秒で16時間供給して乾燥した。これらにより、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPdの質量比(Pd/Cu)が1/100である、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:1243)を得た。金属原子換算でCuおよびPdの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:953)》
含浸法により塩化銅(I)および塩化パラジウム(II)を活性炭に担持した。但し、触媒の調製方法は、含浸法に限定されない。以下、含浸法を用いた具体的な調製手順を記す。
塩化銅(I)(15g、ナカライテスク社製)、塩化パラジウム(II)(0.16g、純正化学社製)、イオン交換水(300g)、35質量%塩酸(41g、ナカライテスク社製)、および、BET法で測定したBET比表面積が953m/gの4~6メッシュの粒状成型された活性炭(原料:ヤシガラ)(150g)をフラスコ内で混合し、12時間静置した後、エバポレーターを用いて60℃にて塩化水素および水を減圧留去した。得られた担持触媒の全質量に対する水の割合(含水率)が30質量%以下になった時点で、フラスコ内の担持触媒を、反応管に移した後、反応管を200℃に保ち、窒素ガスを16.7mL/秒で16時間供給して乾燥した。これらにより、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPdの質量比(Pd/Cu)が1/100である、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:953)を得た。金属原子換算でCuおよびPdの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
《CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:323)》
含浸法により塩化銅(I)および塩化パラジウム(II)を活性炭に担持した。但し、触媒の調製方法は、含浸法に限定されない。以下、含浸法を用いた具体的な調製手順を記す。
塩化銅(I)(15g、ナカライテスク社製)、塩化パラジウム(II)(0.16g、純正化学社製)、イオン交換水(300g)、35質量%塩酸(41g、ナカライテスク社製)、および、BET法で測定したBET比表面積が323m/gの4~6メッシュの粒状成型された活性炭(原料:ヤシガラ)(150g)をフラスコ内で混合し、12時間静置した後、エバポレーターを用いて60℃にて塩化水素および水を減圧留去した。得られた担持触媒の全質量に対する水の割合(含水率)が30質量%以下になった時点で、フラスコ内の担持触媒を、反応管に移した後、反応管を200℃に保ち、窒素ガスを16.7mL/秒で16時間供給して乾燥した。これらにより、活性炭に担持された、金属原子換算でCuに対するPdの質量比(Pd/Cu)が1/100である、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:323)を得た。金属原子換算でCuおよびPdの合計担持量は、活性炭の100質量部に対して、6質量部であった。
〈反応〉
《例1》
図1に基づいて説明した反応装置20と同様の反応装置を用いて、以下に説明するように、1214yaと水素とを反応させて、1224ydを得た。なお、例1~11および14~15においては、後述する担持触媒中のCuClおよびPdClを還元する前処理を実施せずに、反応に用いた。
反応器1として、電気炉内に設置した、SUS304製、内径35.3mmの反応管を使用した。反応管のさや管には、内部の温度を測定するための温度計を挿入した。反応管に、上記方法により調製した、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)を30cmの長さで充填した。反応管内の温度は180℃に管理した。
上記反応器1に、ステンレス鋼製チューブである供給ライン2、3および4から、それぞれ、1214ya、水素および窒素を連続的に供給した。予熱器2a、3aおよび4aとしては、炉内温度200℃に設定した電気炉を用いた。1214ya、水素および窒素の供給割合が、それぞれ、25モル%、25モル%および50モル%となるように制御して反応器1に供給した。
反応器1の内部における混合ガス(1214ya、水素および窒素)の滞留時間が120秒間となるように、混合ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を制御した。
反応器1の内部の圧力は、大気圧と同一であった。
得られた生成物(出口ガス)の組成分析は、ガスクロマトグラフ(GC)を用いた。カラムはDB-1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー社製)を用いた。反応器に供給した1214yaのモル量に対する、生成物中の1224ydのモル量の割合(単位:%)を求め、これを「1224yd収率」とした。この値が大きいほど、1224ydの収率が高いと評価できる。
《例2》
反応温度を250℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例3》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/300)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例4》
反応温度を250℃に変更した以外は、例3と同様にして反応させた。
《例5》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/600)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例6》
反応温度を250℃に変更した以外は、例5と同様にして反応させた。
《例7》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PtCl担持触媒(Pt/Cu=1/40)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例8》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-HPtCl担持触媒(Pt/Cu=1/40)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例9》
反応温度を250℃に変更した以外は、例8と同様にして反応させた。
《例10》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PtCl担持触媒(Pt/Cu=1/70)を用いて、反応温度を250℃に変更した以外は、例1と同様にして反応を行った。
《例11》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PtCl担持触媒(Pt/Cu=1/100)を用いて、反応温度を250℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例12》
1214ya、水素および窒素を連続的に供給を開始する前に、反応管を180℃に保ち、水素ガスを1.67mL/秒で16時間供給し、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)を還元する前処理をし、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。なお、得られた1224ydの選択率において、1224yd(Z)選択率は64.6%であり、1224yd(E)選択率は30.6%であった。
《例13》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)を還元する前処理において、反応管を330℃に保った以外は、例12と同様に反応を行った。なお、得られた1224ydの選択率において、1224yd(Z)選択率は53.3%であり、1224yd(E)選択率は39.4%であった。
《例14》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:1243)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例15》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:953)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
《例16》
CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100)に代えて、CuCl-PdCl担持触媒(Pd/Cu=1/100、BET:323)を用いて、反応温度を220℃に変更した以外は、例1と同様にして反応させた。
表に評価結果を示す。
なお、表中、「1214ya転化率」は、反応器に供給した1214yaのモル量に対する、転化した1214yaのモル量の割合を表す。
表中、「1224yd選択率」、「1234yf選択率」、「1243zf選択率」は、それぞれ転化した1214yaのモル量に対する、得られた各化合物のモル量の割合を表す。
Figure 2022068119000001
Figure 2022068119000002
表に示すように、本発明の製造方法によれば、1224ydの収率が向上した。
例1と例2との比較等から、反応温度が230℃以上である場合、1224ydの収率がより向上した。
また、同様の比較から反応温度が200~225℃である場合、1224ydの選択率がより向上した。
例2と、例11との比較から、Cu-M触媒が1価のCuを有する化合物と、Pd金属またはPd原子を有する化合物とを含む場合、1224ydの収率がより向上した。
例12と、例13との比較から、Cu含有担持触媒を還元する前処理の温度が300℃以下である場合、1224ydの収率がより向上した。
例15と、例1または例14との比較から、BET比表面積が1000m/g以上である場合に、1224ydの収率がより向上した。
例1と、例16との比較から、BET比表面積が400m/g以上である場合、1224ydの収率がより向上した。
1:反応器
2:1214yaの供給ライン
2a:予熱器
3:水素の供給ライン
3a:予熱器
4:窒素の供給ライン
4a:予熱器
5:混合物供給ライン
6:冷却部
7:出口ライン
8:水蒸気および酸性液の回収槽
9:アルカリ洗浄装置
10:脱水塔
20:反応装置

Claims (9)

  1. 担体と、前記担体に担持されたCu含有触媒とを含むCu含有担持触媒の存在下、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを水素と反応させて、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法であって、
    前記Cu含有触媒が、Cu触媒、および、Cu-M触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記Cu触媒が、1価のCuを有する化合物を含み、
    前記Cu-M触媒が、1価のCuを有する化合物と、Pd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属またはPd、PtおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物とを含み、
    前記担体のBET比表面積が400m/g以上である、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  2. 前記担体が、活性炭を含む、請求項1に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  3. 前記担体のBET比表面積が、1000m/g以上である、請求項1または2に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  4. 前記Cu含有触媒の担持量が、前記担体の100質量部に対して、金属原子換算で1~20質量部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  5. 前記反応の反応温度が、30~350℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  6. 前記1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンに対する前記水素のモル比が、0.1~50である、請求項1~5のいずれか1項に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  7. 前記Cu含有触媒が、前記Cu-M触媒であり、
    前記Cu-M触媒が、CuClを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  8. 前記Cu-M触媒が、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の金属、または、PdおよびPtからなる群から選択される少なくとも1種の原子を有する化合物を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
  9. 前記Cu含有触媒が、前記Cu触媒であり、
    前記Cu触媒が、CuClを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法。
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