JP2708517B2 - 車両のサスペンション装置 - Google Patents

車両のサスペンション装置

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JP2708517B2 JP33381588A JP33381588A JP2708517B2 JP 2708517 B2 JP2708517 B2 JP 2708517B2 JP 33381588 A JP33381588 A JP 33381588A JP 33381588 A JP33381588 A JP 33381588A JP 2708517 B2 JP2708517 B2 JP 2708517B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、流体シリンダへの流量を制御してサスペン
ション特性を可変にする車両のサスペンション装置に関
し、特に、流量制御系の故障時にフェイルセイフ対策に
係わるものである。
(従来の技術) 従来より、車両のサスペンション装置として、例えば
特公昭59-14365号公報に開示されるように、車体と車輪
との間に流体シリンダを配設し、該流体シリンダにガス
ばねを接続してなるいわゆるハイドロニューマチックサ
スペンション装置(HPS装置)は知られている。
また、各車輪毎に独立的に流体シリンダへの流量を制
御して車両のサスペンション特性を運転状態に応じて可
変とするいわゆるアクティブコントロールサスペンショ
ン装置(ACS装置)も知られている。
(発明が解決しようとする課題) ところで、上記の如きACS装置を一般車に装備する場
合には、流体シリンダへの流量を制御する流量制御系の
制御弁や各種センサ等の機器が故障したときの誤制御を
防止するためのフェイルセイフ対策を講ずる必要があ
る。このフェイルセイフ対策としては制御を中止するこ
とが考えられるが、故障によっては、直ちに制御を中止
するよりも、先に車高を低下させ、その後に制御を中止
することの方が適切な場合がある。例えば、ある車輪の
流体シリンダへの流量を制御する制御弁が流入固着した
場合、その車輪での車高だけが高くなるので、各車輪で
の車高を一律に低くして同一にすることが安全性の面か
ら必要となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その
目的とするところは、流体シリンダへの流量を給排制御
する流体回路において、その故障時に制御を直ちに中止
する処置と所定の時間経過後に制御を中止する処置とを
行い、フェイルセイフ対策を実施上有効に講じることに
ある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明の解決手段は、車体
と各車輪との間にそれぞれ流体シリンダが配設され、該
各流体シリンダへの流量を制御することにより車両のサ
スペンション特性を可変にする車両のサスペンション装
置を前提とする。そして、上記各流体シリンダとポンプ
との間を連通する高圧ラインと、該高圧ラインに設けら
れた流体供給用の制御弁と、上記各流体シリンダとリザ
ーブタンクとの間を連通する低圧ラインと、該低圧ライ
ンに設けられた流体排出用の制御弁と、上記流体供給用
及び流体排出用の制御弁と上記流体シリンダとの間の流
体給排用油圧ラインに設けられ、上記サスペンション装
置の制御時に開位置に切換える一方、サスペンション装
置の故障時に閉位置に切換えることで流体シリンダへの
流体の供給及び流体シリンダからの流体の排出を規制す
る開閉弁と、上記流体供給用制御弁及び流体排出用制御
弁の上流側において高圧ラインと低圧ラインとを連通す
る通路と、該通路に設けられ、上記サスペンション装置
の制御時に閉位置に切換えられ、サスペンション装置の
故障時に高圧ラインと低圧ラインとを連通するよう開位
置に切換えられるフェイルセイフ弁とを備え、故障時、
フェイルセイフ弁の開弁から所定時間後に上記開閉弁を
閉弁するよう構成し、上記所定時間内で上記流体シリン
ダからの流体の排出を可能としたものとする。
(作用) 上記の構成により、本発明では、流体シリンダの流量
制御系で故障が発生した場合、フェイルセイフ弁が開位
置に切換えられて流体供給用制御弁及び流体排出用制御
弁の上流側の高圧ラインが低圧ラインに連通され、これ
により、高圧がシリンダ内に流入するのを防止し、車体
の姿勢がそれ以上に崩れるのを防止できる。また、上記
フェイルセイフ弁の開位置への切換え時点から所定時間
後に開閉弁が開位置から閉位置に切換わる。これによ
り、開閉弁が閉位置に切換えられるまでの所定時間内に
おいて、シリンダ内の流体を排出させることが可能とな
り、崩れた姿勢を少なくとも中立状態にすることがで
き、安全性を確保することができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図において、1は車体、2Fは前輪、2Rは後輪であ
って、車体1と前輪2Fとの間および車体1と後輪2Rとの
間には、各々流体シリンダ3が配置されている。該各流
体シリンダ3は、シリンダ本体3a内に嵌挿したピストン
3bにより液圧室3cが区画形成されている。上記ピストン
3bに連結したロッド3dの上端部は車体1に連結され、シ
リンダ本体3aは各々車輪2F,2Rに連結されている。
上記各流体シリンダ3の液圧室3cには、各々、連通路
4を介してガスばねが連通接続されている。該各ガスば
ね5は、ダイヤフラム5eによりガス室5fと液圧室5gとに
区画され、該液圧室5gが流体シリンダ3の液圧室3cに連
通している。
また、8は油圧ポンプ、9,9は該油圧ポンプ8と各流
体シリンダ3とを連通する高圧ラインとしての液圧通路
10に介設された流量制御弁であって、該流量制御弁9は
各流体シリンダ3に対して流体(油)の供給・排出を行
って流量を調整する機能を有する。
さらに、12は油圧ポンプ8の油吐出圧(詳しくは後述
するアキュムレータ22a,22bでの蓄油の圧力)を検出す
るするメイン圧センサ、13は各流体シリンダ3の液圧室
3cの液圧を検出するシリンダ圧センサ、14は対応する車
輪2F,2Rの車高(シリンダストローク量)を検出する車
高センサ、15は車両の上下加速度(車輪2F,2Rのばね上
加速度)を検出する上下加速度センサ、16は車両の横加
速度を検出する横加速度センサ、17は操舵輪たる前輪2F
の操舵角を検出する舵角センサ、18は車速を検出する車
速センサであり、これらのセンサの検出信号は各々内部
にCPU等を有するコントローラ19に入力されて、サスペ
ンション特性の可変制御に供される。
次に、流体シリンダ3に対する液体の給排制御用の油
圧回路を第1図に示す。同図において、油圧ポンプ8は
可変容量形の斜板ピストンポンプからなり、駆動源20に
より駆動されるパワーステアリング装置用の油圧ポンプ
21と二連に接続されている。この油圧ポンプ8に接続さ
れた液圧通路10には3つのアキュムレータ22a,22a,22a
が同一箇所で連通接続されているとともに、その接続箇
所で液圧通路10は前輪側通路10Fと後輪側通路10Rとに分
岐されている。さらに、前輪側通路10Fは左前輪側通路1
0FLと右前輪側通路10FRとに分岐され、該各通路10FL,10
FRには対応する車輪の流体シリンダ3FL,3FRの液圧室3c
が連通されている。一方、後輪側通路10Rには1つのア
キュムレータ22bが連通接続されているとともに、その
下流側で左後輪側通路10RLと右後輪側通路10RRとに分岐
され、該各通路10RL,10RRには対応する車輪の流体シリ
ンダ3RL,3RRの液圧室3cが連通されている。
上記各流体シリンダ3FL,3FR,3RL,3RRに接続するガス
ばね5FL,5FR,5RL,5RRは、各々、具体的には複数個(図
では4個)ずつ備えられ、これらのガスばね5a,5b,5c,5
dは、対応する流体シリンダ3の液圧室3cに連通路4を
介して互いに並列に接続されている。また、上記ガスば
ね5a〜5dは、各々連通路4の分岐部に介設したオリフィ
ス25を備えていて、その各オリフィス25での減衰作用
と、ガス室5fに封入されたガスの緩衝作用との双方を発
揮するようになっている。上記第1のガスばね5aと第2
のガスばね5bとの間の連通路4には該連通路4の通路面
積を調整する減衰力切換パルブ26が介設されており、該
切換バルブ26は、連通路4を開く開位置と、その通路面
積を顕著に絞る絞位置との二位置を有する。
また、上記液圧通路10にはアキュムレータ22aの上流
側にアンロード弁27と流量制御弁28とが接続されてい
る。上記アンロード弁27は、油圧ポンプ8から吐出され
る圧油を油圧ポンプ8の斜板操作用シリンダ8aに導入し
て油圧ポンプ8の油吐出量を減少させる導入位置と、上
記シリンダ8a内の圧油を排出する排出位置とを有し、油
圧ポンプ8の油吐出圧が所定の上限油吐出圧(160±10k
gf/cm2)以上になったときに排出位置から導入位置に切
り替わり、この状態を所定の下限吐出圧(120±10kgf/c
m2)以下になるまで維持するように設けられていて、油
圧ポンプ8の油吐出圧を所定の範囲内(120〜160kgf/cm
2)に保持制御する機能を有している。上記流量制御弁2
8は、油圧ポンプ8からの圧油を上記アンロード弁27を
介して油圧ポンプ8の斜板操作用シリンダ8aに導入する
導入位置と、上記シリンダ8a内の圧油をアンロード弁27
からリザーブタンク29に排出する排出位置とを有し、ア
ンロード弁27により油圧ポンプ8の油吐出圧が所定の範
囲内に保持されているときに液圧通路10の絞り30配設部
の上・下流間の差圧を一定に保持し油圧ポンプ8の油吐
出量を一定に保持制御する機能を有している。しかし
て、各流体シリンダ3への油の供給はアキュムレータ22
a,22bの蓄油(この油圧をメイン圧という)でもって行
われる。
一方、液圧通路10のアキュムレータ22a下流側には車
両の4輪に対応して4つの流量制御弁9,9,…が設けられ
ている。以下、各車輪対応した部分の構成は同一である
ので、左前輪側のみについて説明し、他はその説明を省
略する。すなわち、流量制御弁9は、液圧通路10の左前
輪側通路10FLに介設された流体供給用の制御弁としての
第1の切換弁35と、左前輪側通路10FLから油をリザーブ
タンク29に排出する低圧ライン36に介設された流体排出
用の制御弁としての第2の切換弁37とからなる。上記各
切換弁35,37は、共に開位置と閉位置の二位置を有し、
かつ開位置での液圧を所定値に保持する差圧弁を内蔵す
るものである。
また、上記第1の切換弁35と流体シリンダ3FLとの間
の左前輪側通路10FLには開閉弁としてのパイロット圧応
動形のチェック弁38が介設されている。該チェック弁38
は、パイロットライン39によって流量制御弁9(第1の
切換弁35)の上流側の液圧通路10(左前輪側通路10FL)
における油圧つまりメイン圧がパイロット圧として導入
され、このパイロット圧が40kgf/cm2以下のときに閉じ
るように設けられている。つまり、メイン圧が40kgf/cm
2以上のとき(後述するフェイルセイフ弁41が閉位置に
あるとき)にのみ流体シリンダ3への圧油の供給と共に
流体シリンダ3内の油の排出が可能となる。
さらに、41は上記流量制御弁9の上流側の液圧通路10
と低圧ライン36とを連通する連通路42に介設されたフェ
イルセイフ弁であって、該フェイルセイフ弁41は、制御
故障時に開位置に切換えられてアキュムレータ22a,22b
の蓄油をリザーブタンク29に戻し、高圧状態を解除する
機能を有する。43は上記パイロットライン39に設けられ
た絞りであって、該絞り43は、上記フェイルセイフ弁41
の開時にチェック弁38が閉じるのを所定時間(1秒程
度)遅延させるディレイ手段としての機能を有する。
尚、44は前輪側の各流体シリンダ3FL,3FRの液圧室3cの
油圧が異常に上昇した時に開作動してその油を低圧ライ
ン36に戻すリリーフ弁、45は低圧ライン36に接続された
リターンアキュムレータであって、流体シリンダ3から
の油の排出時に蓄圧作用を行うものである。
ここで、コントローラ19による各流体シリンダ3の流
量制御については図を用いて詳しくは述べないが、基本
的には、各車輪の車高センサ14の検出信号に基づいて車
高を目標車高に制御する制御系と、上下加速度センサ15
の検出信号に基づいて車両の上下振動の低減を図る制御
系と、各車輪のシリンダ圧センサ13の検出信号に基づい
て前輪側及び後輪側で各々左右の車輪間の支持荷重の均
一化を図る制御系と、車両の旋回時に横加速度センサ1
6、舵角センサ17および車速センサ18の各検出信号に基
づいて各流体シリンダ3の応答性を高める制御系とを有
する。
そして、このような流量制御のための機器が故障した
時、コントローラ19においては、第3図に示すフローチ
ャートに基づいてフェイルセイフがなされる。
すなわち、先ず初めに、ステップS1でフラグFが
「1」であるか否かを判定し、その判定がNOのときはス
テップS2で各種センサ12〜18からの検出信号を故障検出
のための故障信号として入力した後、ステップS3でこれ
らの故障信号に基づいて故障か否かを判定する。
そして、ステップS3での判定が故障をしていないNOの
ときはそのままリターンする一方、判定がYESの故障の
ときはステップS4で故障の識別が行われる。つまり、故
障がワーニングのみをして制御を続行する故障モード
(以下、C故障モードという)、現車高で制御を中止す
る故障モード(以下、A故障モードという)および流体
シリンダ内の流体を排出して車高を低下させる故障モー
ド(以下、B故障モードという)のいずれかに該当する
か否かを判別し、また、A故障モードの場合、更にその
故障モードがイグニッションオフ(IG・OFF)時でリセ
ットするモード(以下、A-1故障モードという)か、あ
るいは故障処置がなされるまで故障モードとするモード
(以下、A-0故障モードという)かを判別する。
続いて、ステップS5で故障モードがB故障モードであ
るか否かを判定し、その判定がYESのときは、ステップS
6でB故障モードを実行する。つまり、ワーニング(警
報ランプの点灯等)をするとともに、各車輪の流体シリ
ンダ3の液圧室3cから油を最大流量でもって排出して車
高を低下させ、しかる後に制御を中止する。このB故障
モードの実行の後、ステップS7でフラグFを「1」に設
定し、リターンする。
一方、ステップS5での判定がNOのときは、ステップS8
での故障モードがA-0故障モードであるか否かを判定
し、その判定がYESのときはステップS9でA故障モード
を実行する。また、ステップS8での判定がNOのときは、
ステップS11で故障モードがA-1故障モードであるか否か
を判定し、その判定がYESのときはステップS12でA故障
モードを実行する。ここで、ステップ9およびS12にお
けるA故障モードの実行とは、ワーニングをするととも
に、現車高で制御を直ちに中止することである。このA
故障モードの実行の後、ステップS10またはS13でフラグ
Fを「1」に設定し、リターンする。
また、ステップS11での判定がNOのときは、ステップS
14で更に故障モードがC故障モードであるか否かを判定
し、その判定がYESのときはステップS15でC故障モード
を実行する。つまり、ワーニングのみをして制御を続行
する。その後、ステップS16でフラグFを「1」に設定
し、リターンする。一方、ステップS14での判定がNOの
とき(つまり故障モードがA故障モード、B故障モード
およびC故障モードのいずれにも該当しないとき)は、
ステップS17で制御を一時中止した後、リターンする。
一方、ステップS1での判定がYESのときは、ステップS
18で故障モードがB故障モードまたはA-0故障モードで
あるか否かを判定する。この判定がYESのときはそのま
まリターンする一方、NOのときはステップS19で更にエ
ンジンを停止すべくイグニッションがオフ操作されたか
否かを判定し、その判定がYESのイグニッションオフ時
にはステップS20でフラグFを「0」に設定した後にリ
ターンし、NOのイグニッションオン時(つまりエンジン
の稼動中のとき)にはそのままリターンする。
次に、流量制御用機器の具体的な故障状態と故障モー
ドとの対応関係について述べる。
(1)イグニッションがオンされた時(このときフェイ
スセイフ弁41は閉位置に切換えられる)車高が基準車高
よりも30mm以上低いときは、C故障モードである。この
ときの故障原因は、液圧通路10中のチェック弁38でゴミ
詰りによるものと考えられるが、それは液圧通路10に圧
油が流れることにより解消でき、流量制御に支障を来た
さないからである。
(2)イグニッションオン時から数秒(例えば5秒)経
過した後のメイン圧が基準圧(30kgf/cm2)以下のとき
は、A-0故障モードである。このときの故障原因はフェ
イルセイフ弁41の開位置での固着、液圧通路10の配管破
れ、メイン圧センサ12の故障等によるものと考えられ、
自然に回復する可能性のない重大な故障である。
(3)メイン圧センサ12の出力信号が上限使用電圧(4.
5V)以上のときは、A-0故障モードである。故障原因と
してはメイン圧センサ12のVccショートが考えられる。
(4)メイン圧センサ12の出力信号が下限使用電圧(0.
5V)以下のときは、A-1故障モードである。故障原因と
してはメイン圧センサ12のGNDショートが考えられる
が、このGNDショートは、Vccショートの場合と異なり回
復の可能性がある。
(5)メイン圧が185kgf/cm2以上のときは、A-0故障モ
ードである。故障原因としてはアンロード弁27の故障等
が考えられる。尚、コントローラ19の制御においては、
メイン圧が100kgf/cm2以下になったときに制御を一時休
止し(第3図に示すフローチャートのステップS17が相
当する)、110kgf/cm2以上になったときに制御を復活す
る。
(6)メイン圧が100kgf/cm2以下で制御休止状態にある
にも拘らず、メイン圧が所定時間(5秒程度)の間上昇
しないときは、A-0故障モードである。故障原因はアン
ロード弁27、メイン圧センサ12等の故障である。
(7)メイン圧Pの時間的変化について、|P(t)−P
(t−Δt)|≦2kgf/cm2(但し、Δt=1秒)の状態
が10分以上継続したときは、A-0故障モードである。故
障原因はメイン圧センサ12の信号固定である。
(8)車両の上下加速度G(t)と重力加速度Gとの間
でG(t)−1G<−0.1Gの関係式が成立するようになっ
てから、メイン圧Pの時間的変化について、|P(t)−
P(t−Δt)|≦2kgf/cm2(但し、Δt=1秒)の状
態が5秒以上連続したときは、A-1故障モードである。
このときの故障原因も上記(7)の場合と同様にメイン
圧センサ12の信号固定であるが、故障継続期間は5秒と
短く、回復の可能性がある。
(9)車輪のバンプ時(現車高H(t)と基準車高H0と
の間に、H(t)−H0<30mmが成立するとき)、シリン
ダ圧Pの時間的変化について、|P(t)−P(t−Δ
t)|≦2kgf/cm2(但し、Δt=1秒)の状態が5秒以
上連続したときは、A-1故障モードである。故障原因は
シリンダ圧センサ13の信号固定であり、上記(8)の場
合と同様に回復の可能性がある。
(10)メイン圧が90kgf/cm2以下になったときは、A-1故
障モードである。故障原因は配管破れ等である。
(11)センサ12〜18およびアクチュエータ(油圧ポンプ
8等)の断線が検出されたときは、A-0故障モードであ
る。
(12)リザーブタンク29内の油量を検出するオイルレベ
ルセンサ(図示せず)の出力信号のオフ状態が1秒間続
いたときは、A-0故障モードである。故障原因は配管破
れ等である。
(13)シリンダ圧センサ13の出力信号が上限使用電圧
(4.5V)以上になったときは、A-0故障モードである。
故障原因はシリンダ圧センサ13のVccショートである。
(14)シリンダ圧センサ13の出力信号が下限使用電圧
(0.5V)以下になったときは、A-0故障モードである。
故障原因はシリンダ圧センサ13のGNDショートである。
(15)尚、(シリンダ圧+10kgf/cm2)>(メイン圧)
となったときは、油の逆流を防止するために制御が一時
中止される。
(16)車輪のリバウンド状態(H(t)−H0>0)にお
いて車輪が更にリバウンドし(H(t)−H(t−Δ
t)>0)、かつシリンダ圧が上昇した(P(t)−P
(t−Δt)>0)という状態が300ms(0.3秒)以上連
続して発生したときは、B故障モードである。故障原因
は流量制御弁9の流入固着(第1の切換弁35が開位置で
切換作動不能になること)によるものであり、車高を4
輪全てについて所定の高さに同一にする制御が不可能で
あるので、各車輪の流体シリンダ3内の油を排出して流
体シリンダ3が最も収縮した状態で車高が4輪全て同一
になるようするのである。
(17)車輪のバンプ状態(H(t)−H0<0)において
車輪が更にバンプし(H(t)−H(t−Δt)<
0)、かつシリンダ圧が下降した(P(t)−P(t−
Δt)<0)という状態が300ms以上連続して発生した
ときは、B故障モードである。故障原因は流量制御弁9
の排出固着(第2の切換弁37が開位置で切換作動不能に
なること)によるものであり、このときも上記(16)の
場合と同様車高を4輪全てについて所定の高さに同一に
する制御は不可能であるので、車高を減少させる必要が
ある。
(18)車輪が30mm以上バンプし、かつシリンダ圧が30kg
f/cm2以下という状態が300ms以上連続して発生したとき
は、B故障モードである。故障原因は上記(16)の場合
と同じく流量制御弁9の流入固着である。
(19)車輪が60mm以上リバウンドし、かつシリンダ圧が
100kgf/cm2以上という状態が300ms以上連続して発生し
たときは、B故障モードである。故障原因は上記(17)
の場合と同じく流量制御弁9の排出固着である。
(20)車高センサ14の出力信号が上限使用電圧(4.5V)
以上のときは、A-0故障モードである。故障原因は車高
センサ14のVccショートである。
(21)車高センサ14の出力信号が下限使用電圧(0.5V)
以下のときは、A-0故障モードである。故障原因は車高
センサ14のGNDショートである。
(22)ある車輪の上下加速度が所定値(0.1G)以上とな
ってから3秒の間、その車輪の車高センサ14の出力が変
化しないときは、A-1故障モードである。故障原因は車
高センサ14の信号固定であり、回復の可能性がある。
(23)上下加速度センサ15の出力信号が上限使用電圧
(4.5V)以上という状態が1秒以上継続したときは、A-
0故障モードである。故障原因は上下加速度センサ15のV
ccショートである。
(24)上下加速度センサ15の出力信号が下限使用電圧
(0.5V)以下という状態が1秒以上継続したときは、A-
0故障モードである。故障原因は上下加速度センサ15のG
NDショートである。
(25)他の二つまたは三つの上下加速度センサ15の出力
が100ms前の出力と異なっているのに対し、ある一つの
上下加速度センサ15の出力が100ms前の出力と異なって
いないという状態が500ms連続したときは、A-1故障モー
ドである。故障原因は上下加速度センサ15の信号固定で
あり、回復の可能性がある。
(26)走行中に車高センサ14の出力が10分の間一度も基
準値近傍とならないときは、A-1故障モードである。故
障原因は車高センサ14の信号固定、流量制御弁9のクロ
ーズ固着等であり、車高センサ14の信号固定の場合には
回復の可能性がある。
(27)横加速度センサ16の出力信号が上限使用電圧(4.
5V)以上という状態が1秒以上継続したときは、A-0故
障モードである。故障原因は横加速度センサ16のVccシ
ョートである。
(28)横加速度センサ16の出力信号が下限使用電圧(0.
5V)以下という状態が1秒以上継続したときは、A-0故
障モードである。故障原因は横加速度センサ16のGNDシ
ョートである。
(29)舵角センサ17の出力信号が上限使用電圧(4.5V)
以上になったときは、A-0故障モードである。故障原因
は舵角センサ17のVccショートである。
(30)舵角センサ17の出力信号が下限使用電圧(0.5V)
以下になったときは、A-0故障モードである。故障原因
は舵角センサ17のGNDショートである。
(31)二つの車速センサ18の出力から各々車速を演算
し、その車速同士を比較して所定値以上の差があったと
きは、C故障モードである。車速はコントローラ19によ
る各流体シリンダ3の流量制御のうち、車両の旋回時で
の各流体シリンダ3の応答性を高めるための制御系にお
いて用いられるものであるが、その制御系においても2
次的な要素にすぎないので、車速の誤検出によっては流
量制御そのものを中止する必要はないのである。
(32)CPUエラーのときは、A-0故障モードである。
次に、上記実施例の作動、特に、流体シリンダ3の流
量制御用のセンサや弁等の機器が故障したときの作動に
ついて説明する。
すなわち、このような故障時には、コントローラ19に
おいて、各センサ12〜18からの信号に基づいて故障が検
出されるとともに、その故障がA-0故障モード、A-1故障
モード、B故障モードおよびC故障モードのいずれに該
当するか否かが判別される。
そして、故障が制御の本質に余り影響を及ぼさないC
故障モードの場合にはワーニングのみをして制御自体は
続行されるが、それ以外の場合には、ワーニングをする
とともに、フェイルセイフ弁41が閉位置から開位置に切
換えられて、流量制御弁9上流の液圧通路10(高圧ライ
ン)が連通路42を介して負圧ライン36に連通される。こ
れにより、チェック弁38はパイロット圧を受けなくなる
ので、流体シリンダ3の液圧室3c内の油の流量制御弁9
側への流通が閉じられる。このチェック弁38の閉じる時
期は、パイロットライン39の絞り43による油圧伝達の遅
延効果によってフェイルセイフ弁41の開位置への切換時
点から所定時間(1秒程度)が経過した後である。そし
て、この間コントローラ19の制御の下に、B故障モード
の場合には、各流量制御弁9の第1および第2の両切換
弁35,37を開位置に切換えて流体シリンダ3の液圧室3c
内の油を全て排出することにより、各車輪での車高を下
げる。一方、A故障モードの場合には、各流量制御弁9
の両切換弁35,37を共に閉位置に切換えて流体シリンダ
3の液圧室3c内の油をそのまま液圧室3cに残し、現車高
を維持する。チェック弁38が閉じた後はA故障モードお
よびB故障モードのいずれのときも各流体シリンダ3に
対する油の給排制御が中止される。尚、B故障モードの
場合は流量制御弁9自体が流入固着または流出固着した
ときであるが、流量制御弁9の流入固着および流出固着
のいずれのときでもその固着した切換弁35または37は開
位置にあるので、流体シリンダ3からの油の排出に支障
を来たすことはない。
したがって、このように、流体シリンダ3の流量制御
系で制御を中止すべき故障が発生したときでも、A故障
モードの場合に現車高で制御を直ちに中止する処置が、
各車輪で車高が異なるようなB故障モードの場合に各流
体シリンダ3の油を排出して4輪全ての車高を低い位置
で同一にした後に制御を中止する処置がそれぞれ行われ
るので、故障の状態に応じて適切なフェイルセイフ対策
を講じることができ、安全性の向上を効果的に図ること
ができる。
しかも、上記のフェイルセイフ対策のための機構で
は、コントローラ19での電気制御系でもって全ての制御
を行うものはなく、フェイルセイフ弁41の開位置への切
換時点から所定時間の間に流体シリンダ3内から油を排
出させるという制御は流体回路(油圧回路)での機械的
構成によって発揮されるので、コントローラ19の記憶・
演算容量等がその分少なくて済み、コストの低廉化およ
び作動の信頼性の向上等を図ることができる。
特に、実施例の場合、フェイルセイフ弁41の開時にチ
ェック弁38の閉じ作動を遅らせるディレイ手段は、パイ
ロットライン39に介設した絞り43よりなる簡単なもので
あるので、コストの低廉化等をより一層図ることができ
る。
尚、上記実施例では、本発明を、流体シリンダ3とガ
スばね5の両方を備えたサスペンション装置(つまりHP
S装置)に適用したが、このHPS装置に限らず、ガスばね
5を備えず、流体シリンダ3のみを備えてサスペンショ
ン特性を可変にするサスペンション装置(つまりHPS装
置以外のその他のACS装置)にも同様に適用できるのは
勿論である。
(発明の効果) 以上の如く、本発明における車両のサスペンション装
置によれば、流体シリンダの流量制御系の故障時には、
その故障の程度に応じて制御を中止する処置と車高を低
下させた後に制御を中止する処置とを講じることができ
るので、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示し、第1図は油圧回路図、第
2図は全体概略構成図、第3図はコントローラによるフ
ェイルセイフ制御を示すフローチャート図である。 1……車体、2F……前輪、2R……後輪、3(3FL,3FR,3R
L,3RR)……流体シリンダ、8……油圧ポンプ、9……
流量制御弁、10……液圧通路(高圧ライン)、19……コ
ントローラ、35……第1切換弁(流体供給用の制御
弁)、36……低圧ライン、37……第2の切換弁(流体排
出用の制御弁)、38……チェック弁(開閉弁)、39……
パイロットライン、41……フェイルセイフ弁、42……連
通路、43……絞り。
フロントページの続き (72)発明者 熊田 拡佳 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−96111(JP,A) 特開 昭61−50816(JP,A) 特開 平2−147427(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体と各車輪との間にそれぞれ流体シリン
    ダが配設され、該各流体シリンダへの流量を制御するこ
    とにより車両のサスペンション特性を可変にする車両の
    サスペンション装置であって、 上記各流体シリンダとポンプとの間を連通する高圧ライ
    ンと、 該高圧ラインに設けられた流体供給用の制御弁と、 上記各流体シリンダとリザーブタンクとの間を連通する
    低圧ラインと、 該低圧ラインに設けられた流体排出用の制御弁と、 上記流体供給用及び流体排出用の制御弁と上記流体シリ
    ンダとの間の流体給排用油圧ラインに設けられ、上記サ
    スペンション装置の制御時に開位置に切換える一方、サ
    スペンション装置の故障時に閉位置に切換えることで流
    体シリンダへの流体の供給及び流体シリンダからの流体
    の排出を規制する開閉弁と、 上記流体供給用制御弁及び流体排出用制御弁の上流側に
    おいて高圧ラインと低圧ラインとを連通する通路と、 該通路に設けられ、上記サスペンション装置の制御時に
    閉位置に切換えられ、サスペンション装置の故障時に高
    圧ラインと低圧ラインとを連通するよう開位置に切換え
    られるフェイルセイフ弁とを備え、 故障時、フェイルセイフ弁の開弁から所定時間後に上記
    開閉弁を閉弁するよう構成し、上記所定時間内で上記流
    体シリンダからの流体の排出を可能としたことを特徴と
    する車両のサスペンション装置。
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