JP2702701B2 - 自動二輪車用タイヤ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、オフロードで走行するモトクロス競技用の
自動二輪車に好適に使用される自動二輪車用タイヤに関
する。 〔従来の技術〕 一般にモトクロス競技用自動二輪車用タイヤは、駆
動、制御時におけるグリツプ性、岩石、木の切株などに
耐える耐カット性、耐摩耗性、軟質路面における排土性
などの要求性とともに、高速で急激な方向転換、登板、
降坂等を行うためタイヤの挙動に対する予知性が重要視
されている。 ここで予知性とは、コーナリングなどの際、タイヤの
グリツプ力の変化を運転者が受けるコーナリング力など
に応じて運転者が予知しうる性能であり、コーナリング
などの際、グリツプ限界を越えることによりタイヤのグ
リツプ力が急激に失われるタイヤでは、その変化を予知
できず運転のコントロールが極めて困難であり、転倒し
やすく危険を伴いやすい。 このように、予知性の悪いタイヤとはグリツプの限界
を越えた際、急激にグリツプ力が低下するタイヤであ
り、他方、予知性の良いタイヤとは、グリツプ限界に近
づくとグリツプ力が漸減し徐々に滑りはじめるタイヤで
あり、この場合予めマシンをコントローラし立て直すこ
とができる。とくにモトクロス競技用の自動二輪車用タ
イヤは、ブロック高さが大きくかつ海面積が広いため、
トレッドゴムは硬度の高いゴムが必要であるとともに、
特に硬質路面では密着性による摩擦がグリツプ性に効果
があることから高い摩擦係数のゴムを用いることが必要
である。従来、この種のタイヤのゴム配合としてハイス
チレンSBRを主体とした通常のSBR配合のものが使用され
ていた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 従ってこのような二輪車用タイヤでは、摩擦係数は高
くなる反面、逆に予知性の低下を生ずる傾向にあり、こ
れらの両特性を同時に満足させることは困難であった。 本発明は、摩擦係数が高く、従ってグリツプ性を高く
維持しながら予知性を向上し、さらに耐摩耗性、耐カッ
ト性の改善を図った自動二輪車用タイヤの提供を目的と
している。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、トレッド部と、その両端からラジアル方向
内方に向けて延びるサイドウオール部と、該サイドウオ
ール部のラジアル方向内側端部に位置するビード部とを
具えた自動二輪車用タイヤであって、前記トレッド部は
ブロックパターンを有しかつ各ブロックの高さＨは７〜
20mmの範囲しかも全ブロックの表面積はトレッド表面積
の10〜50％の範囲であり、さらに前記トレッド部のゴム
は、スチレン含量30〜40wt％のSBRを60〜85重量部、ス
チレン含量20〜25wt％のSBRを10〜30重量部、ブタジエ
ンゴムを３〜10重量部、粒子径が10〜30ミリミクロンの
カーボンブラックを60〜120重量部を夫々配合した組成
物であることを特徴とする自動二輪車用タイヤである。 図においてタイヤ１は、左右一対のビードコア２のま
わりを内側から外側にかけて折返されるカーカスプライ
３を有し、さらにトレッド部４と、該トレッド部４の両
側からラジアル方向内方に延びるサイドウオール部５
と、さらにその内方に位置するビード部６を具えてい
る。前記カーカスプライ３として、タイヤ周方向に30〜
60゜のコード角度でプライ間で相互に交差するクロスプ
ライ構造、もしくはタイヤ周方向にほぼ直角のラジアル
構造が採用できる。後者の場合は、タイヤのクラウン部
にタイヤ周方向に浅いコード角度でベルト層が配設され
る。前記トレッド部４は、第１図に示すごとく、ブロッ
クパターンを有し、周方向に並ぶ各ブロックAi、Bi、C
i、Di（本例では、周方向に並ぶ各列の各ブロックの番
号を意味する）の高さHAi、HBi、HCi、HDiはいずれも７
〜20mmであり、従来のものよりも高く構成されている。
そして各ブロックAi、Bi、Ci、Diの表面の面積総和Σ
（SAi＋SBi＋SCi＋SDi）はトレッド面積（トレッド巾Ｗ
×タイヤ平均周長）の10〜50％の範囲である。 本発明ではトレッドゴムにSBRが使用されるが、グリ
ツプ性を向上するためのスチレン含量が30〜40WT％のSB
Rを60〜85重量部と、耐カット性向上のためのスチレン
含量が20〜25WT％のSBRを10〜30重量部と、予知性を向
上するためのブタジエンゴムを３〜10重量部と、グリツ
プ力及び剛性を向上するための平均粒子径10〜30ミリミ
クロンのカーボンブロックを60〜120重量部とを夫々配
合している。 又熱硬化性樹脂、例えば住友デュレツ製PR12686を１
〜５重量部含ませるのもよい。さらに1.3−ジヒドロキ
シベンゼンを１〜５重量部配合することも好ましく、こ
れらによって、加工性を損なうことなく、ゴム硬度を高
めトレッド部の剛性を増大することができる。 実施例 第１図のトレッドパターンを有しかつ第２図に示す断
面構造のタイヤを、第１表に示すトレッド配合により製
作し、タイヤ諸特性を評価した。タイヤサイズは、80/1
00−21（前輪）、80/100−18（後輪）で試作した。 なお試作タイヤのブロック高さHAi、HBi、HCi、HDiは
夫々…９、９、９、5mmであり、ブロック総面積のトレ
ッド面積に対する割合は35％である。 グリツプ性、ブロック剛性、予知性等のタイヤ性能は
５人のテストドライバーのフイーリングテストによる評
価結果であり、ブロツク欠けについては実車300km走行
後のブロツク欠け数を５点法で評価したものである。又
耐摩耗性は500km走行後の摩耗量（残溝深さ）を周上10
ケ所測定しその平均値を点数評価したものである。 〔発明の効果〕 このようにブロック高さが比較的高く、しかもブロッ
ク面積の小さい自動二輪車用タイヤにおいて、トレッド
ゴム配合として、通常のSBRに加えてハイスチレンSBR、
ブタジエンゴム特定のカーボンブラックを組合わせて用
いたためウリツプ性と予知性の二律背反の特性が同時に
解決し、さらには耐摩耗性、耐カット性等の特性も改善
できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明のタイヤのトレッド部平面図、第２図は
タイヤのＩ−Ｉ線断面図である。 ２……ビードコア、３……カーカスプライ、 ４……トレッド部、５……サイドウオール部、 ６……ビード部、Ai、Bi、Ci、Di……ブロック、 HAi、HBi、HCi、HDi……ブロックの高さ、 SAi、SBi、SCi、SDi……ブロックの表面積。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．トレッド部と、その両端からラジアル方向内方に向
   けて延びるサイドウオール部と、該サイドウオール部の
   ラジアル方向内側端部に位置するビード部とを具えた自
   動二輪車用タイヤであって、前記トレッド部はブロック
   パターンを有しかつ各ブロックの高さＨは７〜20mmの範
   囲でしかも全ブロックの表面積はトレッド表面積の10〜
   50％の範囲であり、さらに前記トレッド部のゴムは、ス
   チレン含量30〜40wt％のSBRを60〜85重量部、スチレン
   含量20〜25wt％のSBRを10〜30重量部、ブタジエンゴム
   を３〜10重量部、粒子径が10〜30ミリミクロンのカーボ
   ンブラックを60〜120重量部を夫々配合した組成物であ
   ることを特徴とする自動二輪車用タイヤ。 ２．トレッド部のゴムは熱硬化性樹脂を１〜５重量部含
   んでいる特許請求の範囲第１項記載のタイヤ。 ３．トレッド部のゴムは1.3ジヒドロキシベンゼンを１
   〜５重量部含んでいる特許請求の範囲第１項記載のタイ
   ヤ。